説明

ロータリー作業機

【課題】土引き作業を行うことができるロータリー作業機を提供する。
【解決手段】ロータリー作業機1は、トラクタの後部に連結する機体2を備える。機体2には、回転しながら耕耘作業をする耕耘体3を回転可能に設ける。機体2の耕耘体カバー部には、耕耘体3の後方で整地作業をする整地体4を上下方向に回動可能に設ける。ロータリー作業機1は、整地体4の上方回動を規制してこの整地体4を土引き作業位置に位置決めする回動規制手段5を備える。回動規制手段5が、整地体4の下方回動を規制してこの整地体4の変形を防止する変形防止手段を兼ねている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土引き作業を行うことができるロータリー作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されたロータリー作業機が知られている。
【0003】
この従来のロータリー作業機は、トラクタ等の走行車の後部に連結される機体と、この機体に回転可能に設けられ回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、機体に上下方向に回動可能に設けられ耕耘体の後方で整地作業をする整地体とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−116703号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば圃場の隅部や圃場の凹部へ土を引いて移動させる土引き作業が必要な場合があるが、上記従来のロータリー作業機では、その土引き作業ができなかった。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、土引き作業を行うことができるロータリー作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のロータリー作業機は、走行車に連結される機体と、この機体に回転可能に設けられ、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、前記機体に上下方向に回動可能に設けられ、前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、この整地体の上方回動を規制してこの整地体を土引き作業位置に位置決めする回動規制手段とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載のロータリー作業機は、請求項1記載のロータリー作業機において、機体は、側板部を有し、回動規制手段は、整地体に設けられた係合体と、前記側板部に設けられ、係合状態および係合解除状態に選択的に切り換えれる回動規制体とを有し、前記回動規制体の係合状態時には、前記係合体と前記回動規制体との係合により前記整地体の上方回動が規制されてこの整地体が土引き作業位置に位置決めされ、前記回動規制体の係合解除状態時には、前記係合体と前記側板部との係合により前記整地体の下方回動が規制されるものである。
【0009】
請求項3記載のロータリー作業機は、請求項2記載のロータリー作業機において、係合体は、係合ピンを有し、回動規制体は、前記係合ピンと解除可能に係合する係合孔部を有するものである。
【0010】
請求項4記載のロータリー作業機は、請求項1ないし3のいずれか一記載のロータリー作業機において、回動規制手段が、整地体の上方回動および下方回動を規制してこの整地体を土引き作業位置にロック状態として位置決めするものである。
【0011】
請求項5記載のロータリー作業機は、請求項1記載のロータリー作業機において、機体は、側板部を有し、回動規制手段は、整地体に設けられ、第1取付孔部および第2取付孔部を有するピン取付体と、前記第1取付孔部および前記第2取付孔部に選択的に取り付けられる脱着ピンとを有し、前記脱着ピンが前記第1取付孔部に取り付けられた状態時には、前記脱着ピンと前記側板部との係合により前記整地体の上方回動が規制されてこの整地体が土引き作業位置に位置決めされ、前記脱着ピンが前記第2取付孔部に取り付けられた状態時には、前記脱着ピンと前記側板部との係合により前記整地体の下方回動が規制されるものである。
【0012】
請求項6記載のロータリー作業機は、請求項1記載のロータリー作業機において、機体は、側板部を有し、回動規制手段は、整地体に設けられ、下方回動規制部、第1取付孔部および第2取付孔部を有するピン取付体と、前記第1取付孔部および前記第2取付孔部に選択的に取り付けられる脱着ピンとを有し、前記脱着ピンが前記第1取付孔部に取り付けられた状態時には、前記脱着ピンと前記側板部との係合により前記整地体の上方回動が規制されてこの整地体が土引き作業位置に位置決めされ、前記脱着ピンが前記第2取付孔部に取り付けられた状態時には、前記下方回動規制部と前記側板部との係合により前記整地体の下方回動が規制されるものである。
【0013】
請求項7記載のロータリー作業機は、請求項1ないし6のいずれか一記載のロータリー作業機において、回動規制手段が、整地体の下方回動を規制してこの整地体の変形を防止する変形防止手段を兼ねているものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、整地体の上方回動を規制してこの整地体を土引き作業位置に位置決めする回動規制手段を備えるため、この土引き作業位置に位置決めされた整地体にて土引き作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るロータリー作業機の側面図である。
【図2】同上ロータリー作業機の部分背面図である。
【図3】同上ロータリー作業機の回動規制手段の背面図である。
【図4】同上ロータリー作業機の部分側面図(整地体ロック状態)である。
【図5】同上ロータリー作業機の部分側面図(整地体フリー状態)である。
【図6】(a)および(b)は同上ロータリー作業機の係合体を示す図である。
【図7】(a)および(b)は同上ロータリー作業機の回動規制体を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係るロータリー作業機の部分側面図である。
【図9】同上ロータリー作業機の部分側面図(整地体ロック状態)である。
【図10】同上ロータリー作業機の部分側面図(整地体フリー状態)である。
【図11】同上ロータリー作業機のピン取付体を示す図である。
【図12】同上ピン取付体および脱着ピンを示す図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係るロータリー作業機の部分側面図である。
【図14】同上ロータリー作業機の部分側面図(整地体ロック状態)である。
【図15】同上ロータリー作業機の部分側面図(整地体フリー状態)である。
【図16】同上ロータリー作業機のピン取付体を示す図である。
【図17】同上ピン取付体および脱着ピンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図7を参照して説明する。
【0017】
図1ないし図3において、1はロータリー作業機で、このロータリー作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結されて使用される農作業機である。
【0018】
そして、ロータリー作業機1は、トラクタの後部に連結された状態で、トラクタの前進走行により前方(進行方向)に移動しながら耕耘整地作業を行う。また、このロータリー作業機1は、通常の耕耘整地作業に加えて、例えば圃場面の土を圃場の隅部や圃場の凹部に向けて移動させる場合には、土引き作業を行うことが可能なものである。
【0019】
ロータリー作業機1は、図示しないトラクタの後部の3点リンク部(作業機昇降装置)に脱着可能に連結された機体2と、機体2に回転可能に設けられトラクタ側からの動力で回転しながら耕耘作業をする耕耘体3とを備えている。また、ロータリー作業機1は、機体2の耕耘体カバー部6の後端部に左右方向の回動中心軸線(回動支点)Xを中心として上下方向に回動可能に設けられ耕耘体2の後方で整地作業をする板状の整地体(均平板)4と、整地体4の上方回動を規制して整地体4をこの整地体4が土引き作業を行うことが可能な所定の土引き作業位置に位置決めする回動規制手段5とを備えている。
【0020】
機体2は、左右方向長手状で円筒状のフレーム部であるフレームパイプ部11を有している。フレームパイプ部11の左右方向中央部にはギアボックス部12が設けられ、このギアボックス部12から入力軸13が前方に向かって突出している。入力軸13は、トラクタの後部のPTO軸(図示せず)に、ユニバーサルジョイントおよび伝動シャフト等にて構成された伝動手段(図示せず)を介して接続されている。
【0021】
フレームパイプ部11の長手方向一端部である左端部には、上下方向長手状でかつ箱状の耕耘体支持部であるチェーンケース部(サイド伝動ケース部)16の上部が取り付けられている。フレームパイプ部11の長手方向他端部である右端部には、上下方向長手状でかつ板状の耕耘体支持部であるブラケット部(サイドフレーム部)17の上部が取り付けられている。そして、互いに離間対向するチェーンケース部16およびブラケット部17には、耕耘体3が回転可能に架設されている。つまり、所定距離を介して互いに離間対向する左右1対の耕耘体支持部16,17にて、左右方向長手状の耕耘体3が回転可能に支持されている。各耕耘体支持部16,17の後端部には、耕耘体3の側方部を覆う板状のサイドカバー部である側板部20が固設されている。各側板部20は、対応する耕耘体支持部16,17の後端部から後方に向かって突出している。
【0022】
また、各側板部20の上部には左右方向の丸軸状の解除状態時用のピン19が固設され、このピン19は側板部20の外面から外側方に向かって突出している。つまり、チェーンケース部16に固設された左側の側板部20の外面からピン19が左側方に向かって突出し、ブラケット部17に固設された右側の側板部20の外面からピン19が右側方に向かって突出している。
【0023】
さらに、機体2は、フレームパイプ部11に対して固定され耕耘体3の上方部を覆う耕耘体カバー部6を有している。耕耘体カバー部6は、上方に向かって凸の湾曲板状で左右方向長手状のカバー本体板7と、このカバー本体板7の左右方向両端部に固設されたカバー側板8とを有している。
【0024】
そして、耕耘体カバー部6のカバー本体板7の後端部には、ヒンジ9を介して整地体4の上端部(前端部)が左右方向の軸(回動中心軸線X)10を中心として回動可能に取り付けられている。左側のカバー側板8はチェーンケース部16の上部内面に互いに重なり合うように取り付けられ、右側のカバー側板8はブラケット部17の上部内面に互いに重なり合うように取り付けられている(図3参照)。
【0025】
耕耘体3は、左側のチェーンケース部16の下部と右側のブラケット部17の下部とにて回転可能に支持された左右方向長手状の耕耘軸である回転軸21を有している。回転軸21の軸方向一端部である左端部がチェーンケース部16の下部にてベアリング(図示せず)を介して回転可能に支持され、回転軸21の軸方向他端部である右端部がブラケット部17の下部にてベアリング(図示せず)を介して回転可能に支持されている。そして、回転軸21は、入力軸13に接続された動力伝達手段から動力を受けて左右方向の回転中心軸線を中心として所定方向に駆動回転する。また、回転軸21には、この回転軸21と一体となって回転しながら耕耘作業をする複数の耕耘爪22が脱着可能に取り付けられている。各耕耘爪22は、所望形状に曲がった板状に形成されている。
【0026】
整地体4は、耕耘体3の後方で圃場面に追従するように機体2に対して上下回動しながら整地作業をする左右方向長手状で略矩形板状の整地本体板26と、この整地本体板26の左右方向両端部に固設された整地側板27とを有している。整地本体板26の上端部が機体2の耕耘体カバー部6のカバー本体板7の後端部にヒンジ9を介して回動可能に取り付けられている。なお、整地本体板26の下端部は、自由端部28となっている。
【0027】
回動規制手段5は、トラクタのバック走行時に整地体4の機体2に対する下方回動を規制してこの整地体4の変形を防止する変形防止手段を兼ねたものである。なお、回動規制手段5は、ロータリー作業機1の左右両側にそれぞれ設けられている。
【0028】
回動規制手段5は、例えば連結アーム仕様のもので、図4ないし図7にも示されるように、整地体4に固定的に設けられこの整地体4と一体となって上下方向に回動する係合体31と、側板部20に左右方向の軸33を中心として上下方向に回動可能に設けられその回動により係合状態(作用状態)および係合解除状態(非作用状態)に選択的に切り換えれるアーム状で板状の回動規制体(連結アーム)32とを有している。
【0029】
この回動規制体32は、例えば作業者の人力に基づく回動によって、係合体31の係合ピン30と係合した係合状態と、係合体31の係合ピン30との係合が解除され側板部20側のピン19と係合した係合解除状態とに、選択的に切り換えられる。
【0030】
ここで、係合体31は、略三角形状の取付板36と、この取付板36の後部に取り付けられた左右方向の丸軸状のロックピンである係合ピン30とにて構成されている。
【0031】
取付板36は、整地体4の整地側板27の内面にこの整地側板27と重なり合うように取付具(例えばボルトおよびナット等)37にて取り付けられている。取付板36には、複数(例えば4つ)のボルト用孔部38が形成されている。
【0032】
係合ピン30は、取付板36の外面から外側方に向かって突出し、側板部20の後端面と対向している。つまり、係合ピン30の先端側係合部30aは、側板部20の外面よりも外側方に位置している(図3参照)。係合ピン30は、取付板36に形成されたピン用孔部39に嵌合により取り付けられている。なお、係合ピン30の外径寸法とピン19の外径寸法とは同じであるが、例えばピン19の外径寸法を係合ピン30の外径寸法より小さくしてもよい。
【0033】
一方、回動規制体32は、整地体4の機体2に対する上下回動を規制して整地体4を機体2に対してロック(固定)するロック体である。回動規制体32は、例えば細長い矩形状の単一板部材のみで構成されている。
【0034】
回動規制体32の長手方向一端部である基端部が、側板部20の外面側に軸33を中心として回動可能に取り付けられている。回動規制体32の長手方向他端部である先端部が自由端部で、この自由端部側が外側方に向かってやや折り曲げられている。そして、この回動規制体32の自由端部側が、回動規制体32を側板部20に対して回動させる際に作業者が指先で摘む摘み部41となっている。
【0035】
回動規制体32の側板部20に対する回動支点である軸33の外周側には、回動規制体32を側板部20側に向けて付勢する付勢体であるコイルばね42が配設されている。コイルばね42は、互いに離間対向する座金43間に位置している。
【0036】
回動規制体32の基端部には軸用孔部44が形成され、この軸用孔部44に左右方向の丸軸状の軸33が挿入されている。回動規制体32の先端側には、回動規制体32の係合状態時に係合体31の係合ピン30の先端側係合部30aと解除可能(係脱可能)に嵌合により係合する係合孔部45が形成されている。この係合孔部45は、回動規制体32の係合解除状態時には、側板部20に取り付けられたピン19と解除可能(係脱可能)に嵌合により係合する。
【0037】
そして、図7に示されるように、例えば組立・製造誤差や部材変形等に基づくピン19,30の位置ずれに対応できかつ作業者が摘み部41を摘んで回動規制体32をコイルばね42の付勢に抗して側板部20から離反方向に動かして係合孔部45とピン19,30との係合を解除できるように、軸用孔部44が回動規制体32の長手方向に沿った長孔状に形成されている。また、係合孔部45は、ピン19,30と係脱可能に嵌合係合する丸孔状に形成されている。なお、例えば図示しないが、軸用孔部44および係合孔部45の両方を回動規制体32の長手方向に沿った長孔状に形成してもよい。
【0038】
なお、ロータリー作業機1は、図1に示されるように、耕耘整地作業時に整地体4の圃場面に対する接地圧を調整するための接地圧調整手段47と、機体2の前部にゲージ輪支持手段48を介して上下位置調整可能に設けられたゲージ輪49とを備えている。
【0039】
次に、ロータリー作業機1の作用等を説明する。
【0040】
ロータリー作業機1を使用して、例えば圃場の隅部や圃場の凹部に向けて圃場面の土を引いて移動させる場合には、作業者は、図4に示すように、回動規制体32を回動させて係合解除状態から係合状態に切り換え、回動規制体32の係合孔部45と係合ピン30とを互いに嵌合により係合させる。
【0041】
その結果、この回動規制体32の係合状態時には、係合体31の係合ピン30と回動規制体32の係合孔部45との係合により、整地体4の機体2に対する上方回動および下方回動の両方が規制されて、この整地体4が機体2に対して土引き作業位置に略鉛直姿勢のロック状態として位置決めされる。
【0042】
そして、トラクタの前進走行によりロータリー作業機1全体が前方に移動すると、土引き作業位置に位置決めされたロック状態の整地体4が略鉛直姿勢のまま土引作業を行う。
【0043】
また、ロータリー作業機1を使用して、通常の耕耘整地作業を行う場合には、作業者は、図5に示すように、回動規制体32を回動させて係合状態から係合解除状態に切り換え、回動規制体32の係合孔部45とピン19とを互いに嵌合により係合させる。
【0044】
その結果、この回動規制体32の係合解除状態時には、整地体4は、機体2に対して所定範囲内において上下方向に回動可能なフリー状態となり、耕耘整地作業を行うことが可能である。例えば図5から明らかなように、フリー状態の整地体4は、土引き作業位置よりも上方の位置まで自由に上方回動することができる。
【0045】
また、この回動規制体32の係合解除状態時には、例えばトラクタがバック走行して前向きの外力(土から受ける力)が整地体4に作用した際に、係合体31の係合ピン30と側板部20の後端面の係合受面(係合受部)50との当接係合により、整地体4の下方回動のみが規制される。その結果、整地体4が所定の下限位置よりも下方へ回動せず、整地体4の変形が抑制される。
【0046】
そして、このようなロータリー作業機1によれば、整地体4の上方回動を規制してこの整地体4を土引き作業位置に位置決めする回動規制手段5を備えるため、この土引き作業位置に位置決めされた整地体4にて土引き作業を行うことができる。
【0047】
また、回動規制体32の係合状態時には係合体31の係合ピン30と回動規制体32との係合により整地体4の上方回動および下方回動が規制されてこの整地体4が土引き作業位置にロック状態(機体2に対する固定状態)として位置決めされるため、この土引き作業位置に位置決めされた整地体にて土引き作業を安定的かつ適切に行うことができ、また、回動規制体32の係合解除状態時には係合体31の係合ピン30と側板部20の係合受面50との係合により整地体4の下方回動が規制されるため、トラクタのバック走行時における整地体4の変形を防止できる。
【0048】
さらに、回動規制手段5が整地体4の下方回動を規制してこの整地体4の変形を防止する変形防止手段を兼ねているため、構成の簡素化を図ることができる。
【0049】
次に、本発明の第2の実施の形態について図8ないし図12を参照して説明する。
【0050】
この第2の実施の形態のロータリー作業機1では、回動規制手段5は、連結アーム仕様とは異なるピン仕様のものであり、係合体31および回動規制体32は有さず、ピン取付体61およびこのピン取付体61に対して作業者の人力で脱着可能な1本の丸軸状の脱着ピン62を有している。
【0051】
つまり、回動規制手段5は、整地体4に固定的に設けられ第1取付孔部63および第2取付孔部64を有するピン取付体61と、第1取付孔部63および第2取付孔部64に選択的に取り付けられる脱着ピン62とを有している。
【0052】
ピン取付体61は、略三角形状の取付板66と、この取付板66の後部に連結板67を介して連結され取付板66の一部と離間対向する矩形状のピン取付板68とに構成されている。なお、取付板66とピン取付板68との間に、側板部20が入り込む。
【0053】
取付板66は、整地体4の整地側板27の内面にこの整地側板27と重なり合うように取付具(例えばボルトおよびナット等)37にて取り付けられている。取付板66には、複数(例えば4つ)のボルト用孔部70が形成されている。また、取付板66には、第1孔部71および第2孔部72がそれぞれ1つずつ形成されている(図12参照)。
【0054】
ピン取付板68には、取付板66の第1孔部71および第2孔部72と離間対向する第1孔部73および第2孔部74がそれぞれ1つずつ形成されている(図12参照)。そして、取付板66の第1孔部71とピン取付板68の第1孔部73とにて第1取付孔部(ロック用ピン孔)63が構成され、取付板66の第2孔部72とピン取付板68の第2孔部74とにて第2取付孔部(フリー用ピン孔)64が構成されている。
【0055】
また、機体2の各側板部20の後端部には、凹状部76が形成されている。凹状部76は、1つの上方回動規制用の係合受面(係合受部)77と、2つの下方回動規制用の係合受面(係合受部)78,79とを有している。つまり、側板部20の後端面における凹状部76には、脱着ピン62と当接係合する係合受面77,78,79が形成されている。なお、この第2の実施の形態のその他の構成は前記第1の実施の形態の構成と基本的に同じである。
【0056】
そして、この第2の実施の形態に係るロータリー作業機1を使用して、例えば圃場の隅部や圃場の凹部に向けて圃場面の土を引いて移動させる場合には、作業者は、図8および図9に示すように、脱着ピン62をピン取付体61の第1取付孔部63に嵌合により取り付ける。
【0057】
その結果、この脱着ピン62が第1取付孔部63に取り付けられた状態時には、脱着ピン62と側板部20の上方回動規制用の係合受面77との当接係合により整地体4の上方回動のみが規制されてこの整地体4が土引き作業位置に略鉛直姿勢で位置決めされる。
【0058】
そして、トラクタの前進走行によりロータリー作業機1全体が前方に移動すると、上方回動の規制によって土引き作業位置に位置決めされた整地体4が略鉛直姿勢のまま土引作業を行う。なお、図9の2点鎖線で示すように、脱着ピン62と側板部20の下方回動規制用の係合受面78との当接係合により、整地体4の下方回動のみが規制される。
【0059】
また、このロータリー作業機1を使用して、通常の耕耘整地作業を行う場合には、作業者は、図10に示すように、脱着ピン62をピン取付体61の第2取付孔部64に嵌合により取り付ける。
【0060】
その結果、この脱着ピン62が第2取付孔部64に取り付けられた状態時には、整地体4は、機体2に対して所定範囲内において上下方向に回動可能なフリー状態となり、耕耘整地作業を行うことが可能である。例えば図10から明らかなように、フリー状態の整地体4は、脱着ピン62と係合受面77とが係合しないため、土引き作業位置よりも上方の位置まで自由に上方回動することができる。
【0061】
また、この脱着ピン62が第2取付孔部64に取り付けられた状態時には、例えばトラクタがバック走行して前向きの外力(土から受ける力)が整地体4に作用した際に、脱着ピン62と側板部20の下方回動規制用の係合受面79との当接係合により、整地体4の下方回動のみが規制される。その結果、整地体4が所定の下限位置よりも下方へ回動せず、整地体4の変形が抑制される。
【0062】
そして、このロータリー作業機1でも、前記第1の実施の形態と同様、土引き作業位置に位置決めされた整地体4にて土引き作業を行うことができ、またトラクタのバック走行時における整地体4の変形を防止できる。
【0063】
次に、本発明の第3の実施の形態について図13ないし図17を参照して説明する。
【0064】
この第3の実施の形態のロータリー作業機1では、回動規制手段5は、ピン+当て止め仕様のものであり、前記第2の実施の形態のピン取付体61に矩形板状の下方回動規制部81を付加した構成である。この下方回動規制部81は、ピン取付体61の取付板66の下端に延設された板部80に固定的に突設されている。
【0065】
また、側板部20の凹状部76は、下方回動規制用の係合受面78,79の代わりに、ピン取付体61の下方回動規制部81と当接係合する下方回動規制用の係合受面(係合受部)82を有している。なお、この第3実施の形態のその他の構成は前記第2の実施の形態の構成と基本的に同じである。
【0066】
そして、この第3の実施の形態に係るロータリー作業機1を使用して、例えば圃場の隅部や圃場の凹部に向けて圃場面の土を引いて移動させる場合には、作業者は、図13および図14に示すように、脱着ピン62をピン取付体61の第1取付孔部63に嵌合により取り付ける。
【0067】
その結果、この脱着ピン62が第1取付孔部63に取り付けられた状態時には、脱着ピン62と側板部20の上方回動規制用の係合受面77との当接係合により整地体4の上方回動のみが規制されてこの整地体4が土引き作業位置に略鉛直姿勢で位置決めされる。
【0068】
そして、トラクタの前進走行によりロータリー作業機1全体が前方に移動すると、上方回動の規制によって土引き作業位置に位置決めされた整地体4が略鉛直姿勢のまま土引作業を行う。なお、図14の2点鎖線で示すように、下方回動規制部81と側板部20の下方回動規制用の係合受面82との当接係合により、整地体4の下方回動のみが規制される。
【0069】
また、このロータリー作業機1を使用して、通常の耕耘整地作業を行う場合には、作業者は、図15に示すように、脱着ピン62をピン取付体61の第2取付孔部64に嵌合により取り付ける。
【0070】
その結果、この脱着ピン62が第2取付孔部64に取り付けられた状態時には、整地体4は、機体2に対して所定範囲内において上下方向に回動可能なフリー状態となり、耕耘整地作業を行うことが可能である。例えば図15から明らかなように、フリー状態の整地体4は、脱着ピン62と係合受面77とが係合しないため、土引き作業位置よりも上方の位置まで自由に上方回動することができる。
【0071】
また、この脱着ピン62が第2取付孔部64に取り付けられた状態時には、例えばトラクタがバック走行して前向きの外力(土から受ける力)が整地体4に作用した際に、下方回動規制部81と側板部20の下方回動規制用の係合受面82との当接係合により、整地体4の下方回動のみが規制される。その結果、整地体4が所定の下限位置よりも下方へ回動せず、整地体4の変形が抑制される。
【0072】
そして、このロータリー作業機1でも、前記第1、2の実施の形態と同様、土引き作業位置に位置決めされた整地体4にて土引き作業を行うことができ、またトラクタのバック走行時における整地体4の変形を防止できる。
【0073】
なお、いずれの実施の形態においても、回動規制手段5をロータリー作業機1の左右両側にそれぞれ設けることが好ましいが、回動規制手段5を左右いずれか一方側のみに設けた構成でもよい。
【0074】
また、いずれの実施の形態も、工具レスで整地体4をロック状態およびフリー状態に容易に切り換え可能となっているが、例えばボルトおよびナット等を用いた構成とすることで工具を使用して整地体4を機体2に対してロックおよびロック解除するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 ロータリー作業機
2 機体
3 耕耘体
4 整地体
5 回動規制手段
20 側板部
30 係合ピン
31 係合体
32 回動規制体
45 係合孔部
61 ピン取付体
62 脱着ピン
63 第1取付孔部
64 第2取付孔部
81 下方回動規制部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車に連結される機体と、
この機体に回転可能に設けられ、回転しながら耕耘作業をする耕耘体と、
前記機体に上下方向に回動可能に設けられ、前記耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
この整地体の上方回動を規制してこの整地体を土引き作業位置に位置決めする回動規制手段と
を備えることを特徴とするロータリー作業機。
【請求項2】
機体は、側板部を有し、
回動規制手段は、
整地体に設けられた係合体と、
前記側板部に設けられ、係合状態および係合解除状態に選択的に切り換えれる回動規制体とを有し、
前記回動規制体の係合状態時には、前記係合体と前記回動規制体との係合により前記整地体の上方回動が規制されてこの整地体が土引き作業位置に位置決めされ、
前記回動規制体の係合解除状態時には、前記係合体と前記側板部との係合により前記整地体の下方回動が規制される
ことを特徴とする請求項1記載のロータリー作業機。
【請求項3】
係合体は、係合ピンを有し、
回動規制体は、前記係合ピンと解除可能に係合する係合孔部を有する
ことを特徴とする請求項2記載のロータリー作業機。
【請求項4】
回動規制手段が、整地体の上方回動および下方回動を規制してこの整地体を土引き作業位置にロック状態として位置決めする
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のロータリー作業機。
【請求項5】
機体は、側板部を有し、
回動規制手段は、
整地体に設けられ、第1取付孔部および第2取付孔部を有するピン取付体と、
前記第1取付孔部および前記第2取付孔部に選択的に取り付けられる脱着ピンとを有し、
前記脱着ピンが前記第1取付孔部に取り付けられた状態時には、前記脱着ピンと前記側板部との係合により前記整地体の上方回動が規制されてこの整地体が土引き作業位置に位置決めされ、
前記脱着ピンが前記第2取付孔部に取り付けられた状態時には、前記脱着ピンと前記側板部との係合により前記整地体の下方回動が規制される
ことを特徴とする請求項1記載のロータリー作業機。
【請求項6】
機体は、側板部を有し、
回動規制手段は、
整地体に設けられ、下方回動規制部、第1取付孔部および第2取付孔部を有するピン取付体と、
前記第1取付孔部および前記第2取付孔部に選択的に取り付けられる脱着ピンとを有し、
前記脱着ピンが前記第1取付孔部に取り付けられた状態時には、前記脱着ピンと前記側板部との係合により前記整地体の上方回動が規制されてこの整地体が土引き作業位置に位置決めされ、
前記脱着ピンが前記第2取付孔部に取り付けられた状態時には、前記下方回動規制部と前記側板部との係合により前記整地体の下方回動が規制される
ことを特徴とする請求項1記載のロータリー作業機。
【請求項7】
回動規制手段が、整地体の下方回動を規制してこの整地体の変形を防止する変形防止手段を兼ねている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載のロータリー作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−51943(P2013−51943A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−194332(P2011−194332)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】