説明

ロータリ耕耘機の溝切り装置

【課題】溝切りローラを一定姿勢で上下動可能にして、ロータリ耕耘機による畦ぎわからの耕耘作業を可能にした上で、適正な連続状の長溝を確実に形成できるようにする。
【解決手段】ロータリ機枠4の後部に支持枠14を後方突出状に設け、この支持枠14に上下一対の平行なリンク55、56を有する平行リンク具50の前部を連結し、この平行リンク具50の後部にキャスタ支持体51を設け、このキャスタ支持体51に耕耘跡を転動して連続状の長溝Lを形成する溝切りローラ7を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耕耘跡に溝を形成するロータリ耕耘機の溝切り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータリ耕耘機による耕耘作業と同時に播種作業を行う時に、耕耘跡に排水溝を形成するために、ロータリ耕耘機の後部に作溝機構が備えられており、この作溝機構は、ロータリ機枠の支持枠に支持杆を上下調整可能に設け、この支持杆にホークを介してソロバン玉形状の作溝輪を支持して構成されている(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2548034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術では、支持杆は調整した位置に固定であるため、作溝輪が障害となって、ロータリ耕耘部を畦ぎわに近接させることが困難であり、また、耕耘跡が蛇行すると作溝輪の転動方向がそれに追従し難く、適正な排水溝を形成するのが困難になっている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、溝切りローラを一定姿勢で上下動可能にして、ロータリ耕耘機による畦ぎわからの耕耘作業を可能にした上で、溝切りローラの転動方向を耕耘跡に追従可能にして、適正な連続状の長溝を確実に形成できるようにしたロータリ耕耘機の溝切り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は次の手段を講じた。
即ち、本発明に係るロータリ耕耘機1の溝切り装置2は、ロータリ機枠4の後部に支持枠14を後方突出状に設け、この支持枠14に上下一対の平行なリンク55、56を有する平行リンク具50の前部を連結し、この平行リンク具50の後部にキャスタ支持体51を設け、このキャスタ支持体51に耕耘跡を転動して連続状の長溝Lを形成する溝切りローラ7を設けていることを特徴としている。
【0006】
これによれば、溝切りローラ7は、平行リンク具50の上下揺動によって独自に上下動させることができ、溝切りローラ7を畦上に載せかつロータリ耕耘機1を畦ぎわに近接した畦ぎわ位置から、耕耘作業及び長溝Lの形成が行える。
また、溝切りローラ7を、平行リンク具50により一定姿勢で上下動可能にした上でキャスタ支持体51で支持することにより、溝切りローラの転動方向を耕耘跡の方向に追従可能にして、適正な長溝を確実に形成できる。
【0007】
前記平行リンク具50の上下リンク55、56は、ロータリ機枠4の上昇で溝切りローラ7が浮上されるときに互いに接触して前記溝切りローラ7の下降を制限可能なものとするのが好ましい。
これによれば、ロータリ耕耘機1の上昇時に溝切りローラ7が自重によって下降すると、平行リンク具50の上下リンク55、56が相互接触した時点で、この平行リンク具50の下方への揺動が制止され、溝切りローラ7の下降も所定範囲内に制限される。そのため、溝切りローラ7がロータリ耕耘機1のリヤカバー29等と接触干渉を起こすことがない。
【0008】
前記平行リンク具50に及び/又は平行リンク具50と支持枠14との間に、溝切りローラ7に転動圧を付与する転動圧付与具53を設けるのが好ましい。
これによれば、溝切りローラ7が耕耘跡へ確実に押圧されるようになり、形成される長溝Lとして、その溝深さを十分に深くしたり、溝底を固めたりすることができるものである。また、長溝Lの両溝壁面上縁をしっかりと押さえて、土崩れが起こらないようにすることもできる。これらのことは、排水用の長溝Lとして形成した場合に確実な排水効果を得られる。
【0009】
前記溝切りローラ7の左右側面は、径大側から径小側へ軸外方向へ移行するテーパ状側面7bと、このテーパ状側面7bの径小側で長溝Lの溝壁面上縁を面取りする面取り面7cとを有したものとするのが好ましい。
これによれば、排水用の長溝Lとして形成した場合に、面取り面7cによって長溝Lの両縁部を一層確実に押さえることができるために、土崩れの防止効果もそれだけ高くなる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、溝切りローラを一定姿勢で上下動可能にして、ロータリ耕耘機による畦ぎわからの耕耘作業を可能にした上で、溝切りローラの転動方向を耕耘跡に追従可能にして、適正な連続状の長溝を確実に形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態を示す畦ぎわ耕耘開始状態の全体側面図である。
【図2】平起こし作業状態の全体側面図である。
【図3】ロータリ耕耘機を上昇させた状態の全体側面図である。
【図4】ロータリ機枠及び溝切り装置の平面図である。
【図5】溝切り装置の正面図である。
【図6】(a)は溝切りローラの正面図であり、(b)はこの溝切りローラによって形成された排水溝の正面断面図である。
【図7】溝切りローラの変形例を示したものであって、(a)は溝切りローラの正面図であり、(b)はこの溝切りローラによって形成された排水溝の正面断面図である。
【図8】転動圧付与具の変形例を示した全体側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1乃至図6は、本発明に係るロータリ耕耘機1の溝切り装置2についてその一実施形態を示している。ロータリ耕耘機1は、トラクタ等の作業車の後部に三点リンク機構等を介して昇降自在に装着されるロータリ機枠(以下、単に「機枠」と言う)4と、この機枠4の下部に設けられたロータリ耕耘部5と、このロータリ耕耘部5を覆うロータリカバー6とを備えている。
【0013】
溝切り装置2は、このようなロータリ耕耘機1に対して機枠4から後方へ突出する状態に設けられたものであって、ロータリ耕耘機1が耕耘作業をする高さに保持されたときに、同時に耕耘跡に接地して押し付けることのできる溝切りローラ7を有している。
この溝切りローラ7が耕耘跡に押し付けられたまま転動することで、ロータリ耕耘部5によって耕起された耕耘土の上面を凹まして連続状の長溝Lが形成される。この溝切り装置2は、ロータリカバー6の後方で左右(耕幅)方向中央又は中央から左右に偏位した位置に配置されている。
【0014】
図1乃至図3において、ロータリ耕耘機1の機枠4は、左右方向中央のギヤケース10からサポートアーム11を左右に突設し、左側のサポートアーム11の端部に伝動ケース12の上端側を連結し、右側のサポートアーム11の端部にサイドフレームの上部側を連結して背面視門型状に形成されている。この機枠4には、後方突出状に支持枠14が備えられている。
【0015】
ギヤケース10の上部には、前後二股状に形成されたトップマスト15が固定され、このトップマスト15の前部の上部側には、三点リンク機構のトップリンクと連結されるトップリンクピン16が設けられている。また、ギヤケース10と左右の各サポートアーム11との各間に連結ブラケット17が固定され、これら連結ブラケット17の前部には、三点リンク機構の左右のロワーリンクと連結されるロワーリンクピン18が設けられている。
【0016】
ロータリ耕耘部5は、伝動ケース12とサイドフレームとの下部間に軸心を左右方向へ向けて回動自在に架設された爪軸20と、この爪軸20に対し軸方向及び周方向に間隔をおいて取り付けられた多数の耕耘爪21とを有している。
トラクタのPTO軸からの動力は、PIC軸22、ギヤケース10内の動力伝達機構、左側サポートアーム11内の伝動軸、伝動ケース12内の動力伝達機構を経て爪軸20に伝達される。
【0017】
ロータリカバー6は、ロータリ耕耘部5の上方を覆う状態で、伝動ケース12とサイドフレームとの間に側板26を介して固定された上部カバー27と、この上部カバー27の後端側に支軸28を介して連結されてロータリ耕耘部5の後方を覆うリヤカバー29と、ロータリ耕耘部5の後部の左右両側を覆うサイドカバー30とを有している。
支持枠14は、長手方向を前後方向へ向けた左右一対の支持アーム36と、これら左右の支持アーム36の後端に連結されて長手方向を左右方向に向けたツールバー37とを有し、左右支持アーム36の前部が左右のサポートアーム11に枢支されていて、後方へ突出した後部が高さ調整自在になっている。
【0018】
左右支持アーム36は、外筒39と内筒40とが摺動自在に嵌合されていて長さ調節可能となっており、外筒39の前端部が連結ブラケット17に枢軸38を介して上下揺動自在に連結され、外筒39同士を連結する連結杆41の左右方向中央部とトップマスト15との間に、支持枠14の後部を高さ調整する昇降操作手段42が設けられている。
この昇降操作手段42は、トップマスト15と連結杆41に設けられたブラケット片45との間に送りネジ機構を内蔵して伸縮自在とされた伸縮ロッド43を連結し、操作ハンドル44の回転操作で伸縮ロッド43を伸縮して、機枠4に対するツールバー37の高さを調整するようになっている。このツールバー37は角パイプ等で形成されている。
【0019】
次に溝切り装置2について具体的な構造を詳述する。
図1乃至図3に示すように、この溝切り装置2は、前記ツールバー37に対して前部を連結させた平行リンク具50と、この平行リンク具50の後部に設けられたキャスタ支持体51と、このキャスタ支持体51の下端部で回転自在に保持された溝切りローラ7と、平行リンク具50に設けられた転動圧付与具53とを有している。
【0020】
平行リンク具50は、上下一対で且つ同じ長さに形成されたリンク55、56と、これら両リンク55、56の前端部同士を上下方向に所定間隔を開けて連結保持する前部連結体57と、両リンク55、56の後端部同士を上下方向に所定間隔を開けて連結保持する後部連結体58とを有している。
前部連結体57は、断面コ字状溝形鋼の外面に左右一対の側面視コ字状板材を溶着して形成されており、上下の各リンク55、56の前端部を側面視コ字状板材に枢軸60を介して枢支連結し、上下リンク55、56を上下揺動自在としている。
【0021】
前部連結体57は、断面コ字状溝形鋼がツールバー37に後方から嵌合装着可能なアゴ部65を形成しており、このアゴ部65とツールバー37とに連結ピン66を上下に串刺し状に貫通させ、連結ピン66に抜止ピン67を差し込んで止めている。連結ピン66用貫通孔は、ツールバー37の左右方向中央のみに設けておいてもよいが、それ以外に左右方向複数箇所に設けておいて、溝切り装置2の装着位置を変更できるようにしておくことが好ましい。
【0022】
後部連結体58は、キャスタ支持体51を保持する旋回台部70に左右一対の板材を溶着して形成されていて、上下の各リンク55、56の後端部を板材に枢軸61を介して枢支連結している。
前部連結体57における枢軸60の上下間隔と、後部連結体58における枢軸61の上下間隔とは略同じとされており、これにより上下各リンク55、56及び前後連結体57、58は、それぞれ互いに略平行になっている。
【0023】
これらにより、この平行リンク具50は、前部連結体57に対し、上下リンク55、56を互いに平行に保持させたまま上下揺動させて、後部連結体58を一定姿勢のまま上下動させることができる。即ち、後部連結体58は上下動しても左右方向及び上下方向の姿勢(角度)を一定に保持するようになっている。
前記上下リンク55、56は、図3に示すように、ロータリ耕耘機1(機枠4)が上昇されるのに伴って前部連結体57が上昇されると、後部連結体58側(溝切りローラ7等)の自重によって上下各リンク55、56が下方揺動するようになる。しかし、前部連結体57の上昇位置が溝切りローラ7の浮上を伴う高さになると、上下各リンク55、56は互いに接触して、溝切りローラ7の下降が制限されるようになっている。
【0024】
前部連結体57の上昇で溝切りローラ7の下降を制限する高さは、具体的には、枢軸60相互間、及び枢軸61相互間の上下間隔や、上下各リンク55、56における太さで決まる。しかし、例えば上リンク55の長手方向中間位置に、下リンク56へ向けて突出する状態にボルトを螺合させておき、このボルトの突出量を調節することで、ボルト端が下リンク56を当て止めする位置を調節できるような構造を採用して、溝切りローラ7の下降制限高さを可変としてもよい。
【0025】
前記後部連結体58は、キャスタ支持体51を水平旋回自在な状態に保持する旋回台部70を有しており、この旋回台部70は、軸心を上下方向(略垂直)に向けて上下貫通する軸受孔71が形成されている。
キャスタ支持体51は、前記平行リンク具50の後部連結体58に形成された軸受孔71に対して挿入される旋回軸72と、この旋回軸72の下部側で溝切りローラ7を跨ぐ状態に設けられたローラブラケット74とを有しており、ローラブラケット74により、溝切りローラ7の回転軸76を両端支持している。
【0026】
溝切りローラ7は、図5及び図6に示すように、算盤珠形状であって、外周面7aと左右側面7bとを有し、左右側面7bは径大側から径小側へ軸外方向へ移行するテーパ状側面になっている。
前記キャスタ支持体51は、回転軸76が旋回軸72の軸心延長位置からずれて位置し、旋回軸72の軸心まわりで揺動可能であることにより、溝切りローラ7をキャスタ動作可能に支持している。従って、トラクタの操舵によりロータリ耕耘機1が左右に移動して耕耘跡が蛇行すると、溝切りローラ7の転動方向はその蛇行に追従して、耕幅方向に対して直交する。
【0027】
溝切りローラ7をより正確にかつ迅速にキャスタ動作させるために、キャスタ支持体51は旋回軸72が垂直に近い方が好ましい。溝切りローラ7は排水用の長溝Lを溝切りする構成になっている。以下、排水用の長溝Lを排水溝という。
前記溝切りローラ7は耕耘跡に接地転動することにより、平坦な溝底を有する略V字状の排水溝Lを形成する。この排水溝Lは、排水に適した断面形状であり、例えば、溝底幅bが50mm、開口幅wが100mm、溝深さdが50mmである。溝切りローラ7は左右テーパ状側面7bを有することにより、排水溝の両縁部(土手部)をしっかりと押さえて、土崩れが起こらないようにできる。
【0028】
また、溝切りローラ7の転動方向が常に耕幅方向に対して直交することにより、溝切りローラ7が開口幅wを広げたりすることがなく、排水溝Lは全長に亘って適正な形状に形成される。
前記溝切りローラ7及びキャスタ支持体51は比較的重量物で形成されており、それら自体の重量で排水溝Lを形成することも可能であるが、より深い排水溝Lを形成できるように、転動圧付与具53が設けられている。
【0029】
本実施形態の転動圧付与具53は、図1乃至図4に示すように、溝切りローラ7が畝上に接地された状態で更に転動圧を付与させるためのもので、平行リンク具50を下向きに付勢する構成を採用している。
すなわち、平行リンク具50には、上リンク55における長手方向中途部の上面から左右方向へ突出する上係合部82と、前部連結体57のアゴ部65に下方突出状に設けられたステー部83から、その左右方向へ突出する下係合部84とが設けられており、上係合部82の左右両端と下係合部84の左右両端との対応端部間に左右一対の引張コイルバネ等の付勢具85が架け渡されている。
【0030】
従って、左右付勢具85が縮もうとするバネ力により、前部連結体57の枢軸60を支点として上下のリンク55、56が下動する作用力を受けることになる。これらにより、後部連結体58及びキャスタ支持体51を介して溝切りローラ7が下向きの加圧力を受ける。
次に、本発明に係るロータリ耕耘機1の溝切り装置2における使用方法を説明する。
【0031】
ロータリ耕耘機1をトラクタ等の作業車の後部に取り付け、図3に示すようにロータリ耕耘機1を上昇させたまま、作業車側から圃場へと進入させる。
このロータリ耕耘機1を上昇させた時には、溝切り装置2の溝切りローラ7は、その自重によって下降するが、溝切りローラ7の下降は上下リンク55、56の相互当接によって制限されているため、溝切りローラ7がロータリ耕耘機1のリヤカバー29等と接触干渉を起こすことはない。
【0032】
作業車を畦Mから圃場へ進入させて、ロータリ耕耘部5を圃場内の畦Mぎわに到達するようになった時点でロータリ耕耘機1を下降させる。ロータリ耕耘機1とともに溝切り装置2も下降するが、溝切り装置2の溝切りローラ7は、図1に示すように、上下リンク55、56の上方揺動により、畦M上に接地する状態になる。
即ち、溝切りローラ7が畦M上に載り得ることにより、ロータリ耕耘部5は畦ぎわに可及的に近寄らせせて耕耘を行え、その上で、耕耘作業を開始して作業車を圃場内へ向けて進行させることで、畦M上の溝切りローラ7は自重及び転動圧付与具53によって畦M上から圃場側へと降りて、ロータリ耕耘部5による耕耘跡(畝上)を転動しつつ排水溝Lを形成する。
【0033】
耕耘作業中にロータリ耕耘機1が左右に移動して耕耘跡が蛇行すると、キャスタ支持体51が旋回軸72回りに旋回して、溝切りローラ7の転動方向は耕幅方向に対して直交するようにその蛇行に追従する。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、種々変形できる。
例えば、図7は、溝切りローラ7の変形例を示している。この溝切りローラ7は、軸方向両側面に、テーパ状側面7bだけでなく、このテーパ状側面7bの径小側で段付き状態に膨出する整形輪部90が形成され、この整形輪部90とテーパ状側面7bとの隅角にアールの面取り面7cが形成されている。
【0034】
このような面取り面7cを形成しておくと、排水溝Lの溝壁面上縁を面取りするようになるので、排水溝Lの両溝壁面上縁を一層確実に押さえることができ、土崩れの防止効果もそれだけ高くなる。
また、図8は、転動圧付与具53の変形例を示している。この転動圧付与具53は、平行リンク具50の後部連結体58に対し、その上部にウエイト91を設けている。このウエイト91は付勢具85を有する前記実施形態の転動圧付与具53と併設してもよい。
【0035】
溝切りローラ7自体を中実の鉄製として形成したり、或いは中空構造にしてその中空部分を鉛で充満させたりすることで、この溝切りローラ7自体にウエイトを兼ねさせるようにし、これによって転動圧付与具53を構成させてもよい。
更に、溝切り装置2は、ツールバー37の左右端部に一対設けて、平起こしの耕耘跡の左右方向に間隔をおいた2カ所に排水溝Lを形成してもよい。
【0036】
更にまた、溝切り装置2の溝切りローラ7は、溝底幅bのないV字溝又は左右側面7bが平行な長方形溝を形成する形状にしてもよく、そのように種々の形状を採用することにより、長溝Lを排水用だけでなく他の用途、例えば、耕耘後にサトウキビ等の移植苗を植え付ける移植用としたり、ツールバー37に装着した播種機から種子を条播、点播する播種用としたりすることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 ロータリ耕耘機
2 溝切り装置
4 ロータリ機枠(機枠)
7 溝切りローラ
7b テーパ状側面
7c 面取り面
14 支持枠
50 平行リンク具
51 キャスタ支持体
53 転動圧付与具
55 上リンク
56 下リンク
L 長溝(排水溝)
M 畦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリ機枠(4)の後部に支持枠(14)を後方突出状に設け、この支持枠(14)に上下一対の平行なリンク(55、56)を有する平行リンク具(50)の前部を連結し、この平行リンク具(50)の後部にキャスタ支持体(51)を設け、このキャスタ支持体(51)に耕耘跡を転動して連続状の長溝(L)を形成する溝切りローラ(7)を設けていることを特徴とするロータリ耕耘機の溝切り装置。
【請求項2】
前記平行リンク具(50)の上下リンク(55、56)は、ロータリ機枠(4)の上昇で溝切りローラ(7)が浮上されるときに互いに接触して前記溝切りローラ(7)の下降を制限可能になっていることを特徴とする請求項1に記載のロータリ耕耘機の溝切り装置。
【請求項3】
前記平行リンク具(50)に及び/又は平行リンク具(50)と支持枠(14)との間に、溝切りローラ(7)に転動圧を付与する転動圧付与具(53)を設けていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリ耕耘機の溝切り装置。
【請求項4】
前記溝切りローラ(7)の左右側面は、径大側から径小側へ軸外方向へ移行するテーパ状側面(7b)と、このテーパ状側面(7b)の径小側で連続状の長溝(L)の溝壁面上縁を面取りする面取り面(7c)とを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のロータリ耕耘機の溝切り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−142823(P2011−142823A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−4149(P2010−4149)
【出願日】平成22年1月12日(2010.1.12)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】