説明

ローダー・アンローダー装置

【課題】処理能力の高いローダー・アンローダー装置を提供する。
【解決手段】ローダー・アンローダー装置2のローダーユニット2aは、ワーク100を装着する所定の高さの装着部位202に対して近接されるアプローチ区間と装着部位202から離れる離間区間とを有する軌道を備える環状カム40と、ワーク100を保持可能なテーブル26を有し、回転可能でかつ環状カム40に軌道制御されてテーブル26を装着部位202に対して昇降可能に保持するワーク供給部材20aを備えている。このため、ワーク100を連続的にかつ効率よく装着部位202に供給できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローダー・アンローダー装置に関し、特に、効率的にワークを供給し又は効率的にワークを回収できるローダー・アンローダー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種製品の製造工程等においては、種々の工程間あるいは工程内においてワークを搬送して連続的に処理することが行われている。工程間の搬送や工程内での搬送においては、複数の搬送手段間において一方から他方の搬送手段にワークを供給若しくは取り出したり、搬送手段から工程装置へとワークを供給したり取り出したりする必要がある。こうした装置としては、例えば、所定の状態に整列させたワークに対して上下に往復動するシリンダにより駆動されるチャックを作動させてワークを保持して所定部位に供給するものがある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−154093
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、こうした移載装置においては、複数個のワークを搬送コンベア上で整列させた上同時に移載するものであって、しかも一定位置での往復動によって移載するものであるため、サイクルタイムに大きな制約があった。さらに、この移載装置では、移載先での連続的搬送や処理が不可能であるとともに、アンローダーとして使用しようとしたときにおいても、同様の問題が生じてしまう。このように、ワークの供給や回収は、工程全体のボトルネックになり高効率な製造ラインの構築が困難となることがあった。また、異種ワークを取り扱う際、供給したり取り出したりするワークのサイズに応じてローダー・アンローダー装置の高さ位置を供給先の装置などにあわせるか、あるいはシリンダの移動量を調節する必要があるが、シリンダの移動量の調節は容易ではなく、また、ローダー・アンローダー装置は、供給先装置や取り出し元の装置に装着固定されているため、スライド移動の際には大幅な部品の取り外しや調整が必要であった。
【0004】
そこで、本発明は、高い処理能力でワークのローディング及び/又はアンローディングを可能とするローダー・アンローダー装置を提供することを一つの目的とする。また、本発明は、寸法の異なるワークに対して速やかに対応してワークをローディング及び/又はアンローディングできるローダー・アンローダー装置を提供することを他の一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記した課題を解決するため以下の手段を採った。
【0006】
本発明の一つの形態によれば、ローダー・アンローダー装置であって、ワークを装着又は脱着する所定の高さの装脱着部位に対して近接されるアプローチ区間と前記装脱着部位から離れる離間区間とを有する軌道を備えるカム手段と、前記ワークを保持可能なワーク保持部を有して所定の軌道で回転可能であって、かつ前記カム手段に軌道制御されて前記ワーク保持部を前記装脱着部位に対して昇降可能に保持するワーク供給・回収手段と、
を備える、ローダー・アンローダー装置が提供される。
【0007】
このローダー・アンローダー装置においては、前記カム手段は、前記ワーク供給・回収手段の垂直軸回りの回転運動に付随して前記ワーク供給・回収手段を前記所定の装脱着部位に対して昇降可能とする環状軌道を有する手段とすることができる。また、この態様において、前記ワーク供給・回収手段の回転運動は、楕円状軌道とすることができる。
【0008】
このローダー・アンローダー装置においては、前記カム手段は、前記離間区間よりも急傾斜である前記アプローチ区間を有することもできるし、前記アプローチ区間よりも急傾斜である前記離間区間を有することもできる。前者は、ローダー装置に好適であり、後者は案アンローダー装置に好適である。
【0009】
また、このローダー・アンローダー装置においては、前記装脱着部位に対応する前記カム手段の前記軌道の装脱着点の高さを調節する軌道高さ調節手段を備えることができる。この態様においては、前記軌道高さ調節手段は、前記カム手段の前記軌道上において前記装脱着点に対向する部位を基点として前記カム手段を上下に揺動させて前記ワーク装脱着点の高さを調節する手段とすることができる。
【0010】
さらに、このローダー・アンローダー装置においては、前記ワーク装脱着点は、前記カム手段の前記軌道の最高到達位置であってもよいし、前記カム手段の前記軌道の最低到達位置の近傍であってもよい。
【0011】
このローダー・アンローダー装置においては、前記カム手段の前記軌道上の前記装脱着部位に対応する装脱着点を含む軌道部分に前記アプローチ区間と前記離間区間との少なくとも一部を備え、当該軌道部分は前記カム手段の残余の軌道部分から分割して形成されていてもよい。
【0012】
また、このローダー・アンローダー装置においては、前記ワーク供給・回収手段には、前記カム手段に拘束されて軌道制御可能とする被拘束部を備え、当該被拘束部は、前記供給・回収手段の回転軌道より外側方向を指向して前記カム手段に到達可能な所定長さを有して前記カム手段に対して係止されるようになっているようにすることもできる。
【0013】
さらに、このローダー・アンローダー装置においては、前記ワーク供給・回収手段の前記軌道は、前記カム手段の前記軌道の内側に形成されていてもよい。また、このローダー・アンローダー装置においては、前記ワークは、前記装脱着部位においてチャッキングにより保持されるものとしてもよい。
【0014】
さらにまた、このローダー・アンローダー装置においては、搬送されてくるワークを前記ワーク保持部に移載するワーク移載ユニットであって、前記ワークの搬送方向に沿って前記ワーク保持部に近接される移載用アプローチ区間と前記所定の前記ワーク保持部から離間する移載用離間区間とを有する軌道を備えて、前記ワークの搬送方向に沿って配置される移載用カム手段と、前記ワークを前記ワーク保持部に移動可能に保持する移載用ワーク保持部を有して前記ワークの搬送方向に沿って回転運動可能でり、前記移載用カム手段に軌道制御されて前記移載用保持部に対してスライド移動可能に保持される複数個のワーク移載手段と、を備えるワーク移載ユニットを備えることができる。
【0015】
本発明の他の一つの形態によれば、上記いずれかのローダー・アンローダー装置を備える、ワーク搬送装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のローダー・アンローダー装置であって、ワークを装着又は脱着する所定の高さの装脱着部位に対して近接するアプローチ区間と前記所定の対象部位から離れる離間区間とを有する軌道を備えるカム手段と、前記ワークを保持可能なワーク保持部を有して所定の軌道で回転可能であって、かつ前記カム手段に軌道制御されて前記ワーク保持部を前記装脱着部位に対して昇降可能に保持する複数のワーク供給・回収手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
このローダー・アンローダー装置によれば、ワーク供給・回収手段がカム手段によって軌道制御されてワーク保持部が昇降可能に所定の軌道を回転運動し、アプローチ区間においては、ワーク保持部は装脱着部位に近接され、離間区間においては装脱着部位から離間される。このため、ワーク保持部にワークを保持しているとき、アプローチ区間でワーク保持部が装脱着部位に到達されればワークは装脱着され、空のワーク保持部又は回収したワークを保持したワーク保持部が装脱着部位から離間されることになる。このため、本発明のローダー・アンローダー装置は、個々のワークを装脱着部位において装脱着することができるとともに、こうした装脱着操作を繰り返し実施することで連続的にワークの装脱着操作が可能となっている。また、こうした装脱着操作は、複数個のワーク供給・回収手段によってオーバーラップして行うことができる。したがって、本発明のローダー・アンローダー装置によれば、個々のワークを装脱着部位において装脱着させるための所要時間を容易に短くすることができる。また、装脱着スピードを調節することも容易となっている。
【0018】
また、本発明のローダー・アンローダー装置において、前記装脱着部位に対応する前記カム手段の前記軌道における前記装脱着部位に対応する装脱着点の高さを調節する軌道高さ調節手段を備える態様では、カム手段の装脱着点の高さを調節することで、異なる高さのワークに対して簡易にかつ速やかに対応することができる。
【0019】
なお、本明細書において、ローダー・アンローダー装置とは、ワークを所定の供給先に供給する及び/又はワークを所定の回収元から回収するための装置をいうものとする。また、本明細書において、ワーク供給・回収部材とは、ワークを所定の供給先に供給及び/又はワークを所定の回収元から回収する部材をいうものとする。さらに、本明細書においてワークの装脱着部位とはワークを装着及び/又は脱着する部位をいうものである。
【0020】
以下、本発明の最良の実施形態について図面を適宜参照しながら説明する。以下の実施形態では、本発明のローダー・アンローダー装置2は、移載ユニット102により移載されたワーク100としてのガラス製の壜状容器を個々に把持して回転運動させて超音波洗浄する洗浄装置200のチャックに装着させるように供給するローダーユニット2aと、超音波洗浄を終了してチャックから外されるワーク100を回収するアンローダーユニット2bとを備えている。
【0021】
図1には、本発明の一例としてのローダー・アンローダー装置2の主要部の斜視図を示し、図2には、ローダー・アンローダー装置2の平面図を示し、図3にはローダー・アンローダー装置2の側面図を示し、図4には、他の側面図を示す。なお、ローダーユニット2a及びアンローダーユニット2bはそれぞれ単独で本発明のローダー・アンローダー装置ということができ、アンローダーユニット2bは、基本的にローダーユニット2aと同じ構成を有しているので、以下の説明では、ローダーユニット2aについて主として説明し、その後、アンローダーユニット2bについては、ローダーユニット2aと相違する点についてのみ説明する。
【0022】
図1及び図2に示すように、ローダーユニット2aは、ワーク100が連続的に移載される移載ユニット102と洗浄装置200のチャック装着部位202との間に配置されている。移載ユニット102は、搬送されてくるワーク100をローダーユニット2aのワーク保持部であるテーブル26に移載するユニットである。この移載ユニット102は、ワーク100が搬送コンベア104によって搬送されてくる方向に沿ってローダーユニット2aのテーブル26に近接される移載用アプローチ区間122とテーブル26から離間する移載用離間区間124とを有する軌道を備えて、ワーク100の搬送方向に沿って配置される移載用カム手段である環状カム40と、ワーク100をテーブル26に移動可能に保持する移載用ワーク保持部132を有してワーク100の搬送方向に沿って回転運動可能であり、環状カム120に軌道制御されてテーブル26に対してスライド移動可能に保持される複数個のワーク移載部材130を有している。
【0023】
ワーク移載部材130の回転軌道は水平軸周りの楕円状軌道であり、この楕円状軌道の下側軌道において、環状カム120のアプローチ区間122と離間区間124とによってテーブル26側を指向するラインに沿ったスライド移動が制御されてワーク100を連続的にテーブル26側に押し出してテーブル26に移載することができるようになっている。
【0024】
この移載ユニット102によれば、搬送されてくる個々のワーク100を連続に所定の移載先に移載することができる。また、個々のワーク移載部材130が環状カム120により連続的に軌道制御されて押出し−引き込み可能にスライド範囲を制御するため1個のワーク100あたりの移載処理時間を容易に短縮することができる。
【0025】
ローダーユニット2aは、図示しない駆動装置とタイミングベルトにより楕円状軌道を回転駆動される回転ユニット10と、回転ユニット10によって楕円状軌道を回転可能に支持されるとともに昇降可能に支持されるワーク供給部材20aと、ワーク供給部材20aの楕円状軌道における昇降を制御する環状カム40とを備えている。
【0026】
回転ユニット10は、移載ユニット102によって搬送コンベアから移載されるワーク100を受領可能にワーク供給部材20aのワーク保持部であるテーブル26を移載部位103に供給可能であるとともに、洗浄装置200のチャック装着部位202にテーブル26を供給可能に所定高さに配置されている。回転ユニット10は、回転駆動される2つのスプロケットホイール12とこれらのスプロケットホイール12間に渡って懸架される無端縁ブロックチェーン14を備えている。こうした構成により回転ユニット10は、垂直軸回りの楕円状軌道を有し、この楕円状軌道の一方の直線の長辺部分が移載ユニット102に対向し、他方の直線の長辺部分が洗浄装置200のチャック装着部位202に対応されるように配設されている。
【0027】
ワーク供給部材20aは、回転ユニット10によって回転可能に保持される、ワーク100を載置するテーブル26を備えている。テーブル26は、ワーク100を洗浄装置200のチャック装着部位202に押し当て可能に載置できるものであればよい。ワーク100を安定に保持するために、壁体26aを設けることもできる。なお、ワーク100を保持する部材は、テーブル26に限定するものではなく、ワーク100の種類や大きさの他、装脱着形態に応じて適切なものであればよい。
【0028】
テーブル26は、図1,2及び図3に示すように、ブロックチェーン14の各ブロックユニット15に対して固定されている。本実施形態では、ブロックユニット15に固定したシリンダ22と、このシリンダ22のピストン22aに装着されたロッド23の上端にテーブル26が固定されている。ロッド23は、シリンダ22及びピストン22aにより駆動時には常時上方に0.5〜3.0kg/cmの圧力がかけられており、これにより、ロッド23は常時上方に付勢された状態となっている。
【0029】
こうしてブロックユニット15を介してブロックチェーン14に固定され上方に付勢されたロッド23及びそれに固定されたテーブル26の高さ位置を制御するために、下端にカムフォロア24を備える昇降ガイドロッド28がテーブル26に固定されている。昇降ガイドロッド28は、シリンダ22に固定されたプレートに形成した貫通孔を貫通するように配置されている。カムフォロア24は、回転ユニット10の外周に配置される環状カム40の棒状カム42及び板状カム48aに拘束されるように、昇降ガイドロッド28のロッドにほぼ直交して外周方向に所定長さ突出した棒状体として形成されている。カムフォロア24の長さは、楕円状軌道を回転駆動される間、確実に環状カム40に拘束されるのに十分な長さとなっている。
【0030】
こうしたワーク供給部材20aは、カムフォロア24が環状カム40の棒状カム42及び板状カム48aに拘束されて回転ユニット10によって楕円状軌道を回転することによって、この楕円状軌道においてチャック装着部位202に対して所定の昇降運動を付与することができるようになっている。
【0031】
環状カム40は、回転ユニット10の外周側に、スプロケットホイール12やテーブル26よりも低い所定の位置に備えられている。環状カム40は、回転ユニット10が構成する楕円状軌道よりも大きく、しかもこの楕円状軌道にほぼ沿った楕円状軌道を有している。楕円状軌道の一方の長辺である移載ユニット102に沿う部分においては、搬送コンベア104と同じ高さにテーブル26を維持できるような高さに形成されている。すなわち、昇降ガイドロッド28のカムフォロア24によって高さ制御されるテーブル26の位置が搬送コンベア104の移載部位103の高さに一致するようになっている。一方、楕円状軌道の他方の長辺である洗浄装置200のチャック装着部位202近傍部分においては、チャック装着部位202の高さにワーク100を押し当てて保持させることが可能な高さになっている。したがって、例えば、ワーク100の高さが一定高さ以上の場合には、チャック装着部位202近傍において移載部位103よりも低くなる場合もあり、ワークがそれよりも低い場合には、チャック装着部位202近傍が移載部位103よりも高くなる場合がある。
【0032】
また、環状カム40の楕円状軌道は、移載部位103側において回転ユニット10に対してより近接しており、チャック装着部位202側において回転ユニット10に対してより隔離された状態となっている。
【0033】
この楕円状軌道の大半は棒状カム42で形成されており、残余の部分が板状カム48aによって形成されている。すなわち、棒状カム42は、楕円状軌道のチャック装着部位202近傍領域以外の軌道を形成し、板状カム48aがチャック装着部位202近傍の軌道を形成している。板状カム48aは、所定の厚みの板状体でありその下端部に環状カム40の楕円状軌道の一部を形成可能な端縁を有している。また、板状カム48aは、チャック装着部位202に到達される棒状カム42の両末端を連結する連結部49a、49bを介して、棒状カム42に対して交換可能に連結されている。
【0034】
チャック装着部位202近傍における板状カム48aによる軌道は、図4に示すように、チャック装着部位202の高さH1にテーブル26上のワーク100の上端を到達させるため高さAから高さH2にまで上昇するアプローチ区間50aと、高さH2を維持する装着区間52aと、高さH2から高さBまで下降する離間区間54aとを備えている。アプローチ区間50aでは、ワーク100をチャック装着部位202に到達させてチャックさせ、装着区間52aでは、チャックにワーク100を確実に保持させ、離間区間54aでは、ワーク100からテーブル26を外すことができる。ここで、アプローチ区間50aは、離間区間54aよりも急な傾斜を有している。
【0035】
環状カム40は、棒状カム42のチャック装着部位202に対向する移載部位103近傍を基点として上下に所定範囲揺動可能に構成されており、これにより、チャック装着部位202の板状カム48aを上下にスライド移動させることができるようになっている。なお、板状カム48は、スライドレールユニット60に対してスライド移動可能に備えられており、固定時にはロックハンドル62によりスライドレールユニット60の任意の高さ位置に固定されているが、高さ調整時には、ロックハンドル62を緩めることによりスライドレールユニット60を上下にスライド移動可能となっている。
【0036】
なお、アンローダーユニット2bにおいては、ローダーユニット2aと同一構成を有しており、ワーク100をチャック脱着部位204において回収し、搬出部位105において搬送コンベア104に排出することに関した相違点を有している。すなわち、ローダーユニット2aにおいてワーク移載部位103とチャック装着部位202に対応する部位が、アンローダーユニット2bにおいてはワーク搬出部位105とチャック脱着部位204にそれぞれ対応する点が相違している。例えば、図2に示すように、アンローダーユニット2bは、ローダーユニット2aに隣接して、洗浄装置200と搬送コンベア104との間に配置されており、回転ユニット10の楕円状軌道の一方の直線の長辺部分が搬送コンベア104の搬出部位105に対応し、他方の直線の長辺部分が洗浄装置200のチャック脱着部位204に対応して配設されている。また、例えば、図4に示すように、ローダーユニット2aにおいては、環状カム40は、移載部位103側を揺動中心としてチャック装着部位202側が上下にスライド移動するのに対し、アンローダーユニット2bにおいては、環状カムは、搬出部位105側を揺動中心としてチャック脱着部位204側が上下にスライド移動する点において相違する。さらに、図4に示すように、アンローダーユニット2bの環状カム40の板状カム48aにおいては、アプローチ区間50bは、高さBからH2まで上昇する区間であり、脱着区間52bは高さH2で維持する区間であり、離間区間54bは、高さH2から高さAまで下降する区間である。この態様において、離間区間54bは、アプローチ区間50aよりも急な傾斜を有しており、確実にワーク100を脱着できるようになっている。
【0037】
次に、こうしたローダーユニット2a及びアンローダーユニット2bの作用について説明する。図1に示すように、回転ユニット10は移載部位103において移載ユニット102から移載されてくるワーク100をテーブル26で順次受け取ることができるように反時計まわりに回転される。ワーク100を載せたテーブル26は、スプロケットチェーン14によって規定される楕円状軌道を、カムフォロア24を介して棒状カム42に昇降制御されながら反時計回りに回転される。次いで、カムフォロア24が板状カム48aの下端縁に到達するとカムフォロア24は、アプローチ区間50、装着区間52a及び離間区間54に順次拘束される。これによって、テーブル26上のワーク100はチャック装着部位202のチャックに速やかに押し込まれてしばらくその状態が維持されて確実にチャッキングされた後、テーブル26が緩やかに下降される。ワーク100はこの後、チャックによって洗浄装置200において処理されることになる。
【0038】
一方、洗浄を終えたワーク100はチャックによって保持された状態でチャック脱着部位204に到達される。アンローダーユニット2bの回転ユニット10は反時計回りに回転されており、チャック脱着部位204においては、テーブル26はカムフォロア24が板状カム48bのアプローチ区間50b、脱着区間52b及び離間区間54bによって拘束されて昇降制御されている。すなわち、チャックから脱着されたワーク100を載置できる高さにテーブル26が緩やかに上昇し、ワーク100はテーブル26に載置された後、速やかにテーブル26が下降されてチャックと離間させられる。ワーク100を載せたテーブル26はその後、楕円状軌道を移動して搬出部位105においてスライドガイド等によって制御されて搬送コンベア104に搬出される。
【0039】
また、異なる高さのワーク100を供給・回収する場合には、ローダーユニット2a及びアンローダーユニット2bにおいて、板状カム48aのチャック装着部位202及びチャック脱着部位204側をそれぞれ上下にスライド移動させてテーブル26に保持されるワーク100がチャック装着部位202及びチャック脱着部位204に対して適切な高さとなるように板状カム48aの軌道高さを調節すればよい。
【0040】
以上説明したように、本実施形態のローダー・アンローダー装置2によれば、回転ユニット10によって回転駆動されるテーブル26を備えるワーク供給・回収部材20a、20bが環状カム40によって昇降制御されることで、ワーク100を連続的に所定の装着先に供給すること、及び所定の回収元から回収することができる。また、個々のワーク供給・回収部材20a、20bが、連続的に軌道制御されて、ワーク100の上昇−下降を制御するため、1個のワーク100あたりの供給・回収処理時間を容易に短縮することができる。したがって、ローダー・アンローダー装置2は、処理能力の高いローダー装置及びアンローダー装置となっている。さらに、こうした構成によれば、他の搬送ラインの搬送スピードやローディングした工程装置の処理スピードに対応して容易に処理時間を調整できるため、調整能力の高いローダー・アンローダー装置となっている。
【0041】
また、ローダー・アンローダー装置2によれば、チャック装着部位202及びチャック脱着部位204の高低を容易に調節可能となっているため、異なる高さのワーク100に対して簡易にかつ速やかに対応することができる。すなわち、ワーク100の高さ変化に対応する操作が簡素化され、ローダーユニット2aの調整のための時間が短縮できる。
【0042】
さらにまた、ローダー・アンローダー装置2によれば、回転ユニット10は、垂直軸回りの楕円状軌道を有しているため、移載部位103及び搬出部位105並びにチャック装着部位202並びにチャック脱着部位204においていずれも十分な軌道長さを採ることができる。
【0043】
また、ローダー・アンローダー装置2によれば、アプローチ区間50a、50b、装脱着区間52a、52b及び離間区間54a、54bを備えるため、確実にワーク100の供給及び回収が可能となっている。また、ローダーユニット2aによれば、アプローチ区間50aは離間区間54aよりも急な傾斜で上昇しているため、テーブル26上のワーク100を確実にチャックに保持可能にアクセスさせ供給することができる。また、装着区間52aを有することでワーク100を確実にチャックに保持させることができる。一方、アンローダーユニット2bによれば、離間区間54bはアプローチ区間50bよりも急な傾斜で上昇しているため、チャックに保持されたワーク100をテーブル26上に載置した後、チャックから速やかに離間させて確実にテーブル26上にワーク100を回収できる。また、脱着区間52bを有することでワーク100を確実にテーブル26上に載置させることができる。
【0044】
さらに、ローダー・アンローダー装置2によれば、こうしたアプローチ区間50a、50bや離間区間54a、54b等を備える、環状カム40のチャック装着部位202及びチャック脱着部位204のそれぞれ近傍は、他とは異なり交換可能に装着された板状カム48aにより昇降制御されている。チャック装着部位202及びチャック脱着部位204において他の部分と分割して軌道を形成することで、ワーク100の形状や大きさに応じて確実にチャック装着部位202及びチャック脱着部位204にてチャッキングさせ、チャックから分離させるようにワーク100を供給し回収するための昇降制御が可能となる。また、チャック装着部位202及びチャック脱着部位204のそれぞれ近傍に対応する環状カム40の部分を交換可能とすることで簡単に異種ワーク100にも対応できる。また、板状カム48aを用いることで精度の高い昇降制御が可能となっている。
【0045】
さらに、ローダー・アンローダー装置2によれば、環状カム40は、移載部位103側及び搬出部位105側において回転ユニット10に近接され、テーブル26が搬送コンベア104に近接されているため、確実にワーク100をテーブル26に受領できるとともにテーブル26から搬送コンベア104へとスライドさせることができる。
【0046】
さらにまた、ローダー・アンローダー装置2によれば、移載ユニット102を備えているため、ローダー・アンローダー装置2の高い処理能力に合わせてワーク100を移載させることができる。また、ローダー・アンローダー装置2の処理能力に合わせてワーク100を移載できるようになっている。
【0047】
また、ローダー・アンローダー装置2によれば、環状カム40の楕円状軌道の内側に回転ユニット10を備えているため、省スペース化することができる。
【0048】
以上説明したローダー・アンローダー装置2においては、環状カム40が本発明のカム手段に相当し、ワーク供給部材20a及びワーク回収部材20bが、ワーク供給・回収手段に相当し、カムフォロア24が被拘束部に相当し、環状カム40の棒状カム42を移載部位103側及び搬出部位105側で揺動可能に支持し、チャック装着部位202及びチャック脱着部位204で上下スライドさせる構成が軌道高さ調節手段に相当している。
【0049】
なお、以上説明した実施形態においては、カム手段として棒状カムや板状カムを組み合わせた環状カム40を用いて説明したが、本発明で用いるカム手段としては従来公知の各種のカム手段を利用して、ワーク供給部材20に必要な昇降制御が可能であればよい。例えば、他のカム手段として、溝カム、リブカム、端面カム、円筒板状カム、円筒リブカムなどを組み合わせることができる。また、2種類以上のカム手段を組み合わせる必要はなく、単一のカム手段で構成してもよい。また、本実施形態においては、環状カム40はおおよそ連続した環状した軌道を形成しているが、これに限定するものでなく、移載部材130のスライド移動が必要な部位においてのみ軌道が形成されていればよい。したがって、カム手段は環状軌道を有している必要はなく、また、アプローチ区間と離間区間とのみを備えていればよい。さらに、本実施形態では、装着区間及び脱着区間を備えるものとしたが、こうした形態に限定するものではない。
【0050】
本実施形態においては、ワーク供給・回収手段として、ワーク供給・回収部材20a、20bを用いて説明したが、本発明のワーク供給・回収手段はこれに限定するものではない。所定の軌道を回転駆動されてカム手段によって昇降制御されるワーク保持部を有していればよい。また、本実施形態では、ワーク供給・回収手段のワーク保持部をワーク100を載置するテーブル26として説明したが、これに限定するものではなく、ワークを把持するものであってもよいし、挟持するものであってもよいし、係止するものであってもよいし、嵌合などの各種の形態で保持するものとすることができる。
【0051】
本実施形態においては、ワーク供給・回収手段を回転駆動するものとして、スプロケットホイール12とブロックチェーン14とを備える回転ユニット10を用いて説明したが、ワーク供給・回収手段は他の回転手段によって回転駆動されていてもよい。回転駆動手段は、従来公知の各種の手段を用いることができる。
【0052】
本実施形態においては、ワーク100をガラス瓶として説明したが、本発明のワークはこれに限定するものではなく、各種容器や、機械などの部品及び各種製品並びにこれらの種々の製造工程における中間品とすることができる。
【0053】
本実施形態においては、ワーク100はベルトコンベア104によって搬送され、移載ユニット102によって移載されてくるものとしたが、本発明はこれに限定するものではない。他の各種のコンベアや他の搬送手段によって搬送されてくるものであってもよいし、他の移載ユニット102によって移載されてもよい。また、こうした搬送手段や移載ユニットを備えていなくてもよい。
【0054】
本実施形態においては、ワーク100の供給先及び回収元は、超音波洗浄装置200として説明したが、これに限定するものではない。例えば、他の工程装置や搬送手段にワークを供給及び/又は回収するものであってもよい。
【0055】
本実施形態においては、本発明のローダー・アンローダー装置について説明したが、本発明は、こうしたローダー・アンローダー装置を備える搬送装置として、また、本実施形態で説明した移載装置をさらに備える搬送装置として実施することも明らかである。さらに、こうした搬送装置を備える超音波洗浄装置として実施することもできる。
【0056】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした一実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のローダー・アンローダー装置の主要部の一例を示す図である。
【図2】本発明のローダー・アンローダー装置の平面図である。
【図3】本発明のローダー・アンローダー装置の側面図である。
【図4】本発明のローダー・アンローダー装置の他の側面図である。
【符号の説明】
【0058】
2 ローダー・アンローダー装置、2a ローダーユニット、2b アンローダーユニット、10 回転ユニット、12 スプロケットホイール、14 ブロックチェーン、15 ブロックユニット、20a ワーク供給部材、20b ワーク回収部材、22 シリンダ、22a ピストン、23 ロッド、24 カムフォロア、26 テーブル、26a 壁体、28 昇降ガイドロッド、40 環状カム、42 棒状カム、48a,48b 板状カム、49a、49b 連結部、50a、50b アプローチ区間、52a、装着区間、52b 脱着区間、54a、54b 離間区間、60 スライドレールユニット、62 ロックハンドル、100 ワーク、102 移載ユニット、103 ワーク移載部位、104 搬送コンベア、105 ワーク搬出部位、120 移載ユニットの環状カム、122 アプローチ区間(移載ユニット)、124 離間区間(移載ユニット)、130 ワーク移載部材、132 ワーク保持部(移載ユニット)、200 超音波洗浄装置、202 チャック装着部位、204 チャック脱着部位。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローダー・アンローダー装置であって、
ワークを装着又は脱着する所定の高さの装脱着部位に対して近接されるアプローチ区間と前記装脱着部位から離れる離間区間とを有する軌道を備えるカム手段と、
前記ワークを保持可能なワーク保持部を有して所定の軌道で回転可能であって、かつ前記カム手段に軌道制御されて前記ワーク保持部を前記装脱着部位に対して昇降可能に保持する複数のワーク供給・回収手段と、
を備える、ローダー・アンローダー装置。
【請求項2】
前記カム手段は、前記ワーク供給・回収手段の垂直軸回りの回転運動に付随して前記ワーク供給・回収手段を前記所定の装脱着部位に対して昇降可能とする環状軌道を有する手段である、請求項1に記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項3】
前記ワーク供給・回収手段の回転運動は、楕円状軌道である、請求項2に記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項4】
前記カム手段は、前記離間区間よりも急傾斜である前記アプローチ区間を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項5】
前記カム手段は、前記アプローチ区間よりも急傾斜である前記離間区間を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項6】
前記装脱着部位に対応する前記カム手段の前記軌道におけるワーク装脱着点の高さを調節する軌道高さ調節手段を備える、請求項1〜5のいずれかに記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項7】
前記軌道高さ調節手段は、前記カム手段の前記軌道上において前記ワーク装脱着点に対向する部位を基点として前記カム手段を上下に揺動させて前記ワーク装脱着点の高さを調節する手段である、請求項6に記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項8】
前記装脱着部位に対応する前記カム手段の前記軌道におけるワーク装脱着点は、前記カム手段の前記軌道の最高到達位置である、請求項1〜7のいずれかに記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項9】
前記装脱着部位に対応する前記カム手段の前記軌道におけるワーク装脱着点は、前記カム手段の前記軌道の最低到達位置の近傍である、請求項1〜8のいずれかに記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項10】
前記カム手段の前記軌道上の前記装脱着部位に対応するワーク装脱着点を含む軌道部分に前記アプローチ区間と前記離間区間との少なくとも一部を備え、当該軌道部分は前記カム手段の残余の軌道部分から分割して形成されている、請求項1〜9のいずれかに記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項11】
前記供給・回収手段には、前記カム手段に拘束されて軌道制御可能とする被拘束部を備え、
当該被拘束部は、前記供給・回収手段の回転軌道より外側方向を指向して前記カム手段に到達可能な所定長さを有して前記カム手段に対して係止されるようになっている、請求項1〜10のいずれかに記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項12】
前記ワーク供給・回収手段の前記軌道は、前記カム手段の前記軌道の内側に形成されている、請求項1〜11のいずれかに記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項13】
前記ワークは、前記装脱着部位においてチャッキングにより保持される、請求項1〜12のいずれかに記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項14】
さらに、搬送されてくるワークを前記ワーク保持部に移載するワーク移載ユニットであって、前記ワークの搬送方向に沿って前記ワーク保持部に近接される移載用アプローチ区間と前記所定の前記ワーク保持部から離間する移載用離間区間とを有する軌道を備えて、前記ワークの搬送方向に沿って配置される移載用カム手段と、前記ワークを前記ワーク保持部に移動可能に保持する移載用ワーク保持部を有して前記ワークの搬送方向に沿って回転運動可能であり、前記移載用カム手段に軌道制御されて前記移載用保持部に対してスライド移動可能に保持される複数個のワーク移載手段と、を備えるワーク移載ユニットを備える、請求項1〜13のいずれかに記載のローダー・アンローダー装置。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに記載のローダー・アンローダー装置を備える、ワーク搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−153452(P2007−153452A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−346519(P2005−346519)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000198477)石塚硝子株式会社 (77)
【Fターム(参考)】