説明

ロボットの動作診断方法、ロボットの制御装置、ミニエンバイロメントシステムの制御装置、ロボット、及びミニエンバイロメントシステム

【課題】ロボット動作を診断して不具合を回避することができ、かつ、異常部位の詳細表示やパネル上でのロボット動作の再現により、メンテナンス時間を短縮できるロボットの動作診断方法を提供する。
【解決手段】複数の駆動軸をそれぞれ駆動する複数のモーター、マニピュレータ、及びセンサを有し、駆動軸によりマニピュレータを移動させるロボットの動作診断方法において、少なくとも1つの駆動軸に対し、ロボットの診断対象とする動作パターンを設定し、ロボットの初期状態での動作パターンにおいて、複数回計測したモーターを制御する制御装置の複数の入出力信号と、センサまたはマニピュレータを制御する機器の複数の入出力信号とを判定データとし、新たに計測した判定データを診断データとし、統計的パターン認識方法により診断データが判定データに含まれるかを判別することにより、新たに計測した時のロボットの動作が正常であるか判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットの動作を自己診断するためのロボット動作診断方法に関する。また、ロボットの動作を自己診断することができるロボット及びこのロボットの制御装置に関する。さらに、このロボットを備えるミニエンバイロメントシステム及びこのミニエンバイロメントシステムの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロボットの負荷状態を推定する方法として、従来から、ロボットや工作機械においては、その駆動源であるサーボモーターへの電流量を測定して負荷状態を把握し、過負荷によるモーターコイルの損傷やアンプなどの電気系統の破損を防止する方法がある。
【0003】
また、特許文献1には、診断対象軸(過負荷が起こる可能性のあるロボット動作軸)の角度変化量を取得し、その値から角速度、加速度、負荷、及び累積負荷のうち少なくともいずれか1つを求めて負荷状態をシミュレーションし、ロボットを診断する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ロボット本体を動作させていない時に、サーボアンプとモーターとの縁を自動的に切り、サーボアンプ内部の故障診断回路部にて、サーボアンプ自体の故障を診断し、故障原因がサーボアンプ自体にあるのか、その配線にあるのかを判断する方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、ロボットのハンド(マニピュレータ)にセンサを取り付け、基準スリットを検出することで、ウェーハなどワークの搬送精度の劣化を検知し、動作を補正することで、ワーク破損などの事故を回避する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−293332号公報
【特許文献2】特開2009−125917号公報
【特許文献3】特開2009−016604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記の従来からの過負荷検出方法や特許文献1に記載の技術では、ロボットの駆動源であるサーボアンプの負荷状態を診断することはできるが、サーボアンプとの制御ラインや電源ラインの断線やその他の異常に関して、サーボアンプ自体の故障かどうかの判断がつかないという課題点がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、サーボアンプ自体の故障なのか別の要因で異常なのかを判断することはできるが、ロボットの動作精度や動作時間の経年変化などを診断することができないという課題点がある。
【0009】
動作精度や動作時間の異常に関しては、サーボアンプには異常や故障がなくても、機構部の劣化により異常になることが多い。この場合は、複数軸にわたる機構部などが要因である場合が多く、異常発生箇所をすぐに特定することが出来ず、修復や部品交換などのメンテナンスに時間がかかり、生産ラインを長時間停止させてしまう。さらに、異常発生箇所の特定やメンテナンスは、作業員の経験によるところが大きいという課題点がある。
【0010】
また、特許文献3に記載の技術では、機構上からハンドにセンサを実装できないロボットでは、診断ができないという課題点がある。
【0011】
本発明の目的は、ハンドにセンサを実装できない機構のロボットであっても、ロボットの動作精度や動作時間の状態を診断して、ワークの破損やシステムの停止などの不具合を回避することができ、かつ、システムが停止した場合でも、故障解析を容易にしたり、異常部位の詳細を表示したり、パネル上でロボットの動作を再現したりすることで、作業員の経験によらないでメンテナンス時間の短縮を図ることができるロボットの動作診断方法を提供することにある。
【0012】
また、このような動作診断方法を用いたロボット及びこのロボットの制御装置、さらに、このロボットを備えるミニエンバイロメントシステム及びこのミニエンバイロメントシステムの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によるロボットの動作診断方法は、基本的には次のような特徴を有する。
【0014】
複数の駆動軸、前記駆動軸をそれぞれ駆動する複数のモーター、マニピュレータ、及びセンサを有し、前記駆動軸により前記マニピュレータを移動させるロボットの動作診断方法において、少なくとも1つの前記駆動軸に対し、前記ロボットの診断対象とする動作パターンを設定し、前記ロボットの初期状態での前記動作パターンにおいて、複数回計測した前記モーターを制御する制御装置の複数の入出力信号と、前記センサまたは前記マニピュレータを制御する機器の複数の入出力信号とを判定データとし、新たに計測した単一または複数の前記判定データを診断データとし、統計的パターン認識方法により前記診断データが前記判定データに含まれるか含まれないかを判別することにより、前記新たに計測した時の前記ロボットの動作が正常であるか正常でないかを判定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明によるロボットの制御装置は、基本的には次のような特徴を有する。
【0016】
複数の駆動軸と、前記駆動軸をそれぞれ駆動する複数のモーターをフィードバック制御する制御装置から構成される駆動制御部と、前記駆動制御部に位置、速度、及びトルクの指令を出力するモーター制御部と、ロボットの内部への信号の入出力を行うロボット入出力信号インターフェース部と、上位装置と通信やデジタル信号の入出力を行う上位装置インターフェース部と、前記ロボットの動作とシステム全般とを制御する中央演算処理部と、表示/操作パネルのインターフェース部と、ティーチングペンダントのインターフェース部と、マニピュレータ、及びセンサを有して前記駆動軸により前記マニピュレータを移動させるロボットの動作診断を行う動作診断演算処理部と、前記モーター制御部、前記中央演算処理部、及び前記動作診断演算処理部のデータを格納する内部メモリとを備え、前記動作診断演算処理部は、少なくとも1つの前記駆動軸に対し、前記ロボットの診断対象とする動作パターンを設定し、前記ロボットの初期状態での前記動作パターンにおいて、複数回計測した前記モーターを制御する制御装置の複数の入出力信号と、前記センサまたは前記マニピュレータを制御する機器の複数の入出力信号とを判定データとし、新たに計測した単一または複数の前記判定データを診断データとし、統計的パターン認識方法により前記診断データが前記判定データに含まれるか含まれないかを判別することにより、前記新たに計測した時の前記ロボットの動作が正常であるか正常でないかを判定して前記ロボットの動作診断を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明によるミニエンバイロメントシステムの制御装置は、上記のロボット制御装置と、ロードポート部のインターフェース部と、ファンフィルターユニットのインターフェース部と、プリアライナーのインターフェース部とを備えることを、基本的な特徴とする。
【0018】
また、本発明によるロボットは、上記のロボット制御装置と、前記表示/操作パネルのインターフェース部に接続される表示/操作パネルと、前記ティーチングペンダントのインターフェース部に接続されるティーチングペンダントと、マニピュレータと、前記マニピュレータを移動させる複数の駆動軸とを備えることを基本的な特徴とする。
【0019】
また、本発明によるミニエンバイロメントシステムは、上記のミニエンバイロメントシステムの制御装置と、前記ロードポート部のインターフェース部に接続されるロードポート部と、前記ファンフィルターユニットのインターフェース部に接続されるファンフィルターユニットと、前記プリアライナーのインターフェース部に接続されるプリアライナーと、ミニエン筐体とを備えることを基本的な特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ハンドにセンサを実装できない機構のロボットであっても、ロボットの動作精度や動作時間の状態を診断して、ワークの破損やシステムの停止などの不具合を回避することができるロボット動作診断装置を提供することができる。また、システムが停止した場合でも、故障解析を容易にしたり、異常部位の詳細を表示したり、パネル上でロボットの動作を再現したりすることで、作業員の経験によらないでメンテナンス時間の短縮を図ることができるロボットの動作診断方法を提供することができる。
【0021】
また、このような動作診断方法を用いたロボット及びこのロボットの制御装置、さらに、このロボットを備えるミニエンバイロメントシステム及びこのミニエンバイロメントシステムの制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施例であるミニエンバイロメントシステムの斜視図。
【図2】本実施例のミニエンバイロメントシステム内部に設置されたウェーハ搬送用ロボットの斜視図。
【図3】本実施例のミニエンバイロメントシステムの構成図。
【図4】本実施例の動作診断演算処理部の内部構成図。
【図5】本実施例のロボットにおけるR1軸の軸駆動部の構成図。
【図6】本実施例の動作診断演算処理部の動作診断処理を示すフローチャート。
【図7】動作診断演算処理部の動作診断処理の初期設定ステップ610の詳細を示すフローチャート。
【図8】本実施例のミニエンバイロメントシステムを上面から見た概略図。
【図9】本実施例の動作診断において各ステップで収集するデータの1軸あたりの初期設定されている項目。
【図10】図9に示した各項目をR1軸について収集した場合の測定データの図。
【図11】図10に示した測定データのうち、動作診断演算処理部が自動選択した項目におけるデータの図。
【図12】図11に示した計測データを内部メモリに格納したときの図。
【図13】図12に示した計測データを一般的にし、マハラノビス・タグチ・メソッドにより算出したデータを内部メモリに格納したときの図。
【図14】図13に示したデータを各軸ごとに内部メモリに格納したときの図。
【図15】本実施例の閾値設定方法と動作診断結果を表示する画面の図。
【図16】本実施例の閾値設定方法で異常データを使用したときに表示する画面の図。
【図17】本実施例のR1軸の詳細診断結果を表示する画面の図。
【図18】本実施例の動作再現を行う際に収集するエンコーダ値でR1軸が異常だった場合の図。
【図19】本実施例の詳細診断結果の表示において、表とロボット表示と動作再現のイメージを表示する画面の図。
【図20】本実施例の詳細診断結果の表示において、詳細部位であるR1軸の詳細診断結果と動作再現のイメージを表示する画面の図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本発明の実施例を説明する。
【0024】
図1に、本発明の実施形態の一例であるミニエンバイロメントシステム(以下、「ミニエン」と略記する)101を示す。
【0025】
ミニエン101とは、半導体製造装置100へウェーハ106を供給し、半導体製造装置100で加工または検査を行ったウェーハ106を半導体製造装置100から排出する搬送装置において、ウェーハ106の搬送を局所クリーン下で行う設備のことである。
【0026】
ミニエン101は、半導体製造装置100との接続部、ミニエン筐体102、ロードポート部103、ファンフィルターユニット(以下、「FFU」と略記する)105、及びパネル107を有し、内部には、ロボット、コントローラ300、プリアライナー、外部メモリ、及びティーチングペンダントを有している。ミニエン101の内部に設置されるこれらの装置は、コントローラ300以外、図示を省略している。
【0027】
半導体製造装置100は、ミニエン101の上位装置に位置づけられ、RS−232Cやイーサネット(登録商標)などによる通信やパラレル入出力信号により、ミニエン101と指令や応答の伝達を行い、ミニエン101より供給されたウェーハ106の加工または検査を行う。
【0028】
ミニエン筐体102は、システム外部を固定板(外装カバー)で覆い、外部と隔離した空間である搬送室空間を供給し、ロードポート部103や半導体製造装置100との接合部の役割を有する。
【0029】
ロードポート部103は、主に、密閉容器であるカセット104を固定する固定台と、容器開閉機能とを有しており、ミニエン筐体102内に単一または複数箇所接合され、半導体製造装置100とミニエン筐体102とに対するウェーハ106の搬送口の役割を有する。
【0030】
FFU105は、送風ファンとフィルターとを有しており、ミニエン筐体102内の上部に設置され、クリーンエアーをダウンフローすることで、ミニエン筐体102内にクリーン環境を実現する。
【0031】
パネル107は、タッチパネルまたは液晶モニタやスイッチなどで構成され、表示と操作が可能な機能を有しており、後記するように、作業員の補助や外部操作のインターフェースとしての役割を有している。また、パネル107は、システムの構成によっては、取り外すことを可能にして、ティーチングペンダントとしての役割を有していてもかまわない。
【0032】
図2に、ウェーハ搬送用ロボット200の構成図を示す。
【0033】
ロボット200は、ミニエン筐体102の内部に設置されている。アームは、アーム(1)203とアーム(2)204からなるダブルアーム方式で、同時に2枚のウェーハを搬送することが可能である。
【0034】
ロボット200は、サーボモーター202が駆動することで2つのアームを横方向に走行移動(水平動作)させるY軸駆動部201と、2つのアームを昇降方向に移動(上下動作)させるZ軸駆動部205と、2つのアームを回転方向に移動(旋回動作)させるθ軸駆動部206と、アーム(1)203とアーム(2)204をそれぞれ伸縮方向に移動(水平動作)させるR1軸駆動部及びR2軸駆動部という、5軸に対する軸駆動部を有している。
【0035】
ロボット200のアーム(1)203とアーム(2)204は、マニピュレータであるハンド207が接合されており、ウェーハを載せるためのウェーハハンドリング機構を有している。
【0036】
ロボット200のウェーハハンドリング機構は、ウェーハの裏面中心を真空吸着することにより把持する機能を有しているが、ウェーハの側面を把持する側面把握機能を有していてもかまわない。
【0037】
ロボット200は、上記の5軸の駆動部とウェーハハンドリング機構とにより、半導体製造装置や、ロードポート部、プリアライナーなど、ミニエン筐体内部の各ティーチングポイント(搬送位置)へのウェーハの搬送を実現する。
【0038】
なお、ロボット200は、ウェーハを搬送可能であれば、シングルアーム方式でもよく、多関節ロボットなどの他機構方式のロボットでもかまわない。
【0039】
図3に、ミニエン101のシステム構成図を示す。
【0040】
プリアライナー311は、半導体製造装置100にウェーハを供給する前に、ロボット200によりウェーハが載置され、載置されたウェーハを回転することで、ノッチまたはオリフラを一定方向にあわせたり、ウェーハの偏芯量を測定したりするアライメント機構を有している。
【0041】
外部メモリ312は、USBメモリ、SDカード、メモリスティック、及びCFカードなどの、持ち運び可能な外部補助記憶装置であり、システムにより任意でかまわない。
【0042】
ティーチングペンダント313は、ロボット200に、ミニエン筐体内におけるウェーハの搬送位置(ティーチングポイント)を教示させるためのペンダントである。
【0043】
コントローラ300は、主に、中央演算処理部301、上位装置インターフェース(以下、インターフェースを「I/F」と略記する)302、内部メモリ303、ロボット入出力信号I/F304、各種機器I/F305、駆動制御部320、モーター制御部306、及び動作診断演算処理部310を有している。コントローラ300は、ロボット200の制御装置であるが、ミニエン101の制御装置を兼ねることもできる。本実施例では、コントローラ300は、ミニエン101の制御装置も兼ねている。
【0044】
中央演算処理部301は、システムバス309を介して、上位装置I/F302、内部メモリ303、ロボット入出力信号I/F304、各種機器I/F305、モーター制御部306、動作診断演算処理部310と接続される。中央演算処理部301は、半導体製造装置100からの指令コマンドや、パネル107やティーチングペンダント313からの外部操作によって、ミニエンに実装されたすべての機器の制御を行う機能を有している。
【0045】
中央演算処理部301は、マイクロプロセッサユニット(以下、「MPU」と略記する)や各種メモリを有している中央演算処理装置(以下、「CPU」と略記する)である。中央演算処理部301としては、一般的なパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と略記する)やCPUボードでもかまわなく、システムに適したものであればよい。
【0046】
上位装置I/F302は、半導体製造装置100との、イーサネットやRS−232Cなどによる通信を行うためや、デジタルまたはアナログの入出力信号を伝達するためのI/F回路を有している。また、システムバス309を介して、半導体製造装置100と中央演算処理部301間の指令コマンドや各データや入出力信号などの伝達を行う機能を有している。
【0047】
内部メモリ303は、揮発性メモリと、不揮発性メモリと、それらのI/F回路と、外部メモリ312へ転送するための回路を有しており、主に、大容量の不揮発性メモリを複数実装した回路で構成されている。
【0048】
また、内部メモリ303は、中央演算処理部301、モーター制御部306、動作診断演算処理部310の内部に実装されているMPUの主記憶装置とは別に実装されているメモリである。システムのログや動作診断演算処理やロボット200の動作再現などの記録に使用されるが、中央演算処理部301、モーター制御部306、及び動作診断演算処理部310に実装されているメモリの容量で各部位の機能が実現できる場合は、実装しなくてもよい。内部メモリ303は、ハードディスクドライブなどの磁気記憶装置でもかまわない。
【0049】
ロボット入出力信号I/F304は、ロボット200内部の各種センサ335や電磁弁336、その他ロボット内部に実装された機器のI/F回路を有している。
【0050】
各種センサ335は、ロボット内部に実装された真空圧確認用の圧力センサや、各軸の原点センサ、±リミットセンサ、ウェーハ有無確認用の反射型または透過型センサなどである。
【0051】
各種機器I/F305は、ロードポート部103、FFU105、プリアライナー311、パネル107、外部メモリ312、ティーチングペンダント313など各種外部周辺機器のI/F回路を有しており、中央演算処理部301により、システムバス309を介し、各機器との通信や入出力信号の制御を行う。
【0052】
駆動制御部320は、R1軸用サーボモーター331の制御を行うサーボアンプ321と、R2軸用サーボモーター332の制御を行うサーボアンプ322と、θ軸用サーボモーター333の制御を行うサーボアンプ323と、Z軸用サーボモーター334の制御を行うサーボアンプ324と、Y軸用サーボモーター202の制御を行うサーボアンプ325とを有している。
【0053】
各サーボモーターやサーボアンプは、システムや機構にあった汎用的なものでかまわなく、ACサーボでもDCサーボでもかまわないし、セミクローズドループ方式のステッピングモータでもかまわない。
【0054】
モーター制御部306は、システムバス309を介し、中央演算処理部301とコマンドやデータの送受信を行い、駆動制御部320の任意の軸を動作させるなどの目的に応じた各入力信号307及び各出力信号308の制御を行い、ロボット200の運動制御を行う機能を有している。
【0055】
一般に、モーターの運動制御は、位置指令やトルク指令、速度指令などがあるが、本実施例では、位置及び速度を指令パルスによって運動制御する方式を採用している。
【0056】
モーター制御部306から各サーボアンプへの出力信号308は、一般に、+リミット502、−リミット503、原点504、サーボオン505、偏差カウンタクリア506、アラームクリア、及び指令パルス507である。
【0057】
モーター制御部306への各サーボアンプからの入力信号307は、一般に、電磁ブレーキ解除908、サーボレディ509、アラーム、インポジション510、エンコーダ511、トルクモニタ512、及び速度モニタ913である。
【0058】
動作診断演算処理部310は、システムバス309と接続されている。また、モーター制御部306、及びロボット入出力信号I/F304と接続されており、それぞれ信号341、信号342を送受信する。さらに、動作診断演算処理部310は、ロボット200の診断処理を行ったり、診断処理のためのデータ収集を行ったり、パネル107やティーチングペンダント313に診断結果を表示したり、ロボット200の動作を再現表示したりする機能を有している。
【0059】
図4に、動作診断演算処理部310の内部構成例を示す。
【0060】
動作診断演算処理部310は、MPU401、FPGAやCPLDなどのプログラマブルロジックデバイス(以下、「PLD」と略記する)402、不揮発性メモリIC403、揮発性メモリIC404、第1軸診断用信号I/F回路411、第2軸診断用信号I/F回路412、第3軸診断用信号I/F回路413、第4軸診断用信号I/F回路414、第5軸診断用信号I/F回路415、内部電源回路421、電源監視IC422、通信用ICまたは回路423、リアルタイムクロック(以下、「RTC」と略記する)424、システムバスI/F回路425、及び画像処理回路426を有している。
【0061】
MPU401は、ロボット200の動作診断のための演算処理を行う。必要に応じて複数実装されており、各軸の診断を同時に処理することが可能な構成になっている。
【0062】
PLD402は、MPU401の演算補助や各信号用レジスタなどの回路が実装されている。また、FPGAなどに複数のCPUコアを搭載させ、MPU401の代替機能を有していてもよい。
【0063】
不揮発性メモリIC403及び揮発性メモリIC404は、使用するMPU401により実装が異なるが、メインメモリ(主記憶装置)としての役割を有している。
【0064】
第1軸診断用信号I/F回路411、第2軸診断用信号I/F回路412、第3軸診断用信号I/F回路413、第4軸診断用信号I/F回路414、及び第5軸診断用信号I/F回路415は、モーター制御部306の入力信号307や出力信号308、ロボット入出力信号I/F304の入力信号337や出力信号338などが、コネクタ431、432、433、434、435を介して伝達される。これらの各軸診断用信号I/F回路411、412、413、414、415は、基板内部バスを介してまたは直接MPU401やPLD402に接続され、演算処理に使用される。
【0065】
例えば、各軸診断用信号I/F回路411、412、413、414、415は、第1軸はR1軸、第2軸はR2軸、第3軸はθ軸、第4軸はZ軸、第5軸はY軸のように使用する。ロボット200の構成が違う場合には、必要に応じて軸の数に対応させて用意する。また、必要があれば、MPU401が演算可能なように、アナログデータをA/D変換する機能を有することもできる。
【0066】
内部電源回路421は、DC/DCコンバータやレギュレータにより構成され、基板内部電源を生成する。
【0067】
電源監視IC422は、MPU401が誤動作しないように、内部電源回路421にて生成された電源や外部供給電源の監視を行う。
【0068】
通信用ICまたは回路423は、MPU401に、コネクタ436を介し、デバッグしたりプログラムを書き込んだりする回路である。
【0069】
RTC424は、年月日や時間を、ログとして保存するデータに付加したり、パネル107やティーチングペンダント313に表示したりする。
【0070】
システムバスI/F回路425は、システムバス309を介し、中央演算処理部301や内部メモリ303などと、データや信号を送受信するための回路であり、システムに採用されているPCIやVMEなどのバス規格に則った回路である。
【0071】
画像処理回路426は、パネル107やティーチングペンダント313に表示する画像データを補助する回路であり、使用する機器により異なるため、必要に応じて実装する。
【0072】
動作診断演算処理部310は、処理能力やシステムにより、汎用のPCやCPUボードを用いてもよく、中央演算処理部301やモーター制御部306と兼用でもかまわない。ただし、後記する図6や図7のフローに従う診断処理ができることが前提であるため、中央演算処理部301やモーター制御部306とは別に構成されていることが望ましい。
【0073】
次に、軸駆動部の構成を、R1軸を例として説明する。R2軸、θ軸、Z軸、及びY軸の軸駆動部も、R1軸のものと同様の構成である。図5に、R1軸の軸駆動部の構成例を示す。
【0074】
R1軸の軸駆動部は、サーボモーター331の回転を、ベルト(1)531、ベルト(2)532、ベルト(3)533を用いて伝達し、アーム(1)203に接続されたハンド207をR1軸上で直進させるようなリンク機構になっている。
【0075】
アーム(1)203は、+リミットセンサ534と−リミットセンサ535であるマイクロフォトセンサが実装されており、ドグ536が遮ることで動作がOFFになる。このようにして、アーム(1)203のR1軸の駆動範囲に、電気的な制限(リミット)が設けられている。
【0076】
アーム(1)203は、リンク機構の先端の回転部537に光学式の外付けエンコーダ538が実装されている。エンコーダ538は、エンコーダアンプ545を介し、インクリメンタル方式のエンコーダ信号(汎用信号4)517をコントローラ300へ出力している。
【0077】
また、このエンコーダ信号(汎用信号4)517とは別に、サーボモーター331に内蔵されているエンコーダ(位置検出器)は、サーボアンプ321を介し、コントローラ300へサーボモーター331の位置検出情報をエンコーダ信号として出力する。このエンコーダ信号は、同様のインクリメンタル方式である。このうちZ相は、原点サーチ動作にのみ使用し、診断処理には、動作パターンが原点サーチに設定されない限り、未使用とする。
【0078】
ハンド207は、吸着用開口部540を3点有しており、電磁弁336により真空やエアー541の制御を行い、ウェーハ106のハンドリング(把持)を行う。
【0079】
吸着用の真空ライン542は、設定されている閾値との比較によりONまたはOFF信号を出力する圧力センサ543が接続されている。このONまたはOFF信号を汎用信号(2)515としてコントローラ300へ出力し、ウェーハ106の吸着状態を確認する。
【0080】
反射型センサ539は、上部を遮る検出体のハンド207やウェーハ106の有無により、反射型センサアンプ544を介し、ONまたはOFF信号をコントローラ300へ出力する。これにより、ハンド207やウェーハ106の軌道を確認することができる。
【0081】
反射型センサ539の実装位置は、ロボット200のフレームやミニエン筐体102内の搬送領域に設置されていればよく、ハンド207上に設置されていなくても、搬送精度に直結するハンド207やウェーハ106の軌道を確認することができる。
【0082】
コントローラ300では、モーター制御部306及びロボット入出力信号I/F304などを介し、動作診断演算処理部310へ、電源電圧501、+リミット502、−リミット503、サーボオン505、偏差カウンタクリア506、指令パルス507、サーボレディ509、インポジション510、エンコーダ511、トルクモニタ512、汎用信号1(反射型センサ539の信号)514、汎用信号2(圧力センサ543の信号)515、汎用信号3(電磁弁336への制御信号)516、及び汎用信号4(外付けエンコーダ538の信号)517が、それぞれ各部位から入出力される。
【0083】
次に、図6に、動作診断演算処理部310にて行う診断処理のフローチャートを示す。
【0084】
本実施例の動作診断は、統計処理または演算処理の一例として、特開2004−227279号公報に記載のマハラノビス・タグチ・メソッド(以下、「MT法」と略記する)により行う。
【0085】
MT法は、品質工学におけるマハラノビス距離を利用した異常原因診断方法である。マハラノビス距離を利用する異常原因診断方法であれば、MT法でなくても、MTS法、MTA法、TS法、またはT法であってもよい。
【0086】
また、診断に使用する統計処理または演算処理は、MT法に限らなく、フィッシャー判別、ロジスティック判別、ブースティング法、クラスタ解析など、他の統計処理(統計的パターン認識方法)であってもよい。
【0087】
(ステップ600)
作業者は、初期設定が必要かどうかを判断し、パネル107、ティーチングペンダント313、または半導体製造装置100により、初期設定のステップ610以降に進むか、通常の動作診断のステップ650以降に進むかを選択する。
【0088】
動作診断演算処理部310は、システム組立て時の初回に必ず初期設定が必要であることから、内部メモリ303または不揮発性メモリ403などの予め決められたアドレス内のデータが空または未設定であることを認識し、初回のみ自動でステップ610以降に進み、作業者からの指令がない限り、電源投入後は、自動でステップ650以降に進む。
【0089】
初期設定を実行するタイミングは、ミニエン101またはロボット200の組立て時、出荷前検査時、据付時、その他任意の時に行う。このとき、ミニエン101またはロボット200は、仕様を満たすウェーハ106の搬送精度や動作速度(タクトやスループット)で動作できるように、機構部が調整され、その他アンプなどの設定が完了している最終調整がされた製品状態であることが必要である。このような、製品仕様を満たすように調整された状態のことを初期状態と称する。
【0090】
(ステップ610)
ステップ610での初期設定は、図7のフローチャートに従う。ここで、図7に示した、初期設定ステップ610の詳細を示すフローチャートを説明する。
【0091】
(ステップ701)
作業者は、ミニエン101またはロボット200のどのようなウェーハ搬送シーケンス(動作パターン)で、動作診断を行うのか、パネル107、ティーチングペンダント313、または半導体製造装置100により、設定する。
【0092】
図8に、ミニエン101のウェーハ搬送シーケンス例を示す。図8は、ミニエン101を上面から見た概略図である。
【0093】
作業者は、製品の調整時に、ティーチングペンダントにより、プリアライナー311のティーチングポイント801、ウェーハ供給位置821のティーチングポイント803、ウェーハ排出位置822のティーチングポイント811、及びカセット104のティーチングポイント814、815、816の教示を行う。
【0094】
中央演算処理部301は、各ティーチングポイントを記憶し、モーター制御部306へ指令をだすことにより、ロボット200を動作させ、ウェーハ106の搬送を行う。
【0095】
例えば、ウェーハ搬送シーケンス(動作パターン)は、経路800のように、プリアライナー311でアライメントを行ったウェーハ106を、ティーチングポイント801からティーチングポイント802を経由してティーチングポイント803のウェーハ供給位置821へ搬送する。また、経路810のように、半導体製造装置100で処理されたウェーハ排出位置822のウェーハ106を、ティーチングポイント811からティーチングポイント812、ティーチングポイント813を経由して、ティーチングポイント814のカセット104へ搬送したりする。
【0096】
動作診断演算処理部310は、作業者による指定がない場合は、予め設定されている動作、例えば、経路800の動作パターンを選択する。
【0097】
動作パターンの設定は、経路800のように、ティーチングポイント801からティーチングポイント802へ動作する際のような複数軸の同時動作を含み、動作頻度が高いものが望ましい。その理由は、いずれのロードポート部103のカセット104に収納されているウェーハ106であっても、必ずプリアライナー311へ搬送され、プリアライナー311からウェーハ供給位置821へウェーハ106を搬送する経路800におけるミニエン101やロボット200の動作パターンは同じになるため、計測データが一定になるという利点があるためである。また、この動作パターンの頻度が一番高いため、診断される回数が多くなるという利点と、この動作パターンは必ず全ての軸が駆動するため、各軸相互間の因果関係により発生する異常も診断が可能であるという利点があるためである。
【0098】
動作パターンの設定は、システムの構成に大きく依存するため、予め設定されている動作パターンは、装置開発者が任意に設定しておく必要がある。
【0099】
また、動作パターンの設定は、経路800や経路810のような一連の動作を指定しても良いし、各軸ごと単一に最も診断効率が良くなるように設定してもよい。
【0100】
(ステップ702)
作業者は、診断対象となる軸やユニットの選択を、パネル107、ティーチングペンダント313、または半導体製造装置100により設定する。
【0101】
作業者は、ステップ701にて経路810のような一連の動作パターンを設定した場合、カセット104に収納されているウェーハ106の高さが毎回異なるため、Z軸は個別に診断を設定する、または診断しないという選択をする。
【0102】
作業者は、必要があれば、ロードポート部103やプリアライナー311など、各ユニットを診断対象として設定してもよい。
【0103】
動作診断演算処理部310は、作業者による指定がない場合は、全軸または予め用意された診断対象数の全てを診断対象として自動で設定する。従って、作業者は、後記するように、ステップ711で未使用や診断に適さない軸は自動削除されるので、診断対象軸の設定をしなくてもよい。
【0104】
(ステップ703)
作業者は、計測するデータの収集と経過時間のカウントを開始するためのスタートトリガとして、動作診断演算処理部310に入力される任意のデジタル信号を、パネル107、ティーチングペンダント313、または半導体製造装置100により設定する。
【0105】
動作診断演算処理部310は、作業者による指定がない場合は、ステップ701で設定された動作パターンの指令が半導体製造装置100により発行され、受信したタイミングをスタートトリガとして設定する。
【0106】
(ステップ704)
作業者は、ステップ701で設定された動作パターンが実行される、ステップ710の初期設定動作の回数と、ステップ620の判定データ収集の動作回数と、ステップ640の判定内容の設定の動作回数と、ステップ650の診断データ収集の動作回数とを、パネル107、ティーチングペンダント313、または半導体製造装置100により、制限回数の範囲内で設定する。
【0107】
動作診断演算処理部310は、作業者により上記の回数の指定がない場合は、システムや統計処理により異なるため予め設計者により設定されている回数に、上記の回数をそれぞれ設定する。
【0108】
制限回数は、それぞれのステップにより異なることがあり、動作診断演算処理部310のスペックと内部メモリ303の容量により異なることもある。本実施例の動作回数nは、MT法の処理に支障がないように、ステップ710の初期設定動作が10回、ステップ620の判定データ収集の動作が200回、ステップ640の判定内容の設定の動作が50回、ステップ650の診断データ収集の動作が1回、として設定されている。
(ステップ705)
作業者は、MT法の特徴量となる計測データの項目(計測項目)を、パネル107、ティーチングペンダント313、または半導体製造装置100により設定する。
【0109】
図9に、ロボット200の単一軸動作の診断に使用される計測項目を示す。
【0110】
計測項目について、以下に説明する。
【0111】
電源電圧501は、コントローラ300への供給電源電圧、動作診断演算処理部310の内部電源回路421にて生成された内部電源電圧、または駆動制御部(各サーボアンプ)320の電源電圧とする。
【0112】
+リミット502及び−リミット503は、各種センサ335内の各軸に取り付けられたリミットセンサの信号であり、R1軸の場合、+リミットセンサ534、−リミットセンサ535の信号を示す。
【0113】
原点904は、各種センサ335内の各軸に取り付けられた原点(ホームポジション)の基準となるセンサの信号である。
【0114】
サーボオン505は、モーター制御部306からサーボアンプへの出力信号308の一つで、サーボモーターの励磁をかけたり、といたりする際に使用する信号である。
【0115】
偏差カウンタクリア506は、モーター制御部306からサーボアンプへの出力信号308の一つで、サーボアンプ内において指令位置や指令速度などと実位置(エンコーダ値)などの偏差をカウントしているカウンタ値をクリアする信号である。
【0116】
指令パルス507は、モーター制御部306からサーボアンプへの出力信号308の一つで、サーボモーターの回転数(位置)や回転速度(動作速度)の情報を持つパルス列であり、そのパルスのカウンタ値とする。
【0117】
電磁ブレーキ解除508は、サーボアンプからモーター制御部306への入力信号307の一つで、サーボモーターに取り付けられている電磁ブレーキが解除されたことを示す信号である。通電(信号をON)するとモーターが回転できるようになり、例えば、ロボット200において、電源断時でもZ軸が下降しないように使用される。
【0118】
サーボレディ509は、サーボアンプからモーター制御部306への入力信号307の一つで、サーボモーターの励磁などが終了し、動作準備完了を示す信号である。
【0119】
インポジション510は、サーボアンプからモーター制御部306への入力信号307の一つで、サーボモーターが動作中はOFFとなり、指定された任意の位置(回転数)に到達するとONとなって、軸が目標位置にあることを示す信号である。
【0120】
エンコーダ511は、サーボアンプからモーター制御部306への入力信号307の一つで、サーボモーターに取り付けられた位置検出器からのモーター軸の現在位置(回転数)を示す信号である。エンコーダ511は、インクリメンタルやアブソリュートなどの方式があるが、システムによりどのような方式でもよい。検出器は、光学式エンコーダやレゾルバなど、モーターにより異なるが、どのような方式でもよい。
【0121】
トルクモニタ512は、サーボアンプからモーター制御部306への入力信号307の一つで、サーボアンプがサーボモーターを制御する際に発生させているトルクをモニタできるように電圧で出力されている信号である。
【0122】
速度モニタ913は、サーボアンプからモーター制御部306への入力信号307の一つで、サーボアンプがサーボモーターを制御する際に、現在どのくらいの回転速度で回しているかをモニタできるように、電圧で出力されている信号である。
【0123】
汎用信号は、各機構部に取り付けられた各種センサ335などをMT法の特徴量である計測項目の信号として使用する場合のポートで、任意に設定可能である。本実施例では、デジタル入出力信号型を、汎用信号(1)514、汎用信号(2)515、汎用信号(3)516の3点と、データ型の汎用信号(4)517の1点とを用意しているが、任意の数であってよく、システムによっては8点など複数点用意してもよい。
【0124】
計測タイミングについて、以下に示す。
【0125】
各信号のON時920は、立ち上がりエッジとし、各信号のOFF時921は、立ち下がりエッジとする。ステップ703にて設定されたスタートトリガにより、カウントが開始されている時間の各エッジにおける経過時間がデータとなる。
【0126】
電源電圧501、指令パルス507、エンコーダ511、トルクモニタ512、速度モニタ913、汎用信号(4)517などのデータ型の信号は、加速時930、等速時931、または減速時932などの予め設定された任意のタイミングにおける測定データとする。測定のタイミングは、本実施例のように上記3点である必要はなく、動作診断演算処理部310の処理能力や内部メモリ303の容量に基づいて決める任意の点における複数のタイミングで計測したデータでよい。
【0127】
トリガ信号340は、動作診断演算処理部310にシステムバス309を介して入力される信号や各計測項目の信号など、任意の信号である。図9では、トリガ信号340は、トリガA、トリガB、トリガCの3種類であるが、トリガ信号の数は任意とする。トリガ信号340は、データ型である電源電圧501、指令パルス507、エンコーダ511、トルクモニタ512、速度モニタ913、汎用信号(4)517などの信号を、トリガ信号340のONまたはOFF時に、各データ型信号全てを同一のタイミングで測定することを指定する信号である。
【0128】
動作診断演算処理部310は、作業者による指定がない場合は、予め用意されている全ての信号(図9に示した計測項目全て)を計測項目として設定する。従って、作業者は、後記するように、未使用の信号に対する計測項目や診断に適さない計測項目はステップ712で自動削除されるので、計測項目を任意設定しなくてもよい。
【0129】
(ステップ706)
作業者は、前記トリガ信号340の数や信号の選択をパネル107、ティーチングペンダント313、または半導体製造装置100により設定する。
【0130】
トリガ信号340は、各軸の駆動部のメカ的機構により、診断に有効となる外部センサのONもしくはOFF時、または計測項目のうち、例えばインポジション信号のONもしくはOFF時などが設定される。トリガ信号340に、各軸ごと個別の信号を用いてもよいし、複数の軸に渡って同一の信号を用いてもよい。
【0131】
動作診断演算処理部310は、作業者による指定がない場合は、予め設定されているタイミングで、トリガ信号340を設定する。本実施例では、モーター制御部306から出力される各軸ごとの加速時、等速時、または減速時の信号のON時で設定する。従って、作業者は、前記のように、予めタイミングが設定されているので、トリガ設定をしなくてもよい。
【0132】
(ステップ707)
作業者は、ステップ640で行う判定内容の設定に必要な事前の、マハラノビス距離の閾値を設定する時の閾値の数や、裕度、判定内容などの設定を、パネル107、ティーチングペンダント313、または半導体製造装置100により行う。
【0133】
動作診断演算処理部310は、作業者による指定がない場合は、閾値の数は1、裕度は1、判定内容は正常と異常、として設定する。従って、作業者は、予め登録されている内容が自動設定されるので、判定内容の事前設定をしなくてもよい。
【0134】
(ステップ708)
作業者は、診断の結果によりシステムを停止するかどうかをパネル107、ティーチングペンダント313、または半導体製造装置100により設定する。
【0135】
ステップ707で、閾値の数を複数設定した場合、例えば、閾値の数は2、裕度は1と2、判定内容は正常と警告と異常として設定した場合は、正常と警告はシステム停止しない、異常はシステム停止する、などの選択を行う。
【0136】
動作診断演算処理部310は、作業者による指定がない場合は、正常以外を全てシステム停止として設定する。従って、作業者はシステム停止の設定をしなくてもよい。
【0137】
(ステップ709)
作業者は、それぞれの計測項目が異常の要因となった場合に、どの部位に原因があるのかを、パネル107、ティーチングペンダント313、または半導体製造装置100により、複数候補を設定する。
【0138】
作業者は、計測項目のうち、特に汎用信号について、ミニエン101やロボット200のどこに異常の要因として現れるか不明のため、部位を選択する必要がある。
【0139】
作業者は、任意に詳細に異常の要因を設定するために、ミニエン101またはロボット200の異常部位(異常状態のデータ)を1つずつ作り出し、動作診断演算処理部310で行うステップ650、ステップ660、ステップ670、及びステップ671をへて、ステップ690の詳細診断により、項目と要因を明確にしてから、設定してもよい。
【0140】
作業者は、ミニエン101やロボット200などのシステム開発時に上記の設定を1度行えば、詳細部位と要因となる項目を正確に判断できるようになる。量産機において、同様の項目を要因として設定できるため、作業者は、内部メモリ303に要因を予め登録しておいてもよい。
【0141】
動作診断演算処理部310は、作業者による指定がない場合は、汎用信号は、詳細部位表示なしとし、その他の計測項目に該当する要因は、予め登録されたものを設定する。従って、作業者は、予め記録されている内容が自動設定されるので、異常要因の設定をしなくてもよい。
【0142】
(ステップ710)
動作診断演算処理部310は、ステップ701で設定された動作パターンで、ステップ704で設定された回数を、中央演算処理部301へミニエン101またはロボット200が動作するように要求する。中央演算処理部301は、モーター制御部306などへ前記動作をするように指令をだす。実際にミニエン101またはロボット200が動作した際に、動作診断演算処理部310は、ステップ705で設定された計測項目のデータを収集する。
【0143】
図10に、測定されたデータの例を示す。この例は、R1軸のみの場合、図5に示した構成で、ステップ701で設定された動作パターンが経路800で、ティーチングポイント802からティーチングポイント803へアーム1を伸ばす動作をする際に、R1Aのポイント521からR1Bのポイント522まで動作するとして、測定されたデータである。
【0144】
動作診断演算処理部310は、図10に示したデータのうち、図9に示した計測タイミングであるON時920、OFF時921、加速時930、等速時931、及び減速時932の全てのタイミングで測定したデータを、ステップ704で設定した全回数(n回)分、内部メモリ303(または、不揮発性メモリIC403、揮発性メモリIC404)の予め決められた領域へ格納する。
【0145】
ステップ710でのn回の制限は、ステップ711及びステップ712での設定できれば良いため、少なくとも2回以上に設定されることが望ましい。
【0146】
(ステップ711)
動作診断演算処理部310は、ステップ710で収集されたデータから変化しないデータのみの軸を判別し、また、動作診断演算処理部310内の診断用信号I/F回路411〜415に実装されている検出回路より未使用(未接続)の軸を判別する。そして、判別した軸を診断対象軸から自動で削除し、残った軸を診断対象軸として設定し、内部メモリ303に格納する。
【0147】
(ステップ712)
動作診断演算処理部310は、ステップ710で収集されたデータから、変化しないデータの項目を判別し、上記の検出回路にて、未使用(未接続)の信号の項目を判別する。判別した項目を、診断対象である計測項目から自動で削除し、残った項目を計測項目として設定し、内部メモリ303に格納する。
【0148】
例えば、R1軸の場合、図10において、変化しない信号1010である+リミット502、−リミット503、サーボオン505、偏差カウンタクリア506、及びサーボレディ509と、未使用の信号1020である原点904、電磁ブレーキ解除908、及び速度モニタ913と、は自動で削除される。
【0149】
図11は、動作診断演算処理部310が自動選択した項目におけるデータの例を示す。この例では、電源電圧501、指令パルス507、インポジション510、エンコーダ511、トルクモニタ512、反射型センサ539の信号514、圧力センサ543の信号515、及び電磁弁336の信号516が、動作診断演算処理部310により選択され、選択された計測項目1110となっている。
【0150】
以上で、図6に示したフローチャートのステップ610での初期設定の説明を終了する。ここからは、図6に示したフローチャートに戻り、説明を続ける。
【0151】
(ステップ620)
動作診断演算処理部310は、ステップ701で設定された動作パターンで、ステップ704で設定された回数(n回)だけ、ミニエン101またはロボット200を動作させるように、中央演算処理部301に要求する。中央演算処理部301は、モーター制御部306などへ、設定された動作をするように指令をだす。実際にミニエン101またはロボット200が動作した際に、動作診断演算処理部310は、ステップ711で設定された診断対象軸の、ステップ712で設定された計測項目のデータを収集し、判定用のデータとして内部メモリ303に格納する。
【0152】
例えば、R1軸の場合、動作診断演算処理部310は、図11に示したデータ型信号の計測タイミング1120や入出力信号の立ち上がり(ON時)までの経過時間1130、立ち下がり(OFF時)までの経過時間1140などを、計測データ(基準空間1210)として、内部メモリ303へ格納する。図12は、内部メモリ303に格納された計測データ(基準空間1210)を示す。
【0153】
MT法において、ステップ712で選択(設定)された計測項目1110は、特徴量として、収集した計測データ(判定データ)は、基準空間1210として、それぞれ定義される。
【0154】
ここで収集される回数(n回)は、MT法により、計測項目により測定するデータ数(項目数)よりも多く必要である。本実施例の場合、ステップ712で自動削除される前の初期設定(図9参照)では40項目あることから、少なくとも50回以上であることが望ましい。さらに、収集した計測データ(判定データ)は、正常なデータの集まりである基準空間1210となるため、診断精度に影響するので、動作診断演算処理部310の処理能力や内部メモリ303の容量などからも適切な回数であることが望ましい。
【0155】
動作診断演算処理部310は、基準空間を、ステップ711で診断対象軸として設定された軸ごとに用意し、対象軸の各々を1つの空間として、または全ての対象軸を1つの空間として認識する。
【0156】
(ステップ630)
動作診断演算処理部310は、ステップ620で収集した計測データを基準空間とし、以下の手順でマハラノビス距離(以下、「MD」と略記する)を算出する。また、R1軸を例として、算出後の各データを図12及び図13に示す。
1.それぞれの項目における平均値m1220を算出する。
2.それぞれの項目における標準偏差σ1230を算出する。
3.式(1)により、規準化を行い、規準化データYij1340を算出する。
【0157】
【数1】

【0158】
ここで、yijは、1〜n回の1〜k項目における計測データ(基準空間1210)であり、i=1,2,・・・,n、j=1,2,・・・,kとする。
4.式(2)により、式(3)に示す相関行列R1350を算出する。
【0159】
【数2】

【0160】
【数3】

【0161】
5.式(4)により、相関行列Rの逆行列A1360を算出する。
【0162】
【数4】

【0163】
6.式(5)により、各1〜n回の計測データのMD1211を算出する。
【0164】
【数5】

【0165】
ここで、Yは各1〜n回の規準化データ、YはYを成分とする行列、YはYの転置行列とする。また、項目数k=ステップ711で選択された項目数とする。図12におけるR1軸の例の場合、k=21である。
【0166】
動作診断演算処理部310は、図14に示すように、算出後のデータ1400を、R1軸データベース1401、R2軸データベース1402、θ軸データベース1403、Z軸データベース1404、Y軸データベース1405、予備軸データベース1406、全軸データベース1407として、内部メモリ303へ格納する。
【0167】
ここで、予備軸データベース1406は、ステップ702において、プリアライナー311などの動作を任意に設定した場合の例である。また、全軸データベース1407は、各データベースの基準空間全てを含む基準空間から算出された平均値、標準偏差、規準化データ、相関行列、逆行列、及びMDを含む。
【0168】
(ステップ631)
動作診断演算処理部310は、ステップ610にて設定された内容が適切かどうか、ステップ630にて算出し格納されたデータ1400から判断する。
【0169】
動作診断演算処理部310の判断の方法は、それぞれのデータベースにおけるMDの平均値1212が1であるかどうかにより判断する。
【0170】
MDの平均値1212が1であるかどうかの許容範囲は任意であるが、すべてのデータベースのMD平均値1212が1であるとみなせる場合、動作診断演算処理部310は、パネル107やティーチングペンダント313にOK表示をし、ステップ640へ進む。
【0171】
少なくとも1つのデータベースにおいてMD平均値1212が1でない場合は、計測項目及びMT法(MD算出)に信頼性がないため、動作診断演算処理部310は、パネル107やティーチングペンダント313にNG表示をし、ステップ610の初期設定へ戻る。
【0172】
NGの場合、作業者は、ステップ704で設定された動作回数nと、ステップ712で設定された計測項目とを確認して変更する。動作診断演算処理部310は、再度、それぞれのデータベースにおけるMDの平均値1212が1であるかどうかを判断する。それでもなおMDの平均値1212が1にならない場合は、動作診断演算処理部310により、内部メモリ303に格納されたデータ1400を、外部メモリのインターフェース部を介して外部メモリ312に転送させ、PC等で原因解析することが可能である。
【0173】
(ステップ640)
動作診断演算処理部310は、ステップ701で設定された動作パターンで、ステップ704で設定された回数(n回)だけ、ミニエン101またはロボット200を動作させるように、中央演算処理部301に要求する。中央演算処理部301は、モーター制御部306などへ、設定された動作をするように指令をだす。実際にミニエン101またはロボット200が動作した際に、動作診断演算処理部310は、診断内容設定用の計測データ(正常のみの閾値判定用計測データ1510または異常のみの閾値判定用計測データ1610)を収集し、判定用のデータとして内部メモリ303に格納する。さらに、ステップ707で設定された閾値の数、裕度、及び判定内容で閾値を設定し、内部メモリ303(または不揮発性メモリIC403、揮発性メモリIC404)に格納する。
【0174】
動作診断演算処理部310は、図15または図16に示すような閾値設定画面を、パネル107やティーチングペンダント313に表示する。なお、図15と図16では、基準空間のMD1211と計測データ1510、1610は、棒グラフで表示されているが、散布図で表示してもよい。
【0175】
図15に示した閾値設定画面は、ステップ707において、閾値の数は2(1521と1522)、裕度は1と3、判定内容は正常と軽度異常と重度異常に設定されている。診断内容設定用の計測データ1510は、正常動作のデータであり、基準空間のMD1211内に表示されている。閾値1521は、基準空間のMD1211と計測データ1510のうち最大となる値に、裕度(=1)を加算したものである。
【0176】
作業者は、本ステップに入るまえに、動作診断演算処理部310の処理をウェイトさせることができ、ミニエン101またはロボット200の調整状態をあえて異常に変更して、閾値の設定をすることができる。
【0177】
図16に示した閾値設定画面は、ステップ707において、閾値の数は1(1620)、裕度はなし、判定内容は正常と異常に設定されている。診断内容設定用の計測データ1610は、作業者により作り出された搬送精度異常状態のデータである。閾値の設定は、パネル107やティーチングペンダント313により、1620の位置へ、この画面で作業者により変更できるようになっている。
【0178】
例えば、R1軸の場合、作業者は、ベルト(1)531、ベルト(2)532、及びベルト(3)533のうち、任意のベルトのテンションを出荷の最終調整状態から変更させて、異常のみの閾値判定用計測データ1610からなる異常状態を作り出すことができる。
【0179】
(ステップ650)
ステップ701で設定された動作パターンで、ステップ704で設定された回数(n回)だけ、ミニエン101またはロボット200が動作するたびに、動作診断演算処理部310は、診断用のデータ(診断データ1240)を収集し、内部メモリ303(または不揮発性メモリIC403、揮発性メモリIC404)に格納する。
【0180】
動作診断演算処理部310は、動作ごとの診断データy(診断データ1240)を、各軸のデータ1400とは別に、計測データとして、内部メモリ303の容量の許される限りの任意の回数分、各軸ごとリング方式で保存する。
【0181】
(ステップ660)
動作診断演算処理部310は、ステップ650にて収集された診断データy(診断データ1240)とデータ1400と式(5)を使用し、MDを算出する。
【0182】
動作診断演算処理部310は、ステップ640で設定されている閾値と前記算出したMD値とを比較し、ステップ707の判定内容をもとに、正常または異常を診断する。
【0183】
動作診断演算処理部310は、用意されたデータ1400に基づいて、各軸ごとの軸単体の診断と、全軸データベース1407による全軸の診断とを行う。
【0184】
中央演算処理部301や半導体製造装置100や作業者は、これにより、特に、外乱、または各軸相互間にわたる機構部の異常要因などを認識することができる。
【0185】
(ステップ670)
動作診断演算処理部310は、ステップ660でのそれぞれの軸の診断結果をもとに、半導体製造装置100に診断結果を送信する。また、パネル107やティーチングペンダント313に、例えば図15に示したように、診断結果をもとに算出したMDの位置を二重丸の印によって示したり、OK表示1530を緑色にNG表示1531を赤色にするなど色分けしたりして、診断結果を作業者が視覚的に認識しやすいように表示する。
【0186】
これにより、中央演算処理部301や半導体製造装置100や作業者は、外的要因や機構部の磨耗などにより、通常搬送(正常の動作パターン)の状態と違いが発生していることを認識できる。この異常状態の発生を警告することにより、部品交換や機構部調整などのメンテナンスの必要性が事前にわかり、ウェーハ106の破損などの重大事故を予防保全することができる。また、場合によっては、システムを緊急停止することにより、重大事故の防止をすることもできる。
【0187】
(ステップ671)
動作診断演算処理部310は、ステップ660の診断処理の結果において1つでも正常でない軸があった場合、ステップ708の設定により、システムを停止するかを判断する。システムを停止する場合は、ステップ690へ進む。正常または警告表示などでシステムを停止しない場合は、ステップ680へ進む。
【0188】
(ステップ680)
動作診断演算処理部310は、ステップ701で設定された動作パターンでミニエン101やロボット200が動作するたびに診断を行うため、ステップ650へ進む。ただし、パネル107やティーチングペンダント313の操作または半導体製造装置100により、強制的に診断停止または中止の指令を受けた場合は、診断処理を停止(終了)し、診断再開の指令があるか電源再投入がされない限り、診断処理を開始しない。
【0189】
(ステップ690)
作業者または半導体製造装置100は、ミニエン101やロボット200のシステムが停止した場合に、パネル107またはティーチングペンダント313の操作または上位装置からの指令により、詳細診断を行うことができる。
【0190】
動作診断演算処理部310は、詳細診断を行う。すなわち、異常と判定された軸の計測データをMT法の1つである以下の方法により行い、原因要素となる項目1370を明らかにする。
1.式(5)の各成分の距離(md〜md)のうち、最大値となる成分を探す。
2.最大値となっている成分の計測データy(診断データy)を平均値mに置換し、再度MDを算出する。
3.MD<閾値となるまで上記1及び2の手順を繰り返す。
4.MD<閾値となるまでの計測データ及びmd(i=1〜k)の過程を記録する。
5.mdの過程のうち、最大値となる値を最終効果1720として表示する。
ただし、最終効果は、1回目で置換したデータはそのものとし、1回目以降は過程での最大値とする。
【0191】
上記の手順5における各項目の最終効果1720がより大きいものが、異常の原因と推定できる。これにより、軸駆動部においてどこに異常が発生しているのかがわかり、作業員の対策を可能とする。
【0192】
(ステップ691)
動作診断演算処理部310は、ステップ690で算出した詳細診断結果を表示する。図17は、R1軸に対する詳細診断結果の画面表示の例である。図17に示すような画面と、ステップ709で設定した異常要因(原因要素)の項目1730を、パネル107またはティーチングペンダント313へ表示する。
【0193】
図17は、現在診断結果を表示している軸1710と、評価1711と、結果1712と、各詳細診断項目1721(1370)における最終効果1720の棒グラフが、色づけされて表示されている。評価は、例えばMDの値であり、結果は、ステップ670と同一である。色づけは、最終効果が大きいものほど、色が濃く表示される。
【0194】
なお、図17では、最終効果1720を色づけした棒グラフで表示しているが、色づけした散布図で表示してもよく、その他のグラフで色づけして表示してもよい。
【0195】
動作診断演算処理部310は、パネル107またはティーチングペンダント313の操作または上位装置からの指令により、例えば、図19に示すように部位表示を行う。
【0196】
図19は、診断結果を、全軸の診断結果の表1910とロボット表示と動作再現のイメージにより表示する画面の例を示している。図19は、R1軸が異常の場合であり、表1910のR1軸の行が色づけされて表示されている。異常軸であるR1軸駆動部1920も、表1910のR1軸の行と同様の色で色づけされている。
【0197】
また、図20は、診断結果を、詳細部位であるR1軸の詳細診断結果と動作再現のイメージにより表示する画面の例を示している。図20に示すようにR1軸の機構を表示し、図17のステップ707で関連付けられた項目の棒グラフと同一の色で、異常要因となっているベルト(1)531、ベルト(2)532、及びベルト(3)533を色づけして表示する。
【0198】
これにより、作業者は、システムが万が一停止した場合でも、経験によらずパネル107またはティーチングペンダント313に従うことで、メンテナンス時間や復旧作業の短縮を行うことができる。
【0199】
動作診断演算処理部310は、少なくとも1つの軸が動作している場合は、図6及び図7のフローで行う処理とは別に並列して(同時処理)、ロボット200の全軸のエンコーダ値またはレゾルバ値を格納することができる。動作診断演算処理部310は、図18に示すように、ステップ701の動作パターンに限らず、ロボット200の全軸のエンコーダ値またはレゾルバ値を収集時間S1821、S1822、・・・、S1830(l=1、2、・・・)のように任意の個数だけ、任意の一定の時間間隔で収集し、内部メモリ303へリング方式で格納する。
【0200】
なお、図18は、R1軸のエンコーダ波形1811が異常なデータを示している例である。
【0201】
動作診断演算処理部310は、ステップ660の診断結果や、駆動制御部320(各サーボアンプ)のアラーム、その他ミニエン101内部に設置されている各種機器のアラームなどにより、リング方式のデータ格納を停止し、異常またはアラームなど不具合発生時のエンコーダ値(またはレゾルバ値)を内部メモリ303に保持する。
【0202】
時間間隔(Sの個数)やリングでとる領域は、動作診断演算処理部310の処理能力や内部メモリ303に見合った範囲であり、少なくとも1つの動作パターンが再現できる範囲であれば、任意に設定してよい。
【0203】
動作診断演算処理部310は、パネル107またはティーチングペンダント313の操作または上位装置からの指令により、前記エンコーダ値をもとに、ロボット200の軌跡(動作)を再現した動画を、スローまたは実速度で、パネル107やティーチングペンダント313に表示する。図19と図20には、ロボット200の軌跡(動作)を再現した動画として、θ軸の動作再現1933、Z軸の動作再現1934、Y軸の動作再現1935、及びR1軸の動作再現2020を示している。
【0204】
動作診断演算処理部310は、例えば、図18のθ軸のエンコーダ波形1813、Z軸のエンコーダ波形1814、及びY軸のエンコーダ波形1815を、それぞれ図19のθ軸の動作再現1933、Z軸の動作再現1934、及びY軸の動作再現1935のように表示する。これにより、同時動作の様子を作業者が認識できるようになっている。
【0205】
R1軸のエンコーダ波形1811のように異常なデータとなっている場合は、ステップ660の診断結果で異常となっていることから、図20に示すR1軸の動作再現2020のようにして異常なデータを表示する。すなわち、動作の軌跡と速度を表す点2030を用いて、履歴を残しながら動作を再現する。図20では、動作の軌跡(位置)と速度を表す点2030は黒点で表示され、軌跡は点の位置、速度は点と点の間隔として表されている。同様に、理想系である設計値を算出しながら、正常に動作していた場合として、白点で速度と軌跡(位置)の両方を表示する。なお、軌跡を点でなくベクトル(矢印線)を用いて表示してもよい。この場合、速度はベクトルの大きさ(矢印線の長さ)により表される。
【0206】
これにより、作業者は、異常などの不具合が起こったときのロボット200の動作状況詳細を早急に確認することができる。
【0207】
また、作業者は、前記のように、内部メモリ303に格納されているエンコーダ値を、他の収集データや算出データと同様に、外部メモリのインターフェース部を介して外部メモリ312に転送して持ち出すことができ、不具合の詳細解析を、時間をかけて行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0208】
本発明は、半導体ウェーハを搬送するウェーハ搬送ロボットまたはミニエンバイロメントシステムに適用可能である。
【符号の説明】
【0209】
100…半導体製造装置、101…ミニエンバイロメントシステム(ミニエン)、102…ミニエン筐体、103…ロードポート部、104…カセット、105…ファンフィルターユニット(FFU)、106…ウェーハ、107…パネル、200…ウェーハ搬送用ロボット、201…Y軸駆動部、202…Y軸用サーボモーター、203…アーム1、204…アーム2、205…Z軸駆動部、206…θ軸駆動部、207…ハンド、300…コントローラ、301…中央演算処理部、302…上位装置インターフェース(I/F)、303…内部メモリ、304…ロボット入出力信号インターフェース(I/F)、305…各種機器インターフェース(I/F)、306…モーター制御部、307…入力信号、308…出力信号、309…システムバス、310…動作診断演算処理部、311…プリアライナー、312…外部メモリ、313…ティーチングペンダント、320…駆動制御部、321…R1軸用サーボアンプ、322…R2軸用サーボアンプ、323…θ軸用サーボアンプ、324…Z軸用サーボアンプ、325…Y軸用サーボアンプ、331…R1軸用モーター、332…R2軸用モーター、333…θ軸用モーター、334…Z軸用モーター、335…各種センサ、336…電磁弁、337…入力信号、338…出力信号、340…トリガ信号、341…信号、342…信号、401…MPU、402…プログラマブルロジックデバイス(PLD)、403…不揮発性メモリIC、404…揮発性メモリIC、411…第1軸診断用信号インターフェース回路、412…第2軸診断用信号インターフェース回路、413…第3軸診断用信号インターフェース回路、414…第4軸診断用信号インターフェース回路、415…第5軸診断用信号インターフェース回路、421…内部電源回路、422…電源監視IC、423…通信用ICまたは回路、424…リアルタイムクロック(RTC)、425…システムバスインターフェース回路、426…画像処理回路、431…コネクタ、432…コネクタ、433…コネクタ、434…コネクタ、435…コネクタ、436…コネクタ、501…電源電圧、502…+リミット、503…−リミット、505…サーボオン、506…偏差カウンタクリア、507…指令パルス、509…サーボレディ、510…インポジション、511…エンコーダ、512…トルクモニタ、514…汎用信号1、515…汎用信号2、516…汎用信号3、517…汎用信号4、800…経路、801…プリアライナーのティーチングポイント、802…ティーチングポイント、803…ウェーハ供給位置のティーチングポイント、810…経路、811…ウェーハ排出位置のティーチングポイント、812…ティーチングポイント、813…ティーチングポイント、814…ロードポート1のティーチングポイント、815…ロードポート2のティーチングポイント、816…ロードポート3のティーチングポイント、821…半導体製造装置へのウェーハ供給位置、822…半導体製造装置からのウェーハ排出位置、904…原点、908…電磁ブレーキ解除、913…速度モニタ、920…ON時、921…OFF時、930…加速時、931…等速時、932…減速時、1010…変化しない信号、1020…未使用の信号、1110…選択された計測項目、1120…計測タイミング、1130…経過時間、1140…経過時間、1210…基準空間、1211…マハラノビス距離(MD)、1212…マハラノビス距離の平均値、1220…平均値、1230…標準偏差、1240…診断データ、1340…規準化データ、1350…相関行列、1360…逆行列、1370…項目、1400…データ、1401…R1軸データベース、1402…R2軸データベース、1403…θ軸データベース、1404…Z軸データベース、1405…Y軸データベース、1406…予備軸データベース、1407…全軸データベース、1510…正常のみの閾値判定用計測データ、1521…閾値、1522…閾値、1530…OK表示、1531…NG表示、1610…異常のみの閾値判定用計測データ、1620…閾値、1710…診断結果を表示している軸、1711…診断結果を表示している評価、1712…診断結果を表示している結果、1720…最終効果、1721…詳細診断項目、1811…R1軸エンコーダ波形、1813…θ軸エンコーダ波形、1814…Z軸エンコーダ波形、1815…Y軸エンコーダ波形、1821…収集時間S、1822…収集時間S、1830…収集時間S、1910…全軸の診断結果の表、1920…異常軸であるR1軸駆動部、1933…θ軸の動作再現、1934…Z軸の動作再現、1935…Y軸の動作再現、2020…R1軸の動作再現、2030…動作の軌跡と速度を表す点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の駆動軸、前記駆動軸をそれぞれ駆動する複数のモーター、マニピュレータ、及びセンサを有し、前記駆動軸により前記マニピュレータを移動させるロボットの動作診断方法において、
少なくとも1つの前記駆動軸に対し、前記ロボットの診断対象とする動作パターンを設定し、
前記ロボットの初期状態での前記動作パターンにおいて、複数回計測した前記モーターを制御する制御装置の複数の入出力信号と、前記センサまたは前記マニピュレータを制御する機器の複数の入出力信号とを判定データとし、
新たに計測した単一または複数の前記判定データを診断データとし、
統計的パターン認識方法により前記診断データが前記判定データに含まれるか含まれないかを判別することにより、前記新たに計測した時の前記ロボットの動作が正常であるか正常でないかを判定することを特徴とするロボットの動作診断方法。
【請求項2】
請求項1記載のロボットの動作診断方法において、
前記判定データは予め計測されており、
前記ロボットの前記動作パターンが少なくとも1回実行される度に、前記診断データを収集し、
前記ロボットの動作が正常であるか正常でないかを判定するロボットの動作診断方法。
【請求項3】
請求項1記載のロボットの動作診断方法において、
前記動作パターンは、予めロボットに記憶させているティーチングポイントのうち少なくとも任意の2点間を、複数の前記駆動軸が動作して移動するものであるロボットの動作診断方法。
【請求項4】
請求項1記載のロボットの動作診断方法において、
前記判定データ及び前記診断データは、前記モーターを制御する制御装置の複数の入出力信号と前記センサまたは前記マニピュレータを制御する機器の複数の入出力信号とを任意の時に計測したデータであり、
前記動作パターンで任意の回数だけ前記ロボットを動作させ、前記計測したデータのうち変化しないデータを検出し、この検出されたデータを診断対象である計測項目から削除するロボットの動作診断方法。
【請求項5】
請求項4記載のロボットの動作診断方法において、
前記モーターを制御する制御装置の複数の入出力信号と前記センサまたは前記マニピュレータを制御する機器の複数の入出力信号とを計測するタイミングは、少なくとも1つ以上の任意のデジタル信号をトリガとして、このデジタル信号の立ち上がりまたは立ち下りエッジのタイミングで計測するロボットの動作診断方法。
【請求項6】
請求項1記載のロボットの動作診断方法において、
前記統計的パターン認識方法は、マハラノビス・タグチ・メソッドであり、
マハラノビス・タグチ・メソッドの基準空間を、前記動作パターンを設定した前記駆動軸のデータ群として設定するロボットの動作診断方法。
【請求項7】
請求項4記載のロボットの動作診断方法において、
削除された前記計測項目の妥当性を確認するためにマハラノビス・タグチ・メソッドを用い、マハラノビス・タグチ・メソッドの基準空間は、前記動作パターンを設定した前記駆動軸のデータ群であるロボットの動作診断方法。
【請求項8】
請求項6記載のロボットの動作診断方法において、
前記診断データが前記判定データに含まれるか含まれないかを、マハラノビス距離の閾値で判定し、
前記閾値は、前記動作パターンで少なくとも1回以上計測した前記診断データを使用し、前記判定データにより算出した各回のマハラノビス距離と前記診断データのマハラノビス距離とのうち最大となる値に、予め設定された裕度を加算したものであるロボットの動作診断方法。
【請求項9】
請求項8記載のロボットの動作診断方法において、
前記閾値は、単一または複数個を設定可能であり、複数個を設定した場合は、任意のマハラノビス距離に設定可能であるロボットの動作診断方法。
【請求項10】
請求項1のロボットの動作診断方法において、
前記ロボットの動作が正常でないと判定された場合は、統計的パターン認識方法により、前記診断データから、正常でないと判定された原因となっている信号の項目を検出するロボットの動作診断方法。
【請求項11】
請求項1のロボットの動作診断方法において、
前記駆動軸の位置検出信号を周期的に保存し、
前記ロボットの動作が正常でないと判定された場合、または前記ロボットに搭載された機器にアラームが発生した場合は、前記位置検出信号により前記ロボットの動作軌跡を再現するロボットの動作診断方法。
【請求項12】
複数の駆動軸と、
前記駆動軸をそれぞれ駆動する複数のモーターをフィードバック制御する制御装置から構成される駆動制御部と、
前記駆動制御部に位置、速度、及びトルクの指令を出力するモーター制御部と、
ロボットの内部への信号の入出力を行うロボット入出力信号インターフェース部と、
上位装置と通信やデジタル信号の入出力を行う上位装置インターフェース部と、
前記ロボットの動作とシステム全般とを制御する中央演算処理部と、
表示/操作パネルのインターフェース部と、
ティーチングペンダントのインターフェース部と、
マニピュレータ、及びセンサを有して前記駆動軸により前記マニピュレータを移動させるロボットの動作診断を行う動作診断演算処理部と、
前記モーター制御部、前記中央演算処理部、及び前記動作診断演算処理部のデータを格納する内部メモリとを備え、
前記動作診断演算処理部は、
少なくとも1つの前記駆動軸に対し、前記ロボットの診断対象とする動作パターンを設定し、
前記ロボットの初期状態での前記動作パターンにおいて、複数回計測した前記モーターを制御する制御装置の複数の入出力信号と、前記センサまたは前記マニピュレータを制御する機器の複数の入出力信号とを判定データとし、
新たに計測した単一または複数の前記判定データを診断データとし、
統計的パターン認識方法により前記診断データが前記判定データに含まれるか含まれないかを判別することにより、前記新たに計測した時の前記ロボットの動作が正常であるか正常でないかを判定して前記ロボットの動作診断を行う、
ことを特徴とするロボットの制御装置。
【請求項13】
請求項12記載のロボットの制御装置と、
ロードポート部のインターフェース部と、
ファンフィルターユニットのインターフェース部と、
プリアライナーのインターフェース部と、
を備えることを特徴とするミニエンバイロメントシステムの制御装置。
【請求項14】
請求項12記載のロボットの制御装置と、
前記表示/操作パネルのインターフェース部に接続される表示/操作パネルと、
前記ティーチングペンダントのインターフェース部に接続されるティーチングペンダントと、
マニピュレータと、
前記マニピュレータを移動させる複数の駆動軸と、
を備えることを特徴とするロボット。
【請求項15】
請求項13記載のミニエンバイロメントシステムの制御装置と、
前記ロードポート部のインターフェース部に接続されるロードポート部と、
前記ファンフィルターユニットのインターフェース部に接続されるファンフィルターユニットと、
前記プリアライナーのインターフェース部に接続されるプリアライナーと、
ミニエン筐体と
を備えることを特徴とするミニエンバイロメントシステム。
【請求項16】
請求項14記載のロボットにおいて、
前記統計的パターン認識方法は、マハラノビス・タグチ・メソッドであり、
マハラノビス・タグチ・メソッドの基準空間は、前記動作パターンを設定した前記駆動軸のデータ群として設定され、
前記表示/操作パネルまたは前記ティーチングペンダントは、前記基準空間のマハラノビス距離と閾値を求めるために計測した前記診断データのマハラノビス距離とを、散布図または棒グラフとして表示するロボット。
【請求項17】
請求項14記載のロボットにおいて、
前記統計的パターン認識方法は、マハラノビス・タグチ・メソッドであり、
マハラノビス・タグチ・メソッドの基準空間は、前記動作パターンを設定した前記駆動軸のデータ群として設定され、
前記表示/操作パネルまたは前記ティーチングペンダントは、前記基準空間のマハラノビス距離を散布図または棒グラフとして表示し、前記散布図または棒グラフ上での、前記動作診断のために計測した前記診断データのマハラノビス距離の位置を表示し、前記動作診断の結果が異常の場合は、正常の場合とは異なる色で前記結果を表示するロボット。
【請求項18】
請求項14記載のロボットにおいて、
前記表示/操作パネルまたは前記ティーチングペンダントは、前記ロボットの動作が正常でないと判定された場合、正常でないと判定された駆動軸及び計測項目を色つきの棒グラフで表示し、前記正常でないと判定された駆動軸に対応する前記ロボットの部位を前記棒グラフと同色に表示するロボット。
【請求項19】
請求項14記載のロボットにおいて、
前記動作診断演算処理部は、前記駆動軸の位置検出信号を周期的に保存し、前記ロボットの動作が正常でないと判定された場合、または前記ロボットに搭載された機器にアラームが発生した場合は、前記位置検出信号により前記ロボットの動作軌跡を前記表示/操作パネルまたは前記ティーチングペンダントに表示させ、
前記表示/操作パネルまたは前記ティーチングペンダントは、前記ロボットの動作軌跡として前記駆動軸の速度及び位置を点またはベクトルで表示し、前記ロボットの動作軌跡をスローまたは実速度の動画で表示して再現するロボット。
【請求項20】
請求項14記載のロボットにおいて、
前記ロボットの動作が正常でないと判定された場合、前記中央演算処理部は、実装されている全ての機器の動作を緊急停止するロボット。
【請求項21】
請求項14記載のロボットにおいて、
外部メモリのインターフェース部を備え、前記内部メモリに格納されたデータを、前記外部メモリのインターフェース部に接続された外部メモリに転送可能なロボット。
【請求項22】
請求項16〜21のうちいずれか1項記載のロボットを備えるミニエンバイロメントシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−88219(P2011−88219A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241056(P2009−241056)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(000233549)株式会社日立ハイテクコントロールシステムズ (130)
【Fターム(参考)】