説明

ローダ装置

【課題】安全面での向上に資するローダ装置を提供すること。
【解決手段】ワークWの保持及びその解放を行うワーク保持ユニット3、ワーク保持ユニットを保持した状態でポイントP1,P2間を移動する走行ユニット4、二つのポイントにおいて走行ユニットとの間でワーク保持ユニットの受け渡しを行い、ワーク保持ユニットを保持した状態で昇降する昇降ユニット5,6と、定滑車16〜19、21,22に掛けられ一端側に昇降ユニットが吊り下げられる索体20、23と、索体の他端側に吊り下げられる基本カウンターウェイト24と、索体の他端側に着脱自在に装着される追加カウンターウェイト25と、ウェイト着脱手段26と、昇降ユニットの昇降のための駆動力を供給する昇降アクチュエータ27とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ワークの移載に用いられるローダ装置(移載装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアによって構成された加工ラインを有する各種組立工場等では、多くの場合、作業者が加工ラインの向こう側(ラインの反対側)の通路に移動するためには、コンベアの端まで回り込まなければならない。しかし、例えば、コンベアが長く延び、斯かるコンベアを回り込んでの移動を頻繁に行う必要がある場合には、その動線の長さは作業性等の向上を図る上で看過することのできない問題となる。
【0003】
そこで、図8(A)及び(B)に示すように、ラインを構成するコンベア51間に門型コンベアを設置すれば、作業者がラインを横断することができるようになる。この門型コンベアは、昇降装置52をワークの搬入側と搬出側とに設け、両昇降装置52の上部にコンベア装置53を架け渡したものである。
【0004】
また、特許文献1には、上記門型コンベアの改良技術が開示されている。すなわち、特許文献1の門型コンベアは、ワークの搬入側から搬出側まで一つの駆動源によって往復移動するベルトを設け、そのベルトと共に移動する移動台車が備える一対のアームにより、ワークを把持して搬送する、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2535304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した何れの門型コンベアでも、大出力の駆動源が必要となり、また、斯かる駆動源によって大きな力が働く昇降装置52や移動台車等の可動部に作業者が接触しないように、可動部を覆う安全カバー54の設置が必須となる。
【0007】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、安全面での向上に資するローダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るローダ装置は、
ワークの保持及びその解放を行うワーク保持ユニットと、
前記ワーク保持ユニットを保持した状態で二つのポイント間を移動する走行ユニットと、
前記二つのポイントに吊り下げ配置され、該二つのポイントのそれぞれにおいて前記走行ユニットとの間で前記ワーク保持ユニットの受け渡しを行い、前記ワーク保持ユニットを保持した状態で昇降する昇降ユニットと、
定滑車に掛けられ一端側に前記昇降ユニットが吊り下げられる索体と、
前記昇降ユニットとバランスをとるために前記索体の他端側に吊り下げられる基本カウンターウェイトと、
ワークを保持した状態の前記昇降ユニットに対して前記基本カウンターウェイトとでバランスをとるために前記索体の他端側に着脱自在に装着される追加カウンターウェイトと、
前記ワーク保持ユニットによるワークの保持に連動して前記追加カウンターウェイトを前記索体の他端側に装着し、該ワーク保持ユニットによるワークの解放に連動して前記追加カウンターウェイトを前記索体の他端側から離脱させるウェイト着脱手段と、
前記昇降ユニットの昇降のための駆動力を供給する昇降アクチュエータとを備える(請求項1)。
【0009】
上記ローダ装置において、一つの前記基本カウンターウェイトに対し、二本の前記索体を介して二つの前記昇降ユニットが連結されていてもよい(請求項2)。
【0010】
上記ローダ装置において、前記ワーク保持ユニットには、前記走行ユニットの被係合部に係合可能な向き及び係合不能な向きにわたって回動する回動部と、該回動部に当接して前記回動部を前記被係合部に係合可能な向きに固定するロック位置及び該ロック位置よりも下方にあって前記回動部の回動を許容する非ロック位置にわたって移動可能なロック部と、該ロック部が前記ロック位置に位置するように該ロック部を上向きに付勢する付勢手段とが設けられ、前記昇降ユニットには、前記付勢手段の付勢に抗して前記ロック部を下降させ、前記走行ユニットの被係合部に対する前記回動部の係合を解除させるアーム部と、前記ワーク保持ユニットを保持する保持部とが設けられていてもよい(請求項3)。
【発明の効果】
【0011】
各請求項に係る発明では、安全面での向上に資するローダ装置が得られる。
【0012】
すなわち、各請求項に係る発明のローダ装置では、ワーク及び昇降ユニットの荷重に基本カウンターウェイト、追加カウンターウェイトを拮抗させ、その釣り合い状態を略保つことが容易であるので、その均衡を破るために必要な力、つまり昇降ユニットの昇降に必要な出力(エネルギー量)を極力小さくすることができる。その結果、昇降アクチュエータに求められる駆動力を、低出力(低推力)にすることができる。
【0013】
そして、昇降アクチュエータを低出力(低推力)とすれば、移動中の昇降ユニットに作業者が誤って接触してしまっても、作業者は大きな衝撃を受けず、重大な事故の発生を防止できる。
【0014】
また、前記ローダ装置は、二つのポイント間を移動する際のワークやワーク保持ユニットを、所定の高さまで上昇させた状態とするので、二つのポイント間には常に、装置の可動部が侵入しない安全な空間が確保され、この空間を作業者用の通路として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施の形態に係るローダ装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】前記ローダ装置の構成を概略的に示す正面図である。
【図3】前記ローダ装置の構成を概略的に示す側面図である。
【図4】図2のA―A線切断図である。
【図5】前記ローダ装置の要部の構成を概略的に示す説明図である。
【図6】(A)〜(C)は、前記ローダ装置の要部の構成を概略的に示す縦断面図、底面図及び側面図である。
【図7】(A)及び(B)は、前記ローダ装置の要部の構成を概略的に示す部分透視平面図及び片側断面図である。
【図8】(A)及び(B)は従来のローダ装置の構成を概略的に示す平面図及び正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら以下に説明する。
【0017】
本発明の一実施の形態に係るローダ装置は、図1及び図2に示すように、上流側ライン1を流れてきたワークWを搬入ポイント(ワーク搬入部)P1で搬入し(受け取り)、このワークWを搬出ポイント(ワーク搬出部)P2へと送り、下流側ライン2へと搬出する(送り出す)、という作動を、二つのポイントP1,P2間に作業者用通路が常に確保された状態となるようにしつつ繰り返し行うものである。
【0018】
斯かる作動を実現するために、本実施形態のローダ装置は、ワークWの保持及びその解放を行うワーク保持ユニット3と、ワーク保持ユニット3を保持した状態で二つのポイントP1,P2間を往復移動する走行ユニット4と、二つのポイントP1,P2に吊り下げ配置され、二つのポイントP1,P2のそれぞれにおいて走行ユニット4との間でワーク保持ユニット3の受け渡しを行い、ワーク保持ユニット3を保持した状態で昇降する昇降ユニット5、6とを備える。
【0019】
そして、ローダ装置は、下記のステップ(1)〜(8)の基本作動を繰り返し行う。
【0020】
(1)搬入ポイントP1にて、昇降ユニット5に保持され所定高さまで下降した状態のワーク保持ユニット3が、上流側ライン1からのワークWを保持する。
【0021】
(2)引き続き搬入ポイントP1にて、ワーク保持ユニット3を保持した状態の昇降ユニット5が、所定高さまで上昇する。
【0022】
(3)引き続き搬入ポイントP1にて、ワーク保持ユニット3は昇降ユニット5から走行ユニット4に移され、走行ユニット4はワーク保持ユニット3を保持した状態で搬入ポイントP1から搬出ポイントP2まで移動する。
【0023】
(4)搬出ポイントP2にて、ワーク保持ユニット3は走行ユニット4から昇降ユニット6に移され、ワーク保持ユニット3を保持した状態の昇降ユニット6が、所定高さまで下降する。
【0024】
(5)引き続き搬出ポイントP2にて、昇降ユニット6に保持され所定高さまで下降した状態のワーク保持ユニット3は、ワークWを解放して下流側ライン2に渡す。
【0025】
(6)引き続き搬出ポイントP2にて、ワーク保持ユニット3を保持した状態の昇降ユニット6が、所定高さまで上昇する。
【0026】
(7)引き続き搬出ポイントP2にて、ワーク保持ユニット3は昇降ユニット6から走行ユニット4に移され、走行ユニット4はワーク保持ユニット3を保持した状態で搬出ポイントP2から搬入ポイントP1まで移動する。
【0027】
(8)搬入ポイントP1にて、ワーク保持ユニット3は走行ユニット4から昇降ユニット5に移され、ワーク保持ユニット3を保持した状態の昇降ユニット5が、所定高さまで下降する。
【0028】
上記ステップ(1)、(5)においてワークWの保持及びその解放を行う本実施形態のワーク保持ユニット3は、図2に示すように、ワークWをその両側から把持する爪3A,3Bを備えるロボットハンドであり、ワークWの把持状態とその解放状態とに切り換えるための動力を供給する駆動モータ3C、把持状態を確認するセンサ3Dをも備える。
【0029】
上記ステップ(3)、(7)において二つのポイントP1,P2間を移動する(すなわちポイントP1,P2間を往復する)本実施形態の走行ユニット4は、図2に示すように、二つのプーリ7に巻回された無端状のベルト(本例ではタイミングベルト)8に接続され、駆動モータ9の駆動による一方のプーリ7の順方向または逆方向の回転に伴って、二つのポイントP1,P2間を移動するように構成されている。尚、走行ユニット4の移動を案内するためのガイド手段として、本実施形態では、LMガイド(登録商標、図1、図6(A)参照)10及びボールキャスター(図6(A)参照)11を設けてある。
【0030】
また、上述していないが、上記ステップ(3)、(7)における走行ユニット4の走行途中に、走行ユニット4の下部は(ステップ(3)ではワークWも)所定角度(本例では約90度)方向転換する。本実施形態では、走行ユニット4の下部を軸まわりに回転可能とし、この下部に、側方に突出する二つの突出部12(図6(B)参照)を周方向に適宜の間隔をあけて設けてあると共に、二つのポイントP1,P2間において二つの突出部12に接触可能な位置に方向転換部13(図1参照)を設けてある。
【0031】
そして、ステップ(3)における走行ユニット4の走行途中では、二つの突出部12の一方に方向転換部13が接触し、ステップ(7)における走行ユニット4の走行途中では、二つの突出部12の他方に方向転換部13が接触し、それぞれの接触により、走行ユニット4の下部の推進力の一部は軸回りの回転力に変換される。
【0032】
尚、両ステップ(3)、(7)で、走行ユニット4の下部の回転方向は互いに逆となる。また、図6(A)〜(C)に示すように、走行ユニット4の上部には、走行ユニット4の下部の回転角度を規制するためのストッパ14が設けられており、このストッパ14は、走行ユニット4の下部に周方向に適宜の間隔をあけて設けられた二つの係合部15に係合可能に構成されている。
【0033】
上記ステップ(2)、(4)、(6)、(8)において昇降ユニット5、6を昇降させるために、本実施形態では、図1〜図3に示すように、定滑車(本例ではプーリ)16,17A、18A、19Aにこの順で掛けられ一端側に昇降ユニット5が吊り下げられる索体(例えばベルト)20と、定滑車(本例ではプーリ)21、17B、22、18B、19Bにこの順で掛けられ一端側に昇降ユニット6が吊り下げられる索体(例えばベルト)23と、二つの昇降ユニット5,6とバランスをとるために二本の索体20,23の他端側に吊り下げられる基本カウンターウェイト24と、ワークWを保持した状態の昇降ユニット5,6に対して基本カウンターウェイト24とでバランスをとるために索体20,23の他端側に着脱自在に装着される追加カウンターウェイト25と、ワーク保持ユニット3によるワークWの保持に連動して追加カウンターウェイト25を索体20,23の他端側に装着し、ワーク保持ユニット3によるワークWの解放に連動して追加カウンターウェイト25を索体20,23の他端側から離脱させるウェイト着脱手段26と、昇降ユニット5,6の昇降のための駆動力を供給する昇降アクチュエータ27とを備える。
【0034】
各昇降ユニット5,6は、LMガイド(登録商標、案内手段の一例)28に案内されつつ昇降する。
【0035】
定滑車17A,17B、18A,18B、19A,19Bはそれぞれ一体的に回動するように構成されている。
【0036】
本実施形態では、二本の索体20,23の長さを同じとするため、昇降ユニット6(基本カウンターウェイト24に近い方の昇降ユニット)に連結される索体23を、他の定滑車よりも下方に配置された定滑車22に巻回し、テンションの調整を図っている。
【0037】
ウェイト着脱手段26は、図2及び図5に示すように、追加カウンターウェイト25の上部に設けられた係合バー25Aに係脱自在に係合するフック26Aと、このフック26Aを可逆回転可能に回転駆動するモータ26Bと、追加カウンターウェイト25が係合可能位置(上昇端)にあるか否かを検知するためのセンサ(図示していない)とを備える。すなわち、ウェイト着脱手段26は、フック26Aが係合バー26Aに係合して追加カウンターウェイト25を保持する保持状態と、係合バー26Aから離れて追加カウンターウェイト25を解放する解放状態とに切り替わり、この切替えは、前記センサが追加カウンターウェイト25を検知している状態でのみ行うようにしてある。
【0038】
尚、基本カウンターウェイト24、追加カウンターウェイト25、ウェイト着脱手段26は、本出願人による特願2010−91466の明細書及び図面に、基本重り3、追加重り6、重り保持部7として説明したものと同様である。
【0039】
昇降アクチュエータ27は、一対の定滑車19A,19Bを可逆回転可能に回転駆動する駆動モータである。
【0040】
上記ステップ(3)、(7)において走行ユニット4と昇降ユニット5,6との間でワーク保持ユニット3の受け渡しを行うために、本実施形態のワーク保持ユニット3には、図7(B)に示すように、走行ユニット4の被係合部(本例ではフランジ)28に係合可能な向き及び係合不能な向きにわたって回動する回動部(本例では回動爪)29と、回動部29に当接して回動部29を被係合部28に係合可能な向きに固定するロック位置及び該ロック位置よりも下方にあって回動部29の回動を許容する非ロック位置にわたって移動可能なロック部30と、ロック部30がロック位置に位置するようにロック部30を上向きに付勢する付勢手段(本例ではばね)31とが設けられている。
【0041】
また、本実施形態の昇降ユニット5,6には、付勢手段31の付勢に抗してロック部30を下降させ、走行ユニット4の被係合部28に対する回動部29の係合を解除させるアーム部32と、ワーク保持ユニット3を保持する保持部33とが設けられている。尚、図2では、アーム部32の図示を省略している。
【0042】
さらに、図7(A)に示すように、ロック部30には側方に突出する複数のカムフォロア(本例では前後左右に各一つずつ)34が設けられ、アーム部32には、カムフォロア34を受け入れる受け溝35が設けられ、受け溝35は、受け入れ方向において奥側ほど下側に位置するように傾斜している(図7(A)及び(B)参照)。
【0043】
ここで、ワーク保持ユニット3を保持した状態の走行ユニット4が、搬入ポイントP1を出発して搬出ポイントP2に到達し、ワーク保持ユニット3を昇降ユニット6に受け渡すときの作動を例に挙げて説明すると、走行ユニット4はまず、搬出ポイントP2に配置されたストッパ36によって搬出ポイントP2に停止する。
【0044】
そして、この停止の際に、ワーク保持ユニット3の前後のカムフォロア34が昇降ユニット6の二つの受け溝35に受け入れられるが、上述のように、各受け溝35は受け入れ方向において奥側ほど下側に位置するように傾斜しているので、受け溝35により、ワーク保持ユニット3のロック部30はカムフォロア34と共に付勢手段31の付勢に抗して非ロック位置にまで実質的にかつ自動的に押し下げられることになる。
【0045】
つまり、搬出ポイントP2に到着した時点で、ワーク保持ユニット3は、走行ユニット4の被係合部28への係合が解除された状態となるので、昇降ユニット6の昇降に伴って昇降することになる。
【0046】
そして、昇降ユニット6が搬出ポイントP2において上昇端に位置するときに、走行ユニット4が搬出ポイントP2から搬入ポイントP1に出発する際には、ワーク保持ユニット3の回動部29は走行ユニット4の被係合部28に不完全ながらも係合するので、ワーク保持ユニット3は走行ユニット4に引っ張られ、ワーク保持ユニット3のカムフォロア34がアーム部32の受け溝35から抜ける方向にある程度進むと、付勢手段31の付勢により、ロック部30はロック位置に移動し、回動部29が走行ユニット4の被係合部28に完全に係合した状態となる。
【0047】
また、本実施形態の保持部33は、ワーク保持ユニット3の落下を防止しつつワーク保持ユニット3が他のポイントP1,P2へ移動するのを妨げないようにワーク保持ユニット3を保持することを可能とするために、ワーク保持ユニット3に接触する部分をステー部材33bに取り付けた複数(本例では四つ)のカムフォロア33aにて構成してある(図4、図7(B)参照)。
【0048】
上記のように構成されたローダ装置では、ワークW及び昇降ユニット5,6の荷重にカウンターウェイト24,25を拮抗させ、その釣り合い状態を略保つことができるようにしてあるので、その均衡を破るために必要な力、つまり昇降ユニット5,6の昇降に必要な出力(エネルギー量)を極力小さくすることができる。その結果、昇降アクチュエータ27を構成する駆動モータに求められる回転駆動力は、低出力(低推力)にすることができる。
【0049】
そのような低推力の駆動モータとして、シンクロナスモータを用いることができる。シンクロナスモータは、設定トルク以上になると、脱調して軸が空回りするという特性を有するので、例えば、移動中の昇降ユニット5,6に作業者が誤って接触してしまっても、シンクロナスモータが脱調して空転し、衝突位置で昇降ユニット5,6が急停止することになり、作業者は大きな衝撃を受けず、重大な事故の発生を防止できる。そして、本実施形態では、昇降アクチュエータ27を構成する駆動モータのみならず、走行ユニット4の駆動のための駆動モータ9にもシンクロナスモータを使用することができる。
【0050】
本実施形態のローダ装置は、二つのポイントP1,P2間を移動する際のワークWやワーク保持ユニット3を、所定の高さまで上昇させた状態とするので、二つのポイントP1,P2間には常に、装置の可動部が侵入しない安全な空間が確保され、この空間を作業者用の通路として用いることができる。
【0051】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論である。例えば、以下のような変形例を挙げることができる。
【0052】
本実施形態では、上記ステップ(3)、(7)における走行ユニット4の走行途中に、走行ユニット4の下部は約90度方向転換するようにしているが、この方向転換の角度は任意に変更可能であり、また、方向転換しないように構成してもよい。
【0053】
二本の索体20,23の長さは不同一であってもよい。
【0054】
索体20,23としては、ベルト(丸ベルト、平ベルト、歯付きベルト等)の他、チェーン、釣り糸等、適宜のものを用いることができ、定滑車16〜19、21,22には、プーリの他、歯付きスプロケット等、使用する索体20,23の種類に応じて既知の滑車要素を採用可能である。
【0055】
各カウンターウェイト24,25として、着脱自在な複数のプレートを備え、その装着枚数に応じて重量が段階的に変わるように構成されているものを図示しているが、これに限らず、種々の構成のカウンターウェイトを用いることができる。また、基本カウンターウェイト24を、二つの昇降ユニット5,6に個別に(一対一で)対応するように二つ設けてもよく、この場合、追加カウンターウェイト25を二つ設けるようにしてもよい。
【0056】
本実施形態では、昇降アクチュエータ27に、一対の定滑車19A,19Bを可逆回転可能に回転駆動する駆動モータを用いているが、これに限らず、例えば、駆動モータの回転エネルギーを直線エネルギーに変換するラック及びピニオンを組み合わせたり、ロータリーアクチュエータ、エアシリンダ、油圧シリンダ等を用いたりしてもよい。
【0057】
本実施形態では、ワーク保持ユニット3の回動部29が走行ユニット4の被係合部28を外側から挟み込むように回動するが、両者3,4の係合構造はこれに限らず、例えば、走行ユニット4の下部に内向きフランジを設け、この内向きフランジに対して内側から係合するように、回動部29が回動するように構成してもよい。
【0058】
なお、上記変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0059】
3 ワーク保持ユニット
4 走行ユニット
5,6 昇降ユニット
15 係合部
16〜19 定滑車
20 索体
21、22 定滑車
23 索体
24 基本カウンターウェイト
25 追加カウンターウェイト
26 ウェイト着脱手段
27 昇降アクチュエータ
28 被係合部(フランジ)
29 回動部
30 ロック部
31 付勢手段(ばね)
32 アーム部
33 保持部
P1 搬入ポイント
P2 搬出ポイント
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークの保持及びその解放を行うワーク保持ユニットと、
前記ワーク保持ユニットを保持した状態で二つのポイント間を移動する走行ユニットと、
前記二つのポイントに吊り下げ配置され、該二つのポイントのそれぞれにおいて前記走行ユニットとの間で前記ワーク保持ユニットの受け渡しを行い、前記ワーク保持ユニットを保持した状態で昇降する昇降ユニットと、
定滑車に掛けられ一端側に前記昇降ユニットが吊り下げられる索体と、
前記昇降ユニットとバランスをとるために前記索体の他端側に吊り下げられる基本カウンターウェイトと、
ワークを保持した状態の前記昇降ユニットに対して前記基本カウンターウェイトとでバランスをとるために前記索体の他端側に着脱自在に装着される追加カウンターウェイトと、
前記ワーク保持ユニットによるワークの保持に連動して前記追加カウンターウェイトを前記索体の他端側に装着し、該ワーク保持ユニットによるワークの解放に連動して前記追加カウンターウェイトを前記索体の他端側から離脱させるウェイト着脱手段と、
前記昇降ユニットの昇降のための駆動力を供給する昇降アクチュエータとを備えるローダ装置。
【請求項2】
一つの前記基本カウンターウェイトに対し、二本の前記索体を介して二つの前記昇降ユニットが連結される請求項1に記載のローダ装置。
【請求項3】
前記ワーク保持ユニットには、前記走行ユニットの被係合部に係合可能な向き及び係合不能な向きにわたって回動する回動部と、該回動部に当接して前記回動部を前記被係合部に係合可能な向きに固定するロック位置及び該ロック位置よりも下方にあって前記回動部の回動を許容する非ロック位置にわたって移動可能なロック部と、該ロック部が前記ロック位置に位置するように該ロック部を上向きに付勢する付勢手段とが設けられ、
前記昇降ユニットには、前記付勢手段の付勢に抗して前記ロック部を下降させ、前記走行ユニットの被係合部に対する前記回動部の係合を解除させるアーム部と、前記ワーク保持ユニットを保持する保持部とが設けられる請求項1または2に記載のローダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−188273(P2012−188273A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54701(P2011−54701)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000191353)新明工業株式会社 (75)
【Fターム(参考)】