説明

ロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法

【課題】特殊な製造設備を用いることなく、口腔内崩壊性及び薬物放出性のいずれにも優れたロラタジン含有口腔内崩壊錠を得ることができる製造方法及び該製造方法により得られたロラタジン含有口腔内崩壊錠を提供すること。
【解決手段】ロラタジン含有口腔内崩壊錠を製造する方法であって、ロラタジンを溶液状態乃至は懸濁状態で用いること、2段階の造粒工程を行うこと、及び1段階目の造粒物の割合を錠剤重量の50重量%以下とすることを特徴とするロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法、並びに該製造方法により得られたロラタジン含有口腔内崩壊錠。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹等のアレルギー性疾患治療剤として有用なロラタジンを含有する口腔内崩壊錠の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内崩壊錠は、水なしで服用することができ、高齢者、小児、嚥下困難な患者等に、飲みやすい剤形であり、高齢化社会の到来や患者のコンプライアンス向上のため、その意義が重要視されるようになって来た。
【0003】
従来、ロラタジン含有口腔内崩壊錠としては、ゼラチン等の担体物質の水溶液に薬物を懸濁させ、トレイ等の容器に充填した後、凍結乾燥させて得られる、いわゆるザイディス(Zydis)技術(特許文献1参照)を用いて製造されたクラリチンレディタブ錠が市販されている。しかし、このザイディス技術を商業的に応用するには、特殊な製造設備を要し、製造工程が煩雑で費用がかかるという欠点がある。また、ザイディス型の口腔内崩壊錠は、口腔内での溶解性については極めて優れているものの、錠剤が非常に柔らかく吸湿しやすいために完全防湿性の頑丈な包装形態が必須であることから、自動分包機への適用が不可能なだけでなく、容器から錠剤を取り出す際に壊れたり欠けたりしがちなど、医療現場では使い勝手が悪い。そのため、通常の製造設備により製造可能でかつ医療現場での取扱いが容易なロラタジン含有口腔内崩壊錠の開発が求められている。
【0004】
一般的な錠剤製造用設備および製造方法によって製造しうるロラタジン含有口腔内崩壊錠としては、例えば、ロラタジン粉末に、造粒マンニトール、結晶セルロース、クロスポビドン等を混合、打錠して得られる口腔内崩壊錠(特許文献2参照)、ロラタジン粉末に、コロイド状二酸化ケイ素等を混合後、造粒し、マンニトール等を更に混合後、打錠して得られる口腔内崩壊錠(特許文献3参照)、ロラタジン粉末に、マンニトール、ソルビトール、及びケイ酸カルシウムを混合して複合材とし、更に、デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ケイ酸カルシウム等を混合後、打錠して得られる口腔内崩壊錠(特許文献4参照)が提案されている。しかし、これらのロラタジン含有口腔内崩壊錠には、いずれも、ロラタジンの溶出性(即ち薬物放出性)が不十分であるという欠点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭62−50445号公報
【特許文献2】特開2009−114113号公報
【特許文献3】特表2009−521523号公報
【特許文献4】特表2009−532343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、特殊な製造設備を用いることなく、口腔内崩壊性及び薬物放出性のいずれにも優れたロラタジン含有口腔内崩壊錠を得ることができる製造方法、及び該製造方法により得られたロラタジン含有口腔内崩壊錠を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、ロラタジン含有口腔内崩壊錠を製造するに当たって、ロラタジンを溶液状態乃至は懸濁状態で用い、2段階の造粒工程を行い、且つ1段目の造粒物の割合を錠剤重量の50重量%以下とする場合には、錠剤からのロラタジンの放出性が向上すること、また得られた錠剤の口腔内崩壊性にも優れることを見出した。本発明者は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、以下に示す、ロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法及び該製造方法により得られたロラタジン含有口腔内崩壊錠を提供するものである。
【0009】
1.ロラタジン含有口腔内崩壊錠を製造する方法であって、ロラタジンを溶液状態乃至は懸濁状態で用いること、2段階の造粒工程を行うこと、及び1段階目の造粒物の割合を錠剤重量の50重量%以下とすることを特徴とするロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【0010】
2.第1段階目の造粒を、流動層造粒により行う上記項1に記載のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【0011】
3.第2段階目の造粒を、流動層造粒により行う上記項1又は2に記載のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【0012】
4.第2段階目の造粒後に、更に第3段階の造粒を、流動層造粒により行う上記項1〜3のいずれかに記載のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【0013】
5.第1段階目の造粒物の割合が、錠剤重量の30〜45重量%である上記項1〜4のいずれかに記載のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【0014】
6.上記項1〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られたロラタジン含有口腔内崩壊錠。
【発明の効果】
【0015】
本発明のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法によれば、以下の如き格別顕著な効果を得ることができる。
【0016】
(1)本発明の製造方法においては、ロラタジン、賦形剤等を含む製剤原料を用いて、ロラタジン含有口腔内崩壊錠を製造するに当たって、ロラタジンを溶液状態乃至は懸濁状態で用い、少なくとも2段階の造粒工程を行い、且つ1段目の造粒物の割合を錠剤重量の50重量%以下としたことによって、ロラタジンの口腔内崩壊錠からの放出性が著しく向上している。
【0017】
(2)また、得られたロラタジン含有口腔内崩壊錠は、口腔内崩壊時間が通常30秒以内程度であり、口腔内崩壊性にも優れている。また、優れた口腔内崩壊性を有していながら、自動分包機にも適用可能な錠剤硬度を有している。
【0018】
(3)従って、本発明の製造方法によれば、特殊な製造設備を用いることなく、口腔内崩壊性及び薬物放出性のいずれにも優れたロラタジン含有口腔内崩壊錠を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法
本発明のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法は、ロラタジンを溶液状態乃至は懸濁状態で用いること、2段階の造粒工程を行うこと、及び1段階目の造粒物の割合を錠剤重量の50重量%以下とすることを特徴とするものである。
【0020】
本発明のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法においては、通常、ロラタジンと、賦形剤、結合剤及び崩壊剤である添加剤とを含み、更に必要に応じて、滑沢剤、矯味剤等のその他の添加剤を含む製剤原料を用いて、第1造粒工程、第2造粒工程を行った後、打錠工程を行うことによって、ロラタジン含有口腔内崩壊錠を調製する。ここで、ロラタジン以外の賦形剤、結合剤、崩壊剤、及び必要に応じて用いられるその他の添加剤の添加時期は、特に限定されず、任意の工程で添加することができ、またこれらのいずれかの添加剤を1の工程または複数の工程において複数回添加することもできる。
【0021】
ロラタジン
ロラタジンは、本発明口腔内崩壊錠の薬効成分であり、化学名がエチル 4−(8−クロロ−5,6−ジヒドロ−11H−ベンゾ[5,6]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−11−イリデン)−1−ピペリジンカルボキシレートである。ロラタジンは、持続性選択H受容体拮抗作用を有しており、アレルギー性疾患治療剤として有用である。
【0022】
添加剤
本発明のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法においては、ロラタジン以外の製剤原料として、製薬分野において通常使用される薬理学的に許容される各種添加剤、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、矯味剤等の添加剤を、適宜組み合わせて、用いることができる。
【0023】
賦形剤としては、例えば、デキストリン、白糖、果糖、乳糖、トウモロコシデンプン、デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、マンニトール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、マルチトール、ラクチトール、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、軽質無水ケイ酸、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、クエン酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウムなどが挙げられる。これらの賦形剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
【0024】
崩壊剤としては、例えば、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、架橋化ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、各種デンプン類などが挙げられる。これらの崩壊剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
【0025】
結合剤としては、例えば、ショ糖等の糖類、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース(カルメロース)、結晶セルロース・カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、マクロゴール、プルラン、デキストリン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、部分α化デンプン、寒天などが挙げられる。これらの結合剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
【0026】
これらの添加剤の割合は、ロラタジン100重量部に対して、100〜12000重量部程度の範囲から選択でき、通常、300〜10000重量部程度、好ましくは500〜8000重量部程度である。
【0027】
本発明において、賦形剤、崩壊剤及び結合剤以外に、必要に応じて用いられるその他の添加剤としては、例えば、滑沢剤、矯味剤、流動化剤、帯電防止剤、着色剤、香料、界面活性剤、湿潤剤、充填剤、増量剤、吸着剤、保存剤(例えば防腐剤など)、緩衝剤などを挙げることができる。
【0028】
上記滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、水素添加植物油、マイクロクリスタリンワックス、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールなどを挙げることができる。矯味剤としては、例えば、クエン酸、無水クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、リンゴ酸、グリシン、アラニン、ショ糖、乳糖、マンニトール、キシリトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、ステビオシドなどを挙げることができる。流動化剤としては、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、乾燥水酸化アルミニウムゲル、カオリン、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルクなどが挙げられる。帯電防止剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸などを挙げることができる。着色剤としては、例えば、タール色素、酸化鉄、カラメル、ベンガラ、酸化チタン、天然色素などを挙げることができる。香料としては、例えば、ストロベリーフレーバー、レモンフレーバー、レモンライムフレーバー、オレンジフレーバー、l−メントール、ハッカ油などが挙げられる。
【0029】
これらその他の添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのその他の添加剤は、特に、最終製剤中の含量に制限はない。
【0030】
第1造粒工程
本発明のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法においては、先ず、第1造粒工程として、ロラタジンと、結合剤、賦形剤、崩壊剤等の少なくとも1種の添加剤とを、造粒する。ここで、ロラタジンは、溶液状態乃至は懸濁状態で用いることが必須である。ロラタジンは、溶液状態、懸濁状態、及び一部溶液状態で残部懸濁状態(外観上は懸濁状態)のいずれであってもよい。ロラタジンを、粉末等の固形状態で用いた場合には、薬物放出性が大きく低下する。通常、ロラタジンは、エタノール溶液乃至はエタノール懸濁液として用いることが、好ましい。エタノールの使用量は、ロラタジンが溶液状態乃至は懸濁状態となる量であればよく、適宜、決定することができる。また、結合剤は、水溶液等の溶液状態で用いることが、このことにより、薬物放出性が向上する傾向にある点から、好ましい。
【0031】
第1造粒工程は、流動層造粒、撹拌造粒等により行うことができるが、特に、流動層造粒により、造粒を行うのが好ましい。第1造粒工程は、例えば、流動層造粒装置を用いて、ロラタジンのエタノール溶液と結合剤及び添加物の一部を含む水溶液との混合液を、粉末状の賦形剤等にスプレーしながら、混合し、造粒することが好ましい。流動層造粒の温度条件、スプレー速度等は、適宜決定すればよい。流動層造粒装置としては、「MP−1」(パウレック社製)、「FLO−5」(フロイント社製)等の市販品を用いることができる。
【0032】
第1造粒工程で得られた造粒物は、乾燥後、整粒機を用いて整粒するのが好ましい。整粒に使用する装置としては、特に制限はないが、例えば、「パワーミル」(不二パウダル(株)製)、「コーミル」(パウレック社製)、「ロールグラニュレーター」(日本グラニュレーター(株)製)等の整粒機が挙げられる。また、篩などを使用して整粒してもよい。
【0033】
第2造粒工程
次に、第2造粒工程において、第1造粒工程において得られた造粒物を、賦形剤、結合剤、崩壊剤、矯味剤等の少なくとも1種の添加剤と共に、更に造粒する。また、第1造粒工程の造粒物の使用量は、最終的に得られる錠剤重量の50重量%以程度となるように調節することが必要である。第1造粒工程の造粒物が錠剤重量の50重量%を超えるとロラタジンの錠剤からの放出性が低下するので好ましくない。第1造粒工程の造粒物の使用量は、錠剤重量の30〜45重量%程度となるように調節するのが好ましい。
【0034】
第2造粒工程は、流動層造粒、撹拌造粒等により行うことができるが、特に、流動層造粒により、造粒を行うのが製造効率の向上の点から好ましい。第2造粒工程は、例えば、流動層造粒装置を用いて、結合剤と添加剤の一部を含む水溶液との混合液を、第1造粒工程の造粒物と賦形剤等の添加剤との粉末状混合物にスプレーしながら、混合し、造粒することが好ましい。流動層造粒の温度条件、スプレー速度等や、流動層造粒装置は、第1造粒工程の場合と同様に、適宜決定することができる。
【0035】
第2造粒工程で得られた造粒物は、乾燥後、整粒機を用いて整粒することが好ましい。整粒に使用する装置等は、第1造粒工程の場合と同様でよく、又篩により整粒してもよい。
【0036】
本発明のロラタジン口腔内崩壊錠の製造方法では、第1造粒工程及び第2造粒工程の2段階の造粒工程を行うことを必須とし、1段階の造粒のみでは錠剤からのロラタジンの放出性の向上は殆ど認められない。
【0037】
第3造粒工程等
本発明のロラタジン口腔内崩壊錠の製造方法では、第1造粒工程及び第2造粒工程の2段の造粒工程に加えて、更に必要に応じて、3段階目以上の造粒工程を行ってもよい。第3造粒工程及びそれ以降の造粒工程は、第2造粒工程と同様に、通常、添加剤を用いて、流動層造粒、撹拌造粒等により行うことができるが、特に、流動層造粒により、造粒を行うのが製造効率の向上の点から好ましい。
【0038】
打錠工程
次いで、少なくとも2段階の造粒工程によって得られた造粒物に、通常、滑沢剤、崩壊剤等の添加剤の少なくとも1種を混合した後、常法により、打錠を行う。打錠機としては、医薬品の製造に使用しうるものであれば特に制限はなく、例えばロータリー式打錠機や単発打錠機などが使用される。
【0039】
かくして得られる本発明のロラタジン含有口腔内崩壊錠を使用する場合には、ヒトに、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹等のアレルギー性疾患に対する治療有効量を投与すればよい。患者の年令、体重、症状、性別などにより投与量は変わりうるが、通常、1日当たり、1回または数回に分けて、ロラタジンに換算して、例えば5〜20mg程度を、水無しで、唾液のみで経口的に投与することができる。この場合において、本発明のロラタジン口腔内崩壊錠は、口腔内崩壊性が、通常30秒以内程度と良好であり、また優れた口腔内崩壊性を有していながら、PTP包装からの押し出しに耐える硬度を有している。
【0040】
本発明のロラタジン口腔内崩壊錠は、通常、PTP包装またはボトル包装(例:プラスチック瓶、ガラス瓶、アルミニウム缶)されていてもよい。また、それらの包装された錠剤は、さらにピロー包装等の二次包装されていてもよい。包装中には脱臭剤、乾燥剤、脱酸素剤等を同封しても良い。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。
【0042】
各実施例及び比較例において、溶出率は、下記溶出試験によって求めた。
溶出試験
第十五改正日本薬局方の溶出試験法第2法(パドル法)に準じて試験を実施し、15分後及び30分後の溶出率(%)を、HPLC法を用いて測定した。
各検体量:1錠。
試験液:McIlvaineの緩衝液(37℃、pH4.0)900mL
パドル回転数:50rpm
試験は、3回行い、その平均値を示した。
【0043】
実施例1
ロラタジン(90.0g)のエタノール溶液1080gに、D−マンニトール(9.0g)およびヒドロキシプロピルセルロース(12.6g)の水溶液540gを加えて混合した。得られた混合液の一部(1440g)を、D−マンニトール(323.2g)および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(57.6g)の混合物に、スプレーすることによって、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末を、22号篩によって整粒し、整粒末Aを得た。
【0044】
整粒末A(168.0g)、D−マンニトール(186.1g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(30.2g)およびアスパルテーム(8.4g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(1.3g)およびクエン酸水和物(0.8g)の水溶液140gを、スプレーすることによって、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を、22号篩によって整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末の一部(47.0g)に、クロスポビドン(1.5g)、軽質無水ケイ酸(0.5g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(1.0g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、単発打錠機(株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量150mgの錠剤を得た。
【0045】
実施例2
ロラタジン(60.0g)のエタノール溶液720gに、D−マンニトール(6.0g)およびヒドロキシプロピルセルロース(8.4g)の水溶液360gを加えて混合した。得られた混合液(1080g)を、D−マンニトール(348.0g)および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(57.6g)の混合物にスプレーすることによって、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末Bを得た。
【0046】
整粒末B(160.0g)、D−マンニトール(177.2g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(28.8g)およびアスパルテーム(8.0g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(1.4g)およびクエン酸水和物(0.6g)の水溶液100gをスプレーして、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末の一部(358.1g)に、クロスポビドン(11.4g)、軽質無水ケイ酸(3.8g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(7.6g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、単発打錠機(株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量200mgの錠剤を得た。
【0047】
実施例3
整粒末B(160.0g)、D−マンニトール(237.8g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(38.4g)およびアスパルテーム(9.6g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(4.8g)およびクエン酸水和物(0.6g)の水溶液100gをスプレーして、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末の一部(56.4g)に、クロスポビドン(1.8g)、軽質無水ケイ酸(0.6g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(1.2g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、単発打錠機(株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量240mgの錠剤を得た。
【0048】
実施例4
ロラタジン(85.0g)のエタノール溶液1020gに、D−マンニトール(17.0g)およびヒドロキシプロピルセルロース(23.8g)の水溶液510gを加えて混合した。得られた混合液1530gを、D−マンニトール(323.0g)および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(61.2g)の混合物にスプレーすることによって、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末Cを得た。
【0049】
ヒドロキシプロピルセルロース(4.4g)およびクエン酸水和物(2.9g)の水溶液490gの一部(140g)を整粒末C(168.0g)、D−マンニトール(186.1g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(30.2g)およびアスパルテーム(8.4g)の混合物にスプレーして、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末の一部(47.0g)に、クロスポビドン(1.5g)、軽質無水ケイ酸(0.5g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(1.0g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、単発打錠機(株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量150mgの錠剤を得た。
【0050】
実施例5
ロラタジン(90.0g)のエタノール溶液1080gに、D−マンニトール(27.0g)およびヒドロキシプロピルセルロース(37.8g)の水溶液540gを加えて混合した。得られた混合液1620gを、D−マンニトール(320.4g)および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(64.8g)の混合物にスプレーすることによって、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末Dを得た。
【0051】
ヒドロキシプロピルセルロース(4.4g)およびクエン酸水和物(2.9g)の水溶液490gの一部(140g)を、整粒末D(168.0g)、D−マンニトール(186.1g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(30.2g)およびアスパルテーム(8.4g)の混合物にスプレーして、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末の一部(47.0g)に、クロスポビドン(1.5g)、軽質無水ケイ酸(0.5g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(1.0g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、単発打錠機(株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量150mgの錠剤を得た。
【0052】
実施例6
ロラタジン(60.0g)のエタノール溶液720gに、D−マンニトール(3.0g)およびヒドロキシプロピルセルロース(4.2g)の水溶液360gを加えて混合した。得られた混合液1080gを、D−マンニトール(355.2g)および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(57.6g)の混合物にスプレーすることによって、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末Eを得た。
【0053】
ヒドロキシプロピルセルロース(6.8g)およびクエン酸水和物(1.2g)の水溶液200gの一部(100g)を、整粒末E(160.0g)、D−マンニトール(239.2g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(38.4g)およびアスパルテーム(9.6g)の混合物にスプレーして、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末の一部(56.4g)に、クロスポビドン(1.8g)、軽質無水ケイ酸(0.6g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(1.2g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、単発打錠機(株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量240mgの錠剤を得た。
【0054】
実施例7
ロラタジン(660.0g)のエタノール溶液7920gに、D−マンニトール(66.0g)およびヒドロキシプロピルセルロース(33.0g)の水溶液3960gを加えて混合した。得られた混合液11880gの一部(10800g)を、D−マンニトール(2478.0g)および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(432.0g)の混合物にスプレーすることによって、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:フロイント社製、機種「FLO−5」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末Fを得た。
【0055】
ヒドロキシプロピルセルロース(39.0g)およびクエン酸水和物(9.0g)の水溶液1500gの一部(1250g)を、整粒末F(1500.0g)、D−マンニトール(2240.0g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(360.0g)およびアスパルテーム(90.0g)の混合物にスプレーして、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:フロイント社製、機種「FLO−5」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末の一部(3807.0g)に、クロスポビドン(121.5g)、軽質無水ケイ酸(40.5g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(81.0g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、ロータリー打錠機(商品名「VIRGO−512」、株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量180mgの錠剤を得た。
【0056】
実施例8
ロラタジン(80.0g)のエタノール溶液960gに、D−マンニトール(8.0g)の水溶液480gを加えて混合した。得られた混合液1440gを、D−マンニトール(323.2g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(57.6g)およびヒドロキシプロピルセルロース(11.2g)の混合物にスプレーすることによって、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末Gを得た。
【0057】
ヒドロキシプロピルセルロース(4.5g)およびクエン酸水和物(3.0g)の水溶液500gの一部(150g)を整粒末G(180.0g)、D−マンニトール(199.4g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(32.4g)およびアスパルテーム(9.0g)の混合物にスプレーして、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末の一部(47.0g)に、クロスポビドン(1.5g)、軽質無水ケイ酸(0.5g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(1.0g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、単発打錠機(株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量150mgの錠剤を得た。
【0058】
比較例1
ロラタジン(42.0g)のエタノール溶液504gに、D−マンニトール(4.2g)、ヒドロキシプロピルセルロース(5.9g)およびクエン酸水和物(1.3g)の水溶液252gを加えて混合した。得られた混合液の一部(630g)を、D−マンニトール(375.6g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(63.0g)およびアスパルテーム(10.5g)の混合物にスプレーすることによって、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末の一部(47.0g)に、クロスポビドン(1.5g)、軽質無水ケイ酸(0.5g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(1.0g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、単発打錠機(株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量150mgの錠剤を得た。
【0059】
比較例2
整粒末B(240.0g)、D−マンニトール(146.4g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(25.2g)およびアスパルテーム(9.0g)の混合物に、ヒドロキシプロピルセルロース(1.5g)およびクエン酸水和物(0.9g)の水溶液150gをスプレーして、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末の一部(56.4g)に、クロスポビドン(1.8g)、軽質無水ケイ酸(0.6g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(1.2g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、単発打錠機(株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量150mgの錠剤を得た。
【0060】
比較例3
ヒドロキシプロピルセルロース(9.8g)およびD−マンニトール(7.0g)の水溶液196.0gを、ロラタジン(70.0g)、D−マンニトール(282.8g)および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(50.4g)の混合物にスプレーすることによって、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末Hを得た。
【0061】
ヒドロキシプロピルセルロース(4.5g)およびクエン酸水和物(3.0g)の水溶液500gの一部(150g)を、整粒末H(180.0g)、D−マンニトール(199.4g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(32.4g)およびアスパルテーム(9.0g)の混合物にスプレーして、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末の一部(47.0g)に、クロスポビドン(1.5g)、軽質無水ケイ酸(0.5g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(1.0g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、ロータリー打錠機(商品名「VIRGO−512」、株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量150mgの錠剤を得た。
【0062】
比較例4
D−マンニトール(7.0g)の水溶液140.0gを、ロラタジン(70.0g)、D−マンニトール(282.8g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(50.4g)およびヒドロキシプロピルセルロース(9.8g)の混合物にスプレーすることによって、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末Iを得た。
【0063】
ヒドロキシプロピルセルロース(4.5g)およびクエン酸水和物(3.0g)の水溶液500gの一部(150g)を、整粒末I(180.0g)、D−マンニトール(199.4g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(32.4g)およびアスパルテーム(9.0g)の混合物にスプレーして、流動層造粒を行った(流動層造粒装置:パウレック社製、機種「MP−01」)。得られた造粒末の一部を整粒し、整粒末を得た。得られた整粒末の一部(47.0g)に、クロスポビドン(1.5g)、軽質無水ケイ酸(0.5g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(1.0g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、単発打錠機(株式会社菊水製作所製)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量150mgの錠剤を得た。
【0064】
表1及び表2に、各実施例及び比較例における第1造粒工程(表中「造粒工程1」という)におけるロラタジン及び結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)の添加状態、第1造粒工程の造粒物(表中「整粒末1」という)の1錠当たりの重量(mg)(ア)、1錠の錠剤重量(mg)(イ)及びこれら重量の割合〔(ア)/(イ)〕、造粒方法、造粒回数、並びに溶出率を示した。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】
表1及び表2から明らかなように、各実施例の錠剤は、比較例1(造粒回数1回)及び比較例2〔(ア)/(イ)が0.5を超える〕の錠剤と比較して、ロラタジンの溶出性に優れる。即ち、ロラタジン及び結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)をそれぞれ溶液として使用し、また2段階の造粒工程を実施し、且つ1段階目の造粒工程が錠剤重量の50重量%以下である錠剤ではロラタジンの溶出性が顕著に高められた。
【0068】
また、ロラタジン及び結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)をともに粉末状態で添加した場合(比較例4)の溶出率は、30分で実質的に許容可能な下限の85%を満たさず、又結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)のみを溶液状態で添加した場合(比較例3)においても溶出率の上昇は30分で90%程度に留まり、不十分であった。一方、ロラタジンと結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)をともに溶液状態で添加した実施例1〜7の溶出性は非常に速やかであり、15分間の溶出率は92.5%以上、30分間の溶出率は97.6%以上と非常に高い値であった。また、ロラタジンを溶液状態で添加し、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)を粉末状態で添加した場合(実施例8)の溶出率は、15分で90.7%と若干低いものの、30分で96.7%であり、実用上十分な溶出率を示した。
【0069】
実施例9
ロラタジン(500.0g)のエタノール溶液6000gに、D−マンニトール(50.0g)およびヒドロキシプロピルセルロース(35.0g)の水溶液3000gを加えて混合した。得られた溶液9000gをD−マンニトール(2935g)および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(480.0g)の混合物にスプレーすることによって流動層造粒(流動層造粒装置:フロイント社製、機種:「FLO−5」)した。得られた造粒末を整粒し、整粒末Jを得た。
【0070】
ヒドロキシプロピルセルロース(6.0g)およびD−マンニトール(144.0g)の水溶液1440gを整粒末J(480.0g)にスプレーすることによって流動層造粒(流動層造粒装置:パウレック社製、機種:「MP−01」)し、ついで流動層造粒機(流動層造粒装置:パウレック社製、機種:「MP−01」)中でD−マンニトール(138.4g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(33.0g)およびアスパルテーム(9.5g)とともに混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(2.5g)およびクエン酸水和物(0.5g)の水溶液125gをスプレーして流動層造粒(流動層造粒装置:パウレック社製、機種:「MP−01」)することにより、造粒末を得た。得られた造粒末の一部を整粒した後、得られる整粒末の一部(357.1g)に、クロスポビドン(11.4g)、軽質無水ケイ酸(3.8g)、ステアリン酸マグネシウム(0.1g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(7.6g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、打錠機(菊水製作所)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量190mgの錠剤を得た。
【0071】
実施例10
ロラタジン(60.0g)のエタノール懸濁液300gに、D−マンニトール(6.0g)およびヒドロキシプロピルセルロース(4.2g)の水溶液600gを加えて混合した。得られた溶液900gをD−マンニトール(352.5g)および低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(57.6g)の混合物にスプレーすることによって流動層造粒(流動層造粒装置:パウレック社製、機種:「MP−01」)した。得られた造粒末を整粒し、整粒末Kを得た。
【0072】
ヒドロキシプロピルセルロース(6.0g)およびD−マンニトール(144.0g)の水溶液1440gを整粒末K(480.0g)にスプレーすることによって流動層造粒(流動層造粒装置:パウレック社製、機種:「MP−01」)し、ついで流動層造粒機(流動層造粒装置:パウレック社製、機種:「MP−01」)中でD−マンニトール(138.4g)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(33.0g)およびアスパルテーム(9.5g)とともに混合した後、ヒドロキシプロピルセルロース(2.5g)およびクエン酸水和物(0.5g)の水溶液125gをスプレーして流動層造粒(流動層造粒装置:パウレック社製、機種:「MP−01」)することにより、造粒末を得た。得られた造粒末の一部を整粒した後、得られる整粒末の一部(357.1g)に、クロスポビドン(11.4g)、軽質無水ケイ酸(3.8g)、ステアリン酸マグネシウム(0.1g)およびフマル酸ステアリルナトリウム(7.6g)を加えて混合し、ロラタジン含有混合末を得た。このロラタジン含有混合末を、打錠機(菊水製作所)を用いて打錠し、1錠当たりのロラタジン含有量10mg、1錠重量190mgの錠剤を得た。
【0073】
表3に、実施例9及び10における第1造粒工程(表中「造粒工程1」という)におけるロラタジン及び結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)の添加状態、第1造粒工程の造粒物(表中「整粒末1」という)の1錠当たりの重量(mg)(ア)、1錠の錠剤重量(mg)(イ)及びこれら重量の割合〔(ア)/(イ)〕、造粒方法、造粒回数、並びに溶出率を示した。
【0074】
【表3】

【0075】
表3から明らかな様に、ロラタジンを懸濁状態で添加した場合の溶出性は溶液状態で添加した場合と同様に非常に速やかであり、15分間の溶出率は96.7%と非常に高い値であった。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の製造方法により得られるロラタジン口腔内崩壊錠は、口腔内崩壊性及び薬物放出性のいずれにも優れており、アレルギー性疾患治療剤として有用であり、本発明は製薬業分野において有効に利用される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロラタジン含有口腔内崩壊錠を製造する方法であって、ロラタジンを溶液状態乃至は懸濁状態で用いること、2段階の造粒工程を行うこと、及び1段階目の造粒物の割合を錠剤重量の50重量%以下とすることを特徴とするロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項2】
第1段階目の造粒を、流動層造粒により行う請求項1に記載のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項3】
第2段階目の造粒を、流動層造粒により行う請求項1又は2に記載のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項4】
第2段階目の造粒後に、更に第3段階の造粒を、流動層造粒により行う請求項1〜3のいずれかに記載のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項5】
第1段階目の造粒物の割合が、錠剤重量の30〜45重量%である請求項1〜4のいずれかに記載のロラタジン含有口腔内崩壊錠の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法によって得られたロラタジン含有口腔内崩壊錠。



【公開番号】特開2012−31138(P2012−31138A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−111427(P2011−111427)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000209049)沢井製薬株式会社 (24)
【Fターム(参考)】