説明

ロッドレンズの製造方法及びロッドレンズアレイ

【課題】高温環境下で使用しても熱収縮が抑制されたロッドレンズを短時間に製造できるロッドレンズの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のロッドレンズの製造方法は、未硬化状物を紡糸してロッドレンズ原糸を得る紡糸工程と、前記ロッドレンズ原糸を延伸して延伸原糸を得る延伸工程と、前記延伸原糸を緩和して緩和原糸を得る緩和工程と、前記緩和原糸を、下記温度T[℃]の温水により5分以内で処理する温水処理工程とを有する。T[℃]:Tg−35[℃]〜Tg[℃](Tgはロッドレンズ原糸のガラス転移温度である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキャナ、イメージセンサ、プリンタ等の光伝送体として使用されるロッドレンズアレイ及びそれに使用されるロッドレンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製ロッドレンズ(以下、「ロッドレンズ」と略す。)は、中心から外側に向かうにつれて屈折率が連続的に減少する屈折率分布を有する円柱状のレンズである。
ロッドレンズは、2本以上を、それらの端面が1次元状又は2次元状の形状を形成するように平行に配置し、接着により一体化して、ロッドレンズアレイの形態にされることがある。ロッドレンズアレイは、ハンドスキャナ等の各種スキャナや、複写機、ファクシミリ等におけるイメージセンサ用の部品として、また発光ダイオード(LED)プリンタの書き込みデバイス等として広く用いられている。
ところで、ロッドレンズにおいては、ロッドレンズアレイ製造時の取り扱い性を向上させるために、機械的強度を高くすることが要求される。その要求に対し、特許文献1には、ロッドレンズを加熱延伸する方法が開示されている。
しかし、加熱延伸されたロッドレンズは熱収縮が大きいため、高温環境下で使用した際に、ロッドレンズが収縮して共役長が変化し、その結果、解像度(MTF:モデレーション・トランスファー・ファンクション)が低下する傾向にあった。
特に、ロッドレンズを、600ドット/インチ(dpi)以上の高解像度のイメージセンサやLEDプリンタに使用する場合には、解像度の低下は深刻になる。
【0003】
そこで、高温環境下で使用しても共役長の変化が起こりにくい耐熱性を有し、解像度に優れるロッドレンズアレイを製造する方法として、特許文献2では、ロッドレンズを加熱延伸後、熱処理する方法が提案されている。しかしながら、この方法は熱処理に要する時間が長いという問題を有していた。
【特許文献1】特開平8−211242号公報
【特許文献2】特開2007−34259号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、高温環境下で使用しても熱収縮が抑制されたロッドレンズを短時間に製造できるロッドレンズの製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、高温環境下で使用しても熱収縮が抑制され、共役長の変化が起こりにくい耐熱性を有し、解像度に優れるロッドレンズアレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定の温度及び時間で温水処理することにより、上記課題を解決できることを見出し、さらに検討して、以下のロッドレンズの製造方法及びロッドレンズアレイを発明した。
[1]未硬化状物を紡糸してロッドレンズ原糸を得る紡糸工程と、
前記ロッドレンズ原糸を延伸して延伸原糸を得る延伸工程と、
前記延伸原糸を緩和して緩和原糸を得る緩和工程と、
前記緩和原糸を、下記温度T[℃]の温水により5分以内で処理する温水処理工程とを有することを特徴とするロッドレンズの製造方法。
T[℃]:Tg−35[℃]〜Tg[℃](Tgはロッドレンズ原糸のガラス転移温度である)
[2] 温水処理工程では、80℃で24時間加熱した際の熱収縮率が0.4%以下になるように緩和原糸を処理する[1]に記載のロッドレンズの製造方法。
[3] [1]又は[2]に記載のロッドレンズの製造方法により得られたロッドレンズが、一対の基板間に、各ロッドレンズの中心軸が互いに略平行になるように配置され、固定されているロッドレンズアレイ。
【発明の効果】
【0006】
本発明のロッドレンズの製造方法によれば、高温環境下で使用しても熱収縮が抑制されたロッドレンズを短時間に製造できる。
本発明のロッドレンズアレイは、高温環境下で使用しても熱収縮が抑制され、共役長の変化が起こりにくい耐熱性を有し、解像度に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
<ロッドレンズの製造方法>
本発明のロッドレンズの製造方法は、紡糸工程と、延伸工程と、緩和工程と、温水処理工程とを有して、中心から外側に向かうにつれて屈折率が連続的に減少する屈折率分布を有するロッドレンズを製造する方法である。
【0008】
(紡糸工程)
紡糸工程は、未硬化状物を紡糸してロッドレンズ原糸を得る工程である。
紡糸工程においてロッドレンズ原糸を製造する際には、中心から外側に向かうにつれて屈折率が連続的に減少する屈折率分布が生じる方法が採られる。その方法としては、例えば、付加反応法、共重合法、ゲル重合法、単量体揮発法、相互拡散法等のいずれの方法であってもよいが、精度及び生産性の点で相互拡散法が好ましい。
以下、相互拡散法について説明する。
【0009】
まず、硬化後の屈折率n及びアッベ数νが、n>n>・・・・>n、かつν>ν>・・・・>ν(N≧3)となるN個の未硬化状物を、複合紡糸ノズル等を用いて、中心軸から外側に向かうにつれて屈折率及びアッベ数が順次低くなるような配置で同心円状に積層した未硬化状の積層体(以下、「糸状体」という。)に賦形する。
次いで、この糸状体の各層間の屈折率分布が好ましくは連続的になるように、隣接する層同士で物質を相互拡散させる相互拡散処理を施し、その後又は同時に、糸状体を硬化処理して、ロッドレンズ原糸を得る。
ここで、相互拡散処理は、糸状体に窒素雰囲気下、10〜60℃、より好ましくは20〜50℃で数秒〜数分間の熱履歴を与える処理である。
【0010】
未硬化状物としては、ラジカル重合性ビニル単量体、又はラジカル重合性ビニル単量体と該単量体に可溶な重合体(可溶性重合体)とからなる組成物などを用いることができる。中でも、未硬化状物から糸状体を形成する際の未硬化状物の粘度を容易に調整でき、また、糸状体の中心軸から外側に向かうにつれて連続的な屈折率分布を容易に形成できることから、ラジカル重合性ビニル単量体と可溶性重合体とからなる組成物であることが好ましい。
【0011】
ラジカル重合性ビニル単量体の具体例としては、メチルメタクリレート(屈折率:1.49)、スチレン(屈折率:1.59)、クロルスチレン(屈折率:1.61)、酢酸ビニル(屈折率:1.47)、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート(屈折率:1.37〜1.44)、屈折率1.43〜1.62の(メタ)アクリレート類、例えば、エチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ又はトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ、トリ又はテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の他のジエチレングリコールビスアリルカーボネート、フッ素化アルキレングリコールポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0012】
可溶性重合体は、前記ラジカル重合性ビニル単量体から形成する重合体と相溶性が良いものであり、例えば、ポリメチルメタクリレート(屈折率:1.49)、ポリメチルメタクリレート系共重合体(屈折率:1.47〜1.50)、ポリ(4−メチルペンテン−1)(屈折率:1.46)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(屈折率:1.46〜1.50)、ポリカーボネート(屈折率:1.50〜1.57)、ポリフッ化ビニリデン(屈折率:1.42)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体(屈折率:1.42〜1.46)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロペン共重合体(屈折率:1.40〜1.46)、ポリフッ化アルキル(メタ)アクリレート重合体等が挙げられる。これらの中でも、ポリメチルメタクリレートは透明性に優れ、それ自体の屈折率も高いため、より好ましい。
【0013】
また、各層には同一の屈折率を有する可溶性重合体を含有させることが好ましい。各層に同一の屈折率を有する可溶性重合体を含有させれば、粘度を容易に調整でき、中心軸から外側に向かうにつれて連続的な屈折率分布を有するロッドレンズを容易に得ることができる。
【0014】
未硬化状物から形成された糸状体を硬化するためには、重合開始剤を未硬化物中に0.01〜2質量%添加しておくことが好ましい。重合開始剤としては熱硬化開始剤と光硬化開始剤があるが、いずれも使用可能である。
熱硬化開始剤としては、通常、パーオキサイド系又はアゾ系の開始剤が用いられる。
光硬化開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾインアルキルエーテル、4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルメチルケタール、2,2−ジエトキシアセトフェノン、クロロチオキサントン、チオキサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N−メチルジエタノールアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
【0015】
未硬化状物を硬化させる際には、熱硬化開始剤及び/又は光硬化開始剤を含有する糸状物を熱処理ないし光硬化処理を行う。未硬化状物が熱硬化開始剤と光硬化開始剤の両方を含有している場合は、熱処理と光硬化処理の両方を行うことができる。
熱硬化処理は、熱硬化開始剤を含有させた未硬化状物を、一定の温度に制御された加熱炉等の硬化処理部で所定時間熱処理することにより行うことができる。
光硬化処理は、光硬化開始剤を含有させた未硬化状物に周囲から紫外線を照射することにより行うことができる。光硬化処理に用いる光源としては、150〜600nmの波長の光を発生する炭素アーク灯、高圧水銀灯、中圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、レーザー光等が挙げられる。
【0016】
紡糸工程は、例えば、図1に示すようなロッドレンズ原糸の製造装置を用いて行うことができる。
このロッドレンズ原糸の製造装置10は、同心円状複合紡糸ノズル11と、同心円状複合紡糸ノズル11から吐出された糸状体Aを収容する収容体12と、収容体12の同心円状複合紡糸ノズル11側に接続された不活性ガス導入管13と、収容体12の出口12a側に接続された不活性ガス排出管14と、収容体12の長手方向の中央の外側に設けられた第1光照射機15と、収容体12の不活性ガス排出管14側の外側に設けられた第2光照射機16と、収容体12の下流側に配置された引取りローラ17とを具備する。
収容体12において、同心円状複合紡糸ノズル11から第1光照射機15の光が当る直前までの部分を相互拡散処理部12b、第1光照射機15の光が当る部分を第1硬化処理部12c、第2光照射機16の光が当る部分を第2硬化処理部12dという。
【0017】
上記製造装置10を用いたロッドレンズ原糸の製造では、不活性ガス導入管13から収容体12内に不活性ガス(例えば窒素ガス)を導入すると共に不活性ガス排出管14から収容体12内の不活性ガスを排出させる。
そのように不活性ガスを流動させた状態で、同心円状複合紡糸ノズル11から未硬化の糸状体Aを吐出し、その糸状体Aを、収容体12内を通過させる。このとき、糸状体Aを構成する各層間で相互拡散処理部12bにて相互拡散を起こさせ、第1硬化処理部12cにて第1光照射機15により糸状体Aに光を照射し、第2硬化処理部12dにて第2光照射機16により糸状体Aに光を照射して硬化する。
そして、引取りローラ17により引き取ることにより、収容体12からロッドレンズ原糸Bを得る。
【0018】
(延伸工程)
延伸工程は、前記ロッドレンズ原糸を延伸して延伸原糸を得る工程である。
ロッドレンズ原糸の延伸は公知の方法により行うことができ、例えば、図2に示すような延伸・緩和処理装置を用いて行うことができる。
この延伸・緩和処理装置20は、第1ニップローラ21、第2ニップローラ22、第3ニップローラ23、第1ニップローラ21と第2ニップローラ22との間に配置された第1加熱炉24、及び、第2ニップローラ22と第3ニップローラ23との間に配置された第2加熱炉25を具備する。
延伸・緩和処理装置20を用いた延伸工程では、紡糸工程により得たロッドレンズ原糸Bを第1ニップローラ21で第1加熱炉24に供給し、第1加熱炉24を通過したロッドレンズ原糸Bを第2ニップローラ22で第1ニップローラ21よりも速い速度で引き取って延伸する方法等が挙げられる。
【0019】
延伸工程における雰囲気温度(延伸温度)はロッドレンズの材質等に応じて適宜選択されるが、ロッドレンズ原糸のガラス転移温度(Tg)+20℃以上、Tg+60℃以下が好ましい。なお、ロッドレンズの屈折率配向を形成するために、屈折率の異なる複数の層を積層して、ロッドレンズを形成する場合がある。このような場合、各層を形成する材料うちで、Tgが最大となる値をロッドレンズ原糸のTgとする。一般的には、屈折率が高い材料ほどTgが高いことから、ロッドレンズで最も屈折率が高くなる中心部分を構成する層の未硬化状物を重合させたものをサンプルとして、本発明におけるTgを測定した。
本発明におけるTgは以下の測定方法(DSC法)で求める。
1.サンプルを200℃で5分間、溶融させた状態で維持し、ドライアイスで1分間急冷して、残留応力を除去する。
2.サンプルを減圧したデシケータ内に15分以上放置して、サンプルに付着した霜を除去する。
3.示差熱分析装置を用いて、以下の条件で測定を行う。
・窒素気流下(流量100ml/分)
・測定温度範囲 スタート温度10℃、リミット温度200℃
・昇温速度 10℃/分
【0020】
また、延伸工程における延伸倍率は所望のロッドレンズ径により適宜選択されるが、1.1〜10倍が好ましく、2〜6倍がより好ましい。延伸倍率は、例えば、延伸・緩和処理装置20を用いた場合には、第1ニップローラ21と第2ニップローラ22の速度比により調節できる。
【0021】
(緩和工程)
緩和工程は、延伸原糸を緩和して緩和原糸を得る工程である。
緩和は、公知の方法、例えば、延伸原糸を加熱しながら2つのニップローラで移送し、上流側のニップローラの回転数より下流側のニップローラの回転数を小さくすることにより行うことができる。具体的には、図2に示すような延伸・緩和処理装置を用いて行うことができる。
延伸・緩和処理装置20を用いた緩和工程では、例えば、延伸原糸Cを第2ニップローラ22で第2加熱炉25に供給し、第2加熱炉25を通過したロッドレンズを第3ニップローラ23で第2ニップローラ22よりも遅い速度で引き取って緩和する方法等が挙げられる。
緩和工程における雰囲気温度(緩和温度)は、ロッドレンズの材質等に応じて適宜選択されるが、得られるロッドレンズを使用したロッドレンズアレイの光学特性を考慮すると、Tg以上、Tg+60℃以下が好ましく、Tg以上、延伸温度−5℃以下がより好ましい。
また、緩和倍率は所望のロッドレンズ径により適宜選択されるが、0.5倍以上1倍未満が好ましく、0.6〜0.9倍がより好ましい。緩和倍率は、例えば、延伸・緩和処理装置20を用いた場合には、第3ニップローラ23と第4ニップローラ24の速度比により調節できる。
【0022】
延伸工程及び緩和工程はバッチ式であってもよいし、連続式でもよい。また、延伸工程と緩和工程は連続的に行ってもよいし、非連続的に行ってもよい。生産性の観点からは連続的に行うことが好ましい。
【0023】
緩和工程により得られた緩和原糸は、連続的に所定の長さに切断してもよく、ボビン等に巻き取った後、切断してもよい。
緩和原糸の熱収縮率は0.7〜1.5%程度である。ここで、熱収縮率は、緩和原糸を所定の長さに切断したサンプルを80℃の乾燥機内に24時間放置して加熱し、[(加熱前後の長さの変化)/(加熱前の長さ)]×100(%)により求めた値である。
【0024】
(温水処理工程)
温水処理工程は、緩和原糸を、下記温度Tの温水により5分以内で処理する工程である。
T[℃]:Tg−35[℃]〜Tg[℃](Tgはガラス転移温度である)
このような温度で温水処理を行うことにより、緩和原糸の熱収縮を抑制でき、高温環境下でもロッドレンズの熱収縮を抑制でき、ロッドレンズアレイの耐熱性を向上させることができる。より好ましくは、温水処理の温度はTg−30[℃]〜Tg[℃]であり、さらに好ましくは、温水処理の温度はTg−25[℃]〜Tg[℃]である。なお、温水処理の温度がTg−35℃未満であると、耐熱性が向上せず、Tgを超えると、ロッドレンズが変形することがある。
【0025】
温水処理を行う時間は、初期光学性能や耐熱性をより向上させる点、生産性のバランスを考慮すると、1〜4分が好ましく、1.5〜3分がより好ましい。
温水処理の際には、緩和原糸に張力をかけないことが好ましい。例えば、延伸、緩和工程後、インラインで連続的に温水処理を行うことが好ましい。
温水処理の方法は、ロッドレンズを均一に熱処理できる方法であれば特に制限されるものではなく、例えば、緩和原糸を温水中に通過させる方法、緩和原糸に温水を吹き付ける方法などが挙げられる。
【0026】
ロッドレンズを高温環境下で使用した際の使用熱収縮を抑制するために、高解像度が要求されるロッドレンズに用いられる緩和原糸は、80℃で24時間加熱したときの熱収縮率が0.4%以下であることが好ましいことを、本願発明者らは見出した。この熱収縮率は、0.37%以下であることがより好ましく、特に0.35%以下であることが好ましい。本発明の好適なロッドレンズの製造方法においては、前記加熱条件で緩和原糸を処理することにより、熱収縮率が0.4%以下の緩和原糸を得ることができる。これにより、ロッドレンズ、ロッドレンズアレイを高温環境下で使用した際の熱収縮がより抑制される。
【0027】
(ロッドレンズ)
上記製造方法により得られたロッドレンズは、中心から外側に向かうにつれて屈折率が連続的に減少する屈折率分布を有する円柱状のレンズである。
ロッドレンズの屈折率分布としては、ロッドレンズの中心軸に垂直な断面において、ロッドレンズの半径rとしたとき、少なくとも中心から外側に向かう0.3r〜0.7rの範囲における屈折率分布が、下記式(1)で規定される2次曲線分布に近似されることが好ましい。
n(L)=n{1−(g/2)L} (1)
式(1)中、n0はロッドレンズの中心軸における屈折率(中心屈折率)、Lはロッドレンズの中心軸からの距離(0≦L≦r)、gはロッドレンズの屈折率分布定数、n(L)はロッドレンズの中心軸からの距離Lの位置における近似屈折率である。
【0028】
ロッドレンズの半径rは特に限定されないが、光学系のコンパクト化の観点から、半径rは小さいことが好ましく、ロッドレンズの加工時の取り扱いの観点からは、半径rが大きいことが好ましい。このようなことから、ロッドレンズの半径rは、0.05〜0.5mmの範囲であることが好ましく、0.1〜0.3mmの範囲であることがより好ましい。
【0029】
ロッドレンズの中心屈折率nは1.4〜1.6であることが、ロッドレンズを構成する材料の選択肢が広くなり、良好な屈折率分布を形成しやすくなる等の観点から好ましい。
ロッドレンズの屈折率分布定数gも特に限定されるものではないが、光学系のコンパクト化や光学系の作動距離の確保や取り扱い性の観点から、0.5〜1.5mm−1の範囲であることが好ましく、0.5〜1.0mm−1の範囲であることがより好ましい。
【0030】
また、ロッドレンズは、中心軸から0.6r以上の外周部に、ロッドレンズを伝送する光のうち少なくとも一部の光を吸収する光吸収剤を含有する光吸収層を設けることが好ましい。一般に、ロッドレンズでは、中心軸から離れるにつれて、屈折率分布が理想分布から外れた不整な部分が形成されやすいが、ロッドレンズの外周部に光吸収層を設けることにより、屈折率分布の不整な部分に起因する光学特性の低下を抑制できる。
光吸収層の厚みは3μm以上50μm以下が好ましい。光吸収層の厚みをこの範囲にすれば、フレア光やクロストーク光を十分に除去できると共に、十分な透過光量を確保できる。
【0031】
光吸収剤としては、イメージセンサやLEDプリンタ等においては光源として400〜900nmの波長の光を出射する光源が用いられているので、400〜900nmのうち少なくとも一部の波長域の光を吸収するものを用いることが好ましい。
このような光吸収剤としては、例えば、600nm〜近赤外線領域に吸収のある日本化薬製Kayasorb CY−10等、600〜700nmに吸収のある三菱化学製Diaresin Blue 4G等、550〜650nmに吸収のある日本化薬製Kayaset Blue ACR等、500〜600nmに吸収のある三井東圧染料MS Magenta HM−1450等、400〜500nmに吸収のある三井東圧染料MS Yellow HD−180等を例示することができる。また、400〜900nmのうち全波長域の光を吸収する光吸収剤としては、黒色染料等を挙げることができる。これら光吸収剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
光吸収剤の光吸収層における含有量は、0.001〜10質量%が好ましく、0.001〜1質量%がより好ましい。
【0032】
以上説明したロッドレンズの製造方法では、温水処理工程にて、緩和原糸を、Tg−35[℃]〜Tg[℃]の温水により5分以内で処理して、アニール処理するため、高温環境下で使用した場合であっても、ロッドレンズの熱収縮が抑制され、共役長の変化が小さい。そのため、解像度を高く保つことができる。
【0033】
<ロッドレンズアレイ>
本発明のロッドレンズアレイは、上記ロッドレンズの製造方法で得られたロッドレンズが、一対の基板間に、各ロッドレンズの中心軸が互いに略平行になるように配置され、固定されているものである。
ロッドレンズアレイの一例として、図3に示すように、2本以上のロッドレンズ31,31・・・が、2枚の基板32,32間に平行に1列に並べられ、固定されたものが挙げられる。
隣接するロッドレンズ31,31同士は互いに密着していてもよいし、一定の隙間を空けて配置されていてもよい。
【0034】
ロッドレンズアレイ30を構成する基板32は平板状でもよいし、ロッドレンズ31を一定の間隔で配置するためにU字状あるいはV字状等の溝が片面に形成されたものであってもよい。
基板32の材質は特に限定されないが、ロッドレンズアレイを作製する工程での加工が容易な材料であることが好ましい。具体的には、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が好ましく、アクリル系樹脂、ABS樹脂、ポリイミド系樹脂、液晶ポリマー、エポキシ系樹脂がより好ましい。また、基板32の基材、補強材として、繊維や紙を用いてもよいし、基板32に離型剤、染料、顔料等を添加してもよい。
【0035】
ロッドレンズ31と基板32との固定には接着剤33が用いられる。
接着剤33は、ロッドレンズ31と基板32あるいはロッドレンズ31,31同士を接着できる程度の接着力を有するものであれば特に制限されるものではなく、薄膜状に塗布可能な接着剤や、スプレー式粘着剤、ホットメルト型粘着剤等を用いることができる。
ロッドレンズ31や基板32への接着剤の塗布方法としては、接着剤の種類に応じて、スクリーン印刷法、スプレーコーティング法等の公知のコーティング法を適用できる。
【0036】
本発明のロッドレンズアレイは、図3に示すものに限定されず、例えば、同種のロッドレンズが基板間に2列に並ぶように配置されていてもよい。その場合には、隣接するロッドレンズ同士を互いに密着させて最密に配置することが好ましい。
【0037】
本発明のロッドレンズアレイは、上記ロッドレンズが用いられているため、高温環境下で使用しても熱収縮が抑制され、共役長の変化が起こりにくい耐熱性を有している。そのため、解像度に優れている。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
また、以下の例では、ロッドレンズ又はロッドレンズアレイについて、以下のように物性を測定した。熱収縮率、共役長及び平均MTFの測定結果については表1に示す。
<ガラス転移温度(Tg)>
1.ロッドレンズの中心部分近傍を構成する未硬化状物を重合させたものをサンプルとして用い、このサンプルを200℃で5分間、溶融させた状態で維持し、ドライアイスで1分間急冷して、残留応力を除去した。
2.サンプルを減圧したデシケータ内に15分以上放置して、サンプルに付着した霜を除去した。
3.示差熱分析装置を用いて、以下の条件で測定を行った。
・窒素気流下(流量100ml/分)
・測定温度範囲 スタート温度10℃、リミット温度200℃
・昇温速度 10℃/分
【0039】
<屈折率分布>
カールツァイス社製インターファコ干渉顕微鏡を用いて測定した。
<熱収縮率>
熱収縮率は、緩和原糸を所定の長さに切断したサンプルを80℃の乾燥機内に24時間放置して加熱し、[(加熱前後の長さの変化)/(加熱前の長さ)]×100(%)により求めた。
表1における評価の欄では、熱収縮率が0.4%以下のものを◎、0.4〜0.5%以内のものを○、0.5%より大きいものを×と示す。
【0040】
<共役長及び解像度(平均MTF)>
空間周波数12ラインペア/mm(すなわち600dpi)を有する格子パターンを用いて測定した。具体的には、光軸に垂直な両端面を研磨したロッドレンズアレイに光源からの光(波長525nm)を、格子パターンを通して入射させ、結像面に設置したCCDラインセンサにより格子画像を読み取り、その測定光量の最大値(imax)と最小値(imin)を測定し、下記式(2)によりMTF(モデレーション・トランスファー・ファンクション)を求めた。
MTF(%)={(imax−imin)/(imax+imin)}×100 (2)
その際、格子パターンとロッドレンズアレイの入射端との距離と、ロッドレンズアレイの出射端とCCDラインセンサとの距離を等しくした。そして、格子パターンとCCDラインセンサをロッドレンズアレイに対し対称的に動かしてMTFを測定し、MTFが最良になるときの、格子パターンとCCDラインセンサとの距離を共役長とした。
格子パターンとCCDラインセンサとの距離を共役長で固定して、ロッドレンズアレイ全幅について走査してMTFを50点測定し、これらを平均して平均MTFを求めた。平均MTFの値は解像度の指標になり、平均MTFの値が大きい程、解像度が優れる。
ここで、空間周波数とは、白ラインと黒ラインとの組み合わせを1ラインとした際に、このラインの組み合わせが1mmの幅の中に形成される数である。
【0041】
<初期性能>
表1における評価の欄では、平均MTF[%]が70%以上のものを◎、65〜70%のものを○、65%以下のものを×と示す。
<耐熱試験>
60℃に設定した恒温恒湿機中(相対湿度90%)にロッドレンズアレイを1000時間放置した。耐熱試験後での共役長、平均MTFを求めた。
表1における評価の欄では、試験後の共役長[mm] の変化が±0.2mm以内のものを◎、±0.3mm〜±0.4mmのものを○、±0.5mm以上のものを×と示す。また、試験後の平均MTF[%]が60%以上のものを◎、50〜60%のものを○、50%以下のものを×と示す。
【0042】
<総合評価>
上記の全評価の結果最も多かった評価を総合評価とする。
尚、平均MTFの初期性能が×の場合、条件適用不可として総合評価を×とする。
【0043】
<実施例1>
ポリメチルメタクリレート(PMMA、〔η〕=0.40、メチルエチルケトン中、25℃にて測定)46質量部、下記式(3)で表されるトリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル−8−メタクリレート(TCDMA)30質量部、メチルメタクリレート(MMA)24質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部及びハイドロキノン(HQ)0.1質量部を70℃で加熱混練して第1層形成用原液を得た。
PMMA45質量部、TCDMA16.4質量部、ベンジルメタクリレート(BzMA)5質量部、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチルメタクリレート(8FM)5質量部、MMA28.6質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部及びHQ0.1質量部を70℃で加熱混練して第2層形成用原液を得た。
PMMA48質量部、BzMA6.8質量部、8FM10質量部、MMA35.2質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃で加熱混練して第3層形成用原液を得た。
PMMA44.8質量部、BzMA13.1質量部、8FM29.2質量部、MMA12.9質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃で加熱混練して第4層形成用原液を得た。
PMMA40.3質量部、BzMA16.9質量部、8FM40.4質量部、MMA2.4質量、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.25質量部、HQ0.1質量部を70℃で加熱混練して第5層形成用原液を得た。
【0044】
【化1】

【0045】
また、クロストーク光やフレア光を抑制する目的で、加熱混練前の第4層形成用原液中に、原液全体に対して、染料Blue ACR、Diaresin Blue 4Gをそれぞれ0.014質量%、MS Magenta HM−1450 0.0029質量%、MS Yellow HD−180、Kayasorb CY−10をそれぞれ0.0057質量%添加した。
また、第5層形成用原液中に、原液全体に対して、Blue ACRを0.57質量%、MS Yellow HD−180及びMS Magenta HM−1450をそれぞれ0.143質量%、Diaresin Blue 4G及びKayasorb CY−10をそれぞれ0.011質量%添加した。
【0046】
上記5種類の原液を、中心から外側に向かって硬化後の屈折率が順次低くなるように配置しながら同心円状5層複合紡糸ノズルから同時に押し出した。複合紡糸ノズルの温度は56℃とした。各層の吐出比は、ロッドレンズの半径方向の各層の厚さ(第1層においては半径)の比に換算して、第1層/第2層/第3層/第4層/第5層=24/31/39/3/3とした。ここで、第1層は最も内側で、第5層は最も外側である。
【0047】
次いで、得られた原液から、図1に示すロッドレンズ原糸の製造装置10を用いてロッドレンズ原糸を製造した。
具体的には、不活性ガス導入管13から収容体12内に窒素ガスを導入すると共に不活性ガス排出管14から収容体12内の不活性ガスを排出させた。
また、同心円状複合紡糸ノズル11から押し出された糸状体Aを、引取りローラ17で引き取り(200cm/分)ながら、長さ30cmの相互拡散処理部12bを通し、各層間同士で相互拡散を生じさせた。
続いて、中心軸の周囲に長さ60cm、20Wのケミカルランプ18本が上下2段に連続して等間隔に配設された第1硬化処理部12c(第1光照射部)の中心に、糸状体Aを通過させて硬化させた。更に、中心軸の周囲に2.0KW高圧水銀灯3本が等間隔に配設された第2硬化処理部12d(第2光照射部)の中心に、糸状体Aを通過させて、完全硬化させた。相互拡散処理部12bにおける窒素流量は40L/分とした。
これにより得られたロッドレンズ原糸の半径は0.30mmであり、Tgは100℃であった。
次いで、図2に示す延伸・緩和処理装置20を用い、紡糸工程から連続的に、得られたロッドレンズ原糸Bを、第1加熱炉24にて145℃の雰囲気下で5.5倍に延伸(第2ニップローラ22の速度1091cm/分)し、第2加熱炉25にて123℃の雰囲気下で緩和率が45%になるように緩和(第3ニップローラ23の速度600cm/分)した。次いで、切断工程にて、166mmの長さに切断して、長さ166mmの緩和原糸を多数得た。
【0048】
得られた緩和原糸の半径は0.17mm、中心屈折率は1.497、中心軸から外側に向かう0.2r〜0.8rの範囲において屈折率分布が式(1)に近似され、525nmの波長における屈折率分布定数gは0.84mm−1であった。
また、得られた緩和原糸には、外周面から中心部に向かって約5μmの厚さの、染料がほぼ均一に混在する層が形成されていた。
緩和原糸の熱収縮率を測定したところ、0.7%と大きかった。
【0049】
次いで、緩和原糸を80℃に設定した温水浴中に無張力下で通過させて、2分間温水処理して、図4に示すような、内側から第1層41と第2層42と第3層43と第4層44と第5層45とを有するロッドレンズを得た。温水処理後に得られたロッドレンズの熱収縮率を表1に示す。
また、得られたロッドレンズを多数本使用して、配列ピッチが0.36mm(隣接レンズ間の隙間20μm)の1列のロッドレンズアレイを作製した(共役長が10.0mm)。作製したロッドレンズアレイの525nmにおける初期性能と耐熱試験後の共役長、平均MTFを測定した。その結果を表1に示す。
【0050】
【表1】

【0051】
<実施例2>
実施例1で得られた緩和原糸を、70℃に設定した温水浴中に無張力下で通過させて、2分間温水処理してロッドレンズを得た。温水処理後に得られたロッドレンズの熱収縮率を表1に示す。
また、実施例1と同様にしてロッドレンズアレイを作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0052】
<比較例1>
実施例1で得られた緩和原糸を、80℃に設定した熱風乾燥機中(相対湿度30%以下)、無張力下で24時間熱処理した。熱処理後に得られたロッドレンズの熱収縮率を表1に示す。
また、実施例1と同様にしてロッドレンズアレイを作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0053】
<比較例2>
実施例1で得られた緩和原糸を、70℃に設定した熱風乾燥機中(相対湿度30%以下)、無張力下で24時間熱処理した。熱処理後に得られたロッドレンズの熱収縮率を表1に示す。
また、実施例1と同様にしてロッドレンズアレイを作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0054】
<比較例3>
実施例1で得られた緩和原糸を、50℃に設定した温水浴中に無張力下で通過させて、2分間温水処理してロッドレンズを得た。温水処理後に得られたロッドレンズの熱収縮率を表1に示す。
また、実施例1と同様にしてロッドレンズアレイを作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0055】
<比較例4>
実施例1で得られた緩和原糸を、80℃に設定した温水浴中に無張力下で通過させて、10分間温水処理してロッドレンズを得た。温水処理後に得られたロッドレンズの熱収縮率を表1に示す。
また、実施例1と同様にしてロッドレンズアレイを作製し、評価した。評価結果を表1に示す。
【0056】
温水により処理して得たロッドレンズを用いた実施例1,2のロッドレンズアレイではいずれも、熱処理に要した時間が短かったにもかかわらず、ロッドレンズの熱収縮が抑制され、耐熱試験前及び耐熱試験後の共役長、平均MTF値が良好であった。
これに対し、80℃の熱風により処理して得たロッドレンズを用いた比較例1のロッドレンズアレイでは、熱処理に要した時間が長かった。
70℃の熱風により処理して得たロッドレンズを用いた比較例2のロッドレンズアレイは、ロッドレンズの熱収縮が抑制されておらず、また、熱処理に要した時間が長かった。
Tgより50℃低い温水により処理して得たロッドレンズを用いた比較例3のロッドレンズアレイでは、ロッドレンズの熱収縮が抑制されておらず、耐熱試験後における平均MTF値が低かった。
80℃の温水による処理時間を10分にして得たロッドレンズを用いた比較例4のロッドレンズアレイでは、平均MTF値の初期性能が低かった。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】ロッドレンズの原糸を製造するための装置を示す概略構成図である。
【図2】ロッドレンズの原糸に延伸処理及び緩和処理を施す装置を示す概略構成図である。
【図3】本発明のロッドレンズアレイの一例を示す断面図である。
【図4】実施例及び比較例におけるロッドレンズの中心軸に垂直な断面を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
10 ロッドレンズ原糸の製造装置
11 同心円状複合紡糸ノズル
12 収容体
13 不活性ガス導入管
14 不活性ガス排出管
15 第1光照射機
16 第2光照射機
17 引取りローラ
20 延伸・緩和処理装置
21 第1ニップローラ
22 第2ニップローラ
23 第3ニップローラ
24 第1加熱炉
25 第2加熱炉
30 ロッドレンズアレイ
31 ロッドレンズ
32 基板
33 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未硬化状物を紡糸してロッドレンズ原糸を得る紡糸工程と、
前記ロッドレンズ原糸を延伸して延伸原糸を得る延伸工程と、
前記延伸原糸を緩和して緩和原糸を得る緩和工程と、
前記緩和原糸を、下記温度T[℃]の温水により5分以内で処理する温水処理工程とを有することを特徴とするロッドレンズの製造方法。
T[℃]:Tg−35[℃]〜Tg[℃](Tgは前記ロッドレンズ原糸のガラス転移温度である)
【請求項2】
温水処理工程では、80℃で24時間加熱した際の熱収縮率が0.4%以下になるように緩和原糸を処理する請求項1に記載のロッドレンズの製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロッドレンズの製造方法により得られたロッドレンズが、一対の基板間に、各ロッドレンズの中心軸が互いに略平行になるように配置され、固定されているロッドレンズアレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−175410(P2009−175410A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−13647(P2008−13647)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】