説明

ロータリー式空缶連続光検査装置、及び、容器の公転移動装置

【課題】生産性、耐久性及び検査品質などを向上させることができるロータリー式空缶連続光検査装置、及び、容器の公転移動装置の提供を目的とする。
【解決手段】ロータリー式空缶連続光検査装置1は、空缶αを公転させる二連式スターホイール32、公転する空缶αを保持し往復移動させる往復移動手段2、移動された空缶αの開口端が係入する光シール環盤36、空缶αの外面に光を照射する上ライト42、下ライト44、及び、光検知器を有し、往復移動手段2が、ヘッド106、円板カム96、サポートプレート25及びLMガイド24などを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリー式空缶連続光検査装置、及び、容器の公転移動装置に関し、特に、生産性、耐久性及び検査品質などを向上させることができるロータリー式空缶連続光検査装置、及び、容器の公転移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
絞りしごき缶やストレッチドロー缶は、円板状ブランクを絞り加工し、側壁をしごき加工やストレッチドロー加工により薄肉化することによって成形される。この薄肉化率は、円板状ブランクの板厚の50〜70%にもなるので、ピンホール(缶胴穴あき)が生じる場合もある。このピンホールが生じると、内容物が漏洩したり細菌が侵入する可能性があり、容器としては致命的な欠陥となる。
そこで、容器のピンホールを検出するために、光検出装置(ライトテスタとも呼ばれる。)が使用されている。
【0003】
(従来例)
次に、本発明に関連する光検出装置(すなわち、特許文献1にて開示されたロータリー式空缶連続光検査装置)の要部について、図面を参照して説明する。
図5は、従来例にかかるロータリー式空缶連続光検査装置の駆動軸に沿った要部の概略断面図を示している。なお、この図5は、特許文献1の図2とほぼ同じであり、また、図5の符号は、特許文献1の符号とほぼ同じである。
図5において、ロータリー式空缶連続光検査装置Aは、二連式スターホイール32、スライドプッシャー34、光シール環盤36、上ライト42、下ライト44、及び、光検知器(図示せず)などを有しており、空缶αのピンホールを検出し、不良の空缶αを不良品排出口に排出する。
【0004】
二連式スターホイール32は、空缶αを一缶ずつ受入れる缶受座が周方向等間隔に外周に設けられており、空缶αを公転させる。この二連式スターホイール32は、駆動軸56に固定されており、空缶供給ステイション、光検査ステイション、不良品排出ステイション及び良品排出ステイションを順次周回する。
【0005】
スライドプッシャー34は、図6に示すように、ほぼ円柱状の摺動部341と、板状のカムホロワ取付部342とを有している。摺動部341の駆動側の端面にヘッド106が取り付けられ(図5参照)、カムホロワ取付部342にカムホロワ92及びカムホロワ94が円板カム96のカム山96aを挟むように取り付けられている。また、スライドプッシャー34は、摺動部341の側面に(図6(a)の下側の側面に)キー溝343が形成されている。
また、各スライドプッシャー34は、ガイドスリーブ88に貫入された状態で、二連式スターホイール32の各缶受座と対応する位置に配設されており、後述するように、缶受座に受入れた空缶αを往復移動方向に移動させる。
【0006】
ガイドスリーブ88は、ハウジング880、ブッシュ881、オイルシール882、押え板883、C形止め輪884、及び、グリスニップル885などを有している。ハウジング880は、スライドプッシャー34の貫入される貫通孔が形成されており、駆動側及び従動側に、ブッシュ881、オイルシール882、押え板883、及び、C形止め輪884が取り付けられている。また、ハウジング880は、上部(図6(a)のハウジング880の上部)の中央にグリスニップル885が取り付けられ、下部(図6(a)のハウジング880の下部)の中央にスベリキー90に対応するキー溝886が形成されている。
【0007】
スベリキー90は、両端に段差を有する構造としてあり、下部がプッシャーホルダーホイール40のキー溝401及びガイドスリーブ88のキー溝886に嵌入され、上部がスライドプッシャー34のキー溝343に嵌入される。これにより、ガイドスリーブ88は、位置決めされた状態でプッシャーホルダーホイール40に螺着され、また、スベリキー90の上部の側面は、グリスを介してキー溝343の側面と摺動する。すなわち、スベリキー90により、スライドプッシャー34は、回転(自転)しない状態で、往復移動方向に移動することができる。
【0008】
ヘッド106は、ノズル口(図示せず)の形成された先端ブロック部や透明ラバーなどを有しており、空缶αを真空吸着するとともに、不良の空缶αに対してはエアを横から吹き付け排出させる。なお、図5において、ヘッド106に接続されるエアホースなどは、省略してある。
【0009】
光シール環盤36は、空缶α内に侵入した光を通す内孔や、移動された空缶αの開口端が係入する溝を有している。また、各光シール環盤36は、二連式スターホイール32の各缶受座と対応するように、光シールホイール38に配設されている。
また、上ライト42及び下ライト44は、光検査ステイションに設けられており、通過する空缶αの外面に光を照射する。
また、光検知器は、光検査ステイションと対応する位置に設けられており、光検査ステイション内に回来した光シール環盤36と軸合したとき、光シール環盤36を介して空缶α内に侵入した光を検知する。
【0010】
次に、上記構成のロータリー式空缶連続光検査装置Aの動作を説明する。
まず、空缶αが、空缶供給口から二連式スターホイール32の缶受座に供給される。このとき、スライドプッシャー34は、従動側に位置しており、支障なく空缶αが供給される。
次に、円板カム96により、スライドプッシャー34が駆動側に移動を開始するとともに、ヘッド106が空缶αを真空吸着する。そして、空缶αが光検査ステイションに到達する前に、スライドプッシャー34は駆動側に移動し、空缶αの開口端が光シール環盤36に係入される。
【0011】
次に、光検査ステイションに回来した空缶αは、上ライト42及び下ライト44から光が照射された状態にあり、滑り環(図示せず)の中孔に光シール環盤36の内孔が合致すると、光検知器は、光シール環盤36の内孔を通して空缶αの内部へピンホール等から侵入した透過漏光を検出する。
そして、空缶αが光検査ステイションを通過すると、円板カム96によりスライドプッシャー34は、従動側に移動を開始し、空缶αが不良品排出ステイションに到達する前に、スライドプッシャー34は従動側に移動する。
【0012】
次に、不良品判定電気信号が出力されているとき、不良の空缶αは、不良品排出口に排出される。そして、良品の空缶αは、良品排出ステイションに到達する前に、真空吸着が解除され、良品排出ステイションに到達すると、横からエアを吹き付けて空缶供給口から排出される。
【0013】
このように、ロータリー式空缶連続光検査装置Aは、空缶αの良品、不良品の選別排出を連続的に行うことができる。
なお、ロータリー式空缶連続光検査装置Aは、公転する空缶αを保持し往復移動させる往復移動手段を有している。この往復移動手段は、ヘッド106、スライドプッシャー34、ガイドスリーブ88、スベリキー90、プッシャーホルダーホイール40、カムホロワ92、94、及び、円板カム96などを有している。
【0014】
また、本発明に関連する様々な技術が提案されている。
たとえば、特許文献2には、缶体の外面を支持する支持部に、入射した光を反射させる反射面が設けられていることを特徴とする缶体の検査装置の技術が開示されている。
【0015】
さらに、特許文献3には、缶体の外面を支持する支持部が、入射された光を蛍光に変換する蛍光性光透過材料により形成されていることを特徴とする缶体検査装置の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特公昭62−55096号公報
【特許文献2】特開2006−308362号公報
【特許文献3】特開2009−25130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上述したロータリー式空缶連続光検査装置Aは、スベリキー90の上部の側面が、グリスを介してキー溝343の側面と摺動することにより、スライドプッシャー34が、回転(自転)しない状態で、往復移動方向に移動するが、キー溝343とスベリキー90に偏荷重がかかり、図6(c)に示す摩耗箇所において、スベリキー90が摩耗しやすいという問題があった。
【0018】
また、生産性を向上させるために、駆動軸56をより高速で回転させると、スベリキー90の摩耗の速度も速くなり、それに伴ってスライドプッシャー34が周方向にがたつき、カムホロワ92、94がカム山96aにダメージを与える場合もあった。そして、円板カム96が破損すると、新品の円板カム96と交換する必要があり、部品費用の削減ができないとともに、交換に長い時間がかかり、生産性を向上させることができないといった問題があった。
【0019】
さらに、ロータリー式空缶連続光検査装置Aは、光検査ステイションにおいて、空缶αの開口端が光シール環盤36に係入されており、この部分を通って光が空缶αの内部に侵入しないことが必要とされているが、スベリキー90が摩耗すると、スライドプッシャー34が周方向にがたつく(微小角度だけ回転(自転)する)こととなる。これに加えて、ブッシュ881が摩耗した場合には、スライドプッシャー34は半径方向にもがたつくこととなり、これらのがたつきにより、空缶αの開口端の位置が微妙に変動し、上記の部分を通って光が空缶αの内部に侵入し、検査品質が低下するといった問題があった。
なお、特許文献2、3の技術は、本発明に関連する技術ではあるものの、上記の課題を解決することはできない。
【0020】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案されたものであり、生産性、耐久性及び検査品質などを向上させることができるロータリー式空缶連続光検査装置、及び、容器の公転移動装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本発明のロータリー式空缶連続光検査装置は、 公転する空缶を往復移動させる往復移動手段を備え、この往復移動手段が、 前記空缶を保持するヘッドと、一方の端部に前記ヘッドが連結され、他方の端部にカムホロワが連結されるサポートプレートと、前記カムホロワと係合するカムと、前記カムによる前記サポートプレートの往復移動をガイドするリニアガイドとを有し、前記リニアガイドが、ターレットブロックと連結するレール部材と、このレール部材に対して転がり作用によりスライドするブロック部材とを備えた構成としてある。
【0022】
また、本発明の容器の公転移動装置は、加工、印刷、搬送又は検査用の容器の公転移動装置であり、公転する前記容器を往復移動させる往復移動手段を備え、この往復移動手段が、前記容器を保持するヘッドと、一方の端部に前記ヘッドが連結され、他方の端部にカムホロワが連結されるサポートプレートと、前記カムホロワと係合するカムと、前記カムによる前記サポートプレートの往復移動をガイドするリニアガイドとを有し、前記リニアガイドが、ターレットブロックと連結するレール部材と、このレール部材に対して転がり作用によりスライドするブロック部材とを備えた構成としてある。
【発明の効果】
【0023】
本発明のロータリー式空缶連続光検査装置、及び、容器の公転移動装置によれば、生産性、耐久性及び検査品質などを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかるロータリー式空缶連続光検査装置の駆動軸に沿った要部の概略断面図を示している。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかるロータリー式空缶連続光検査装置の要部の概略拡大図であり、(a)は断面図を示しており、(b)はB−B矢視図を示しており、(c)はC−C断面図を示している。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかるロータリー式空缶連続光検査装置の要部の概略分解断面図を示している。
【図4】図4は、本発明の実施形態にかかるロータリー式空缶連続光検査装置のヘッドやカムホロワなどの位置を説明するための概略断面図を示している。
【図5】図5は、従来例にかかるロータリー式空缶連続光検査装置の駆動軸に沿った要部の概略断面図を示している。
【図6】図6は、従来例にかかるロータリー式空缶連続光検査装置の要部の概略拡大図であり、(a)は断面図を示しており、(b)はD−D矢視図を示しており、(c)はE−E断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[ロータリー式空缶連続光検査装置の実施形態]
図1は、本発明の実施形態にかかるロータリー式空缶連続光検査装置の駆動軸に沿った要部の概略断面図を示している。
また、図2は、本発明の実施形態にかかるロータリー式空缶連続光検査装置の要部の概略拡大図であり、(a)は断面図を示しており、(b)はB−B矢視図を示しており、(c)はC−C断面図を示している。
図1、2において、本実施形態のロータリー式空缶連続光検査装置1は、上述したロータリー式空缶連続光検査装置Aと比べると、スベリキー90、スライドプッシャー34及びガイドスリーブ88の代わりに、キー22、スライドベース23、LMガイド24(LMガイドは、THK株式会社の登録商標である。)、サポートプレート25を備えた点などが相違する。
【0026】
すなわち、ロータリー式空缶連続光検査装置1は、公転する空缶αを保持し往復移動させる往復移動手段2が、空缶αを保持するヘッド106と、一方の端部にヘッド106が連結され、他方の端部にカムホロワ92、94が連結されるサポートプレート25と、カムホロワ92、94と係合する円板カム96と、円板カム96によるサポートプレート25の往復移動をガイドするリニアガイドとしてのLMガイド24などを備えている。
また、LMガイド24は、ターレットブロック21と間接的に連結されるレール部材(LMレール241)と、このレール部材に対して転がり作用によりスライドするブロック部材(LMブロック242)とを備えた構成としてある。
なお、本実施形態の他の構成は、ロータリー式空缶連続光検査装置Aとほぼ同様としてある。
したがって、図1において、図5と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0027】
キー22は、ターレットブロック21に形成されたキー溝211、及び、スライドベース23に形成されたキー溝233に嵌入され、ヘッド106の周方向の位置を決めるとともに、往復移動方向を決める。すなわち、キー22は、スライドベース23の位置決め部材として機能する。
【0028】
スライドベース23は、ほぼ矩形平板状であり、下面にキー溝233が形成され、上面に、LMレール241の嵌入されるレール部材用溝231が形成されている。このスライドベース23は、キー22を介して、ターレットブロック21に六角ボルト232によって螺着される。
【0029】
LMガイド24は、LMレール241、LMブロック242及びボールなどの転がり部材(図示せず)などを有しており、サポートプレート25を往復移動可能にターレットブロック21と連結する。また、LMガイド24は、グリスニップル243を有しており、グリスを容易に供給することができる。
このLMガイド24は、LMレール241がレール部材用溝231に嵌入された状態で、六角穴付きボルト244によってスライドベース23に螺着される。
【0030】
ここで、本実施形態は、ロータリー式空缶連続光検査装置Aと比べると、ブッシュ881やスベリキー90などを用いる代わりに、LMガイド24を用いることにより、駆動軸56をより高速(たとえば、ロータリー式空缶連続光検査装置Aの約1.5倍の回転数)で回転させることができ、生産性を大幅に向上させることができる。
また、駆動軸56をより高速で回転させ、ヘッド106がより高速で往復移動しても、LMガイド24の耐久性などが優れているので、ロータリー式空缶連続光検査装置1としての耐久性などを向上させることができる。すなわち、スベリキー90が摩耗しやすいといった不具合や、カムホロワ92、94がカム山96aにダメージを与えるといった不具合から解放されるので、メンテナンス用の部品費用を削減することができる。さらに、メンテナンス時間が短縮されるので、生産性をさらに向上させることができる。
【0031】
また、LMブロック242のLMレール241に対する遊び(クリアランス)は、数μmであり、スベリキー90の摩耗により、ヘッド106が周方向にがたつく(微小角度だけ回転(自転)する)といった不具合から解放される。これにより、空缶αの開口端が係入される光シール環盤36を通って光が空缶αの内部に侵入し、検査品質が低下するといった不具合から解放され、検査品質を向上させることができる。
さらに、オイルシール882によるグリスのシール性より、LMガイド24のグリスのシール性が優れているので、グリスが装置内に飛散するといった不具合から解放され、メンテナンス時間が短縮されるので、生産性をさらに向上させることができる。
【0032】
サポートプレート25は、往復移動方向に長いほぼ平板状であり、一方の端部にヘッド106が連結され、他方の端部にカムホロワ92、94が連結される。また、サポートプレート25は、下面にLMブロック242の嵌入されるブロック部材用溝251が形成されており、LMブロック242がブロック部材用溝251に嵌入された状態で、サポートプレート25は、LMブロック242に六角ボルト253によって螺着される。このブロック部材用溝251によって、ヘッド106の周方向の位置を決めるとともに、往復移動方向を決めることができる。
また、サポートプレート25は、グリスニップル243と対応する位置に、開口部252が形成されており、容易にグリスを供給することができる。
【0033】
ここで、ロータリー式空缶連続光検査装置1は、図3に示すように、キー22の下部がキー溝211に嵌入され、キー22の上部がキー溝233に嵌入された状態で、スライドベース23が六角ボルト232によってターレットブロック21に螺着される。また、LMレール241がレール部材用溝231に嵌入された状態で、LMレール241が六角穴付きボルト244によってスライドベース23に螺着される。さらに、LMブロック242がブロック部材用溝251に嵌入された状態で、サポートプレート25が六角ボルト253によってLMブロック242に螺着される。
すなわち、往復移動手段2は、上記の構成により、微細な調整を必要とせず容易に、ヘッド106の周方向の位置を決めるとともに、往復移動方向を決めることができる。通常、スライドベース23の板厚やブロック部材用溝251の深さなどを好適に設定することによって、往復移動手段2は、微細な調整を必要とせず容易に、ヘッド106の径方向の位置を決めることができる。これにより、メンテナンス時間が短縮されるので、生産性をさらに向上させることができる。
【0034】
また、ロータリー式空缶連続光検査装置1は、図3に示すように、六角ボルト253、サポートプレート25及び六角穴付きボルト244を順に取り外すことにより、LMガイド24を容易にかつ短時間で交換することができる。これに対し、ロータリー式空缶連続光検査装置Aは、ガイドスリーブ88及びスベリキー90を取り外した後、C形止め輪884、押え板883、オイルシール882及びブッシュ881などを分解する必要があり、本実施形態によれば、メンテナンス時間を大幅に短縮することができる。
【0035】
また、好ましくは、ヘッド106、LMレール241の天面、及び、カムホロワ92、94を、図4に示すように、仮想直線に沿って配設するとよい。すなわち、LMレール241の天面の中心を通り、かつ、往復移動方向に沿った仮想直線上に、ヘッド106の重心、及び、カムホロワ92、94の作用点が位置するとよい。このようにすると、LMガイド24に作用するモーメントを低減することができ、LMガイド24の耐久性を向上させることができる。
なお、上記の仮想直線上に、ヘッド106の重心、及び、カムホロワ92、94の作用点が位置することが好ましいが、これに限定されるものではなく、たとえば、上記の仮想直線上の近傍(たとえば、数mm離れた範囲)に、ヘッド106の重心、及び、カムホロワ92、94の作用点が位置してもよい。
また、一般的に、転がり作用を利用したリニアガイドは、耐荷重性に優れているので、ヘッド106やサポートプレート25などによる遠心力に対しても、十分に対応することができる。
【0036】
次に、上記構成のロータリー式空缶連続光検査装置1の動作を説明する。
まず、空缶αが、空缶供給口から二連式スターホイール32の缶受座に供給される。このとき、サポートプレート25は、従動側に位置しており、支障なく空缶αが供給される。
次に、円板カム96により、サポートプレート25が駆動側に移動を開始するとともに、ヘッド106が空缶αを真空吸着により保持する。そして、空缶αが光検査ステイションに到達する前に、サポートプレート25は駆動側に移動し、空缶αの開口端が光シール環盤36に係入される。
【0037】
次に、光検査ステイションに回来した空缶αは、上ライト42及び下ライト44から光が照射された状態にあり、滑り環(図示せず)の中孔に光シール環盤36の内孔が合致すると、光検知器は、光シール環盤36の内孔を通して空缶αの内部へピンホール等から侵入した透過漏光を検出する。
そして、空缶αが光検査ステイションを通過すると、円板カム96によりサポートプレート25は、従動側に移動を開始し、空缶αが不良品排出ステイションに到達する前に、サポートプレート25は従動側に移動する。
【0038】
次に、不良品判定電気信号が出力されているとき、不良の空缶αは、不良品排出口に排出される。そして、良品の空缶αは、良品排出ステイションに到達する前に、真空吸着が解除され、良品排出ステイションに到達すると、空缶供給口から排出される。
このように、ロータリー式空缶連続光検査装置1は、空缶αの良品、不良品の選別排出を連続的に行うことができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態のロータリー式空缶連続光検査装置1は、上述したロータリー式空缶連続光検査装置Aと比べると、スベリキー90、スライドプッシャー34及びガイドスリーブ88の代わりに、キー22、スライドベース23、LMガイド24及びサポートプレート25などを備えることにより、生産性、耐久性及び検査品質などを向上させることができる。
【0040】
[容器の公転移動装置の実施形態]
また、本発明は、容器の公転移動装置の発明としても有効である。
本実施形態の容器の公転移動装置は、上述したロータリー式空缶連続光検査装置1に用いられており、検査される空缶αを公転させる二連式スターホイール32、及び、公転する空缶αを保持し往復移動させる往復移動手段2を有している。この往復移動手段2は、上述したように、空缶αを保持するヘッド106と、一方の端部にヘッド106が連結され、他方の端部にカムホロワ92、94が連結されるサポートプレート25と、カムホロワ92、94と係合する円板カム96と、円板カム96によるサポートプレート25の往復移動をガイドするリニアガイドとしてのLMガイド24などを備えている。
また、LMガイド24は、ターレットブロック21と間接的に連結されるレール部材(LMレール241)と、このレール部材に対して転がり作用によりスライドするブロック部材(LMブロック242)とを備えた構成としてある。
【0041】
なお、本実施形態の往復移動手段2は、上述した往復移動手段2を有する構成としてあり、その詳細な説明を省略する。
また、本発明の容器の公転移動装置は、容器が上述した空缶αに限定されるものではなく、たとえば、PETボトル、プラスチックボトルなどの様々な容器であってもよく、その用途は検査のみではなく、加工、印刷、搬送の分野にも適用できる。
さらに、本実施形態の容器の公転移動装置は、容器を公転させる公転手段として二連式スターホイール32を有しているが、公転手段は、これに限定されるものではなく、様々な公転手段を有する構成としてもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の容器の公転移動装置は、キー22、スライドベース23、LMガイド24及びサポートプレート25などを備えることにより、生産性、耐久性及び検査品質などを向上させることができる。
【0043】
以上、本発明のロータリー式空缶連続光検査装置、及び、容器の公転移動装置について、好ましい実施形態などを示して説明したが、本発明に係るロータリー式空缶連続光検査装置、及び、容器の公転移動装置は、上述した実施形態などにのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、容器の公転移動装置は、公転する容器を保持する保持手段(たとえば、ヘッド106)が、円板カム96により往復移動する様々な装置に使用可能である。すなわち、容器の公転移動装置は、上記のライトテスタに限定されるものではなく、たとえば、ネッカーやフランジャーなどの加工装置、あるいは、内面金属露出検査機や外面印刷汚れ検査機などの検査機など、ターレットで回転させながら回転途中で検査や加工をする製缶設備に有効に使用できる。
【符号の説明】
【0044】
1、A ロータリー式空缶連続光検査装置
2 往復移動手段
21 ターレットブロック
22 キー
23 スライドベース
24 LMガイド
25 サポートプレート
32 二連式スターホイール
34 スライドプッシャー
36 光シール環盤
38 光シールホイール
40 プッシャーホルダーホイール
42 上ライト
44 下ライト
56 駆動軸
88 ガイドスリーブ
90 スベリキー
92 カムホロワ
94 カムホロワ
96 円板カム
96a カム山
106 ヘッド
211 キー溝
231 レール部材用溝
232 六角ボルト
233 キー溝
241 LMレール
242 LMブロック
243 グリスニップル
244 六角穴付きボルト
251 ブロック部材用溝
252 開口部
253 六角ボルト
341 摺動部
342 カムホロワ取付部
343 キー溝
401 キー溝
880 ハウジング
881 ブッシュ
882 オイルシール
883 押え板
884 C形止め輪
885 グリスニップル
886 キー溝
α 空缶

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリー式空缶連続光検査装置において、
公転する空缶を往復移動させる往復移動手段が、
前記空缶を保持するヘッドと、
一方の端部に前記ヘッドが連結され、他方の端部にカムホロワが連結されるサポートプレートと、
前記カムホロワと係合するカムと、
前記カムによる前記サポートプレートの往復移動をガイドするリニアガイドと
を有し、
前記リニアガイドが、ターレットブロックと連結するレール部材と、このレール部材に対して転がり作用によりスライドするブロック部材とを備えたことを特徴とするロータリー式空缶連続光検査装置。
【請求項2】
前記往復移動手段が、レール部材用溝及び位置決め部材用溝の形成されたスライドベースを有し、前記サポートプレートにブロック部材用溝が形成され、前記スライドベースは、位置決め部材を介して前記ターレットブロックに固定され、前記レール部材は、前記スライドベースのレール部材用溝に固定され、前記ブロック部材は、前記サポートプレートのブロック部材用溝に固定されたことを特徴とする請求項1に記載のロータリー式空缶連続光検査装置。
【請求項3】
前記ヘッド、前記レール部材の天面、及び、前記カムホロワを、仮想直線に沿って配設したことを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリー式空缶連続光検査装置。
【請求項4】
加工、印刷、搬送又は検査用の容器の公転移動装置において、
公転する前記容器を往復移動させる往復移動手段が、
前記容器を保持するヘッドと、
一方の端部に前記ヘッドが連結され、他方の端部にカムホロワが連結されるサポートプレートと、
前記カムホロワと係合するカムと、
前記カムによる前記サポートプレートの往復移動をガイドするリニアガイドと
を有し、
前記リニアガイドが、ターレットブロックと連結するレール部材と、このレール部材に対して転がり作用によりスライドするブロック部材とを備えたことを特徴とする容器の公転移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−78211(P2012−78211A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223803(P2010−223803)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】