ロボット制御命令入力装置
【課題】反射的な操作が制限され、表示手段の大きさに関わらず入力される動作命令の確認が促されるロボット制御命令入力装置を提供する。
【解決手段】確認項目53への回答として選択項目54および選択項目55が用意されているとき、一方の選択項目55を選択しても、この選択項目55を決定するためのOKボタン62はすぐに操作することができない。すなわち、選択項目55を選択するタッチ操作をしてから遅延時間が経過するまで、操作者はOKボタン62を操作しても入力が受け付けられない。そのため、操作者は、反射的な一連の操作ができず、表示部21の表示内容に注意を向けやすくなる。その結果、表示部21の表示内容への注意の喚起が図られ、また遅延時間に相当する時間を付与することにより、例えば操作者が熟練者であっても、選択した選択項目55の確認が促される。
【解決手段】確認項目53への回答として選択項目54および選択項目55が用意されているとき、一方の選択項目55を選択しても、この選択項目55を決定するためのOKボタン62はすぐに操作することができない。すなわち、選択項目55を選択するタッチ操作をしてから遅延時間が経過するまで、操作者はOKボタン62を操作しても入力が受け付けられない。そのため、操作者は、反射的な一連の操作ができず、表示部21の表示内容に注意を向けやすくなる。その結果、表示部21の表示内容への注意の喚起が図られ、また遅延時間に相当する時間を付与することにより、例えば操作者が熟練者であっても、選択した選択項目55の確認が促される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御命令入力装置に関し、特にタッチパネル式の表示手段を備える持ち運び可能なロボット制御命令入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の機器へ指示を入力するための入力装置が広く利用されている。入力装置は、入力される項目を表示する表示手段、および表示された項目を入力するための入力手段などを備えている。機器の操作者は、表示手段に表示された項目を参照して入力手段を操作することにより、機器へ所望の指示を入力する。この場合、操作者の熟練度によって、表示手段への項目の表示から入力手段の操作までの間に時間的な遅れが生じる。そこで、特許文献1では、入力に遅れが生じると、音声で報知し、操作者へ入力を促す装置が開示されている。
【0003】
ところで、各種の機器としてロボットを対象とする場合、このロボットへの各種の動作の入力は、持ち運び可能な携帯型のロボット制御命令入力装置から行われている。ロボット制御命令入力装置は、タッチパネル式の表示手段を備えている。ロボットへ指示する動作命令は、この表示手段に表示された各種の項目を選択することにより入力される。このような携帯型のロボット制御命令入力装置の場合、表示手段の表示面積は比較的小さい。そのため、表示手段は、例えば選択の対象となる動作命令および最終的な決定を入力する決定ボタンなどがカード形式で表示される。ロボット制御命令入力装置を使用する操作者は、このカード形式の表示を参照しつつ、動作命令および決定の入力を行う。
【0004】
しかしながら、このロボット制御命令入力装置の操作に熟練した操作者の場合、表示された動作命令の確認が不十分なまま決定の入力を行うことがある。すなわち、操作者の熟練度が向上すると、表示手段の表示に対する入力の遅れとは逆に、操作者は表示手段の表示に対し反射的な操作を行う場合がある。そのため、操作者は、動作命令をロボットに入力する際、動作命令の確認が不十分なまま次の動作命令の入力に進むことがある。この場合、例え操作者が熟練者であったとしても、時には入力を間違う可能性があるにも関わらず、操作者はそのことに気づかないまま意図しない動作命令を入力するおそれがある。一方、上述のように携帯型のロボット制御命令入力装置の場合、表示手段の大きさには制限がある。そのため、例えば入力の操作とともに動作命令を確認するためのメッセージを表示することも困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2004/104986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、反射的な操作が制限され、表示手段の大きさに関わらず入力される動作命令の確認が促されるロボット制御命令入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明では、決定受付手段は、選択動作命令の認識から遅延時間が経過した後に、入力決定ボタンへの入力を受け付ける。操作者は、ロボットへ動作命令を指示する場合、表示手段に表示されている所望の動作命令を選択し、入力決定ボタンへ入力すなわちタッチ操作が必要である。入力決定ボタンが操作されることにより、選択された選択動作命令は決定された選択動作命令となる。すなわち、操作者は、動作命令の選択、および入力決定ボタンの操作という二段階の操作が必要となる。このとき、決定受付手段は、操作者による選択動作命令の操作の認識から遅延時間が経過した後に、入力決定ボタンへの入力を受け付ける。そのため、操作者は、選択動作命令の選択操作をした後、遅延時間が経過するまで、入力決定ボタンに入力ができない。このように操作者の意向にしたがったボタン操作の結果が画面で反映されないとき、操作者は表示手段に表示されている内容に注意を向けやすくなる。その結果、表示手段の表示内容への注意の喚起が図られ、また遅延時間に相当する時間を付与することにより、例えば操作者が熟練者であっても、選択した動作命令の確認が促される。これにより、表示手段に選択動作命令の確認を促す項目を表示することなく、選択した選択動作命令を確認するための時間的な余裕が操作者へ与えられる。したがって、動作命令の選択から入力決定ボタンへ反射的な操作を制限することができ、表示手段の大きさに関わらず入力される動作命令の確認を促すことができる。
【0008】
請求項2記載の発明では、決定受付手段は選択動作命令の認識から遅延時間が経過した後に入力決定ボタンを表示手段に表示する。そのため、操作者は、遅延時間が経過するまでは、入力決定ボタンを操作することができない。したがって、動作命令の選択から入力決定ボタンへの反射的な操作を制限することができ、表示手段の大きさに関わらず入力される動作命令の確認を促すことができる。
【0009】
請求項3記載の発明では、決定受付手段は入力した動作命令を最終的にロボットへ転送するか否かを問い合わせるとき、入力決定ボタンへの受付を遅延させる。ロボットへ入力する動作命令は、各動作ごとに用意されている選択肢が逐次選択される。そして、すべての動作について動作命令を選択した後、入力されたすべての動作命令がロボットへ最終的に転送される。この最終的な転送の段階のとき、決定受付手段で入力決定ボタンへの受付を遅延させることにより、各段階の動作で反射的に決定を行っている場合でも、最終的な転送の際に動作命令を確認する時間が確保される。したがって、最終的な動作命令がロボットが転送される前に、ロボットへ入力される動作命令の確認を促すことができる。また、最終的なロボットへの転送の際に確認のための遅延時間が設定されるため、動作命令の選択ごとの遅延時間が省略される。したがって、動作命令を確実に確認することができるとともに、操作の煩わしさを低減することができる。
【0010】
ところで、小型の表示手段において、動作命令および入力決定ボタンがスクロールしない同一の画面に表示される場合、動作命令の選択から決定までに反射的な操作を招きやすい。そこで、請求項4記載の発明では、決定受付手段で遅延時間を確保することにより、表示手段は動作命令および入力決定ボタンをスクロールしない同一の画面に表示する場合でも、反射的な操作が制限される。したがって、表示手段の大きさに関わらず入力される動作命令の確認を促すことができる。
【0011】
請求項5記載の発明では、報知手段を備えている。選択動作命令の認識から入力決定ボタンへの入力の受付までの間に遅延時間が確保される場合、遅延時間の間は入力決定ボタンへの入力ができない。そのため、操作者は、機器の故障であると勘違いするおそれがある。そこで、遅延時間の間、表示手段に表示されている動作命令を順に報知することにより、操作者に対し確認を促すとともに、正常な動作が行われていることを伝える。したがって、反射的な操作を制限する遅延時間に加え、報知手段によっても動作命令の確認を促すことができる。
【0012】
請求項6記載の発明では、報知手段は動作命令の先頭から末尾までカーソルを移動させる。これにより、操作者は、カーソルの動きによって動作命令を視覚的に再確認することができるとともに、遅延時間における入力を受け付けない時間が故障でないことを認識することができる。
請求項7記載の発明では、報知手段は動作命令の先頭から末尾まで色彩または色調を変化させる。報知手段は、例えば動作命令を示す文字と背景との明暗を反転させたり、文字の色を変化させる。これにより、操作者は、動作命令の色彩または色調の変化によって動作命令を視覚的に再確認することができるとともに、遅延時間における入力を受け付けない時間が故障によるものでないことを認識することができる。
【0013】
請求項8記載の発明では、報知手段は、動作命令の先頭から末尾まで読み上げる。これにより、操作者は、動作命令が読み上げられることによって動作命令を聴覚的に再確認することができるとともに、遅延時間における入力を受け付けない時間が故障でないことを認識することができる。
請求項9記載の発明では、動作命令を構成する複数行の項目表示のうち、いずれかの項目表示を報知している間に、選択動作命令が変更されると、変更された選択動作命令を示す項目表示の先頭から報知を繰り返す。そのため、変更された選択動作命令を確実に確認することができる、また、変更された選択動作命令だけが報知を繰り返されので、煩わしさを低減することができる。
【0014】
請求項10記載の発明では、動作命令を構成する複数行の項目表示のうち、いずれかの項目表示を報知している間に、選択動作命令が変更されると、第一行目の項目表示の先頭から報知を繰り返す。そのため、変更された選択動作命令だけでなく、表示全体の先頭から報知が繰り返される。これにより、動作命令の確実な再確認を促すことができる。また、操作者に対し無用な操作や先行した操作によって煩わしい印象を与えることにより、冷静な操作を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態によるロボットシステムを示す概略図
【図2】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの電気的な構成を示すブロック図
【図3】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される初期画面を示す模式図
【図4】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示されるプログラム選択画面を示す模式図
【図5】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示されるプログラム選択画面を示す模式図
【図6】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示されるモード選択画面を示す模式図
【図7】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【図8】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【図9】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントを用いてロボットへ動作プログラムを入力するための操作ツリーを示す概略図
【図10】本発明の第2実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【図11】本発明の第2実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【図12】本発明の第3実施形態によるティーチングペンダントの図2に相当する図
【図13】本発明の第3実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【図14】本発明の第4実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【図15】本発明の第5実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の複数の実施形態によるロボット制御命令入力装置を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態によるロボット制御命令入力装置を適用したロボットシステムを図1に示す。ロボットシステム10は、ロボット11およびコントローラ12を備えている。ロボット11は、例えば部品の組み立て用あるいは部品の検査用など、任意の構成のロボットである。コントローラ12は、周辺機器としてティーチングペンダント20およびプログラム入力用のパーソナルコンピュータ(パソコン)13などが接続されている。このティーチングペンダント20は、ロボット制御命令入力装置に相当する。
【0017】
ロボット11は、例えば6軸の垂直多関節型のロボットとして構成されている。ロボット11は、周知の通り、それぞれアクチュエータであるサーボモータ14などからの駆動力で駆動されるアーム15を有している。アーム15は、先端にエンドエフェクタ16を有している。例えばロボット11で部品の運搬や組み立てを行う場合、エンドエフェクタ16としてこれらの部品を保持するためのハンドが用いられる。また、例えばロボット11で部品の検査などを行う場合、エンドエフェクタ16として対象となる部品を撮影するカメラなどが用いられる。
【0018】
このように、エンドエフェクタ16は、ロボット11を適用する工程に応じて任意に選択することができる。サーボモータ14からアーム15のエンドエフェクタ16までの間には、図示しない減速機構やリンクなどの駆動力伝達機構が設けられている。これにより、アーム15の先端に設けられているエンドエフェクタ16は、サーボモータ14からの駆動力によって駆動される。ロボット11とコントローラ12との間は、接続ケーブル17によって接続されている。これにより、ロボット11の各軸を駆動するサーボモータ14、および作業を実施するエンドエフェクタ16は、コントローラ12によって制御される。
【0019】
ティーチングペンダント20は、例えばユーザが携帯あるいは手に所持して操作可能な程度の大きさであり、例えば薄型の矩形の箱状に形成されている。ティーチングペンダント20は、表面側の中央部に例えば液晶ディスプレイからなる表示部21を備えている。表示部21は、タッチパネルで構成されており、各種の画面を表示する。ティーチングペンダント20は、表示部21の周囲に各種のキースイッチ22を有している。ユーザは、表示部21のタッチパネルやキースイッチ22から種々の入力操作を実行する。
【0020】
ティーチングペンダント20は、ケーブル18を経由してコントローラ12に接続している。ティーチングペンダント20は、図2に示すように通信インターフェイス23を経由してコントローラ12との間で高速のデータ転送を実行する。これにより、表示部21のタッチパネルのタッチ操作やキースイッチ22の押し操作によって入力された操作信号などの情報は、ティーチングペンダント20からコントローラ12へ送信される。また、コントローラ12は、ティーチングペンダント20へ制御信号や表示用の信号とともに駆動用の電力を供給する。ユーザは、上記のティーチングペンダント20を用いてロボット11の運転や設定などの各種の機能の入力を実行する。ユーザは、例えば表示部21のタッチパネルやキースイッチ22を操作することにより、予め記憶されている制御プログラムを呼び出して、ロボット11の起動や各種のパラメータの設定などを実行する。また、ユーザは、ロボット11をマニュアル操作で動作させることにより、各種の教示作業いわゆるティーチングも実行することができる。表示部21は、例えばメニュー画面、設定入力画面、および状況表示画面などを必要に応じて表示する。
【0021】
図1に示すようにパソコン13は、例えば汎用のノートパソコンなどである。ユーザは、プログラミングソフトをパソコン13において実行させることにより、アプリケーションに応じてロボット11の動作手順などを記述した動作プログラムを作成する。このパソコン13は、ケーブル19を経由してコントローラ12に接続している。これにより、パソコン13で作成されたロボット11の動作プログラムは、パソコン13からコントローラ12へ転送される。
【0022】
次に、ティーチングペンダント20の電気的な構成について図2に基づいて説明する。
ティーチングペンダント20は、上述の表示部21、キースイッチ22および通信インターフェイス23に加え、制御部24、選択認識部25および決定受付部26を備えている。制御部24は、例えばCPU、ROMおよびRAMを有するマイクロコンピュータで構成されており、ティーチングペンダント20の全体を制御する。表示部21は、上述のようにタッチパネル式であり、ロボット11へ指示する動作命令を選択可能に表示する。選択認識部25および決定受付部26は、制御部24で実行されるコンピュータプログラムによりソフトウェア的に実現されている。なお、選択認識部25および決定受付部26は、ハードウェアとして実現してもよい。
【0023】
選択認識部25は、表示部21に表示された動作命令のうちタッチ操作があった部分を選択動作命令として認識する。すなわち、表示部21に一つまたは複数の動作命令が表示されているとき、選択認識部25はいずれの動作命令にタッチ操作があったかを認識するとともに、タッチ操作があった動作命令を選択動作命令として認識する。また、選択認識部25は、動作命令だけでなく、タッチパネル式の表示部21におけるタッチ操作を認識し、タッチ操作された表示部21の表示に対応する命令を制御部24へ入力する。決定受付部26は、選択認識部25において選択動作命令が認識されてから遅延時間が経過した後に、その選択動作命令をロボット11へ指示するか否かの決定を受け付ける。また、決定受付部26は、選択動作命令をロボット11へ指示するか否かの決定を受け付ける入力決定ボタンを表示部21に表示する。決定受付部26は、選択認識部25において選択動作命令が認識されてから遅延時間が経過すると、この入力決定ボタンへの入力を受け付ける。ここで、遅延時間とは、選択認識部25において選択動作命令が認識されてから入力決定ボタンにおいて決定受付部26が入力を受け付けるまでの時間を意味する。この遅延時間は、例えば0.数秒から数秒程度であり、選択した選択動作命令を確認するために十分な時間に対応する。
【0024】
次に、図3から図8に基づいて表示部21の表示について説明する。
図3は、表示部21の初期画面30を示す模式図である。初期画面30は、画面の下部にプログラムボタン31を有している。初期画面30のプログラムボタン31をタッチ操作することにより、制御部24は表示部21の表示をロボットで実行される動作プログラムを選択するための図4に示すプログラム選択画面40へ移行させる。図4および図5は、表示部21のプログラム選択画面40を示す模式図である。プログラム選択画面40は、選択が可能な動作プログラムの名称41、状態43、行番号42、実行時間44および優先順位45などを含んでいる。また、プログラム選択画面40は、画面の下部に選択した動作プログラムを起動させるための起動ボタン46を有している。操作者は、プログラム選択画面40に表示されている動作プログラムの名称41をタッチ操作することにより、所望の動作プログラムを選択する。そして、いずれかの動作プログラムを選択した状態で起動ボタン46がタッチ操作されると、制御部24は表示部21の表示を例えば図6に示すモード選択画面50などに移行させる。図4および図5の場合、動作プログラムとして「PRO1」が選択されている。また、図5では、起動ボタン46が押されたことを分かりやすくするために起動ボタン46の色を変更しているが、起動ボタン46の色が変化するとは限らない。
【0025】
図6は、表示部21のモード選択画面50を示す模式図である。モード選択画面50は、プログラム選択画面40に重ねて表示されるダイアログボックス51を含んでいる。図6に示すモード選択画面50の場合、ダイアログボックス51は、動作命令52として、「プログラムを起動しますか?」との確認項目53、「1サイクル起動」との選択項目54、および「連続起動」との選択項目55を含んでいる。また、ダイアログボックス51は、選択項目54および選択項目55の左側に、それぞれ選択ボックス56および選択ボックス57を含んでいる。選択項目54または選択項目55のいずれかが選択されると、選択された選択項目54、55の選択ボックス56、57の色が変化する。このように、ダイアログボックス51は、動作命令52として複数の行にわたって表示される確認項目53、選択項目54および選択項目55を有している。この選択項目54または選択項目55のうち選択された選択項目は、特許請求の範囲の選択動作命令に相当する。また、複数の行にわたる確認項目53、選択項目54および選択項目55は、特許請求の範囲の項目表示に相当する。
【0026】
図7および図8は、表示部21の確認画面60を示す模式図である。確認画面60は、モード選択画面50と同様にダイアログボックス51を含んでいる。図6に示すモード選択画面50において選択項目54または選択項目55のいずれかがタッチ操作されると、制御部24は表示部21の表示を図7および図8に示す確認画面60に移行させる。図7および図8に示す確認画面60の場合、選択項目55すなわち「連続起動」が選択され、選択ボックス57の色が変化している。また、図6から図8に示すように、ダイアログボックス51は、右下部にキャンセルボタン61およびOKボタン62を含んでいる。図6に示すモード選択画面50でキャンセルボタン61がタッチ操作されると、制御部24は表示部21の表示を図5に示すプログラム選択画面40へ移行させる。また、図7および図8に示す確認画面60でキャンセルボタン61がタッチ操作されると、制御部24は表示部21の表示を図6に示すモード選択画面50に移行させる。このようにキャンセルボタン61がタッチ操作されると、表示部21は一つ前の画面に移行する。一方、OKボタン62がタッチ操作されると、制御部24は図5に示すプログラム選択画面で選択された動作プログラム、および図6に示すモード選択画面50で選択された選択項目54、55を、コントローラ12を経由してロボット11へ送信する。なお、図8では、OKボタン62が押されたことを分かりやすくするためにOKボタン62の色を変更しているが、OKボタン62の色が変化するとは限らない。OKボタン62は、特許請求の範囲における入力決定ボタンに相当する。
【0027】
次に、上記の構成によるティーチングペンダント20の作動について図9に基づいて説明する。図9は、ティーチングペンダント20を用いてロボット11へ動作プログラムを入力するための操作ツリーを示す概略図である。
まず、ティーチングペンダント20をはじめとするロボットシステム10は、電源がオンされる(101)。電源がオンされると、ロボット11を動作させるモードの切り替えが行われる(102)。モードの切り替えは、パソコン13やティーチングペンダント20から入力される。ここで、切り替えられるモードには、自動モード(103)、手動モード(104)およびティーチモード(105)が設定されている。自動モード(103)の場合、プログラム一覧表示モード(106)またはパラメータ一覧表示モード(107)のいずれかが選択される。プログラム一覧モード(106)が選択されると、制御部24は表示部21の表示を図3に示す初期画面30に移行させる。ここで、図3に示すプログラムボタン31がタッチ操作されると、制御部24は表示部21の表示を図4に示すプログラム選択画面40に移行させる(108)。プログラム選択画面40では、例えば図示しない「編集ボタン」や「コピーボタン」をタッチ操作することにより、それぞれ編集モード(109)またはコピーモード(110)へ移行する。
【0028】
編集モード(109)の場合、表示部21に編集の対象となる動作プログラムの内容が表示される(111)。操作者は、動作プログラムの内容が表示されると、表示部21に表示された動作プログラムの任意の行をタッチ操作することにより、編集行を選択する選択モード(112)または動作プログラムの全体を編集する編集モード(113)に移行する。操作者は、編集モード(113)を選択すると、図示しないOKボタンをタッチ操作し(114)、編集作業を完了する。一方、操作者は、選択モード(112)を選択し、選択した編集行の新規作成、削除あるいは変更などの処理を行う(115)。この処理が完了すると、表示部21には図示しない確認画面が表示される(116)。操作者がこの図示しない確認画面に含まれるOKボタンをタッチ操作すると(117)、編集モードの操作は完了する(117)。このように、編集モード(109)は、図9の破線の枠で示すように、操作の途中に選択モード(112)または編集モード(113)の選択を含んでいる。そのため、編集モード(109)は操作経路が複数存在することとなり、操作者は一連の操作を行うことができない。すなわち、操作者は、いずれかのモードを選択するために意識的な操作を必要とする。
【0029】
コピーモード(110)の場合、表示部21にコピーを実行する図示しない確認画面が表示された後(118)、操作者が図示しない確認画面に含まれるOKボタンをタッチ操作すると(119)、選択された動作プログラムのコピーが実行される。コピーモード(110)は、操作の途中に分岐する複数の操作経路を含んでいない。しかし、コピーモード(110)の場合、操作に誤りが生じるおそれがないため、一連の操作を行っても問題は生じない。
【0030】
一方、図4および図5に示すプログラム選択画面40において、図5に示すように起動ボタン46がタッチ操作されると、起動モード(120)へ移行する。起動ボタン46がタッチ操作されると、制御部24は、起動モードの選択へ移行し(121)、表示部21の表示を図6に示すモード選択画面50に変更する。このモード選択画面50は、動作プログラムの起動モードを選択する画面であり、確認項目53、選択項目54および選択項目55を含むダイアログボックス51を有している。操作者は、図6に示すモード選択画面50の選択項目54または選択項目55をタッチ操作することにより、選択項目54または選択項目55のいずれかを選択する。
【0031】
制御部24は、選択項目54または選択項目55のいずれかがタッチ操作されると、表示部21の表示をモード選択画面50から図7および図8に示す確認画面60へ移行させる(122)。本実施形態の場合、操作者は、モード選択画面50の選択項目55をタッチ操作している。そのため、図7および図8に示す確認画面60では、選択された選択項目55の左側に位置する選択ボックス57の色が変化している。このとき、選択認識部25は、選択項目54または選択項目55のうちタッチ操作のあった選択項目55を選択動作命令として認識する。
【0032】
操作者は、表示部21が確認画面60の表示へ移行した後(122)、OKボタン62をタッチ操作することにより選択項目55の決定を入力する(S123)。OKボタン62のタッチ操作により選択項目55が決定されると、制御部24は選択された動作プログラムおよび選択項目55をコントローラ12を経由してロボット11へ送信する。ここで、起動モード(120)の場合、起動モード選択(121)、確認画面60の表示(122)およびOKボタン(123)の操作は、一連の処理として実行される。そのため、操作者は、図5に示すプログラム選択画面40における起動ボタン46のタッチ操作、図6に示すモード選択画面50における選択項目55の選択のタッチ操作、および図8に示す確認画面60におけるOKボタン62のタッチ操作を、一連の流れとして操作する。
【0033】
このような一連の流れで操作がされる場合、操作者は、例えば選択項目54を選択しなければならないのに、無意識に選択項目55を選択し、OKボタン62のタッチ操作を行うおそれがある。特に、操作者は、操作に熟練すると、各操作が迅速となり、誤りに気づかないままOKボタン62のタッチ操作を行いやすくなる。その結果、意図しない動作プログラムや選択項目に基づいてロボット11の動作が開始されるおそれがある。
【0034】
そこで、第1実施形態の場合、決定受付部26は、選択項目54または選択項目55が選択されてから、すなわち図7に示す確認画面60が表示(122)されてから、予め設定されている遅延時間を経過しなければOKボタン62への入力(123)を受け付けない。これにより、操作者は、図6に示すモード選択画面50で選択項目54または選択項目55を選択してからOKボタン62のタッチ操作が可能となるまで、すなわち遅延時間が経過するまで待機しなければならない。そのため、操作者は、起動ボタン46のタッチ操作、選択項目55のタッチ操作、およびOKボタン62のタッチ操作を一連の操作として実行することができなくなる。その結果、操作者は、自身が選択した選択項目55の正否を確認する時間的な余裕が生じる。
【0035】
以上のように、第1実施形態では、選択項目の選択からOKボタンのタッチ操作が可能となるまでの間に遅延時間を設けている。すなわち、決定受付部26は、タッチ操作による選択項目55の認識から遅延時間が経過した後に、OKボタン62への入力を受け付ける。操作者は、ロボット11へ選択項目55に対応する動作命令を指示する場合、表示部21に表示されている所望の選択項目55を選択し、OKボタン62へ入力すなわちタッチ操作が必要である。OKボタン62が操作されることにより、選択された選択項目55は決定された選択動作命令としてコントローラ12を経由してロボット11へ送信される。すなわち、操作者は、動作命令に対応する選択項目55の選択、およびOKボタン62の操作という二段階の操作が必要となる。このとき、決定受付部26は、操作者による選択項目55のタッチ操作の認識から遅延時間が経過した後に、OKボタン62への入力を受け付ける。そのため、操作者は、選択項目55のタッチ操作をした後、遅延時間が経過するまで、OKボタン62に入力ができない。このようにOKボタン62の操作ができないとき、操作者は、一連の操作ができず、表示部21の表示内容に注意を向けやすくなる。その結果、表示部21の表示内容への注意の喚起が図られ、また遅延時間に相当する時間を付与することにより、例えば操作者が熟練者であっても、選択した選択項目55の確認が促される。これにより、表示部21に選択項目55の確認を促す表示がなくても、選択項目55を確認するための時間的な余裕が操作者へ与えられる。したがって、選択項目55の選択からOKボタン62のタッチ操作へ反射的な操作を制限することができ、表示部21の大きさに関わらず入力される選択項目の確認を促すことができる。
【0036】
第1実施形態では、決定受付部26は、選択した選択項目55を最終的にロボット11へ転送するか否かを問い合わせるとき、OKボタン62への受付を遅延させる。ロボット11へ入力する命令は、例えば図9に示す(101)から(123)までの間の各動作ごとに用意されている選択肢が逐次選択される。そして、すべての動作について命令を選択した後、入力されたすべての動作命令がロボット11へ最終的に転送される。この最終的な転送の段階(123)のとき、決定受付部26でOKボタン62への受付を遅延させることにより、各段階の動作で反射的に決定を行っている場合でも、最終的な転送の際に選択項目55を確認する時間が確保される。したがって、ロボット11へ最終的な転送がされる前に、ロボット11へ入力される各種の命令の確認を促すことができる。また、最終的なロボット11への転送の際に確認のための遅延時間が設定されるため、それ以前の各種の命令を選択する際の遅延時間が省略される。したがって、入力した命令を確実に確認することができるとともに、操作の煩わしさを低減することができる。
【0037】
ところで、ティーチングペンダント20のように小型の表示部21を用いる場合、動作命令52およびOKボタン62がスクロールしない同一のダイアログボックス51に表示される。このように同一のダイアログボックス51に動作命令52およびOKボタン62が表示される場合、動作命令52に含まれる選択項目54、55の選択からOKボタン62のタッチ操作までに反射的な操作を招きやすい。そこで、第1実施形態では、決定受付部26で遅延時間を確保することにより、表示部21で選択項目54、55およびOKボタン62をスクロールしない同一のダイアログボックス51に表示する場合でも、反射的な操作が制限される。したがって、表示部21の大きさに関わらず入力される命令の確認を促すことができる。
【0038】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるティーチングペンダントの表示部の表示を図10に示す。
第2実施形態の場合、図10に示すように確認画面60に移行してもOKボタンに相当する表示がない。すなわち、決定受付部26は、選択認識部25において選択項目54または選択項目55のいずれかが選択されたと認識しても、確認画面60にOKボタンを表示しない。決定受付部26は、選択認識部25において選択項目54または選択項目55のいずれかが選択されたと認識されてから、遅延時間が経過すると、図11に示すようにOKボタン63を表示する。これにより、操作者は、遅延時間が経過した後に、OKボタン63から選択項目55の決定を入力可能となる。
【0039】
第2実施形態では、決定受付部26は、選択項目54または選択項目55のタッチ操作の認識から遅延時間が経過した後にOKボタン63を表示部21のダイアログボックス51に表示する。そのため、操作者は、遅延時間が経過するまでOKボタン63を操作することができない。したがって、選択項目55の選択からOKボタン63への反射的な操作を制限することができ、表示部21の大きさに関わらず入力される動作命令の確認を促すことができる。
【0040】
(第3実施形態)
第3実施形態によるティーチングペンダントの電気的な構成を図12に示す。
第3実施形態によるティーチングペンダント20は、図12に示すように報知部70を備えている。報知部70は、選択認識部25が選択項目54または選択項目55のタッチ操作を認識してから、OKボタン62への入力を受け付けるまでの間に、表示部21に表示されている動作命令52を順に報知する。第3実施形態の場合、報知部70は、図13に示すように表示部の表示されている動作命令52、すなわち確認項目53、選択項目54および選択項目55のうち少なくともタッチ操作された選択項目55の先頭から末尾まで移動するカーソル71を有している。カーソル71は、タッチ操作された選択項目55だけでなく、確認項目53を含むすべての動作命令52について先頭から末尾まで移動する構成としてもよい。カーソルは、これらの確認項目53、選択項目54および選択項目55のうち少なくとも選択された選択項目55の先頭から末尾まで移動することにより、操作者に選択項目55の内容を報知する。これにより、操作者は、選択項目55の選択からOKボタン62の操作までの間に、移動するカーソルによって選択した選択項目55の確認が促される。
【0041】
第3実施形態では、報知部70を備えている。選択項目54または選択項目55の選択からOKボタン62への入力の受付までの間に遅延時間が確保される場合、遅延時間の間はOKボタン62への入力ができない。そのため、操作者は、ティーチングペンダント20に故障が生じていると勘違いするおそれがある。そこで、遅延時間の間、表示部21に表示されている確認項目53、選択項目54および選択項目55をカーソル71の移動によって順に報知することにより、操作者に対し選択項目55の確認を促すとともに、機器の正常な動作が行われていることを伝える。したがって、反射的な操作を制限する遅延時間に加え、報知部70によっても動作命令の確認を促すことができる。
【0042】
また、第3実施形態では、報知部70は、動作命令52を構成する確認項目53、選択項目54および選択項目55のそれぞれについて先頭から末尾までカーソル71を移動させる。これにより、操作者は、カーソル71の動きによって確認項目53、選択項目54および選択項目55を視覚的に再確認することができるとともに、ティーチングペンダント20の故障でないことを認識することができる。
【0043】
(第4、第5実施形態)
本発明の第4、第5実施形態によるティーチングペンダントの表示部をそれぞれ図14または図15に示す。第4、第5実施形態は、いずれも報知部70を備える点で第3実施形態と共通する。
第4実施形態の場合、報知部70は、図14に示すように表示部21に表示されている動作命令52、すなわち確認項目53、選択項目54および選択項目55のうちタッチ操作によって選択された選択項目55の先頭から末尾まで順に文字72の色彩を変化させる。報知部70は、例えば図14に示すように選択項目55の文字72の色彩を変化させたり、選択項目55の文字の色調を変化させたり、選択項目55の文字の背景と文字との明暗を反転させたりすることにより、操作者に選択した選択項目55の内容を報知する。これにより、操作者は、選択項目55の選択からOKボタン62の操作までの間に、色彩や色調の変化する文字72によって選択した選択項目55の確認が促される。この場合、報知部70は、タッチ操作によって選択項目54または選択項目55のいずれかが選択されると、選択された選択項目54または選択項目55に限らず、確認項目53を含むすべての動作命令52の色彩や色調を変更する構成としてもよい。
【0044】
第4実施形態では、報知部70は、動作命令52として含まれる確認項目53、選択項目54および選択項目55のうち少なくともタッチ操作された選択項目55を先頭から末尾まで文字72の色彩を変化させる。これにより、操作者は、タッチ操作によって選択した選択項目55の文字72の色彩が変化することによってロボット11のへ入力する命令を視覚的に再確認することができる。また、OKボタン62で入力が受け付けられるまでの間に文字72の色彩または色調の変化によって選択項目55が報知されるので、ティーチングペンダント20の故障でないことも確認することができる。
【0045】
第5実施形態の場合、報知部70は、図15に示すように表示部21に表示されている動作命令52、すなわち確認項目53、選択項目54および選択項目55のうち、タッチ操作によって選択された選択項目55の先頭から末尾まで順に音声によって読み上げる。なお、図15では、音声の表現を容易にするために吹出し73を図示しているが、実際は音声が生じるのみであり、吹出し73が表示されるわけではない。報知部70は、タッチ操作された選択項目55の先頭から末尾まで音声で読み上げることにより、操作者に選択された選択項目55の内容を報知する。これにより、操作者は、選択項目55の選択からOKボタン62の操作までの間に、読み上げられる音声に沿って選択した選択項目55の確認が促される。この場合、報知部70は、タッチ操作によって選択項目54または選択項目55のいずれかが選択されると、選択された選択項目54または選択項目55に限らず、確認項目53を含むすべての動作命令52を読み上げる構成としてもよい。
【0046】
第5実施形態では、報知部70は、動作命令52として含まれる確認項目53、選択項目54および選択項目55のうち少なくともタッチ操作された選択項目55を先頭から末尾まで読み上げる。これにより、操作者は、タッチ操作した選択項目55が読み上げられることによってロボット11へ入力する命令を聴覚的に再確認することができる。また、OKボタン62で入力が受け付けられるまでの間に音声によって選択項目55が報知されるので、ティーチングペンダント20の故障でないことも認識することができる。
【0047】
(その他の実施形態)
上述の第3実施形態から第6実施形態は、以下のように変更してもよい。
報知部70は、動作命令のうち選択項目54または選択項目55が選択されると、カーソル71、文字72の色彩の変化または音声などによってタッチ操作された選択項目55を報知する。この場合、表示部21は、複数の行にわたる動作命令52、すなわち確認項目53、選択項目54および選択項目55を表示している。ところで、操作者は、選択項目54または選択項目55をいずれかをタッチ操作した後、遅延時間に相当する時間、すなわち報知部70が報知している間に、選択項目54または選択項目55を再びタッチ操作することがある。例えば、先に選択項目55をタッチ操作した後、次に選択項目54がタッチ操作されると、ロボット11へ入力される命令に変更が生じる。そこで、報知部70は、報知をしている間に、選択項目54または選択項目55にタッチ操作が行われ、選択された選択項目に変更があったとき、その選択項目の先頭から再び報知を繰り返す。例えば、選択項目55が選択されて報知部70が報知しているとき、選択項目54がタッチ操作されると、報知部70は後にタッチ操作された選択項目54について先頭から報知を繰り返す。したがって、変更された選択項目54の確実な確認を促すことができる。また、変更された選択項目54だけ報知が繰り返されるので、煩わしさを低減することができる。
【0048】
一方、報知部70は、変更のあった選択項目の先頭から報知を繰り返すのではなく、ダイアログボックス51に表示されている複数行の動作命令52のうち第一行目、すなわち確認項目53の先頭から報知を繰り返す構成としてもよい。例えば、報知部70が選択項目55について報知している間に、選択項目54にタッチ操作が行われると、報知部70は確認項目53の先頭から順に報知を繰り返す。これにより、入力される命令の確実な再確認を促すことができる。また、操作者に対し無用な操作や先行した操作によって煩わしい印象を与えることにより、冷静な操作を促すことができる。
さらに、複数の実施形態を組み合わせて適用してもよい。例えば表示部21における動作命令52に視覚的な報知を加えつつ、聴覚的な報知を加えもよい。
【0049】
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
図面中、11はロボット、20はティーチングペンダント(ロボット制御命令入力装置)、21は表示部、25は選択認識部、26は決定受付部、52は動作命令、53は確認項目(項目表示)、54、55は選択項目(項目表示)、62、63はOKボタン(入力決定ボタン)、70は報知部、71はカーソルを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御命令入力装置に関し、特にタッチパネル式の表示手段を備える持ち運び可能なロボット制御命令入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の機器へ指示を入力するための入力装置が広く利用されている。入力装置は、入力される項目を表示する表示手段、および表示された項目を入力するための入力手段などを備えている。機器の操作者は、表示手段に表示された項目を参照して入力手段を操作することにより、機器へ所望の指示を入力する。この場合、操作者の熟練度によって、表示手段への項目の表示から入力手段の操作までの間に時間的な遅れが生じる。そこで、特許文献1では、入力に遅れが生じると、音声で報知し、操作者へ入力を促す装置が開示されている。
【0003】
ところで、各種の機器としてロボットを対象とする場合、このロボットへの各種の動作の入力は、持ち運び可能な携帯型のロボット制御命令入力装置から行われている。ロボット制御命令入力装置は、タッチパネル式の表示手段を備えている。ロボットへ指示する動作命令は、この表示手段に表示された各種の項目を選択することにより入力される。このような携帯型のロボット制御命令入力装置の場合、表示手段の表示面積は比較的小さい。そのため、表示手段は、例えば選択の対象となる動作命令および最終的な決定を入力する決定ボタンなどがカード形式で表示される。ロボット制御命令入力装置を使用する操作者は、このカード形式の表示を参照しつつ、動作命令および決定の入力を行う。
【0004】
しかしながら、このロボット制御命令入力装置の操作に熟練した操作者の場合、表示された動作命令の確認が不十分なまま決定の入力を行うことがある。すなわち、操作者の熟練度が向上すると、表示手段の表示に対する入力の遅れとは逆に、操作者は表示手段の表示に対し反射的な操作を行う場合がある。そのため、操作者は、動作命令をロボットに入力する際、動作命令の確認が不十分なまま次の動作命令の入力に進むことがある。この場合、例え操作者が熟練者であったとしても、時には入力を間違う可能性があるにも関わらず、操作者はそのことに気づかないまま意図しない動作命令を入力するおそれがある。一方、上述のように携帯型のロボット制御命令入力装置の場合、表示手段の大きさには制限がある。そのため、例えば入力の操作とともに動作命令を確認するためのメッセージを表示することも困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開WO2004/104986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、反射的な操作が制限され、表示手段の大きさに関わらず入力される動作命令の確認が促されるロボット制御命令入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明では、決定受付手段は、選択動作命令の認識から遅延時間が経過した後に、入力決定ボタンへの入力を受け付ける。操作者は、ロボットへ動作命令を指示する場合、表示手段に表示されている所望の動作命令を選択し、入力決定ボタンへ入力すなわちタッチ操作が必要である。入力決定ボタンが操作されることにより、選択された選択動作命令は決定された選択動作命令となる。すなわち、操作者は、動作命令の選択、および入力決定ボタンの操作という二段階の操作が必要となる。このとき、決定受付手段は、操作者による選択動作命令の操作の認識から遅延時間が経過した後に、入力決定ボタンへの入力を受け付ける。そのため、操作者は、選択動作命令の選択操作をした後、遅延時間が経過するまで、入力決定ボタンに入力ができない。このように操作者の意向にしたがったボタン操作の結果が画面で反映されないとき、操作者は表示手段に表示されている内容に注意を向けやすくなる。その結果、表示手段の表示内容への注意の喚起が図られ、また遅延時間に相当する時間を付与することにより、例えば操作者が熟練者であっても、選択した動作命令の確認が促される。これにより、表示手段に選択動作命令の確認を促す項目を表示することなく、選択した選択動作命令を確認するための時間的な余裕が操作者へ与えられる。したがって、動作命令の選択から入力決定ボタンへ反射的な操作を制限することができ、表示手段の大きさに関わらず入力される動作命令の確認を促すことができる。
【0008】
請求項2記載の発明では、決定受付手段は選択動作命令の認識から遅延時間が経過した後に入力決定ボタンを表示手段に表示する。そのため、操作者は、遅延時間が経過するまでは、入力決定ボタンを操作することができない。したがって、動作命令の選択から入力決定ボタンへの反射的な操作を制限することができ、表示手段の大きさに関わらず入力される動作命令の確認を促すことができる。
【0009】
請求項3記載の発明では、決定受付手段は入力した動作命令を最終的にロボットへ転送するか否かを問い合わせるとき、入力決定ボタンへの受付を遅延させる。ロボットへ入力する動作命令は、各動作ごとに用意されている選択肢が逐次選択される。そして、すべての動作について動作命令を選択した後、入力されたすべての動作命令がロボットへ最終的に転送される。この最終的な転送の段階のとき、決定受付手段で入力決定ボタンへの受付を遅延させることにより、各段階の動作で反射的に決定を行っている場合でも、最終的な転送の際に動作命令を確認する時間が確保される。したがって、最終的な動作命令がロボットが転送される前に、ロボットへ入力される動作命令の確認を促すことができる。また、最終的なロボットへの転送の際に確認のための遅延時間が設定されるため、動作命令の選択ごとの遅延時間が省略される。したがって、動作命令を確実に確認することができるとともに、操作の煩わしさを低減することができる。
【0010】
ところで、小型の表示手段において、動作命令および入力決定ボタンがスクロールしない同一の画面に表示される場合、動作命令の選択から決定までに反射的な操作を招きやすい。そこで、請求項4記載の発明では、決定受付手段で遅延時間を確保することにより、表示手段は動作命令および入力決定ボタンをスクロールしない同一の画面に表示する場合でも、反射的な操作が制限される。したがって、表示手段の大きさに関わらず入力される動作命令の確認を促すことができる。
【0011】
請求項5記載の発明では、報知手段を備えている。選択動作命令の認識から入力決定ボタンへの入力の受付までの間に遅延時間が確保される場合、遅延時間の間は入力決定ボタンへの入力ができない。そのため、操作者は、機器の故障であると勘違いするおそれがある。そこで、遅延時間の間、表示手段に表示されている動作命令を順に報知することにより、操作者に対し確認を促すとともに、正常な動作が行われていることを伝える。したがって、反射的な操作を制限する遅延時間に加え、報知手段によっても動作命令の確認を促すことができる。
【0012】
請求項6記載の発明では、報知手段は動作命令の先頭から末尾までカーソルを移動させる。これにより、操作者は、カーソルの動きによって動作命令を視覚的に再確認することができるとともに、遅延時間における入力を受け付けない時間が故障でないことを認識することができる。
請求項7記載の発明では、報知手段は動作命令の先頭から末尾まで色彩または色調を変化させる。報知手段は、例えば動作命令を示す文字と背景との明暗を反転させたり、文字の色を変化させる。これにより、操作者は、動作命令の色彩または色調の変化によって動作命令を視覚的に再確認することができるとともに、遅延時間における入力を受け付けない時間が故障によるものでないことを認識することができる。
【0013】
請求項8記載の発明では、報知手段は、動作命令の先頭から末尾まで読み上げる。これにより、操作者は、動作命令が読み上げられることによって動作命令を聴覚的に再確認することができるとともに、遅延時間における入力を受け付けない時間が故障でないことを認識することができる。
請求項9記載の発明では、動作命令を構成する複数行の項目表示のうち、いずれかの項目表示を報知している間に、選択動作命令が変更されると、変更された選択動作命令を示す項目表示の先頭から報知を繰り返す。そのため、変更された選択動作命令を確実に確認することができる、また、変更された選択動作命令だけが報知を繰り返されので、煩わしさを低減することができる。
【0014】
請求項10記載の発明では、動作命令を構成する複数行の項目表示のうち、いずれかの項目表示を報知している間に、選択動作命令が変更されると、第一行目の項目表示の先頭から報知を繰り返す。そのため、変更された選択動作命令だけでなく、表示全体の先頭から報知が繰り返される。これにより、動作命令の確実な再確認を促すことができる。また、操作者に対し無用な操作や先行した操作によって煩わしい印象を与えることにより、冷静な操作を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態によるロボットシステムを示す概略図
【図2】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの電気的な構成を示すブロック図
【図3】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される初期画面を示す模式図
【図4】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示されるプログラム選択画面を示す模式図
【図5】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示されるプログラム選択画面を示す模式図
【図6】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示されるモード選択画面を示す模式図
【図7】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【図8】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【図9】本発明の第1実施形態によるティーチングペンダントを用いてロボットへ動作プログラムを入力するための操作ツリーを示す概略図
【図10】本発明の第2実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【図11】本発明の第2実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【図12】本発明の第3実施形態によるティーチングペンダントの図2に相当する図
【図13】本発明の第3実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【図14】本発明の第4実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【図15】本発明の第5実施形態によるティーチングペンダントの表示部に表示される確認画面を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の複数の実施形態によるロボット制御命令入力装置を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態によるロボット制御命令入力装置を適用したロボットシステムを図1に示す。ロボットシステム10は、ロボット11およびコントローラ12を備えている。ロボット11は、例えば部品の組み立て用あるいは部品の検査用など、任意の構成のロボットである。コントローラ12は、周辺機器としてティーチングペンダント20およびプログラム入力用のパーソナルコンピュータ(パソコン)13などが接続されている。このティーチングペンダント20は、ロボット制御命令入力装置に相当する。
【0017】
ロボット11は、例えば6軸の垂直多関節型のロボットとして構成されている。ロボット11は、周知の通り、それぞれアクチュエータであるサーボモータ14などからの駆動力で駆動されるアーム15を有している。アーム15は、先端にエンドエフェクタ16を有している。例えばロボット11で部品の運搬や組み立てを行う場合、エンドエフェクタ16としてこれらの部品を保持するためのハンドが用いられる。また、例えばロボット11で部品の検査などを行う場合、エンドエフェクタ16として対象となる部品を撮影するカメラなどが用いられる。
【0018】
このように、エンドエフェクタ16は、ロボット11を適用する工程に応じて任意に選択することができる。サーボモータ14からアーム15のエンドエフェクタ16までの間には、図示しない減速機構やリンクなどの駆動力伝達機構が設けられている。これにより、アーム15の先端に設けられているエンドエフェクタ16は、サーボモータ14からの駆動力によって駆動される。ロボット11とコントローラ12との間は、接続ケーブル17によって接続されている。これにより、ロボット11の各軸を駆動するサーボモータ14、および作業を実施するエンドエフェクタ16は、コントローラ12によって制御される。
【0019】
ティーチングペンダント20は、例えばユーザが携帯あるいは手に所持して操作可能な程度の大きさであり、例えば薄型の矩形の箱状に形成されている。ティーチングペンダント20は、表面側の中央部に例えば液晶ディスプレイからなる表示部21を備えている。表示部21は、タッチパネルで構成されており、各種の画面を表示する。ティーチングペンダント20は、表示部21の周囲に各種のキースイッチ22を有している。ユーザは、表示部21のタッチパネルやキースイッチ22から種々の入力操作を実行する。
【0020】
ティーチングペンダント20は、ケーブル18を経由してコントローラ12に接続している。ティーチングペンダント20は、図2に示すように通信インターフェイス23を経由してコントローラ12との間で高速のデータ転送を実行する。これにより、表示部21のタッチパネルのタッチ操作やキースイッチ22の押し操作によって入力された操作信号などの情報は、ティーチングペンダント20からコントローラ12へ送信される。また、コントローラ12は、ティーチングペンダント20へ制御信号や表示用の信号とともに駆動用の電力を供給する。ユーザは、上記のティーチングペンダント20を用いてロボット11の運転や設定などの各種の機能の入力を実行する。ユーザは、例えば表示部21のタッチパネルやキースイッチ22を操作することにより、予め記憶されている制御プログラムを呼び出して、ロボット11の起動や各種のパラメータの設定などを実行する。また、ユーザは、ロボット11をマニュアル操作で動作させることにより、各種の教示作業いわゆるティーチングも実行することができる。表示部21は、例えばメニュー画面、設定入力画面、および状況表示画面などを必要に応じて表示する。
【0021】
図1に示すようにパソコン13は、例えば汎用のノートパソコンなどである。ユーザは、プログラミングソフトをパソコン13において実行させることにより、アプリケーションに応じてロボット11の動作手順などを記述した動作プログラムを作成する。このパソコン13は、ケーブル19を経由してコントローラ12に接続している。これにより、パソコン13で作成されたロボット11の動作プログラムは、パソコン13からコントローラ12へ転送される。
【0022】
次に、ティーチングペンダント20の電気的な構成について図2に基づいて説明する。
ティーチングペンダント20は、上述の表示部21、キースイッチ22および通信インターフェイス23に加え、制御部24、選択認識部25および決定受付部26を備えている。制御部24は、例えばCPU、ROMおよびRAMを有するマイクロコンピュータで構成されており、ティーチングペンダント20の全体を制御する。表示部21は、上述のようにタッチパネル式であり、ロボット11へ指示する動作命令を選択可能に表示する。選択認識部25および決定受付部26は、制御部24で実行されるコンピュータプログラムによりソフトウェア的に実現されている。なお、選択認識部25および決定受付部26は、ハードウェアとして実現してもよい。
【0023】
選択認識部25は、表示部21に表示された動作命令のうちタッチ操作があった部分を選択動作命令として認識する。すなわち、表示部21に一つまたは複数の動作命令が表示されているとき、選択認識部25はいずれの動作命令にタッチ操作があったかを認識するとともに、タッチ操作があった動作命令を選択動作命令として認識する。また、選択認識部25は、動作命令だけでなく、タッチパネル式の表示部21におけるタッチ操作を認識し、タッチ操作された表示部21の表示に対応する命令を制御部24へ入力する。決定受付部26は、選択認識部25において選択動作命令が認識されてから遅延時間が経過した後に、その選択動作命令をロボット11へ指示するか否かの決定を受け付ける。また、決定受付部26は、選択動作命令をロボット11へ指示するか否かの決定を受け付ける入力決定ボタンを表示部21に表示する。決定受付部26は、選択認識部25において選択動作命令が認識されてから遅延時間が経過すると、この入力決定ボタンへの入力を受け付ける。ここで、遅延時間とは、選択認識部25において選択動作命令が認識されてから入力決定ボタンにおいて決定受付部26が入力を受け付けるまでの時間を意味する。この遅延時間は、例えば0.数秒から数秒程度であり、選択した選択動作命令を確認するために十分な時間に対応する。
【0024】
次に、図3から図8に基づいて表示部21の表示について説明する。
図3は、表示部21の初期画面30を示す模式図である。初期画面30は、画面の下部にプログラムボタン31を有している。初期画面30のプログラムボタン31をタッチ操作することにより、制御部24は表示部21の表示をロボットで実行される動作プログラムを選択するための図4に示すプログラム選択画面40へ移行させる。図4および図5は、表示部21のプログラム選択画面40を示す模式図である。プログラム選択画面40は、選択が可能な動作プログラムの名称41、状態43、行番号42、実行時間44および優先順位45などを含んでいる。また、プログラム選択画面40は、画面の下部に選択した動作プログラムを起動させるための起動ボタン46を有している。操作者は、プログラム選択画面40に表示されている動作プログラムの名称41をタッチ操作することにより、所望の動作プログラムを選択する。そして、いずれかの動作プログラムを選択した状態で起動ボタン46がタッチ操作されると、制御部24は表示部21の表示を例えば図6に示すモード選択画面50などに移行させる。図4および図5の場合、動作プログラムとして「PRO1」が選択されている。また、図5では、起動ボタン46が押されたことを分かりやすくするために起動ボタン46の色を変更しているが、起動ボタン46の色が変化するとは限らない。
【0025】
図6は、表示部21のモード選択画面50を示す模式図である。モード選択画面50は、プログラム選択画面40に重ねて表示されるダイアログボックス51を含んでいる。図6に示すモード選択画面50の場合、ダイアログボックス51は、動作命令52として、「プログラムを起動しますか?」との確認項目53、「1サイクル起動」との選択項目54、および「連続起動」との選択項目55を含んでいる。また、ダイアログボックス51は、選択項目54および選択項目55の左側に、それぞれ選択ボックス56および選択ボックス57を含んでいる。選択項目54または選択項目55のいずれかが選択されると、選択された選択項目54、55の選択ボックス56、57の色が変化する。このように、ダイアログボックス51は、動作命令52として複数の行にわたって表示される確認項目53、選択項目54および選択項目55を有している。この選択項目54または選択項目55のうち選択された選択項目は、特許請求の範囲の選択動作命令に相当する。また、複数の行にわたる確認項目53、選択項目54および選択項目55は、特許請求の範囲の項目表示に相当する。
【0026】
図7および図8は、表示部21の確認画面60を示す模式図である。確認画面60は、モード選択画面50と同様にダイアログボックス51を含んでいる。図6に示すモード選択画面50において選択項目54または選択項目55のいずれかがタッチ操作されると、制御部24は表示部21の表示を図7および図8に示す確認画面60に移行させる。図7および図8に示す確認画面60の場合、選択項目55すなわち「連続起動」が選択され、選択ボックス57の色が変化している。また、図6から図8に示すように、ダイアログボックス51は、右下部にキャンセルボタン61およびOKボタン62を含んでいる。図6に示すモード選択画面50でキャンセルボタン61がタッチ操作されると、制御部24は表示部21の表示を図5に示すプログラム選択画面40へ移行させる。また、図7および図8に示す確認画面60でキャンセルボタン61がタッチ操作されると、制御部24は表示部21の表示を図6に示すモード選択画面50に移行させる。このようにキャンセルボタン61がタッチ操作されると、表示部21は一つ前の画面に移行する。一方、OKボタン62がタッチ操作されると、制御部24は図5に示すプログラム選択画面で選択された動作プログラム、および図6に示すモード選択画面50で選択された選択項目54、55を、コントローラ12を経由してロボット11へ送信する。なお、図8では、OKボタン62が押されたことを分かりやすくするためにOKボタン62の色を変更しているが、OKボタン62の色が変化するとは限らない。OKボタン62は、特許請求の範囲における入力決定ボタンに相当する。
【0027】
次に、上記の構成によるティーチングペンダント20の作動について図9に基づいて説明する。図9は、ティーチングペンダント20を用いてロボット11へ動作プログラムを入力するための操作ツリーを示す概略図である。
まず、ティーチングペンダント20をはじめとするロボットシステム10は、電源がオンされる(101)。電源がオンされると、ロボット11を動作させるモードの切り替えが行われる(102)。モードの切り替えは、パソコン13やティーチングペンダント20から入力される。ここで、切り替えられるモードには、自動モード(103)、手動モード(104)およびティーチモード(105)が設定されている。自動モード(103)の場合、プログラム一覧表示モード(106)またはパラメータ一覧表示モード(107)のいずれかが選択される。プログラム一覧モード(106)が選択されると、制御部24は表示部21の表示を図3に示す初期画面30に移行させる。ここで、図3に示すプログラムボタン31がタッチ操作されると、制御部24は表示部21の表示を図4に示すプログラム選択画面40に移行させる(108)。プログラム選択画面40では、例えば図示しない「編集ボタン」や「コピーボタン」をタッチ操作することにより、それぞれ編集モード(109)またはコピーモード(110)へ移行する。
【0028】
編集モード(109)の場合、表示部21に編集の対象となる動作プログラムの内容が表示される(111)。操作者は、動作プログラムの内容が表示されると、表示部21に表示された動作プログラムの任意の行をタッチ操作することにより、編集行を選択する選択モード(112)または動作プログラムの全体を編集する編集モード(113)に移行する。操作者は、編集モード(113)を選択すると、図示しないOKボタンをタッチ操作し(114)、編集作業を完了する。一方、操作者は、選択モード(112)を選択し、選択した編集行の新規作成、削除あるいは変更などの処理を行う(115)。この処理が完了すると、表示部21には図示しない確認画面が表示される(116)。操作者がこの図示しない確認画面に含まれるOKボタンをタッチ操作すると(117)、編集モードの操作は完了する(117)。このように、編集モード(109)は、図9の破線の枠で示すように、操作の途中に選択モード(112)または編集モード(113)の選択を含んでいる。そのため、編集モード(109)は操作経路が複数存在することとなり、操作者は一連の操作を行うことができない。すなわち、操作者は、いずれかのモードを選択するために意識的な操作を必要とする。
【0029】
コピーモード(110)の場合、表示部21にコピーを実行する図示しない確認画面が表示された後(118)、操作者が図示しない確認画面に含まれるOKボタンをタッチ操作すると(119)、選択された動作プログラムのコピーが実行される。コピーモード(110)は、操作の途中に分岐する複数の操作経路を含んでいない。しかし、コピーモード(110)の場合、操作に誤りが生じるおそれがないため、一連の操作を行っても問題は生じない。
【0030】
一方、図4および図5に示すプログラム選択画面40において、図5に示すように起動ボタン46がタッチ操作されると、起動モード(120)へ移行する。起動ボタン46がタッチ操作されると、制御部24は、起動モードの選択へ移行し(121)、表示部21の表示を図6に示すモード選択画面50に変更する。このモード選択画面50は、動作プログラムの起動モードを選択する画面であり、確認項目53、選択項目54および選択項目55を含むダイアログボックス51を有している。操作者は、図6に示すモード選択画面50の選択項目54または選択項目55をタッチ操作することにより、選択項目54または選択項目55のいずれかを選択する。
【0031】
制御部24は、選択項目54または選択項目55のいずれかがタッチ操作されると、表示部21の表示をモード選択画面50から図7および図8に示す確認画面60へ移行させる(122)。本実施形態の場合、操作者は、モード選択画面50の選択項目55をタッチ操作している。そのため、図7および図8に示す確認画面60では、選択された選択項目55の左側に位置する選択ボックス57の色が変化している。このとき、選択認識部25は、選択項目54または選択項目55のうちタッチ操作のあった選択項目55を選択動作命令として認識する。
【0032】
操作者は、表示部21が確認画面60の表示へ移行した後(122)、OKボタン62をタッチ操作することにより選択項目55の決定を入力する(S123)。OKボタン62のタッチ操作により選択項目55が決定されると、制御部24は選択された動作プログラムおよび選択項目55をコントローラ12を経由してロボット11へ送信する。ここで、起動モード(120)の場合、起動モード選択(121)、確認画面60の表示(122)およびOKボタン(123)の操作は、一連の処理として実行される。そのため、操作者は、図5に示すプログラム選択画面40における起動ボタン46のタッチ操作、図6に示すモード選択画面50における選択項目55の選択のタッチ操作、および図8に示す確認画面60におけるOKボタン62のタッチ操作を、一連の流れとして操作する。
【0033】
このような一連の流れで操作がされる場合、操作者は、例えば選択項目54を選択しなければならないのに、無意識に選択項目55を選択し、OKボタン62のタッチ操作を行うおそれがある。特に、操作者は、操作に熟練すると、各操作が迅速となり、誤りに気づかないままOKボタン62のタッチ操作を行いやすくなる。その結果、意図しない動作プログラムや選択項目に基づいてロボット11の動作が開始されるおそれがある。
【0034】
そこで、第1実施形態の場合、決定受付部26は、選択項目54または選択項目55が選択されてから、すなわち図7に示す確認画面60が表示(122)されてから、予め設定されている遅延時間を経過しなければOKボタン62への入力(123)を受け付けない。これにより、操作者は、図6に示すモード選択画面50で選択項目54または選択項目55を選択してからOKボタン62のタッチ操作が可能となるまで、すなわち遅延時間が経過するまで待機しなければならない。そのため、操作者は、起動ボタン46のタッチ操作、選択項目55のタッチ操作、およびOKボタン62のタッチ操作を一連の操作として実行することができなくなる。その結果、操作者は、自身が選択した選択項目55の正否を確認する時間的な余裕が生じる。
【0035】
以上のように、第1実施形態では、選択項目の選択からOKボタンのタッチ操作が可能となるまでの間に遅延時間を設けている。すなわち、決定受付部26は、タッチ操作による選択項目55の認識から遅延時間が経過した後に、OKボタン62への入力を受け付ける。操作者は、ロボット11へ選択項目55に対応する動作命令を指示する場合、表示部21に表示されている所望の選択項目55を選択し、OKボタン62へ入力すなわちタッチ操作が必要である。OKボタン62が操作されることにより、選択された選択項目55は決定された選択動作命令としてコントローラ12を経由してロボット11へ送信される。すなわち、操作者は、動作命令に対応する選択項目55の選択、およびOKボタン62の操作という二段階の操作が必要となる。このとき、決定受付部26は、操作者による選択項目55のタッチ操作の認識から遅延時間が経過した後に、OKボタン62への入力を受け付ける。そのため、操作者は、選択項目55のタッチ操作をした後、遅延時間が経過するまで、OKボタン62に入力ができない。このようにOKボタン62の操作ができないとき、操作者は、一連の操作ができず、表示部21の表示内容に注意を向けやすくなる。その結果、表示部21の表示内容への注意の喚起が図られ、また遅延時間に相当する時間を付与することにより、例えば操作者が熟練者であっても、選択した選択項目55の確認が促される。これにより、表示部21に選択項目55の確認を促す表示がなくても、選択項目55を確認するための時間的な余裕が操作者へ与えられる。したがって、選択項目55の選択からOKボタン62のタッチ操作へ反射的な操作を制限することができ、表示部21の大きさに関わらず入力される選択項目の確認を促すことができる。
【0036】
第1実施形態では、決定受付部26は、選択した選択項目55を最終的にロボット11へ転送するか否かを問い合わせるとき、OKボタン62への受付を遅延させる。ロボット11へ入力する命令は、例えば図9に示す(101)から(123)までの間の各動作ごとに用意されている選択肢が逐次選択される。そして、すべての動作について命令を選択した後、入力されたすべての動作命令がロボット11へ最終的に転送される。この最終的な転送の段階(123)のとき、決定受付部26でOKボタン62への受付を遅延させることにより、各段階の動作で反射的に決定を行っている場合でも、最終的な転送の際に選択項目55を確認する時間が確保される。したがって、ロボット11へ最終的な転送がされる前に、ロボット11へ入力される各種の命令の確認を促すことができる。また、最終的なロボット11への転送の際に確認のための遅延時間が設定されるため、それ以前の各種の命令を選択する際の遅延時間が省略される。したがって、入力した命令を確実に確認することができるとともに、操作の煩わしさを低減することができる。
【0037】
ところで、ティーチングペンダント20のように小型の表示部21を用いる場合、動作命令52およびOKボタン62がスクロールしない同一のダイアログボックス51に表示される。このように同一のダイアログボックス51に動作命令52およびOKボタン62が表示される場合、動作命令52に含まれる選択項目54、55の選択からOKボタン62のタッチ操作までに反射的な操作を招きやすい。そこで、第1実施形態では、決定受付部26で遅延時間を確保することにより、表示部21で選択項目54、55およびOKボタン62をスクロールしない同一のダイアログボックス51に表示する場合でも、反射的な操作が制限される。したがって、表示部21の大きさに関わらず入力される命令の確認を促すことができる。
【0038】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるティーチングペンダントの表示部の表示を図10に示す。
第2実施形態の場合、図10に示すように確認画面60に移行してもOKボタンに相当する表示がない。すなわち、決定受付部26は、選択認識部25において選択項目54または選択項目55のいずれかが選択されたと認識しても、確認画面60にOKボタンを表示しない。決定受付部26は、選択認識部25において選択項目54または選択項目55のいずれかが選択されたと認識されてから、遅延時間が経過すると、図11に示すようにOKボタン63を表示する。これにより、操作者は、遅延時間が経過した後に、OKボタン63から選択項目55の決定を入力可能となる。
【0039】
第2実施形態では、決定受付部26は、選択項目54または選択項目55のタッチ操作の認識から遅延時間が経過した後にOKボタン63を表示部21のダイアログボックス51に表示する。そのため、操作者は、遅延時間が経過するまでOKボタン63を操作することができない。したがって、選択項目55の選択からOKボタン63への反射的な操作を制限することができ、表示部21の大きさに関わらず入力される動作命令の確認を促すことができる。
【0040】
(第3実施形態)
第3実施形態によるティーチングペンダントの電気的な構成を図12に示す。
第3実施形態によるティーチングペンダント20は、図12に示すように報知部70を備えている。報知部70は、選択認識部25が選択項目54または選択項目55のタッチ操作を認識してから、OKボタン62への入力を受け付けるまでの間に、表示部21に表示されている動作命令52を順に報知する。第3実施形態の場合、報知部70は、図13に示すように表示部の表示されている動作命令52、すなわち確認項目53、選択項目54および選択項目55のうち少なくともタッチ操作された選択項目55の先頭から末尾まで移動するカーソル71を有している。カーソル71は、タッチ操作された選択項目55だけでなく、確認項目53を含むすべての動作命令52について先頭から末尾まで移動する構成としてもよい。カーソルは、これらの確認項目53、選択項目54および選択項目55のうち少なくとも選択された選択項目55の先頭から末尾まで移動することにより、操作者に選択項目55の内容を報知する。これにより、操作者は、選択項目55の選択からOKボタン62の操作までの間に、移動するカーソルによって選択した選択項目55の確認が促される。
【0041】
第3実施形態では、報知部70を備えている。選択項目54または選択項目55の選択からOKボタン62への入力の受付までの間に遅延時間が確保される場合、遅延時間の間はOKボタン62への入力ができない。そのため、操作者は、ティーチングペンダント20に故障が生じていると勘違いするおそれがある。そこで、遅延時間の間、表示部21に表示されている確認項目53、選択項目54および選択項目55をカーソル71の移動によって順に報知することにより、操作者に対し選択項目55の確認を促すとともに、機器の正常な動作が行われていることを伝える。したがって、反射的な操作を制限する遅延時間に加え、報知部70によっても動作命令の確認を促すことができる。
【0042】
また、第3実施形態では、報知部70は、動作命令52を構成する確認項目53、選択項目54および選択項目55のそれぞれについて先頭から末尾までカーソル71を移動させる。これにより、操作者は、カーソル71の動きによって確認項目53、選択項目54および選択項目55を視覚的に再確認することができるとともに、ティーチングペンダント20の故障でないことを認識することができる。
【0043】
(第4、第5実施形態)
本発明の第4、第5実施形態によるティーチングペンダントの表示部をそれぞれ図14または図15に示す。第4、第5実施形態は、いずれも報知部70を備える点で第3実施形態と共通する。
第4実施形態の場合、報知部70は、図14に示すように表示部21に表示されている動作命令52、すなわち確認項目53、選択項目54および選択項目55のうちタッチ操作によって選択された選択項目55の先頭から末尾まで順に文字72の色彩を変化させる。報知部70は、例えば図14に示すように選択項目55の文字72の色彩を変化させたり、選択項目55の文字の色調を変化させたり、選択項目55の文字の背景と文字との明暗を反転させたりすることにより、操作者に選択した選択項目55の内容を報知する。これにより、操作者は、選択項目55の選択からOKボタン62の操作までの間に、色彩や色調の変化する文字72によって選択した選択項目55の確認が促される。この場合、報知部70は、タッチ操作によって選択項目54または選択項目55のいずれかが選択されると、選択された選択項目54または選択項目55に限らず、確認項目53を含むすべての動作命令52の色彩や色調を変更する構成としてもよい。
【0044】
第4実施形態では、報知部70は、動作命令52として含まれる確認項目53、選択項目54および選択項目55のうち少なくともタッチ操作された選択項目55を先頭から末尾まで文字72の色彩を変化させる。これにより、操作者は、タッチ操作によって選択した選択項目55の文字72の色彩が変化することによってロボット11のへ入力する命令を視覚的に再確認することができる。また、OKボタン62で入力が受け付けられるまでの間に文字72の色彩または色調の変化によって選択項目55が報知されるので、ティーチングペンダント20の故障でないことも確認することができる。
【0045】
第5実施形態の場合、報知部70は、図15に示すように表示部21に表示されている動作命令52、すなわち確認項目53、選択項目54および選択項目55のうち、タッチ操作によって選択された選択項目55の先頭から末尾まで順に音声によって読み上げる。なお、図15では、音声の表現を容易にするために吹出し73を図示しているが、実際は音声が生じるのみであり、吹出し73が表示されるわけではない。報知部70は、タッチ操作された選択項目55の先頭から末尾まで音声で読み上げることにより、操作者に選択された選択項目55の内容を報知する。これにより、操作者は、選択項目55の選択からOKボタン62の操作までの間に、読み上げられる音声に沿って選択した選択項目55の確認が促される。この場合、報知部70は、タッチ操作によって選択項目54または選択項目55のいずれかが選択されると、選択された選択項目54または選択項目55に限らず、確認項目53を含むすべての動作命令52を読み上げる構成としてもよい。
【0046】
第5実施形態では、報知部70は、動作命令52として含まれる確認項目53、選択項目54および選択項目55のうち少なくともタッチ操作された選択項目55を先頭から末尾まで読み上げる。これにより、操作者は、タッチ操作した選択項目55が読み上げられることによってロボット11へ入力する命令を聴覚的に再確認することができる。また、OKボタン62で入力が受け付けられるまでの間に音声によって選択項目55が報知されるので、ティーチングペンダント20の故障でないことも認識することができる。
【0047】
(その他の実施形態)
上述の第3実施形態から第6実施形態は、以下のように変更してもよい。
報知部70は、動作命令のうち選択項目54または選択項目55が選択されると、カーソル71、文字72の色彩の変化または音声などによってタッチ操作された選択項目55を報知する。この場合、表示部21は、複数の行にわたる動作命令52、すなわち確認項目53、選択項目54および選択項目55を表示している。ところで、操作者は、選択項目54または選択項目55をいずれかをタッチ操作した後、遅延時間に相当する時間、すなわち報知部70が報知している間に、選択項目54または選択項目55を再びタッチ操作することがある。例えば、先に選択項目55をタッチ操作した後、次に選択項目54がタッチ操作されると、ロボット11へ入力される命令に変更が生じる。そこで、報知部70は、報知をしている間に、選択項目54または選択項目55にタッチ操作が行われ、選択された選択項目に変更があったとき、その選択項目の先頭から再び報知を繰り返す。例えば、選択項目55が選択されて報知部70が報知しているとき、選択項目54がタッチ操作されると、報知部70は後にタッチ操作された選択項目54について先頭から報知を繰り返す。したがって、変更された選択項目54の確実な確認を促すことができる。また、変更された選択項目54だけ報知が繰り返されるので、煩わしさを低減することができる。
【0048】
一方、報知部70は、変更のあった選択項目の先頭から報知を繰り返すのではなく、ダイアログボックス51に表示されている複数行の動作命令52のうち第一行目、すなわち確認項目53の先頭から報知を繰り返す構成としてもよい。例えば、報知部70が選択項目55について報知している間に、選択項目54にタッチ操作が行われると、報知部70は確認項目53の先頭から順に報知を繰り返す。これにより、入力される命令の確実な再確認を促すことができる。また、操作者に対し無用な操作や先行した操作によって煩わしい印象を与えることにより、冷静な操作を促すことができる。
さらに、複数の実施形態を組み合わせて適用してもよい。例えば表示部21における動作命令52に視覚的な報知を加えつつ、聴覚的な報知を加えもよい。
【0049】
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
【符号の説明】
【0050】
図面中、11はロボット、20はティーチングペンダント(ロボット制御命令入力装置)、21は表示部、25は選択認識部、26は決定受付部、52は動作命令、53は確認項目(項目表示)、54、55は選択項目(項目表示)、62、63はOKボタン(入力決定ボタン)、70は報知部、71はカーソルを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットの動作を制御する持ち運び可能なロボット制御命令入力装置であって、
前記ロボットへ指示する動作命令を選択可能に表示するタッチパネル式の表示手段と、
前記表示手段に表示された前記動作命令のうちタッチ操作のあった部分を選択動作命令として認識する選択認識手段と、
前記選択認識手段における前記選択動作命令の認識から予め設定された遅延時間が経過した後に、前記選択動作命令を前記ロボットへ指示するか否かを決定するための入力決定ボタンへの入力を受け付ける決定受付手段と、
を備えることを特徴とするロボット制御命令入力装置。
【請求項2】
前記決定受付手段は、前記選択認識手段における前記選択動作命令の認識から前記遅延時間が経過した後に、前記入力決定ボタンを前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項3】
前記決定受付手段は、入力した動作命令を前記ロボットへ最終的に転送するか否かを問い合わせるとき、前記選択動作命令の選択から前記遅延期間が経過した後に前記入力決定ボタンへの入力を受け付けることを特徴とする請求項1または2記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記動作命令および前記決定受付手段をスクロールしない同一の画面に表示することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項5】
前記選択認識手段が前記選択動作命令を認識してから前記入力決定ボタンへの入力を受け付けるまでの間に、前記表示手段に表示されている前記動作命令を順に報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項6】
前記報知手段は、前記表示手段に表示されている前記動作命令の先頭から末尾までカーソルを移動して報知することを特徴とする請求項5記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項7】
前記報知手段は、前記表示手段に表示されている前記動作命令の先頭から末尾まで色彩または色調を変化させて報知することを特徴とする請求項5記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項8】
前記報知手段は、前記表示手段に表示されている前記動作命令の先頭から末尾まで読み上げて音声で報知することを特徴とする請求項5記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項9】
前記動作命令は、複数行の項目表示を有し、
前記報知手段は、前記項目表示を報知している間に、前記選択動作命令が変更されると、変更された選択動作命令を示す項目表示の先頭から報知を繰り返すことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項10】
前記動作命令は、複数行の項目表示を有し、
前記報知手段は、前記項目表示を報知している間に、前記選択動作命令が変更されると、複数行の前記項目表示のうち第一行目の項目表示の先頭から報知を繰り返すことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項1】
ロボットの動作を制御する持ち運び可能なロボット制御命令入力装置であって、
前記ロボットへ指示する動作命令を選択可能に表示するタッチパネル式の表示手段と、
前記表示手段に表示された前記動作命令のうちタッチ操作のあった部分を選択動作命令として認識する選択認識手段と、
前記選択認識手段における前記選択動作命令の認識から予め設定された遅延時間が経過した後に、前記選択動作命令を前記ロボットへ指示するか否かを決定するための入力決定ボタンへの入力を受け付ける決定受付手段と、
を備えることを特徴とするロボット制御命令入力装置。
【請求項2】
前記決定受付手段は、前記選択認識手段における前記選択動作命令の認識から前記遅延時間が経過した後に、前記入力決定ボタンを前記表示手段に表示することを特徴とする請求項1記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項3】
前記決定受付手段は、入力した動作命令を前記ロボットへ最終的に転送するか否かを問い合わせるとき、前記選択動作命令の選択から前記遅延期間が経過した後に前記入力決定ボタンへの入力を受け付けることを特徴とする請求項1または2記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記動作命令および前記決定受付手段をスクロールしない同一の画面に表示することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項5】
前記選択認識手段が前記選択動作命令を認識してから前記入力決定ボタンへの入力を受け付けるまでの間に、前記表示手段に表示されている前記動作命令を順に報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項6】
前記報知手段は、前記表示手段に表示されている前記動作命令の先頭から末尾までカーソルを移動して報知することを特徴とする請求項5記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項7】
前記報知手段は、前記表示手段に表示されている前記動作命令の先頭から末尾まで色彩または色調を変化させて報知することを特徴とする請求項5記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項8】
前記報知手段は、前記表示手段に表示されている前記動作命令の先頭から末尾まで読み上げて音声で報知することを特徴とする請求項5記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項9】
前記動作命令は、複数行の項目表示を有し、
前記報知手段は、前記項目表示を報知している間に、前記選択動作命令が変更されると、変更された選択動作命令を示す項目表示の先頭から報知を繰り返すことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項記載のロボット制御命令入力装置。
【請求項10】
前記動作命令は、複数行の項目表示を有し、
前記報知手段は、前記項目表示を報知している間に、前記選択動作命令が変更されると、複数行の前記項目表示のうち第一行目の項目表示の先頭から報知を繰り返すことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項記載のロボット制御命令入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−214572(P2010−214572A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67459(P2009−67459)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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