ロータリーダンパ
【課題】第1ネジ部と第2ネジ部との結合の緩みを防止するための追加の工程を不要として製造コストの低減を図る。
【解決手段】本発明のロータリーダンパは、第1ネジ部を有する合成樹脂製のハウジング10と、第1ネジ部に結合する第2ネジ部を有する合成樹脂製の第1プラグ20と、第1プラグ20の動作方向を一方向に制限するラチェット40とを備えることを特徴とする。
【解決手段】本発明のロータリーダンパは、第1ネジ部を有する合成樹脂製のハウジング10と、第1ネジ部に結合する第2ネジ部を有する合成樹脂製の第1プラグ20と、第1プラグ20の動作方向を一方向に制限するラチェット40とを備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーダンパに関し、より詳細には、プラグを取り付けるための構成に特徴を有するロータリーダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009−185901号公報には、第1ネジ部を有するハウジング(ケーシング10)と、第1ネジ部に結合する第2ネジ部を有する第1プラグ(カバー40)とを備えたロータリーダンパが記載されている(段落[0030]及び[図1]参照)。第1プラグは、第2ネジ部を第1ネジ部に結合させることによってハウジングに取り付けられる。従来、このような構成では、第1ネジ部と第2ネジ部との結合の緩みを防止するために接着剤が用いられていた。しかし、接着剤を塗布する工程が製造コストの上昇を招くという欠点があった。
【0003】
特開2004−017824号公報には、第1プラグ(蓋部材2a)がハウジング(本体ケース2)の端部をかしめることによりハウジングに取り付けられる構成が記載されている([図1]参照)。このような構成では、接着剤を塗布する工程は不要である。しかし、かしめ加工を行うためにハウジングが金属製でなければならず、そのため、ロータリーダンパの重量が重くなるという欠点があった。
【0004】
特開2008−215620号公報には、第1ネジ部を有する合成樹脂製のハウジング(本体ケース1)と、第1ネジ部に結合する第2ネジ部を有する合成樹脂製の第1プラグ(蓋6)とを備えたロータリーダンパが記載されている(段落[0025]及び[図11]参照)。第1プラグは、第2ネジ部を第1ネジ部に結合させた後、レーザ溶着によってハウジングに取り付けられている(段落[0027]参照)。このような構成では、第1ネジ部と第2ネジ部との結合の緩みを防止できるだけでなく、内圧による第1プラグの変形をも抑制できるという利点がある。しかし、レーザ溶着を行う工程が製造コストの上昇を招くという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−185901号公報
【特許文献2】特開2004−017824号公報
【特許文献3】特開2008−215620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、第1ネジ部と第2ネジ部との結合の緩みを防止するための追加の工程を不要とし、製造コストの低減を図ることができ、かつ軽量なロータリーダンパを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下のロータリーダンパを提供する。
1.第1ネジ部を有する合成樹脂製のハウジングと、前記第1ネジ部に結合する第2ネジ部を有する合成樹脂製の第1プラグと、前記第1プラグの動作方向を一方向に制限するラチェットとを備えることを特徴とするロータリーダンパ。
2.前記ハウジング内に設けられる作動室の開口部を閉塞するために、前記ハウジングと前記第1プラグとの間に設置される金属製の第2プラグを備えることを特徴とする前記1に記載のロータリーダンパ。
3.前記第2プラグの回転を防止するための回り止め機構を備えており、前記ラチェットが、前記第1プラグに形成される歯と、前記第2プラグに形成される爪との組み合わせから構成されることを特徴とする前記2に記載のロータリーダンパ。
4.前記ハウジングが、前記作動室を仕切る隔壁を備えており、前記回り止め機構が、前記隔壁に形成される凹部及び前記第2プラグに形成される前記凹部にはまり込む凸部、又は前記隔壁に形成される凸部及び前記第2プラグに形成される前記凸部がはまり込む凹部から構成されることを特徴とする前記3に記載のロータリーダンパ。
5.前記ラチェットが、前記第1プラグに形成される歯と、前記ハウジングに形成される爪との組み合わせから構成されることを特徴とする前記1又は2に記載のロータリーダンパ。
6.前記爪が、勾配を有する形状に形成されていることを特徴とする前記1〜5のいずれか1に記載のロータリーダンパ。
【発明の効果】
【0008】
本発明のロータリーダンパによれば、ハウジング及び第1プラグがいずれも合成樹脂製であるため、ロータリーダンパの重量を軽くし得る。また、第1ネジ部と第2ネジ部とが結合したときに、ラチェットによって第1プラグの動作方向が一方向に制限されるため、第1ネジ部と第2ネジ部との結合の緩みを防止し得る。したがって、第1ネジ部と第2ネジ部とを結合させるにあたって追加の工程が不要であり、製造コストの低減を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一の実施の形態に係るロータリーダンパを示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の一の実施の形態に係るロータリーダンパを示す正面図である。
【図3】図3は、図1におけるA−A部断面図である。
【図4】図4は、図3におけるB−B部断面図である。
【図5】図5は、ハウジングの平面図である。
【図6】図6は、図5におけるC−C部断面図である。
【図7】図7は、第1プラグの平面図である。
【図8】図8は、図7におけるD−D部断面図である。
【図9】図9は、第2プラグの平面図である。
【図10】図10は、図9におけるE−E部断面図である。
【図11】図11は、ラチェットの仕組みを説明するための図である。
【図12】図12は、本発明の他の実施の形態に係るロータリーダンパを示す平面図である。
【図13】図13は、図12におけるF−F部断面図である。
【図14】図14は、本発明の他の実施の形態に係るロータリーダンパを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は以下に述べる実施の形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1〜図4は、本発明の一の実施の形態に係るロータリーダンパを示す図である。これらの図に示したように、本実施例に係るロータリーダンパは、ハウジング10、第1プラグ20、第2プラグ30、回り止め機構及びラチェット40を有して構成される。
【0012】
ハウジング10は、合成樹脂で作られており、円筒形の周壁11と、周壁11の一端を閉塞する底壁12と、周壁11から外側に向かって突出するフランジ13と、周壁11から内側に向かって突出する隔壁14とを有する(図5及び図6参照)。周壁11の外周面には、第1ネジ部15が形成されている(図6参照)。底壁12には、軸受けとなる穴16が形成されている(図5及び図6参照)。隔壁14には、凹部17が形成されている(図4〜図6参照)。
【0013】
ハウジング10内には、ベーン51を備えた軸50が収容される(図3及び図4参照)。軸50の一端側は、穴16に挿通されている(図3参照)。ベーン51は、ハウジング10内に設けられる作動室60に配置される(図4参照)。作動室60は、軸50とハウジング10との間に形成される空間であり、隔壁14によって仕切られている(図4参照)。作動室60には、粘性液体が充填される。穴16の付近には、軸50と穴16との間隙から粘性液体が漏出しないようにOリング71が配置されている(図3参照)。
【0014】
第1プラグ20は、合成樹脂で作られており、多角形の周壁21と、周壁21の一端を閉塞する端壁22とを有する(図7及び図8参照)。周壁21の内面は曲面であり、その内面には、第1ネジ部15に結合し得る第2ネジ部23が形成されている(図8参照)。端壁22は、穴24を有し、その穴24の内周面には、傾斜した歯25が形成されている(図7参照)。
【0015】
第2プラグ30は、金属で作られており、基部31と、基部31の一面側において基部31から突出する環状部32と、基部31の他面側において基部31から突出する凸部33とを有する(図10参照)。第2プラグ30には、軸受けとなる穴34が形成されている(図9及び図10参照)。穴34には、軸50の他端側が挿通され、穴34の付近には、軸50と穴34との間隙から粘性液体が漏出しないようにOリング72が配置されている(図3参照)。環状部32の外周面には、第1プラグ20に形成された歯25の傾斜の向きとは逆向きに傾斜した爪35が形成されており、この爪35は、勾配を有する形状に形成されている(図9及び図10参照)。
【0016】
第2プラグ30は、作動室60の開口部を閉塞するために、ハウジング10と第1プラグ20との間に設置される(図3参照)。符号73は、第2プラグ30の基部31とハウジング10の周壁との間隙から粘性液体が漏出することを防止するためのOリングである(図3参照)。
【0017】
粘性液体の圧力を利用して制動特性を得るロータリーダンパでは、作動時の内圧が高くなるとプラグが変形し易くなるという問題がある。プラグの変形は、プラグとベーンとの間隙を拡大させ、粘性液体の流動を良くするため、制動特性の低下をもたらす。しかしながら、本実施例では、作動室60の開口部を閉塞する第2プラグ30が金属製であるため、作動時の内圧が高くなっても第2プラグ30に変形が生じ難いという利点がある。したがって、本実施例によれば、作動時の内圧が高くなっても第2プラグ30とベーン51との間隙が拡大せず、安定した制動特性を得ることができる。
【0018】
回り止め機構は、隔壁14に形成された凹部17と、第2プラグ30に形成された凸部33とから構成される。第2プラグ30は、凸部33が凹部17にはまり込むことによって回転が抑止される。なお、回り止め機構は、隔壁14に形成される凸部と、第2プラグ30に形成される凹部とから構成されるものであっても良い。この場合、第2プラグ30は、隔壁14に形成された凸部が第2プラグ30に形成された凹部にはまり込むことによって回転が抑止される。
【0019】
ラチェット40は、第1プラグ20の動作方向を一方向に制限する役割を果たすものである。ここで、「第1プラグ20の動作方向を一方向に制限する」とは、第1ネジ部15と第2ネジ部23とを結合させる方向に第1プラグ20が回転動作することを許容し、第1ネジ部15と第2ネジ部23とを結合させた後には、それらの結合を解除する方向に第1プラグ20が回転動作することを阻止するという意味である。
【0020】
本実施例におけるラチェット40は、第1プラグ20に形成された歯25と、第2プラグ30に形成された爪35との組み合わせから構成される。第1ネジ部15と第2ネジ部23とを結合させるために、第1プラグ20を一方向(時計回り方向)に回転動作させていくと、図11の(a)に示したように、歯25が爪35に接近する。この状態から第1プラグ20を同じ方向にさらに回転動作させていくと、図11の(b)に示したように、歯25が爪35に接触し、その爪35を乗り越える。このとき、第1プラグ20が合成樹脂製であるため、歯25はその弾性により、爪35との接触によって欠損等することなく、爪35を乗り越えた後は元の形状に復帰する。また、爪35は勾配を有する形状であるため、歯25と爪35との接触時に生じる抵抗をより小さくすることができる。したがって、小さいトルクで第1プラグ20を回転動作させることができる。そして、第1ネジ部15と第2ネジ部23とを完全に結合させたときには、図11の(c)に示したように、歯25と爪35が完全にかみ合うことになり、それによって、第1プラグ20の逆方向(反時計回り方向)への回転動作を阻止し、第1ネジ部15と第2ネジ部23との結合の緩みを防止することができる。
【0021】
このように、本実施例によれば、ラチェット40を有するため、第1ネジ部15と第2ネジ部23との結合の緩みを防止するための追加の工程が不要であり、第1プラグ20を一方向に回転動作させ、第1ネジ部15と第2ネジ部23とを結合させるだけで、第1ネジ部15と第2ネジ部23との結合の緩みを防止することができ、製造コストの低減を図ることが可能になる。また、ハウジング10及び第1プラグ20がいずれも合成樹脂製であるため、ロータリーダンパの重量を軽くし得る。
【0022】
なお、本実施例に係るロータリーダンパは、ベーン51又は隔壁14が作動室60内の粘性液体を押圧することによって生じる粘性液体の圧力を利用して軸50又はハウジング10の回転速度を減速させるものであるが、そのような制動特性を得るための構成は上記した構成に何等限定されるものではない。本発明は、プラグを取り付けるための構成に特徴を有するため、制動特性を得るための構成が異なる種々のロータリーダンパに適用可能である。
【実施例2】
【0023】
図12〜図14は、本発明の他の実施の形態に係るロータリーダンパを示す図である。これらの図に示したように、本実施例に係るロータリーダンパは、ラチェット40を構成する爪18がハウジング10に形成されている点で実施例1に係るロータリーダンパと異なる。
【0024】
本実施例におけるハウジング10は、周壁11の外周面に形成される第1ネジ部15と、周壁11の外周面において第1ネジ部15の付近に形成される爪18とを有する(図13及び図14参照)。また、本実施例における第1プラグ20は、周壁21の内面に形成される第2ネジ部23と、周壁21の内面において第2ネジ部23の付近に形成される歯25とを有する(図13及び図14参照)。
【0025】
本実施例におけるラチェット40は、第1プラグ20に形成される歯25と、ハウジング10に形成される爪18との組み合わせから構成されており、実施例1に係るロータリーダンパと同様に、第1プラグ20の動作方向を一方向に制限する役割を果たす。すなわち、第1ネジ部15と第2ネジ部23とを完全に結合させたときには、歯25と爪18が完全にかみ合うことになり、それによって、第1プラグ20の回転動作を阻止し、第1ネジ部15と第2ネジ部23との結合の緩みを防止することができる。
【0026】
本実施例も実施例1と同様に、ラチェット40を有するため、第1ネジ部15と第2ネジ部23との結合の緩みを防止するための追加の工程が不要であり、第1プラグ20を一方向に回転動作させ、第1ネジ部15と第2ネジ部23とを結合させるだけで、第1ネジ部15と第2ネジ部23との結合の緩みを防止することができ、製造コストの低減を図ることが可能になる。また、ハウジング10及び第1プラグ20がいずれも合成樹脂製であるため、ロータリーダンパの重量を軽くし得る。
【0027】
本実施例のように、ラチェット40を構成する爪18をハウジング10に形成することにより、第2プラグ30の回転を必ずしも抑制しなくてよいため、実施例1のような回り止め機構を省略し得る。また、ラチェット40を構成する爪18をハウジング10に形成することにより、例えば、粘性液体の粘性抵抗を利用して制動特性を得るタイプのロータリーダンパのように、作動時の最大内圧が低いロータリーダンパにおいては、内圧によるプラグの変形が生じ難いことから、第2プラグ30を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 ハウジング
11 ハウジングの周壁
12 ハウジングの底壁
13 フランジ
14 隔壁
15 第1ネジ部
16 穴
17 凹部
18 爪
20 第1プラグ
21 第1プラグの周壁
22 第1プラグの端壁
23 第2ネジ部
24 穴
25 歯
30 第2プラグ
31 第2プラグの基部
32 第2プラグの環状部
33 凸部
34 穴
35 爪
40 ラチェット
50 軸
51 ベーン
60 作動室
71,72,73 Oリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーダンパに関し、より詳細には、プラグを取り付けるための構成に特徴を有するロータリーダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2009−185901号公報には、第1ネジ部を有するハウジング(ケーシング10)と、第1ネジ部に結合する第2ネジ部を有する第1プラグ(カバー40)とを備えたロータリーダンパが記載されている(段落[0030]及び[図1]参照)。第1プラグは、第2ネジ部を第1ネジ部に結合させることによってハウジングに取り付けられる。従来、このような構成では、第1ネジ部と第2ネジ部との結合の緩みを防止するために接着剤が用いられていた。しかし、接着剤を塗布する工程が製造コストの上昇を招くという欠点があった。
【0003】
特開2004−017824号公報には、第1プラグ(蓋部材2a)がハウジング(本体ケース2)の端部をかしめることによりハウジングに取り付けられる構成が記載されている([図1]参照)。このような構成では、接着剤を塗布する工程は不要である。しかし、かしめ加工を行うためにハウジングが金属製でなければならず、そのため、ロータリーダンパの重量が重くなるという欠点があった。
【0004】
特開2008−215620号公報には、第1ネジ部を有する合成樹脂製のハウジング(本体ケース1)と、第1ネジ部に結合する第2ネジ部を有する合成樹脂製の第1プラグ(蓋6)とを備えたロータリーダンパが記載されている(段落[0025]及び[図11]参照)。第1プラグは、第2ネジ部を第1ネジ部に結合させた後、レーザ溶着によってハウジングに取り付けられている(段落[0027]参照)。このような構成では、第1ネジ部と第2ネジ部との結合の緩みを防止できるだけでなく、内圧による第1プラグの変形をも抑制できるという利点がある。しかし、レーザ溶着を行う工程が製造コストの上昇を招くという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−185901号公報
【特許文献2】特開2004−017824号公報
【特許文献3】特開2008−215620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、第1ネジ部と第2ネジ部との結合の緩みを防止するための追加の工程を不要とし、製造コストの低減を図ることができ、かつ軽量なロータリーダンパを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は以下のロータリーダンパを提供する。
1.第1ネジ部を有する合成樹脂製のハウジングと、前記第1ネジ部に結合する第2ネジ部を有する合成樹脂製の第1プラグと、前記第1プラグの動作方向を一方向に制限するラチェットとを備えることを特徴とするロータリーダンパ。
2.前記ハウジング内に設けられる作動室の開口部を閉塞するために、前記ハウジングと前記第1プラグとの間に設置される金属製の第2プラグを備えることを特徴とする前記1に記載のロータリーダンパ。
3.前記第2プラグの回転を防止するための回り止め機構を備えており、前記ラチェットが、前記第1プラグに形成される歯と、前記第2プラグに形成される爪との組み合わせから構成されることを特徴とする前記2に記載のロータリーダンパ。
4.前記ハウジングが、前記作動室を仕切る隔壁を備えており、前記回り止め機構が、前記隔壁に形成される凹部及び前記第2プラグに形成される前記凹部にはまり込む凸部、又は前記隔壁に形成される凸部及び前記第2プラグに形成される前記凸部がはまり込む凹部から構成されることを特徴とする前記3に記載のロータリーダンパ。
5.前記ラチェットが、前記第1プラグに形成される歯と、前記ハウジングに形成される爪との組み合わせから構成されることを特徴とする前記1又は2に記載のロータリーダンパ。
6.前記爪が、勾配を有する形状に形成されていることを特徴とする前記1〜5のいずれか1に記載のロータリーダンパ。
【発明の効果】
【0008】
本発明のロータリーダンパによれば、ハウジング及び第1プラグがいずれも合成樹脂製であるため、ロータリーダンパの重量を軽くし得る。また、第1ネジ部と第2ネジ部とが結合したときに、ラチェットによって第1プラグの動作方向が一方向に制限されるため、第1ネジ部と第2ネジ部との結合の緩みを防止し得る。したがって、第1ネジ部と第2ネジ部とを結合させるにあたって追加の工程が不要であり、製造コストの低減を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の一の実施の形態に係るロータリーダンパを示す平面図である。
【図2】図2は、本発明の一の実施の形態に係るロータリーダンパを示す正面図である。
【図3】図3は、図1におけるA−A部断面図である。
【図4】図4は、図3におけるB−B部断面図である。
【図5】図5は、ハウジングの平面図である。
【図6】図6は、図5におけるC−C部断面図である。
【図7】図7は、第1プラグの平面図である。
【図8】図8は、図7におけるD−D部断面図である。
【図9】図9は、第2プラグの平面図である。
【図10】図10は、図9におけるE−E部断面図である。
【図11】図11は、ラチェットの仕組みを説明するための図である。
【図12】図12は、本発明の他の実施の形態に係るロータリーダンパを示す平面図である。
【図13】図13は、図12におけるF−F部断面図である。
【図14】図14は、本発明の他の実施の形態に係るロータリーダンパを示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明するが、本発明は以下に述べる実施の形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図1〜図4は、本発明の一の実施の形態に係るロータリーダンパを示す図である。これらの図に示したように、本実施例に係るロータリーダンパは、ハウジング10、第1プラグ20、第2プラグ30、回り止め機構及びラチェット40を有して構成される。
【0012】
ハウジング10は、合成樹脂で作られており、円筒形の周壁11と、周壁11の一端を閉塞する底壁12と、周壁11から外側に向かって突出するフランジ13と、周壁11から内側に向かって突出する隔壁14とを有する(図5及び図6参照)。周壁11の外周面には、第1ネジ部15が形成されている(図6参照)。底壁12には、軸受けとなる穴16が形成されている(図5及び図6参照)。隔壁14には、凹部17が形成されている(図4〜図6参照)。
【0013】
ハウジング10内には、ベーン51を備えた軸50が収容される(図3及び図4参照)。軸50の一端側は、穴16に挿通されている(図3参照)。ベーン51は、ハウジング10内に設けられる作動室60に配置される(図4参照)。作動室60は、軸50とハウジング10との間に形成される空間であり、隔壁14によって仕切られている(図4参照)。作動室60には、粘性液体が充填される。穴16の付近には、軸50と穴16との間隙から粘性液体が漏出しないようにOリング71が配置されている(図3参照)。
【0014】
第1プラグ20は、合成樹脂で作られており、多角形の周壁21と、周壁21の一端を閉塞する端壁22とを有する(図7及び図8参照)。周壁21の内面は曲面であり、その内面には、第1ネジ部15に結合し得る第2ネジ部23が形成されている(図8参照)。端壁22は、穴24を有し、その穴24の内周面には、傾斜した歯25が形成されている(図7参照)。
【0015】
第2プラグ30は、金属で作られており、基部31と、基部31の一面側において基部31から突出する環状部32と、基部31の他面側において基部31から突出する凸部33とを有する(図10参照)。第2プラグ30には、軸受けとなる穴34が形成されている(図9及び図10参照)。穴34には、軸50の他端側が挿通され、穴34の付近には、軸50と穴34との間隙から粘性液体が漏出しないようにOリング72が配置されている(図3参照)。環状部32の外周面には、第1プラグ20に形成された歯25の傾斜の向きとは逆向きに傾斜した爪35が形成されており、この爪35は、勾配を有する形状に形成されている(図9及び図10参照)。
【0016】
第2プラグ30は、作動室60の開口部を閉塞するために、ハウジング10と第1プラグ20との間に設置される(図3参照)。符号73は、第2プラグ30の基部31とハウジング10の周壁との間隙から粘性液体が漏出することを防止するためのOリングである(図3参照)。
【0017】
粘性液体の圧力を利用して制動特性を得るロータリーダンパでは、作動時の内圧が高くなるとプラグが変形し易くなるという問題がある。プラグの変形は、プラグとベーンとの間隙を拡大させ、粘性液体の流動を良くするため、制動特性の低下をもたらす。しかしながら、本実施例では、作動室60の開口部を閉塞する第2プラグ30が金属製であるため、作動時の内圧が高くなっても第2プラグ30に変形が生じ難いという利点がある。したがって、本実施例によれば、作動時の内圧が高くなっても第2プラグ30とベーン51との間隙が拡大せず、安定した制動特性を得ることができる。
【0018】
回り止め機構は、隔壁14に形成された凹部17と、第2プラグ30に形成された凸部33とから構成される。第2プラグ30は、凸部33が凹部17にはまり込むことによって回転が抑止される。なお、回り止め機構は、隔壁14に形成される凸部と、第2プラグ30に形成される凹部とから構成されるものであっても良い。この場合、第2プラグ30は、隔壁14に形成された凸部が第2プラグ30に形成された凹部にはまり込むことによって回転が抑止される。
【0019】
ラチェット40は、第1プラグ20の動作方向を一方向に制限する役割を果たすものである。ここで、「第1プラグ20の動作方向を一方向に制限する」とは、第1ネジ部15と第2ネジ部23とを結合させる方向に第1プラグ20が回転動作することを許容し、第1ネジ部15と第2ネジ部23とを結合させた後には、それらの結合を解除する方向に第1プラグ20が回転動作することを阻止するという意味である。
【0020】
本実施例におけるラチェット40は、第1プラグ20に形成された歯25と、第2プラグ30に形成された爪35との組み合わせから構成される。第1ネジ部15と第2ネジ部23とを結合させるために、第1プラグ20を一方向(時計回り方向)に回転動作させていくと、図11の(a)に示したように、歯25が爪35に接近する。この状態から第1プラグ20を同じ方向にさらに回転動作させていくと、図11の(b)に示したように、歯25が爪35に接触し、その爪35を乗り越える。このとき、第1プラグ20が合成樹脂製であるため、歯25はその弾性により、爪35との接触によって欠損等することなく、爪35を乗り越えた後は元の形状に復帰する。また、爪35は勾配を有する形状であるため、歯25と爪35との接触時に生じる抵抗をより小さくすることができる。したがって、小さいトルクで第1プラグ20を回転動作させることができる。そして、第1ネジ部15と第2ネジ部23とを完全に結合させたときには、図11の(c)に示したように、歯25と爪35が完全にかみ合うことになり、それによって、第1プラグ20の逆方向(反時計回り方向)への回転動作を阻止し、第1ネジ部15と第2ネジ部23との結合の緩みを防止することができる。
【0021】
このように、本実施例によれば、ラチェット40を有するため、第1ネジ部15と第2ネジ部23との結合の緩みを防止するための追加の工程が不要であり、第1プラグ20を一方向に回転動作させ、第1ネジ部15と第2ネジ部23とを結合させるだけで、第1ネジ部15と第2ネジ部23との結合の緩みを防止することができ、製造コストの低減を図ることが可能になる。また、ハウジング10及び第1プラグ20がいずれも合成樹脂製であるため、ロータリーダンパの重量を軽くし得る。
【0022】
なお、本実施例に係るロータリーダンパは、ベーン51又は隔壁14が作動室60内の粘性液体を押圧することによって生じる粘性液体の圧力を利用して軸50又はハウジング10の回転速度を減速させるものであるが、そのような制動特性を得るための構成は上記した構成に何等限定されるものではない。本発明は、プラグを取り付けるための構成に特徴を有するため、制動特性を得るための構成が異なる種々のロータリーダンパに適用可能である。
【実施例2】
【0023】
図12〜図14は、本発明の他の実施の形態に係るロータリーダンパを示す図である。これらの図に示したように、本実施例に係るロータリーダンパは、ラチェット40を構成する爪18がハウジング10に形成されている点で実施例1に係るロータリーダンパと異なる。
【0024】
本実施例におけるハウジング10は、周壁11の外周面に形成される第1ネジ部15と、周壁11の外周面において第1ネジ部15の付近に形成される爪18とを有する(図13及び図14参照)。また、本実施例における第1プラグ20は、周壁21の内面に形成される第2ネジ部23と、周壁21の内面において第2ネジ部23の付近に形成される歯25とを有する(図13及び図14参照)。
【0025】
本実施例におけるラチェット40は、第1プラグ20に形成される歯25と、ハウジング10に形成される爪18との組み合わせから構成されており、実施例1に係るロータリーダンパと同様に、第1プラグ20の動作方向を一方向に制限する役割を果たす。すなわち、第1ネジ部15と第2ネジ部23とを完全に結合させたときには、歯25と爪18が完全にかみ合うことになり、それによって、第1プラグ20の回転動作を阻止し、第1ネジ部15と第2ネジ部23との結合の緩みを防止することができる。
【0026】
本実施例も実施例1と同様に、ラチェット40を有するため、第1ネジ部15と第2ネジ部23との結合の緩みを防止するための追加の工程が不要であり、第1プラグ20を一方向に回転動作させ、第1ネジ部15と第2ネジ部23とを結合させるだけで、第1ネジ部15と第2ネジ部23との結合の緩みを防止することができ、製造コストの低減を図ることが可能になる。また、ハウジング10及び第1プラグ20がいずれも合成樹脂製であるため、ロータリーダンパの重量を軽くし得る。
【0027】
本実施例のように、ラチェット40を構成する爪18をハウジング10に形成することにより、第2プラグ30の回転を必ずしも抑制しなくてよいため、実施例1のような回り止め機構を省略し得る。また、ラチェット40を構成する爪18をハウジング10に形成することにより、例えば、粘性液体の粘性抵抗を利用して制動特性を得るタイプのロータリーダンパのように、作動時の最大内圧が低いロータリーダンパにおいては、内圧によるプラグの変形が生じ難いことから、第2プラグ30を省略することも可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 ハウジング
11 ハウジングの周壁
12 ハウジングの底壁
13 フランジ
14 隔壁
15 第1ネジ部
16 穴
17 凹部
18 爪
20 第1プラグ
21 第1プラグの周壁
22 第1プラグの端壁
23 第2ネジ部
24 穴
25 歯
30 第2プラグ
31 第2プラグの基部
32 第2プラグの環状部
33 凸部
34 穴
35 爪
40 ラチェット
50 軸
51 ベーン
60 作動室
71,72,73 Oリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ネジ部を有する合成樹脂製のハウジングと、前記第1ネジ部に結合する第2ネジ部を有する合成樹脂製の第1プラグと、前記第1プラグの動作方向を一方向に制限するラチェットとを備えることを特徴とするロータリーダンパ。
【請求項2】
前記ハウジング内に設けられる作動室の開口部を閉塞するために、前記ハウジングと前記第1プラグとの間に設置される金属製の第2プラグを備えることを特徴とする請求項1に記載のロータリーダンパ。
【請求項3】
前記第2プラグの回転を防止するための回り止め機構を備えており、前記ラチェットが、前記第1プラグに形成される歯と、前記第2プラグに形成される爪との組み合わせから構成されることを特徴とする請求項2に記載のロータリーダンパ。
【請求項4】
前記ハウジングが、前記作動室を仕切る隔壁を備えており、前記回り止め機構が、前記隔壁に形成される凹部及び前記第2プラグに形成される前記凹部にはまり込む凸部、又は前記隔壁に形成される凸部及び前記第2プラグに形成される前記凸部がはまり込む凹部から構成されることを特徴とする請求項3に記載のロータリーダンパ。
【請求項5】
前記ラチェットが、前記第1プラグに形成される歯と、前記ハウジングに形成される爪との組み合わせから構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリーダンパ。
【請求項6】
前記爪が、勾配を有する形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載のロータリーダンパ。
【請求項1】
第1ネジ部を有する合成樹脂製のハウジングと、前記第1ネジ部に結合する第2ネジ部を有する合成樹脂製の第1プラグと、前記第1プラグの動作方向を一方向に制限するラチェットとを備えることを特徴とするロータリーダンパ。
【請求項2】
前記ハウジング内に設けられる作動室の開口部を閉塞するために、前記ハウジングと前記第1プラグとの間に設置される金属製の第2プラグを備えることを特徴とする請求項1に記載のロータリーダンパ。
【請求項3】
前記第2プラグの回転を防止するための回り止め機構を備えており、前記ラチェットが、前記第1プラグに形成される歯と、前記第2プラグに形成される爪との組み合わせから構成されることを特徴とする請求項2に記載のロータリーダンパ。
【請求項4】
前記ハウジングが、前記作動室を仕切る隔壁を備えており、前記回り止め機構が、前記隔壁に形成される凹部及び前記第2プラグに形成される前記凹部にはまり込む凸部、又は前記隔壁に形成される凸部及び前記第2プラグに形成される前記凸部がはまり込む凹部から構成されることを特徴とする請求項3に記載のロータリーダンパ。
【請求項5】
前記ラチェットが、前記第1プラグに形成される歯と、前記ハウジングに形成される爪との組み合わせから構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリーダンパ。
【請求項6】
前記爪が、勾配を有する形状に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載のロータリーダンパ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−102827(P2012−102827A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253107(P2010−253107)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000198271)株式会社ソミック石川 (91)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000198271)株式会社ソミック石川 (91)
【Fターム(参考)】
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