説明

ロボットアーム、並びに、ロボットアーム用の外力検知伝達装置及び緩衝装置

【課題】2以上の方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部へ加わったときにその外力によるダメージを軽減する緩衝機能を無給電状態で発揮させることを課題とする。
【解決手段】アーム部30に接続された外輪部材42と関節機構20側に接続された内輪部材43とが、固定軸46回りの相対回転方向と、固定軸46及びアーム長手方向の両方に直交する軸回りの相対回転方向のいずれについても、相対移動の状態で連結されている。当該2つの相対移動方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部へ加わった場合、その外力を利用して無給電状態で検知伝達部材が作動し、これに連動して、その外力の当該力成分に対応した相対移動方向への相対移動を禁止した動力伝達状態が無給電状態で解除される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アーム部に外力が加わったときの衝撃を緩和する緩衝機能を備えたロボットアーム、並びに、ロボットアーム用の外力検知伝達装置及び緩衝装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のロボットアームは、様々な製品の製造工程における産業用ロボットとして利用されるものが多い。産業用ロボットは、通常、オートメーション化された製造ライン上の決められた箇所に固定配置されて稼働するため、そのロボットアームの稼働中に周囲の障害物と衝突するような事態が発生することは予定されていない。また、オートメーション化された製造ラインに配置される産業用ロボットの周囲には、人間が居ない場合が多く、又は居たとしても専門の作業員であるため、そのロボットアームの稼働中に人間が衝突するような事態も予定されていない。一方、近年、ロボットアームの利用分野が拡大し、人間の介護や医療の現場あるいは家庭内などにおいて、ロボットアームの積極的な利用が期待されている。このような利用場面では、ロボットアームに周囲の障害物や人間などが衝突するような事態が予想される。そのため、障害物や人間がロボットアームに衝突しても、その衝撃を緩和して、障害物や人間あるいはロボットアームが受けるダメージを軽減する技術が必要となる。
【0003】
特許文献1には、ダンパやばねなどの柔軟機構を関節部に備え、障害物への衝突時に当該障害物に対する衝突の衝撃を緩和させることを可能としたロボットアームが開示されている。
また、特許文献2には、サーボ装置に接続されたサーボホーンの接合面上に円周状に配置された複数の円頭状凸部と連結部材の接合面上に設けられた複数の凹部とを連結させてサーボ装置の回転力が連結部材へ伝達されるように構成し、連結部材に接続されたアーム部を駆動できるロボットアームが開示されている。このロボットアームでは、弾性体の性質を有するワッシャの締め付けによってサーボホーンの接合面と連結部材の接合面とが近づく方向に付勢されており、これによりサーボホーン上の凸部と連結部材上の凹部との連結が維持されている。このロボットアームを備えたロボットが転倒事故を起こしてアーム部の移動可能方向(自由度方向)に大きな力が加わると、ワッシャの弾性変形によってサーボホーンの凸部が連結部材の凹部から抜け出し、連結が解除される。これにより、アーム部は、サーボ装置側から解放され、自由度方向への移動が自在となって緩衝機能が発揮される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示されたロボットアームの柔軟機構は、無給電状態でも緩衝機能を発揮できる構成であるため、電気的なトラブルで緩衝機能を発揮できないような事態が発生しない。この点で、電気的な制御によって緩衝機能を実現する構成と比較して、信頼性が高いという利点がある<U>。し</U>かしながら、このロボットアームは、衝突時の瞬間的な衝撃については柔軟機構によって無給電状態で緩衝できるが、衝突後もアーム部が障害物に向けて移動し続けたり、衝突後も障害物がアーム部を押し込んだりしたときのアーム部と障害物との当接圧は無給電状態では軽減できない。この衝突後の当接圧軽減のための構成には、電気的な制御が使用されている。詳しくは、関節部に設けた角度センサの検出結果と柔軟機構の影響とを考慮して、衝突後に関節部の制御目標角度を衝突後に検出した角度となるように修正し、衝突後の当接圧が理想的にはゼロになるように駆動制御を行う。そのため、特許文献1に開示のロボットアームは、衝突時の瞬間的な衝撃だけでなく衝突後の押し込み力の軽減も含めた広義の緩衝機能については、無給電状態では実現できておらず、この点で信頼性が低い。
【0005】
更に、前記特許文献1に開示のロボットアームが有する柔軟機構は、アーム部を駆動するための駆動力伝達経路内に配置されている。そのため、アーム部で重い物体を移動させる場合など、一定以上の大きな駆動負荷が加わる状況下でロボットアームを稼働させると、アーム部が障害物と衝突していなくても柔軟機構の緩衝機能が発揮されてしまう。この場合、アーム部の移動位置が制御目標値から外れてしまい、アーム部の適切な駆動制御を実現することが困難となる。そのため、このようなロボットアームの利用態様は、比較的軽い物体を移動させるような駆動負荷が小さい状況下に限定されてしまう。一方、大きな駆動負荷が加わる状況下でも適切な駆動制御を実現するために柔軟機構の柔軟性を低下させると、衝突時の緩衝機能が不十分となり、狙いの緩衝機能を得ることができなくなる。
【0006】
また、前記特許文献2に開示のロボットアームでは、自由度方向への衝撃を受けた時点以降、アーム部がサーボ装置側から解放され、自由度方向への移動が自在となって緩衝機能が発揮される。そのため、このロボットアームによれば、衝突時の瞬間的な衝撃の緩和だけでなく衝突後の当接圧の軽減も含めた広義の緩衝機能(以下、単に「緩衝機能」というときは広義の緩衝機能を意味するものとする。)が無給電状態で実現でき、信頼性が高い。しかしながら、このロボットアームも、アーム部で重い物体を移動させる場合など、一定以上の大きな駆動負荷が加わる状況下でロボットアームを稼働させると、アーム部が障害物と衝突していなくても、ワッシャの弾性変形によってサーボホーンの凸部が連結部材の凹部から抜け出してしまい、ロボットアームの適切な駆動制御を実現することが困難となる。そのため、このロボットアームの利用態様も、比較的軽い物体を移動させるような駆動負荷が小さい状況下に限定されてしまう。一方、大きな駆動負荷が加わる状況下でも適切な駆動制御を実現するためにワッシャの弾性を高めると、緩衝機能が不十分となり、狙いの緩衝機能を得ることができなくなる。
【0007】
そこで、本発明者らは、障害物や人間などとの衝突によってアーム部に一定以上の外力が加わらない限り、大きな駆動負荷が加わる状況下でも緩衝機能が発揮されず、かつ、ひとたび当該外力が加わったときには無給電状態で緩衝機能が発揮される信頼性の高いロボットアームを開発した。このロボットアームは、1つの関節部を有する一自由度の関節機構に取り付けられたアーム部が当該関節機構を支点として当該自由度方向へ回動する構成となっている。このロボットアームの関節部は、当該自由度方向に沿って回転するアウターディスク(連結部)と、その内部で回転可能なインナーディスク(被連結部)とから構成されている。インナーディスクは、駆動源に接続されていて駆動源からの駆動力によって回転する。アウターディスクには、アーム部に接続されていて、アウターディスクとアーム部とは一体となって回転する。インナーディスク上には、径方向外側に付勢されたインナースライダー(動力伝達解除手段)が設けられており、その付勢方向先端部はその付勢によってインナーディスクの周縁部よりも径方向外方へ突出する。通常時、インナーディスク上のインナースライダーの付勢方向先端部は、アウターディスク上の周縁部の一部に設けられたスライダー挿入凹部に嵌り込んだ状態で維持されている。よって、通常時はインナーディスクとアウターディスクとの相対移動が禁止された状態となり、これらは一体回転するので、駆動源からの駆動力によってアーム部が自由度方向へ回動することができる。
【0008】
このロボットアームの自由度方向に面するアーム部側面には、その自由度方向から外力を受けると、その外力に押し込まれて変位する被衝突板が備わっている。この被衝突板が変位すると、リンク機構を介してインナーディスク上のインナースライダーが径方向内側に向けてスライドし、インナースライダーとアウターディスクとの連結が解除される。これにより、インナースライダーとアウターディスクとが相対移動自在となる。その結果、アーム部は、駆動源側から解放されて自由度方向への移動が自在となり、緩衝機能が発揮される。
【0009】
このロボットアームによれば、アーム部で重い物体を移動させる場合など、大きな駆動負荷が加わる状況下でロボットアームが稼働する場合でも、その駆動負荷はインナースライダーを径方向内側へスライドさせる作用を有しないので、インナーディスクとアウターディスクとの連結状態は維持される。一方、ひとたび障害物や人間との衝突が発生して、その外力によってアーム部の被衝突板が変位すると、インナーディスクとアウターディスクとの連結状態が解除され、緩衝機能が発揮される。しかも、この緩衝機能は電気的な制御を用いずに実現されており、無給電状態で緩衝機能が発揮される。
【0010】
しかしながら、このロボットアームは、被衝突板の板面に対する法線方向という一方向について、その方向の力成分を一定以上有する外力に対してしか、緩衝機能を発揮することができないという問題点があった。
また、このロボットアームは、被衝突板の板面に対する法線方向という一方向についてしか、その方向の力成分を一定以上有する外力を検知できない点も問題点であった。
【0011】
本発明は、以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、2以上の方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部へ加わったときに、その外力によるダメージを軽減する緩衝機能を無給電状態で発揮できる信頼性の高いロボットアーム、並びに、ロボットアーム用の外力検知伝達装置及び緩衝装置を提供することである。
また、本発明は、2以上の方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部へ加わったときに、その外力を検知できるロボットアーム用の外力検知伝達装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、駆動源と、アーム部と、前記駆動源からの駆動力によって前記アーム部を所定の自由度方向へ移動させる関節機構と、前記アーム部に接続された連結部と該連結部に連結する被連結部とが相対移動自在な状態で連結され、かつ、該連結部と該被連結部との間の相対移動を禁止した動力伝達状態から該相対移動の禁止を解除する動力伝達解除状態へ無給電状態で切り替え可能な連結解除機構とを有し、前記動力伝達状態において前記駆動源からの駆動力により前記アーム部を前記所定の自由度方向へ移動させるロボットアームであって、前記連結解除機構は、前記連結部と前記被連結部とを2以上の相対移動方向へ相対移動自在に連結しており、前記2以上の相対移動方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力が前記アーム部へ加わったときに該外力を利用して無給電状態で作動する検知伝達部材を備えた外力検知伝達機構を有し、前記連結解除機構は、前記検知伝達部材の作動に連動して、前記アーム部に加わった外力が有する前記力成分に対応した相対移動方向への相対移動を禁止した動力伝達状態をその動力伝達解除状態へ切り替えることを特徴とするものである。
このロボットアームにおいては、連結解除機構における連結部と被連結部とが相対移動可能な2以上の相対移動方向のいずれについても、その方向の力成分(以下「特定力成分」という。)を一定以上有する外力がアーム部へ加わった場合には、その外力を利用して検知伝達部材が無給電状態で移動し、その外力を受けたことを連結解除機構へ伝達することができる。そして、前記外力がアーム部に加わり、その外力によって検知伝達部材が移動すると、連結解除機構は、これに連動して、アーム部に加わった外力が有する特定力成分に対応した相対移動方向への相対移動を禁止した動力伝達状態を解除状態へ切り替える。これにより、当該相対移動方向についての連結部と被連結部との相対移動が自在な状態となり、アーム部に加わった外力の特定力成分を受け流すことができ、その外力によるダメージを軽減する緩衝機能が無給電状態で発揮できる。
このように、本ロボットアームによれば、2以上の方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部へ加わったときに、その外力を無給電状態で検知し、かつ、その外力によるダメージを軽減する緩衝機能を無給電状態で発揮することができる。
【0013】
また、請求項2の発明は、請求項1のロボットアームにおいて、前記外力検知伝達機構は、前記2以上の相対移動方向ごとに異なる2以上の検知伝達部材を備えていて、前記アーム部に加わった外力の前記力成分に対応した相対移動方向についての検知伝達部材のみを作動させるように構成されており、前記連結解除機構は、各検知伝達部材の作動に連動して、作動した検知伝達部材に対応する相対移動方向のみの相対移動を禁止した動力伝達状態をその動力伝達解除状態へ切り替えることを特徴とするものである。
このロボットアームにおいては、アーム部に加わった外力の特定力成分に対応した相対移動方向のみ、被連結部及び連結部の相対移動の禁止が解除される。これにより、アーム部に加わった外力の緩衝に必要な方向への緩衝機能だけが発揮され、不要な方向への緩衝機能は発揮されない。
【0014】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2のロボットアームにおいて、前記連結解除機構は、単一の連結部で、前記連結部及び前記被連結部を前記2以上の相対移動方向へ相対移動自在に連結することを特徴とするものである。
このロボットアームにおいては、複数の連結箇所で、被連結部と連結部とを前記2以上の相対移動方向へ相対移動自在とする場合と比較して、連結解除機構が小型化することが可能である。
【0015】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のロボットアームにおいて、前記外力検知伝達機構の検知伝達部材は、前記アーム部の長手方向に沿って移動可能に構成されており、前記アーム部は、該アーム部の長手方向に対して直交する方向の力成分を一定以上有する外力を受けることで、該力成分を受け流す向きへ変位可能なアーム側面部材を備えており、前記外力検知伝達機構は、前記アーム側面部材の変位に連動して前記検知伝達部材を前記アーム部の長手方向に沿って移動させるリンク機構を備えていることを特徴とするものである。
このロボットアームにおいては、アーム部の長手方向に対して直交する方向からアーム部に加わる外力を検知して連結解除機構へスムーズに伝達できる構成を簡易に実現できる。
【0016】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のロボットアームにおいて、前記アーム部は、該アーム部の長手方向に対して直交する方向の力成分を一定以上有する外力を受けることで変形可能な柔軟性を有する流体封入部材によって構成されたアーム側面部材を備えており、前記外力検知伝達機構の検知伝達部材は、前記流体封入部材の変形による封入流体の移動に連動して移動するように構成されていることを特徴とするものである。
このロボットアームにおいては、外力を受けるアーム側面部材が柔軟性を有する流体封入部材によって構成されているので、剛性の高い材料でアーム側面部材が構成されている場合よりも、衝突時の瞬間的な衝撃の軽減に有効である。また、流体封入部材の変形による封入流体の移動に連動して検知伝達部材が移動するように構成されているため、どのような方向の外力が流体封入部材に加わっても、流体封入部材の変形による封入流体の安定した移動が実現でき、検知伝達部材を安定して移動させることができる。よって、幅広い加力方向に対応することが容易となる。
【0017】
また、請求項6の発明は、駆動源と、アーム部と、前記駆動源からの駆動力によって前記アーム部を所定の自由度方向へ移動させる関節機構と、前記アーム部に接続された連結部と該連結部に連結する被連結部とが相対移動自在な状態で連結され、かつ、該連結部と該被連結部との間の相対移動を禁止した動力伝達状態から該相対移動の禁止を解除する動力伝達解除状態へ無給電状態で切り替え可能な連結解除機構とを有し、前記動力伝達状態において前記駆動源からの駆動力により前記アーム部を前記所定の自由度方向へ移動させるロボットアームにおける、前記アーム部に加わった外力を検知して前記連結解除機構へ伝達するロボットアーム用の外力検知伝達装置であって、2以上の方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力が前記アーム部へ加わったときに該外力を利用して無給電状態で作動する検知伝達部材を有することを特徴とするものである。
このロボットアーム用の外力検知伝達装置においては、2以上の方向(検知方向)のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部へ加わった場合には、その外力を利用して検知伝達部材が移動し、当該外力を無給電状態で検知して連結解除機構へ伝達することができる。なお、ロボットアームの連結解除機構における連結部と被連結部との相対移動方向を2以上とし、本外力検知伝達装置における検知方向をこれに対応させれば、当該2以上の方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力によるダメージを軽減できる緩衝機能を発揮させることができる。
【0018】
また、請求項7の発明は、駆動源と、アーム部と、前記駆動源からの駆動力によって前記アーム部を所定の自由度方向へ移動させる関節機構と、2以上の方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力が前記アーム部へ加わったときに該外力を利用して無給電状態で作動する検知伝達部材を備えた外力検知伝達機構とを有するロボットアームに利用されるロボットアーム用の緩衝装置において、前記アーム部に接続された連結部と該連結部に連結する被連結部とが前記2以上の方向の力成分それぞれを受け流す2以上の相対移動方向へ相対移動自在な状態で連結され、かつ、該連結部と該被連結部との間の相対移動を禁止した動力伝達状態から該相対移動の禁止を解除する動力伝達解除状態へ無給電状態で切り替え可能な連結解除機構を有し、前記検知伝達部材の作動に連動して、前記アーム部に加わった外力が有する前記力成分に対応した相対移動方向への相対移動を禁止した動力伝達状態からその動力伝達解除状態へ切り替えることを特徴とするものである。
このロボットアーム用の緩衝装置においては、連結部と被連結部とが相対移動可能な2以上の相対移動方向のいずれについても、その方向の力成分(特定力成分)を一定以上有する外力がアーム部へ加わった場合には、これを検知した検知伝達部材の移動に連動して、当該外力によるダメージを軽減できる相対移動方向への相対移動の禁止が無給電状態で解除され、緩衝機能が発揮される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、2以上の方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部へ加わったときに、その外力によるダメージを軽減する緩衝機能を無給電状態で発揮できる信頼性の高いロボットアームを提供できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態におけるロボットアームの正面図である。
【図2】同ロボットアームの側面図である。
【図3】同ロボットアームにおける緩衝機能を実現するための主要部を示す斜視図である。
【図4】(a)及び(b)は、実施形態における外力検知伝達機構の構成及び動作を示す断面図である。
【図5】(a)及び(b)は、実施形態における緩衝機構の構成及び動作を示す断面図である。
【図6】同緩衝機構の分解斜視図である。
【図7】実施形態における内輪部材の分解斜視図である。
【図8】(a)及び(b)は、第1検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部に加わったときのダンパーばねの動作を説明するための説明図である。
【図9】(a)及び(b)は、第2検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部に加わったときのダンパーばねの動作を説明するための説明図である。
【図10】変形例のロボットアームにおける関節機構及びアーム部の部分拡大図である。
【図11】(a)及び(b)は、変形例における外力検知伝達機構の構成及び動作を示す説明図である。
【図12】変形例における関節機構の構成を示す斜視図である。
【図13】(a)及び(b)は、同関節機構における緩衝機能に関わる構成及び動作を説明するための説明図である。
【図14】外力を受けることで変形可能な柔軟性を有する流体封入部材を利用した外力検知伝達機構の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るロボットアームの一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態におけるロボットアームの正面図である。
図2は、本実施形態におけるロボットアームの側面図である。
本実施形態のロボットアームは、主に、台座10と、関節機構20と、アーム部30とから構成されている。なお、本実施形態では、台座上にロボットアームを搭載した例について説明するが、本発明に係るロボットアームは、これに限らず、例えば、人間型ロボットの腕部、脚部、頭部(首関節を含む。)、胴体部(腰関節を含む。)などの関節を有する部位に広く使用することができる。
【0022】
本ロボットアームの台座10は、下プレート15の底面に、オムニホイール等から構成される車輪11が取り付けられている。これにより、車輪11の回転によって本ロボットアームが全方向移動できるように構成されている。台座10の下プレート15の上面には、本ロボットアームの駆動制御を実行する駆動制御部12が搭載されている。駆動制御部12は、CPU等の演算装置や、駆動制御プログラム等を記憶するROM、データを一時保持するRAM等のデータ記憶装置などを搭載した電気回路等から構成されている。駆動制御部12は、演算装置が所定の駆動制御プログラムを実行することにより、アーム部30の移動などの各種動作を実現する。また、台座10は、下プレート15の上面から鉛直方向上向きへ延びる6本の足部13によって上プレート14を支持している。
【0023】
本ロボットアームの関節機構20は、それぞれ一自由度を有する下関節部21及び上関節部22によって二自由度を実現している。下関節部21の筐体内部には、旋回用駆動モータ23が搭載されている。この旋回用駆動モータ23は、そのモータ軸が鉛直方向に沿うように下関節部21の筐体内部に配置されている。旋回用駆動モータ23は、台座10の上プレート14に固定されている。また、下関節部21の筐体には、ハーモニックドライブ(登録商標)を介して上関節部22のベース22aが固定されている。よって、駆動制御部12の制御命令に従って旋回用駆動モータ23が回転駆動すると、そのモータ軸を回転中心として、本ロボットアームにおける関節機構20の上関節部22を含んだアーム部30側の部分が台座10に対して相対回転移動する。本実施形態では、台座10が床面に固定してあるので、旋回用駆動モータを回転駆動させることにより、そのモータ軸23を回転中心にしてアーム部30を旋回移動させることができる。
【0024】
関節機構20の上関節部22には、2つの側板24が設けられており、2つの側板24は連結板24aによって一体に形成されている。2つの側板24は、上関節部22のベース22aに回動可能に支持されている。上関節部22には、上下回動用駆動モータ25のモータ軸が水平方向(図1中左右方向)に向くように当該上下回動用駆動モータ25が搭載されている。上下回動用駆動モータ25のモータ軸は、ハーモニックドライブ(登録商標)等の減速機構26を介して、2つの側板24の一方(図1中左側の側板24)に取り付けられている。これにより、駆動制御部12の制御命令に従って上下回動用駆動モータ25が回転駆動すると、そのモータ軸を回転中心として、上関節部22における2つの側板24が下関節部21に固定されたベース22aに対して相対回転移動する。2つの側板24の上部には、連結解除機構である緩衝機構40が固定されており、アーム部30は、この緩衝機構40を介して、上関節部22における2つの側板24に取り付けられている。よって、上下回動用駆動モータ25を回転駆動させることにより、そのモータ軸を回転中心にしてアーム部30を上下方向へ回動させることができる。
【0025】
本ロボットアームのアーム部30は、アーム長手方向に延びる基部31と、アーム部の長手方向に対して直交する方向(アーム側面方向)へ変位できるように基部31へ取り付けられたアーム側面部材32とから構成されている。基部31における関節機構20側の端部は、関節機構20に搭載されている緩衝機構40に取り付けられている。基部31におけるアーム先端側の端部には、ロボットアームによって運搬する運搬対象物を把持するための把持部であるハンド50が取り付けられている。
【0026】
ハンド50は、固定ハンド部51と、可動ハンド部52と、これらの間に設けられたスライド駆動部53とから構成されている。スライド駆動部53は、駆動制御部12の制御命令に従って、固定ハンド部51と可動ハンド部52とを近接・離間させる方向へ駆動することができる。これにより、固定ハンド部51と可動ハンド部52との間に運搬対象物を挟持する動作を行うことができる。
【0027】
以上より、本実施形態におけるロボットアームは、鉛直方向に延びる回転軸を中心としたアーム部30の旋回移動と、水平方向に延びる回転軸を中心としたアーム部30の上下回動という二自由度のアーム駆動を実現することができる。そして、この二自由度の範囲内で50で把持した運搬対象物を自由に運搬することができる。
【0028】
次に、本発明の特徴部分である、ロボットアームの緩衝機能について説明する。
図3は、本実施形態のロボットアームにおける緩衝機能を実現するための主要部を示す斜視図である。
本実施形態のロボットアームは、アーム部30の長手方向に対して直交する方向のいずれの方向についても、その方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部30へ加わった場合に、その外力を無給電状態で検知して、その外力によるダメージを軽減する緩衝機能を無給電状態で発揮できる構成を採用している。この構成は、主に、このような外力を検知するアーム部30に設けられた外力検知伝達機構(ロボットアーム用の外力検知伝達装置)と、その検知結果に応じて緩衝機能を発揮する関節機構20に設けられた緩衝機構40とによって実現される。
【0029】
なお、図3は、外力検知伝達機構が搭載されたアーム部30と緩衝機構40とが分離した状態を示しているが、組み立て後の状態では、アーム部30の基部31が緩衝機構40の筐体上の2本の固定部材41に固定される。
【0030】
図4(a)及び(b)は、本実施形態における外力検知伝達機構の構成及び動作を示す断面図である。
アーム部30に搭載された外力検知伝達機構は、円筒状のアーム側面部材32の内壁に固定された4つの固定部材33A,33Bと、アーム部30の基部31に対してアーム長手方向に沿ってスライド移動可能に取り付けられた4つのスライド部材34A,34Bと、各固定部材33A,33Bと各スライド部材34A,34Bとの間をそれぞれ連結する連結ロッド35A,35Bと、スライド部材34A,34Bの動きに連動してスライド移動する検知伝達部材としてのスライドロッド36A,36Bとから構成されている。
【0031】
4つの固定部材33A,33Bは、円筒状のアーム側面部材32の周方向位置が互いに90度ずつずれた位置に配置されている。4つのスライド部材34A,34Bは、それぞれ対応する固定部材33A,33Bと対向する位置に配置されている。固定部材33A,33Bと連結ロッド35A,35Bとの間、及び、スライド部材34A,34Bと連結ロッド35A,35Bとの間は、いずれもボールジョイントを介して連結されている。
【0032】
本実施形態においては、互いに対向する2つの固定部材33A、並びに、これに対応する2つのスライド部材34A、連結ロッド35A、スライドロッド36Aが1組となって、第1検知伝達機構が構成されている。また、互いに対向する2つの固定部材33B、並びに、これに対応する2つのスライド部材34B、連結ロッド35B、スライドロッド36Bが1組となって、第2検知伝達機構が構成されている。第1検知伝達機構は、2つの固定部材33Aが互いに対向する方向(図4中左右方向)に沿った方向の力成分を一定以上有する外力を検知して緩衝機構40に伝達することができる。第2検知伝達機構は、2つの固定部材33Bが互いに対向する方向(図4中紙面前後方向)に沿った方向の力成分を一定以上有する外力を検知して緩衝機構40に伝達することができる。各検知伝達機構は、平行クランク機構のように機能する。
【0033】
図4(a)に示す通常状態のアーム部30において、移動中のアーム部30のアーム側面部材32が障害物や人間など(以下「障害物等」という。)に衝突したり、あるいは、移動中又は非移動中のアーム部30のアーム側面部材32に障害物等が衝突したりする場合がある。このような場合に、例えば図4中左右方向すなわち第1検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力が図4(b)に示すようにアーム側面部材32に加わると、アーム側面部材32は、その外力の当該力成分を受け流す向き(図4中左向き)へ、アーム部30の基部31に対して相対的に例えば5[mm]程度変位する。この変位により、アーム側面部材32に障害物等が衝突した時の瞬間的な衝撃が緩和される。
【0034】
また、この変位により、第1検知伝達機構における外力を受けた側の固定部材33A(図4中右側の固定部材33A)は基部31に近づく。そして、この固定部材33Aに連結ロッド35Aを介して連結したスライド部材34Aは、スライドロッド36Aが設けられたアーム長手方向端部とは反対側の端部に向けてスライド移動する。一方、第1検知伝達機構における外力を受けた側とは反対側の固定部材33A(図4中左側の固定部材33A)は基部31から離れる。そして、この固定部材33Aに連結ロッド35Aを介して連結したスライド部材34Aは、スライドロッド36Aが設けられたアーム長手方向端部に向けてスライド移動する。このスライド部材34Aのスライド移動により、スライドロッド36Aは、そのスライド部材34Aの端部に押されて、図4(a)に示す通常位置から図4中下向きすなわち緩衝機構40に向けてスライド移動し、図4(b)に示すように検知伝達位置に位置する。
【0035】
なお、図4中左側からアーム側面部材32が外力を受けた場合には、第1検知伝達機構における外力を受けた側とは反対側の固定部材33A、すなわち、図4中右側の固定部材33Aが基部31から離れる。そして、この固定部材33Aに連結ロッド35Aを介して連結したスライド部材34Aが、スライドロッド36A側のアーム長手方向端部に向けてスライド移動し、スライドロッド36Aが図4(b)中の矢印の向き(図中下向き)へスライド移動する。したがって、図4中左右方向すなわち第1検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力がアーム側面部材32に加わった場合、その向きが図中右向きの場合でも左向きの場合でも、スライドロッド36Aが図4(b)中の矢印の向き(図中下向き)すなわち緩衝機構40に向けてスライド移動する。
【0036】
同様に、例えば図4中紙面前後方向すなわち第2検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力が図4中紙面手前側から奥側に向けてアーム側面部材32に加わると、アーム側面部材32は、その外力の当該力成分を受け流す向き(図4中紙面奥側)へ変位する。この変位により、第2検知伝達機構における外力を受けた側の固定部材33B(図4中手前側の固定部材33B)は基部31に近づく。そして、この固定部材33Bに連結ロッド35Bを介して連結したスライド部材34Bは、スライドロッド36Bが設けられたアーム長手方向端部とは反対側の端部に向けてスライド移動する。一方、第2検知伝達機構における外力を受けた側とは反対側の固定部材33B(図4中奥側の固定部材33B)は基部31から離れる。そして、この固定部材33Bに連結ロッド35Bを介して連結したスライド部材34Bは、スライドロッド36Bが設けられたアーム長手方向端部に向けてスライド移動する。このスライド部材34Bのスライド移動により、スライドロッド36Bはそのスライド部材34Bの端部に押されて、通常位置から図4中下向きすなわち緩衝機構40に向けてスライド移動し、検知伝達位置に位置する。図4中奥側からアーム側面部材32が外力を受けた場合も同様である。
【0037】
本実施形態においては、各固定部材33A,33Bと各スライド部材34A,34Bとの間がボールジョイントを有する連結ロッド35A,35Bによって連結されているので、第1検知伝達機構の固定部材33Aと、第2検知伝達機構の固定部材33Bとを、独立して変位させることができる。よって、本実施形態においては、第1検知伝達機構の検知方向の外力と、第2検知伝達機構の検知方向の外力とを、区別して検知することができる。
【0038】
第1検知伝達機構の検知方向の力成分と第2検知伝達機構の検知方向の力成分とをそれぞれ一定以上有する外力がアーム側面部材32に加わった場合には、いずれの検知伝達機構も動作して、2つのスライドロッド36A,36Bが緩衝機構40に向けてスライド移動することになる。したがって、本実施形態においては、円筒状のアーム側面部材32の周方向いずれの方向から外力を受けた場合でも、その外力を受け流す向きへアーム側面部材32が変位し、スライドロッド36A,36Bを介して緩衝機構40に外力の検知を伝達することができる。
【0039】
次に、第1検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部30のアーム側面部材32に加わった場合について、緩衝機構の構成及び動作について説明する。
図5(a)及び(b)は、本実施形態における緩衝機構40の構成及び動作を示す断面図である。
本実施形態の緩衝機構40は、外輪部材(連結部)42と、その内部で外輪部材42に対して相対回転可能な内輪部材(被連結部)43とを備えている。内輪部材43には、その回転中心軸を貫通するように固定軸46が固定されており、この固定軸46の両端は、図1に示すように、関節機構20における上関節部22の側板24に固定されている。外輪部材42の外壁には、図3及び図5に示すように、アーム部30の基部31を固定するための2本の固定部材41が形成されている。この2本の固定部材41を介してアーム部30が外輪部材42に固定される。
【0040】
内輪部材43には、図5(a)及び(b)に示すように、圧縮バネ45Aによって径方向外側に付勢された動力伝達解除手段としてのインナースライダー44Aが内蔵されている。アーム部30のアーム側面部材32に障害物等が衝突していない通常状態では、図5(a)に示すように、圧縮バネ45Aの付勢力によって径方向外側に付勢されたインナースライダー44Aの先端部分は、内輪部材43の周縁部よりも径方向外方へ突出した状態になる。この状態において、このインナースライダー44Aの先端部分は、外輪部材42上の周縁部の一部に設けられたスライダー挿入凹部42aを貫通する。このインナースライダー44Aの先端部は、通常位置に位置するスライドロッド36Aの先端部に当接し、この状態でインナースライダー44Aの位置(突出位置)が保持される。よって、通常状態においては、インナースライダー44Aによって内輪部材43と外輪部材42との固定軸46回りの相対回転が禁止された状態となり、内輪部材43と外輪部材42とが一体となる。内輪部材43は、関節機構20における上関節部22の側板24に固定されているので、外輪部材42に固定されたアーム部30は、関節機構20における上関節部22及び下関節部21の駆動に伴って移動することができる。
【0041】
一方、図5(a)に示す通常状態において、第1検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部30のアーム側面部材32に加わり、通常位置に位置していたスライドロッド36Aが検知伝達位置へスライド移動した場合、突出位置に位置しているインナースライダー44Aは、スライドロッド36Aに押されて、図5(b)に示すように、その先端部が内輪部材43の周縁部の内側まで引っ込んだ引込位置までスライド移動する。このようにしてインナースライダー44Aが図5(b)に示す引込位置まで移動すると、内輪部材43と外輪部材42との相対回転を禁止した動力伝達状態が解除された動力伝達解除状態となる。よって、外輪部材42は、内輪部材43に対して固定軸46回りの相対回転が自在になる。
【0042】
したがって、本実施形態においては、第1検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部30のアーム側面部材32に加わった場合、第1検知伝達機構のスライドロッド36Aがスライド移動して、内輪部材43と外輪部材42との固定軸46回りの相対回転を禁止した状態が解除される。その結果、外輪部材42に固定されたアーム部30は、内輪部材43の拘束を離れて固定軸46を中心とした回転方向に回転自在な状態になる。すなわち、外輪部材42に固定されたアーム部30は、アーム側面部材32に加わった外力の当該力成分を受け流す向きへ回動自在となり、この外力の緩衝機能が発揮される。
【0043】
次に、第2検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部30のアーム側面部材32に加わった場合について、緩衝機構の構成及び動作について説明する。
図6は、本実施形態における緩衝機構40の分解斜視図である。
本実施形態において、内輪部材43と外輪部材42とが相対移動できる方向は、第1検知伝達機構の検知方向の力成分を受け流すことができる固定軸46回りの相対回転方向と、第2検知伝達機構の検知方向の力成分を受け流すことができる固定軸46と直交する軸(アーム長手方向とも直交する軸。以下「第2相対回転軸C」という。)を中心とした相対回転方向の2つである。
【0044】
本実施形態では、この2つの方向への相対回転を単一の連結部で実現するため、図6に示すように、固定軸46に対する内輪部材43の周面が球面状である太鼓型形状の内輪部材43を用い、これを覆うように配置される外輪部材42の内壁面も内輪部材43の周面形状に合わせて球面状としている。
【0045】
また、本実施形態では、この2つの方向への相対回転を単一の連結部で実現するため、第1検知伝達機構のスライドロッド36Aを介して外力の検知が伝達されたときに内輪部材43と外輪部材42との固定軸46回りの相対回転を第2検知伝達機構のスライドロッド36Bやインナースライダー44Bが妨げないように、図6に示すように、インナースライダー44Bの先端部分が貫通する外輪部材42上のスライダー挿入凹部42bが固定軸46の周方向に延びている。
【0046】
同様に、第2検知伝達機構のスライドロッド36Bを介して外力の検知が伝達されたときに内輪部材43と外輪部材42との第2相対回転軸C回りの相対回転を第1検知伝達機構のスライドロッド36Aやインナースライダー44Aが妨げないように、図6に示すように、インナースライダー44Aの先端部分が貫通する外輪部材42上のスライダー挿入凹部42aが第2相対回転軸Cの周方向に延びている。また、内輪部材43に固定された固定軸46は、固定軸46の軸方向における外輪部材42の両端部板42cに設けられた貫通孔42dを貫通して、図1に示すように、関節機構20における上関節部22の側板24に固定されている。よって、内輪部材43と外輪部材42とが第2相対回転軸C回りに相対回転する場合に、この固定軸46が妨げにならないように、両端部板42cの貫通孔42dを第2相対回転軸Cの周方向へ長尺に形成してある。
【0047】
図7は、本実施形態における内輪部材43の分解斜視図である。
インナースライダー44A,44Bは、図示しない圧縮バネを介して内輪主軸部材43aに取り付けられている。本実施形態では、内輪部材43が外輪部材42に対して滑らかに相対回転できるように、内輪部材43の周面部材43bの外表面に、複数のボールベアー43cが組み込まれている。
【0048】
内輪部材43の内部には、4つのダンパーばね43dが設けられている。ダンパーばね43dのダンパー軸部43eは、固定軸46の軸方向における内輪部材43の両端部板43fに設けられた貫通孔を介して、固定軸46の軸方向に沿って内輪部材43の外部へ突出している。このダンパーばね43dは、アーム部30に加えられた外力により内輪部材43と外輪部材42とが相対回転自在になって、当該外力により内輪部材43に対して外輪部材42が相対回転した際の回転力を吸収する機能を果たす。特に、本実施形態のダンパーばね32dは、骨ばねで外からの荷重を支え、ばねを覆っている粘弾性体で振動を吸収するようになっているため、高い緩衝機能を実現できる。また、このダンパーばね43dは、アーム部30に加わっていた外力が無くなったときに、内輪部材43に対して相対回転した外輪部材42を逆回転させて、再び、緩衝機構40及びアーム部30のアーム側面部材32を通常状態に戻す機能を果たす。
【0049】
図8(a)及び(b)は、第1検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部30に加わったときのダンパーばね43dの動作を説明するための説明図である。
図8(a)に示す通常状態において、第1検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部30に加わった場合、図8(b)に示すように、例えば外輪部材42が内輪部材43に対して固定軸46回りに図中矢印の向きへ相対回転する。外輪部材42の両端部板42cの内壁面には、突起部42eが設けられている。外輪部材42が内輪部材43に対して固定軸46回りに相対回転すると、その相対回転方向の先頭側に面する突起部42eの傾斜面が内輪部材43のダンパー軸部43eに当接する。内輪部材43に対する外輪部材42の相対回転が進むにつれて、外輪部材42の突起部42eの傾斜面に沿って内輪部材43のダンパー軸部43eが押し込まれていく。その結果、そのダンパー軸部43eのダンパーばね32dの粘弾性体の作用で、衝撃が吸収される。
【0050】
更に、ダンパーばね32dは、ダンパー軸部43eの押し込み量に応じて、その押し込みを戻そうとする抗力を発揮する。この抗力は、内輪部材43に対する外輪部材42の相対回転を戻そうとする力となるので、アーム部30に加わっている外力を押し戻す力が発揮される。その結果、アーム部30に加わっていた外力が無くなったとき、内輪部材43に対して相対回転した外輪部材42が逆回転する。そして、内輪部材43のインナースライダー44Aが外輪部材42のスライダー挿入凹部42aと対向する位置まで逆回転すると、圧縮バネ45Aの付勢力によりインナースライダー44Aがスライダー挿入凹部42aに挿入され、緩衝機構40は内輪部材43と外輪部材42との固定軸46回りの相対回転が禁止された通常状態(動力伝達状態)に戻る。また、インナースライダー44Aがスライダー挿入凹部42aに挿入されることで、アーム部30のスライドロッド36Aも検知伝達位置から通常位置まで押し戻される。これにより、スライド部材34Aがスライド移動し、これに連動して固定部材33Aがアーム側面方向へ変位し、アーム側面部材32は外力を受ける前(変位前)の通常状態に戻る。
【0051】
図9(a)及び(b)は、第2検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部30に加わったときのダンパーばね43dの動作を説明するための説明図である。
図9(a)に示す通常状態において、第2検知伝達機構の検知方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部30に加わった場合、図9(b)に示すように、例えば外輪部材42が内輪部材43に対して第2相対回転軸C回りに図中矢印の向きへ相対回転する。外輪部材42が内輪部材43に対して第2相対回転軸C回りに相対回転すると、その相対回転方向の先頭側に面する突起部42eの傾斜面が内輪部材43のダンパー軸部43eに当接する。内輪部材43に対する外輪部材42の相対回転が進むにつれて、外輪部材42の突起部42eの傾斜面に沿って内輪部材43のダンパー軸部43eが押し込まれていく。その結果、そのダンパー軸部43eのダンパーばね32dの粘弾性体の作用で、衝撃が吸収される。
【0052】
更に、ダンパーばね32dは、ダンパー軸部43eの押し込み量に応じて、その押し込みを戻そうとする抗力を発揮する。この抗力は、内輪部材43に対する外輪部材42の相対回転を戻そうとする力となるので、アーム部30に加わっている外力を押し戻す力が発揮される。その結果、アーム部30に加わっていた外力が無くなったとき、内輪部材43に対して相対回転した外輪部材42が逆回転する。そして、内輪部材43のインナースライダー44Bが外輪部材42のスライダー挿入凹部42bと対向する位置まで逆回転すると、圧縮バネ45Bの付勢力によりインナースライダー44Bがスライダー挿入凹部42bに挿入され、緩衝機構40は内輪部材43と外輪部材42との第2相対回転軸C回りの相対回転が禁止された通常状態に戻る。また、インナースライダー44Bがスライダー挿入凹部42bに挿入されることで、アーム部30のスライドロッド36Bも検知伝達位置から通常位置まで押し戻される。これにより、スライド部材34Bがスライド移動し、これに連動して固定部材33Bがアーム側面方向へ変位し、アーム側面部材32は外力を受ける前(変位前)の通常状態に戻る。
【0053】
〔変形例〕
次に、前記実施形態におけるロボットアームの一変形例について説明する。
本変形例におけるロボットアームは、外力検知伝達機構として、外力を受けることで変形可能な柔軟性を有する流体封入部材を利用したものを採用している。また、本変形例では、緩衝機構の構成も前記実施形態のものとは異なっている。詳しくは、前記実施形態では、外輪部材42と内輪部材43とが、固定軸46回りの相対回転と、第2相対回転軸C回りの相対回転という2方向についての相対移動によって、アーム部30に対する第1検知伝達機構の検知方向と第2検知伝達機構の検知方向という2つの緩衝方向について一定以上の力成分をもつ外力を緩衝できるものであった。これに対し、本変形例における緩衝方向は1つだけである。以下の説明では、前記実施形態と同様の構成及び動作については説明を省略する。
【0054】
図10は、本変形例のロボットアームにおける関節機構120及びアーム部130の部分拡大図である。
このロボットアームのアーム部130は、アーム長手方向に延びる基部131と、この基部131の周面を覆うように設けられた空気袋(流体封入部材)132によって構成されたアーム側面部材とから構成されている。基部131におけるアーム先端側の端部には、前記実施形態の場合と同様、などの物体取扱部等が、本ロボットアームの用途に応じて適宜取り付けられる。一方、基部131におけるアーム先端側端部とは反対側の端部(関節機構側端部)は、関節機構120のアーム支持部材124に固定されている。
【0055】
図11(a)及び(b)は、本変形例における外力検知伝達機構の構成及び動作を示す説明図である。
アーム部130に搭載された外力検知伝達機構は、外力を受けることで変形可能な柔軟性を有する空気袋(流体封入部材)132が基部131の周面を覆うように設けられている。基部131のアーム先端側端部には、空気袋132が基部131に沿ってアーム先端側へ移動しないように固定プレート133が設けられている。また、基部131における関節機構側端部には、基部131に対して相対的にスライド移動可能な可動プレート134が設けられている。この可動プレート134の外面側には、可動プレート134の動きに連動してスライド移動する検知伝達部材としてのスライドラック136が当接している。
【0056】
図11(a)に示す通常状態のアーム部130において、移動中のアーム部130の空気袋132が障害物等に衝突したり、あるいは、移動中又は非移動中のアーム部130の空気袋132に障害物等が衝突したりする場合がある。このような場合に、アーム側面方向の力成分を一定以上有する外力が図11(b)に示すように空気袋132に加わると、その外力を受けた空気袋132の箇所が圧縮変形する。この圧縮変形により、空気袋132に障害物等が衝突した時の瞬間的な衝撃が緩和される。
【0057】
また、外力を受けた箇所が圧縮変形により、空気袋132内の空気が移動して、空気袋132がアーム長手方向に伸びるように変形する。これにより、図11(b)に示すように、空気袋132の関節機構側端部に設けられた可動プレート134が基部131に対して相対的にスライド移動する。そして、スライド移動する可動プレート134に押されて、スライドラック136が、図11(a)に示す通常位置から図11中下向きすなわち関節機構120に向けてスライド移動し、図11(b)に示すように検知伝達位置に位置する。
【0058】
本変形例では、アーム側面方向からの力成分を一定以上有する外力がアーム周方向のいずれの向きからアーム部130に加わった場合でも、これを検知して関節機構120へ伝達することができる。
【0059】
図12は、本変形例における関節機構120の構成を示す斜視図である。
本変形例の関節機構120は、一自由度を有する1つの関節部によって一自由度を実現している。この関節機構120は、台車に取り付けられたり、他の関節機構に取り付けられたりするなど、本ロボットアームの用途に応じた構造物に適宜取り付けられる固定フレーム121を備えている。この固定フレーム121は、アーム支持部材124の回動軸123を回動自在に支持している。この回動軸123上には、駆動入力プーリ125が固定されており、この駆動入力プーリ125には、図示しない駆動モータのモータ軸に設けられたプーリに掛け回された図示しないタイミングベルトが巻き付けられる。また、アーム支持部材124の回動軸123は、ハーモニックドライブ(登録商標)等の減速機構126の入力軸に取り付けられており、この減速機構126の出力軸には被連結部としての駆動ギヤ127が取り付けられている。よって、駆動モータが駆動すると、タイミングベルトを介して駆動入力プーリ125に入力される回転駆動力により、アーム支持部材124の回動軸123が回転し、減速機構126を介しては駆動ギヤ127が回転する。
【0060】
スライドラック136が図11(a)に示した通常位置に位置する通常状態においては、スライドラック136の図中下側の端部に設けられた連結部としてのラック部136aが駆動ギヤ127に噛み合うように構成されている。スライドラック136は、アーム支持部材124に対し、駆動ギヤ127の回転方向に対して相対移動が規制されている。よって、駆動ギヤ127が回転すると、この回転に伴ってラック部136aが駆動ギヤ127の軸回りを周回する方向へ移動する。これにより、スライドラック136はアーム支持部材124の回動軸123回りを回動し、このスライドラック136の回動に伴ってアーム支持部材124が回動軸123回りを回動する。したがって、本変形例においては、駆動モータを回転駆動させることにより、アーム支持部材124に取り付けられたアーム部130を、回動軸123を回転中心にして回動させることができる。
【0061】
図13(a)及び(b)は、本変形例の関節機構120における緩衝機能に関わる構成及び動作を説明するための説明図である。
図13(a)に示す通常状態において、アーム側面方向であって関節機構120の自由度方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部130の空気袋132に加わると、通常位置に位置していたスライドラック136が可動プレート134の動きに連動して検知伝達位置へスライド移動する。スライドラック136は、アーム支持部材124に対し、アーム長手方向に沿ってスライド移動自在に取り付けられており、スライドラック136がスライド移動すると、そのラック部136aもアーム長手方向に沿ってアーム先端側とは反対側へ移動する。これにより、図13(b)に示すように、ラック部136aと駆動ギヤ127とが噛み合った噛み合い状態(動力伝達状態)が解除されて動力伝達解除状態となる。よって、ラック部136aは、駆動ギヤ127に対して回動軸123回りの相対回転が自在になる。
【0062】
このように、本変形例においては、アーム側面方向であって関節機構120の自由度方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部130の空気袋132に加わった場合、スライドラック136がスライド移動して、そのラック部136aと駆動ギヤ127との回動軸123回りの相対回転を禁止した動力伝達状態が解除される。その結果、スライドラック136に対して回動軸123回りの相対回転が規制されているアーム支持部材124に固定されたアーム部130は、駆動ギヤ127の拘束を離れて回動軸123を中心とした回転方向に回転自在な状態になる。すなわち、アーム部130は、空気袋132に加わった外力の当該力成分を受け流す向きへ回動自在となり、この外力の緩衝機能が発揮される。
【0063】
また、本変形例においては、アーム側面方向であって関節機構120の自由度方向に対して直交する方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部130の空気袋132に加わった場合にも、通常位置に位置していたスライドラック136が検知伝達位置へスライド移動する。よって、この場合でも、アーム部130は駆動ギヤ127の拘束を離れて回動軸123を中心とした回転方向に回転自在な状態になる。ただし、この場合には、空気袋132に加わった外力の当該力成分を受け流す向きには回動自在にならないので、この外力の緩衝機能が発揮されるわけではない。しかしながら、アーム側面方向からアーム部130に障害物が衝突するという異常事態が発生していることから、アーム部130を回転自在な状態にして駆動モータによるアーム部130の移動を不能とすることは、異常事態に対処する上で有益である。
【0064】
本変形例においては、スライドラック136が駆動ギヤ127の拘束を離れて回動軸123回りに回転自在な状態になったときに、そのスライドラック136の回転力に抗する抗力を発揮する、前記実施形態におけるダンパーばね43dのような弾性部材が設けられている。よって、アーム部130に加えられた外力によりスライドラック136と駆動ギヤ127とが相対回転自在になって、当該外力により駆動ギヤ127に対してスライドラック136が相対回転した際、その回転力をこの弾性部材により吸収することができる。
【0065】
また、スライドラック136には、図示しない付勢手段によって常に検知伝達位置から通常位置へ向かう付勢力が加えられている。したがって、アーム部130に加わっていた外力が無くなると、この付勢力によってスライドラック136が検知伝達位置から通常位置へ戻される。その結果、ラック部136aと駆動ギヤ127とが再び噛み合った状態に戻る。また、可動プレート134のスライド移動も戻されて、これによりアーム長手方向に伸びた空気袋132が通常状態の形状に戻る。
【0066】
なお、本変形例では、上述したように、アーム側面方向であって関節機構120の自由度方向に対して直交する方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部130の空気袋132に加わった場合には、この外力の緩衝機能が発揮されないが、この外力の緩衝機能が発揮されるように構成することもできる。この構成は、例えば、以下のようにして実現することができる。
【0067】
本変形例のロボットアームにおいて、スライドラック136を、アーム支持部材124に対し、回動軸123の軸方向に沿って相対的に移動可能に構成する。スライドラック136のラック部136aが駆動ギヤ127と噛み合った通常状態においては、アーム支持部材124に対するスライドラック136の回動軸123の軸方向への相対移動を禁止した状態としておく。アーム側面方向であって関節機構120の自由度方向に対して直交する方向の力成分を一定以上有する外力がアーム部130の空気袋132に加わった場合、通常位置に位置していたスライドラック136は、検知伝達位置へスライド移動する。これにより、スライドラック136のラック部136aと駆動ギヤ127との噛み合い状態が解除されると、アーム支持部材124に対するスライドラック136の回動軸123の軸方向への相対移動を禁止した動力伝達状態が解除されるようにする。その結果、スライドラック136は、アーム支持部材124に対し、回動軸123の軸方向に沿って相対的に移動自在な状態になる。すなわち、アーム支持部材124に固定されたアーム部130は、空気袋132に加わった外力の当該力成分を受け流す向きへ回動自在となり、この外力の緩衝機能が発揮される。
【0068】
また、本変形例では、アーム側面方向からの力成分を一定以上有する外力がアーム部130に加わった場合にその外力の向きの違いを区別して検知する構成とはなっていないが、区別して検知できる構成とすることも可能である。例えば、基部31の周囲に複数の空気袋を配置し、空気袋ごとに独立して移動可能な検知伝達部材を設ければよい。
また、封入流体は空気でなくてもよく、他の気体あるいは液体などでもよい。
【0069】
また、外力を受けることで変形可能な柔軟性を有する流体封入部材を利用した外力検知伝達機構としては、例えば、図14に示すような構成を採用することもできる。この構成は、アーム長手方向に沿って2つの空気袋132A,132Bを直列に設け、これらの空気袋132A,132Bの内部を連結管139で連通させたものである。この構成において、緩衝機能を有する関節機構120から離れた第1空気袋132Aのアーム長手方向両端はいずれも固定プレート133Aによって押さえられている。よって、第1空気袋132Aに障害物が衝突した場合、その第1空気袋132Aが圧縮変形することにより、第1空気袋132A内の空気が第2空気袋132B内へと流れ込む。これにより、第2空気袋132Bがアーム長手方向に伸びるように変形し、第2空気袋132Bの関節機構側端部(図14中右側の端部)に設けられた可動プレート134が基部131に対して相対的にスライド移動する。そして、スライド移動する可動プレート134に押されて、スライドラック136がスライド移動する。また、第2空気袋132Bに障害物が衝突した場合にも、第2空気袋132Bがアーム長手方向に伸びるように変形し、スライドラック136がスライド移動する。この構成によれば、アーム長手方向に直列に配置された第1空気袋132Aと第2空気袋132Bのいずれに障害物が衝突した場合でも、関節機構120の緩衝機能を発揮させることができる。
【符号の説明】
【0070】
10 台座
20 関節機構
21 下関節部
22 上関節部
23 旋回用駆動モータ
24 側板
25 上下回動用駆動モータ
30 アーム部
31 基部
32 アーム側面部材
33A,33B 固定部材
34A,34B スライド部材
35A,35B 連結ロッド
36A,36B スライドロッド
40 緩衝機構
41 固定部材
42 外輪部材
43 内輪部材
44A,44B インナースライダー
45A,45B 圧縮バネ
46 固定軸
50 ハンド
120 関節機構
121 固定フレーム
123 回動軸
124 アーム支持部材
127 駆動ギヤ
130 アーム部
131 基部
132 空気袋
133 固定プレート
134 可動プレート
136 スライドラック
136a ラック部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2006−167820号公報
【特許文献2】特開2007−301704号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
アーム部と、
前記駆動源からの駆動力によって前記アーム部を所定の自由度方向へ移動させる関節機構と、
前記アーム部に接続された連結部と該連結部に連結する被連結部とが相対移動自在な状態で連結され、かつ、該連結部と該被連結部との間の相対移動を禁止した動力伝達状態から該相対移動の禁止を解除する動力伝達解除状態へ無給電状態で切り替え可能な連結解除機構とを有し、
前記動力伝達状態において前記駆動源からの駆動力により前記アーム部を前記所定の自由度方向へ移動させるロボットアームであって、
前記連結解除機構は、前記連結部と前記被連結部とを2以上の相対移動方向へ相対移動自在に連結しており、
前記2以上の相対移動方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力が前記アーム部へ加わったときに該外力を利用して無給電状態で作動する検知伝達部材を備えた外力検知伝達機構を有し、
前記連結解除機構は、前記検知伝達部材の作動に連動して、前記アーム部に加わった外力が有する前記力成分に対応した相対移動方向への相対移動を禁止した動力伝達状態をその動力伝達解除状態へ切り替えることを特徴とするロボットアーム。
【請求項2】
請求項1のロボットアームにおいて、
前記外力検知伝達機構は、前記2以上の相対移動方向ごとに異なる2以上の検知伝達部材を備えていて、前記アーム部に加わった外力の前記力成分に対応した相対移動方向についての検知伝達部材のみを作動させるように構成されており、
前記連結解除機構は、各検知伝達部材の作動に連動して、作動した検知伝達部材に対応する相対移動方向のみの相対移動を禁止した動力伝達状態をその動力伝達解除状態へ切り替えることを特徴とするロボットアーム。
【請求項3】
請求項1又は2のロボットアームにおいて、
前記連結解除機構は、単一の連結部で、前記連結部及び前記被連結部を前記2以上の相対移動方向へ相対移動自在に連結することを特徴とするロボットアーム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のロボットアームにおいて、
前記外力検知伝達機構の検知伝達部材は、前記アーム部の長手方向に沿って移動可能に構成されており、
前記アーム部は、該アーム部の長手方向に対して直交する方向の力成分を一定以上有する外力を受けることで、該力成分を受け流す向きへ変位可能なアーム側面部材を備えており、
前記外力検知伝達機構は、前記アーム側面部材の変位に連動して前記検知伝達部材を前記アーム部の長手方向に沿って移動させるリンク機構を備えていることを特徴とするロボットアーム。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のロボットアームにおいて、
前記アーム部は、該アーム部の長手方向に対して直交する方向の力成分を一定以上有する外力を受けることで変形可能な柔軟性を有する流体封入部材によって構成されたアーム側面部材を備えており、
前記外力検知伝達機構の検知伝達部材は、前記流体封入部材の変形による封入流体の移動に連動して作動するように構成されていることを特徴とするロボットアーム。
【請求項6】
駆動源と、アーム部と、前記駆動源からの駆動力によって前記アーム部を所定の自由度方向へ移動させる関節機構と、前記アーム部に接続された連結部と該連結部に連結する被連結部とが相対移動自在な状態で連結され、かつ、該連結部と該被連結部との間の相対移動を禁止した動力伝達状態から該相対移動の禁止を解除する動力伝達解除状態へ無給電状態で切り替え可能な連結解除機構とを有し、前記動力伝達状態において前記駆動源からの駆動力により前記アーム部を前記所定の自由度方向へ移動させるロボットアームにおける、前記アーム部に加わった外力を検知して前記連結解除機構へ伝達するロボットアーム用の外力検知伝達装置であって、
2以上の方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力が前記アーム部へ加わったときに該外力を利用して無給電状態で作動する検知伝達部材を有することを特徴とするロボットアーム用の外力検知伝達装置。
【請求項7】
駆動源と、アーム部と、前記駆動源からの駆動力によって前記アーム部を所定の自由度方向へ移動させる関節機構と、2以上の方向のいずれについても、その方向の力成分を一定以上有する外力が前記アーム部へ加わったときに該外力を利用して無給電状態で作動する検知伝達部材を備えた外力検知伝達機構とを有するロボットアームに利用されるロボットアーム用の緩衝装置において、
前記アーム部に接続された連結部と該連結部に連結する被連結部とが前記2以上の方向の力成分それぞれを受け流す2以上の相対移動方向へ相対移動自在な状態で連結され、かつ、該連結部と該被連結部との間の相対移動を禁止した動力伝達状態から該相対移動の禁止を解除する動力伝達解除状態へ無給電状態で切り替え可能な連結解除機構を有し、
前記検知伝達部材の作動に連動して、前記アーム部に加わった外力が有する前記力成分に対応した相対移動方向への相対移動を禁止した動力伝達状態からその動力伝達解除状態へ切り替えることを特徴とするロボットアーム用の緩衝装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−86259(P2013−86259A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−223840(P2012−223840)
【出願日】平成24年10月9日(2012.10.9)
【分割の表示】特願2011−227891(P2011−227891)の分割
【原出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(592218300)学校法人神奈川大学 (243)
【Fターム(参考)】