説明

ロテプレドノールエタボネートおよびトブラマイシンの局所眼科用懸濁液

【課題】眼の感染症および付随する炎症を治療するための、抗炎症ステロイドと組み合わせて抗生物質を含んでなる局所使用のための配合体を提供する。
【解決手段】pHを安定化させる量のトブラマイシンおよびソフトなステロイドであるロテプレドノールエタボネートを含んでなる眼科用製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼の感染症および付随する炎症を治療するための、抗炎症ステロイドと組み合わせて抗生物質を含んでなる局所使用のための配合体に関する。より具体的には、本発明は、pHを安定させる量のトブラマイシンおよびソフトなステロイドであるロテプレドノールエタボネートを含んでなる眼科用製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
コルチコステロイドなどの局所ステロイドは、眼の抗炎症治療のため、特に眼瞼または眼球結膜、角膜および眼球の前区の炎症状態を治療するために通常使用される。ステロイドの通常の治療用途には、アレルギー性結膜炎、酒さ性痊瘡、表在性点状角膜炎、虹彩炎、毛様体炎がある。ステロイドは、化学熱傷または熱傷による角膜の損傷または異物の侵入による炎症を改善するのにも使われる。そのような状態は、手術、怪我、アレルギーまたは眼への感染から起こることがあり、重い不快を引き起こす。
【0003】
それらの治療上の利点にもかかわらず、コルチコステロイドの眼球への局所的な使用は、後嚢下白内障の形成、眼圧の上昇、二次的な眼球の感染、角膜の傷の治癒の遅れ、ブドウ膜炎、瞳孔散大、一時的な眼球の不快および眼瞼下垂を含む、多くの合併症に関連する。多くの全身的な合併症が、コルチコステロイドの眼球への局所的な使用から起こることがある。これらの合併症には、副腎不全、クッシング症候群、消化性潰瘍形成、骨粗鬆症、高血圧、筋肉衰弱または萎縮、成長の阻害、糖尿病、感染の活性化、気分の変化および傷の治癒の遅れがある。
【0004】
眼球の炎症を治療するための局所ステロイドはソフトな薬剤に基づくことがある。ソフトな薬剤は、当業界に公知であるとおり、最大の治療効果および最小の副作用を与えるように設計される。1つのアプローチによると、「ソフトな薬剤」の合成は、公知な活性薬剤の公知な不活性代謝産物を構造的に修飾して、元の不活性代謝産物に生体内で戻る予測可能な一段階変化を受ける活性代謝産物を製造することにより達成可能である(ソフトなステロイドに関しては、米国特許第6,610,675号、第4,996,335号および第4,710,495号を参照されたい)。したがって、「ソフトな薬剤」は、その治療効果を与えた後の非毒性誘導体への予測可能な生体内代謝という特徴を持つ生物学的に活性な化学成分である。眼科用途に好適なコルチコステロイドの配合体は公知である。例えば、米国特許第4,710,495号、第4,996,335号、第5,540,930号、第5,747,061号、第5,916,550号、第6,368,616号および第6,610,675号は、そのそれぞれの内容が参照により本願に組み込まれるが、ソフトなステロイドおよびソフトなステロイドを含む配合体を記載している。
【0005】
眼の感染症治療に使用される抗生剤も公知である。例えば、ペニシリン、セファロスポリンならびにアミカシン、ゲンタマイシンおよびトブラマイシンなどのアミノグリコシドが、眼の感染症治療に有用であると知られている。トブラマイシンは市販されており、効果的な抗生物質であると認識されている。この特定の抗感染薬は、以下の通常の眼の細菌性病原体に対して活性であると認識されている:ペニシリン耐性株を含むS.aureusおよびS.epidermidisを含むブドウ球菌、S.pneumoniaeを含む連鎖球菌、Pseudomonas aeruginosa、Escherichia coli、Klebsiella pneumoniae、Enterobacter aerogenes、Proteus mirabilis、Morganella morganii、Haemophilus influenzae、H. aegyptius、Acinetobacter calcoaceticusおよびいくつかのNeissaria種。トブラマイシンの抗菌活性は、30Sリボソームサブユニットと結合しタンパク合成を変化させ、それにより微生物の死をもたらす能力により与えられる。
【0006】
ステロイドであるロテプレドノールエタボネート(LE)がトブラマイシンなどの抗生物質と組み合わせ可能であることがすでに示唆されている。しかし、両活性薬剤の望まれる治療効果を与えるためにLEと組み合わせて使用すべきトブラマイシンの量の示唆は無かった。トブラマイシンとLEの組み合わせの貯蔵および使用のために満足できる特性を有する組み合わせた配合体の詳細な記載もなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ステロイドを含む配合体が安定性の問題を経験することがあることが知られている。そのような安定性の問題には、貯蔵時の凝集および他の望ましくない変化がある。米国特許第5,916,550号は、C2−C7脂肪族アミノ酸を利用した、長期貯蔵時のLEの水性懸濁液のpH低下の制御を記載している。したがって、貯蔵時に安定なステロイドの製剤を提供する必要性はよく認識されている。製剤の安定性評価に使用される因子の一つはpHである。時間とともに製剤のpHに大きな変化があるとき、有効に貯蔵され貯蔵後にその薬剤活性を保つ配合体の能力は疑わしくなる。貯蔵の間配合体の安定性を保つために、特定の製剤に緩衝液を加えることが知られている。緩衝液の例には、ホウ酸塩緩衝液およびリン酸塩緩衝液などがある。これらの緩衝液はpHの安定化に有用であるが、それらは薬剤活性を示さない。したがって、ソフトなステロイドであるロテプレドノールエタボネートを含む眼科用製剤に、pH安定化活性および所望の抗感染活性を与える単一の物質を使用できれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
アミノグリコシドであるトブラマイシンが、pHを安定化させる量で存在するとき、時間を経てもロテプレドノールエタボネート含有配合体を安定化させるのに役立ち、より良好な貯蔵特性を与えることが、驚くべきことに発見された。
【0009】
本発明は、治療用に好適な水溶性および不溶性薬剤の組み合わせを含む新規な組成物を提供する。本発明は、不溶性薬剤のpH安定水性懸濁液であって、長期間の貯蔵の後でもそのような状態のままである懸濁液を提供する。
【0010】
より具体的には、本発明は、眼、耳または鼻の治療用に好適な、トブラマイシンなどのアミノグリコシドと組み合わせるロテプレドノールエタボネートなどのソフトなステロイドの水性懸濁液を対象とする。LEとトブラマイシンの水性懸濁液は驚くほどpH安定性であり、長期間の貯蔵にもpH安定状態にとどまることができる。
【0011】
予測可能に代謝されるステロイドであるロテプレドノールエタボネートと組み合わせて広域アミノグリコシド抗生物質トブラマイシンを含んでなる配合体は、治療の必要のある患者の炎症および感染の同時治療を考慮するだけでなく、トブラマイシンを含まない類似の配合体と比べpHの変化の減少により測定される、安定性が増加した眼科用製剤ももたらす眼科用製剤を提供する。
【0012】
コルチコステロイドが必要とされ、表在性眼球細菌感染または眼球細菌感染の危険性が存在する場合の、ステロイド反応性眼球炎症状態に使用すべき局所点眼薬がさらに本願に提供される。前記薬剤は0.5%/0.3%のロテプレドノールエタボネート/トブラマイシン眼科用懸濁液を含んでなる。本薬剤の使用は、表在性眼球細菌感染の危険性が高いか、あるいは潜在的に危険な数の微生物が眼中に存在するであろうという見込みがある場合に必要とされる。
【0013】
また、治療上有効な組成物であって、組成物が投与される患者に治療利益を与えるに有効な量のロテプレドノールエタボネートなどのソフトなステロイドおよびpHを安定化させる量のトブラマイシンを含んでなる組成物であって、トブラマイシンのない類似配合体のpHに比べ組成物のpHを安定化させるに有効な量でトブラマイシンが存在する組成物も本願に提供される。
【0014】
また、コルチコステロイドが必要とされ、表在性眼球細菌感染または眼球細菌感染の危険性が存在する、眼球の炎症状態を有する患者を治療する方法であって、治療の必要がある患者に、広域アミノグリコシド抗生物質トブラマイシンを、予測可能に代謝されるステロイドであるロテプレドノールエタボネートと組み合わせて含んでなる薬剤組成物の治療量を局所適用する工程を含む方法も本願に提供される。
【0015】
本発明を手短に述べたので、以下の詳述および非限定的な実施例を参照して本発明を詳細に説明する。特に断りのない限り、パーセンテージは全て質量により、温度は全て摂氏である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
眼科または耳鼻咽喉科用のLEの治療懸濁液は無菌調製により作られる。本発明の懸濁液に使用する全ての物質の純度レベルは98%を超えている。本発明の懸濁液は、ソフトなステロイド(成分(A))、アミノグリコシド(成分(B))、懸濁剤(成分(C))および界面活性剤(成分(D))を完全に混合して調製される。任意に、等張化剤(成分(E))および防腐剤(成分(F))を加えてもよい。
【0017】
成分(A)のステロイド、好ましくはソフトなステロイド、最も好ましくはLEを使用できる。ベクロメタゾン、ベタメタゾン、フルオシノロン、フルオロメトロン、エクセドニソロン(exednisolone)などの他のステロイドを使用してもよい。本発明の成分(A)の懸濁液は、平均径で、約0.1−30μ、好ましくは約1−20μ、最も好ましくは約2−10ミクロンの粒径を有する。このサイズ範囲のLEは、Sipsy Co.,(フランス国、アブリル)などの業者から市販されている。
【0018】
アミノグリコシド成分(B)は薬剤グレードである。アミノグリコシドはよく特徴づけられている族の抗菌剤であり、例えば、ゲンタマイシン、ネオマイシン、パロモマイシン、カナマイシン、トブラマイシン、ネチルマイシンおよびアミカシンがある。このグレードのトブラマイシンはBiogal Pharmaceutical Works(ハンガリー国、デブレツェン)などの業者から市販されている。成分(B)は、成分(B)のない類似組成物のpHに比べ組成物のpHを安定化させるに有効な量で存在することが好ましい。したがって、成分(B)の量は、個別の組成物により変わることがある。特定の組成物にとってpHを安定化させるアミノグリコシドの量は、慣例の実験により容易に決定でき、当業者の範囲内にある。
【0019】
成分(C)の非イオン性ポリマーは、どのような非イオン性水溶性ポリマーでもよい。
PVP、PVA、HPMCまたはデキストランなどの典型的な化合物は、約0.01−2%、好ましくは約0.4と1.5%の間、より好ましくは0.4と1%の間の濃度で使用できる。単純な水溶液の粘度より高い粘度が、活性化合物の眼球吸収を高め、配合体供給の際の変動性を低下させ、配合体の懸濁液またはエマルションの成分の物理的分離を低減し、かつ/または眼科用配合体を他の点で改善するために望ましいであろう。そのような粘度上昇剤には、例として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたは当業者に公知の他の薬剤がある。最終製品中の懸濁剤としてポビドンの使用が好ましく、水溶性グレードは粘度上昇剤として医薬品に日常的に使用されている。水溶性グレードのポビドンの水溶液の粘度は平均分子量による。グレードおよび懸濁剤の濃度のわずかな変化が、望ましい特性を生み出すことがある。ポビドンは種々のグレードで提供されていて、そのうちいくつかが水溶性である。ポビドンK−90は最も高分子量の水溶性粘度グレードのポビドンである。この物質は、Povidone、USP90,000として記録されている。この高分子グレードポビドンは、低分子量グレードよりはるかに溶解が遅い。
【0020】
成分(D)は眼科または耳鼻咽喉科用に許容できる界面活性剤である。好ましくは、この界面活性剤は非イオン性である。有用な界面活性剤には、ポリソルベート80、チロキサポール、TWEEN 80(デラウェア州、ウィルミントン、ICI America Inc.,)、PLURONIC F−68(ドイツ国、ルートヴィヒスハーフェン、BASF製)およびポロキサマー界面活性剤があるが、これらに限定されない。これらの界面活性剤は、ヒドロキシル基を含む有機化合物の非イオン性アルカリ酸化物縮合物である。界面活性剤の使用可能な濃度は、付随する防腐剤に対する殺菌効果の中和により、または刺激を起こす濃度のみにより限定される。好ましくは、成分(D)の濃度は、懸濁液の質量に対し約0.05から1%であり、より好ましくは0.1から0.6質量%である。(A):(C):(D)のモル比が約1:20:1と約1:0.01:0.5の間である本発明の組成物が全部好適である。
【0021】
成分(E)の等張化剤は、等張を達成するに十分な量の非イオン性ジオールでよく、好ましくはグリセロールである。非イオン性等張化剤は、約2から2.8質量%、好ましくは約2.2から2.6%の量で存在してよい。
【0022】
成分(C)の非イオン性ポリマー化合物および成分(D)の界面活性剤は水に対して良好な溶解度を有し、ステロイドと相互作用するのに十分な数のヒドロキシル基を有し、懸濁液の粘度に対し穏やかな効果を有する。最終粘度は80センチポイズを超えてはならない。
【0023】
本発明の懸濁液は、緑内障の治療薬、抗炎症薬、抗ガン剤、抗真菌剤および抗ウィルス剤などの追加の治療薬を含んでもよい。緑内障治療薬の例には、チモロール系、ベタキソロール、アテノロール、レボバノロール(levobanolol)、エピネネフリン(epinenephrin)、ジピバリル(dipivalyl)、オキソノロール(oxonolol)、アセタジルミド(acetazilumide)系およびメタザロミド(methazalomide)があるが、これらに限定されない。抗炎症薬の例には、ピロキシカム、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾン、イブプロフェンおよびジクロフェナックなどの非ステロイドがあるがこれらに限定されない。
【0024】
様々な国の衛生規則では、一般的に眼科用調合薬が防腐剤を含むことを求めている。しかし、従来技術の眼科用調合薬に使用されてきた多くの公知の防腐剤は本発明の調合薬には使用できない。その理由は、それらの防腐剤がもはや眼への使用に安全であるとは思われないこと、または懸濁液中に使用される界面活性剤と相互作用し防腐剤の抗菌活性を低下させる錯体を形成するかもしれないことである。
【0025】
したがって、本発明の懸濁液に使用される成分(F)の防腐剤は、懸濁液が微生物汚染を受けるのを防腐剤が防止できないほど界面活性剤と相互作用しないように選択される。
好ましい実施形態において、塩化ベンザルコニウムが安全な防腐剤として利用でき、最も好ましくは塩化ベンザルコニウムとEDTAである。他の可能な防腐剤には、ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、チメロサール、クロロブタノールおよび塩化ベンゼトニウムがあるが、これらに限定されない。典型的には、それらの防腐剤は、0.001%から1.0質量%の濃度で使用される。好ましくは、懸濁液に標準的な抗菌活性を付与し成分(A)−(E)の酸化から守る防腐剤(または防腐剤の組み合わせ)が使用される。
【0026】
局所投与用の組成物を形成する際に、4.5から8.0のpHで0.01から2質量%の水溶液として、混合物を配合することが好ましい(数字は、ロテプレドノールエタボネートとトブラマイシンの混合した存在に関する)。正確な処方計画は臨床医の裁量にゆだねられるが、得られる溶液が、1日2回それぞれの目に1滴おくことにより局所塗布されることが推奨される。
【0027】
LE−トブラマイシン対ロテマックス(LOTEMAX)ロテプレドノールエタボネート組成物のバイオアベイラビリティー試験は、母集団を処理する意図において、生物学的等価性が40分および60分のサンプリング期間の両方で満たされたことを示した。したがって、トブラマイシンの含有は、ロテプレドノールエタボネートの眼に対するバイオアベイラビリティーを変えていない。殺菌速度研究を実施し、0.5%/0.3%のロテプレドノールエタボネートとトブラマイシンの眼科用懸濁液と米国薬局方の0.3%トブラマイシン眼科用溶液の間の抗菌等価性(antimicrobial equivalence)を示した。利用した方法は、接種原の調製および試験微生物の負荷濃度(challenge concentration)に関して、米国薬局方抗菌有効性手順(anti−microbial effectiveness procedures)に基づいていた。22の微生物に関して両製品の抗菌活性が示された。インビトロ試験は、トブラマイシンが、単一の薬剤としてもロテプレドノールエタボネートを組み合わせても等価な抗菌活性を有することを示した。
【0028】
さらなる詳述がなくても、当業者が、上記の説明を利用して、本発明を最大限に利用できると考えられる。したがって、以下の好ましい特定の実施形態は単に説明として解釈され、開示の残りの部分をどのような方法でも限定しない。以下の実施例において温度は摂氏で述べられ、特に断りのない限り全ての部およびパーセンテージは質量による。
【実施例】
【0029】
異なるポビドン濃度および異なる種類のポビドンを有する標準的なLE−トブラマイシン組成物を比較する試験を実施した。実施例の組成物は標準的な薬剤成分も含んでいた。
実施例IIIおよびVIを対照(トブラマイシン無し)として使用し、組成物のpHに対するトブラマイシンの影響を観察した。材料を純水と混合し、室温安定性を表す28℃および加速安定性を表す40℃に保った。結果を以下の表に表す。
【0030】
LE−トブラマイシンマトリックスの安定性(異なる粘度)
28℃
【表1】

【0031】
LE−トブラマイシンマトリックスの安定性(異なる粘度)
40℃
【表2】

【0032】
上記のデータは、異なる粘度を有する種々の組成物のpH安定性試験の結果を表す。PVP−C30は分子量が約30,000のポビドンであり、PVP−K90は分子量が約90,000のポビドンである。両方とも、アメリカ合衆国のGAF Corporationから入手した。一般的に4.5と7.0の間のpHがこれらの組成物の眼科用薬剤用途に許容されると考えられる。トブラマイシンを有する本発明の組成物は、トブラマイシンを含まない類似の組成物に比べ、時間経過によるpHの低下が緩やかであり、時間経過によるpHの全体的な変化が少ないことをデータが示している。
【0033】
以下の実施例は、炎症および感染に対して必要とされる局所使用のための本発明の代表的な薬剤組成物である。
実施例1
成分(1mLあたり)
ロテプレドノールエタボネート 0.5%(5mg)
グリセリン 2.5%
ポビドン、K−90 0.6%
トブラマイシン 0.3%(3mg)
塩化ベンザルコニウム 0.01%
チロキサポール 0.05%
エデンテート二ナトリウム 0.01%
純水(100%までの必要量)
硫酸または水酸化ナトリウム(pH調整用)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科または耳鼻咽喉科用の抗炎症用途のための組成物であって:
(A)直径で0.1〜30μmの粒径を有する約0.2〜2質量%の量のロテプレドノールエタボネート;
(B)トブラマイシンのない類似組成物のpHに比べ組成物のpHを安定化させるに有効な量のトブラマイシン;
(C)水性媒体中の非イオン性ポリマー;および
(D)懸濁液中にコルチコステロイドを保持するに十分な量の非イオン性界面活性剤
を含んでなり、(A):(C):(D)のモル比が約1:20:1と約1:0.01:0.5の間である組成物。
【請求項2】
(E)等張性を得るに十分な量の非イオン性等張化剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ロテプレドノールエタボネートが約0.5〜1質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
ロテプレドノールエタボネートが約15μm未満の粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
トブラマイシンが有効な抗感染量で存在する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物中の微生物形成を防止するための防腐剤を約0.01〜0.025質量%の量でさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記防腐剤が塩化ベンザルコニウムである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
エデンテート二ナトリウムをさらに含んでなる、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記非イオン性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールまたはデキストランからなる群から選択され、約0.2〜2質量%の量で存在し、前記非イオン性界面活性剤が約0.05〜1質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記非イオン性ポリマーがポリビニルピロリドンであり、約0.4〜1質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記非イオン性界面活性剤がチロキサポールであり、約0.1〜0.6質量%の量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記のソフトなステロイドとトブラマイシンに混ぜて追加の治療薬をさらに含んでなり、前記の追加治療薬が、ベタキソロール、アテノロール、レボバノロール、エピネネフリン、ジピバリル、オキソノロール、アセタジルミド系、メタザロミド、ピロキシカム、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾン、イブプロフェンおよびジクロフェナク酸からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
眼科または耳鼻咽喉科用の抗炎症および抗感染用途のための組成物であって、水性媒体中の非イオン性ポリマー、等張性を得るのに有効な量の非イオン性等張化剤、前記水性媒体中に該ポリマーおよび等張化剤を保持するに十分な量の非イオン性界面活性剤、トブラマイシンを含んでなり、直径で0.1〜30μmの粒径を有するソフトなステロイドを約0.2〜2質量%の量でさらに含んでなる組成物であって、トブラマイシンを含まない類似のロテプレドノールエタボネート配合物と生物学的等価である組成物。
【請求項14】
前記非イオン性等張化剤が非イオン性ジオールであり、約2〜2.8質量%の量で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記非イオン性ポリマーが約0.2〜2質量%の量で存在し;前記非イオン性等張化剤が約2〜2.8質量%の量で存在し;前記非イオン性界面活性剤が約0.05〜1質量%の量で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
塩化ベンザルコニウム、エデンテート二ナトリウムまたはこれらの混合物である防腐剤を約0.01〜0.025質量%の量でさらに含んでなる、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
前記非イオン性ポリマーがポリビニルピロリドンであり約0.4〜1質量%の量で存在し、前記非イオン性等張化剤がマンニトールまたはジオールであり約2〜2.8質量%の量で存在し、前記非イオン性界面活性剤がチロキサポールであり約0.1〜0.6質量%の量で存在する、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
ロテプレドノールエタボネートが約0.01〜1質量%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項19】
ロテプレドノールエタボネートが約0.05〜約0.5質量%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項20】
前記非イオン性ポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストランおよびシクロデキストリンからなる群から選択される水溶性ポリマーである、請求項2に記載の組成物。
【請求項21】
前記非イオン性ポリマーが約0.2〜2質量%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項22】
前記非イオン性ポリマーがポリビニルピロリドンであり、約0.3〜約1.75質量%の量で存在する、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
前記非イオン性界面活性剤がチロキサポールであり、約0.05〜約1質量%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項24】
前記非イオン性界面活性剤がポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートエステルである、請求項2に記載の組成物。
【請求項25】
前記非イオン性等張化剤が約1〜約7質量%の量で存在する、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
前記非イオン性等張化剤が非イオン性ポリオールであり、約1.5〜約4質量%の量で存在する、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記非イオン性等張化剤がグリセロールまたはマンニトールである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記組成物中の微生物形成を防止するための防腐剤をさらに含んでなり、約0.0001〜約0.025質量%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項29】
前記防腐剤が、塩化ベンザルコニウム、エデト酸二ナトリウムおよびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記のソフトなステロイドとトブラマイシンに混ぜて追加の治療薬をさらに含んでなり、前記の追加治療薬が、ベタキソロール、アテノロール、レボブノロール、エピネフリン、ジピバリル、オキソノロール、アセタゾラミド系、メタゾラミド、ピロキシカム、インドメタシン、ナプロキセン、フェニルブタゾン、イブプロフェンおよびジクロフェナックからなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項31】
前記非イオン性ポリマーが約0.2〜約2質量%の量で存在し;前記非イオン性等張化剤が約1〜約7質量%の量で存在し;前記非イオン性界面活性剤が約0.05〜約1質量%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項32】
前記組成物中の微生物形成を防止するための防腐剤をさらに含んでなり、約0.0001〜約0.025質量%の量で存在する請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
眼または耳鼻咽喉の炎症および感染を治療する方法であって、炎症を起こした組織に、(A)前記の眼または耳鼻咽喉の抗炎症治療のための組成物の使用時の不快を実質的に防止する、直径で約0.1〜30μmの粒径を有する0.01〜約2質量%の量のロテプレドノールエタボネート;
(B)トブラマイシンのない類似組成物のpHに比べ組成物のpHを安定化させるのに有効な量のトブラマイシン;
(C)水性媒体中の非イオン性ポリマー;および
(D)ソフトなステロイドを懸濁状態に保つに十分な量の非イオン性界面活性剤
を含んでなる組成物を適用する工程を含んでなり、前記組成物が前記炎症および感染を治療するに有効な量で適用される方法。
【請求項34】
前記非イオン性ポリマーが約0.2〜約2質量%の量で存在し;前記非イオン性等張化剤が約1〜約7質量%の量で存在し;前記非イオン性界面活性剤が約0.05〜約1質量%の量で存在し、(A):(C):(D)のモル比が約1:0.01:0.05から約1:20:1である、請求項33に記載の方法。

【公開番号】特開2012−87151(P2012−87151A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−20684(P2012−20684)
【出願日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【分割の表示】特願2006−538199(P2006−538199)の分割
【原出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】