説明

ロボットハンド

【課題】ロボットハンドの周りに配置されるチャックへのエアー供給用の外部配管を削減できるロボットハンドを提供する。
【解決手段】ロボットハンド3は、産業用ロボットのアームに装着されるハンド本体部31と、エアー駆動によりワークを把持するチャック4の取付けが可能なハンド先端部32とで構成されている。このロボットハンド3の内部には、外面に設けられた1つのエアー入口開口350を始端とする1本の流路35pから、電磁弁50の入力ポートに終端が接続した流路5pにエアーを供給する経路が形成されるとともに、電磁弁(切換弁)50の出力ポートからチャック取付け面320のエアー出口開口32jまで各流路5q、37p、32pが形成されている。このようなロボットハンド3の内部配管を設けることにより、ロボットハンド3の周りに配置されるチャック4へのエアー供給用の外部配管を削減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用ロボットのアームに装着可能なロボットハンドに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボットのアームにロボットツール(ロボットハンド)を装着して、多点数の部品から構成される組立体を自動的に組み立てる自動組立技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようにロボットのアームに装着されるロボットハンドにおいては、圧縮空気(エアー)を用いた駆動力により部品等を把持するチャックの取付けが可能なものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−354919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のチャックが取付けられたロボットハンドでは、チャックから伸びるエアー供給用の外部配管がロボットハンドの周りに配置されるため、チャックで把持した長尺の部品がエアー供給用の外部配管に絡んだり、作業中にエアー供給用の外部配管が組立用冶具などに接触する恐れがある。このように作業の邪魔になるエアー供給用の外部配管は、極力短くするか、さらには全く除去してしまうのが好ましい。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ロボットハンドの周りに配置されるチャックへのエアー供給用の外部配管を削減できるロボットハンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、産業用ロボットのアームに装着可能なロボットハンドであって、(a)前記アームに装着されるハンド本体部と、(b)前記ハンド本体部に連結し、エアーを用いた駆動機構の駆動によって被把持物を把持するチャックの取付けが可能なチャック取付け部を有するハンド先端部とを備え、前記ハンド本体部は、(a-1)前記ハンド本体部の外面に設けられた1の入口開口を始端とする1本の第1流路から第2流路に前記エアーを供給するエアー供給経路が内部に形成された内部流路部と、(a-2)前記第2流路の終端に接続する入力ポートと、前記ハンド本体部の内部に形成された第3流路を介して前記ハンド先端部に前記エアーを供給する出力ポートとを備えた切換弁からなる切換手段とを有するとともに、前記ハンド先端部の内部には、前記第3流路の終端に接続する前記エアーの流入口と、前記チャック取付け部に設けられた流出口とを有する第4流路が形成されている。
【0008】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るロボットハンドにおいて、前記エアー供給経路は、前記1本の第1流路から複数本の第2流路に前記エアーを供給する経路として構成されており、前記切換手段は、前記複数本の第2流路に対応した複数の切換弁からなっている。
【0009】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明に係るロボットハンドにおいて、前記チャック取付け部に取付け可能な所定のチャックの内部には、前記駆動機構に前記エアーを供給する第5流路が形成されており、前記所定のチャックが前記チャック取付け部に取付けられた際には、前記第5流路における前記エアーの流入口が、前記第4流路の流出口に連結される。
【0010】
また、請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかの発明に係るロボットハンドにおいて、前記ハンド先端部には、複数のチャックの取付けが可能な複数のチャック取付け部が設けられている。
【0011】
また、請求項5の発明は、請求項1または請求項2の発明に係るロボットハンドにおいて、前記チャック取付け部に取付け可能な特定のチャックの外面には、前記駆動機構に前記エアーを供給するためのエアー入口が形成されており、前記特定のチャックが前記チャック取付け部に取付けられた際には、所定の流路が形成された接続手段により、前記第4流路の流出口と前記エアー入口とを前記所定の流路を介して接続する。
【0012】
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係るロボットハンドにおいて、前記ハンド先端部には、複数のチャックの取付けが可能な複数のチャック取付け部が設けられるとともに、前記特定のチャックが前記チャック取付け部に取付けられた際には、前記接続手段により、前記複数のチャック取付け部のうちチャックの装着がないチャック取付け部に設けられた前記第4流路の流出口と前記エアー入口とを接続する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1から請求項6の発明によれば、産業用ロボットのアームに装着されるハンド本体部は、ハンド本体部の外面に設けられた1の入口開口を始端とする1本の第1流路から第2流路にエアーを供給するエアー供給経路が内部に形成された内部流路部と、第2流路の終端に接続する入力ポートと、ハンド本体部の内部に形成された第3流路を介してハンド先端部にエアーを供給する出力ポートとを備えた切換弁からなる切換手段とを有しており、ハンド本体部に連結し、エアーを用いた駆動機構の駆動によって被把持物を把持するチャックの取付けが可能なチャック取付け部を有するハンド先端部の内部には、第3流路の終端に接続するエアーの流入口とチャック取付け部に設けられた流出口とを有する第4流路が形成されている。その結果、ロボットハンドの周りに配置されるチャックへのエアー供給用の外部配管を削減できる。
【0014】
特に、請求項2の発明においては、エアー供給経路は、1本の第1流路から複数本の第2流路にエアーを供給する経路として構成されており、切換手段は、複数本の第2流路に対応した複数の切換弁からなっているため、外部配管によらず複数の切換弁に対してのエアー供給を簡易に行える。
【0015】
また、請求項3の発明においては、チャック取付け部に取付け可能な所定のチャックの内部には、駆動機構にエアーを供給する第5流路が形成されており、所定のチャックがチャック取付け部に取付けられた際には、第5流路におけるエアーの流入口が第4流路の流出口に連結されるため、チャックから伸びるエアー供給用の外部配管を除去できる。
【0016】
また、請求項4の発明においては、ハンド先端部には、複数のチャックの取付けが可能な複数のチャック取付け部が設けられているため、例えば異なる種類のチャックをハンド先端部で並設でき、利便性が向上する。
【0017】
また、請求項5の発明においては、チャック取付け部に取付け可能な特定のチャックの外面には駆動機構にエアーを供給するためのエアー入口が形成されており、特定のチャックがチャック取付け部に取付けられた際には、所定の流路が形成された接続手段により、第4流路の流出口とエアー入口とを所定の流路を介して接続するため、側面などにエアー入口が形成されるチャックでもロボットハンドの周りに配置されるエアー供給用の外部配管を適切に削減できる。
【0018】
また、請求項6の発明においては、ハンド先端部には、複数のチャックの取付けが可能な複数のチャック取付け部が設けられるとともに、特定のチャックがチャック取付け部に取付けられた際には、接続手段により、複数のチャック取付け部のうちチャックの装着がないチャック取付け部に設けられた第4流路の流出口とエアー入口とを接続するため、チャックの装着がないチャック取付け部に設けられた流出口を有効活用でき、様々なタイプのチャックに対して適切なエアー供給を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
<ロボットハンドの要部構成>
図1は、本発明の実施形態に係るロボットハンド3を備えたロボット1の要部構成を示す外観図である。
【0020】
産業用ロボットであるロボット1は、鉛直軸まわりの3つの旋回自由度の間に、水平軸まわりの3つの回動自由度をアーム結合した6自由度の垂直多関節ロボットとして構成されている。このロボット1では、部品などのワーク(被把持物)9をチャック4で把持して水平方向にワーク9を組み付ける作業や上下方向にワーク9を組み付ける作業が可能である。
【0021】
ロボット1のアーム(腕)2は、その先端にロボットハンド3を装着可能な構成となっている。
【0022】
ロボットハンド3は、アーム2に装着されるハンド本体部31と、ハンド本体部31に連結するハンド先端部32とを備えている。このハンド先端部32では、ワーク9を把持するチャック4の取付けが可能であり、ハンド本体部31の上部に接続された1本のエアー配管81から、チャック駆動用の圧縮空気であるエアー(駆動エアー)をチャック4に供給できるようになっている。
【0023】
以下では、ロボットハンド3の要部構成を詳しく説明する。
【0024】
図2は、ロボットハンド3の要部構成を示す外観図である。この図2では、チャック4(図1)が取り外された状態のロボットハンド3を示している。
【0025】
ロボットハンド3は、上述のようにハンド本体部31とハンド先端部32とを備えている。
【0026】
ハンド本体部31は、直方体状の外形を有した8つの電磁弁50が配設されるエアー制御部5と、電磁弁50の上方に配置され各電磁弁50の制御やケーブル82を介した外部機器との通信を行う通信制御部6とを備えている。また、ハンド本体部31は、アーム2に連結されるアタッチメント35と、アタッチメント35と通信制御部6との間に介挿されるジョイント36と、電磁弁50とハンド先端部32との間に配置されるアダプタ37とを有している。
【0027】
エアー制御部5は、切換弁(方向制御弁)として働く電磁弁50の群からなっている切換手段を有しており、エアー配管81を介してハンド本体部31に供給されるエアーを各電磁弁50のオン・オフ動作により選択的にハンド先端部32に送ることでハンド先端部32に取付けられた各チャック4の開閉動作を制御する。なお、電磁弁50は、例えば3ポートのシングルソレノイドバルブとして構成され、上下方向(Z軸方向)に隣接する一対の電磁弁50(上段の電磁弁50aおよび下段の電磁弁50b)によって1つのチャック4の開動作および閉動作が行われる。
【0028】
通信制御部6は、円筒状の外観を有するケーシング(筐体)60内に、図1に示すメインケーブル82と電気的に接続するプリント基板61(図3参照)が配置されている。なお、メインケーブル82は、例えばプリント基板61に電力を供給するため2本のワイヤと、チャック4の駆動制御に必要な信号を通信するための2本のワイヤとからなる4芯のケーブルとして構成されている。
【0029】
アタッチメント35には、図1に示すエアー配管81が接続されるエアー入口開口350が形成されている。
【0030】
ハンド先端部32は、略円柱状の側面を有しており、その下部にチャック4(図1)の取付けが可能な8つのチャック取付け面(チャック取付け部)320が形成されている。なお、チャック取付け面320にチャック4(図1)を取付ける際には、チャック4とチャック取付け面320との間に、チャック4にエアーを供給するための2つのエアー出口開口40g、40hが設けられたアダプタ40が介挿される。
【0031】
<ロボットハンド3の機能構成>
図3は、ロボットハンド3の機能構成を説明するための概念図である。なお、図3では、ロボットハンド3におけるエアーEfの流れを網掛けで図示するとともに、電気配線を太線で図示している。
【0032】
まず、ロボットハンド3におけるエアーEfの流れを説明する。
【0033】
アタッチメント35のエアー入口開口350から供給されたエアーEfは、アタッチメント35の内部に形成された流路35pを通って、エアー制御部5内に設けられたエアー溜め(内部流路部)5eに導かれる。
【0034】
エアー溜め5eに溜められたエアーEfは、エアー制御部5内に形成された各流路5pを通って、上段の電磁弁50aおよび下段の電磁弁50bの入力ポートまで導かれる。
【0035】
チャック4を駆動するために上段の電磁弁50aや下段の電磁弁50bの出力ポートから出力されたエアーEfは、エアー制御部5内、アダプタ37内およびハンド先端部32内に形成された各流路5q、37p、32pを通って、ハンド先端部32のチャック取付け面320(図8参照)に設けられたエアー出口開口32j(32g、32h)に導かれる。
【0036】
そして、チャック取付け面320の各エアー出口開口32jに、アダプタ40内に形成された流路40pを介して、チャック駆動用のシリンダCLの各シリンダ室に連通した2本の流路4pを接続すれば、ハンド本体部31のエアー入口開口350から供給されるエアーを用いたチャック4の駆動が可能となる。すなわち、アダプタ40およびチャック4の内部に形成された各流路40p、4pを介してハンド先端部32から供給されるエアーを用い、駆動機構として働くシリンダCLの駆動を行うことにより、ワーク9(図1)を把持するチャック4の開閉動作を行えることとなる。換言すれば、シリンダCLにエアーEfを供給する流路(第5流路)4pがシリンダCLからチャック取付け面320に向かって形成されたチャック4がチャック取付け面320に取付けられた際には、チャック4の底面でチャック取付け面320のエアー出口開口32jに対向する流路4pのエアー入口開口(流入口)4iが、アダプタ40内の流路40pを介してチャック取付け面320に設けられたエアー出口開口(流出口)32jに連結されるため、ハンド先端部32からチャック4まで外部配管を付設せずにエアーの流通を行える。
【0037】
以上で説明したロボットハンド3におけるエアーEfの流れについては、後で詳述する。次に、ロボットハンド3における電気的な構成を説明する。
【0038】
コネクタ63aを介してメインケーブル82から送られるチャック4の駆動制御信号は、プリント基板61上に形成された配線61a(破線で図示)を通ってコントローラ62に入力される。
【0039】
コントローラ62は、例えばCPUおよびメモリを備えて通信制御を行う部位として構成されており、メインケーブル82を介して例えばホストコンピュータなどのロボットハンド3外部の制御装置(以下では「外部制御装置」ともいう)から入力される電気信号を受信して電磁弁50の駆動信号を生成する。このコントローラ62で生成された駆動信号は、プリント基板61上に形成された配線61b(破線で図示)を通りコネクタ63bおよびケーブル83を介して電磁弁50に送られる。
【0040】
一方、チャック4の開閉動作を検知するために例えばシリンダCLに設置されたセンサSNで検出される信号(以下では「チャック開閉検知信号」ともいう)は、ケーブル84およびコネクタ63eを介してハンド先端部32の上部に配設されたプリント基板64に送られる。
【0041】
プリント基板64は、プリント基板61にチャック開閉検知信号を送るための中継基板として機能する。具体的には、プリント基板64で受け取ったチャック開閉検知信号は、プリント基板64上に形成された配線64a(破線で図示)を通りコネクタ63dおよびケーブル85を介してプリント基板61に送られる。
【0042】
プリント基板61では、コネクタ63cを介して受け取ったチャック開閉検知信号が配線61c(破線で図示)を通ってコントローラ62に入力される。これにより、メインケーブル82を介してコントローラ62から外部制御装置にチャック開閉検知信号を送信でき、外部制御装置におけるチャック4の開閉制御に活用できることとなる。
【0043】
<ロボットハンド3におけるエアーEfの流れ>
図4〜図8は、ロボットハンド3におけるエアーEfの流れを説明するための図である。ここで、図4〜図6は、図2のIV−IV位置、V−V位置およびVI−VI位置から見たロボットハンド3の縦断面図であり、図7は、図2のVII−VII位置から見たロボットハンド3の横断面図である。なお、図4〜図7では、エアーEfの流れを理解容易にするため、説明上注目すべきエアーEfの箇所を網掛けで図示している。また、図8は、図2においてアダプタ40が取り外されたロボットハンド3を下方から見た外観図となっている。
【0044】
まず、エアー配管81(図1)から流れF1を形成しロボットハンド3のエアー入口開口350に入力されたエアーEfは、図4に示すようにアタッチメント35内に形成されたL字状の流路35pに沿った流れF2によりエアー溜め5eに導かれる。このエアー溜め5eについては、中心軸Axに対して略対称性を有する外形を備えたハンド本体部31において、その中心軸Axに沿って形成された円柱状の内部空間(図4、図7参照)として構成されている。なお、エアー溜め5eは、ロボットハンド3の中心軸Axに沿って基体51(後述)に設けられた縦孔の上端部にアタッチメント35の下端部が嵌合されることで形成されている。
【0045】
次に、エアー溜め5eに溜められたエアーEfは、図7に示すように8個の電磁弁50が表面に取付けられているエアー制御部5の基体51において中心軸Axを中心として放射状に形成された複数本の流路5pに、図4に示すような流れF3を形成して分配される。換言すれば、ロボットハンド3の中心軸Axを中心として略放射状に形成された8本の流路5pに、1本の流路35pを分岐させる流路分岐がロボットハンド3内に設けられており、この放射状の流路5pの終端の基体51表面に各電磁弁50が配置されている。具体的には、上段に配置される4個の電磁弁50aの入力ポート50iにエアー溜め5eからのエアーEfを導くための4本の流路5pが、基体51の内部で中心軸Axを中心として十字状に形成される。同様に、下段に配置される4個の電磁弁50bの入力ポート50iにエアー溜め5eからのエアーEfを導くための4本の流路5pも、基体51の内部で十字状に形成されている。ここで、基体51は、8角柱状の外形を有しており、8側面のうち隣り合わない4側面それぞれの上段および下段に、各流路5pの終端に接続する入力ポート50iを備えた電磁弁50が取付けられる。
【0046】
以上のようにハンド本体部31の外面に設けられた1つのエアー入口開口350を始端とする1本の流路(第1流路)35pから、8個の電磁弁50に対応した8本の流路(第2流路)5pにエアーを供給するエアー供給経路(エアーEfの流れF2、F3に沿った経路)がハンド本体部31の内部に形成されることにより、エアー入口開口350から電磁弁50の入力ポート50iまで外部配管を除去することが可能となる。
【0047】
電磁弁50の出力ポート50jから出力されたエアーEfは、図5に示すように基体51の内部に設けられた流路5qに沿った流れF5によりアダプタ37に送られる。この流路5qは、上下方向(Z軸方向)に沿ってエアー溜め5eの周りに円柱状の内部空間として形成された8本の流路5qa(図7)と、各流路5qaから最も近い電磁弁50の出力ポート50jまで伸びる8本の流路5qbとで構成されている。ここで、例えば上段の電磁弁50a全てが励磁されてオンにされると、例えば図7のような流路50pが電磁弁50a内に形成されてエアーEfの流れF4が生じ、電磁弁50aから出力されたエアーEfが流路5qに沿った流れF5を形成してアダプタ37に到達することとなる。
【0048】
アダプタ37に送られたエアーEfは、図6に示すようにアダプタ37の内部に形成された流路37pおよび、流路37pの終端に接続するエアー入口開口(流入口)32iとチャック取付け面320に設けられたエアー出口開口(流出口)32jとを有するハンド先端部32内の流路32p(図6に仮想線として図示)に沿った流れF6を形成してアダプタ40まで送られる。これにより、チャック取付け面320に形成されたエアー出口開口32jからチャック4にエアーEfを供給することが可能になる。
【0049】
以上のようにハンド本体部31の内部に形成された流路(第3流路)5q、37pと、ハンド先端部32の内部に形成された流路(第4流路)32pとを介して、エアーEfを電磁弁50の出力ポート50jからハンド先端部32のエアー出口開口32jに供給できるため、電磁弁50の出力ポート50jからチャック取付け面320まで外部配管を除去することが可能になる。
【0050】
図8に示すようにハンド先端部32の底面には8つのチャック取付け面320(321、322)が形成されており、一対のエアー出口開口32g、32hが設けられた4つの第1チャック取付け面321と、エアー出口開口32g、32hが設けられていない4つの第2チャック取付け面322とが交互に配置されている。なお、ハンド先端部32には8つのチャック取付け面320が設けられているが、8個の電磁弁50によって駆動可能なチャック4の数は最大4個であるため、実際には4つ以下のチャック4がハンド先端部32に取付けられることとなる。
【0051】
第1チャック取付け面321には、そのエアー出口開口32g、32hまで内部の配管としてシリンダCLからチャック4の流路4pおよびアダプタ40の流路40pが形成されるチャック(以下では「内部配管型チャック」ともいう)4(図3)が取付けられる。これにより、内部配管型チャック4では、1本のエアー配管81をロボットハンド3の上部に接続すればチャック4まで内部配管を用いたエアー供給が可能となり、ロボットハンド3の周りに配置されるエアー供給用の外部配管を除去できる。
【0052】
一方、第2チャック取付け面322には、図9に示すようにチャック4内のシリンダCLにエアーを供給するため外部の配管が接続されるエアー入口開口(エアー入口)4s、4tが、例えば側面など底面以外の外面に形成されたチャック(以下では「外部配管型チャック」ともいう)4rが取付けられる。この場合には、例えば内部配管型チャック4が装着されていない隣りのチャック取付け面321に設けられたエアー出口開口32g、32hと、外部配管型チャック4rの側面に設けられたエアー入口開口4s、4tとを繋いで接続する配管(外部配管)86を設けるようにする。すなわち、外部配管型チャック4rがチャック取付け面322に取付けられた際には、エアー供給用の流路が形成された配管(接続手段)86により、複数のチャック取付け面320のうちチャックの装着がないチャック取付け面321に設けられたエアー出口開口32g、32hと外部配管型チャック4rのエアー入口開口4s、4tとを配管86内の流路を介して接続することで、エアー配管81からハンド本体部31に供給されるエアーを外部配管型チャック4rに導くことが可能となる。
【0053】
以上で説明したように、アタッチメント35内の流路35pとエアー制御部5の基体51内の各流路5p、5qとアダプタ37内の流路37pとハンド先端部32内の流路32pとからなる内部配管がロボットハンド3に設けられるため、1本のエアー配管81をロボットハンド3の上部に接続すればハンド先端部32のチャック取付け面320まで内部配管によるエアー供給が可能となる。その結果、ロボットハンドの周りに配置されるチャック4へのエアー供給用の外部配管を削減でき、部品点数の低減にも寄与できる。
【0054】
<変形例>
・上記の実施形態におけるロボットハンドについては、シングルソレノイド型の8個の電磁弁50で4つのチャック4の駆動制御を行うのは必須でなく、ダブルソレノイド型の4個の電磁弁で4つのチャックの駆動制御を行うようにしても良い。
【0055】
また、ハンド先端部32にチャック取付け面320を1つだけ設けるようにしても良い。この場合には、例えばエアー入口開口350を始端とする1本の流路35pから1本の流路5pにエアーを供給するエアー供給経路がハンド本体部31内に形成され、1個の電磁弁による1つのチャックの駆動制御が行われる。
【0056】
・上記の実施形態におけるロボットハンドについては、ハンド本体部31に対してハンド先端部32が自由な着脱を行えない構成であるのは必須でなく、ハンド本体部に対してハンド先端部が着脱自在な構成であっても良い。このような構成のロボットハンド3rを図10を参照しつつ説明する。
【0057】
図10は、本発明の変形例に係るロボットハンド3rの要部構成を示す外観図である。
【0058】
ロボットハンド3rのハンド本体部31rは、上述したハンド本体部31に対して、アダプタ37の底部から突出する短尺の円筒形状の突出部38が付加されている。
【0059】
このような構成のハンド本体部31rと、ハンド本体部31rに連結するための特定の構造を有するハンド先端部32rとの着脱動作について、図11を参照して説明する。ここで、図11(a)は、ハンド本体部31rにハンド先端部32rが結合されていない状態を示し、図11(b)は、結合されている状態を示している。
【0060】
突出部38においては、その側面の複数箇所に形成された円形孔のそれぞれの内部に、この円形孔よりも若干大きな径を持つ可動球38sが収容されている。突出部38の内部には上述したエアー溜め5e(図4)からエアーが供給されるようになっており、そのエアー供給のON/OFFによって、可動球38sが突出部38の側面から出没できるようになっている。
【0061】
一方、ハンド先端部32rに設けられた着脱孔32vは、その出口付近が狭まるような逆テーパの傾斜面32aを有する構造となっており、その開口径が、ハンド本体部31r側の突出部38の外径と適合している。
【0062】
そして、図11(a)に示す非結合状態では、可動球38sは突出部38の内部に収容されている。ところが、図11(b)に示す結合状態では、エアーの供給によって可動球38sを移動させて可動球38sの一部を突起部38の外部に突出させることにより、着脱孔32vの傾斜面32aに可動球38sが係合する。これによって、ハンド本体部31rとハンド先端部32rとが連結されることとなる。以上の動作により、組立作業に必要なハンド先端部32rの自動交換が容易となる。また、エアーの供給を停止すると可動球38sへの付勢力は消失し、ハンド本体部31rを引き抜くことによってハンド先端部32rをその自重で取り外すことができる。
【0063】
以上のようにハンド本体部31rに対してハンド先端部32rの着脱が自在であるロボットハンド3rにおいても、その内部に上述した各流路35p、5p、5q、37p、32pを設けるようにすれば、上述した実施形態と同様に、1本のエアー配管81をロボットハンド3rの上部に接続すればハンド先端部32rのチャック取付け面320まで内部配管によるエアー供給が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係るロボットハンド3を備えたロボット1の要部構成を示す外観図である。
【図2】ロボットハンド3の要部構成を示す外観図である。
【図3】ロボットハンド3の機能構成を説明するための概念図である。
【図4】ロボットハンド3におけるエアーEfの流れを説明するための図である。
【図5】ロボットハンド3におけるエアーEfの流れを説明するための図である。
【図6】ロボットハンド3におけるエアーEfの流れを説明するための図である。
【図7】ロボットハンド3におけるエアーEfの流れを説明するための図である。
【図8】ロボットハンド3におけるエアーEfの流れを説明するための図である。
【図9】外部配管型チャック4rの取付けを説明するための図である。
【図10】本発明の変形例に係るロボットハンド3rの要部構成を示す外観図である。
【図11】ハンド本体部31rとハンド先端部32rとの着脱動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0065】
1 ロボット
2 アーム
3、3r ロボットハンド
4、4r チャック
4s、4t エアー入口開口
4p、5p、5q、32p、35p、37p、40p 流路(内部配管)
5 エアー制御部
5e エアー溜め
6 通信制御部
31、31r ハンド本体部
32、32r ハンド先端部
32j、32g、32h エアー出口開口
35 アタッチメント
37、40 アダプタ
40g、40h エアー出口開口
50、50a、50b 電磁弁
51 基体
61、64 プリント基板
62 コントローラ
63a〜63e コネクタ
81 エアー配管
82 メインケーブル
83〜85 ケーブル
86 配管(外部配管)
320、321、322 チャック取付け面
350 エアー入口開口
Ax 中心軸
CL シリンダ
Ef エアー(駆動エアー)
F1〜F6 エアーの流れ
SN センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業用ロボットのアームに装着可能なロボットハンドであって、
(a)前記アームに装着されるハンド本体部と、
(b)前記ハンド本体部に連結し、エアーを用いた駆動機構の駆動によって被把持物を把持するチャックの取付けが可能なチャック取付け部を有するハンド先端部と、
を備え、
前記ハンド本体部は、
(a-1)前記ハンド本体部の外面に設けられた1の入口開口を始端とする1本の第1流路から第2流路に前記エアーを供給するエアー供給経路が内部に形成された内部流路部と、
(a-2)前記第2流路の終端に接続する入力ポートと、前記ハンド本体部の内部に形成された第3流路を介して前記ハンド先端部に前記エアーを供給する出力ポートとを備えた切換弁からなる切換手段と、
を有するとともに、
前記ハンド先端部の内部には、前記第3流路の終端に接続する前記エアーの流入口と、前記チャック取付け部に設けられた流出口とを有する第4流路が形成されていることを特徴とするロボットハンド。
【請求項2】
請求項1に記載のロボットハンドにおいて、
前記エアー供給経路は、前記1本の第1流路から複数本の第2流路に前記エアーを供給する経路として構成されており、
前記切換手段は、前記複数本の第2流路に対応した複数の切換弁からなっていることを特徴とするロボットハンド。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のロボットハンドにおいて、
前記チャック取付け部に取付け可能な所定のチャックの内部には、前記駆動機構に前記エアーを供給する第5流路が形成されており、
前記所定のチャックが前記チャック取付け部に取付けられた際には、前記第5流路における前記エアーの流入口が、前記第4流路の流出口に連結されることを特徴とするロボットハンド。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のロボットハンドにおいて、
前記ハンド先端部には、複数のチャックの取付けが可能な複数のチャック取付け部が設けられていることを特徴とするロボットハンド。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載のロボットハンドにおいて、
前記チャック取付け部に取付け可能な特定のチャックの外面には、前記駆動機構に前記エアーを供給するためのエアー入口が形成されており、
前記特定のチャックが前記チャック取付け部に取付けられた際には、所定の流路が形成された接続手段により、前記第4流路の流出口と前記エアー入口とを前記所定の流路を介して接続することを特徴とするロボットハンド。
【請求項6】
請求項5に記載のロボットハンドにおいて、
前記ハンド先端部には、複数のチャックの取付けが可能な複数のチャック取付け部が設けられるとともに、
前記特定のチャックが前記チャック取付け部に取付けられた際には、前記接続手段により、前記複数のチャック取付け部のうちチャックの装着がないチャック取付け部に設けられた前記第4流路の流出口と前記エアー入口とを接続することを特徴とするロボットハンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−125555(P2010−125555A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302547(P2008−302547)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「次世代ロボット知能化技術開発プロジェクト・作業知能(生産分野)の開発・世界標準を目指したロボットセル生産用知能ハンドモジュール群とマニュアル作業激減知能モジュール群の開発と検証」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】