説明

ロングアーク型メタルハライドランプ

【課題】
そこで、本発明の目的は、モリブデン箔がガリウムと合金を形成することを抑制したロングアーク型メタルハライドランプを提供することにある。
【解決手段】
第1の発明に係るロングアーク型メタルハライドランプは、ガリウムが封入された直管状の発光部と、この発光部の両端に設けられ封止部と、この封止部に埋設されたモリブデン箔と、他端がこのモリブデン箔に接続されると共に一端に電極が設けられた電極軸と、を備えたロングアーク型メタルハライドランプにおいて、前記電極軸にMo,Ti,Nb,Cr,Mn,Ni,V,Zr,Cu,Pt,Ag,Ca,Cd,Ge,Sn,Znのいずれかを設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガリウムが封入されたメタルハライドランプに関し、特に電極間距離が長いロングアーク型のメタルハライドランプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光化学反応や塗料の乾燥用に用いられる光源として、メタルハライドランプが知られていた。このようなメタルハライドランプとしては、特許文献1があり、これらの文献によれば、塗料の乾燥に必要な波長域があって、この波長域の発光スペクトルを有する金属元素として、ガリウムなどが知られていた。
【0003】
従来のメタルハライドランプについて、図8を用いて説明する。
メタルハライドランプ9は、直管状の発光部911とこの発光部911の両端に設けられた封止部912とからなる放電容器91と、この発光部911の内部で対向配置された一対の電極92と、この電極92に電気的に接続された電極軸93と、この電極軸93に電気的に接続されると共に封止部912に埋設されるモリブデン箔94と、このモリブデン箔94に電気的に接続されると共に封止部912から突出する外部リード95と、を備える。
このメタルハライドランプ9は、一対の電極92間距離が長く、いわゆるロングアーク型である。
放電容器91の内部には、気密に封止された放電空間913を有し、この放電空間913には発光金属としてガリウム(Ga)が封入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−162774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近、このようなロングアーク型のメタルハライドランプを、液晶基板を貼り合せる工程において、基板の貼り合せに接着剤が用いられ、この接着剤を硬化させる用途があり、この用途に用いられることが検討されている。このような用途においては、ランプと被照射物との間にシャッタが設けられ、被照射物の入替など、被照射物に光を照射したくないときにシャッタが閉じられる。このように、ランプからの光が利用されないときには、近時の省エネの観点から、ランプに入力されている電力を極力抑えたいという要望がある。メタルハライドランプは、給電を停止して、一旦不点灯にしてしまうと、再点灯させるのに時間が掛かってしまうことが知られている。このため、上記用途においては、ロングアーク型のメタルハライドランプは、被照射物に光を照射するときには、定格電力(高入力)で給電され、被照射物に光を照射しないときには、定格電力の例えば50%の電力(低入力)で給電されることが考えられる。
【0006】
このような給電方法をとると、ロングアーク型のメタルハライドランプは、低入力で給電されるときに、定格電力が給電されるときよりもランプが冷えてしまう。特に、ロングアーク型の場合、封止部周辺が電極間での放電熱を受けにくいので、よく冷えてしまう。ロングアーク型は封止部周辺が冷えるので、封入されたガリウムが封止部に移動してしまい、ガリウムとモリブデン箔が接触することがある。そうなると、ガリウムとモリブデン箔とは、合金を形成してしまって膨張し、封止部にクラックを発生してしまう問題が起きる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、モリブデン箔がガリウムと合金を形成することを抑制したロングアーク型メタルハライドランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係るロングアーク型メタルハライドランプは、ガリウムが封入された直管状の発光部と、この発光部の両端に設けられ封止部と、この封止部に埋設されたモリブデン箔と、他端がこのモリブデン箔に接続されると共に一端に電極が設けられた電極軸と、を備えたロングアーク型メタルハライドランプにおいて、前記電極軸にMo,Ti,Nb,Cr,Mn,Ni,V,Zr,Cu,Pt,Ag,Ca,Cd,Ge,Sn,Znのいずれかを設けたことを特徴とする。
第2の発明に係るロングアーク型メタルハライドランプは、第1の発明において、前記Mo,Ti,Nb,Cr,Mn,Ni,V,Zr,Cu,Pt,Ag,Ca,Cd,Ge,Sn,Znの周囲に隙間を設けたことを特徴とする。
第3の発明に係るランプ装置は、ガリウムが封入された直管状の発光部と、この発光部の両端に設けられ封止部と、この封止部に埋設されたモリブデン箔と、他端がこのモリブデン箔に接続されると共に一端に電極が設けられた電極軸と、を備えたロングアーク型メタルハライドランプと、該電極に高入力と低入力とを繰り返し入力する給電装置と、を備えたランプ装置において、前記電極軸にMo,Ti,Nb,Cr,Mn,Ni,V,Zr,Cu,Pt,Ag,Ca,Cd,Ge,Sn,Znのいずれかを設けたことを特徴とする。
第4の発明に係るランプ装置は、前記Mo,Ti,Nb,Cr,Mn,Ni,V,Zr,Cu,Pt,Ag,Ca,Cd,Ge,Sn,Znの周囲に隙間を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
第1の発明に係るロングアーク型メタルハライドランプ及び第3の発明に係るランプ装置は、上記特徴により、封止部に侵入したガリウムが、Mo,Ti,Nb,Cr,Mn,Ni,V,Zr,Cu,Pt,Ag,Ca,Cd,Ge,Sn,Znと合金を形成することで、モリブデン箔にガリウムが接触することが抑制され、モリブデン箔がガリウムと合金を形成することを抑制できる。
第2の発明に係るロングアーク型メタルハライドランプ及び第4の発明に係るランプ装置は、上記特徴により、Mo,Ti,Nb,Cr,Mn,Ni,V,Zr,Cu,Pt,Ag,Ca,Cd,Ge,Sn,Znとガリウムが合金を形成すると膨張するが、隙間がその膨張を許容するので、Mo,Ti,Nb,Cr,Mn,Ni,V,Zr,Cu,Pt,Ag,Ca,Cd,Ge,Sn,Znの外方に位置する封止部に、膨張による圧力をかけることを抑制でき、封止部が破損することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施例に係るランプ装置の説明図である。
【図2】第1の実施例に係るロングアーク型メタルハライドランプの説明図である。
【図3】第1の実施例に係るロングアーク型メタルハライドランプの説明図である。
【図4】第1の実施例に係るランプ装置のタイミングチャートの説明図である。
【図5】第2の実施例に係るロングアーク型メタルハライドランプの説明図である。
【図6】第3の実施例に係るロングアーク型メタルハライドランプの説明図である。
【図7】実験結果を示す図である。
【図8】従来に係るロングアーク型メタルハライドランプの説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜4を用いて、本発明に係る第1の実施例を説明する。
図1は、ランプ装置1の概略を示す図である。
ランプ装置1は、ロングアーク型メタルハライドランプ2と、このランプ2の一対の電極41,51に給電する給電装置Fと、ランプ2からの光を開閉するシャッタSと、被照射物Wを載置する載置台WSと、被照射物Wを入れ替える搬送機Cと、を備える。
【0012】
ロングアーク型メタルハライドランプ2について、図2を用いて説明する。
図2は、ランプ2を長手方向に沿った断面図である。なお、図2には、図1で示したものと同じものに、同一の符号が付されている。
【0013】
ロングアーク型メタルハライドランプ2は、直管状の発光部31とこの発光部31の両端に設けられた封止部32,33とからなる放電容器3と、この発光部31の内部で対向配置された一対の電極41,51と、この電極41,51に電気的に接続された電極軸42,52と、この電極軸42,52に電気的に接続されると共に封止部32,33に埋設されるモリブデン箔43,53と、このモリブデン箔43,53に電気的に接続されると共に封止部32,33から突出する外部リード44,54と、を備える。
このランプ2は、一対の電極41,51間距離が長く、いわゆるロングアーク型である。
【0014】
放電容器3の内部には、気密に封止された放電空間34を有し、この放電空間34には、発光金属として、ガリウム(Ga)に加え、例えば水銀(Hg)やヨウ化水銀(HgI)が封入され、希ガスとしては、キセノンが封入される。
放電容器3を構成する部材としては、封入される発光金属との反応性が低いものが用いられ、例えば石英ガラスのようなガラス部材が用いられる。
【0015】
電極41,51や電極軸42,52を構成する部材としては、放電空間34に封入される金属に反応しない、高融点材料が用いられ、例えばタングステンが用いられる。
【0016】
図2において、一方の電極41側の拡大図として、図3を示す。なお、図3には、図2で示したものと同じものに、同一の符号が付されている。
【0017】
一方の電極軸42には、その径を縮径する凹部61が設けられる。この凹部61には、ランプ点灯時の温度環境(例えば1000℃以下)において、ガリウムに反応する部材(以下、ガリウム反応部材7と記載する)が設けられる。このガリウム反応部材7としては、箔状の例えばモリブデン(Mo),チタン(Ti),ニオブ(Nb),クロム(Cr),マンガン(Mn),ニッケル(Ni),バナジウム(V),ジルコニウム(Zr),銅(Cu),白金(Pt),銀(Ag),カルシウム(Ca),カドミウム(Cd),ゲルマニウム(Ge),錫(Sn),亜鉛(Zn)のいずれかの金属や合金が用いられる。この箔状のガリウム反応部材7が、電極軸42の凹部61に巻き回される。
【0018】
ガリウム反応部材7の外方には、封止部32の部材が位置し、この部材とガリウム反応部材7との間に隙間8が設けられる。
【0019】
なお、上述では、一方の電極軸42側にガリウム反応部材7を設ける説明をしたが、他方の電極軸52側も同様にガリウム反応部材7が設けられる。
【0020】
本発明に係るランプ装置1において、ランプ点灯時における動作を図1〜図4を用いて説明する。
ランプ点灯時、給電装置Fから、一対の電極41,51に電流が供給される。このとき、一対の電極41,51間では、放電が開始され、封入された発光金属が蒸発し、放電による励起光が放射される。発光金属であるガリウムからは、287nm、294nm、403nm、417nmの波長域のスペクトルが得られ、さらに同じく封入された水銀からは、365nm、435nmの波長域のスペクトルが得られ、結果的にランプ2からは287nm、294nm、365nm、403nm、417nm、435nmの波長域の光が放射される。
【0021】
ランプ装置1は、図4のAの領域のように、ランプ入力電力が定格電力まで達したとき、図1のシャッタSを開いて、ランプ2からの光を被照射物Wに照射させる。被照射物Wが処理に所期の光量が照射されると、シャッタSは図1のように閉じられる。このあと処理された被照射物Wと、未処理の被照射物Wとが、搬送機Cによって交換される。この交換の間は、ランプ2の入力電力が所期の電力(高入力)である必要が無いので、図4のBの領域のように、定格電力の50%程度まで低下される。
【0022】
このように、定格電力(高入力)より低い電力(低入力)で、ランプ2を点灯させると、封止部32,33周辺が冷却されてしまう。このため、放電容器3に封入されたガリウムは、封止部32,33に向かってしまう。換言すれば、発光部31の内方に位置したガリウムは、封止部32,33に埋設されたモリブデン箔43,53に向かってしまう。
本発明に係るロングアーク型メタルハライドランプ2は、ガリウム反応部材7が、一端に電極41,51が設けられると共に他端にモリブデン箔43,53が設けられた電極軸42,52に配置されたことで、発光管の内方からモリブデン箔43,53に向かう途中で、ガリウムがガリウム反応部材7に接することになり、このときガリウムとガリウム反応部材7が反応することで、モリブデン箔43,53に至るガリウム量を抑制することができる。従って、本発明は、電極軸42,52にガリウム反応部材7を設けたことで、モリブデン箔43,53がガリウムと合金を形成することが抑制できる。これにより、モリブデン箔43,53が膨張することが抑制され、放電容器3にクラックが生じることを抑制できる。
【0023】
ガリウム反応部材7は、ガリウムと合金を形成することで膨張するが、本発明のように、ガリウム反応部材7と封止部32,33との間に隙間8を設けたことで、その膨張量をその隙間8で許容することができる。これにより、ガリウム反応部材7が膨張しても、ガリウム反応部材7の外方に位置する封止部32,33を押圧することを抑制でき、封止部32,33にクラックが生じることを抑制できる。
【0024】
上述のように、ガリウム反応部材7は、発光部31内方のガリウムがモリブデン箔43,53に至るまで配置する必要があるが、発光部31の内方に露出してガリウム反応部材7を配置してしまうと、放電に寄与するガリウムと反応してしまう。これにより、ランプ2から放射される光の波長域において、ガリウムが寄与するスペクトルが低下してしまい、被照射物Wが処理できないことがある。また一方で、ガリウム反応部材7をモリブデン箔43,53の接触させてしまうと、ガリウム反応部材7に反応したガリウムがモリブデン箔に到達してモリブデン箔43,53をも侵食してしまうことがある。
このため、ガリウム反応部材7は、発光部31の内方に露出しない部分に、且つ、モリブデン箔43,53に接触しない部分に、設けられることが好ましい。さらに、ガリウム反応部材7は、電極軸42,52において、その一端に設けられた電極41,51の端部と、その他端に設けられたモリブデン箔43,53の端部との中央近傍に配置することが好ましい。
【0025】
本発明における数値例を、以下に示す。
放電容器3は、その外径が26.1mmであり、その内径が22.5mmであり、その長手方向の長さが670mmである。放電容器3の封入物の量は、水銀が230mgであり、ヨウ化水銀が30mgであり、ガリウムが15mgであり、キセノンが50Torrである。電極41,51間距離は、600mmである。ガリウム反応部材の外方に設けた、封止部との間の隙間は200μmである。
ランプ2に給電される電力は、定格電力(高入力)が160W/cmであり、低電力が80W/cmである。給電装置Fから一対の電極41,51に給電される電流は、17.8A、50Hzである。
【0026】
第1の実施例では、ガリウム反応部材7と封止部32,33との間の隙間8を、電極軸42,52に凹部61を設けることで実現した。次に、封止部32,33に凹部62を設けて隙間8を形成した例として、第2の実施例を説明する。
【0027】
第2の実施例は、図5を用いて説明する。
図5は、一方の電極41側を拡大した断面図である。なお、図5には、図2で示したものと同じものに、同一の符号が付されている。
【0028】
図5の第2の実施例は、電極軸42に凹部を設けない点、封止部32に凹部62を設けた点で、図2〜図3の第1の実施例と相違する。
図5の第2の実施例の説明として、図2〜図3と共通する部分は省略し、相違する部分について述べる。
【0029】
一方の電極軸42には、その外面にガリウム反応部材7が設けられる。このガリウム反応部材7としては、箔状の例えばモリブデン(Mo),チタン(Ti),ニオブ(Nb),クロム(Cr),マンガン(Mn),ニッケル(Ni),バナジウム(V),ジルコニウム(Zr),銅(Cu),白金(Pt),銀(Ag),カルシウム(Ca),カドミウム(Cd),ゲルマニウム(Ge),錫(Sn),亜鉛(Zn)のいずれかの金属や合金が用いられる。この箔状のガリウム反応部材7が、電極軸42に巻き回される。
【0030】
ガリウム反応部材7の外方には、封止部32の部材が位置する。この封止部32には、ガリウム反応部材7が対向する部分に凹部62が設けられる。これにより、凹部62が設けられた部分は、封止部32の内径が拡径される。
【0031】
ガリウム反応部材7の外方に、封止部32の凹部62が設けられることで、ガリウム反応部材7と封止部32との間に隙間8が設けられる。
【0032】
なお、上述では、一方の電極軸42側にガリウム反応部材7を設ける説明をしたが、他方の電極軸側も同様にガリウム反応部材7が設けられる。また、上述では、一方の封止部32に凹部62を設ける説明をしたが、他方の封止部がわも同様に凹部62が設けられる。
【0033】
このように、第2の実施例でも、電極軸42にガリウム反応部材7を設けたことで、第1の実施例と同様に、モリブデン箔43がガリウムと合金を形成することが抑制できる。
さらに、第2の実施例では、封止部32に凹部62を設けることで、ガリウム反応部材7と封止部32との間に隙間8を設けたが、第1の実施例と同様に、ガリウム反応部材7の膨張量をその隙間8で許容することができる。
【0034】
なお、第1及び第2の実施例では、ガリウム反応部材7を箔状に構成したが、図6に示すように、コイル状であっても構わない。
【0035】
本発明における効果を示すため、以下のような実験を行なった。
実験には、図8に示す従来に係るランプ9と、図2に示す本発明に係るランプ2とを準備した。
各ランプ2,9に共通する部材としては、電極41,51,92及び電極軸42,52,93にタングステンを用いて、モリブデン箔43,53,94に電気的に接続させた。また放電容器3,91としては、石英ガラスを採用した。放電容器3,91の内部には、水銀を230mg、ヨウ化水銀を30mg、ガリウムを15mg、キセノンを50Torr封入した。
各ランプ2,9の数値を示すと、放電容器3,91は、その直径が26.1mmで、その内径が22.5mmで、長さが670mmであった。また、放電容器3,91において、発光部31,911を構成する端部からモリブデン箔43,53,94に至るまでの距離(図3におけるL1)を5mmとした。なお、電極41,51,92間距離は600mmである。
本発明のランプ2には、ガリウム反応部材7が設けられ、その部材としてはモリブデンを採用した。
【0036】
上記の各ランプ2,9は、以下の点灯条件でランプ2,9を点灯させた。
160W/cm入力で、電圧540V、電流17.8A、周波数50Hz、30秒点灯し、80W/cmでは、160W/cm入力時より電圧、電流を任意量下げて、30秒点灯した。点灯中は、放電管が600℃〜900℃の範囲で冷却されるように、ファンで強制空冷下を行った。
【0037】
本実験では、上記点灯条件で点灯させ、放電容器3,91が破損した時点か、照度が点灯初期に比べ70%に低下した時点で、実験を終了し、点灯可能時間(寿命時間)を測定した。
その実験結果を図7に示す。
【0038】
従来に係るランプ9は、311時間の時点で、封止部912にクラックが生じた。これは、封入したガリウムがモリブデン箔94と合金を形成してしまい、この合金による膨張によって封止部912が破損してしまったものと推測される。
【0039】
一方、本発明に係るランプ2は、4865時間経過しても、封止部32,33にクラックに生じることなく、継続してランプ点灯が可能であったが、点灯初期の照度に比べて70%になったので点灯を終了した。実験終了後、本発明に設けたガリウム反応部材7(モリブデン)は、取り外され、ガリウムを検出したところ、1.9mgのガリウムが検出された。このように、本発明では、電極軸42,52にガリウム反応部材7を設けたことで、モリブデン箔43,53の代わりにガリウム反応部材7がガリウムと合金を形成し、モリブデン箔43,53がガリウムと合金を形成することを抑制できた。また、ガリウム反応部材7の外方に隙間8を設けたことで、ガリウムと反応したガリウム反応部材7の膨張量を許容でき、この膨張によって封止部32,33が破損することを抑制できた。
【0040】
以上のように、本発明は、電極軸42,52にガリウム反応部材7を設けることで、モリブデン箔43,53とガリウムとで合金が形成されることを抑制でき、且つ、ガリウム反応部材7の外方に隙間を設けたことで、封止部が破損することを抑制でき、これにより、従来に比べて寿命時間を15倍以上も伸ばす、優れた効果を得られるものである。
【符号の説明】
【0041】
1 ランプ装置
2 メタルハライドランプ
3 放電容器
31 発光部
32 一方の封止部
33 他方の封止部
34 放電空間
41 一方の電極
42 一方の電極軸
43 一方のモリブデン箔
44 一方の外部リード
51 他方の電極
52 他方の電極軸
53 他方のモリブデン箔
54 他方の外部リード
61 電極の凹部
62 封止部の凹部
7 ガリウム反応部材
8 隙間
F 給電装置
C 搬送機
S シャッタ
W 被照射物
WS 載置台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガリウムが封入された直管状の発光部と、この発光部の両端に設けられ封止部と、この封止部に埋設されたモリブデン箔と、他端がこのモリブデン箔に接続されると共に一端に電極が設けられた電極軸と、を備えたロングアーク型メタルハライドランプにおいて、
前記電極軸にMo,Ti,Nb,Cr,Mn,Ni,V,Zr,Cu,Pt,Ag,Ca,Cd,Ge,Sn,Znのいずれかを設けた
ことを特徴とするロングアーク型メタルハライドランプ。
【請求項2】
前記Mo,Ti,Nb,Cr,Mn,Ni,V,Zr,Cu,Pt,Ag,Ca,Cd,Ge,Sn,Znの周囲に隙間を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載のロングアーク型メタルハライドランプ。
【請求項3】
ガリウムが封入された直管状の発光部と、この発光部の両端に設けられ封止部と、この封止部に埋設されたモリブデン箔と、他端がこのモリブデン箔に接続されると共に一端に電極が設けられた電極軸と、を備えたロングアーク型メタルハライドランプと、
該電極に高入力と低入力とを繰り返し入力する給電装置と、
を備えたランプ装置において、
前記電極軸にMo,Ti,Nb,Cr,Mn,Ni,V,Zr,Cu,Pt,Ag,Ca,Cd,Ge,Sn,Znのいずれかを設けた
ことを特徴とするランプ装置。
【請求項4】
前記Mo,Ti,Nb,Cr,Mn,Ni,V,Zr,Cu,Pt,Ag,Ca,Cd,Ge,Sn,Znの周囲に隙間を設けた
ことを特徴とする請求項3に記載のランプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−48944(P2011−48944A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194528(P2009−194528)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】