説明

ロミデプシンの精製

本発明は、ロミデプシンを調製するための改善されたプロセスを提供する。上記プロセスは、望ましくない付加生成物の形成を妨げる条件下で、ロミデプシンを生成するか、精製するか、または貯蔵する工程を包含する。約6.0より低い見かけのpH(例えば、4.0〜6.0の間の見かけのpH)でのロミデプシンの精製は、ロミデプシンのジスルフィド結合の還元、およびその後のダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化した付加生成物の形成を防止することが決定された。本発明はまた、ダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化した付加生成物を含まないモノマー性ロミデプシンの組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、米国特許法§119(e)の下、米国仮特許出願第60/882,698号および同第60/882,704号に対する優先権を主張し、これらの出願は両方とも2006年12月29日に出願され、これらの各々の出願は本明細書中で参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ロミデプシン(Romidepsin)は、藤沢薬品工業によってChromobacterium violaceumから単離された天然の生成物である。特許文献1(1995);特許文献2(1990年12月11日発行)(これらの各々は、本明細書に参考として援用される)を参照のこと。ロミデプシンは、4つのアミノ酸残基(D−バリン、D−システイン、デヒドロブチリン(dehydrobutyrine)、およびL−バリン)からなる二環式ペプチドであり、かつ新規な酸(3−ヒドロキシ−7−メルカプト−4−ヘプタン酸)である。ロミデプシンは、アミド結合およびエステル結合の両方を含むデプシペプチドである。発酵を使用するC.violaceumの生成に加えて、ロミデプシンはまた、合成手段または半合成手段によって調製され得る。Kahnらによって報告されたロミデプシンの全合成は、14工程を要し、18%の全体収率でロミデプシンを生じる。非特許文献1を参照のこと。ロミデプシンの構造は、以下に示される:
【0003】
【化1】

ロミデプシンは、抗微生物活性、免疫抑制活性、および抗腫瘍活性を有することが示された。ロミデプシンは、例えば、血液悪性疾患(例えば、皮膚性T細胞リンパ腫(CTCL)、末梢性T細胞リンパ腫(PTCL)、多発性骨髄腫など)および固形腫瘍(例えば、前立腺癌、膵臓癌など))を有する患者を処置することにおいて使用するために、現在試験している最中である。デアセチラーゼ(例えば、ヒストンデアセチラーゼ、チューブリンデアセチラーゼ)を選択的に阻害することによって作用することが考えられ、新たな標的が抗癌治療の新たなクラスを開発する見込みがある。Nakajimaら,非特許文献2。作用の1つの様式は、ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)の1つ以上のクラスの阻害を包含する。
【0004】
ヒストンデアセチラーゼは、その作用部位に亜鉛を有するメタロデアセチル化酵素である。Finninら,非特許文献3。この酵素は、DNAに対するアセチル化ヒストンのアフィニティーを調節することによって、特定の遺伝子の発現を調節すると考えられる。ヒストンのアセチル化は、アセチル化と脱アセチル化との間のバランスによって制御される。上記ヒストンのアセチル化は、上記ヒストンタンパク質のリジン残基において起こる。上記リジン残基のアセチル化は、上記タンパク質にその正の電荷のうちのいくらかを喪失させ、それによって、DNAとのその相互作用を低下させる。ロミデプシンは、ヒストンの上記増大したアセチル化および処理細胞における他の調節性タンパク質を引き起こすことが見いだされた。このことは、細胞周期制御、分化、およびアポトーシスに関与する種々の遺伝子の転写性制御に影響を及ぼす。より最近では、HDACインヒビターは、自食作用の制御に関与していた。
【0005】
ロミデプシンに加えて、種々の誘導体が調製および研究されてきた。以下の特許および特許出願は、種々のロミデプシンの誘導体を記載している:特許文献3;特許文献4;特許文献5;および特許文献6;これらの各々は、本明細書に参考として援用される。
【0006】
薬剤としてのロミデプシンにおける関心を考慮すれば、コスト効率的な様式で大量の高度に精製された物質を調製する必要性がある。ロミデプシンを発酵ブロスから精製する種々の研究が、報告されてきた。特許文献7;特許文献8;これらの各々は、本明細書に参考として援用される。例えば、特許文献8は、特定のアミノ酸(例えば、L−システイン)を培養培地に添加することによる、発酵プロセスからのロミデプシンの生成の増大を記載している。このような発見は、発酵によるロミデプシンの改善された生成を提供してきたが、研究用途および医療用途のために大量の純粋なロミデプシンを調製するよりよい方法が未だ必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−64872号公報
【特許文献2】米国特許第4,977,138号明細書
【特許文献3】米国特許第6,548,479号明細書
【特許文献4】国際公開第05/0209134号パンフレット
【特許文献5】国際公開第05/058298号パンフレット
【特許文献6】国際公開第06/129105号パンフレット
【特許文献7】米国特許第4,977,138号明細書
【特許文献8】国際公開第02/20817号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc.118:7237−7238,1996
【非特許文献2】Experimental Cell Res.241:126−133,1998
【非特許文献3】Nature,401:188−193,1999
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、純粋なロミデプシン(特に、ダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化したロミデプシンのような夾雑物を含まないロミデプシン)を再現可能に生成しないという認識に基づいている。この認識に基づくと、本発明は、これら夾雑する副生成物のレベルを減少させる条件下で、ロミデプシンを再現可能に調製するためのシステムを提供する。約6.5未満の、より好ましくは、約6.0未満の見かけのpHで、ロミデプシンを生成、精製および/または貯蔵することによって、ダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化したロミデプシンの形成が妨げられることが見いだされた。ロミデプシンの精製プロセスにおけるこの改善は、公知のプロセスによって提供されるものより、高い収量のロミデプシンおよび/または高い純度のロミデプシンを可能にする。このような改善は、ヒトにおける使用のための製薬グレードのロミデプシンを調製するのに特に有用である。
【0010】
ロミデプシンは、代表的には、天然の生成物を生成する微生物(例えば、Chromobacterium violaceum)の培養物からロミデプシンを精製することによって生成される。本発明は、その後に、ダイマー化、オリゴマー化、またはポリマー化して、望ましくない夾雑物を形成し得る、減少したロミデプシンの形成を排除もしくは低下させるために、上記精製工程のうちの少なくともいくつかの間に、低い見かけのpHを維持することが必要であることを実証する。
【0011】
上記精製工程のうちの1つ以上は、6.5未満の見かけのpH、またはさらには6.0未満の見かけのpHにおいて行われる。特定の実施形態において、1つ以上の精製工程は、4.0〜6.0の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて行われる。特定の実施形態において、上記精製工程のうちのすべてが、約4.0〜約6.0の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて行われる。望ましくない夾雑物の形成を妨げるために、ロミデプシンを含む溶液の見かけのpHは、約7.0を上回るか、またはより好ましくは約6.0を上回る見かけのpHに達することを許容しない。すべての生成プロセスの見かけのpHは、好ましくは、モニターされ、かつその後に、必要であれば、約6.0未満の見かけのpHに調節される。特定の実施形態において、それは、約4.0〜約6.0の見かけのpH範囲内で維持される。水溶液を使用して上記プロセスもしくは工程の最後近くに、精製工程における見かけのpHの制御は、望ましくない夾雑物の形成を減少もしくは排除することにおいて特に有用であることが見いだされた。任意の酸もしくは緩衝剤が、pHを制御するために使用され得る。特定の実施形態において、有機酸(例えば、酢酸もしくはギ酸)は、上記精製工程のうちの1つ以上においてpHを制御するために使用される。特定の実施形態において、無機酸(例えば、リン酸もしくは塩酸)が使用される。
【0012】
ロミデプシンを精製するための任意のプロセスは、発酵からであろうと、半合成であろうと、全合成であろうと、見かけのpHをモニターし、必要であれば、見かけのpHを低下させることによって、望ましくない副生成物の形成を妨げるように、本発明に基づいて改変され得る。
【0013】
一局面において、本発明は、Chromobacterium violaceumの培養物からロミデプシンを調製するためのプロセスを提供する。その発酵ブロスは、上記培養物中の微生物を不活性化もしくは死滅させるために、酸性化される。上記酸性化された発酵ブロスは、予備的に、バッチまたはカラムクロマトグラフィーによって精製される。その後、複数のカラムクロマトグラフィー工程が、所望のレベルの純度を達成するために使用され得る。特定の実施形態において、上記第1のクロマトグラフィーは、Sepabeads SP850(非イオン性吸着樹脂)を利用する。上記ロミデプシンは、さらなるカラムクロマトグラフィー工程によってさらに精製され得る。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、その後、Diaion HP20SS樹脂を使用するカラムクロマトグラフィー、続いて、Diaion HP20樹脂を使用するカラムクロマトグラフィー、そして最後に、アルミナ上でのカラムクロマトグラフィーによって、精製される。特定の実施形態において、上記カラムクロマトグラフィーは、約4〜約6の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて行われる。特定の具体的な実施形態において、上記第2のカラムクロマトグラフィー工程は、低下した見かけのpH(例えば、約4〜6の見かけのpH)において行われる。上記ロミデプシンは、必要に応じて、結晶化によってさらに精製される。1つ以上の結晶化工程が、行われ得る。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、まず、メタノールを使用して結晶化され、次いで、85% アセトン水溶液を使用して結晶化される。その得られたロミデプシンは、次いで、必要に応じて、濾過され、洗浄され、乾燥される。特定の実施形態において、上記結晶化工程または任意のその後の工程は、約4.0〜約6.0の範囲に及ぶ、低下した見かけのpHにおいて行われる。最後の工程は、低下した見かけのpHにおいて行われることが特に重要である。なぜなら、その後のいかなる精製工程も、望ましくない夾雑物を除去するために利用しないからである。発酵および/もしくは精製プロセスにおいて使用される任意の設備(例えば、管系、ポンプ、フィルター、乾燥機など)は、水もしくは酸性溶液(例えば、酢酸)で洗浄して、上記設備上の任意のアルカリ性残渣も除去もしくは中和する。
【0014】
さらに、ロミデプシンの薬学的投与形態の調製(賦形剤、溶媒、共溶媒、および/もしくはロミデプシンの薬理学的活性を増強するために使用される他の薬剤と混ぜ合わせる工程を包含する)は、ダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化したロミデプシンの形成を最小にするために、低下した見かけのpH(例えば、約4.0未満の見かけのpH)において行われ得る。
【0015】
別の局面において、本発明は、夾雑するダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化したロミデプシンを実質的に含まない、ロミデプシンの組成物を提供する。本発明によって提供されるロミデプシンは、98%より多くがモノマー性であるか、99%より多くがモノマー性であるか、99.95%より多くがモノマー性であるか、または99.9%より多くがモノマー性である。いくつかの実施形態において、上記ロミデプシンは、すべての夾雑物に関して、好ましくは、98%より高い純度であるか、99%より高い純度であるか、99.95%より高い純度であるか、または99.9%より高い純度である。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、1.0%未満、0.5%未満、0.2%未満、または0.1%未満のすべての他の未知の物質を含む。ロミデプシンの組成物は、好ましくは、検出可能な、ダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化した物質を含まない。上記ロミデプシンの純度は、代表的には、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、赤外線分光法、粉末x線回折(XRPD)分析、ガスクロマトグラフィー(GC)、比旋光度、またはNMR分光法によって決定される。特定の実施形態において、上記純度は、ロミデプシンのクロロホルム溶液の比旋光度を測定することによって決定される。本発明はまた、約6.0未満、好ましくは、約4.0〜約6.0の間の上記調製物の見かけのpHを維持する、ロミデプシンの緩衝化調製物を提供する。このような調製物は、代表的には、長期化した貯蔵寿命を有する。
【0016】
(定義)
特定の官能基および化学用語の定義は、以下でより詳細に記載される。本発明の目的のために、化学元素は、元素周期表(CASバージョン,Handbook of Chemistry and Physics,第75版,表紙の裏側)に従って同定され、そして特定の官能基は、一般に、本明細書に記載されるように定義される。さらに、有機化学の一般原理、ならびに特定の官能部分および反応性は、Organic Chemistry,Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito,1999(その全体は、本明細書に参考として援用される)に記載される。
【0017】
本発明の特定の化合物は、特定の幾何形態(geometric form)または立体異性形態において存在し得る。本発明は、すべてのこのような化合物(cis−異性体およびtrans−異性体、E−異性体およびZ−異性体、R−鏡像異性体およびS−鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、(−)−異性体および(+)−異性体、それらのラセミ混合物、ならびにそれらの他の混合物を含む)を、本発明の範囲内に入るものとして企図する。さらなる不斉炭素原子は、置換基(例えば、脂肪族(例えば、アルキル)またはヘテロ脂肪族基)中に存在し得る。すべてのこのような異性体、およびこれらの混合物は、本発明の範囲内であるとみなされる。
【0018】
任意の種々の異性体の比を含む異性体混合物は、本発明に従って利用され得る。例えば、2種のみの異性体が合わされる場合、50:50、60:40、70:30、80:20、90:10、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、もしくは100:0の異性体比を含む混合物は、本発明によってすべて企図される。当業者は、類似の比が、より複雑な異性体混合物について企図されることを容易に認識する。
【0019】
上記化合物は、本明細書に記載されるように、任意の数の置換基もしくは官能部分で置換され得ることが認識される。一般に、用語「必要に応じて」が先行していようといまいと、用語「置換された」、および本発明の式に含まれる置換基は、所定の構造中の水素ラジカルが、特定の置換基のラジカルで置換されていることをいう。特定の実施形態において、所定の構造中の1つの水素ラジカルのみが、特定の置換基のラジカルで置換される。他の実施形態において、所定の構造中の1個、2個、または3個の水素ラジカルは、特定の置換基の同じもしくは異なるラジカルで置換される。任意の所定の構造において、1個より多くの位置が、特定の基から選択される1個より多い置換基で置換され得る場合、上記置換基は、あらゆる位置で同じであってもよいし、異なっていてもよい。本明細書で使用される場合、用語「置換された」とは、すべての許容可能な置換基もしくは有機化合物を含むことが企図される。広い局面において、上記許容可能な置換基としては、有機化合物の、非環式および環式、分枝状および非分枝状、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族の置換基が挙げられる。本発明の目的のために、窒素のようなヘテロ原子は、水素置換基および/または上記ヘテロ原子の結合価を満たす、本明細書に記載される有機化合物の任意の許容可能な置換基を有し得る。さらに、本発明は、有機化合物の上記許容可能な置換基によって、いかなる様式でも制限されることを意図しない。本発明によって想定される置換基と変数との組み合わせは、好ましくは、上記処置において有用な、例えば、増殖性疾患(例えば、癌)の処置において有用な安定な化合物の形成を生じるものである。用語「安定な」とは、本明細書で使用される場合、好ましくは、製造を可能にするに十分な安定性を有し、かつ検出されるのに十分な期間にわたって、好ましくは、本明細書に記載される目的に有用であるに十分な期間にわたって、上記化合物の完全性を維持する化合物に言及する。
【0020】
用語「脂肪族」とは、本明細書で使用される場合、飽和および不飽和両方の、直鎖状(すなわち、分枝していない)、分枝状、非環式、環式、もしくは多環式の脂肪族炭化水素を含み、これらは、必要に応じて、1個以上の官能基で置換される。当業者によって認識されるように、「脂肪族」とは、以下を含むがそれらに限定されないことが本明細書で意図される:アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、およびシクロアルキニルの部分。従って、本明細書で使用される場合、用語「アルキル」とは、直鎖状、分枝状、および環式のアルキル基を含む。類似の慣習は、他の包括的な用語(例えば、「アルケニル」、「アルキニル」など)に適用する。さらに、本明細書で使用される場合、用語「アルキル」、「アルケニル」、「アルキニル」などは、置換された基および置換されていない基の両方を包含する。特定の実施形態において、本明細書で使用される場合、「低級アルキル」とは、1〜6個の炭素原子を有するそれらのアルキル基(環状、非環状、置換された、置換されていない、分枝状、または非分枝状)を示すために使用される。
【0021】
特定の実施形態において、本発明において使用されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。特定の他の実施形態において、本明細書中において使用されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含む。なお他の実施形態において、本発明において使用されるアルキル、アルケニル、およびアルキニル基は、1〜4個の炭素原子を含む。従って、例示的な脂肪族基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、−CH−シクロプロピル、ビニル、アルキル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、シクロブチル、−CH−シクロブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、シクロペンチル、−CH−シクロペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、シクロヘキシル、−CH−シクロヘキシル部分などが挙げられるが、これらに限定されない。これらは、繰り返すと、1個以上の置換基を含んでいてもよい。アルケニル基としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルなどが挙げられるが、これらに限定されない。代表的なアルキニル基としては、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明の化合物の上記の脂肪族(および他の)部分の置換基のいくつかの例としては、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;F;Cl;Br;I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R;−CO(R);−CON(R;−OC(O)R;−OCO;−OCON(R;−N(R;−S(O);−NR(CO)Rが挙げられるが、これらに限定されない。ここでRの各出現は、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルが挙げられるが、これらに限定されず、上記および本明細書中の脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキル置換基のうちのいずれかは、置換されていても置換されていなくてもよいし、分枝状であっても分枝状でなくてもよいし、環状であっても非環状であってもよいし、そして上記および本明細書中のアリールまたはヘテロアリール置換基のうちのいずれかは、置換されていてもよいし、置換されていてもよい。一般に適用可能である置換基のさらなる例は、本明細書に記載される実施例に示される具体的実施形態によって例示される。
【0023】
一般に、用語「アリール」および「ヘテロアリール」とは、本明細書で使用される場合、好ましくは、3〜14個の炭素原子を有する、安定な単環式または多環式の、複素環式の、多環式の、および複素多環式(polyheterocyclic)の不飽和部分であって、それらの各々は、置換されていても置換されていなくてもよいものをいう。置換基としては、上記で言及した置換基(すなわち、脂肪族部分、または本明細書において定義される他の部分に関して記載される置換基)のうちのいずれかが挙げられるが、これらに限定されず、安定な化合物の形成を生じる。本発明の特定の実施形態において、「アリール」とは、1個もしくは2個の芳香族環(フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどが挙げられるが、これらに限定されない)を有する単環式もしくは二環式の炭素環式環系をいう。本発明の特定の実施形態において、用語「ヘテロアリール」とは、本明細書で使用される場合、5〜10個の環原子を有する環式の芳香族ラジカルであって、上記環原子のうちの1つの環原子は、S、O、およびNから選択され;0個、1個、または2個の環原子が、S、O、およびNから独立して選択されるさらなるヘテロ原子であり;その残りの環原子が炭素であり、上記ラジカルは、上記環原子のうちのいずれかを介して上記分子の残りに結合されるもの(例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルなど)をいう。
【0024】
アリールおよびヘテロアリール基が置換されていなくてもよいし、置換されていなくてもよく、ここで置換は、その上の水素原子の1個、2個、3個以上は、以下の部分のうちのいずれか1個以上での独立した置換を含むことが認識される。上記部分としては、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;−F;−Cl;−Br;−I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R;−CO(R);−CON(R;−OC(O)R;−OCO;−OCON(R;−N(R;−S(O);−NR(CO)R,が挙げられるが、これらに限定されない。ここでRの各出現は、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、もしくはヘテロアリールアルキルが挙げられるが、これらに限定されず、上記および本明細書に記載される脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールアルキル、もしくはヘテロアリールアルキル置換基のうちのいずれかは、置換されていても、置換されていなくてもよいし、分枝状であっても分枝していなくてもよいし、環式であっても非環式であってもよいし、上記および本明細書に記載されるアリールもしくはヘテロアリール置換基のうちのいずれかは、置換されていてもよいし、置換されていなくてもよい。一般に適用可能な置換基のさらなる例は、本明細書に記載される実施例に示される具体的な実施形態によって例示される。
【0025】
用語「ヘテロ脂肪族」とは、本明細書で使用される場合、例えば、炭素原子の代わりに、1個以上の酸素、硫黄、窒素、リン、またはケイ素原子を含む脂肪族部分をいう。ヘテロ脂肪族部分は、分枝状であっても、非分枝状であっても、環式であっても、非環式であってもよく、飽和および不飽和の複素環(例えば、モルホリノ、ピロリジニルなど)を包含する。特定の実施形態において、ヘテロ脂肪族部分は、その上の水素原子のうちの1個以上を、1個以上の以下の部分で独立して置換することによって、置換されており、上記1個以上の部分としては、脂肪族;ヘテロ脂肪族;アリール;ヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールアルキル;アルコキシ;アリールオキシ;ヘテロアルコキシ;ヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;ヘテロアルキルチオ;ヘテロアリールチオ;−F;−Cl;−Br;−I;−OH;−NO;−CN;−CF;−CHCF;−CHCl;−CHOH;−CHCHOH;−CHNH;−CHSOCH;−C(O)R;−CO(R);−CON(R;−OC(O)R;−OCO;−OCON(R;−N(R;−S(O);−NR(CO)Rが挙げられるが、これらに限定されず、ここでRの各出現は、独立して、脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキルが挙げられるが、これらに限定されず、上記および本明細書に記載される脂肪族、ヘテロ脂肪族、アリールアルキル、またはヘテロアリールアルキル置換基のうちのいずれかは、置換されていても置換されていなくてもよく、分枝状であっても非分枝状であってもよく、環式であっても非環式であってもよく、そして上記または本明細書に記載されるアリールもしくはヘテロアリール置換基のうちのいずれかは、置換されていても置換されていなくてもよい。一般に適用可能な置換基のさらなる例は、本明細書に記載される実施例に示される具体的実施形態によって例示される。
【0026】
用語「ハロ」および「ハロゲン」とは、本明細書で使用される場合、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子をいう。
【0027】
「独立して選択される」:用語「独立して選択される」とは、R基が同一であり得るかまたは異なり得ることを示すために、本明細書で使用される。
【0028】
本明細書を通じて使用される他の用語の定義は、以下を包含する:
「酸」:用語「酸」は、本明細書で使用される場合、無機酸および有機酸をいう。無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、およびリン酸が挙げられるが、これらに限定されない。有機酸の例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。任意の酸が、上記緩衝剤またはロミデプシンの溶液またはロミデプシンの精製において使用されるもののpHを調節するために使用され得る。特定の実施形態において、酢酸が使用される。特定の実施形態において、塩酸が使用される。特定の実施形態において、クエン酸が使用される。特定の実施形態において、硫酸が使用される。
【0029】
「デプシペプチド」:用語「デプシペプチド」とは、本明細書で使用される場合、エステル結合およびアミド結合の両方を含むポリペプチドをいう。天然に存在するデプシペプチドは、通常は環状である。いくつかのデプシペプチドは、強力な抗菌活性を有することが示された。デプシペプチドの例としては、アクチノマイシン、エニアチン、バリノマイシン、およびロミデプシンが挙げられる。
【0030】
「ペプチド」または「タンパク質」:本発明によれば、「ペプチド」または「タンパク質」とは、ペプチド結合によっていっしょに連結される少なくとも3個のアミノ酸のつながりを含む。用語「タンパク質」および「ペプチド」は、交換可能に使用され得る。ペプチドは、好ましくは、天然のアミノ酸のみを含むが、天然でないアミノ酸(すなわち、天然には存在しないが、ポリペプチド鎖に組み込まれ得る化合物)および/または当該分野で公知のアミノ酸アナログが、代わりに使用され得る。また、ペプチド中のアミノ酸のうちの1個以上は、例えば、化学的実体(例えば、炭水化物基、ホスフェート基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、結合、官能化、もしくは他の改変のためのリンカーなど)の付加によって改変され得る。特定の実施形態において、上記ペプチドの改変は、より安定なペプチド(例えば、インビボでのより長い半減期)をもたらす。これら改変としては、上記ペプチドの環化、D−アミノ酸の組み込みなどが挙げられ得る。上記改変はいずれも、上記ペプチドの望ましい生物学的活性を実質的に妨害するべきでない。特定の実施形態において、ペプチドとは、デプシペプチドをいう。
【0031】
「ロミデプシン」:用語「ロミデプシン」とは、以下の化学構造:
【0032】
【化2】

の天然の生成物をいう。ロミデプシンは、強力なHDACインヒビターであり、そしてまた、名称FK228、FR901228、NSC630176、またはデプシペプチドによって当該分野で公知である。ロミデプシンの同定および調製は、米国特許第4,977,138号(これは、本明細書に参考として援用される)に記載される。その分子式は、C2436である;そしてその分子量は、540.71である。ロミデプシンは、化学名(1S,4S,10S,16E,21R)−7−[(2Z)−エチリデン]−4,21−ジイソプロピル−2−オキサ−12,13−ジチア−5,8,20,23−テトラアザビシクロ[8.7.6]トリコス−16−エン−3,6,9,19,22−ペンタノンである。ロミデプシンは、CAS番号128517−07−7を割り当てられた。結晶形態において、ロミデプシンは、代表的には、白色から淡黄白色の結晶または結晶様粉末である。用語「ロミデプシン」とは、この化合物およびその任意の薬学的に受容可能な塩形態を包含する。特定の実施形態において、上記用語「ロミデプシン」はまた、そのプロドラッグ、エステル、保護された形態、および誘導体を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、ロミデプシンをChromobacterium violaceumの培養物から精製するためのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(本発明の特定の実施形態の詳細な説明)
本発明は、ロミデプシン(癌の処置において有用な公知のヒストンデアセチラーゼ(HDAC)インヒビター)を調製するための改善されたシステムを提供する。不運なことに、ロミデプシンを調製するための公開された方法は、純粋な、モノマー性のロミデプシンを再現可能に精製しない。驚くべきことに、上記精製プロセスの間のpH制御は、純粋なモノマー性のロミデプシンを再現可能に提供することが見いだされた。特に、低下した見かけのpH(例えば、4〜6の範囲に及ぶ見かけのpH)で上記精製の少なくとも特定の部分を行うことは、ダイマー化、オリゴマー化、またはポリマー化した副生成物が夾雑することなく、精製されたモノマー性のロミデプシンのより高い収量を生じる。
【0035】
ロミデプシンは、ジスルフィド結合を有する環状デプシペプチドである。本発明は、ロミデプシンを塩基性条件(例えば、約7より高い見かけのpH)に曝すことによって、このジスルフィド結合の還元が促進されるという発見に基づく。その遊離のチオールを有する還元されたロミデプシンは、ダイマー化、オリゴマー化、またはポリマー化を受けやすいことが見いだされた。このような付加生成物は、代表的には、不溶性でありかつ精製されたロミデプシンから除去することは困難である。特定の実施形態において、このような夾雑する付加生成物は、ロミデプシンの調製物が望ましい仕様(例えば、溶解度、純度、旋光度など)を満たすことを妨げる。薬学的組成物において、これら付加生成物は、活性薬剤であるロミデプシンの純度を低下させる。ロミデプシンは、ヒトにおいて薬剤として使用されているので、純粋で安定なモノマー性のロミデプシンが、Chromobacterium violaceumの発酵から再現可能に得られることは重要である。本発明は、アルカリ性条件が、これらの望ましくないロミデプシン付加生成物の形成を引き起こすという認識から起こり、そしてこの課題に対する新たな解決策を提供する。
【0036】
本発明のシステムはまた、ロミデプシンの誘導体、特に、ジスルフィド結合を含む誘導体を調製することにおいて有用である。特定の実施形態において、ロミデプシンの誘導体は、式(I)のものである:
【0037】
【化3】

ここで
mは、1、2、3もしくは4であり;
nは、0、1、2もしくは3であり;
pおよびqは、独立して、1もしくは2であり;
Xは、O、NH、もしくはNRであり;
、R、およびRは、独立して、水素;置換されていないかもしくは置換されている、分枝状もしくは非分枝状の、環式もしくは非環式の脂肪族;不飽和もしくは飽和の、分枝状もしくは非分枝状の、環式もしくは非環式のヘテロ脂肪族;置換されているかもしくは置換されていないアリール;または置換されていないかもしくは置換されているヘテロアリールであり;
、R、R、RおよびRは、独立して、水素;または置換されているかもしくは置換されていない、分枝状もしくは非分枝状の、環式もしくは非環式の脂肪族;およびその薬学的に受容可能な塩である。特定の実施形態において、mは1である。特定の実施形態において、nは1である。特定の実施形態において、pは1である。特定の実施形態において、qは1である。特定の実施形態において、XはOである。特定の実施形態において、R、R、およびRは、置換されていないかもしくは置換されている、分枝状もしくは非分枝状の、非環式脂肪族である。特定の実施形態において、R、R、R、およびRは、すべて水素である。
【0038】
特定の実施形態において、ロミデプシンの誘導体は、式(II)のものである:
【0039】
【化4】

ここで:
mは、1、2、3もしくは4であり;
nは、0、1、2もしくは3であり;
qは、2もしくは3であり;
Xは、O、NH、もしくはNRであり;
Yは、ORもしくはSRであり;
およびRは、独立して、水素;置換されていないかもしくは置換されている、分枝状もしくは非分枝状の、環式もしくは非環式の脂肪族;置換されていないかもしくは置換されている、分枝状もしくは非分枝状の、環式もしくは非環式のヘテロ脂肪族;置換されていないかもしくは置換されているアリール;または置換されていないかもしくは置換されているヘテロアリールであり;
、R、R、RおよびRは、水素;または置換されているかもしくは置換されていない、分枝状もしくは非分枝状の、環式もしくは非環式の脂肪族;およびその薬学的に受容可能な塩から独立して選択される。特定の実施形態において、mは1である。特定の実施形態において、nは1である。特定の実施形態において、qは2である。特定の実施形態において、XはOである。他の実施形態において、XはNHである。特定の実施形態において、RおよびRは、置換されていないかもしくは置換されている、分枝状もしくは非分枝状の、非環式の脂肪族である。特定の実施形態において、R、R、RおよびRは、すべて水素である。
【0040】
特定の実施形態において、ロミデプシンの誘導体は、(III)のものである:
【0041】
【化5】

ここでAは、チオール基を生じるように生理学的条件下で切断される部分であり、そして例えば、脂肪族部分もしくは芳香族アシル部分(チオエステル結合を形成するために);脂肪族もしくは芳香族チオキシ(aromatic thioxy)(ジスルフィド結合を形成するために)など;およびそのラセミ混合物、鏡像異性体、異性体、互変異性体、塩、エステル、およびプロドラッグを含む。このような脂肪族もしくは芳香族の基は、置換されているかもしくは置換されていない、分枝状もしくは非分枝状の、環式もしくは非環式の脂肪族基;置換されているかもしくは置換されていない芳香族基;置換されているかもしくは置換されていないヘテロ芳香族基;または置換されているかもしくは置換されていない複素環式基を含み得る。Aは、例えば、−COR、−SC(=O)−O−R、もしくは−SRであり得る。Rは、独立して、水素;置換されているかもしくは置換されていないアミノ;置換されているかもしくは置換されていない、分枝状もしくは非分枝状の、環式もしくは非環式の脂肪族;置換されているかもしくは置換されていない芳香族基;置換されているかもしくは置換されていないヘテロ芳香族基;または置換されているかもしくは置換されていない複素環式基である。特定の実施形態において、Rは、水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、ベンジル、もしくはブロモベンジルである。Rは、置換されているかもしくは置換されていない、分枝状もしくは非分枝状の、環式もしくは非環式の脂肪族基;置換されているかもしくは置換されていない芳香族基;置換されているかもしくは置換されていないヘテロ芳香族基;または置換されているかもしくは置換されていない複素環式基である。特定の実施形態において、Rは、メチル、エチル、2−ヒドロキシエチル、イソブチル、脂肪酸、置換されているかもしくは置換されていないベンジル、置換されているかもしくは置換されていないアリール、システイン、ホモシステイン、またはグルタチオンである。
【0042】
特定の実施形態において、ロミデプシンの誘導体は、式(IV)もしくは(IV’)のものである:
【0043】
【化6】

ここでR、R、R、およびRは、同じであるかまたは異なっており、そしてアミノ酸側鎖部分を表し、各Rは、同じであるかまたは異なっており、そして水素もしくはC−Cアルキルを表し、そしてPrおよびPrは、同じであるかもしくは異なっており、そして水素もしくはチオール保護基を表す。特定の実施形態において、上記アミノ酸側鎖部分は、天然のアミノ酸から由来するものである。他の実施形態において、上記アミノ酸側鎖部分は、非天然のアミノ酸に由来するものである。特定の実施形態において、各アミノ酸側鎖は、−H、−C−Cアルキル、−C−Cアルケニル、−L−O−C(O)−R’、−L−C(O)−O−R”、−L−A、−L−NR”R”、−L−Het−C(O)−Het−R”、および−L−Het−R”から選択される部分であり、ここでLは、C−Cアルキレン基であり、Aは、フェニルまたは5員もしくは6員のヘテロアリール基であり、各R’は、同じであるかもしくは異なっており、そしてC−Cアルキルを表し、各R”は、同じであるかもしくは異なっており、そしてHもしくはC−Cアルキルを表し、各−Het−は、同じであるかもしくは異なっており、そして−O−、−N(R’’’)−、および−S−から選択されるヘテロ原子スペーサーであり、各R’’’は、同じであるかもしくは異なっており、そしてHもしくはC−Cアルキルを表す。特定の実施形態において、Rは−Hである。特定の実施形態において、PrおよびPrは、同じであるかもしくは異なっており、そして水素、ならびに必要に応じてC−Cアルコキシによって置換されるベンジル基、C−Cアシルオキシ、ヒドロキシ、ニトロ、ピコリル、ピコリル−N−オキシド、アントリルメチル、ジフェニルメチル、フェニル、t−ブチル、アダマンチル、C−Cアシルオキシメチル、C−Cアルコキシメチル、テトラヒドロピラニル、ベンジルチオメチル、フェニルチオメチル、チアゾリジン、アセトアミドメチル、ベンズアミドメチル、三級ブトキシカルボニル(BOC)、アセチルおよびその誘導体、ベンゾイルおよびその誘導体、カルバモイル、フェニルカルバモイル、およびC−Cアルキルカルバモイルから選択される保護基から選択される。特定の実施形態において、PrおよびPrは水素である。式(IV)および(IV’)の種々のロミデプシン誘導体は、公開されたPCT出願 WO 2006/129105(2006年12月7日に公開;これは、本明細書に参考として援用される)において開示される。
【0044】
本発明はまた、ジスルフィド連結を含む他の天然の生成物の調製において有用である。本発明は、環式もしくは非環式のペプチドの調製において使用され得る。特定の実施形態において、ジスルフィド結合を含む環式ペプチドは、本発明のシステムを使用して精製される。特定の実施形態において、ロミデプシン以外の他のデプシペプチドは、低下した見かけのpHを使用して、分子内ジスルフィド結合の還元を制限もしくは排除するという、本発明に基づいて精製される。
【0045】
本発明によれば、ロミデプシンもしくはロミデプシンの誘導体の望ましくない付加生成物の形成は、ロミデプシンを、約7.0より大きい見かけのpH、より好ましくは、約6.5より大きい見かけのpH、もしくは最も好ましくは、約6.0より大きい見かけのpHの条件下で調製もしくは精製しないことによって、妨げられ得る。上記調製および精製は、代表的には、約4.0の見かけのpH〜約6.0の見かけのpHの間で維持される。特定の実施形態において、さらに低い見かけのpHが使用され得る。この認識は、ロミデプシンを調製するための任意の生成法もしくは精製法に適用され得る。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、発酵物から精製される。他の実施形態において、ロミデプシンは、半合成もしくは全合成によって調製される。この発見はまた、ロミデプシンのアナログもしくは誘導体(例えば、塩、エステル、プロドラッグ、異性体、鏡像異性体、互変異性体、保護形態、誘導体化生成物など)の調製および/または生成に適用され得る。ロミデプシンの特定の誘導体は、本明細書に記載される。
【0046】
ロミデプシンを調製するためのプロセスは、当該分野で公知である。例えば、Uedaら,J.Antibiot.(Tokyo)47:301−310,1994;Nakajimaら,Exp.Cell Res.241:126−133,1998;WO 02/20817;米国特許第4,977,138号を参照のこと;これらの各々は、本明細書に参考として援用される。ロミデプシンは、天然の生成物であるので、代表的には、これを生成する微生物の発酵物から単離することによって調製される。特定の実施形態において、上記微生物は、Chromobacterium属に属する。ロミデプシンを生成することが公知である例示的微生物は、Chromobacterium violaceumである。任意の天然もしくは人工の改変体のChromobacterium violaceumは、本発明のシステムを使用して、ロミデプシンを単離するために使用され得る。特定の実施形態において、Chromobacterium violaceumの株は、Chromobacterium violaceum WB968である。特定の実施形態において、Chromobacterium violaceumの株は、Chromobacterium violaceum WB968の変異株である。特定の実施形態において、上記微生物は、ロミデプシンを生成するように遺伝的に動作されている。例えば、ロミデプシンを生成する細胞機構を担う遺伝子は、別の微生物(例えば、細菌もしくは真菌)に配置され得る。
【0047】
上記生物は、ロミデプシンの生成に適した条件下で増殖される。好ましくは、上記培養条件は、最小レベルの夾雑付加生成物もしくは分解物で、高レベルのロミデプシンを生成するように最適化される。上記培養培地は、好ましくは、窒素源および炭素源、ならびに任意の必須ビタミンおよびミネラルを含む。上記培養は、代表的には、好気条件下で増殖される。上記培養の大きさは、10mL〜10,000Lまたはそれ以上の範囲に及び得る。特定の実施形態において、上記培養容積は、500Lより大きい。他の実施形態において、上記容積は、1000Lより大きい。なお他の実施形態において、上記容積は、2000Lより大きい。他の実施形態において、上記容積は、3000Lより大きい。他の実施形態において、上記容積は、5000Lより大きい。他の実施形態において、上記容積は、6000Lより大きい。他の実施形態において、上記容積は、7000Lより大きい。他の実施形態において、上記容積は、8000Lより大きい。他の実施形態において、上記容積は、9000Lより大きい。特定の実施形態において、上記培養容積は、約5000L〜約10000Lの範囲に及ぶ。微生物を発酵するにおいて有用な振盪フラスコ、ファーメンター、バイオリアクター、または任意の他の装置が使用され得る。適切な場合、種培養物(seed culture)および少量のファーメンター培養物は、徐々に増える培養物を播種するために使用される。
【0048】
特定の実施形態において、消泡剤(例えば、ポリアルキレングリコール消泡剤(Adekanol LG−109))が、より大きな培養において使用される。他の市販の消泡剤もまた、使用され得る。消泡剤は、ファーメンターが、ロミデプシンの生成のために使用される場合、特に有用である。
【0049】
培養培地中の炭素源は、任意の炭水化物であり得る。特定の実施形態において、上記炭素源は、モノサッカリドもしくはジサッカリド(例えば、グルコース)である。特定の具体的な実施形態において、上記炭素源は、グルコースもしくはマルトデキストリンである。他の炭素源(例えば、デンプン、マルトース、フルクトース、もしくはグリセリン)は、特定の実施形態において使用され得る。特定の実施形態において、上記窒素源は、アンモニウム塩(例えば、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム)などである。他の実施形態において、上記窒素源は、植物性ペプトン(plant peptone)(例えば、ポリペプトンNS、コーンスティープリカー、Hinute R)である。使用され得る他の窒素源としては、ブイヨン、酵母抽出物、ダイズペプトン、グルテンミール、綿実粉末(cotton seed flour)、ダイズミール、乾燥酵母、および小麦胚芽が挙げられる。特定の実施形態において、上記窒素源は、尿素もしくはアミノ酸である。特定の実施形態において、上記窒素源は、窒素を含む有機低分子である。特定の実施形態において、上記培地には、アミノ酸が補充される。例えば、上記培地には、L−アルギニン、L−ヒスチジン、もしくはL−システインが補充され得る。特定の実施形態において、上記培地には、L−システインが補充される。WO 02/20817を参照のこと;本明細書に参考として援用される。特定の実施形態において、上記培地には、L−システインおよびL−バリンが補充される。このような補充は、上記発酵において生成されるロミデプシンの量を増加させるか、そして/あるいは関連する物質および/もしくは分解物の量を減少させると考えられる。上記培養培地は、ミネラル(例えば、マグネシウム(例えば、硫酸マグネシウム)、およびホスフェート(例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム))を含み得る。特定の実施形態において、上記培養培地は、グルコース、植物性ペプトン(ポリペプトンNS)もしくはコーンスティープリカー(CSL)、硫酸マグネシウム、および水を含む。特定の実施形態において、上記培養培地は、グルコース、ポリペプトン(ポリペプトンNS)、硫酸マグネシウム、消泡剤、および水を含む。特定の実施形態において、上記培養培地は、グルコース(0.45〜1.0%)、植物性ペプトン(ポリペプトンNS)もしくはCSL(0.9〜4.0%)、硫酸マグネシウム(0.0054〜0.010%)、消泡剤(0.09%〜0.11%)、および水(残量(balance))を含む。特定の実施形態において、上記培養培地は、グルコース、酸化型デンプン(例えば、Pinedex #100)もしくはマルトデキストリンダイズペプトン(例えば、Hinute−R)、硫酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、消泡剤(例えば、Adekanol LG−109)、L−システイン、L−バリン、および水を含む。特定の実施形態において、上記培養培地は、グルコース(2〜10%)、酸化型デンプン(例えば、Pinedex #100)もしくはマルトデキストリン(1〜15%)、ダイズペプトン(例えば、Hinute−R)(1〜6%)、硫酸アンモニウム(0〜0.5%)、硫酸マグネシウム(0〜2%)、リン酸二水素カリウム(0.275〜1.65%)、リン酸水素二ナトリウム(0.18〜1.08%)、消泡剤(例えば、Adekanol LG−109)(0.2〜0.66%)、L−システイン(0〜30mM)、L−バリン(0〜15mM)、および水を含む。
【0050】
上記培養物は、代表的には、上記微生物の増殖に適した条件下(例えば、温度、pH、酸素濃度など)で増殖される。特定の実施形態において、上記培養物のpHは、モニターされ、および/もしくは調節される。上記培養物のpHは、pH5.0〜7.5の範囲に及び得る。ロミデプシン生成のための任意の生物は、上記培養物が増殖される条件下に依存して、増殖のための好ましい温度を有する。特定の実施形態において、上記培養物は、15℃〜37℃、好ましくは、23℃〜32℃の範囲に及ぶ温度で増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、18℃〜27℃の間の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約18℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約19℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約20℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約21℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約22℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約23℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約24℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約25℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約26℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約27℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約28℃において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約29℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約30℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約31℃の温度において増殖される。特定の実施形態において、上記培養物は、約32℃の温度において増殖される。
【0051】
上記培養物における酸素濃度は、10〜50%の範囲に及ぶレベルで維持される。特定の実施形態において、上記酸素濃度は、20%より高く維持される。上記酸素レベルは、曝気、圧力、および/もしくは攪拌によって維持される。
【0052】
得られた培養物は、代表的には、約10〜100時間にわたって増殖される。上記培養物は、20時間後、30時間後、40時間後、50時間後、60時間後、70時間後、または80時間後に回収され得る。特定の実施形態において、上記培養物は、約30時間後、35時間後、40時間後、45時間後、もしくは50時間後に回収される。特定の実施形態において、上記培養物は、約36時間で回収される。特定の実施形態において、上記培養物は、約50時間で回収される。代表的には、上記培養物は、飽和まで増殖される。ロミデプシンは、二次代謝産物であるので、最大収量は、より後期の培養物から得られる。いくつかの実施形態において、上記培養物は、対数期で回収される。当業者によって認識されるように、上記培養物は、代表的には、顕著な量の分解物が形成される前に回収される。上記回収時間は、ロミデプシンの生成のために発酵のサンプルをアッセイすることによって、経験的に決定され得る。特定の実施形態において、上記培養物は、ロミデプシンの力価が、0.5〜1.5g/kgの間に達するときに、回収される。特定の実施形態において、上記培養物は、上記力価が少なくとも0.6g/kg、0.7g/kg、0.8g/kg、0.9g/kg、1.0g/kg、もしくは1.1g/kgに達したときに回収される。特定の実施形態において、上記培養物は、上記力価が少なくとも0.8g/kgに達したときに回収される。上記サンプルはまた、関連した物質もしくは分解物についてアッセイされ得、そして上記培養物は、ロミデプシンの望ましいレベル、関連する物質もしくは分解物の望ましいレベル、または上記2つのある比率が達成されたときに回収され得る。回収の時間はまた、培地中の成分(例えば、グルコース)の消費に基づいて決定される。他の実施形態において、上記回収の時間は、代謝産物の生成に基づく。上記回収の時間は、上記基準の組み合わせに基づいて決定され得る。
【0053】
上記培養物を十分な時間にわたって増殖させた後、上記培養物は、回収される。上記望ましいロミデプシンは、上記培養培地中、および上記培養物の細胞中に見いだされ得る。上記細胞は、必要に応じて、死滅させられ、そして/または精製前に溶解される。特定の実施形態において、上記細胞は、酸(例えば、硫酸)の添加によって死滅させられる。特定の実施形態において、上記pHは、約pH2.0〜3.0に下げられる。
【0054】
次いで、得られた物質は、必要に応じて、容積が減少させられる。上記ロミデプシンは、ペプチド、天然生成物、および/もしくは有機分子を精製するための当該分野で公知の任意の精製技術によって、精製される。例示的な精製技術としては、バッチクロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、および結晶化が挙げられる。上記精製プロセスは、望ましい程度の純度を達成するために、1つ以上の工程を包含し得る。特定の実施形態において、上記抽出される物質は、非イオン性吸着樹脂を使用して精製される。特定の実施形態において、逆相樹脂が、上記精製工程において使用される。特定の具体的な実施形態において、逆相樹脂を使用する複数のカラムクロマトグラフィー工程が、使用される。上記精製プロセスにおいて有用な例示的な樹脂としては、アルミナ、シリカゲル、Sepabeads SP850、Diaion HP20SS、およびDiaion HP20が挙げられる。特定の実施形態において、上記Diaion HP20SSおよび/もしくはDiaion HP20は、Mitsubishi Chemical Corporationから入手される。特定の実施形態において、アルミナは、上記カラム材料として使用される。特定の実施形態において、シリカゲルは、上記樹脂として使用される。特定の実施形態において、上記カラムクロマトグラフィー工程のうちの1つ以上が、6.0未満の見かけのpHにおいて行われる。特定の実施形態において、これら工程のうちの1つ以上は、4.0〜6.0の間の見かけのpHにおいて行われる。特定の実施形態において、上記カラムクロマトグラフィー工程のうちのすべてが、6.0未満の見かけのpHにおいて行われる。特定の実施形態において、上記カラムクロマトグラフィー工程のうちのすべてが、4.0〜6.0の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて行われる。
【0055】
特定の実施形態において、ロミデプシンの精製は、上記抽出した物質を、1つより多いカラムクロマトグラフィー工程もしくはバッチクロマトグラフィー工程を使用して、精製することを包含する。特定の実施形態において、バッチクロマトグラフィー工程の後に、カラムクロマトグラフィー工程が行われる。特定の実施形態において、上記抽出された物質は、Sepabeads SP850を用いたバッチクロマトグラフィー、続いて、Diaion HP20SSを充填したカラム、続いて、Diaion HP20を充填したカラム、続いて最後に、アルミナを充填したカラムによって精製される。これらクロマトグラフィー工程のうちのすべては、好ましくは、4.0〜6.0の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて行われる。他の実施形態において、上記抽出された物質は、Diaion HP20を充填したカラム、続いて、Diaion HP20SSを充填したカラム、続いて最後にDiaion HP20を充填したもう一つのカラムを使用して精製される。この代替の精製プロセスにおいて、上記カラムクロマトグラフィー工程のうちのすべては、好ましくは、4.0〜6.0の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて行われる。上記カラムの各々は、必要に応じて、水もしくは他の水溶液で洗浄され、続いて、有機溶媒(例えば、アセトン)の水溶液を用いたロミデプシンの溶出が行われる。特定の実施形態において、上記抽出された物質は、シリカゲルを使用して精製される。シリカゲルクロマトグラフィーはまた、他の樹脂もしくは充填物質を使用したクロマトグラフィーとともに、さらなる精製工程として使用され得る。特定の実施形態において、上記抽出された物質は、アルミナを使用して精製される。アルミナクロマトグラフィーはまた、他の樹脂もしくは充填物質を使用したクロマトグラフィーとともに、さらなる精製工程として使用され得る。
【0056】
特定の実施形態において、上記粗製ロミデプシンを含む物質は、6.0未満の見かけのpH、好ましくは、4.0〜6.0の範囲に及ぶ見かけのpHで予備平衡化されたマトリクス上に載せられる。次いで、上記マトリクスは、不純物を除去するために洗浄される。代表的には、上記マトリクスの洗浄は、ロミデプシンの溶出液より極性の高い溶液(すなわち、水のパーセンテージがより高い)において行われる。例えば、上記マトリクスは、25〜50%までのアセトン水溶液で洗浄され得、続いて、50〜100% アセトン水溶液でロミデプシンの溶出が行われる。当業者によって認識されるように、上記洗浄溶媒および溶出溶媒は、使用されるマトリクスおよび上記化合物の極性によって決定される。
【0057】
特定の実施形態において、上記クロマトグラフィー工程(載せる工程、洗浄する工程、および樹脂の溶出工程を包含する)のうちの1つ以上は、6.0未満の見かけのpHで行われる。特定の具体的な実施形態において、上記クロマトグラフィー工程は、3.0〜6.0の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて行われる。特定の他の実施形態において、上記クロマトグラフィー工程は、4.0〜6.0の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて行われる。上記マトリクスに載せられた溶液の見かけのpHは、酸を添加することによって、望ましい見かけのpHに調節され得る。本明細書に記載される酸のいずれかが、上記溶液の見かけのpHを低下させるために使用され得る。上記洗浄溶液および溶出溶液の見かけのpHは、同様に、望ましい見かけのpHに調節され得る。特定の実施形態において、ロミデプシンを含むすべての溶液の見かけのpHは、約6.0未満の見かけのpHに維持され、それによって、望ましくない付加生成物の形成が妨げられる。特定の実施形態において、上記溶液の見かけのpHは、約4.0〜約6.0の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて緩衝化される。特定の実施形態において、上記アセトン/水 溶液の見かけのpHは、酢酸、塩酸、酢酸アンモニウム緩衝液、もしくはクエン酸を使用して、望ましい見かけのpHに調節される。特定の実施形態において、酢酸緩衝化系が、使用される。
【0058】
ロミデプシンは、代替的にもしくはさらに、結晶化によって精製される。結晶化による精製は、カラムクロマトグラフィーおよび/もしくはバッチクロマトグラフィーを含む他の精製法とともに、使用され得る。特定の実施形態において、結晶化は、カラムクロマトグラフィーおよび/もしくはバッチクロマトグラフィーによって精製した後に使用される。特定の具体的な実施形態において、上記結晶化は、上記のカラムクロマトグラフィーおよび/もしくはバッチクロマトグラフィーによって精製した後に行われる。上記結晶化は、任意の適切な溶媒中で行われ得る。ロミデプシンは、好ましくは、上記溶媒中に最小限に可溶性である。特定の実施形態において、上記結晶化溶媒は、アルコールである。特定の実施形態において、上記結晶化溶媒は、メタノールである。特定の実施形態において、上記結晶化溶媒は、エタノールである。特定の実施形態において、混合溶媒系が使用される。上記結晶化溶媒は、アルコール/水混合物であり得る。他の実施形態において、上記結晶化溶媒は、アセトンと水との混合物である。特定の具体的な実施形態において、ロミデプシンは、アセトン水溶液(例えば、85% アセトン)中に溶解され、水をゆっくりと添加することによって沈澱させられる。特定の実施形態において、ロミデプシンは、溶媒(例えば、メタノール)中に溶解され、そして得られた溶液は、濃縮されて、上記ロミデプシンが結晶化させられる。他の実施形態において、上記ロミデプシンは、水/有機溶媒混合物(例えば、85% アセトン水溶液)中に溶解され、そして上記ロミデプシンは、水を添加することによって沈澱させられる。結晶化工程から得られた結晶は、代表的には、濾過によって回収され、および必要に応じて、洗浄および乾燥される。特定の実施形態において、上記結晶化溶媒の見かけのpHは、6.0未満である。特定の具体的な実施形態において、上記溶媒の見かけのpHは、4.0〜6.0の間である。得られた結晶の任意の洗浄がまた、低下した見かけのpH(例えば、4.0〜6.0の間の見かけのpH)において行われる。
【0059】
代替的にまたはさらに、上記結晶化プロセスの間の上記ロミデプシンの貯蔵時間もしくは保持時間は、約20時間未満である。特定の実施形態において、上記貯蔵時間もしくは保持時間は、10時間未満である。他の実施形態において、上記貯蔵時間もしくは保持時間は、5時間未満である。特定の具体的な実施形態において、上記結晶化プロセスは、上記結晶化溶液を形成する際にすぐに行われる。
【0060】
本発明は、望ましくない付加生成物を含まないかもしくは実質的に含まない、精製ロミデプシンを提供する。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、少なくとも98%夾雑する付加生成物を含まないか、少なくとも99%夾雑する付加生成物を含まないか、または少なくとも99.5%付加生成物を含まない。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、少なくとも98%モノマー性、少なくとも99%モノマー性、または少なくとも99.5%モノマー性である。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、少なくとも99.9%モノマー性である。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、少なくとも99.95%モノマー性である。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、検出可能なダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化したロミデプシンを含まない。
【0061】
特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、少なくとも98%の純度、少なくとも99%の純度、または少なくとも99.5%の純度である。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、少なくとも99.7%の純度である。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、少なくとも99.8%の純度である。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、少なくとも99.9%の純度である。特定の実施形態において、上記ロミデプシンは、少なくとも99.95%の純度である。特定の具体的な実施形態において、上記ロミデプシンは、0.2%未満の「他の未知物質」といわれる不純物を含む。特定の具体的な実施形態において、上記ロミデプシンは、0.1%未満の「他の未知物質」を含む。このように高度に精製されたロミデプシンは、薬学的組成物の調製において有用である。このような組成物は、癌もしくは他の増殖性疾患の処置において特に有用である。上記組成物はまた、ヒストンデアセチラーゼ活性を阻害することによって処置され得る他の疾患において使用され得る。上記組成物はまた、チューブリンデアセチラーゼ活性を阻害することによって処置され得る他の疾患において使用され得る。上記組成物はまた、デアセチラーゼ活性を阻害することによって処置され得る他の疾患において使用され得る。本発明の精製ロミデプシンはまた、研究目的のために有用である。
【0062】
上記ロミデプシンの純度は、当該分野で公知の任意の方法を使用して、評価され得る。純度の評価法としては、外観、HPLC、比旋光度、NMR分光法、IR分光法、UV/可視光分光法、粉末x線回折(XRPD)分析、元素分析、LC−質量分析、および質量分析が挙げられる。特定の実施形態において、上記純度は、HPLCによって評価され、このHPLCは、約0.05%の不純物検出限界を有する。特定の実施形態において、上記純度は、NMR分光法によって評価される。特定の実施形態において、上記純度は、IR分光法によって評価される。特定の実施形態において、上記純度は、UV/可視光分光法によって評価される。特定の実施形態において、上記純度は、XRPDによって評価される。
【0063】
特定の実施形態において、上記純度は、適切な溶媒中での比旋光度によって評価される。特定の実施形態において、上記比旋光度に使用される溶媒は、クロロホルム(CHCL)である。他の実施形態において、上記使用される溶媒は、アルコール(例えば、メタノールもしくはエタノール)である。さらに他の実施形態において、上記使用される溶媒は、水もしくは水/アルコール溶液である。特定の実施形態において、上記比旋光度は、米国局方(U.S.Pharmacopeia)、欧州局方(European Pharmacopeia)、日本局方(JP Pharmacopeia)または英国局方(British Pharmacopeia)に記載されるもののような分析法(compendial method)を使用して、チェックされる。特定の実施形態において、上記比旋光度は、ロミデプシンのクロロホルム溶液を用いて行われる。上記溶液の濃度は、5mg/mL〜30mg/mLの範囲に及び得る。特定の実施形態において、上記濃度は、約20mg/mLである。上記ロミデプシンの旋光度は、+38°〜+47°に及ぶ。特定の実施形態において、上記比旋光度は、+39°〜+41°の範囲に及ぶ。特定の実施形態において、上記比旋光度は、+40.0°〜+40.5°の範囲に及ぶ。特定の具体的な実施形態において、上記比旋光度は、約+40°である。夾雑する付加生成物の存在は、ロミデプシンをクロロホルム中に溶解した場合に沈澱を生じることが、発見された。
【0064】
溶液中に存在する場合、上記ロミデプシンは、好ましくは、約6.0未満の見かけのpHで貯蔵される。特定の実施形態において、上記見かけのpHは、約4.0〜約6.0の範囲に及ぶ。特定の実施形態において、ロミデプシンの処方物もしくは調製物は、7.0より高い、より好ましくは、6.0より高い見かけのpHを防ぐために、緩衝化される。特定の実施形態において、上記処方物もしくは調製物は、約4.0〜約6.0の範囲に及ぶ見かけのpHに緩衝化される。
【0065】
本発明のこれらおよび他の局面は、以下の実施例を考慮すれば、さらに認識され、以下の実施例は、本発明の特定の具体的実施形態を例示するが、特許請求の範囲に規定されるような、本発明の範囲を限定することを意図しない。
【実施例】
【0066】
(実施例1:ロミデプシンの精製)
(吸着樹脂によるロミデプシンの精製)
約400gのロミデプシンを含むChromobacterium violaceumの培養ブロス(約600L;HSOでpH2.5に調節される)を抽出し、その抽出ブロスを、Sepabeads SP850(非イオン性吸着樹脂)を充填したカラムに適用する。ロミデプシン(せいぜい6g−ロミデプシン/L−樹脂)を、せいぜいsv=6の流速で、上記樹脂に結合させる。水道水(約3倍樹脂容積)および25% アセトン水溶液(約5倍樹脂容積)で洗浄した後、約65% アセトン水溶液およびせいぜいsv=4の流速で溶出を行う。
【0067】
(HP20SSクロマトグラフィーによるロミデプシンの精製)
上記溶出液を水で希釈して、水溶液を生成する(約75% 水分含有量)。この溶液を、Diaion HP20SSカラムに適用する。この非イオン性吸着樹脂は、せいぜいsv=5の流速でロミデプシンを吸着する(約10g−ロミデプシン/L−樹脂)。25% アセトン水溶液(約0.5倍樹脂容積)および40% アセトン水溶液(約4倍樹脂容積)で洗浄した後、47% アセトン水溶液で溶出を行う。上記溶出液を、逆相HPLC(RP−HPLC)によって分析する。その活性画分を、中間保持タンクの中で合わせる。
【0068】
(非水性溶媒中の水性溶媒を吸着カラムによる置換)
上記HP20SSカラムから得られる溶出液を水で希釈して、水溶液(約80% 水分含有量)を生成する。この溶液をDiaion HP20カラムに適用する。20% アセトン水溶液で洗浄した後、アセトンで溶出を行う。この溶出液を真空中で濃縮する。上記濃縮物に酢酸エチルを添加した後、上記濃縮物を、真空中でさらに濃縮する。この工程を反復して行う。
【0069】
(アルミナによるロミデプシンの精製)
得られた濃縮物を酢酸エチル中に溶解し(約6mg/mL)、アルミナ樹脂カラムに適用する(約75g−ロミデプシン/L−樹脂)。上記カラムを酢酸エチル(約2倍アルミナ容積)、およびアセトンと酢酸エチルとの混合物(0.5〜2.0 v/v、約8倍アルミナ容積)で展開する。上記濃縮物にアセチルを添加した後、得られた溶液をさらに濃縮する。
【0070】
(結晶化1(メタノール))
上記工程から得られる濃縮物をメタノールで希釈し、真空中で濃縮して、粗製ロミデプシン結晶を生じる。沈澱した結晶を、濾過により集める。
【0071】
結晶化2(アセトン/水)
上記粗製ロミデプシン結晶を、85% アセトン水溶液中に溶解し(約13L/kg−粗製ロミデプシン結晶)、そして攪拌しながら精製水をゆっくりと添加することによって沈澱させる(約65L/kg−粗製ロミデプシン結晶)。上記沈澱した結晶を濾過により集め、15% アセトン水溶液で洗浄する(約5L/kg−粗製ロミデプシン)。上記湿っている結晶を、−70℃未満において真空下で乾燥させる。
【0072】
(等価物および範囲)
前述は、本発明の特定の非限定的な好ましい実施形態を記載してきた。当業者は、単なる慣用的実験を用いて、本明細書に記載される、本発明の具体的実施形態に対する多くの等価物を認識するかまたは確認することができる。当業者は、この記載に対する種々の変更および改変を認識し、これらの変更および改変は、以下の特許請求の範囲において規定される本発明の趣旨からも範囲からも逸脱することなく行われ得る。
【0073】
特許請求の範囲において、冠詞、例えば、「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、および「該、前記、上記(the)」は、相反するものまたは文脈から明らかに別のものを示さない限り、1つ以上を意味し得る。ある群のうちの1つ以上のメンバー間で「もしくは、または、あるいは(or)」を含む請求項もしくは説明は、上記群のメンバーのうちの1つ、1つより多く、またはすべてが、相反するものまたは文脈から明らかに別のものを示さない限り、所定の生成物もしくはプロセスに存在するか、使用され得るか、またはさもなければ関連する場合に満たされるとみなされる。本発明は、上記群のうちの正確に1つのメンバーが、所定の生成物もしくはプロセスに存在するか、使用されるか、またはさもなければ関連する実施形態を包含する。本発明はまた、上記群のメンバーのうちの1つより多く、またはすべてが、所定の生成物もしくはプロセスに存在するか、使用されるか、またはさもなければ関連する実施形態を包含する。さらに、本発明が、すべてのバリエーション、組み合わせ、および変更を包含し、これらバリエーション、組み合わせおよび変更において、請求項のうちの1つ以上または上記説明の関連部分からの1つ以上の限定、要素、文節、記述用語などは、別の請求項に導入されることが理解されるべきである。例えば、ある請求項に従属する任意の請求項は、同じ独立請求項(base claim)に従属する任意の他の請求項において見いだされる1つ以上の限定を含むように改変され得る。さらに、上記請求項が組成物を記載している場合、本明細書に開示される目的のうちのいずれかのために上記組成物を使用するための方法が含まれ、そして本明細書に開示される作製方法または当該分野で公知の他の方法のうちのいずれかに従って上記組成物を作製するための方法は、別段記載されなければ、または矛盾(contradiction or inconsistency)が生じることが当業者に明らかでなければ、含められる、ということが理解されるべきである。さらに、本発明は、本明細書に開示される組成物を調製するための方法のうちのいずれかに従って作製される組成物を包含する。
【0074】
要素がリストとして、例えば、マーカッシュグループ形式で提示される場合、上記要素の各サブグループもまた開示され、そして任意の要素が上記群から除かれ得ることが理解されるべきである。用語「含む、包含する」は、開放系であることが意図され、さらなる要素または工程の包含を許容することにも、注意する。一般に、本発明、または本発明の局面が、特定の要素、特徴、工程などを含むとして言及されている場合、本発明の特定の実施形態または本発明の局面が、そのような要素、特徴、工程などからなるか、またはそれらから本質的になることが理解されるべきである。簡略化を目的として、それらの実施形態は、本明細書において文字通り具体的に記載されているわけではない。従って、1つ以上の要素、特徴、工程などを含む本発明の各実施形態について、本発明はまた、それらの要素、特徴、工程などからなるかまたはそれらから本質的になる実施形態を提供する。
【0075】
範囲が与えられている場合、終点は含められる。さらに、別段示されない限り、または文脈および/または当業者の理解から明らかである別のものが示されない限り、範囲として表される値は、本発明の異なる実施形態において、文脈が明らかに別のものを規定しない限り、示された範囲の下限の単位の10分の1まで上記範囲内の任意の具体的値を想定し得ることが理解されるべきである。別段示されない限りまたは文脈および/または当業者の理解から明らかな別のものを示さない限り、範囲として表される値は、上記所定の範囲内の任意の部分範囲を想定し得、ここで上記部分範囲の終点は、上記範囲の下限の単位の10分の1と同じ程度の正確性まで表されることもまた理解されるべきである。
【0076】
さらに、本発明の任意の特定の実施形態は、請求項のうちのいずれか1つ以上から明示的に除かれ得ることが理解されるべきである。本発明の組成物および方法の任意の実施形態、要素、特徴、適用、または局面は、いずれか1つ以上の請求項から除かれ得る。簡潔さを目的として、1つ以上の要素、特徴、目的、または局面が除かれる実施形態はすべて、本明細書に明示的に示されていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロミデプシンを調製するための方法であって、該方法は、ロミデプシンを発酵ブロスから精製する工程を包含し、ここで該精製する工程の少なくとも一部は、6.0未満の見かけのpHにおいて行われる、方法。
【請求項2】
前記見かけのpHは、約4.0〜約6.0の範囲に及ぶ、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記見かけのpHは、有機酸を使用して、6.0未満に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記有機酸は酢酸である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記精製する工程は、バッチクロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、再結晶化、またはこれらの組み合わせによって抽出し精製する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ロミデプシンを調製するための方法であって、該方法は、
ロミデプシンを生成する微生物を発酵する工程;および
ロミデプシンを該発酵ブロスから精製する工程、
を包含し、ここで該精製する工程は、6.0未満の見かけのpHにおいて行われる、方法。
【請求項7】
前記精製する工程は、前記ロミデプシンをカラムクロマトグラフィーによって精製する工程を包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ロミデプシンをカラムクロマトグラフィーによって精製する工程は、6.0未満の見かけのpHにおいて行われる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記精製する工程は、ロミデプシンを再結晶化により精製する工程を包含する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記ロミデプシンを再結晶化により精製する工程は、6.0未満の見かけのpHにおいて行われる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記見かけのpHは、有機酸を使用して、6.0未満で維持される、請求項6、8または10に記載の方法。
【請求項12】
前記有機酸は酢酸である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ロミデプシン(FK228)を調製するための方法であって、該方法は、
ロミデプシンを生成する生物を発酵する工程;
ロミデプシンを発酵ブロスから、カラムクロマトグラフィーによって精製する工程;および
該ロミデプシンを再結晶化する工程、
を包含し、ここで該精製する工程または再結晶化する工程は、6.0未満の見かけのpHにおいて行われる、方法。
【請求項14】
前記発酵する工程は、Chromobacterium violaceumを発酵する工程を包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記精製する工程は、非イオン性吸着樹脂を使用して、ロミデプシンを精製する工程を包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記精製する工程は、6.0未満の見かけのpHにおいて行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記精製する工程は、約4.0〜約6.0の範囲に及ぶ見かけのpHにおいて行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記精製する工程は、ロミデプシンを、Sepabeads SP850樹脂を使用して精製する工程を包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記精製する工程は、ロミデプシンを、Diaion HP20SS樹脂を使用して精製する工程を包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記精製する工程は、ロミデプシンを、Diaion HP20樹脂を使用して精製する工程を包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記精製する工程は、ロミデプシンを、アルミナを使用して精製する工程を包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記精製する工程は、Sepabeads SP850樹脂のカラムもしくはバッチ、続いて、Diaion HP20SS樹脂のカラム、続いて、Diaion HP20樹脂のカラム、さらに続いて、アルミナのカラムを使用して、カラムクロマトグラフィーによって、ロミデプシンを精製する工程を包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記再結晶化する工程は、メタノールを使用して、ロミデプシンを再結晶化する工程を包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記再結晶化する工程は、85%アセトン水溶液を使用して、ロミデプシンを再結晶化する工程を包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記見かけのpHは、有機酸を使用して、6.0未満に維持される、請求項13、16、または17に記載の方法。
【請求項26】
前記有機酸は酢酸である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
ロミデプシンの組成物であって、
ここで該ロミデプシンは、ダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化したロミデプシンを実質的に含まず、
ここで該ロミデプシンは、6.0未満の見かけのpHにおいて、少なくとも1工程で該ロミデプシンを精製する工程によって調製される、
組成物。
【請求項28】
前記見かけのpHは、4.0〜6.0の間である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記見かけのpHは、有機酸を使用して、6.0未満に維持される、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
前記有機酸は酢酸である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
ロミデプシンの組成物であって、ここで該ロミデプシンは、請求項1に記載の方法によって調製される、組成物。
【請求項32】
ロミデプシンを含む組成物であって、ここで実質的にすべての該ロミデプシンはモノマー性である、組成物。
【請求項33】
ロミデプシンを含む組成物であって、ここで該ロミデプシンのうちの少なくとも98%は、モノマー性である、組成物。
【請求項34】
前記ロミデプシンのうちの少なくとも99%は、モノマー性である、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記ロミデプシンのうちの少なくとも99.5%は、モノマー性である、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
前記ロミデプシンのうちの少なくとも99.9%は、モノマー性である、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
前記ロミデプシンのうちの少なくとも99.95%は、モノマー性である、請求項33に記載の組成物。
【請求項38】
ロミデプシンを含む組成物であって、ここで該組成物は、ダイマー化、オリゴマー化またはポリマー化したロミデプシンを実質的に含まない、組成物。
【請求項39】
ロミデプシンを含む組成物であって、ここで該組成物は、少なくとも98%の純度のロミデプシンである、組成物。
【請求項40】
前記組成物は、少なくとも99%の純度のロミデプシンである、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物は、少なくとも99.5%の純度のロミデプシンである、請求項39に記載の組成物。
【請求項42】
前記組成物は、少なくとも99.8%の純度のロミデプシンである、請求項39に記載の組成物。
【請求項43】
前記組成物は、少なくとも99.9%の純度のロミデプシンである、請求項39に記載の組成物。
【請求項44】
前記組成物は、少なくとも99.95%の純度のロミデプシンである、請求項39に記載の組成物。
【請求項45】
前記組成物は、1.0%以下の総不純物および0.2%以下の個々の不純物を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項46】
前記組成物は、0.5%以下の総不純物および0.1%以下の個々の不純物を含む、請求項39に記載の組成物。
【請求項47】
クロロホルム中の前記組成物の溶液は、約20mg/mLの濃度において沈澱を生じない、請求項39に記載の組成物。
【請求項48】
約20mg/mLの濃度の、クロロホルム中の前記組成物の溶液は、+38°〜+47°の範囲に及ぶ旋光性を有する、請求項31、32、33、38、または39に記載の組成物。
【請求項49】
前記旋光性は、+39°〜+41°の範囲に及ぶ、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
前記旋光性は、約+40°である、請求項48に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2010−514801(P2010−514801A)
【公表日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−544292(P2009−544292)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/089067
【国際公開番号】WO2008/083288
【国際公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【出願人】(509181275)グラスター ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (3)
【出願人】(593045444)サンド・ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】