ロボット及びその地図作成方法
【課題】 二つの表面の3次元情報から動的障害物を検出する3次元表面マッチング法を用いて動的障害物を除去した正確な地図情報を作成できるロボット及びその地図作成方法を提供する。
【解決手段】 ロボットが走行する経路の第1及び第2表面情報を順次的に獲得し、前記第1及び第2表面情報をマッチングして前記第1及び第2表面情報の差を求め、前記第1及び第2表面情報の差によって前記第1及び第2表面情報に位置する動的障害物を検出し、前記動的障害物を除去した第3表面情報を生成し、前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングして地図を作成することを含んでロボットの地図作成方法を構成する。
【解決手段】 ロボットが走行する経路の第1及び第2表面情報を順次的に獲得し、前記第1及び第2表面情報をマッチングして前記第1及び第2表面情報の差を求め、前記第1及び第2表面情報の差によって前記第1及び第2表面情報に位置する動的障害物を検出し、前記動的障害物を除去した第3表面情報を生成し、前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングして地図を作成することを含んでロボットの地図作成方法を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット及びその地図作成方法に関するもので、より詳細には、動的障害物を除去した3次元映像の表面情報を用いて地図を作成するロボット及びその地図作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ロボットは、電気的または磁気的な作用を用いて人間の動作と類似した運動を行う機械装置である。最近、ロボットは、センサー及び制御器の発達によって多様な分野で活用されており、その例としては、家庭での家事手伝いロボット、公共場所用サービスロボット、生産現場での搬送ロボット、作業者支援ロボットなどがある。このようなロボットが自律的に走行するためには、周辺環境に対する事前情報なしに自身の位置を認識し、環境に対する情報から地図を作成する位置認識(Localization)と地図作成(Map−building)の過程が同時に行われるべきである。これをロボットの同時位置認識及び地図作成(Simultaneous Localization And Map−building;SLAM)という。
【0003】
このようなSLAM方法の一例が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されたSLAM方法は、全方位視野を有する全方位視覚センサーを移動体(ロボット)に搭載し、移動体を特定の経路上に移動させながら全方位視覚センサーによって移動体周辺の映像を時系列的な標準パターンで獲得した。また、移動体が任意の経路を走行すると、全方位視覚センサーの獲得映像と予め設定された標準パターンの映像とを比較し、二つの映像が一致する場合、標準パターンの映像と関連する位置を検出結果として推定する方式を通して移動体の位置を認識し、周辺環境に対する地図を作成した。このとき、移動体は、走行する経路上に位置する障害物が固定物体(静的物体)であるか、移動物体(動的物体)であるかを正確に検知すべきである。この理由は、地図情報が動的物体(以下、動的障害物という。)を除去した固定物体(以下、静的物体という。)に基づいて作成されるべきであるためである。
【特許文献1】日本特許公開第平成10−160463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のSLAM方法は、移動体の正確な位置を認識できずに概略的な位置のみを推定するので、走行する経路上に位置する障害物が静的物体であるか、または動的障害物であるかを認識するのに限界がある。例えば、動的障害物が静的物体として認識される場合、静的物体に基づいて作成される地図情報が歪曲され、地図情報に基づいて求める移動体の位置に多くの誤差が含まれるようになる。また、動的障害物が静的物体として認識される場合、移動体が動的障害物を避けられず、これらが衝突するという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するためのもので、その目的は、二つの表面の3次元情報から動的障害物を検出する3次元表面マッチング法を用いて動的障害物を除去した正確な地図情報を作成できるロボット及びその地図作成方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、静的物体や動的障害物の3次元距離情報を2次元グリッド映像に変換し、グリッド映像の収縮/拡張を通して動的障害物を除去できるロボット及びその地図作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のロボットの地図作成方法は、ロボットが走行する経路の第1及び第2表面情報を順次的に獲得し、前記第1及び第2表面情報をマッチングして前記第1及び第2表面情報の差を求め、前記第1及び第2表面情報の差によって前記第1及び第2表面情報に位置する動的障害物を検出し、前記動的障害物を除去した第3表面情報を生成し、前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングして地図を作成することを含む。
【0009】
前記第1及び第2表面情報は、前記ロボットが走行しながら獲得した3次元映像の表面情報であることを特徴とする。
【0010】
前記第1及び第2表面情報をマッチングすることは、前記第1及び第2表面情報を整合するためのICPマッチングを1次的に遂行することであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のロボットの地図作成方法は、前記ロボットの運動情報を獲得し、前記運動情報から前記第1及び第2表面情報の剛体変換行列を獲得することをさらに含み、前記ICPマッチングは、前記剛体変換行列を初期位置にして前記第1及び第2表面情報を整合することを特徴とする。
【0012】
前記第1及び第2表面情報の差は、前記ICPマッチングされた前記第1及び第2表面情報の距離差であることを特徴とする。
【0013】
前記動的障害物を検出することは、前記第1及び第2表面情報の距離差が予め定められた一定距離以上であるかを判断し、前記第1及び第2表面情報の距離差が一定距離以上である場合、前記第1及び第2表面情報に位置する前記動的障害物を検出することであることを特徴とする。
【0014】
前記動的障害物を除去することは、前記動的障害物が検出された前記第1及び第2表面情報を2次元グリッド映像に変換し、前記2次元グリッド映像を収縮/拡張して前記動的障害物を除去することであることを特徴とする。
【0015】
前記第3表面情報を生成することは、前記第1及び第2表面情報から前記動的障害物を除去した3次元映像の表面情報を生成することであることを特徴とする。
【0016】
前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングすることは、前記第1及び第2表面情報のうち動的障害物のない表面情報と前記第3表面情報を整合するためのICPマッチングを2次的に遂行することであることを特徴とする。
【0017】
前記2次的なICPマッチングの初期位置は、前記1次的なICPマッチングの位置であることを特徴とする。
【0018】
そして、本発明のロボットは、走行経路の第1及び第2表面情報を順次的に獲得する表面情報獲得部と、前記第1及び第2表面情報をマッチングして前記第1及び第2表面情報に位置する動的障害物を検出し、前記動的障害物を除去した第3表面情報を生成して前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングする制御部とを含む。
【0019】
前記表面情報獲得部は、前記ロボットが走行しながら獲得する3次元映像の第1及び第2表面情報を測定する3次元測定装備であることを特徴とする。
【0020】
前記制御部は、前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングし、前記ロボットが走行する経路の地図を作成することを特徴とする。
【0021】
また、本発明のロボットは、前記第1乃至第3表面情報を保存する保存部をさらに含み、前記保存部は、前記ロボットが走行しながら順次的に獲得する3次元映像の表面情報を複数個保存することを特徴とする。
【0022】
前記制御部は、前記第1及び第2表面情報を整合するためのICPマッチングを1次的に遂行し、前記第1及び第2表面情報の距離差が予め定められた一定距離以上である場合、前記第1及び第2表面情報に位置する前記動的障害物を検出することを特徴とする。
【0023】
前記制御部は、前記動的障害物が検出された前記第1及び第2表面情報を2次元グリッド映像に変換し、前記変換された2次元グリッド映像を収縮/拡張して前記動的障害物を除去することを特徴とする。
【0024】
前記制御部は、前記第1及び第2表面情報から前記動的障害物を除去した3次元映像の前記第3表面情報を生成することを特徴とする。
【0025】
前記制御部は、前記第1及び第2表面情報のうち動的障害物のない表面情報と前記第3表面情報を整合するためのICPマッチングを2次的に遂行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明のロボット及びその地図作成方法は、3次元測定装備を用いて連続する二つの表面の3次元映像情報を獲得し、獲得した二つの表面の3次元映像情報をICP(Iterative Closest Point)アルゴリズムを通してマッチングした二つの表面の距離差を求めて動的障害物を検出した後、動的障害物を除去した3次元映像の表面情報を用いて2次的なICPアルゴリズムを遂行する3次元表面マッチング法で静的物体のみに基づいた地図情報を正確に作成できるという効果を有する。
【0027】
また、本発明のロボット及びその地図作成方法は、静的物体や動的障害物の3次元距離情報を2次元グリッド映像に変換し、グリッド映像の収縮/拡張過程を通して動的障害物を除去することで、ロボットが動的障害物と衝突しうる誤差発生を除去できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例によるロボットの外観構成図である。
【図2】本発明の実施例によるロボットの制御ブロック図である。
【図3】本発明の実施例によるロボットの走行経路に障害物が位置する例を示した構成図である。
【図4A】本発明の実施例によるロボットの地図作成方法を示した動作フローチャートである。
【図4B】本発明の実施例によるロボットの地図作成方法を示した動作フローチャートである。
【図5A】本発明の実施例によるロボットにおいて、地図作成のために二つの表面をマッチングするICPアルゴリズムの例を示した図である。
【図5B】本発明の実施例によるロボットにおいて、地図作成のために二つの表面をマッチングするICPアルゴリズムの例を示した図である。
【図5C】本発明の実施例によるロボットにおいて、地図作成のために二つの表面をマッチングするICPアルゴリズムの例を示した図である。
【図6】図5A乃至図5CのICPアルゴリズムを通して動的障害物を検出する過程を示した図である。
【図7】図6を通して検出された動的障害物を除去する過程を示した図である。
【図8】図7を通して動的障害物を除去した二つの表面のマッチング結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例を添付された図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施例によるロボットの外観構成図である。図1において、本発明のロボット10は、人間と同様に二つの脚部11によって直立移動する2足歩行ロボットとして、上体部12、二つの腕部13及び頭部14を備えて自律的に走行する。
【0031】
図2は、本発明の実施例によるロボットの制御ブロック図である。図2において、本発明のロボット10は、表面情報獲得部20、保存部22、運動情報獲得部24、制御部26及び駆動部28を含む。
【0032】
表面情報獲得部20は、ロボット10が障害物のある環境で走行しながら一定時間(約1sec以内)間隔で得た3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)を順次的に獲得する3次元測定装備(例えば、ステレオカメラ、TOF(Time of Flight)カメラなど)で、最近の3次元測定装備の技術発達によってロボット10の走行経路上に位置する多様な物体(例えば、動的障害物や静的物体)の3次元情報(S1、S2;物体の表面情報)を容易に獲得することができる。
【0033】
保存部22は、表面情報獲得部20を通して順次的に獲得される3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)を保存するメモリで、表面情報獲得部20によって3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)を一定時間(約1sec以内)間隔で獲得するので、第2表面情報(S2)を獲得する前に獲得した第1表面情報(S1)を保存しておくべきである。したがって、保存部22には、連続する3次元映像の第1及び第2表面情報(例えば、S1、S2)を含む複数個の3次元表面情報が保存される。
【0034】
運動情報獲得部24は、表面情報獲得部20によって一定時間(約1sec以内)間隔で3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)を順次的に獲得する過程で走行経路に沿って移動するロボット10の運動情報をオドメトリー(Odometry)などを用いて獲得するもので、第1表面情報(S1)から第2表面情報(S2)を獲得するまで走行するロボット10の運動情報を獲得する。
【0035】
制御部26は、運動情報獲得部24によって獲得した運動情報を用いて表面情報獲得部20によって獲得した3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)の剛体変換行列(Rotation Matrix、Translation Matrix;R、T)を求め、このように求めた第1及び第2表面情報(S1、S2)の剛体変換行列が多くの誤差(スリップなど)を含むので、R、Tマトリックスを初期位置にしてICPアルゴリズムを1次的に遂行し、第1及び第2表面情報(S1、S2)をマッチングし、1次的にICPマッチングした第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差を計算して動的障害物を検出した後、動的障害物を除去した3次元映像の第3表面情報(S2')を生成し、これに基づいて、すなわち、動的障害物を除去して生成された3次元映像の第3表面情報(S2')と第1及び第2表面情報(S1、S2)のうち動的障害物のない3次元表面情報(S1またはS2)を用いてICPアルゴリズムを2次的に遂行する3次元表面マッチング法で最終的な変換行列を獲得し、静的物体のみに基づいた地図情報を作成するロボット中央演算装置(CPU)である。
【0036】
また、制御部26は、1次的にICPマッチングした第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が予め定められた一定距離以上になる部分を検出し、第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が一定距離以上であると動的障害物を検出し、第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が一定距離以上になる部分を2次元グリッド映像に変換し、この変換された2次グリッド映像の収縮/拡張過程を通して誤差を除去する方法で動的障害物を除去する。
【0037】
駆動部28は、制御部26で作成された地図情報に基づいてロボット10が障害物との衝突なしに走行経路を自律的に移動するように駆動する。
【0038】
以下、上記のように構成されたロボット及びその地図作成方法の動作過程及び作用効果を説明する。
【0039】
本発明において、3次元表面情報をマッチングするために使用されるICPアルゴリズムは、二つの表面を整合するための一般的な方法で、二つの表面に存在するいくつかの点の距離総合が最小になる精密なボディー運動(Rigid Body Motion)の回転と移動関係を求めるものである。ICPアルゴリズムを具現する方法には多様な方法がある。
【0040】
Hornによって提案されたICPアルゴリズムは、互いに異なる二つの座標システム間の整合問題を共分散(covariance)行列による単位四元数(quaternion)を用いて解決した[B.K.P.Horn,‘Closed−Form Solution of Absolute Orientation Using Unit Quaternions',Journal of the Optical Society of America,A,vol.4.pp..629−642,April 1987]。その反面、BeslとMckayによって提案されたICPアルゴリズムは、現在の整合問題に最も広く使用される方法で、一致点の抽出過程なしに二つのデータ集合間の最も近い点の対を反復的に探して整合を最適化させる[P.J.Besl and N.D.Mckay,‘A Method for Registration of 3−D Shapes’,‘IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence’,vol.14,no.2、pp.239−256,February 1992]。
【0041】
このようなICPアルゴリズムを用いて3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)のマッチングを遂行するとき、動的障害物がある場合に誤差が存在するので、本発明は、動的障害物による誤差を除去する3次元表面マッチング法を用いて静的物体のみを有して正確な地図情報を作成できるように具現した。
【0042】
図3は、本発明の実施例によるロボットの走行経路に障害物が位置する例を示した構成図で、図4A及び図4Bは、本発明の実施例によるロボットの地図作成方法を示した動作フローチャートである。
【0043】
図3に示すように、ロボット10が障害物のある環境で走行を開始すると(100)、制御部26は、ロボット10の走行経路上に位置する多様な物体(例えば、動的障害物や静的物体)の3次元映像の第1表面情報(S1)を表面情報獲得部20を通して獲得し(102)、これを保存部22に保存する(104)。
【0044】
その後、制御部26は、次の3次元映像の第2表面情報(S2)を獲得するまで走行経路に沿って移動するロボット10の運動情報を運動情報獲得部24を通して獲得しながら(106)、予め定められた一定時間(約1sec以内)が経過したかを判断する(108)。
【0045】
段階108の判断結果、一定時間が経過していない場合、段階106にフィードバックし、次の3次元映像の第2表面情報(S2)を獲得するまでロボット10の運動情報を運動情報獲得部24を通して継続的に獲得しながら、以後の動作を進行する。
【0046】
一方、段階108の判断結果、一定時間が経過した場合、制御部26は、走行経路上に位置する次の3次元映像の第2表面情報(S2)を表面情報獲得部20を通して獲得し(110)、これを保存部22に保存する(112)。
【0047】
このように、保存部22に複数個(例えば、2個)の第1及び第2表面情報(S1、S2)が保存されると、制御部26は、運動情報獲得部24によって獲得したロボット10の運動情報を用いて3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)の剛体変換行列[R(回転変換行列)、T1(移動変換行列)]を求める(114)。ロボット10の運動情報を用いて求める3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)の剛体変換行列は、ICPアルゴリズムで二つの表面に存在するいつくかの点の距離総合が最小になるように表面の精密なボディー運動(回転、移動)関係を求める回転変換行列と移動変換行列で、大韓民国公開特許公報特2003−0040701号と特2004−0094230号などの多数の文献に開示されている。
【0048】
このように求めた第1及び第2表面情報(S1、S2)の変換行列は、多くの誤差(スリップなど)を含むので、R、Tマトリックスを初期点とするICPアルゴリズムを遂行し、3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)を1次的にマッチングする(116)。ICPアルゴリズムは、反復的な方式で二つの表面の距離差の合計が最小になるように整合する一般的な方法である。ICPアルゴリズムの遂行方法は、上述した大韓民国公開特許公報特2003−0040701号と特2004−0094230号などの多数の文献に開示されている。
【0049】
このようなICPアルゴリズムの遂行によって、3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)は、図5A乃至図5Cに示すようにマッチングされる。以前の3次元映像の第1表面情報(S1)をt時間で得た場合(図5Aを参照)、次の3次元映像の第2表面情報(S2)は、一定時間(約1sec以内)が経過したt+1時間で得るようになり(図5Bを参照)、このように順次的に獲得される3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)は、図5Cに示すようにICPマッチングされる。
【0050】
ICPアルゴリズムの表面マッチング過程で動的障害物がある場合、誤差が存在し、歪曲された地図情報が作成されうるので、制御部26は、1次的にICPマッチングした第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差を計算し(118)、第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が予め定められた一定距離以上になる部分があるかを判断する(120)。
【0051】
段階120の判断結果、第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が一定距離以上になる部分が検出されると、制御部26は、第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が一定距離以上になる部分を、図6に示すように動的障害物として検出し(122)、第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が一定距離以上になる部分を、図7に示すように2次元グリッド映像に変換する(124)。
【0052】
したがって、図7に示すように、制御部26は、変換された2次元グリッド映像の収縮/拡張過程を通して誤差を除去することで(126)、動的障害物を除去した3次元映像の第3表面情報(S2')を生成する(128)。
【0053】
これによって、制御部26は、動的障害物を除去した3次元映像の第3表面情報(S2')と第1及び第2表面情報(S1、S2)のうち動的障害物のない何れか一つの表面情報(例えば、第1表面情報"S1")を用いてICPアルゴリズムを2次的に遂行する。ICPアルゴリズムを2次的に遂行するときは、段階116と同様にR、Tマトリックスを初期位置にし、図8に示すように、第1及び第3表面情報(S1、S2')をマッチングする3次元表面マッチング法で最終的な変換行列を獲得する。
【0054】
したがって、制御部26は、動的障害物を除去した静的物体のみに基づいて地図情報を作成し、これを保存部22に保存し(132)、ロボット10の走行が完了したかを判断する(134)。
【0055】
段階134の判断結果、ロボット10の走行が完了していない場合、段階102にフィードバックし、ロボット10が障害物のある環境で走行しながら次の3次元映像の表面情報を獲得してICPアルゴリズムを遂行する3次元表面マッチング法で動的障害物を除去し、静的物体のみに基づいた地図情報を継続的に作成するように、以後の動作を反復的に進行する。
【0056】
一方、段階134の判断結果、ロボット10の走行が完了した場合、制御部26は、駆動部28を通してロボット10の走行を完了しながら動作を終了する。
【符号の説明】
【0057】
10 ロボット
11 脚部
12 上体部
13 腕部
14 頭部
20 表面情報獲得部
22 保存部
24 運動情報獲得部
26 制御部
28 駆動部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット及びその地図作成方法に関するもので、より詳細には、動的障害物を除去した3次元映像の表面情報を用いて地図を作成するロボット及びその地図作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ロボットは、電気的または磁気的な作用を用いて人間の動作と類似した運動を行う機械装置である。最近、ロボットは、センサー及び制御器の発達によって多様な分野で活用されており、その例としては、家庭での家事手伝いロボット、公共場所用サービスロボット、生産現場での搬送ロボット、作業者支援ロボットなどがある。このようなロボットが自律的に走行するためには、周辺環境に対する事前情報なしに自身の位置を認識し、環境に対する情報から地図を作成する位置認識(Localization)と地図作成(Map−building)の過程が同時に行われるべきである。これをロボットの同時位置認識及び地図作成(Simultaneous Localization And Map−building;SLAM)という。
【0003】
このようなSLAM方法の一例が特許文献1に開示されている。
【0004】
特許文献1に開示されたSLAM方法は、全方位視野を有する全方位視覚センサーを移動体(ロボット)に搭載し、移動体を特定の経路上に移動させながら全方位視覚センサーによって移動体周辺の映像を時系列的な標準パターンで獲得した。また、移動体が任意の経路を走行すると、全方位視覚センサーの獲得映像と予め設定された標準パターンの映像とを比較し、二つの映像が一致する場合、標準パターンの映像と関連する位置を検出結果として推定する方式を通して移動体の位置を認識し、周辺環境に対する地図を作成した。このとき、移動体は、走行する経路上に位置する障害物が固定物体(静的物体)であるか、移動物体(動的物体)であるかを正確に検知すべきである。この理由は、地図情報が動的物体(以下、動的障害物という。)を除去した固定物体(以下、静的物体という。)に基づいて作成されるべきであるためである。
【特許文献1】日本特許公開第平成10−160463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のSLAM方法は、移動体の正確な位置を認識できずに概略的な位置のみを推定するので、走行する経路上に位置する障害物が静的物体であるか、または動的障害物であるかを認識するのに限界がある。例えば、動的障害物が静的物体として認識される場合、静的物体に基づいて作成される地図情報が歪曲され、地図情報に基づいて求める移動体の位置に多くの誤差が含まれるようになる。また、動的障害物が静的物体として認識される場合、移動体が動的障害物を避けられず、これらが衝突するという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題点を解決するためのもので、その目的は、二つの表面の3次元情報から動的障害物を検出する3次元表面マッチング法を用いて動的障害物を除去した正確な地図情報を作成できるロボット及びその地図作成方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、静的物体や動的障害物の3次元距離情報を2次元グリッド映像に変換し、グリッド映像の収縮/拡張を通して動的障害物を除去できるロボット及びその地図作成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明のロボットの地図作成方法は、ロボットが走行する経路の第1及び第2表面情報を順次的に獲得し、前記第1及び第2表面情報をマッチングして前記第1及び第2表面情報の差を求め、前記第1及び第2表面情報の差によって前記第1及び第2表面情報に位置する動的障害物を検出し、前記動的障害物を除去した第3表面情報を生成し、前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングして地図を作成することを含む。
【0009】
前記第1及び第2表面情報は、前記ロボットが走行しながら獲得した3次元映像の表面情報であることを特徴とする。
【0010】
前記第1及び第2表面情報をマッチングすることは、前記第1及び第2表面情報を整合するためのICPマッチングを1次的に遂行することであることを特徴とする。
【0011】
また、本発明のロボットの地図作成方法は、前記ロボットの運動情報を獲得し、前記運動情報から前記第1及び第2表面情報の剛体変換行列を獲得することをさらに含み、前記ICPマッチングは、前記剛体変換行列を初期位置にして前記第1及び第2表面情報を整合することを特徴とする。
【0012】
前記第1及び第2表面情報の差は、前記ICPマッチングされた前記第1及び第2表面情報の距離差であることを特徴とする。
【0013】
前記動的障害物を検出することは、前記第1及び第2表面情報の距離差が予め定められた一定距離以上であるかを判断し、前記第1及び第2表面情報の距離差が一定距離以上である場合、前記第1及び第2表面情報に位置する前記動的障害物を検出することであることを特徴とする。
【0014】
前記動的障害物を除去することは、前記動的障害物が検出された前記第1及び第2表面情報を2次元グリッド映像に変換し、前記2次元グリッド映像を収縮/拡張して前記動的障害物を除去することであることを特徴とする。
【0015】
前記第3表面情報を生成することは、前記第1及び第2表面情報から前記動的障害物を除去した3次元映像の表面情報を生成することであることを特徴とする。
【0016】
前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングすることは、前記第1及び第2表面情報のうち動的障害物のない表面情報と前記第3表面情報を整合するためのICPマッチングを2次的に遂行することであることを特徴とする。
【0017】
前記2次的なICPマッチングの初期位置は、前記1次的なICPマッチングの位置であることを特徴とする。
【0018】
そして、本発明のロボットは、走行経路の第1及び第2表面情報を順次的に獲得する表面情報獲得部と、前記第1及び第2表面情報をマッチングして前記第1及び第2表面情報に位置する動的障害物を検出し、前記動的障害物を除去した第3表面情報を生成して前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングする制御部とを含む。
【0019】
前記表面情報獲得部は、前記ロボットが走行しながら獲得する3次元映像の第1及び第2表面情報を測定する3次元測定装備であることを特徴とする。
【0020】
前記制御部は、前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングし、前記ロボットが走行する経路の地図を作成することを特徴とする。
【0021】
また、本発明のロボットは、前記第1乃至第3表面情報を保存する保存部をさらに含み、前記保存部は、前記ロボットが走行しながら順次的に獲得する3次元映像の表面情報を複数個保存することを特徴とする。
【0022】
前記制御部は、前記第1及び第2表面情報を整合するためのICPマッチングを1次的に遂行し、前記第1及び第2表面情報の距離差が予め定められた一定距離以上である場合、前記第1及び第2表面情報に位置する前記動的障害物を検出することを特徴とする。
【0023】
前記制御部は、前記動的障害物が検出された前記第1及び第2表面情報を2次元グリッド映像に変換し、前記変換された2次元グリッド映像を収縮/拡張して前記動的障害物を除去することを特徴とする。
【0024】
前記制御部は、前記第1及び第2表面情報から前記動的障害物を除去した3次元映像の前記第3表面情報を生成することを特徴とする。
【0025】
前記制御部は、前記第1及び第2表面情報のうち動的障害物のない表面情報と前記第3表面情報を整合するためのICPマッチングを2次的に遂行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明のロボット及びその地図作成方法は、3次元測定装備を用いて連続する二つの表面の3次元映像情報を獲得し、獲得した二つの表面の3次元映像情報をICP(Iterative Closest Point)アルゴリズムを通してマッチングした二つの表面の距離差を求めて動的障害物を検出した後、動的障害物を除去した3次元映像の表面情報を用いて2次的なICPアルゴリズムを遂行する3次元表面マッチング法で静的物体のみに基づいた地図情報を正確に作成できるという効果を有する。
【0027】
また、本発明のロボット及びその地図作成方法は、静的物体や動的障害物の3次元距離情報を2次元グリッド映像に変換し、グリッド映像の収縮/拡張過程を通して動的障害物を除去することで、ロボットが動的障害物と衝突しうる誤差発生を除去できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施例によるロボットの外観構成図である。
【図2】本発明の実施例によるロボットの制御ブロック図である。
【図3】本発明の実施例によるロボットの走行経路に障害物が位置する例を示した構成図である。
【図4A】本発明の実施例によるロボットの地図作成方法を示した動作フローチャートである。
【図4B】本発明の実施例によるロボットの地図作成方法を示した動作フローチャートである。
【図5A】本発明の実施例によるロボットにおいて、地図作成のために二つの表面をマッチングするICPアルゴリズムの例を示した図である。
【図5B】本発明の実施例によるロボットにおいて、地図作成のために二つの表面をマッチングするICPアルゴリズムの例を示した図である。
【図5C】本発明の実施例によるロボットにおいて、地図作成のために二つの表面をマッチングするICPアルゴリズムの例を示した図である。
【図6】図5A乃至図5CのICPアルゴリズムを通して動的障害物を検出する過程を示した図である。
【図7】図6を通して検出された動的障害物を除去する過程を示した図である。
【図8】図7を通して動的障害物を除去した二つの表面のマッチング結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施例を添付された図面に基づいて詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施例によるロボットの外観構成図である。図1において、本発明のロボット10は、人間と同様に二つの脚部11によって直立移動する2足歩行ロボットとして、上体部12、二つの腕部13及び頭部14を備えて自律的に走行する。
【0031】
図2は、本発明の実施例によるロボットの制御ブロック図である。図2において、本発明のロボット10は、表面情報獲得部20、保存部22、運動情報獲得部24、制御部26及び駆動部28を含む。
【0032】
表面情報獲得部20は、ロボット10が障害物のある環境で走行しながら一定時間(約1sec以内)間隔で得た3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)を順次的に獲得する3次元測定装備(例えば、ステレオカメラ、TOF(Time of Flight)カメラなど)で、最近の3次元測定装備の技術発達によってロボット10の走行経路上に位置する多様な物体(例えば、動的障害物や静的物体)の3次元情報(S1、S2;物体の表面情報)を容易に獲得することができる。
【0033】
保存部22は、表面情報獲得部20を通して順次的に獲得される3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)を保存するメモリで、表面情報獲得部20によって3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)を一定時間(約1sec以内)間隔で獲得するので、第2表面情報(S2)を獲得する前に獲得した第1表面情報(S1)を保存しておくべきである。したがって、保存部22には、連続する3次元映像の第1及び第2表面情報(例えば、S1、S2)を含む複数個の3次元表面情報が保存される。
【0034】
運動情報獲得部24は、表面情報獲得部20によって一定時間(約1sec以内)間隔で3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)を順次的に獲得する過程で走行経路に沿って移動するロボット10の運動情報をオドメトリー(Odometry)などを用いて獲得するもので、第1表面情報(S1)から第2表面情報(S2)を獲得するまで走行するロボット10の運動情報を獲得する。
【0035】
制御部26は、運動情報獲得部24によって獲得した運動情報を用いて表面情報獲得部20によって獲得した3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)の剛体変換行列(Rotation Matrix、Translation Matrix;R、T)を求め、このように求めた第1及び第2表面情報(S1、S2)の剛体変換行列が多くの誤差(スリップなど)を含むので、R、Tマトリックスを初期位置にしてICPアルゴリズムを1次的に遂行し、第1及び第2表面情報(S1、S2)をマッチングし、1次的にICPマッチングした第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差を計算して動的障害物を検出した後、動的障害物を除去した3次元映像の第3表面情報(S2')を生成し、これに基づいて、すなわち、動的障害物を除去して生成された3次元映像の第3表面情報(S2')と第1及び第2表面情報(S1、S2)のうち動的障害物のない3次元表面情報(S1またはS2)を用いてICPアルゴリズムを2次的に遂行する3次元表面マッチング法で最終的な変換行列を獲得し、静的物体のみに基づいた地図情報を作成するロボット中央演算装置(CPU)である。
【0036】
また、制御部26は、1次的にICPマッチングした第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が予め定められた一定距離以上になる部分を検出し、第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が一定距離以上であると動的障害物を検出し、第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が一定距離以上になる部分を2次元グリッド映像に変換し、この変換された2次グリッド映像の収縮/拡張過程を通して誤差を除去する方法で動的障害物を除去する。
【0037】
駆動部28は、制御部26で作成された地図情報に基づいてロボット10が障害物との衝突なしに走行経路を自律的に移動するように駆動する。
【0038】
以下、上記のように構成されたロボット及びその地図作成方法の動作過程及び作用効果を説明する。
【0039】
本発明において、3次元表面情報をマッチングするために使用されるICPアルゴリズムは、二つの表面を整合するための一般的な方法で、二つの表面に存在するいくつかの点の距離総合が最小になる精密なボディー運動(Rigid Body Motion)の回転と移動関係を求めるものである。ICPアルゴリズムを具現する方法には多様な方法がある。
【0040】
Hornによって提案されたICPアルゴリズムは、互いに異なる二つの座標システム間の整合問題を共分散(covariance)行列による単位四元数(quaternion)を用いて解決した[B.K.P.Horn,‘Closed−Form Solution of Absolute Orientation Using Unit Quaternions',Journal of the Optical Society of America,A,vol.4.pp..629−642,April 1987]。その反面、BeslとMckayによって提案されたICPアルゴリズムは、現在の整合問題に最も広く使用される方法で、一致点の抽出過程なしに二つのデータ集合間の最も近い点の対を反復的に探して整合を最適化させる[P.J.Besl and N.D.Mckay,‘A Method for Registration of 3−D Shapes’,‘IEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligence’,vol.14,no.2、pp.239−256,February 1992]。
【0041】
このようなICPアルゴリズムを用いて3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)のマッチングを遂行するとき、動的障害物がある場合に誤差が存在するので、本発明は、動的障害物による誤差を除去する3次元表面マッチング法を用いて静的物体のみを有して正確な地図情報を作成できるように具現した。
【0042】
図3は、本発明の実施例によるロボットの走行経路に障害物が位置する例を示した構成図で、図4A及び図4Bは、本発明の実施例によるロボットの地図作成方法を示した動作フローチャートである。
【0043】
図3に示すように、ロボット10が障害物のある環境で走行を開始すると(100)、制御部26は、ロボット10の走行経路上に位置する多様な物体(例えば、動的障害物や静的物体)の3次元映像の第1表面情報(S1)を表面情報獲得部20を通して獲得し(102)、これを保存部22に保存する(104)。
【0044】
その後、制御部26は、次の3次元映像の第2表面情報(S2)を獲得するまで走行経路に沿って移動するロボット10の運動情報を運動情報獲得部24を通して獲得しながら(106)、予め定められた一定時間(約1sec以内)が経過したかを判断する(108)。
【0045】
段階108の判断結果、一定時間が経過していない場合、段階106にフィードバックし、次の3次元映像の第2表面情報(S2)を獲得するまでロボット10の運動情報を運動情報獲得部24を通して継続的に獲得しながら、以後の動作を進行する。
【0046】
一方、段階108の判断結果、一定時間が経過した場合、制御部26は、走行経路上に位置する次の3次元映像の第2表面情報(S2)を表面情報獲得部20を通して獲得し(110)、これを保存部22に保存する(112)。
【0047】
このように、保存部22に複数個(例えば、2個)の第1及び第2表面情報(S1、S2)が保存されると、制御部26は、運動情報獲得部24によって獲得したロボット10の運動情報を用いて3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)の剛体変換行列[R(回転変換行列)、T1(移動変換行列)]を求める(114)。ロボット10の運動情報を用いて求める3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)の剛体変換行列は、ICPアルゴリズムで二つの表面に存在するいつくかの点の距離総合が最小になるように表面の精密なボディー運動(回転、移動)関係を求める回転変換行列と移動変換行列で、大韓民国公開特許公報特2003−0040701号と特2004−0094230号などの多数の文献に開示されている。
【0048】
このように求めた第1及び第2表面情報(S1、S2)の変換行列は、多くの誤差(スリップなど)を含むので、R、Tマトリックスを初期点とするICPアルゴリズムを遂行し、3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)を1次的にマッチングする(116)。ICPアルゴリズムは、反復的な方式で二つの表面の距離差の合計が最小になるように整合する一般的な方法である。ICPアルゴリズムの遂行方法は、上述した大韓民国公開特許公報特2003−0040701号と特2004−0094230号などの多数の文献に開示されている。
【0049】
このようなICPアルゴリズムの遂行によって、3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)は、図5A乃至図5Cに示すようにマッチングされる。以前の3次元映像の第1表面情報(S1)をt時間で得た場合(図5Aを参照)、次の3次元映像の第2表面情報(S2)は、一定時間(約1sec以内)が経過したt+1時間で得るようになり(図5Bを参照)、このように順次的に獲得される3次元映像の第1及び第2表面情報(S1、S2)は、図5Cに示すようにICPマッチングされる。
【0050】
ICPアルゴリズムの表面マッチング過程で動的障害物がある場合、誤差が存在し、歪曲された地図情報が作成されうるので、制御部26は、1次的にICPマッチングした第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差を計算し(118)、第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が予め定められた一定距離以上になる部分があるかを判断する(120)。
【0051】
段階120の判断結果、第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が一定距離以上になる部分が検出されると、制御部26は、第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が一定距離以上になる部分を、図6に示すように動的障害物として検出し(122)、第1及び第2表面情報(S1、S2)の距離差が一定距離以上になる部分を、図7に示すように2次元グリッド映像に変換する(124)。
【0052】
したがって、図7に示すように、制御部26は、変換された2次元グリッド映像の収縮/拡張過程を通して誤差を除去することで(126)、動的障害物を除去した3次元映像の第3表面情報(S2')を生成する(128)。
【0053】
これによって、制御部26は、動的障害物を除去した3次元映像の第3表面情報(S2')と第1及び第2表面情報(S1、S2)のうち動的障害物のない何れか一つの表面情報(例えば、第1表面情報"S1")を用いてICPアルゴリズムを2次的に遂行する。ICPアルゴリズムを2次的に遂行するときは、段階116と同様にR、Tマトリックスを初期位置にし、図8に示すように、第1及び第3表面情報(S1、S2')をマッチングする3次元表面マッチング法で最終的な変換行列を獲得する。
【0054】
したがって、制御部26は、動的障害物を除去した静的物体のみに基づいて地図情報を作成し、これを保存部22に保存し(132)、ロボット10の走行が完了したかを判断する(134)。
【0055】
段階134の判断結果、ロボット10の走行が完了していない場合、段階102にフィードバックし、ロボット10が障害物のある環境で走行しながら次の3次元映像の表面情報を獲得してICPアルゴリズムを遂行する3次元表面マッチング法で動的障害物を除去し、静的物体のみに基づいた地図情報を継続的に作成するように、以後の動作を反復的に進行する。
【0056】
一方、段階134の判断結果、ロボット10の走行が完了した場合、制御部26は、駆動部28を通してロボット10の走行を完了しながら動作を終了する。
【符号の説明】
【0057】
10 ロボット
11 脚部
12 上体部
13 腕部
14 頭部
20 表面情報獲得部
22 保存部
24 運動情報獲得部
26 制御部
28 駆動部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットが走行する経路の第1及び第2表面情報を順次的に獲得し、
前記第1及び第2表面情報をマッチングして前記第1及び第2表面情報の差を求め、
前記第1及び第2表面情報の差によって前記第1及び第2表面情報に位置する動的障害物を検出し、
前記動的障害物を除去した第3表面情報を生成し、
前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングして地図を作成することを含むロボットの地図作成方法。
【請求項2】
前記第1及び第2表面情報は、前記ロボットが走行しながら獲得した3次元映像の表面情報であることを特徴とする請求項1に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項3】
前記第1及び第2表面情報をマッチングすることは、
前記第1及び第2表面情報を整合するためのICPマッチングを1次的に遂行することであることを特徴とする請求項1に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項4】
前記ロボットの運動情報を獲得し、
前記運動情報から前記第1及び第2表面情報の剛体変換行列を獲得することをさらに含み、
前記ICPマッチングは、前記剛体変換行列を初期位置にして前記第1及び第2表面情報を整合することを特徴とする請求項3に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項5】
前記第1及び第2表面情報の差は、前記ICPマッチングされた前記第1及び第2表面情報の距離差であることを特徴とする請求項3に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項6】
前記動的障害物を検出することは、
前記第1及び第2表面情報の距離差が予め定められた一定距離以上であるかを判断し、前記第1及び第2表面情報の距離差が一定距離以上である場合、前記第1及び第2表面情報に位置する前記動的障害物を検出することであることを特徴とする請求項5に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項7】
前記動的障害物を除去することは、
前記動的障害物が検出された前記第1及び第2表面情報を2次元グリッド映像に変換し、
前記2次元グリッド映像を収縮/拡張して前記動的障害物を除去することであることを特徴とする請求項6に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項8】
前記第3表面情報を生成することは、
前記第1及び第2表面情報から前記動的障害物を除去した3次元映像の表面情報を生成することであることを特徴とする請求項3に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項9】
前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングすることは、
前記第1及び第2表面情報のうち動的障害物のない表面情報と前記第3表面情報を整合するためのICPマッチングを2次的に遂行することであることを特徴とする請求項8に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項10】
前記2次的なICPマッチングの初期位置は、前記1次的なICPマッチングの位置であることを特徴とする請求項9に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項11】
走行経路の第1及び第2表面情報を順次的に獲得する表面情報獲得部と、
前記第1及び第2表面情報をマッチングして前記第1及び第2表面情報に位置する動的障害物を検出し、前記動的障害物を除去した第3表面情報を生成して前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングする制御部と、を含むロボット。
【請求項12】
前記表面情報獲得部は、前記ロボットが走行しながら獲得する3次元映像の第1及び第2表面情報を測定する3次元測定装備であることを特徴とする請求項11に記載のロボット。
【請求項13】
前記制御部は、前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングし、前記ロボットが走行する経路の地図を作成することを特徴とする請求項11に記載のロボット。
【請求項14】
前記第1乃至第3表面情報を保存する保存部をさらに含み、
前記保存部は、前記ロボットが走行しながら順次的に獲得する3次元映像の表面情報を複数個保存することを特徴とする請求項11に記載のロボット。
【請求項15】
前記制御部は、前記第1及び第2表面情報を整合するためのICPマッチングを1次的に遂行し、前記第1及び第2表面情報の距離差が予め定められた一定距離以上である場合、前記第1及び第2表面情報に位置する前記動的障害物を検出することを特徴とする請求項11に記載のロボット。
【請求項16】
前記制御部は、前記動的障害物が検出された前記第1及び第2表面情報を2次元グリッド映像に変換し、前記変換された2次元グリッド映像を収縮/拡張して前記動的障害物を除去することを特徴とする請求項15に記載のロボット。
【請求項17】
前記制御部は、前記第1及び第2表面情報から前記動的障害物を除去した3次元映像の前記第3表面情報を生成することを特徴とする請求項16に記載のロボット。
【請求項18】
前記制御部は、前記第1及び第2表面情報のうち動的障害物のない表面情報と前記第3表面情報を整合するためのICPマッチングを2次的に遂行することを特徴とする請求項17に記載のロボット。
【請求項19】
前記2次的なICPマッチングの初期位置は、前記1次的なICPマッチングの位置であることを特徴とする請求項18に記載のロボット。
【請求項1】
ロボットが走行する経路の第1及び第2表面情報を順次的に獲得し、
前記第1及び第2表面情報をマッチングして前記第1及び第2表面情報の差を求め、
前記第1及び第2表面情報の差によって前記第1及び第2表面情報に位置する動的障害物を検出し、
前記動的障害物を除去した第3表面情報を生成し、
前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングして地図を作成することを含むロボットの地図作成方法。
【請求項2】
前記第1及び第2表面情報は、前記ロボットが走行しながら獲得した3次元映像の表面情報であることを特徴とする請求項1に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項3】
前記第1及び第2表面情報をマッチングすることは、
前記第1及び第2表面情報を整合するためのICPマッチングを1次的に遂行することであることを特徴とする請求項1に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項4】
前記ロボットの運動情報を獲得し、
前記運動情報から前記第1及び第2表面情報の剛体変換行列を獲得することをさらに含み、
前記ICPマッチングは、前記剛体変換行列を初期位置にして前記第1及び第2表面情報を整合することを特徴とする請求項3に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項5】
前記第1及び第2表面情報の差は、前記ICPマッチングされた前記第1及び第2表面情報の距離差であることを特徴とする請求項3に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項6】
前記動的障害物を検出することは、
前記第1及び第2表面情報の距離差が予め定められた一定距離以上であるかを判断し、前記第1及び第2表面情報の距離差が一定距離以上である場合、前記第1及び第2表面情報に位置する前記動的障害物を検出することであることを特徴とする請求項5に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項7】
前記動的障害物を除去することは、
前記動的障害物が検出された前記第1及び第2表面情報を2次元グリッド映像に変換し、
前記2次元グリッド映像を収縮/拡張して前記動的障害物を除去することであることを特徴とする請求項6に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項8】
前記第3表面情報を生成することは、
前記第1及び第2表面情報から前記動的障害物を除去した3次元映像の表面情報を生成することであることを特徴とする請求項3に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項9】
前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングすることは、
前記第1及び第2表面情報のうち動的障害物のない表面情報と前記第3表面情報を整合するためのICPマッチングを2次的に遂行することであることを特徴とする請求項8に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項10】
前記2次的なICPマッチングの初期位置は、前記1次的なICPマッチングの位置であることを特徴とする請求項9に記載のロボットの地図作成方法。
【請求項11】
走行経路の第1及び第2表面情報を順次的に獲得する表面情報獲得部と、
前記第1及び第2表面情報をマッチングして前記第1及び第2表面情報に位置する動的障害物を検出し、前記動的障害物を除去した第3表面情報を生成して前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングする制御部と、を含むロボット。
【請求項12】
前記表面情報獲得部は、前記ロボットが走行しながら獲得する3次元映像の第1及び第2表面情報を測定する3次元測定装備であることを特徴とする請求項11に記載のロボット。
【請求項13】
前記制御部は、前記第3表面情報と前記第1及び第2表面情報のうち何れか一つをマッチングし、前記ロボットが走行する経路の地図を作成することを特徴とする請求項11に記載のロボット。
【請求項14】
前記第1乃至第3表面情報を保存する保存部をさらに含み、
前記保存部は、前記ロボットが走行しながら順次的に獲得する3次元映像の表面情報を複数個保存することを特徴とする請求項11に記載のロボット。
【請求項15】
前記制御部は、前記第1及び第2表面情報を整合するためのICPマッチングを1次的に遂行し、前記第1及び第2表面情報の距離差が予め定められた一定距離以上である場合、前記第1及び第2表面情報に位置する前記動的障害物を検出することを特徴とする請求項11に記載のロボット。
【請求項16】
前記制御部は、前記動的障害物が検出された前記第1及び第2表面情報を2次元グリッド映像に変換し、前記変換された2次元グリッド映像を収縮/拡張して前記動的障害物を除去することを特徴とする請求項15に記載のロボット。
【請求項17】
前記制御部は、前記第1及び第2表面情報から前記動的障害物を除去した3次元映像の前記第3表面情報を生成することを特徴とする請求項16に記載のロボット。
【請求項18】
前記制御部は、前記第1及び第2表面情報のうち動的障害物のない表面情報と前記第3表面情報を整合するためのICPマッチングを2次的に遂行することを特徴とする請求項17に記載のロボット。
【請求項19】
前記2次的なICPマッチングの初期位置は、前記1次的なICPマッチングの位置であることを特徴とする請求項18に記載のロボット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2009−271513(P2009−271513A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66988(P2009−66988)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】
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