説明

ロフト付き建物

【課題】棟を挟んで配置されている全ての部屋の温度上昇やロフトの温度上昇を抑制しながら換気を行うことが可能となるロフト付き建物を提供する。
【解決手段】ロフト15は、棟16aの両端側にそれぞれ位置する外壁の間に亙って設けられ、棟側に向けて斜め上方に傾斜する勾配天井10a,12aを有する複数の部屋10,12が平面視において棟16aを挟んで配置され、ロフト15の側部と部屋10,12の上部とが連通しており、屋根16に天窓27aが設けられ、この天窓27aとロフト15の天井15aとの間に空洞部30aが設けられているので、部屋10,12の温度上昇やロフト15の温度上昇を抑制しながら換気を行うことが可能となり、全ての部屋10,12やロフト15の快適性が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロフト付き建物に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の屋根裏にロフトが設けられたロフト付き建物の一例として、特許文献1に記載されたものが知られている。
このロフト付き建物においては、屋根裏に連通する部屋の上部に、屋根裏に位置するロフトが設けられており、このロフトを形成する床部の長さ方向両端が、前記部屋を囲む壁にそれぞれ固定されており、ロフトの側部と部屋の上方とは連通している。
一方、前記部屋には、ロフト近傍の屋根に天窓が設けられており、部屋の空気をロフトを通して天窓へ向かって流通させるようになっている。これによって、ロフトの温度上昇や部屋の温度上昇を抑制しながら換気を行うことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−68198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来のロフト付き建物では、屋根裏に連通する一つの部屋の上部にロフトが屋根の棟の下方に設けられているので、ロフトの温度上昇やこの部屋の温度上昇を抑制しながら換気を行うことが可能となる。
しかし、ロフトはある一つの部屋にのみ設けられており、他の部屋には設けられていないので、他の部屋は屋根裏やロフトに連通していないことになる。したがって、棟を挟んで配置されている部屋のうち、ロフトがない部屋の空気を、ロフトを通して天窓へ向かって流通させることができないので、棟を挟んで配置されている全ての部屋の温度上昇を抑制しながら換気を行うことができなかった。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、棟を挟んで配置されている全ての部屋の温度上昇やロフトの温度上昇を抑制しながら換気を行うことが可能となるロフト付き建物を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、例えば図1〜図8に示すように、建物の屋根裏にロフト15が設けられたロフト付き建物において、
前記ロフト15は、屋根16の棟16aの下方において、当該棟16aに沿ってかつ前記棟16aの両端側にそれぞれ位置する外壁20a,20bの間に亙って設けられ、
前記ロフト15側に向けて斜め上方に傾斜する勾配天井10a,11a,12aを有する複数の部屋10,11,12が平面視において前記棟16aを挟んで配置され、
前記ロフト15の側部と前記部屋10,11,12の上部とが連通しており、
前記屋根16に天窓27aが設けられ、この天窓27aと前記ロフト15の天井15aとの間に、前記天窓27aと前記ロフト15に連通する空洞部30aが設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、屋根16の棟16aを挟んで配置されている勾配天井10a,11a,12aを有する複数の部屋10,11,12の空気は、勾配天井10a,11a,12aに沿って流れてロフト15に入り、このロフト15中を流れてロフト15の天井15aから空洞部30aを流通して天窓27aから外部に流出する。
したがって、屋根16の棟16aを挟んで配置されている全て部屋10,11,12やロフト15に空気の流れが生じるので、全ての部屋10,11,12の温度上昇やロフト15の温度上昇を抑制しながら換気を行うことが可能となり、全ての部屋10,11,12やロフト15の快適性が向上する。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図4〜図8に示すように、請求項1に記載のロフト付き建物において、
前記ロフト15の側部には、当該ロフト15の天井15aまで達する壁21a,21bが設けられており、
この壁21a,21bに、前記部屋10,11,12の上部に開口する開口部22a,22b,22cが複数設けられ、当該開口部22a,22b,22cによって前記ロフト15の側部と前記部屋10,11,12の上部とが連通していることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、ロフト15の側部にロフト15の天井15aまで達する壁21a,21bが設けられているので、この壁21a,21bに沿って収納物を収納したり、この壁21a,21bに収納棚を設けて、この収納棚に収納物を収納できる。
また、前記壁21a,21bに前記部屋10,11,12の上部に開口する開口部22a,22b,22cが複数設けられているので、これら開口部22a,22b,22cを通して、屋根16の棟16aを挟んで配置されている全て部屋10,11,12やロフト15に空気の流れが生じる。したがって、ロフト15の側部に壁21a,21bを設けてもロフト15の温度上昇や全ての部屋10,11,12の温度上昇を抑制しながら換気を行うことが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図4〜図8に示すように、請求項2に記載のロフト付き建物において、
前記複数の開口部22a,22b,22cのうち、少なくとも一つの前記開口部22cは、当該開口部22cによって前記ロフト15と連通する前記部屋10の半分以上の幅でかつ前記ロフト15の床から天井15aまでの高さを有する大開口部22cとなっており、
残りの前記開口部22a,22bは前記壁21a,21bの下端部に設けられ、当該開口部22a,22bにガラリ23,23が取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、大開口部22cによってロフト15に連通する部屋10から大開口部22cを通してロフト15に採光できるので、夜等においても、部屋10の照明によってロフト15を明るく照らすことができる。
また、他の開口部22a,22bによってロフト15に連通する部屋11,12からの空気はロフト15の壁21a,21bの下端部の開口部22a,22bからガラリ23,23を通してロフト15に流入するので、これら流入する空気と前記大開口部22cから流入する空気とでロフト15全体を換気できる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図4および図7に示すように、請求項3に記載のロフト付き建物において、
前記大開口部22cには、透明な板材24が設けられており、この板材24と前記大開口部22cの上縁部との間に隙間25が設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、大開口部22cに透明な板材24が設けられているので、ロフト15に収納されている収納物が大開口部22cから落下するのを防止できるとともに、板材24と大開口部22cの上縁部との間に設けられた隙間25によって空気の流れも確保できる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図2、図3、図5〜図8に示すように、請求項1〜4のいずれか一項に記載のロフト付き建物において、
平面視において前記棟16aを挟んで配置されている前記部屋11,12の間に階段ホール13が設けられ、この階段ホール13と前記ロフト15の床との間に階段31bが設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、ロフト15に階段31bを使用して容易に出入りできる。また、階段31bの階段室31を通して階段ホール13の空気がロフト15に流入するので、これら流入する空気と前記開口部22a,22b,22cから流入する空気とでロフト全体を換気できる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、例えば図9に示すように、建物の屋根裏にロフト40が設けられたロフト付き建物において、
前記ロフト40は、屋根60の棟60aの下方において、当該棟60aに沿って設けられており、
前記ロフト40に隣接して、上下方向に沿って空気を流通させる風洞部41が設けられ、
前記風洞部41の下方に部屋42または通路43が配置され、
前記ロフト40の側部と前記風洞部41の上部とが連通しており、
前記風洞部41の天井41aは、前記ロフト40の天井40aに対して段差なく連続し、かつ前記ロフト40側に向けて斜め上方に傾斜しており、
前記ロフト40の天井40aに換気扇44aが収容された収容部44が設けられるとともに、前記屋根60の軒天井60dまたは最上階の外壁45上部に排気口46が設けられ、
前記収容部44と前記排気口46とがダクト47によって接続されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、風洞部41の空気は、該風洞部41の天井41aに沿って流れてロフト40に入り、換気扇44aからダクトを介して排気口46へと流通し、該排気口46から外部へと排出される。
したがって、風洞部41の下方の部屋42または通路43に空気の流れが生じるので、部屋42または通路43の温度上昇やロフトの温度上昇を抑制しながら換気を行うことが可能となり、部屋42または通路43の快適性が向上する。
また、屋根60の軒天井60dまたは最上階の外壁45上部に排気口46が設けられることにより、例えば棟60aや屋根60の屋根面に排気口46が設けられる場合に比して、防水処理等にかかる手間を省略できる。
また、風洞部に対して所謂煙突効果が発揮されれば空気の流れをより促進できるので、部屋42または通路43の快適性の更なる向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、屋根の棟を挟んで配置されている全て部屋やロフトに空気の流れが生じるので、全ての部屋の温度上昇やロフトの温度上昇を抑制しながら換気を行うことが可能となり、全ての部屋やロフトの快適性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るロフト付き建物の一例を示すもので、建物の1階の平面図である。
【図2】同、建物の2階の平面図である。
【図3】同、建物の屋根裏の平面図である。
【図4】同、建物の側断面図である。
【図5】同、建物の正断面図である。
【図6】同、図3におけるA−A線断面図である。
【図7】同、図3におけるB−B線断面図である。
【図8】同、図3におけるC−C線断面図である。
【図9】本発明に係るロフト付き建物の他の一例を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明に係るロフト付き建物の実施の形態について説明する。
本発明に係るロフト付き建物は、壁や床、屋根といった建物の構成要素を予め工場にてパネル化しておき、施工現場でこれらのパネルを組み立てるという周知のパネル工法によって構築されている。
【0021】
<第1実施形態>
本実施の形態のロフト付き建物は、2階建ての住宅であり、図1は1階の平面図、図2は2階の平面図、図3は屋根裏の平面図を示している。
図1に示すように、1階にはその南側にリビングダイニング1が設けられ、北西の角部に玄関2が設けられている。玄関2とリビングダイニング1との間には階段室3が設けられており、この階段室3に1階から2階に至る階段3aが設けられている。北東の角部には浴室4と洗面所5が設けられており、浴室4と玄関2との間に部屋6が設けられている。なお、玄関2の玄関ホール2aに隣接してトイレ7が設けられている。
【0022】
図2に示すように、2階にはその南側に部屋10,11が東西に隣接して設けられており、北側に部屋12が設けられている。部屋10の南側の外壁には掃き出し窓10bが設けられ、この掃き出し窓10bの外側にバルコニーが設けられている。また、部屋11の南側の外壁には窓11bが設けられている。さらに、部屋12の北側の外壁には窓12b,12bが左右に離間して設けられている。また、部屋12の東側の外壁には窓12cが設けられている。
部屋11,12間には平面視において前記階段室3が配置されており、この階段室3の西側の外壁には窓3bが設けられている。
平面視において屋根16の棟16aを挟んで配置されている部屋11と部屋12との間には階段ホール13が前記階段室3に隣接して設けられており、この階段ホール13に1階から2階に至る階段3aが接続されている。また、部屋10は前記階段ホール13の東側の部分を含んでおり、この部屋10の北東の角部にトイレ14が設けられている。
【0023】
図3および図4に示すように、屋根16は切妻屋根であり、屋根裏にはロフト15が東西に延在して設けられている。このロフト15は、屋根16の棟16aの下方において、当該棟16aに沿ってかつ棟16aの両端側にそれぞれ位置する外壁20a,20b間に亙って設けられている。棟16aは平面視において、建物の南北方向における中央より北側にずれており、このため、図4に示すように、屋根16の北側(左側)の軒16bが南側(右側)の軒16cより高くなっている。そして、前記ロフト15の床面は北側の軒16bとほぼ等しい高さに位置している。このように、棟16aの位置がずれていることによって、ロフト15を高い位置に設けることができる。
前記部屋10,11と部屋12とは棟16aを挟んで配置されており、部屋10の天井は、図4に示すように、ロフト15の天井15a側に向けて斜め上方に傾斜する勾配天井10aとなっている。この勾配天井10aの上端はロフト15の水平な天井15aと接続されている。
【0024】
また、前記部屋12の天井は、ロフト15の床側に向けて斜め上方に傾斜する勾配天井12aとなっており、この勾配天井12aはロフト15の側部に設けられた壁21aの下端部にロフト15の床より上方位置で接続されている。この壁21aは部屋10,12との間にある壁の直上に設けられている。
さらに、部屋11の天井は、図8に示すように、ロフト15の床側に向けて斜め上方に傾斜する勾配天井11aとなっており、この勾配天井11aはロフト15の側部に設けられた、前記壁21aと対向する壁21bの下端部にロフト15の床より上方位置で接続されている。
勾配天井10a,12aは傾斜方向が互いに反対となっており、勾配は、勾配天井10aが勾配天井12aより大きくなっている。また、勾配天井11aは、勾配天井12aと傾斜方向が互いに反対となっているが、勾配は勾配天井12aと等しくなっている。
【0025】
ロフト15の側部に設けられている前記壁21a,21bはロフト15の天井15aまで達しており、この壁21a,21bには複数の開口部22a,22b,22cが形成されている。
すなわち、図5および図6に示すように、壁21aの下端部には、ロフト15の長手方向略中央部において、横長の長方形状の開口部22a,22aが左右に離間して形成されている。この開口部22a,22aは、図3に示すように、部屋12に開口しており、開口部22a,22aにはそれぞれガラリ23が設けられている。この開口部22a,22aによってロフト15の一方の側部と部屋12の上部とが連通している。また、ガラリ23は開閉可能となっており、ロフト15側や部屋12側から開閉操作できるようになっている。
また、壁21bには、図7に示すように、開口部22bと開口部22cが左右に離間して設けられている。
開口部22bは壁21bの下端部に形成されており、前記開口部22aと同様に、横長の長方形状となっている。開口部22bは、図3に示すように、部屋11に開口しており、この開口部22bにはガラリ23が設けられている。この開口部22bによってロフト15の他方の側部と部屋11の上部とが連通している。また、ガラリ23は開閉可能となっており、ロフト15側や部屋11側から開閉操作できるようになっている。
【0026】
図3および図7に示すように、開口部22cは、部屋10の幅の約3/4の幅でかつロフト15の床から天井15aまでの高さを有する大開口部22cとなっている。この大開口部22cには、透明な板材であるガラス板24が設けられている。ガラス板24の左右の側縁部と下縁部とはそれぞれ前記大開口部22cの左右縁部と下縁部とに固定されており、ガラス板24の上縁部と大開口部22cの上縁部との間には隙間25が設けられている。大開口部22cは、図3および図4に示すように、部屋10の上部に面しており、隙間25によってロフト15の他方の側部と部屋10の上部とが連通している。
【0027】
また、図4〜図7に示すように、屋根16の棟16aの近傍には、開閉可能な天窓27a,27bが設けられている。
天窓27aは、ロフト15の天井15aの上方に配置されており、この天窓27aと天井15aとの間に、天窓27aとロフト15に連通する空洞部30aが設けられている。
天窓27bは、平面視においてロフト15の端部に隣接して配置された階段室31の天井31aの上方に配置されており、この天窓27bと天井31aとの間に、天窓27bと階段室31に連通する空洞部30bが設けられている。
【0028】
前記階段室31は、図2、図3、図5に示すように、前記階段室3の上方に連続して設けられており、この階段室31に階段31bが設けられている。この階段31bは、前記階段ホール13とロフト15の床との間に設けられ、この階段31bを使用してロフト15に出入りするようになっている。なお、階段31bは直階段であり、その上端部が前記ロフト15の床の端部の側部に接続されている。
【0029】
上記のような構成のロフト付き建物では、屋根16の棟16aを挟んで配置されている部屋10,11と部屋12に、それぞれの窓10b,11b,12bから流入した空気は、それぞれの勾配天井10a,11a,12aに沿って流れて、ガラリ23や隙間25からロフト15に入り、このロフト中を流れてロフト15の天井15aから空洞部30a,30bを流通して天窓27a,27bから外部に流出する。したがって、屋根16の棟16aを挟んで配置されている全て部屋10,11,12やロフト15に空気の流れが生じるので、全ての部屋10,11,12の温度上昇やロフト15の温度上昇を抑制しながら換気を行うことが可能となり、全ての部屋10,11,12やロフト15の快適性が向上する。
【0030】
また、部屋10,11,12の天井がそれぞれ勾配天井10a,11a,12aとなっており、その最上部にそれぞれ隙間25、開口部22a,22bが設けられているので、部屋10,11,12の上部に集まる熱気が天井面を暖め輻射熱を発する前に当該熱気を隙間25、開口部22a,22bを通して排熱し、さらに、ロフト15から天窓27a,27bから外部に排熱できる。
さらに、開口部22a,22bに設けられたガラリ23を開閉することによって、冷暖房使用時の効果をコントロールすることができ、また、ガラリ23の開閉操作はロフト15側からも行えるため便利である。
【0031】
また、天窓27a,27bが棟16aの近傍に設けられているので、建物内で上に登る熱気を天窓27a,27bから効率的に排熱できる、つまり、建物全体の排熱を効率的に行うことができる。
さらに、天窓27a,27bが切妻屋根の棟16aに近い北側に設けられているので、特に南北方向に風が吹く場合、屋根直上を流れる風で天窓27a,27bの近傍が負圧になり、建物内部の排熱をより促進できる。また、棟16aを北側にずらしたことにより、屋根16の南面が北面に比して広くなり、この南面に太陽光発電モジュールをより多く設置することが可能となる。
【0032】
また、ロフト15の側部にロフト15の天井15aまで達する壁21a,21bが設けられているので、この壁21a,21bに沿って収納物を収納したり、この壁21a,21bに収納棚を設けて、この収納棚に収納物を収納できる。
さらに、壁21a,21bに部屋10,11,12の上部に開口する開口部22a,22b,22cが設けられているので、これら開口部22a,22b,22cを通して全て部屋10,11,12やロフト15に空気の流れが生じる。したがって、ロフト15の側部に壁21a,21bを設けてもロフト15の温度上昇や全ての部屋10,11,12の温度上昇を抑制しながら換気を行うことが可能となる。
【0033】
また、ロフト15に連通する部屋10から大開口部22cのガラス板24を通してロフト15に採光できるので、夜等においても、部屋10の照明によってロフト15を明るく照らすことができる。
また、ロフト15に連通する他の部屋11,12からの空気はロフト15の壁21a,21bの下端部の開口部22a,22bからガラリ23を通してロフト15に流入するので、これら流入する空気と大開口部22cから流入する空気とでロフト全体を換気できる。
【0034】
加えて、大開口部22cにガラス板24が設けられているので、ロフト15に収納されている収納物が大開口部22cから落下するのを防止できるとともに、ガラス板24と大開口部22cの上縁部との間に設けられた隙間25によって空気の流れも確保できる。
また、階段ホール13とロフト15の床との間に階段31bが設けられているので、ロフト15に階段を使用して容易に出入りできる。また、階段31bが設けられている階段室31を通して階段ホール13や窓3bから流入した空気がロフト15に流入するので、これら流入する空気と開口部22a,22b,22cから流入する空気とでロフト全体を換気できる。
【0035】
<第2実施形態>
次に、図9を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、説明の便宜上、上述した第1の実施の形態とは異なる構成部分のみについて説明する。
なお、本実施の形態においては、図9の左側が北の方角とされ、右側が南の方角とされている。
【0036】
本実施の形態のロフト付き建物は、図9に示すように、建物の屋根裏にロフト40が東西(図9において紙面と直交する方向)に延在して設けられてなる。
また、ロフト40下方の2階には複数の部屋および通路43が設けられている。該複数の部屋のうち、屋根60の棟60aを挟んで一方の側(南側)には部屋42が配置され、他方の側(北側)には前記通路43と部屋48とが配置されている。
前記部屋42の南側の外壁には掃き出し窓42bが設けられ、この掃き出し窓42bの外側にバルコニーが設けられている。前記通路43は廊下であり、東西に延在して設けられている。前記部屋48はトイレであり、扉付きの出入口48bを介して前記通路43の北側に隣接配置されている。さらに、該部屋48の北側には外壁45が設けられている。
なお、図示はしないが、2階には前記部屋42、前記通路43、前記部屋48の他にも部屋が設けられていてもよい。また、1階にも複数の部屋が設けられており、1階と2階との間には階段室が設けられているものとする。
【0037】
前記ロフト40は、切妻屋根である屋根60の棟60aの下方において、当該棟60aに沿って設けられている。また、該ロフト40は前記棟60a方向に長尺に形成されている。棟60aは平面視において、建物の南北方向における中央より北側にずれており、このため、屋根60の北側(図9の左側)の軒60bが南側(右側)の軒60cより高くなっている。なお、前記軒60b,60cには軒天井60dがそれぞれ設けられている。
そして、前記ロフト40の床面は北側の軒60bと略等しい高さに位置している。このように、棟60aの位置がずれていることによって、ロフト40を高い位置に設けることができる。
【0038】
前記ロフト40の東西方向の長さは、前記屋根60の形状に応じて長い場合もあり、短い場合もある。
例えば前記屋根60が切妻屋根である場合には、前記ロフト40は、前記屋根60の棟60aの下方において、当該棟60aに沿ってかつ前記棟60aの両端側にそれぞれ位置する外壁(例えば第一実施形態の前記外壁20a,20b)の間に亙って設けられることになり、東西方向の長さは長くなる。
また、例えば前記屋根60が寄棟屋根や方形屋根のように棟の少ない屋根の場合には、ある程度の天井高を確保した上で東西方向の長さを設定する必要があるため、東西方向の長さは比較的短くなる。
【0039】
前記部屋42の天井は、ロフト40の天井40a側に向けて斜め上方に傾斜する勾配天井42aを有する。この勾配天井42aの上端はロフト40の水平な天井40aと接続されている。
前記部屋48の天井48aは水平な天井48aとなっている。また、前記通路43の天井43aも水平となっており、前記部屋48の天井48aと前記通路43の天井43aは略等しい高さに設定されている。
【0040】
また、前記部屋42の勾配天井42aは、ロフト40の側部に設けられた壁50の上端部に接続されている。
前記壁50は前記ロフト40の床から天井40aまでの高さに設定されており、該壁50のうち前記ロフト40の延在方向の少なくとも一部に、前記部屋42の勾配天井42a上端部付近と前記ロフト40の上端部とを連通する開口部52(隙間)が形成されている。この開口部52は、前記壁50の上端部に形成されている。そして、前記開口部52には、該開口部52を開閉するガラリ54が設けられている。
すなわち、前記ロフト40の前記部屋42側(南側)の側部と前記部屋42の上部とが前記開口部52を介して連通した状態となっている。
なお、本実施の形態において前記開口部52は、前記ロフト40の長さ方向に沿って間隔をあけて複数設けられているものとする。
【0041】
そして、図9に示すように、前記ロフト40に隣接して、上下方向に沿って空気を流通させる風洞部41が設けられている。この風洞部41は、周囲に配置される壁材等によって筒状に形成された空間であり、本実施の形態においては断面積が1平方メートル以下に設定されている。
前記風洞部41の下方には前記通路43が配置されており、前記風洞部41と前記通路43との間で空気の流通が可能となっている。すなわち、前記通路43の天井43aの一部に開口部が形成され、その上方に前記風洞部41が設けられた状態となっている。
前記風洞部41の天井41aは前記ロフト40側に向けて斜め上方に傾斜した勾配天井となっている。さらに、該天井41aは前記ロフト40の天井40aに対して段差なく連続している。
【0042】
また、前記ロフト40の前記風洞部41側(北側)の側部には、該ロフト40の前記部屋42側の壁50と対向する壁51が設けられている。壁51は前記ロフト40の床から天井40aまでの高さに設定されている。そして、該壁51には前記風洞部41に面する開口部53が形成されている。該開口部53は、幅寸法が前記風洞部41の前記壁51側の一辺の長さと略等しく、高さ寸法が前記ロフト40の床から天井40aまでの高さと略等しく設定されている。
前記開口部53には手摺り55が設けられており、この手摺り55と前記開口部53の上縁部との間には隙間53aが形成されている。
すなわち、前記手摺り55は前記風洞部41に面して設けられている。該手摺り55は、前記ロフト40の床から天井40aまでの高さよりも低く設定されており、これによって、該手摺り55の上端部と前記開口部53の上縁部との間に前記隙間53aが設けられている。そして、前記ロフト40の前記風洞部41側の側部と前記風洞部41の上部とが、前記隙間53aを介して連通した状態となっている。
【0043】
なお、本実施の形態においては前記手摺り55を採用しているが、前記ロフト40の床から天井40aまでの高さよりも低く設定された壁パネルを採用してもよい。
また、前記手摺り55は、ガラス手摺りとしてもよいし、その他の透光性面材を使用した手摺りとしてもよい。いずれの種類の手摺りであっても、前記ロフト40と前記風洞部41との間で透光可能となるので好ましい。
【0044】
前記ロフト40の天井40aには、下方に向かって開口する凹状の収容部44が形成されており、該収容部44には、図示しない電源に接続された前記換気扇44aが収容されている。また、該収容部44の開口部にはカバー44bが取り付けられている。つまり、前記換気扇44aは前記ロフト40の天井40aに埋め込み設置された状態となっている。そして、前記収容部44の上端部にはダクト47の一端部が接続されている。
一方、前記屋根60の軒天井60dには、下方に向かって開口する部材である排気口46が埋め込み設置されている。そして、前記排気口46の上端部にはダクト47の他端部が接続されている。
すなわち、前記収容部44と前記排気口46とが前記ダクト47によって接続されていることになる。また、前記ダクト47は、前記屋根60の内部空間を通過するようにして配管されている。
【0045】
なお、本実施の形態の排気口46は、前記軒天井60dに設けられるものとしたが、これに限られるものではなく、建物の最上階の外壁上部に設けられるものとしてもよい。例えば前記部屋48の外壁45上部に前記排気口46を設置してもよい。その際、前記ダクト47の他端部は、前記外壁45の内部空間を通過するように配管される。
【0046】
続いて、以上のような構成の建物の空気の流れについて説明する。
まず、1階と2階との間においては、前記階段室を介して空気の流通が可能となっている。
【0047】
2階においては、前記部屋42の上部に集まる熱気は、当該熱気が前記勾配天井42aの天井面を暖め輻射熱を発する前に、隙間である前記開口部52を通して前記ロフト40側に排気される。さらに、前記換気扇44aによって前記ロフト40から前記ダクト47および前記排気口46を介して外部に排気される。
なお、前記ガラリ54を開閉することによって冷暖房使用時の効果をコントロールすることができ、また、ガラリ54の開閉操作はロフト40側からも行えるため便利である。
【0048】
また、前記通路43と前記部屋48との間では前記出入口48bの扉自体や、該出入口48bの上部に設けられるガラリ(図示せず)を介して空気の流通が可能となっている。前記通路43と前記部屋42との間でも空気の流通が可能であってもよい。
また、前記通路43の上部に集まる熱気は、前記風洞部41へと上昇し、当該熱気が前記天井41aの天井面を暖め輻射熱を発する前に前記隙間53aを通して前記ロフト40側に排気される。さらに、前記換気扇44aによって前記ロフト40から前記ダクト47および前記排気口46を介して外部に排気される。
つまり、前記風洞部41は、下端部が下方の前記通路43に向かって開口し、上端部は当該下端部開口よりも開口面積の小さい前記隙間53aとなっており、煙突状に形成されている。これによって、所謂煙突効果によって空気の流れの速さを促進できるので、前記通路43や前記部屋48、または前記部屋42の快適性の更なる向上を図ることができる。
【0049】
そして、前記ロフト40内の排気は、前記換気扇44aによって強制的に外部へと排出することができるので、建物の2階における換気効率は極めて高いものとなる。
【0050】
本実施の形態によれば、前記風洞部41の下方の前記部屋42または前記通路43に空気の流れが生じるので、前記部屋42または前記通路43の温度上昇や前記ロフト40の温度上昇を抑制しながら換気を行うことが可能となり、前記部屋42または前記通路43の快適性が向上する。
特に、前記通路43や階段ホール等のホールなどは、寝室や居室等に利用される部屋(例えば前記部屋42)とは異なり、比較的大きな勾配天井(例えば前記勾配天井42a)の設置が困難な場合がある。このような場合に前記風洞部41を利用すれば、比較的大きな勾配天井が無くても、換気効率の向上を図ることができる。
【0051】
また、前記屋根60の軒天井60dまたは最上階の外壁45上部に排気口46が設けられることにより、例えば棟60aや屋根60の屋根面に排気口46が設けられる場合に比して、防水処理等にかかる手間を省略できる。
特に、前記棟60aや屋根面に対して換気口を設ける場合は防水処理等に非常に手間がかかるため、前記排気口46が、前記軒60bの下方に位置する前記軒天井60dまたは前記外壁45上部に設けられていれば、防水処理等にかかる手間を省略できる。
しかも、このように前記棟60aに換気口を設けない構成を採用すれば、切妻屋根だけでなく、寄棟屋根や方形屋根等のように切妻屋根等に比して棟が少ない屋根を有する建物に対して特に有効である。
【符号の説明】
【0052】
10,11,12 部屋
10a,11a,12a 勾配天井
13 階段ホール
15 ロフト
15a ロフトの天井
16 屋根
16a 棟
20a,20b 外壁
21a,21b 壁
22a,22b,22c 開口部
22c 大開口部
23 ガラリ
24 ガラス板(透明な板材)
25 隙間
27a,27b 天窓
30a,30b 空洞部
31b 階段
40 ロフト
40a 天井
41 風洞部
41a 天井
42 部屋
43 通路
44 収容部
44a 換気扇
45 外壁
46 排気口
47 ダクト
60 屋根
60a 棟
60d 軒天井

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋根裏にロフトが設けられたロフト付き建物において、
前記ロフトは、屋根の棟の下方において、当該棟に沿ってかつ前記棟の両端側にそれぞれ位置する外壁の間に亙って設けられ、
前記ロフト側に向けて斜め上方に傾斜する勾配天井を有する複数の部屋が平面視において前記棟を挟んで配置され、
前記ロフトの側部と前記部屋の上部とが連通しており、
前記屋根に天窓が設けられ、この天窓と前記ロフトの天井との間に、前記天窓と前記ロフトに連通する空洞部が設けられていることを特徴とするロフト付き建物。
【請求項2】
請求項1に記載のロフト付き建物において、
前記ロフトの側部には、当該ロフトの天井まで達する壁が設けられており、
この壁に、前記部屋の上部に開口する開口部が複数設けられ、当該開口部によって前記ロフトの側部と前記部屋の上部とが連通していることを特徴とするロフト付き建物。
【請求項3】
請求項2に記載のロフト付き建物において、
前記複数の開口部のうち、少なくとも一つの前記開口部は、当該開口部によって前記ロフトと連通する前記部屋の幅の半分以上の幅でかつ前記ロフトの床から天井までの高さを有する大開口部となっており、
残りの前記開口部は前記壁の下端部に設けられ、当該開口部にガラリが取り付けられていることを特徴とするロフト付き建物。
【請求項4】
請求項3に記載のロフト付き建物において、
前記大開口部には、透明な板材が設けられており、この板材と前記大開口部の上縁部との間に隙間が設けられていることを特徴とするロフト付き建物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のロフト付き建物において、
平面視において前記棟を挟んで配置されている前記部屋の間に階段ホールが設けられ、この階段ホールと前記ロフトの床との間に階段が設けられていることを特徴とするロフト付き建物。
【請求項6】
建物の屋根裏にロフトが設けられたロフト付き建物において、
前記ロフトは、屋根の棟の下方において、当該棟に沿って設けられており、
前記ロフトに隣接して、上下方向に沿って空気を流通させる風洞部が設けられ、
前記風洞部の下方に部屋または通路が配置され、
前記ロフトの側部と前記風洞部の上部とが連通しており、
前記風洞部の天井は、前記ロフトの天井に対して段差なく連続し、かつ前記ロフト側に向けて斜め上方に傾斜しており、
前記ロフトの天井に換気扇が収容された収容部が設けられるとともに、前記屋根の軒天井または最上階の外壁上部に排気口が設けられ、
前記収容部と前記排気口とがダクトによって接続されていることを特徴とするロフト付き建物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−83146(P2013−83146A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212043(P2012−212043)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(307042385)ミサワホーム株式会社 (569)
【Fターム(参考)】