説明

ロテプレドノールエタボネート水性懸濁液剤

沈降粒子が容易に容器から剥離し、かつ沈降粒子の容器への固着およびブロック形成が抑制された、再分散性が向上したロテプレドノールエタボネートを含有する水性懸濁液剤を提供する。さらに、水性懸濁液剤中に含有されるロテプレドノールエタボネートの再分散性を向上させる方法を提供する。
ロテプレドノールエタボネートと、ソルビン酸またはその塩ならびにパラオキシ安息香酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種に、さらに非イオン性界面活性剤を含有してなるロテプレドノールエタボネート含有水性懸濁液剤を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロテプレドノールエタボネートと、ソルビン酸またはその塩ならびにパラオキシ安息香酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含有してなる水性懸濁液剤、および、水性懸濁液剤中に含有されるロテプレドノールエタボネートの再分散性を向上させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロテプレドノールエタボネート(以下、LEと記載することがある。)は抗炎症作用を有するステロイド剤である。LEは水に難溶性の結晶性物質であるため、水性液剤とするには懸濁液剤の形態をとることになる。
【0003】
水性懸濁液剤は、長期間保存により、薬物粒子が凝集したり、容器の壁面などに付着または吸着したり、沈降粒子の二次粒子形成(ブロック形成)などにより再分散が困難となる。
【0004】
そこで、再分散性を改善した水性懸濁液剤として、液剤の表面張力が低下をはじめる濃度から表面張力の低下が停止する濃度範囲内の水溶性高分子と難溶性薬物を含有する水性懸濁液剤(特許文献1参照)、イオン性高分子および金属イオンを配合し粘度を100cP以下とする難溶性薬物の水性懸濁型点眼剤(特許文献2参照)、難溶性薬物、ポリビニルピロリドンおよび水可溶アニオン性高分子を含有する水性懸濁液剤(特許文献3参照)、懸濁化剤としてD−マンニトール、D−ソルビトール、キシリトール、プロピレングリコールおよびクエン酸塩、およびそれらの混合物からなる群から選ばれる懸濁化剤を含む難溶性薬物の水性懸濁点眼剤(特許文献4参照)等が報告されている。
【0005】
一方、LE含有水性懸濁液剤としては、LE、非イオン性高分子、非イオン性界面活性剤および非イオン性等張化剤を含有する組成物(特許文献5参照)、LEおよび炭素数2〜7の脂肪族アミノ酸を含有する水性懸濁液剤(特許文献6参照)、LEおよび結晶セルロース・カルメロースナトリウムを含有する点鼻用水性懸濁液(特許文献7参照)等が報告されている。
【0006】
【特許文献1】特開平11−29463号公報
【特許文献2】特開平8−295622号公報
【特許文献3】国際公開第02/15878号パンフレット
【特許文献4】特開平10−36253号公報
【特許文献5】米国特許第5540930号明細書
【特許文献6】特開平10−316572号公報
【特許文献7】特開平10−259132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、LEと、ソルビン酸またはその塩ならびにパラオキシ安息香酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含有してなる水性懸濁液剤を提供する。本発明は、さらに、水性懸濁液剤中に含有されるLEの再分散性を向上させる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、LEを含有する水性懸濁液剤にソルビン酸またはその塩ならびにパラオキシ安息香酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を配合することにより、沈降したLE粒子の容器への固着およびブロック形成が抑制され、再分散性が向上することを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進めて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、
(1)ロテプレドノールエタボネートと、ソルビン酸またはその塩ならびにパラオキシ安息香酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含有してなる水性懸濁液剤、
(2)さらに非イオン性界面活性剤を含有する上記(1)記載の水性懸濁液剤、
(3)点眼剤である上記(1)または(2)記載の水性懸濁液剤、
(4)点鼻剤である上記(1)または(2)記載の水性懸濁液剤、
(5)点耳剤である上記(1)または(2)記載の水性懸濁液剤、および
(6)ロテプレドノールエタボネートを含有する水性懸濁液剤に、ソルビン酸またはその塩ならびにパラオキシ安息香酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、ロテプレドノールエタボネートの再分散性を向上させる方法に関するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、LEを含有する水性懸濁液剤に、ソルビン酸またはその塩ならびにパラオキシ安息香酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を配合することにより、沈降したLE粒子の容器への固着およびブロック形成が抑制され、再分散性が向上したLE含有水性懸濁液剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の水性懸濁液剤中のLE濃度は、炎症の治療上効果のある濃度であればよく、下限濃度が通常約0.01w/v%、好ましくは約0.05w/v%、さらに好ましくは約0.1w/v%で、上限濃度が通常約2.0w/v%、好ましくは約1.5w/v%、さらに好ましくは約1.0w/v%である。
【0012】
本発明で使用されるソルビン酸またはその塩としては、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウムなどが挙げられる。好ましくはソルビン酸カリウムである。本発明の水性懸濁液剤中のソルビン酸またはその塩の濃度は特に限定するものではないが、下限が通常約0.001w/v%、好ましくは約0.005w/v%で、上限が通常約5.0w/v%、好ましくは約1.0w/v%である。
【0013】
本発明で使用されるパラオキシ安息香酸エステルとしては、低級アルキル基でエステル化されたものが好ましく、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸イソブチルなどが挙げられる。本発明の水性懸濁液剤中のパラオキシ安息香酸エステルの濃度は特に限定するものではないが、下限が通常約0.001w/v%、好ましくは約0.01w/v%で、上限が通常約1.0w/v%、好ましくは約0.1w/v%である。
【0014】
上記ソルビン酸またはその塩ならびにパラオキシ安息香酸エステルは単独で使用してもよく、また、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0015】
本発明の水性懸濁液剤を製造するためには、非イオン性界面活性剤が用いられる。使用される非イオン性界面活性剤としては、チロキサポール、ポリソルベート80、ポリプロピレングリコール・エチレンオキシドブロック重合体などが挙げられる。好ましくはチロキサポールである。本発明の水性懸濁液剤中の非イオン性界面活性剤の濃度は特に限定するものではないが、下限が通常約0.01w/v%、好ましくは約0.05w/v%で、上限が通常約5.0w/v%、好ましくは約1.0w/v%である。
【0016】
本発明の水性懸濁液剤には、例えば等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、プロピレングリコール、ホウ酸など)、緩衝剤(リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸、ε−アミノカプロン酸、酢酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂など)、保存剤(クロロブタノール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ホウ酸、ホウ砂など)、水溶性高分子(ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなど)、安定化剤(亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ホウ酸、ホウ砂など)、pH調整剤(塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸など)、清涼化剤(カンフル、メントールなど)などを適宜添加してもよい。
【0017】
これら添加剤の添加量は、添加する添加剤の種類、用途などによって異なるが、添加剤の目的を達成し得る濃度を添加すればよく、例えば、等張化剤は、通常、浸透圧が約229〜約343mOsmとなるよう、約0.5〜約5.0w/v%程度添加する。また、緩衝剤は約0.01〜約2.0w/v%程度、水溶性高分子は約0.0001〜約2.0w/v%程度、安定化剤は約0.001〜約1.0w/v%程度添加する。pH調整剤は適宜添加し、pHが通常約4.0〜約9.0、好ましくは約5.0〜約8.0に調整される。保存剤は、約0.001〜約3.0w/v%程度添加する。
【0018】
また、本発明の水性懸濁液剤には、本発明の目的に反しない限り、LE以外の医薬成分、例えば緑内障治療剤、ステロイド性または非ステロイド性抗炎症剤、抗菌剤、血管収縮剤、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、抗ウイルス剤などを配合して製剤してもよい。
【0019】
本発明の水性懸濁液剤は、再分散性が優れているため、医薬(例えば、アレルギー、炎症の予防・治療剤)、動物薬などとして、ヒトおよびヒト以外の哺乳動物(例、ラット、マウス、モルモット、サル、イヌ、ウシ、ブタなど)に用いられる。また、本発明の水性懸濁液剤は、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、注射剤、内服液剤、リニメント剤およびローション剤などとして好適に利用できるが、特に点眼剤、点鼻剤および点耳剤が好ましい。例えば、本発明の水性懸濁液剤を結膜炎、眼瞼炎、角膜炎、強膜炎、虹彩炎、虹彩毛様体炎、ぶどう膜炎、術後炎症、アレルギー性結膜炎、トラコーマなどの眼における各種炎症に対し、LEを0.5w/v%含有する点眼剤として成人に用いる場合、1回1〜2滴、1日3〜5回点眼すればよい。
【0020】
本発明の水性懸濁液剤は、自体公知の調製法、例えば、第14改正日本薬局方、製剤総則の液剤、懸濁剤あるいは点眼剤に記載された方法で製造することができる。
【実施例】
【0021】
以下に、実施例および試験例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは単なる例示であり、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0022】
[試験例1]再分散性試験
(試験方法)
下記表1に示すLE含有水性懸濁液を常法に従って調製し、5mLずつポリプロピレン(PP)容器に充填した(n=4)。正立状態で4℃、1週間保存し、LE粒子を沈降させた。その後、容器を反転し、40℃、75%RH条件下で1週間保存し、LEを容器に付着させた。4℃、1週間および40℃、1週間保存した後、容器を20回振盪し、容器への固着物および沈降物剥離後の凝集物(ブロック)の有無を目視で観察した。また、正立状態で4℃、2週間保存したLE含有水性懸濁液について、沈降物が容器から剥離するのに要した振盪回数を測定した。
【0023】
【表1】

【0024】
(試験結果)
試験結果を下記表2に示した。
【0025】
【表2】

【0026】
上記試験結果が示すように、ソルビン酸カリウムを含まないLE含有水性懸濁液(S-0)は、LE沈降粒子の容器への固着およびブロックが観察された。これに対し、ソルビン酸カリウムを含有するLE含有水性懸濁液(S-1, S-2, S-3)は、沈降したLE粒子の容器への固着および剥離後のブロックの出現頻度が低下した。また、4℃、2週間保存後のソルビン酸カリウムを含有するLE含有水性懸濁液(S-1, S-2, S-3)では、沈降物が容器から剥離するのに要する振盪回数が減少した。
この結果は、LEを含有する水性懸濁液にソルビン酸塩を配合することにより、沈降したLE粒子の容器への固着および剥離後のブロック形成が抑制され、かつ沈降したLE粒子が容易に容器から剥離し、再分散性が向上したことを示す。
【0027】
[試験例2]再分散性試験
(試験方法)
下記表3に示すLE含有水性懸濁液を常法に従って調製し、5mLずつポリプロピレン(PP)容器に充填した(n=8)。正立状態で4℃、1週間保存し、LE粒子を沈降させた。その後、容器を反転し、40℃、75%RH条件下で1週間保存し、LEを容器底面に付着させた。4℃、1週間および40℃、1週間保存した後、容器を振盪し、沈降物が容器から剥離するのに要した振盪回数を測定した。
【0028】
【表3】

【0029】
(試験結果)
試験結果を下記表4に示した。
【0030】
【表4】

【0031】
上記試験結果が示すように、沈降物が容器から剥離するのに要した振盪回数は、ソルビン酸カリウムおよびパラオキシ安息香酸エステルを含まないLE含有水性懸濁液(P-0)は19回であったのに対し、ソルビン酸カリウムを含有するLE含有水性懸濁液(P-1)では13回、パラオキシ安息香酸エステルを含有するLE含有水性懸濁液(P-2)では5回と減少した。
この結果は、LEを含有する水性懸濁液にソルビン酸塩またはパラオキシ安息香酸エステルを配合することにより、沈降したLE粒子が容易に容器から剥離し、再分散性が向上したことを示す。
【0032】
[製剤実施例1]水性懸濁点眼剤
ロテプレドノールエタボネート 0.5g
ソルビン酸カリウム 0.2g
チロキサポール 0.2g
ε−アミノカプロン酸 0.2g
塩化ナトリウム 0.75g
エデト酸ナトリウム 0.01g
塩化ベンザルコニウム 0.005g
塩酸 適量
滅菌精製水 全量100mL
pH 5.5
上記処方に従い、滅菌精製水約80mLにソルビン酸カリウム、チロキサポール、ε−アミノカプロン酸、塩化ナトリウム、エデト酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを加えて溶解した。ロテプレドノールエタボネートを加え、ホモジナイザーにより均一に懸濁させ、塩酸を加えてpHを5.5に調整した。滅菌精製水を加えて全量を100mLとし、ロテプレドノールエタボネート含有水性懸濁点眼剤を調製した。
【0033】
[製剤実施例2]水性懸濁点眼剤
ロテプレドノールエタボネート 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.026g
パラオキシ安息香酸プロピル 0.014g
チロキサポール 0.2g
ε−アミノカプロン酸 0.2g
濃グリセリン 2.6g
エデト酸ナトリウム 0.01g
塩酸 適量
滅菌精製水 全量100mL
pH 5.5
上記処方に従い、滅菌精製水約80mLにパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、チロキサポール、ε−アミノカプロン酸、濃グリセリンおよびエデト酸ナトリウムを加えて溶解した。ロテプレドノールエタボネートを加え、ホモジナイザーにより均一に懸濁させ、塩酸を加えてpHを5.5に調整した。滅菌精製水を加えて全量を100mLとし、ロテプレドノールエタボネート含有水性懸濁点眼剤を調製した。
【0034】
[製剤実施例3]水性懸濁点眼剤
ロテプレドノールエタボネート 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.026g
パラオキシ安息香酸プロピル 0.014g
チロキサポール 0.3g
クロロブタノール 0.3g
ε−アミノカプロン酸 0.2g
濃グリセリン 2.6g
ポリビニルピロリドンK−30 0.6g
エデト酸ナトリウム 0.01g
塩酸 適量
滅菌精製水 全量100mL
pH 5.5
上記処方に従い、滅菌精製水約80mLにパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、チロキサポール、クロロブタノール、ε−アミノカプロン酸、濃グリセリン、ポリビニルピロリドンK−30およびエデト酸ナトリウムを加えて溶解した。ロテプレドノールエタボネートを加え、ホモジナイザーにより均一に懸濁させ、塩酸を加えてpHを5.5に調整した。滅菌精製水を加えて全量を100mLとし、ロテプレドノールエタボネート含有水性懸濁点眼剤を調製した。
【0035】
[製剤実施例4]水性懸濁点眼剤
ロテプレドノールエタボネート 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.026g
パラオキシ安息香酸プロピル 0.014g
チロキサポール 0.3g
クロロブタノール 0.3g
ε−アミノカプロン酸 0.1g
濃グリセリン 2.6g
エデト酸ナトリウム 0.01g
塩酸 適量
滅菌精製水 全量100mL
pH 5.5
上記処方に従い、滅菌精製水約80mLにパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、チロキサポール、クロロブタノール、ε−アミノカプロン酸、濃グリセリンおよびエデト酸ナトリウムを加えて溶解した。ロテプレドノールエタボネートを加え、ホモジナイザーにより均一に懸濁させ、塩酸を加えてpHを5.5に調整した。滅菌精製水を加えて全量を100mLとし、ロテプレドノールエタボネート含有水性懸濁点眼剤を調製した。
【0036】
[製剤実施例5]水性懸濁点鼻剤
ロテプレドノールエタボネート 0.5g
ソルビン酸カリウム 0.2g
チロキサポール 0.2g
ε−アミノカプロン酸 0.2g
ホウ酸 1.5g
エデト酸ナトリウム 0.01g
塩化ベンザルコニウム 0.005g
塩酸 適量
滅菌精製水 全量100mL
pH 5.5
上記処方に従い、滅菌精製水約80mLにソルビン酸カリウム、チロキサポール、ε−アミノカプロン酸、ホウ酸、エデト酸ナトリウムおよび塩化ベンザルコニウムを加えて溶解した。ロテプレドノールエタボネートを加え、ホモジナイザーにより均一に懸濁させ、塩酸を加えてpHを5.5に調整した。滅菌精製水を加えて全量を100mLとし、ロテプレドノールエタボネート含有水性懸濁点鼻剤を調製した。
【0037】
[製剤実施例6]水性懸濁点耳剤
ロテプレドノールエタボネート 0.5g
パラオキシ安息香酸メチル 0.026g
パラオキシ安息香酸プロピル 0.014g
チロキサポール 0.3g
クロロブタノール 0.3g
ε−アミノカプロン酸 0.2g
濃グリセリン 2.6g
エデト酸ナトリウム 0.01g
塩酸 適量
滅菌精製水 全量100mL
pH 5.5
上記処方に従い、滅菌精製水約80mLにパラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、チロキサポール、クロロブタノール、ε−アミノカプロン酸、濃グリセリンおよびエデト酸ナトリウムを加えて溶解した。ロテプレドノールエタボネートを加え、ホモジナイザーにより均一に懸濁させ、塩酸を加えてpHを5.5に調整した。滅菌精製水を加えて全量を100mLとし、ロテプレドノールエタボネート含有水性懸濁点耳剤を調製した。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明により、ロテプレドノールエタボネートを含有する水性懸濁液剤に、ソルビン酸またはその塩ならびにパラオキシ安息香酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を配合することにより、沈降したLE粒子の容器への固着およびブロック形成が抑制され、再分散性が向上したロテプレドノールエタボネート含有水性懸濁液剤を提供することができる。本発明の水性懸濁液剤は、再分散性が良好であるので、優れた点眼剤、点鼻剤および点耳剤として利用できる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロテプレドノールエタボネートと、ソルビン酸またはその塩ならびにパラオキシ安息香酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を含有してなる水性懸濁液剤。
【請求項2】
さらに非イオン性界面活性剤を含有する請求項1記載の水性懸濁液剤。
【請求項3】
点眼剤である請求項1または2記載の水性懸濁液剤。
【請求項4】
点鼻剤である請求項1または2記載の水性懸濁液剤。
【請求項5】
点耳剤である請求項1または2記載の水性懸濁液剤。
【請求項6】
ロテプレドノールエタボネートを含有する水性懸濁液剤に、ソルビン酸またはその塩ならびにパラオキシ安息香酸エステルからなる群より選択される少なくとも1種を配合することを特徴とする、ロテプレドノールエタボネートの再分散性を向上させる方法。



【国際公開番号】WO2005/053708
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【発行日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515924(P2005−515924)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017762
【国際出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000199175)千寿製薬株式会社 (46)
【Fターム(参考)】