説明

ロープトロリ式アンローダ

【課題】機器全体の構成の簡略化とメンテナンスの容易化に加え運転時の振動と騒音の低減を図ることができ、且つ駆動装置の大型化を回避し得、省エネ化並びにコストダウンを図り得るロープトロリ式アンローダを提供する。
【解決手段】第1巻上ドラム16から繰り出された第1巻上ロープ19と、第2巻上ドラム17から繰り出された第2巻上ロープ21と、開閉ドラムから繰り出された開閉ロープとを有し、第1巻上ロープ19を繰り出す第1巻上ドラム16には、第1遊星歯車減速機構70を介して第1巻上駆動モータ71を接続し、第2巻上ロープ21を繰り出す第2巻上ドラム17には、第2遊星歯車減速機構72を介して第2巻上駆動モータ73を接続すると共に、第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17には、第1遊星歯車減速機構70及び第2遊星歯車減速機構72と同期歯車機構74とを介して横行駆動モータ75を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロープトロリ式アンローダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、バラ物運搬船に積載された鉱石、石炭等のバラ物を陸揚げするために、岸壁には橋形クレーン式アンローダが備えられている。橋形クレーン式アンローダは、海側の前脚と陸側の後脚を有して岸壁に沿って走行する機械本体と、該機械本体上部の陸側のガーダから海側へ張り出して設けられたブームと、該ブーム及びガーダの長手方向に沿って横行するトロリと、該トロリから吊り下げられて昇降と開閉を行うようにしたグラブバケットとを有している。そして、前記ブームの海側に位置したトロリにより開いた状態のグラブバケットをバラ物運搬船内のバラ物上に吊り下げて載置し、グラブバケットを閉じることによりバラ物を掴んだ後、グラブバケットを上昇させ、続いてトロリを陸側に横行させることによりグラブバケットを陸側に移動させ、グラブバケットが前記機械本体に備えたホッパ上に来たときに開くことによりバラ物をホッパへ投入している。ホッパに投入されたバラ物は機械本体に備えた搬送コンベヤ等により陸上の搬送コンベヤへ供給するようにしている。
【0003】
従来の橋形クレーン式アンローダとしては、前記ブーム上にトロリを備え、トロリにはグラブバケットの昇降を行う巻上装置とグラブバケットの開閉を行う開閉装置と横行装置とを備えたクラブトロリ式アンローダが一般的に用いられてきた。
【0004】
しかし、上記クラブトロリ式アンローダにおいては、主トロリに巻上装置と開閉装置と横行装置とが搭載されるために、トロリの重量が増加して、ブーム上を移動する荷重が大きくなるため、クレーン本体重量が重くなり、更に、トロリの横行起動、停止に要する消費エネルギが増加する問題があった。
【0005】
このため、グラブバケットの巻上ドラムと開閉ドラムを機械本体のガーダ側に備えることによりトロリの軽量化とトロリの構成の簡略化を図るようにしたロープトロリ式アンローダが実施されている(例えば、特許文献1等参照)。
【0006】
図8は上記特許文献1に示されたロープトロリ式アンローダの概略を示す斜視図であり、図8は、2本の巻上ドラム50,50´と2本の開閉ドラム51,51´からなる計4本のドラムを備えた4ドラム式のアンローダの場合を示している。
【0007】
図8中、52は図示しない機械本体から海側に張り出したブーム及びガーダに沿って矢印A方向へ横行可能なトロリであり、該トロリ52によりグラブバケット53を吊り下げるようにしている。即ち、前記巻上ドラム50から繰り出した巻上ロープ54はガーダの陸側端部に設けたシーブ55を経てトロリ52上のシーブ56に導かれた後、下方に向けられて下端がグラブバケット53の一側(陸側)に固定されている。又、前記巻上ドラム50´から繰り出した巻上ロープ54´はブームの海側端部に設けたシーブ55´を経てトロリ52上のシーブ56´に導かれた後、下方に向けた下端がグラブバケット53の他側(海側)に固定されている。
【0008】
又、前記開閉ドラム51から繰り出した開閉ロープ57はガーダの陸側端部に設けたシーブ58を経てトロリ52上のシーブ59に導かれた後、下方に導かれてグラブバケット53のバケット本体53a,53aの連結部に取り付けた下部移動シーブ60と、タイロッド53bを介しピン連結により前記バケット本体53aを支持する上部フレーム53cに取り付けた上部固定シーブ61(図1参照)との間に複数回掛け回され、グラブバケット53の所要箇所に固定されている。一方、前記開閉ドラム51´から繰り出した開閉ロープ57´はブームの海側端部に設けたシーブ58´を経てトロリ52上のシーブ59´に導かれた後、下方に導かれてグラブバケット53の下部移動シーブ60と上部固定シーブ61(図1参照)との間に複数回掛け回され、グラブバケット53の所要箇所に固定されている。
【0009】
図8に示した4ドラム式のアンローダでは、巻上ドラム50,50´を停止した状態において、開閉ドラム51,51´により開閉ロープ57,57´を同時に繰り出すと、グラブバケット53の下部移動シーブ60と上部固定シーブ61の間隔が開いて前記グラブバケット53は開き、開閉ドラム51,51´により開閉ロープ57,57´を同時に巻き込むと、下部移動シーブ60と上部固定シーブ61の間隔が狭くなりグラブバケット53は閉じられる。
【0010】
又、前記巻上ドラム50,50´により巻上ロープ54,54´を繰り出す操作と、開閉ドラム51,51´により開閉ロープ57,57´を繰り出す操作を同時に行うと、グラブバケット53は下降し、又、前記巻上ドラム50,50´により巻上ロープ54,54´を巻き込む操作と、開閉ドラム51,51´により開閉ロープ57,57´を巻き込む操作を同時に行うと、グラブバケット53は上昇する。
【0011】
一方、陸側のシーブ55,58からトロリ52上の陸側のシーブ56,59に巻上ロープ54及び開閉ロープ57を導いている巻上ドラム50及び開閉ドラム51の巻き込み操作と、海側のシーブ55´,58´からトロリ52の海側のシーブ56´,59´に巻上ロープ54´及び開閉ロープ57´を導いている巻上ドラム50´及び開閉ドラム51´の繰り出し操作を同時に行うと、トロリ52とグラブバケット53は陸側へ横行する。逆に、巻上ドラム50及び開閉ドラム51の繰り出し操作と、巻上ドラム50´及び開閉ドラム51´の巻き込み操作を同時に行うと、トロリ52及びグラブバケット53は海側へ横行する。即ち、巻上ドラム50,50´と開閉ドラム51,51´の操作によって、トロリ52及びグラブバケット53の横行を行わせることができる。
【0012】
又、図8に示した4ドラム式のアンローダでは、グラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61との間に掛け回されてバケット本体53aの開閉を行う開閉ロープ57,57´には、特にバラ物を掴む際に非常に大きな負荷が掛り、上記掛け回し箇所のロープが損耗する問題があるため、この掛け回し箇所を中間ロープ62,62´として前記開閉ロープ57,57´から切り離して交換できるようにした、ロープジョイント63,64を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO98/06657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、上記したような4ドラム式のアンローダにおいても、以下のような問題が生じていた。
【0015】
即ち、4ドラム式のアンローダでは4本のドラム50,50´,51,51´を必要とするために装置の構成が複雑になるという問題があり、更に、グラブバケット53の昇降操作とグラブバケット53の開閉操作は、前記したように4本のドラム50,50´,51,51´を同期させて作動させる必要があり、そのために、制御が比較的難しくなるという問題がある。
【0016】
又、前記4ドラム式のアンローダにおいては、下部移動シーブ60と上部固定シーブ61との間の掛け回し箇所を、中間ロープ62,62´として前記開閉ロープ57,57´から切り離すことができるロープジョイント63,64を備えているので、掛け回し箇所が損傷した際に中間ロープ62,62´を交換するのみで対応することができ、開閉ドラム51,51´に巻き込まれている開閉ロープ57,57´の全てを交換する場合に比して交換作業を簡略化することができるが、反面、前記ロープジョイント63,64部分は、前記開閉ロープ57,57´及び中間ロープ62,62´に比して径が大きくなっているために、このロープジョイント63,64がトロリ52上のシーブ59,59´を通過する際に衝撃が生じて大きな振動と騒音を発すると共に、機械本体への衝撃として作用するという問題を有していた。
【0017】
一方、前記4ドラム式のアンローダにおいて、巻上ドラム50,50´の駆動装置として一般的な2倍速のかご形モータを用い、該モータに接続される減速機に通常の平歯車を使用すると、モータの回転数は、定格1500[rpm]、最大2500[rpm]であるから、出力一定制御(パワーコンスタント制御)の場合、前記モータの回転数は、グラブバケット53が空の状態では2500[rpm]とし、バラ物を掴んだ負荷時には1500[rpm]とするのが最良な使い方である。しかし、グラブバケット53の巻上とトロリ52の横行を同時に行なおうとした場合、巻上ロープ54,54´を巻上速度+横行速度で駆動する必要があるため、最大回転速度を超えてしまうことになる。このため、グラブバケット53の巻上げ単独時における定格荷重のモータ回転数を500〜750[rpm]にしなければならなくなるが、このことは巻上モータのトルクを2〜3(1500/750〜1500/500)倍大きくし、例えば、4倍速のモータ或いはそれ以上のモータを採用しなければならなくなることを意味し、更に、モータだけではなく、該モータに関連するインバータ等も2〜3倍の容量のものを必要とし、電力消費量が増加すると共に、コストアップにもつながるという欠点を有していた。
【0018】
本発明は、斯かる実情に鑑み、機器全体の構成の簡略化とメンテナンスの容易化に加え運転時の振動と騒音の低減を図ることができ、且つ駆動装置の大型化を回避し得、省エネ化並びにコストダウンを図り得るロープトロリ式アンローダを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、ガーダ及びブーム上を走行するトロリからグラブバケットが吊り下げられるロープトロリ式アンローダであって、
前記ガーダ上に備えた第1巻上ドラムと、該第1巻上ドラムから繰り出してトロリに設けた第1シーブを介しグラブバケットに固定した第1巻上ロープと、
前記ガーダ上に備えた第2巻上ドラムと、該第2巻上ドラムから繰り出してブーム先端に設けた先端シーブ及び前記トロリに設けた第2シーブを介し前記グラブバケットに固定した第2巻上ロープと、
一端がクラブバケットに固定され且つ前記グラブバケットに備えられる下部移動シーブと上部固定シーブに掛け回された駆動ロープの他端を固定したフックブロックと、
前記ガーダ上に備えた開閉ドラムと、該開閉ドラムから繰り出してトロリに設けた第3シーブを介し前記フックブロックに備えた中間シーブに掛け回し、更に前記第3シーブと同軸の第4シーブを介して前記ブームの先端に固定した開閉ロープと
を有し、
前記第1巻上ドラムには、第1遊星歯車減速機構を介して第1巻上駆動モータを接続し、前記第2巻上ドラムには、第2遊星歯車減速機構を介して第2巻上駆動モータを接続すると共に、前記第1巻上ドラム及び第2巻上ドラムには、前記第1遊星歯車減速機構及び第2遊星歯車減速機構と同期歯車機構とを介して横行駆動モータを接続したことを特徴とするロープトロリ式アンローダにかかるものである。
【0020】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0021】
前記第1巻上ドラム及び第2巻上ドラムと開閉ドラムからなる3本のドラムによってグラブバケットの昇降と、開閉と、トロリの横行とを可能にしたので、従来の4ドラム式のアンローダに比して装置構成の簡略化を図ることができ、更に、同期させるドラムの数が減少するために制御を容易化することができる。
【0022】
更に、一端がクラブバケットに固定され且つ前記グラブバケットに備えた下部移動シーブと上部固定シーブに掛け回した駆動ロープの他端をフックブロックに固定し、該フックブロックに備えた中間シーブを介して開閉ロープによりトロリからグラブバケットを吊り下げているので、前記開閉ロープから切り離してフックブロックに固定されている前記駆動ロープは、交換作業が容易になり、且つ、従来のようなロープジョイントを備えていないので、ロープジョイントがシーブに衝突して振動及び騒音が発生すると共に機械本体への衝撃として作用する問題を防止できる。
【0023】
一方、前記第1巻上ドラムには、第1遊星歯車減速機構を介して第1巻上駆動モータを接続し、前記第2巻上ドラムには、第2遊星歯車減速機構を介して第2巻上駆動モータを接続すると共に、前記第1巻上ドラム及び第2巻上ドラムには、前記第1遊星歯車減速機構及び第2遊星歯車減速機構と同期歯車機構とを介して横行駆動モータを接続したことにより、前記グラブバケットの巻上げ下げ時には、前記第1巻上ドラムを第1巻上駆動モータにより第1遊星歯車減速機構を介して回転駆動すると共に、前記第2巻上ドラムを第2巻上駆動モータにより第2遊星歯車減速機構を介して回転駆動し、前記トロリの横行時には、前記第1巻上ドラムを横行駆動モータにより同期歯車機構及び第1遊星歯車減速機構を介して回転駆動すると共に、前記第2巻上ドラムを前記横行駆動モータにより前記同期歯車機構及び第2遊星歯車減速機構を介して回転駆動することが可能となるため、従来の4ドラム式のアンローダのようにグラブバケットの巻上用のモータにトロリの横行をも負担させるのとは異なり、第1巻上駆動モータと第2巻上駆動モータと横行駆動モータとをそれぞれ、必要以上に大型化することなく、巻上と横行それぞれに見合った必要最小限の標準モータを採用可能となり、該モータに関連するインバータ等も大容量のものを用いなくて済み、電力消費量が抑えられると共に、コストダウンにもつながることとなる。
【0024】
前記ロープトロリ式アンローダにおいては、前記第1遊星歯車減速機構を、
前記第1巻上駆動モータの第1巻上駆動軸に嵌着された第1太陽歯車と、前記第1巻上駆動軸と同芯状に延びる第1遊星キャリヤ軸を中心に回転自在となるよう配設された第1遊星キャリヤと、前記第1遊星キャリヤ軸の外周側に該第1遊星キャリヤ軸と平行に延びるよう第1遊星キャリヤに取り付けられた第1遊星歯車軸と、該第1遊星歯車軸に回転自在となるよう嵌装された第1遊星歯車と、該第1遊星歯車と噛合する内歯が内周面に刻設され且つ外歯が外周面に刻設され、前記第1巻上駆動軸を中心に回転自在となるよう配設された第1環状歯車と、前記第1遊星キャリヤ軸に嵌着された第1遊星キャリヤ歯車と、該第1遊星キャリヤ歯車と噛合し且つ前記第1巻上ドラムの第1巻上回転軸に嵌着された第1巻上歯車とから構成し、
前記第2遊星歯車減速機構を、
前記第2巻上駆動モータの第2巻上駆動軸に嵌着された第2太陽歯車と、前記第2巻上駆動軸と同芯状に延びる第2遊星キャリヤ軸を中心に回転自在となるよう配設された第2遊星キャリヤと、前記第2遊星キャリヤ軸の外周側に該第2遊星キャリヤ軸と平行に延びるよう第2遊星キャリヤに取り付けられた第2遊星歯車軸と、該第2遊星歯車軸に回転自在となるよう嵌装された第2遊星歯車と、該第2遊星歯車と噛合する内歯が内周面に刻設され且つ外歯が外周面に刻設され、前記第2巻上駆動軸を中心に回転自在となるよう配設された第2環状歯車と、前記第2遊星キャリヤ軸に嵌着された第2遊星キャリヤ歯車と、該第2遊星キャリヤ歯車と噛合し且つ前記第2巻上ドラムの第2巻上回転軸に嵌着された第2巻上歯車とから構成し、
前記同期歯車機構を、
前記横行駆動モータの横行駆動軸に嵌着され且つ前記第1環状歯車及び第2環状歯車の中間に配設された横行駆動歯車と、該横行駆動歯車及び前記第1環状歯車の外歯に噛合し且つ前記横行駆動軸と平行な軸を中心に回転自在となるよう配設された第1アイドル歯車と、前記横行駆動歯車及び前記第2環状歯車の外歯に噛合し且つ前記横行駆動軸と平行な軸を中心に回転自在となるよう配設された第2アイドル歯車とから構成することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のロープトロリ式アンローダによれば、機器全体の構成の簡略化とメンテナンスの容易化に加え運転時の振動と騒音の低減を図ることができ、且つ駆動装置の大型化を回避し得、省エネ化並びにコストダウンを図り得るという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のロープトロリ式アンローダの実施例を示す側面図である。
【図2】本発明のロープトロリ式アンローダの実施例を示す斜視図である。
【図3】本発明のロープトロリ式アンローダの実施例におけるグラブバケットを開いた状態を示す側面図である。
【図4】本発明のロープトロリ式アンローダの実施例を示す全体構成概要図である。
【図5】本発明のロープトロリ式アンローダの実施例における第1巻上ドラム及び第2巻上ドラムの駆動系統を示す斜視図である。
【図6】本発明のロープトロリ式アンローダの実施例における第1巻上ドラム及び第2巻上ドラムの駆動系統を図5とは別角度から示す斜視図である。
【図7】本発明のロープトロリ式アンローダの実施例における開閉ドラムの駆動系統を示す斜視図である。
【図8】従来の4ドラム式のアンローダの一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0028】
図4は本発明のロープトロリ式アンローダの全体構成を示す側面図であり、このロープトロリ式アンローダは、海側の前脚1と陸側の後脚2を有して岸壁上のレール3上を走行する機械本体4と、該機械本体4上部の陸側に設けられたガーダ5から海側へ張り出しピン6´を中心に俯仰が可能なブーム6と、該ブーム6及びガーダ5の長手方向に沿って横行するトロリ7と、該トロリ7から吊下げられて昇降と開閉を行うようにしたグラブバケット53とを有している。そして、前記ブーム6の海側に位置したトロリ7から開いた状態のグラブバケット53をバラ物運搬船8の上部開口9から船内に吊り下げてバラ物上に載置し、グラブバケット53を閉じることによりバラ物を掴んだ後、グラブバケット53を上昇させ、続いて、トロリ7を陸側に横行させることによりグラブバケット53を陸側に移動させ、グラブバケット53が前記機械本体4に備えたホッパ10上に来たときに開くことによりバラ物をホッパ10内へ投入している。ホッパ10内に投入されたバラ物は、機械本体4に備えた機内コンベヤ11等により陸上の搬送コンベヤ12に供給されるようになっている。13は機械本体4からバラ物運搬船8上に張り出すように設けられ、グラブバケット53から落下するバラ物を回収するためのバラ物回収板、14はアンローダを操作する移動運転室、15は機械本体4の上部の陸側端に設けられた機械室及び電気品室である。
【0029】
図4のロープトロリ式アンローダには、グラブバケット53の作動を行うための図1、図2、図3に示す構成が備えられている。即ち、図1、図4に示すガーダ5の陸側端部には、第1巻上ドラム16と、第2巻上ドラム17と、開閉ドラム18が配置されている。
【0030】
前記第1巻上ドラム16から繰り出された第1巻上ロープ19は、トロリ7の海側に設けた第1シーブ20に掛けられた後、先端をグラブバケット53の上部フレーム53cの海側に固定している。
【0031】
又、前記第2巻上ドラム17から繰り出された第2巻上ロープ21は、ブーム6先端に設けた先端シーブ22に掛けられ、更に、前記トロリ7の陸側に設けた第2シーブ23に掛けられた後、先端を前記グラブバケット53の上部フレーム53cの陸側に固定している。
【0032】
図中、25はフックブロックであり、前記グラブバケット53の所要箇所に一端を固定した駆動ロープ24がグラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61に複数回掛け回された後、他端を前記フックブロック25に固定しており、又、前記グラブバケット53の所要箇所に一端を固定した駆動ロープ24´がグラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61に複数回掛け回された後、他端を前記前記フックブロック25に固定している。
【0033】
そして、前記開閉ドラム18から繰り出した開閉ロープ26は、トロリ7の前記第1シーブ20と第2シーブ23との中間に設けた第3シーブ27を介して前記フックブロック25に備えた中間シーブ28に掛け回し、更に前記第3シーブ27と同軸の第4シーブ27´に掛けてその先端を前記ブーム6の先端の固定点26´に固定している。
【0034】
上記したように、前記第1巻上ロープ19を掛ける第1シーブ20はトロリ7の海側に位置し、前記第2巻上ロープ21を掛ける第2シーブ23はトロリ7の陸側に位置しているため、前記第1シーブ20と第2シーブ23の間隔を設定することにより、前記第1シーブ20と第2シーブ23から前記グラブバケット53に向かう第1巻上ロープ19と第2巻上ロープ21の間隔が上方から下方へ向かって減少するようにしている。
【0035】
又、前記第1巻上ロープ19は、第1巻上ドラム16の上面から繰り出され、トロリ7の第1シーブ20の上面に掛けられた後、先端を前記グラブバケット53の上部フレーム53cの海側に固定し、前記第2巻上ロープ21は、第2巻上ドラム17の下面から繰り出され、ブーム6の先端に設けた先端シーブ22の下面に掛けられて上面から導き出され、更に前記トロリ7の第2シーブ23の上面に掛けられた後、先端を前記グラブバケット53の上部フレーム53cの陸側に固定し、更に、前記開閉ロープ26は、開閉ドラム18の上面から繰り出され、トロリ7の前記第3シーブ27の上面に掛けられてその左側から下方に導かれ、前記フックブロック25に備えた中間シーブ28に対しその左側から下面に掛けられてその右側から上部に導かれ、前記第3シーブ27と同軸の第4シーブ27´の右側からその上面に掛けられた後、先端を前記ブーム6の先端の固定点26´に固定しているため、前記第1巻上ロープ19、前記第2巻上ロープ21、前記開閉ロープ26はそれぞれ、各ドラム16,17,18に対する巻付け方向と、各シーブ20,22,23,27,28,27´に対する巻付け方向とが同じ曲げ方向である順曲げとなっている。
【0036】
一方、前記第1巻上ドラム16には、図5及び図6に示す如く、第1遊星歯車減速機構70を介して第1巻上駆動モータ71を接続し、前記第2巻上ドラム17には、第2遊星歯車減速機構72を介して第2巻上駆動モータ73を接続すると共に、前記第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17には、前記第1遊星歯車減速機構70及び第2遊星歯車減速機構72と同期歯車機構74とを介して横行駆動モータ75を接続してある。
【0037】
前記第1遊星歯車減速機構70は、前記第1巻上駆動モータ71の第1巻上駆動軸71aに第1太陽歯車70aを嵌着し、前記第1巻上駆動軸71aと同芯状に延びる第1遊星キャリヤ軸70bを中心に回転自在となるよう第1遊星キャリヤ70cを配設し、該第1遊星キャリヤ70cに、前記第1遊星キャリヤ軸70bの外周側に該第1遊星キャリヤ軸70bと平行に延びるよう複数本(図5及び図6の例では3本)の第1遊星歯車軸70dを取り付け、該第1遊星歯車軸70dに回転自在となるよう第1遊星歯車70eを嵌装し、該第1遊星歯車70eと噛合する内歯70fが内周面に刻設され且つ外歯70gが外周面に刻設された第1環状歯車70hを、前記第1巻上駆動軸71aを中心に回転自在となるよう配設し、前記第1遊星キャリヤ軸70bに第1遊星キャリヤ歯車70iを嵌着し、該第1遊星キャリヤ歯車70iと噛合する第1巻上歯車70jを前記第1巻上ドラム16の第1巻上回転軸16aに嵌着してなる構成を有している。
【0038】
前記第2遊星歯車減速機構72は、前記第2巻上駆動モータ73の第2巻上駆動軸73aに第2太陽歯車72aを嵌着し、前記第2巻上駆動軸73aと同芯状に延びる第2遊星キャリヤ軸72bを中心に回転自在となるよう第2遊星キャリヤ72cを配設し、該第2遊星キャリヤ72cに、前記第2遊星キャリヤ軸72bの外周側に該第2遊星キャリヤ軸72bと平行に延びるよう複数本(図5及び図6の例では3本)の第2遊星歯車軸72dを取り付け、該第2遊星歯車軸72dに回転自在となるよう第2遊星歯車72eを嵌装し、該第2遊星歯車72eと噛合する内歯72fが内周面に刻設され且つ外歯72gが外周面に刻設された第2環状歯車72hを、前記第2巻上駆動軸73aを中心に回転自在となるよう配設し、前記第2遊星キャリヤ軸72bに第2遊星キャリヤ歯車72iを嵌着し、該第2遊星キャリヤ歯車72iと噛合する第2巻上歯車72jを前記第2巻上ドラム17の第2巻上回転軸17aに嵌着してなる構成を有している。
【0039】
前記同期歯車機構74は、前記第1環状歯車70h及び第2環状歯車72hの中間に、前記横行駆動モータ75の横行駆動軸75aに嵌着された横行駆動歯車74aを配設し、該横行駆動歯車74a及び前記第1環状歯車70hの外歯70gに噛合する第1アイドル歯車74bと、前記横行駆動歯車74a及び前記第2環状歯車72hの外歯72gに噛合する第2アイドル歯車74cとを、前記横行駆動軸75aと平行な軸74d,74eを中心に回転自在となるよう配設してなる構成を有している。
【0040】
又、前記開閉ドラム18には、図7に示す如く、歯車減速機構76を介して開閉駆動モータ77を接続してある。
【0041】
前記歯車減速機構76は、前記開閉駆動モータ77の開閉駆動軸77aに開閉駆動歯車76aを嵌着し、該開閉駆動歯車76aと噛合する従動歯車76bを、前記開閉駆動軸77aと平行な軸76cを中心に回転自在となるよう配設し、該軸76cに嵌着した減速歯車76dと噛合する開閉歯車76eを前記開閉ドラム18の開閉回転軸18aに嵌着してなる構成を有している。
【0042】
尚、図7に示す例では、前記開閉駆動モータ77は二系統設け、該二系統の開閉駆動モータ77により一つの開閉ドラム18を回転駆動するようにしてある。
【0043】
次に、上記実施例の作動を説明する。
【0044】
図1、図2に示すように、第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17の回転を停止した状態において開閉ドラム18により開閉ロープ26を巻き込むと、前記フックブロック25が上部に引き上げられ、これによってグラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61の間隔が狭められるように下部移動シーブ60が上方へ引き上げられるために、バケット本体53aは閉じられる。因みに、図7において、二系統の開閉駆動モータ77によりその開閉駆動軸77aを時計回り方向へ回転駆動すると、その回転が開閉駆動歯車76a、従動歯車76b、減速歯車76d、開閉歯車76eを介して前記開閉ドラム18の開閉回転軸18aへ伝達され、該開閉ドラム18も図7中、時計回り方向へ回転し、開閉ロープ26を巻き込むことが可能となる。
【0045】
又、上記図1、図2の状態からバケット本体53aを開放するには、第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17を止めた状態において、開閉ドラム18により開閉ロープ26を繰り出す。開閉ロープ26を繰り出すと、図3に示すように、上部フレーム53cにタイロッド53bとピン6´を介して連結されている前記バケット本体53aは自重によって開作動するようになっているので、前記フックブロック25が下部へ引き下げられると共に、下部移動シーブ60が下方へ引き下げられることによって下部移動シーブ60と上部固定シーブ61の間隔が広げられてバケット本体53aが開放される。因みに、図7において、二系統の開閉駆動モータ77によりその開閉駆動軸77aを反時計回り方向へ回転駆動すると、その回転が開閉駆動歯車76a、従動歯車76b、減速歯車76d、開閉歯車76eを介して前記開閉ドラム18の開閉回転軸18aへ伝達され、該開閉ドラム18も図7中、反時計回り方向へ回転し、開閉ロープ26を繰り出すことが可能となる。
【0046】
一方、前記グラブバケット53を上昇させるには、前記第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17によって第1巻上ロープ19及び第2巻上ロープ21を同時に巻き取ると共に、前記開閉ドラム18にて開閉ロープ26を巻き取ることにより、前記バケット本体53aを閉又は開の状態を保持して上昇させることができる。因みに、図5において、前記横行駆動モータ75を停止し、前記同期歯車機構74を介して第1遊星歯車減速機構70の第1環状歯車70h及び第2遊星歯車減速機構72の第2環状歯車72hの回転を阻止した状態で、前記第1巻上駆動モータ71によりその第1巻上駆動軸71aを反時計回り方向(図6では時計回り方向)へ回転駆動すると、その回転が第1太陽歯車70aから第1遊星歯車70eへ伝達され、該第1遊星歯車70eが、前記回転を阻止されている第1環状歯車70hの内側において、自転しつつ第1太陽歯車70aの周りを公転する形となり、第1遊星キャリヤ70cが第1太陽歯車70aの回転方向と同一方向へ回転し、該第1遊星キャリヤ70cの回転が第1遊星キャリヤ歯車70i、第1巻上歯車70jを介して前記第1巻上ドラム16の第1巻上回転軸16aへ伝達され、該第1巻上ドラム16が図5中、時計回り方向(図6では反時計回り方向)へ回転し、第1巻上ロープ19を巻き取ることが可能になると共に、前記第2巻上駆動モータ73によりその第2巻上駆動軸73aを時計回り方向(図6では反時計回り方向)へ回転駆動すると、その回転が第2太陽歯車72aから第2遊星歯車72eへ伝達され、該第2遊星歯車72eが、前記回転を阻止されている第2環状歯車72hの内側において、自転しつつ第2太陽歯車72aの周りを公転する形となり、第2遊星キャリヤ72cが第2太陽歯車72aの回転方向と同一方向へ回転し、該第2遊星キャリヤ72cの回転が第2遊星キャリヤ歯車72i、第2巻上歯車72jを介して前記第2巻上ドラム17の第2巻上回転軸17aへ伝達され、該第2巻上ドラム17が図5中、反時計回り方向(図6では時計回り方向)へ回転し、第2巻上ロープ21を巻き取ることが可能となる。
【0047】
又、前記グラブバケット53を下降させるには、前記第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17によって第1巻上ロープ19及び第2巻上ロープ21を同時に繰り出すと共に、前記開閉ドラム18にて開閉ロープ26を繰り出すことにより、前記バケット本体53aを閉又は開の状態を維持して下降させることができる。因みに、図5において、前記横行駆動モータ75を停止し、前記同期歯車機構74を介して第1遊星歯車減速機構70の第1環状歯車70h及び第2遊星歯車減速機構72の第2環状歯車72hの回転を阻止した状態で、前記第1巻上駆動モータ71によりその第1巻上駆動軸71aを時計回り方向(図6では反時計回り方向)へ回転駆動すると、その回転が第1太陽歯車70aから第1遊星歯車70eへ伝達され、該第1遊星歯車70eが、前記回転を阻止されている第1環状歯車70hの内側において、自転しつつ第1太陽歯車70aの周りを公転する形となり、第1遊星キャリヤ70cが第1太陽歯車70aの回転方向と同一方向へ回転し、該第1遊星キャリヤ70cの回転が第1遊星キャリヤ歯車70i、第1巻上歯車70jを介して前記第1巻上ドラム16の第1巻上回転軸16aへ伝達され、該第1巻上ドラム16が図5中、反時計回り方向(図6では時計回り方向)へ回転し、第1巻上ロープ19を繰り出すことが可能になると共に、前記第2巻上駆動モータ73によりその第2巻上駆動軸73aを反時計回り方向(図6では時計回り方向)へ回転駆動すると、その回転が第2太陽歯車72aから第2遊星歯車72eへ伝達され、該第2遊星歯車72eが、前記回転を阻止されている第2環状歯車72hの内側において、自転しつつ第2太陽歯車72aの周りを公転する形となり、第2遊星キャリヤ72cが第2太陽歯車72aの回転方向と同一方向へ回転し、該第2遊星キャリヤ72cの回転が第2遊星キャリヤ歯車72i、第2巻上歯車72jを介して前記第2巻上ドラム17の第2巻上回転軸17aへ伝達され、該第2巻上ドラム17が図5中、時計回り方向(図6では反時計回り方向)へ回転し、第2巻上ロープ21を繰り出すことが可能となる。
【0048】
前記グラブバケット53の上昇又は下降の作動中において、前記開閉ドラム18によって前記とは異なる速度での開閉ロープ26の巻き取り、繰り出しを行うことにより、グラブバケット53の昇降の作動中にバケット本体53aの開或いは閉の作動を行うことができる。
【0049】
更に、前記開閉ドラム18の回転を停止した状態において、前記第1巻上ドラム16により第1巻上ロープ19を巻き取ると共に、第2巻上ドラム17により第2巻上ロープ21を繰り出すと、前記トロリ7は陸側へ横行する。因みに、図5において、前記第1巻上駆動モータ71及び第2巻上駆動モータ73を停止し、第1遊星歯車減速機構70の第1太陽歯車70a及び第2遊星歯車減速機構72の第2太陽歯車72aの回転を阻止した状態で、前記横行駆動モータ75によりその横行駆動軸75aを反時計回り方向(図6では時計回り方向)へ回転駆動すると、その回転が同期歯車機構74の横行駆動歯車74aから第1アイドル歯車74bを介して第1遊星歯車減速機構70の第1環状歯車70hへ伝達され、該第1環状歯車70hと一緒に第1遊星歯車70eが自転しつつ、前記回転を阻止されている第1太陽歯車70aの周りを公転する形となり、第1遊星キャリヤ70cが第1環状歯車70hの回転方向と同一方向へ回転し、該第1遊星キャリヤ70cの回転が第1遊星キャリヤ歯車70i、第1巻上歯車70jを介して前記第1巻上ドラム16の第1巻上回転軸16aへ伝達され、該第1巻上ドラム16が図5中、時計回り方向(図6では反時計回り方向)へ回転し、第1巻上ロープ19を巻き取ることが可能になると共に、前記横行駆動モータ75による横行駆動軸75aの反時計回り方向(図6では時計回り方向)への回転が同期歯車機構74の横行駆動歯車74aから第2アイドル歯車74cを介して第2遊星歯車減速機構72の第2環状歯車72hへ伝達され、該第2環状歯車72hと一緒に第2遊星歯車72eが自転しつつ、前記回転を阻止されている第2太陽歯車72aの周りを公転する形となり、第2遊星キャリヤ72cが第2環状歯車72hの回転方向と同一方向へ回転し、該第2遊星キャリヤ72cの回転が第2遊星キャリヤ歯車72i、第2巻上歯車72jを介して前記第2巻上ドラム17の第2巻上回転軸17aへ伝達され、該第2巻上ドラム17が図5中、時計回り方向(図6では反時計回り方向)へ回転し、第2巻上ロープ21を繰り出すことが可能となる。
【0050】
又、同様に、前記開閉ドラム18の回転を停止した状態において、前記第1巻上ドラム16により第1巻上ロープ19を繰り出すと共に、第2巻上ドラム17により第2巻上ロープ21を巻き取ると、前記トロリ7は海側へ横行する。因みに、図5において、前記第1巻上駆動モータ71及び第2巻上駆動モータ73を停止し、第1遊星歯車減速機構70の第1太陽歯車70a及び第2遊星歯車減速機構72の第2太陽歯車72aの回転を阻止した状態で、前記横行駆動モータ75によりその横行駆動軸75aを時計回り方向(図6では反時計回り方向)へ回転駆動すると、その回転が同期歯車機構74の横行駆動歯車74aから第1アイドル歯車74bを介して第1遊星歯車減速機構70の第1環状歯車70hへ伝達され、該第1環状歯車70hと一緒に第1遊星歯車70eが自転しつつ、前記回転を阻止されている第1太陽歯車70aの周りを公転する形となり、第1遊星キャリヤ70cが第1環状歯車70hの回転方向と同一方向へ回転し、該第1遊星キャリヤ70cの回転が第1遊星キャリヤ歯車70i、第1巻上歯車70jを介して前記第1巻上ドラム16の第1巻上回転軸16aへ伝達され、該第1巻上ドラム16が図5中、反時計回り方向(図6では時計回り方向)へ回転し、第1巻上ロープ19を繰り出すことが可能になると共に、前記横行駆動モータ75による横行駆動軸75aの時計回り方向(図6では反時計回り方向)への回転が同期歯車機構74の横行駆動歯車74aから第2アイドル歯車74cを介して第2遊星歯車減速機構72の第2環状歯車72hへ伝達され、該第2環状歯車72hと一緒に第2遊星歯車72eが自転しつつ、前記回転を阻止されている第2太陽歯車72aの周りを公転する形となり、第2遊星キャリヤ72cが第2環状歯車72hの回転方向と同一方向へ回転し、該第2遊星キャリヤ72cの回転が第2遊星キャリヤ歯車72i、第2巻上歯車72jを介して前記第2巻上ドラム17の第2巻上回転軸17aへ伝達され、該第2巻上ドラム17が図5中、反時計回り方向(図6では時計回り方向)へ回転し、第2巻上ロープ21を巻き取ることが可能となる。
【0051】
前記トロリ7を陸側或いは海側へ横行させる際、該トロリ7に備えた第3シーブ27及び第4シーブ27´と中間シーブ28との間隔は、前記開閉ドラム18の回転を停止している限り、開閉ロープ26に対する位置が変化するのみで一定に保持される形となるので、グラブバケット53のバケット本体53aの開閉は行われないが、上記横行操作の途中において、前記開閉ドラム18による開閉ロープ26の繰り出し、巻き込みを行うことにより、前記トロリ7を横行させつつグラブバケット53のバケット本体53aの開操作又は閉操作を行うこともできる。
【0052】
上記実施例に示したように、第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17と開閉ドラム18からなる3本のドラムによってグラブバケット53の昇降と、開閉と、トロリ7の横行とを可能にしたので、従来の4ドラム式のアンローダに比して装置構成の簡略化を図ることができ、更に、同期させるドラムの数が減少するために制御を容易化することができる。
【0053】
更に、一端がクラブバケット53に固定され且つ前記グラブバケット53に備えた下部移動シーブ60と上部固定シーブ61に掛け回した駆動ロープ24,24´の他端をフックブロック25に固定し、該フックブロック25に備えた中間シーブ28を介して開閉ロープ26によりトロリ7からグラブバケット53を吊り下げているので、前記開閉ロープ26から切り離してフックブロック25に固定されている前記駆動ロープ24,24´は、交換作業が容易になり、且つ、従来のようなロープジョイントを備えていないので、ロープジョイントがシーブに衝突して振動及び騒音が発生すると共に機械本体への衝撃として作用する問題を防止できる。
【0054】
又、前記トロリ7に備える前記第1シーブ20と第2シーブ23の間隔を設定することにより、前記第1シーブ20と第2シーブ23から前記グラブバケット53に向かう第1巻上ロープ19と第2巻上ロープ21の間隔が上方から下方へ向かって減少するようにしているので、トロリ7が横行する際の前記グラブバケット53の振れを抑制することができ、よって、グラブバケット53の位置決めが容易に行えるようになる。
【0055】
しかも、前記第1巻上ロープ19、第2巻上ロープ21、前記開閉ロープ26は、各ドラム16,17,18に対する巻付け方向と、各シーブ20,22,23,27,28,27´に対する巻付け方向とが同じ曲げ方向となる順曲げとなっているので、各ロープ19,21,26が一旦曲げられた方向と逆方向に曲げられるようなことがなく、よって前記各ロープ19,21,26の損傷が抑制されて寿命を延長することができる。
【0056】
一方、前記第1巻上ドラム16には、図5及び図6に示す如く、第1遊星歯車減速機構70を介して第1巻上駆動モータ71を接続し、前記第2巻上ドラム17には、第2遊星歯車減速機構72を介して第2巻上駆動モータ73を接続すると共に、前記第1巻上ドラム16及び第2巻上ドラム17には、前記第1遊星歯車減速機構70及び第2遊星歯車減速機構72と同期歯車機構74とを介して横行駆動モータ75を接続したことにより、前記グラブバケット53の巻上げ下げ時には、前記第1巻上ドラム16を第1巻上駆動モータ71により第1遊星歯車減速機構70を介して回転駆動すると共に、前記第2巻上ドラム17を第2巻上駆動モータ73により第2遊星歯車減速機構72を介して回転駆動し、前記トロリ7の横行時には、前記第1巻上ドラム16を横行駆動モータ75により同期歯車機構74及び第1遊星歯車減速機構70を介して回転駆動すると共に、前記第2巻上ドラム17を前記横行駆動モータ75により前記同期歯車機構74及び第2遊星歯車減速機構72を介して回転駆動することが可能となるため、従来の4ドラム式のアンローダのようにグラブバケット53の巻上用のモータにトロリ52(図8参照)の横行をも負担させるのとは異なり、第1巻上駆動モータ71と第2巻上駆動モータ73と横行駆動モータ75とをそれぞれ、必要以上に大型化することなく、巻上と横行それぞれに見合った必要最小限の標準モータを採用可能となり、該モータに関連するインバータ等も大容量のものを用いなくて済み、電力消費量が抑えられると共に、コストダウンにもつながることとなる。
【0057】
尚、トロリ7の横行はグラブバケット53の水平移動であるため、横行抵抗によるパワーは少なく、モータ等の回転機器の慣性、並びにトロリ7や吊荷としてのグラブバケット53の慣性が大きいが、特にモータ等の回転機器の慣性による分がほとんどである。このことは、巻上モータで横行も兼用にすると、該巻上モータは横行モータの三倍以上の大きさを有するため、横行パワーが必要以上に大きくなってしまい、無駄が多くなることを意味するが、本実施例の如く、グラブバケット53の巻上とトロリ7の横行とを個別のモータで駆動できるようにしたことは、非常に有効であると言える。
【0058】
こうして、機器全体の構成の簡略化とメンテナンスの容易化に加え運転時の振動と騒音の低減を図ることができ、且つ駆動装置の大型化を回避し得、省エネ化並びにコストダウンを図り得る。
【0059】
尚、本発明のロープトロリ式アンローダは、上述の実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0060】
4 機械本体
5 ガーダ
6 ブーム
7 トロリ
16 第1巻上ドラム
16a 第1巻上回転軸
17 第2巻上ドラム
17a 第2巻上回転軸
18 開閉ドラム
19 第1巻上ロープ
20 第1シーブ
21 第2巻上ロープ
22 先端シーブ
23 第2シーブ
24 駆動ロープ
24´ 駆動ロープ
25 フックブロック
26 開閉ロープ
26´ 固定点
27 第3シーブ
27´ 第4シーブ
28 中間シーブ
53 グラブバケット
53a バケット本体
60 下部移動シーブ
61 上部固定シーブ
70 第1遊星歯車減速機構
70a 第1太陽歯車
70b 第1遊星キャリヤ軸
70c 第1遊星キャリヤ
70d 第1遊星歯車軸
70e 第1遊星歯車
70f 内歯
70g 外歯
70h 第1環状歯車
70i 第1遊星キャリヤ歯車
70j 第1巻上歯車
71 第1巻上駆動モータ
71a 第1巻上駆動軸
72 第2遊星歯車減速機構
72a 第2太陽歯車
72b 第2遊星キャリヤ軸
72c 第2遊星キャリヤ
72d 第2遊星歯車軸
72e 第2遊星歯車
72f 内歯
72g 外歯
72h 第2環状歯車
72i 第2遊星キャリヤ歯車
72j 第2巻上歯車
73 第2巻上駆動モータ
73a 第2巻上駆動軸
74 同期歯車機構
74a 横行駆動歯車
74b 第1アイドル歯車
74c 第2アイドル歯車
75 横行駆動モータ
75a 横行駆動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガーダ及びブーム上を走行するトロリからグラブバケットが吊り下げられるロープトロリ式アンローダであって、
前記ガーダ上に備えた第1巻上ドラムと、該第1巻上ドラムから繰り出してトロリに設けた第1シーブを介しグラブバケットに固定した第1巻上ロープと、
前記ガーダ上に備えた第2巻上ドラムと、該第2巻上ドラムから繰り出してブーム先端に設けた先端シーブ及び前記トロリに設けた第2シーブを介し前記グラブバケットに固定した第2巻上ロープと、
一端がクラブバケットに固定され且つ前記グラブバケットに備えられる下部移動シーブと上部固定シーブに掛け回された駆動ロープの他端を固定したフックブロックと、
前記ガーダ上に備えた開閉ドラムと、該開閉ドラムから繰り出してトロリに設けた第3シーブを介し前記フックブロックに備えた中間シーブに掛け回し、更に前記第3シーブと同軸の第4シーブを介して前記ブームの先端に固定した開閉ロープと
を有し、
前記第1巻上ドラムには、第1遊星歯車減速機構を介して第1巻上駆動モータを接続し、前記第2巻上ドラムには、第2遊星歯車減速機構を介して第2巻上駆動モータを接続すると共に、前記第1巻上ドラム及び第2巻上ドラムには、前記第1遊星歯車減速機構及び第2遊星歯車減速機構と同期歯車機構とを介して横行駆動モータを接続したことを特徴とするロープトロリ式アンローダ。
【請求項2】
前記第1遊星歯車減速機構を、
前記第1巻上駆動モータの第1巻上駆動軸に嵌着された第1太陽歯車と、前記第1巻上駆動軸と同芯状に延びる第1遊星キャリヤ軸を中心に回転自在となるよう配設された第1遊星キャリヤと、前記第1遊星キャリヤ軸の外周側に該第1遊星キャリヤ軸と平行に延びるよう第1遊星キャリヤに取り付けられた第1遊星歯車軸と、該第1遊星歯車軸に回転自在となるよう嵌装された第1遊星歯車と、該第1遊星歯車と噛合する内歯が内周面に刻設され且つ外歯が外周面に刻設され、前記第1巻上駆動軸を中心に回転自在となるよう配設された第1環状歯車と、前記第1遊星キャリヤ軸に嵌着された第1遊星キャリヤ歯車と、該第1遊星キャリヤ歯車と噛合し且つ前記第1巻上ドラムの第1巻上回転軸に嵌着された第1巻上歯車とから構成し、
前記第2遊星歯車減速機構を、
前記第2巻上駆動モータの第2巻上駆動軸に嵌着された第2太陽歯車と、前記第2巻上駆動軸と同芯状に延びる第2遊星キャリヤ軸を中心に回転自在となるよう配設された第2遊星キャリヤと、前記第2遊星キャリヤ軸の外周側に該第2遊星キャリヤ軸と平行に延びるよう第2遊星キャリヤに取り付けられた第2遊星歯車軸と、該第2遊星歯車軸に回転自在となるよう嵌装された第2遊星歯車と、該第2遊星歯車と噛合する内歯が内周面に刻設され且つ外歯が外周面に刻設され、前記第2巻上駆動軸を中心に回転自在となるよう配設された第2環状歯車と、前記第2遊星キャリヤ軸に嵌着された第2遊星キャリヤ歯車と、該第2遊星キャリヤ歯車と噛合し且つ前記第2巻上ドラムの第2巻上回転軸に嵌着された第2巻上歯車とから構成し、
前記同期歯車機構を、
前記横行駆動モータの横行駆動軸に嵌着され且つ前記第1環状歯車及び第2環状歯車の中間に配設された横行駆動歯車と、該横行駆動歯車及び前記第1環状歯車の外歯に噛合し且つ前記横行駆動軸と平行な軸を中心に回転自在となるよう配設された第1アイドル歯車と、前記横行駆動歯車及び前記第2環状歯車の外歯に噛合し且つ前記横行駆動軸と平行な軸を中心に回転自在となるよう配設された第2アイドル歯車とから構成した請求項1記載のロープトロリ式アンローダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−116592(P2012−116592A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266704(P2010−266704)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000198363)IHI運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】