説明

ロボットおよびワーク加工システム

【課題】加工装置にワークおよび加工ユニットを着脱するロボット、およびそれを用いたワーク加工システムを提供する。
【解決手段】中空ワークWを回転駆動する主軸21を回転可能に支持した主軸台11と、主軸台に対向して配設された心押台12と、工具42、52を径方向に移動可能に保持した加工ユニット40、50と、主軸台と心押台に進退移動可能に設けられ中空ワーク内に挿入された加工ユニットを両側より回転不能に挟持する一対のユニット保持アーバー25、31と、一対のユニット保持アーバーの協働により加工ユニットを軸線方向に移動させる軸線方向移動手段48と、一方のユニット保持アーバー内を通して工具を径方向に移動させる径方向移動手段47とによって構成された中空ワーク内面加工用の加工装置に用いるロボット140で、ロボットは、加工装置に中空ワークおよび加工ユニットを着脱するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置にワークおよび加工ユニットを着脱するロボット、およびそれを用いたワーク加工システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、差動ギヤ機構が収容される自動車のデフケースにおいては、一対のサイドギヤの各背面側である内側平面、およびこれらサイドギヤに噛合う一対のピニオンギヤの各背面が摺接する内側球面を高精度に加工することが要求されている。ところで、中空状をなす一体形のデフケースにおいては、主軸に装着されたカッタをデフケースの外部から挿入して内側平面および内側球面を加工することができない。このために、例えば、特許文献1に記載されているように、加工ユニットをデフケース内に挿入し、加工ユニットに支持された工具をデフケースの軸線方向および径方向に移動させて、内側平面あるいは内側球面を加工し、加工後、加工ユニットをデフケース内より取外す加工ユニット供給装置が必要となる。
【0003】
一方、この種の装置においては、デフケースを主軸チャックに取付けるためのワーク搬送ロボット等も必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−272468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来においては、加工ユニット供給装置およびワーク搬送ロボットがそれぞれ別個に設ける必要があるので、加工システムが大型化するとともに、コストアップする問題がある。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題点を解消するためになされたもので、ロボットによって加工装置に中空ワークおよび加工ユニットを着脱できるようにしたロボットおよびワーク加工システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、中空ワークを回転駆動する主軸を回転可能に支持した主軸台と、該主軸台に対向して配設された心押台と、工具を径方向に移動可能に保持し前記中空ワーク内に挿入される加工ユニットと、前記主軸台および心押台にそれぞれ進退移動可能に設けられ前記中空ワーク内に挿入された前記加工ユニットを両側より回転不能に挟持する一対のユニット保持アーバーと、該一対のユニット保持アーバーの協働により前記加工ユニットを軸線方向に移動させる軸線方向移動手段と、前記一方のユニット保持アーバー内を通して前記加工ユニットに保持された前記工具を径方向に移動させる径方向移動手段とによって構成された中空ワーク内面加工用の加工装置に用いるロボットであって、前記ロボットは、前記加工装置に前記中空ワークおよび前記加工ユニットを着脱することである。
【0008】
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記ロボットは、昇降可能な昇降体と、該昇降体に水平軸線回りに旋回可能に支持された保持体を備え、該保持体はワーク把持部とユニット把持部とを備えたことである。
【0009】
請求項3に係る発明の特徴は、請求項1において、前記ロボットは、昇降可能な昇降体と、該昇降体に水平軸線回りに旋回可能に支持された保持体を備え、該保持体にワーク把持部を備え、前記昇降体にユニット把持部を備えたことである。
【0010】
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記加工装置は、前記中空ワークの内面を加工する第2の加工装置であり、該第2の加工装置に前記中空ワークを前加工する第1の加工装置を並設し、前記ロボットを、前記第1の加工装置と前記第2の加工装置とで共用することである。
【0011】
請求項5に係る発明の特徴は、請求項4において、前記第1の加工装置と前記第2の加工装置との間に並設された置台に配設された前記加工ユニットを使用することである。
【0012】
請求項6に係る発明の特徴は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記第1の加工装置の機内に配置された置台に配設された前記加工ユニットを使用することである。
【0013】
請求項7に係る発明の特徴は、請求項2において、前記ワーク把持部を前記ユニット把持部と一体的に設けたことである。
【0014】
請求項8に係る発明の特徴は、請求項3ないし請求項7のいずれか1項において、前記ワーク把持部および前記ユニット把持部が把持爪からなることである。
【0015】
請求項9に係る発明の特徴は、中空ワークを回転駆動する主軸を回転可能に支持した主軸台と、該主軸台に対向して配設された心押台と、工具を径方向に移動可能に保持し前記中空ワーク内に挿入される加工ユニットと、前記主軸台および心押台にそれぞれ進退移動可能に設けられ前記中空ワーク内に挿入された前記加工ユニットを両側より回転不能に挟持する一対のユニット保持アーバーと、該一対のユニット保持アーバーの協働により前記加工ユニットを軸線方向に移動させる軸線方向移動手段と、前記一方のユニット保持アーバー内を通して前記加工ユニットに保持された前記工具を径方向に移動させる径方向移動手段とによって構成され、前記中空ワークの内面を加工する加工装置と、前記加工装置に前記中空ワークおよび前記加工ユニットを着脱するロボットとを備えたことである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、ロボットは、加工装置に中空ワークおよび加工ユニットを着脱するものであるので、1台のロボットによって、加工装置への中空ワークの着脱と、加工装置に保持された中空ワーク内への加工ユニットの着脱を行うことができ、構成の簡素化と、低コスト化を実現することができる。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、ロボットは、昇降可能な昇降体と、昇降体に水平軸線回りに旋回可能に支持された保持体を備え、保持体はワーク把持部とユニット把持部とを備えているので、保持体の旋回によってワーク把持部とユニット把持部を着脱位置に割出すことができ、中空ワークの着脱と加工ユニットの着脱を迅速に行うことができる。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、ロボットは、昇降可能な昇降体と、昇降体に水平軸線回りに旋回可能に支持された保持体を備え、保持体にワーク把持部を備え、昇降体にユニット把持部を備えているので、保持体にはワーク把持部を作動する作動装置を設ければよく、保持体の構成を簡単にすることができる。
【0019】
請求項4に係る発明によれば、中空ワークの前加工を行う第1の加工装置と中空ワークの内面を加工する第2の加工装置を並設し、第1の加工装置と第2の加工装置とでロボットを共用するようにしたので、第1の加工装置への中空ワークの着脱と、第2の加工装置への中空ワークの着脱と、第2の加工装置に支持された中空ワークへの加工ユニットの着脱を、共通のロボットによって行うことができる。
【0020】
請求項5に係る発明によれば、第1の加工装置と第2の加工装置との間に並設された置台に配設された前記加工ユニットを使用するので、ロボットは第1の加工装置と第2の加工装置との間で移動する途中で、置台より加工ユニットを把持することができる。
【0021】
請求項6に係る発明によれば、加工ユニットを保持する置台を、第1の加工装置の機内に配置された置台に配設された前記加工ユニットを使用するので、省スペース化を図ることができる。
【0022】
請求項7に係る発明によれば、ワーク把持部をユニット把持部と一体的に設けたので、共通の作動装置によって中空ワークの把持と、加工ユニットの把持を行うことができ、構成を簡単にすることができる。
【0023】
請求項8に係る発明によれば、ワーク把持部およびユニット把持部が把持爪からなるので、把持爪の開閉によって中空ワークおよび加工ユニットを把持することができる。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、中空ワークの内面を加工する加工装置と、加工装置に中空ワークおよび加工ユニットを着脱するロボットとを備えているので、1台のロボットによって、加工装置への中空ワークの着脱と、加工装置に保持された中空ワーク内への加工ユニットの着脱を行うことができ、コンパクトなワーク加工システムを構築することができるとともに、ワーク加工システムのコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るワーク加工システムの全体を示す正面図である。
【図2】図1の2−2線に沿って矢視した図である。
【図3】ロボットの把持部を示す斜視図である。
【図4】中空ワークの内面を加工する加工装置の全体を示す図である。
【図5】図4の要部を拡大して断面した図である。
【図6】図5の6−6線に沿って切断した断面図で、中空ワーク内に加工ユニットを挿入した状態を示す。
【図7】図5の7−7線に沿って切断した断面図である。
【図8】異なる加工ユニットによる加工状態を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るワーク加工システムの全体を示す正面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態に係るロボットを示す図である。
【図11】図10の矢印11方向から見た図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係るロボットの把持部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。まず最初に、中空状の加工対象ワーク、すなわち、デフケースWの形状について図5および図6に基づいて説明する。中空ワーク(デフケース)Wには、一対のサイドギヤをそれぞれ支持する同心的な支持穴W1、W2と、各サイドギヤの背面側である内側平面W3、W4と、各サイドギヤに噛合う一対のピニオンギヤをそれぞれ支持する同心的な支持穴W5、W6と、各ピニオンギヤの背面側である円弧状の内側曲面W7、W8を有している。
【0027】
また、中空ワークWには、一対のピニオンギヤを支持する支持穴W5、W6と直交する方向に、サイドギヤおよびピニオンギヤを組み込むための開口窓W9が貫通して形成されている。中空ワークWは、後述するように、支持穴W1、W2の中心が主軸中心に一致するように、位置決めピンとクランプ装置によって位置決めクランプされ、中空ワークWの開口窓W9より挿入される後述する構成の加工ユニット40、50(図5、図8参照)によって、内側平面W3、W4および内側曲面W7、W8が旋削加工されるようになっている。なお、図6は、中空ワークWの開口窓W9より加工ユニット40が挿入された状態を示している。
【0028】
図1はワーク加工システム100の一例を示す全体図で、ワーク加工システム100は、図1の左右方向に間隔を隔てて並設された2台の加工装置110、120を有している。第1の加工装置110は、主として、中空ワークWの内面を加工するに先立って、加工基準となる支持穴W1、W2、W5、W6等を加工するもので、詳細な構成は省略するが、ベッド111上に、カバー112によって4方を囲まれた加工部113が設けられ、カバー113の天井部には、図示してないが、ワークWを機内に搬入するためのシャッターが設けられている。
【0029】
一方、第2の加工装置120は、中空ワークWの内面を加工するもので、詳細な構成については後述するが、第1の加工装置110と同様に、ベッド121上に、カバー122によって4方を囲まれた加工部123が設けられ、カバー122の天井部には、図示してないが、中空ワークWおよびその内面を加工する加工ユニットを機内に搬入するためのシャッターが設けられている。
【0030】
第1の加工装置110と第2の加工装置120の間には、中空ワークWの内面を加工するための2種類の加工ユニット40、50を保持するユニット置台130が配設されている。ユニット置台130には、加工ユニット40、50の工具が摩耗した場合に取替えできるように、複数の予備の加工ユニット40,50が保管されている。また、第1の加工装置110のユニット置台130と反対側には、2台の加工装置110、120で加工する中空ワークWを保持する未加工ワーク置台131が配設され、第2の加工装置120のユニット置台130と反対側には、2台の加工装置110、120で加工完了した中空ワークWを保持する加工済ワーク置台132が配設されている。
【0031】
なお、以下においては、説明の便宜上、第1および第2の加工装置110の並設方向(図1の左右方向)をZ軸方向、それに直角な水平方向をX方向、上下方向をY軸方向とする。
【0032】
第1および第2の加工装置110、120の上方には、第1および第2の加工装置110、120および複数の置台130、131、132に跨って、複数の支柱141によって支持された支持レール142がZ軸方向に架設されている。支持レール142には、ロボット140が支持レール142にZ軸方向に搬送可能に支持されている。
【0033】
ロボット140は、第1および第2の加工装置110、120等に対して中空ワークWを着脱するとともに、第2の加工装置120に保持された中空ワークWに対して加工ユニット40、50を着脱するものである。
【0034】
ロボット140は、図2および図3にも示すように、支持レール142に設けられたZ軸案内レール142aに移動可能に支持された搬送体143と、搬送体143に設けられたY軸案内レール143aに昇降(上下移動)可能に支持された昇降体144と、昇降体144の下端にX軸軸線の回りに旋回可能に支持された保持体145と、保持体145に水平軸線(X軸)を中心とした4面に開閉可能に設けられた4つの把持爪からなる把持部146a、146b、146c、146dとを有している。4つの把持部146a〜146dは、直径方向に対向する2つ(146a、146b)が、中空ワークWを把持するためのワーク把持部として構成され、それに直交する方向に対向する2つ(146c、146d)が、加工ユニット40、50を把持するためのユニット把持部として構成されている。
【0035】
支持レール142には、支持レール142と平行にラック147が設置され、このラック147に噛合うピニオン148を、搬送体143に設けた搬送用モータ149によって回転することにより、搬送体143が支持レール142に沿って移動される。なお、昇降体144、保持体145および把持部146a〜146dは、図略の各駆動源によってそれぞれ昇降移動、旋回作動および開閉作動されるようになっている。
【0036】
次に、ワーク(デフケース)Wの内面を加工する第2の加工装置120の具体的な構成を、図4および図5に基づいて説明する。第2の加工装置120のベッド121上には、互いに対向して主軸台11と心押台12が設置されている。主軸台11はベッド121上に固定され、心押台12はベッド121上に設けられた案内ベース13上にZ軸方向に進退可能に装架されている。心押台12はサーボモータ14により図略のボールねじを介してZ軸方向に進退移動され、その移動量はサーボモータ14に連結されたエンコーダ14aによって検出される。
【0037】
主軸台11には、図5に示すように、固定軸20がZ軸方向に固定されている。固定軸20の外周には円筒状の主軸21が回転可能に支持され、主軸駆動モータ22によって回転駆動されるようになっている。主軸21の先端部には主軸面板21aが取付けられ、この主軸面板21aに中空ワークWが位置決めピン23によって回転方向に位置決めされるとともに、ピンアーバチャック24によってクランプされるようになっている。ピンアーバチャック24はよく知られているように、円周上複数(例えば3個)のピンアーバー24aが傾斜方向に移動可能に設けられ、これらピンアーバー24aの移動により、その先端に設けたチャック爪24bにて中空ワークWの外周を主軸面板21aの基準面に押圧しながらクランプするものである。しかしながら、チャック24としては、3つ爪チャック等別の構成のクランプ装置も利用できる。
【0038】
固定軸20の中心部にはユニット保持アーバー25がキー部材26によってZ軸方向移動のみ可能に貫挿され、このユニット保持アーバー25は固定軸20の後部に設置されたアーバー進退用(ボールねじ)駆動装置27によって進退されるようになっている。ユニット保持アーバー25は中空ワークWの支持穴W1を貫通して、先端が中空ワークWの中空部に挿入されるようになっている。ユニット保持アーバー25の先端には、加工ユニット40、50に嵌合するテーパ状の多角面25aが形成されている。
【0039】
心押台12の先端には、円筒状のユニット保持アーバー31がユニット保持アーバー25と同心上に固設されており、ユニット保持アーバー31は中空ワークWの支持穴W2を貫通して、先端が中空ワークWの中空部に挿入されるようになっている。ユニット保持アーバー31の先端には、加工ユニット40、50に嵌合するテーパ面31aが形成されている。心押台12には駆動軸30が回転可能に支持されている。駆動軸30の後端にはクランク33が取付けられ、このクランク33に駆動軸30の軸心に対し所定量偏心したカムフォロア34が設けられている。
【0040】
心押台12にはX軸スライド35がZ軸方向と直交する水平なX軸方向にスライド可能に案内されている。X軸スライド35にはカムフォロア34に係合する係合穴35aが形成され、係合穴35aは図7に示すように、X軸方向と直交する鉛直方向(Y軸方向)に細長く形成されている。X軸スライド35は、サーボモータ36(図4参照)により図略のボールねじ機構を介してX軸方向に移動され、その移動量はサーボモータ36に連結されたエンコーダ36aによって検出される。これにより、サーボモータ36によるX軸スライド35の直線運動がカムフォロア34の円弧運動に変換され、駆動軸30に伝達される。
【0041】
駆動軸30の先端には、ドライバ32が回転を規制されて軸方向に所定量だけ相対移動可能に支持されている。ドライバ32はユニット保持アーバー31を貫通して先端がユニット保持アーバー31より突出され、その突出端に角形係合部32aが形成されている。ドライバ32は駆動軸30との間に設けられた図略のスプリングのばね力により通常前進端位置に保持されている。
【0042】
第1の加工ユニット40は、ワークWの開口窓W9より中空部に挿入されて、内側平面W3、W4を加工するものであり、また、第2の加工ユニット50は、ワークWの開口窓W9より中空部に挿入されて、内側曲面W7、W8を加工するものである。
【0043】
図5および図8に示すように、第1および第2の加工ユニット40、50の各ユニット本体41、51の中心軸心O1上の一端には、上記したユニット保持アーバー25の先端に形成されたテーパ状の多角面25aに係合する多角形状のテーパ穴41a、51aが形成されている。また、第1および第2の加工ユニット40、50の各ユニット本体41、51の中心軸心O1上の他端には、ユニット保持アーバー31の先端に形成されたテーパ面31aに嵌合するテーパ穴41b、51bが形成されている。
【0044】
第1の加工ユニット40のユニット本体41には、図5および図6に示すように、工具42が径方向に移動可能に保持され、その一端はユニット本体41より外部に突出されている。工具42の一端には、両端部にスローアウェイのチップ43a、43bを取付けたバイト43が固定されている。バイト43は中心軸心O1より径方向に所定量偏倚され、かつ工具42の径方向移動により、各スローアウェイチップ43a、43bによりワークWの内側平面W3、W4を順次旋削可能である。
【0045】
ユニット本体41の中心部には、工具42を貫通する偏心ピン45が中心軸心O1上に回転可能に収納されている。偏心ピン45には、工具42に形成された係合穴42aの係合面に係合する偏心部45aが設けられ、偏心ピン45の回転による偏心部45aの円弧運動により工具42を径方向に移動するようになっている。工具42とユニット本体41との間には、係合穴42aの係合面を常に偏心ピン45に当接させるスプリング46が介挿されている。偏心ピン45の一端には、前記ドライバ32の角形係合部32aに係合する角穴45bが形成され、ドライバ32の回転によって偏心ピン45が回転される。
【0046】
このように、X軸スライド35の直線運動をカムフォロア34の円弧運動に変換して駆動軸30に伝達するとともに、この駆動軸30の回転による偏心ピン45の円弧運動を工具42の直線運動に変換することにより、工具42をX軸スライド35の動きと同じように動作させることができる。なお、カムフォロア34と偏心ピン45では円弧半径が異なり、カムフォロア34のほうが円弧半径が大きいため、X軸スライド35の運動が工具42に縮小して伝えられる。
【0047】
上記したサーボモータ36、X軸スライド35、カムフォロア34、駆動軸30、ドライバ32ならびに偏心ピン45等によって、工具42を径方向に移動させる径方向移動手段47を構成している。
【0048】
また、上記したサーボモータ14、図略のボールねじ、心押台12、ユニット保持アーバー31、ならびにユニット保持アーバー25、アーバー進退用駆動装置27等によって、加工ユニット40を軸線方向に移動させる軸線方向移動手段48を構成している。
【0049】
一方、第2の加工ユニット50は、図8に示すように、基本的な構成は先に述べた第1の加工ユニット40と同じものであり、異なる点は、工具52に内側曲面W7、W8を旋削加工するスローアウェイチップ52aを、刃先面を放射方向に向けて直接取付けたことである。その他の点は同じであるので、同じ構成部分については同一符号を付し、説明を省略する。
【0050】
第1および第2の加工ユニット40、50は、上記したロボット140のユニット把持部146c、146dにより把持されて、中空ワークWの開口窓W9を通して中空ワークWの中空部に挿入される。
【0051】
次に、制御装置70について説明する。図4において、制御装置70は、中央処理装置(CPU)71、メモリ72、およびインタフェース(I/F)73、74より構成されている。インタフェース(I/F)73にはNC制御に必要な制御パラメータや、NCプログラムを入力する入出力装置75が接続されている。
【0052】
また、インタフェース(I/F)74には、サーボモータ駆動ユニット(DUZ、DUX)77、78および主軸駆動ユニット(DUC)79が接続されている。サーボモータ駆動ユニット(DUZ、DUX)77、78、主軸駆動ユニット(DUC)79は、中央処理装置71からの指令を受けて各サーボモータ14、36および主軸駆動モータ22を駆動する。
【0053】
メモリ72には、入出力装置75から入力された制御パラメータとNCプログラムをそれぞれ記憶する記憶エリアが設けられており、記憶エリアには、加工ユニット40、50の各工具42、52の寿命を管理するために、第2の加工装置120における加工ユニット40、50の使用回数が記憶されるようになっている。サーボモータ14、36は、メモリ72に記憶されたNCプログラムの目標位置指令とエンコーダ14a、36aからの現在位置信号との偏差によって制御され、心押台12をZ軸方向の目標位置に位置決め制御するとともに、第1および第2の加工ユニット40、50の各工具42、52を径方向の目標位置に位置決め制御する。
【0054】
次に、上記した実施の形態における動作について説明する。中空ワーク(デフケース)Wは、第1の加工装置110によって、加工基準となる支持穴W1、W2、W5、W6等を加工される。第1の加工装置110によって所定の加工が施されたワークWは、第2の加工装置120において、ワークW内に順次挿入される第1および第2の加工ユニット40、50により、内側平面W3、W4および内側曲面W7、W8が加工される。従って、以下においては、第1の加工装置110によって加工を完了したワークWを、一次加工を完了したワークと称し、第2の加工装置120によって加工を完了したワークWを、二次加工を完了したワークと称して、区別することにする。
【0055】
第1の加工装置110で加工すべきワークWは、手動で、もしくは搬送装置によって自動的に、未加工ワーク置台131上に搬入され、未加工ワーク置台131上に搬入されたワークWは、ロボット140の一方のワーク把持部146aによって把持される。ワーク把持部146aにワークWを把持したロボット140は、第1の加工装置110の上方に移動され、当該位置において、保持体145を水平軸線の回りに180度旋回して、空の他方のワーク把持部146bを下方に向けた姿勢で、第1の加工装置110によるワークWの加工が完了するまで待機する。
【0056】
第1の加工装置110によってワークWの一次加工が完了すると、ロボット140の昇降体144が下降され、保持体145がカバー113の天井部に設けたシャッターより第1の加工装置110内に搬入される。そして、ロボット140の他方のワーク把持部146bによって一次加工を完了したワークWを把持する。次いで、保持体145が水平軸線の回りに180度旋回され、一方のワーク把持部146aで把持した未加工のワークWを図略のチャック中心上に位置決めする。しかる状態で、未加工のワークWがチャックによって位置決めクランプされると同時に、ロボット140の昇降体144が上昇されて一次加工を完了したワークWが第1の加工装置110より搬出される。その後、第1の加工装置110によって未加工ワークWの加工が開始される。
【0057】
なお、第1の加工装置110によるワークWの加工に並行して、第2の加工装置120においては、第1および第2の加工ユニット40、50によって、内側平面W3、W4と内側曲面W7、W8の加工が行われる。このために、ロボット140のユニット把持部146c、146dによって、ユニット置台130より第1および第2の加工ユニット40、50が予め把持され、後述するように第2の加工装置120に交互に搬入される。
【0058】
第1の加工装置110より一次加工を完了したワークWがロボット140によって搬出されると、ロボット140は、第2の加工装置120の上方位置まで移動され、第2の加工装置120による加工が完了するまで待機する。なお、この場合、第2の加工装置120においては、第1の加工ユニット40によるワークWの内側平面W3、W4の加工が既に完了され、第2の加工ユニット50によってワークWの内側曲面W7、W8が加工されているものとする。従って、第2の加工装置120の上方位置で待機するロボット140の保持体145は、第2の加工ユニット50を把持するための他方のユニット把持部(空のユニット把持部)146dを下方に向けた姿勢にインデックスされている。
【0059】
第2の加工装置120において、第2の加工ユニット50によるワークWの内側曲面W7、W8の加工が完了(二次加工が完了)すると、主軸21が一定の角度位置に停止されるとともに、心押台12および工具52が原位置に復帰される。その状態で、ロボット140の昇降体144が下降され、保持体145がカバー123の天井部に設けたシャッターより第2の加工装置120内に搬入される。これにより、他方のユニット把持部146dがワークWの開口窓W9よりワークW内に挿入され、第2の加工ユニット50を把持する。次いで、ロボット140の昇降体144が上昇され、ユニット把持部146dに把持された第2の加工ユニット50がワークW内より取り出される。
【0060】
第2の加工ユニット50がワークW内より取り出されると、次いで、ロボット140の保持体145が水平軸線の回りに90度旋回され、一方のワーク把持部(空のワーク把持部)146aを下方に向けた角度位置にインデックスされる。次いで、ロボット140の昇降体144が下降され、ワーク把持部146bによって二次加工を完了したワークWを把持する。同時に、チャック24によるワークWのクランプが解除され、その状態で、保持体145がチャック24より離間する方向にロボット140が所定量シフトされることにより、ワークWが位置決めピン23より離脱される。その状態で、ロボット140の保持体145が水平軸線の回りに180度旋回されることにより、他方のワーク把持部146bに把持されたワーク(一次加工を完了したワーク)Wを、チャック24の中心位置に位置決めする。しかる後、ロボット140によってワークWを前記と逆方向に所定量シフトさせることにより、ワークWが支持穴W1をユニット保持アーバー25に挿通させつつ、主軸面板21aの先端面に移動され、位置決めピン23とピンアーバチャック24によって主軸面板21aの先端面に位置決めクランプされる。
【0061】
次いで、ワーク把持部146aが開放されるとともに、昇降体144が上昇され、ワーク把持部146aに把持した二次加工を完了したワークWを第2の加工装置120より搬出する。
【0062】
その後、ロボット140の保持体145が90度旋回され、第1の加工ユニット40を把持した一方のユニット把持部146cが下方に向けた角度位置にインデックスされる。その状態で、ロボット140の昇降体144が下降されることにより、一方のユニット把持部146cに把持した第1の加工ユニット40をワークWの開口窓W9よりワークWの中空部に挿入する。そして、第1の加工ユニット40の両端をユニット保持アーバー25、31によって挟持するとともに、回り止めし、その後、一方のユニット把持部146cが開放され、ロボット140の昇降体144が第1の加工ユニット40をワークW内に置き去りにして上昇される。
【0063】
しかる後、主軸21が主軸駆動モータ22により回転駆動され、ワークWが回転される。同時に、NC指令に基づいてサーボモータ14が駆動され、心押台12が図5の左方向に所定量移動され、一方の内側平面W3に対してスローアウェイチップ43aを切込む。次いで、NC指令に基づいてサーボモータ36が駆動され、X軸スライド35がX軸方向に所定ストローク(X1)スライドされ、このX軸スライド35の直線運動はカムフォロア34の円弧運動に変換され、駆動軸30が所定速度で所定量回転される。これにより、ドライバ32によって偏心ピン45が所定角度回動され、工具42が径方向に所定速度で所定量移動されて、一方のスローアウェイチップ43aにより一方の内側平面W3を旋削加工する。
【0064】
一方の内側平面W3の旋削加工が終了すると、NC指令に基づいてサーボモータ14が前記と逆方向に駆動され、心押台12が図5の右方向に定められた距離だけ移動され、他方の内側平面W4に対してスローアウェイチップ43bを切込む。次いで、前述したと同様に、駆動軸30をサーボモータ36により回転し、ドライバ32および偏心ピン45を介して工具42を径方向に移動させ、他方のスローアウェイチップ43bにより他方の内側平面W4を旋削加工する。
【0065】
なお、心押台12およびユニット保持アーバー31のZ軸方向移動に伴い、ユニット保持アーバー25はアーバー進退用駆動装置27に抗して、あるいはアーバー進退用駆動装置27によって、ユニット保持アーバー31に追従して移動され、第1の加工ユニット40を常に両端で安定的に保持する。
【0066】
一対の内側平面W3、W4の加工が終了すると、主軸21が一定の角度位置に停止され、かつ心押台12がZ軸方向の原位置に復帰されるとともに、工具42が径方向の原位置に復帰される。その状態で、ロボット140の昇降体144が下降され、一方のユニット把持部146cがワークWの開口窓W9よりワークW内に挿入され、第1の加工ユニット40を把持する。しかる後、ユニット保持アーバー25がアーバー進退用駆動装置27により後退されるとともに、心押台12およびユニット保持アーバー31がサーボモータ14により一定距離後退され、各ユニット保持アーバー25、31およびドライバ32の先端が第1の加工ユニット40のテーパ穴41a、41bおよび偏心ピン45よりそれぞれ離脱される。その状態で、ロボット140の昇降体144が上昇され、一方のユニット把持部146cに把持した第1の加工ユニット40が開口窓W9を通してワークW内より取り出される。
【0067】
次いで、ロボット140の保持体145が180度旋回され、第2の加工ユニット50を把持した他方のユニット把持部146dが下方に向けた角度位置にインデックスされる。その状態で、ロボット140の昇降体144が下降されることにより、他方のユニット把持部146dに把持した第2の加工ユニット50をワークWの開口窓W9よりワークW内に挿入する。そして、上記したと同様にして、第2の加工ユニット50の両端をユニット保持アーバー25、31によって挟持するとともに、回り止めし、その後、他方のユニット把持部146dが開放され、ロボット140の昇降体144が第2の加工ユニット50をワークW内に置き去りにして上昇される。
【0068】
しかる後、上記したと同様に、主軸21が主軸駆動モータ22により回転駆動されて、ワークWが回転され、次いで、心押台12をサーボモータ14によってZ軸方向の所定位置まで移動させるととともに、駆動軸30をサーボモータ36により回転制御して、工具52を径方向の所定位置まで移動させ、スローアウェイチップ52aを図8に示す加工開始点に位置決めする。その状態で、NC指令に基づいてサーボモータ14、36が2軸同時制御され、これによって、スローアウェイチップ52aを内側球面W7、W8に沿って移動させ、内側球面W7、W8を同時に旋削加工する。
【0069】
その後、ロボット140は、加工済ワーク置台132の上方位置に移動され、二次加工を完了したワークWを加工済ワーク置台132に搬出する。
【0070】
次いで、ロボット140は、未加工ワーク置台131の上方位置に移動され、未加工ワーク置台131上に搬入されたワークWを一方のワーク把持部146aによって把持した後、第1の加工装置110の上方位置に移動され、その位置で第1の加工装置によるワークWの加工が完了するまで待機する。以下、上述した動作を繰り返す。
【0071】
なお、制御装置70によって、加工ユニット40、50が、第2の加工装置120において予め定められた回数だけ使用されたことが検出されると、加工ユニット40、50の工具42、52が摩耗したものと判断して、ロボット140はユニット置台130の上方に搬送され、予備の加工ユニットと交換する。
【0072】
上記した第1の実施の形態によれば、1台のロボット140によって、第1および第2の加工装置110、120への中空ワークWの着脱と、第2の加工装置120に保持された中空ワークW内への加工ユニット40、50の着脱を行うことができるので、構成の簡素化と、低コスト化を実現することができる。
【0073】
しかも、第1の実施の形態によれば、ロボット140は、支持レール142に搬送可能に支持された搬送台143と、搬送台143に昇降可能に支持された昇降体144と、昇降体144に水平軸線回りに旋回可能に支持された保持体145を備え、保持体145はワーク把持部146a、146bとユニット把持部146c、146dとを備えているので、保持体145の旋回によってワーク把持部146a、146bとユニット把持部146c、146dを着脱位置に割出すことができ、中空ワークWの着脱と加工ユニット40、50の着脱を迅速に行うことができる。
【0074】
次に、本発明の第2の実施の形態を図9に基づいて説明する。上記した第1の実施の形態においては、2台の加工装置110、120を並設し、これら加工装置110、120に跨って、ロボット140を搬送できるようにしたが、第2の実施の形態においては、加工装置を、中空ワークWの内側平面W3、W4および内側曲面W7、W8を加工する1台(加工装置120)としたこと、この加工装置120の前後に未加工ワーク置台131と加工済ワーク置台132を設置したこと、加工ユニット40、50を保持する図略の加工ユニット置台130(図1参照)を加工装置120の機内に配設したことを特徴とするものである。なお、第1の実施の形態で述べたと同一の構成部品については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0075】
第2の実施の形態においては、予め加工基準となる支持穴W1、W2、W5、W6を加工した中空ワーク(デフケース)Wを、手動もしくは適宜の搬入装置によって未加工ワーク置台131上に搬入し、この未加工ワーク置台131上に搬入されたワークWを、ロボット140によって加工装置120に搬入する。そして、加工装置120内に配設された加工ユニット置台130に支持された第1および第2の加工ユニット40、50(図5、図8参照)を、順次ワークWの中空部に挿入し、これら加工ユニット40、50によって、ワークWの内側平面W3、W4および内側曲面W7、W8を加工する。定められた加工を完了したワークWは、ロボット140によって加工済ワーク置台132に搬出される。
【0076】
図10および図11は、本発明の第3の実施の形態を示すもので、上記した第1および第2の実施の形態とは、ロボット140の構成を異にするものである。従って、以下においては、主として第1および第2の実施の形態と異なる点を説明し、同一の構成部品については同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0077】
第3の実施の形態においては、図10、図11に示すように、昇降体144の先端に水平軸線(Z軸)の回りに旋回可能に支持した保持体145に、中空ワークWをZ軸と平行な姿勢で把持する2つのワーク把持部146a、146bを、直径方向に対向する位置に配置し、加工ユニット40、50をZ軸と平行な姿勢で把持する2つのユニット把持部151a、151bを、昇降体144上にZ軸方向に所定量離間して保持している。
【0078】
すなわち、2つのユニット把持部151a、151bは、昇降体144に取付けられたアクチュエータ152a、152bによって上下方向に移動される各作動軸153a、153bの先端に開閉可能に保持され、各作動軸153a、153bの上下移動により、ユニット把持部151a、151bに把持した加工ユニット40、50を中空ワークW内に挿入できるようにしている。
【0079】
かかる第3の実施の形態によれば、保持体145の周囲に2つの把持部146a、146bを設ければよいので、保持体145に内蔵される把持部開閉作動装置の構成を簡素化できる利点がある。
【0080】
図12は、本発明の第4の実施の形態を示すもので、ワークWを把持する一対のワーク把持部155a、155bを保持体145に保持し、これらワーク把持部155a、155bの先端部に、加工ユニット40、50を把持するユニット把持部156a、156bを一体的に設けたものである。
【0081】
かかる第4の実施の形態によれば、ワーク把持部155a、155bとユニット把持部156a、156bの開閉を共通の開閉作動装置によって開閉させることができ、ロボット140の構成を簡素化することができる。
【0082】
上記した実施の形態においては、X軸スライド35の直線運動を2組の偏心機構を介して工具42、52に伝達し、工具42、52を径方向に移動させるようにしたが、工具42、52を径方向に移動させる径方向移動手段47は実施の形態に限定されるものではなく、また、Z軸方向に移動可能な心押台12等によって軸線方向移動手段48を構成したが、Z軸方向の移動は心押台自体を移動させる他に各種の形態を採り得るものである。さらに、径方向移動手段47を心押台12側に設けたが、主軸台11側に設けることもできる。
【0083】
また、上記した実施の形態においては、2種類の加工ユニット40、50を用いて、ワークWの2種類の内面(内側平面W3、W4、内側球面W7、W8)を加工する例について述べたが、本発明は、少なくとも1つの加工ユニットを用いて、1つの内面を加工するものにも適用できるものである。また、ロボットも自走式に限らず、平地の基礎に固定される固定式のものでもよい。
【0084】
斯様に、実施の形態で述べた具体的構成は、本発明の単なる一例を示すもので、これに限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の態様を採り得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係るロボットおよびワーク加工システムは、加工装置に中空ワークを着脱し、加工装置に保持された中空ワーク内に加工ユニットを着脱するものに用いるのに適している。
【符号の説明】
【0086】
11…主軸台、12…心押台、21…主軸、22…主軸駆動モータ、24…クランプ装置(ピンアーバーチャック)、25、31…ユニット保持アーバー、40、50…加工ユニット、42、52…工具、47…径方向移動手段、48…軸線方向移動手段、110、120…加工装置、140…ロボット、142…支持レール、143…搬送台、144…昇降体、144保持体、146a、146b、146c、146d…把持部、W…ワーク(デフケース)、W3、W4…内側平面、W7、W8…内側曲面、W9…開口窓。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空ワークを回転駆動する主軸を回転可能に支持した主軸台と、該主軸台に対向して配設された心押台と、工具を径方向に移動可能に保持し前記中空ワーク内に挿入される加工ユニットと、前記主軸台および心押台にそれぞれ進退移動可能に設けられ前記中空ワーク内に挿入された前記加工ユニットを両側より回転不能に挟持する一対のユニット保持アーバーと、該一対のユニット保持アーバーの協働により前記加工ユニットを軸線方向に移動させる軸線方向移動手段と、前記一方のユニット保持アーバー内を通して前記加工ユニットに保持された前記工具を径方向に移動させる径方向移動手段とによって構成された中空ワーク内面加工用の加工装置に用いるロボットであって、
前記ロボットは、前記加工装置に前記中空ワークおよび前記加工ユニットを着脱するものであることを特徴とするロボット。
【請求項2】
請求項1において、前記ロボットは、昇降可能な昇降体と、該昇降体に水平軸線回りに旋回可能に支持された保持体を備え、該保持体はワーク把持部とユニット把持部とを備えたことを特徴とするロボット。
【請求項3】
請求項1において、前記ロボットは、昇降可能な昇降体と、該昇降体に水平軸線回りに旋回可能に支持された保持体を備え、該保持体にワーク把持部を備え、前記昇降体にユニット把持部を備えたことを特徴とするロボット。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記加工装置は、前記中空ワークの内面を加工する第2の加工装置であり、該第2の加工装置に前記中空ワークを前加工する第1の加工装置を並設し、前記ロボットを、前記第1の加工装置と前記第2の加工装置とで共用することを特徴とするロボット。
【請求項5】
請求項4において、前記第1の加工装置と前記第2の加工装置との間に並設された置台に配設された前記加工ユニットを使用することを特徴とするロボット。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記第1の加工装置の機内に配置された置台に配設された前記加工ユニットを使用することを特徴とするロボット。
【請求項7】
請求項2において、前記ワーク把持部を前記ユニット把持部と一体的に設けたことを特徴とするロボット。
【請求項8】
請求項3ないし請求項7のいずれか1項において、前記ワーク把持部および前記ユニット把持部が把持爪からなることを特徴とするロボット。
【請求項9】
中空ワークを回転駆動する主軸を回転可能に支持した主軸台と、該主軸台に対向して配設された心押台と、工具を径方向に移動可能に保持し前記中空ワーク内に挿入される加工ユニットと、前記主軸台および心押台にそれぞれ進退移動可能に設けられ前記中空ワーク内に挿入された前記加工ユニットを両側より回転不能に挟持する一対のユニット保持アーバーと、該一対のユニット保持アーバーの協働により前記加工ユニットを軸線方向に移動させる軸線方向移動手段と、前記一方のユニット保持アーバー内を通して前記加工ユニットに保持された前記工具を径方向に移動させる径方向移動手段とによって構成され、前記中空ワークの内面を加工する加工装置と、
前記加工装置に前記中空ワークおよび前記加工ユニットを着脱するロボットと、
を備えたことを特徴とするワーク加工システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−183601(P2012−183601A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47258(P2011−47258)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】