説明

ローマンシェード用コード案内環

【課題】コード15を引いてたくし上げた状態において、上下隣り合う横襞37・37………の側端34・34………が垂直線上に真っ直ぐに揃うローマンシェードを得る。
【解決手段】(a) 吊桿11から吊り下ろされるカーテン地12の垂直方向に所要の間隔をおいて取り付けられた複数個の案内環13の上下に貫通した挿通口14に挿通したコード15の下端をカーテン地12に接合し、そのコード15の上端を引いてカーテン地の下縁部16を昇降たくし上げて上下に開閉して使用されるローマンシェードの案内環13において、(b) 案内環の挿通口14の上下何れか一方の開口17の外周縁18を、上下他方の開口20の内周縁21よりも小さくし、(c) その大きい上下他方の開口20の内周縁21に囲まれる開口内部を、それよりも小さい上下一方の開口17の外周縁18に囲まれる開口外部19を嵌め込むことが出来る窪み22とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊桿(トップバー)11から吊り下ろされるカーテン地12の垂直方向に所要の間隔をおいて取り付けられた複数個の案内環13の上下に貫通した挿通口14に挿通したコード15の下端をカーテン地12に接合し、そのコード15の上端を引いてカーテン地の下縁部16を昇降たくし上げて上下に開閉して使用されるローマンシェードの案内環13(図1)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ローマンシェードの最下段の案内環13を挿通して突き出たコード15の下端には錘(おもり)40が結び付けられており、コード15を引っ張り上げるときは錘40が最下段の案内環13に引っ掛かってカーテン地の下縁部16が引き上げられるようになっており、下縁部16は、そこに取り付けられた最下段の案内環13と錘40を介してコード15の下端に接合されている。コード15の下端は、カーテン地の下縁部16に直接縫い付けることが出来、又、カーテン地の下縁部16に縫い付けた錘40にコード15を結び付け、錘40を介してカーテン地の下縁部16に接合することも出来る。
【0003】
カーテン地の下縁には重桿(ウエイトバー)41が取り付けられることもある。
案内環13は、カーテン地12に直接縫い付けることが出来る。
【0004】
案内環13をカーテン地12に取り付け易くするために、案内環の外周面にカーテン地に係止される係止部を突設し、その係止部に上下に貫通した係合口を設け、その係合口の周縁の一部を切り欠いて切欠溝を付け、その切欠溝において向き合う一方の溝縁を尖端形にし、その尖端形の溝縁を鈎先を引っ掛けてカーテン地12に取り付けるように構成した案内環は公知である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この鈎付き案内環は、カーテン地の垂直(上下丈)方向に縫合した輪奈付きテープの輪奈に、その鈎先を引っ掛けてカーテン地に取り付けることも出来る。
その鈎先がなく、ただ係合口だけを係止部に設けた案内環では、その係合口に縫糸を通してカーテン地やテープに縫い付ける方法が取られる。
【0006】
案内環13としては、その外周面に挿通口14の上下両端を成す一方の開口から他方の開口へと切り欠かれて続くコード押込溝を設け、そのコード押込溝にコード15を押し込んで挿通口14に挿通することが出来るようにした案内環も知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
ローマンシェードでは、コード15を引いて下縁部16をたくし上げると、案内環13を境にカーテン地12が折り畳まれ、案内環13に沿って水平方向に続く横襞37が各案内環毎に上下数段発生する。その上下各段の横襞37と横襞37の間隔Sを一定に揃えるために、上下の案内環13と案内環13の各間にスペーサー36を装着することは公知である(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
そのスペーサー36は、パイプを一定寸法に切断してつくられ、コード15を1個の案内環13に挿通させる度に、そのコード15を1個のスペーサー36の内部空洞に挿通し、案内環13の数に応じた複数個のスペーサー36をコード15によって数珠繋ぎにしてカーテン地12に装着される。
【0009】
【特許文献1】特開2007−135903号公報
【特許文献2】特開2004−121476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
コード15の太さは概して2mm前後であり、案内環13の挿通口14の内径とスペーサー26の内部空洞の内径は、それぞれコード15の太さの2〜3倍、即ち、概して4〜6mmになっており、昇降操作時にコード15が案内環13やスペーサー36に強く擦られて摩耗することがないように配慮されている。
【0011】
このため、昇降操作時にカーテン地が前後左右に振れ動くと、その左右に振れ動いたまま案内環13が引き上げられることになる。そうすると、垂直方向に所要の間隔をおいて取り付けられる複数個の案内環13・13・13………のそれぞれが、カーテン地12の側縁35から所定の距離に取り付けられるので、昇降操作時にカーテン地の側縁35も左右に振れ動いた状態で引き上げられることになる。
【0012】
その結果、コード15の上端を引いてカーテン地の下縁部16を引き上げ、垂直方向に取り付けられている複数個の案内環13・13・13………が寄せ集められ、その寄せ集められて上下隣り合う案内環13と案内環13の間でスペーサー36が強く挟まれて、カーテン地12が完全にたくし上げられた状態では(図1)、垂直方向に取り付けられている複数個の各案内環13毎に生じる各横襞37がカーテン地の側縁35に交わる複数条の横襞37・37・37………の側端34・34・34………が、垂直線上に真っ直ぐ揃わず、水平方向にズレて不揃いとなり、そのたくし上げられた状態において、看者に乱雑感を与え、ローマンシェードの美観が損なわれる。
【0013】
そして、上下隣り合う横襞37と横襞37の間では、カーテン地12がU字状に折り返されて垂れ下がった横襞(図示せず)がローマンシェードの使用面であるカーテン地の表側(図1の用紙の裏側)に発生するが、その表側の横襞の側端も、図1に図示する裏側の横襞37の側端34と同様に、垂直線上に真っ直ぐ揃わず、水平方向にズレて不揃いとなる。
【0014】
その結果、特に、上下の案内環と案内環との間隔と同じ間隔で垂直方向に同じ図形が繰り返し描出されたカーテン地や、縦縞模様の描出されたカーテン地では、その描出された図形や縦縞が、U字状に垂れ下がった各横襞毎に水平方向(左右)にズレて垂直線上に真っ直ぐには揃わず、又、そのU字状に垂れ下がった各横襞に至るコード15からの距離も案内環13やスペーサー36の位置ズレによって変化し、そのローマンシェードの厚み(前後)方向における位置ズレが生じて各U字状横襞も垂直面上に綺麗に揃わず、そのU字状横襞に現れる図形や縦縞のズレが看者に乱雑感を与え、ローマンシェードの使用面での美観が大きく損なわれる。
【0015】
そこで本発明は、コード15を引いてたくし上げた状態において、上下隣り合う横襞37・37・37………の側端34・34・34………が垂直線上に真っ直ぐに揃うローマンシェードを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、(a) 吊桿11から吊り下ろされるカーテン地12の垂直方向に所要の間隔をおいて取り付けられた複数個の案内環13の上下に貫通した挿通口14に挿通したコード15の下端をカーテン地12に接合し、そのコード15の上端を引いてカーテン地の下縁部16を昇降たくし上げて上下に開閉して使用されるローマンシェードの案内環13において、(b) 案内環の挿通口14の上下何れか一方の開口17の外周縁18が上下他方の開口20の内周縁21よりも小さく、(c) その大きい上下他方の開口20の内周縁21に囲まれる開口内部が、それよりも小さい上下一方の開口17の外周縁18に囲まれる開口外部19を嵌め込むことが出来る窪み22を構成していることを第1の特徴とする(図3)。
【0017】
本発明に係る案内環の第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、(d) 案内環13が筒状を成し、(e) 挿通口14の上下の開口17と開口20の間の長さLが、その上下一方の開口17の外周縁18が上下他方の開口20の内周縁21よりも小さい当該上下一方の開口内部(17)の内径dの2倍以上であり、(f) 挿通口14の上下の開口17と開口20の間の外周面23にカーテン地に係止される係止部24が突設されており、その係止部24に上下に貫通した係合口25が設けられている点にある(図3・図4)。
【0018】
本発明に係る案内環の第3の特徴は、上記第第2の特徴に加えて、(g) 係合口25の周縁の一部が切り欠かれた切欠溝26になっており、(h) その切欠溝26において向き合う一方の溝縁が尖端形を成し、(i) その尖端形の溝縁を鈎先27とするC字形ないしJ字形鈎を係止部24が構成している点にある(図5、図6)。
【0019】
本発明に係る案内環の第4の特徴は、上記第1、第2および第3の何れかの特徴に加えて、(j) 案内環の外周面23に、挿通口14の上下一方の開口17から上下他方の開口20へと切り欠かれて続くコード押込溝28が設けられており、(k) そのコード押込溝28に押し込んで挿通口14へとコード15を挿通することが出来る点にある(図5、図6)。
【0020】
本発明に係る案内環の第5の特徴は、上記第1、第2、第3および第4の何れかの特徴に加えて、(l) 上下何れか一方の開口外部19を嵌め込むことが出来る上下他方の開口内部の窪み22が、挿通口14の奥に進むにつれて内径eが小さくなるラッパ形ないし擂鉢形の錐形断面形状を成している点にある(図8)。
【0021】
本発明に係る案内環の第6の特徴は、上記第1、第2、第3、第4および第5の何れかの特徴に加えて、(m) 上下何れか一方の開口20の窪み22に嵌め込むことが出来る上下他方の開口17の開口外部19が、その先端の開口17に近づくにつれて外径Dが小さくなる尖端形の等脚台形断面形状を成している点にある。
【0022】
本発明に係る案内環の第7の特徴は、上記第2、第3および第4の何れかの特徴に加えて、(n) 係止部24が、挿通口14の長さ方向において、外周縁18の小さい上下一方の開口17の開口外部19を嵌め込むことが出来る窪み22の形成されている上下他方の開口側(20)に偏って外周面23に突設されており、(o) その係止部24が偏って突設されており、窪み22が形成されている開口側(20)と、その窪み22に嵌め込むことが出来る外周縁18の小さい開口外部19の形成されている開口側(17)とに、案内環13が上下に2分割されており、(p) その窪み22に嵌め込むことが出来る外周縁18の小さい開口外部19の形成されている開口側(17)の分割された案内環(13b)が、その挿通口14bの内径dと外径Dが挿通口14の長さ方向において一定になっており、その挿通口14bの長さXが内径dの2倍以上の円筒13bを成しており、(q) 係止部24が偏って突設されており、窪み22が形成されている開口側(20)の分割された案内環(13a)が、その挿通口14aの長さYが窪み22の最大内径eよりも短いリング13aを成しており、その挿通口14aの上下両端の開口20a・20bがそれぞれ窪み22a・22bを形成している点にある(図4)。
【0023】
本発明に係る案内環の第8の特徴は、上記第7の特徴に加えて、(r) リング13aの挿通口14aの上下両端の開口20a・20bに形成されている窪み22a・22bが、その挿通口14aの奥に進むにつれて内径eが小さくなるラッパ形ないし擂鉢形の錐形断面形状を成している点にある(図7)。
【0024】
本発明に係る案内環の第9の特徴は、上記第7と第8の何れかの特徴に加えて、(s) リング13aの上下両端の窪み22a・22bに嵌め込むことが出来る円筒13bの上下両端の開口外部(19・19)が、その円筒13bの上下両先端に近づくにつれて外径Dが小さくなる尖端形の等脚台形断面形状を成している点にある。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、案内環の挿通口14の上下何れか一方の開口17の外周縁18が上下他方の開口20の内周縁21よりも小さく、その大きい上下他方の開口20の内周縁21に囲まれる開口内部が、それよりも小さい上下一方の開口17の外周縁18に囲まれる開口外部19を嵌め込むことが出来る窪み22を構成しているので、上下隣り合う案内環13と案内環13が強く密着する程度にコード15を引いてカーテン地12をたくし上げた状態(図2)では、上下隣り合う一方の案内環13の外周縁18の小さい開口外部19が、上下隣り合う他方の案内環13の窪み22に嵌合する。
そのようにして、垂直方向に取り付けられた複数個の全ての案内環13・13・13………が、それらの上下隣り合う外周縁18の小さい開口外部19と窪み22が嵌合し、桿状に接続されて垂直線上に真っ直ぐに揃い、その状態では、複数個の各案内環13・13・13………からカーテン地12の側縁35・35・35………までの距離が一定なので、複数個の各案内環13毎に生じる各横襞37の側端34・34・34………が垂直線上に真っ直ぐ揃い、看者に整然とした印象を与える。
【0026】
本発明によると、挿通口14の上下の開口17と開口20の間の長さLが、その上下一方の開口17の外周縁18が上下他方の開口20の内周縁21よりも小さい当該上下一方の開口内部(17)の内径dの2倍以上になっているので、上下隣り合う案内環13と案内環13が強く密着する程度にコード15を引いてカーテン地12をたくし上げた状態(図2)では、案内環13は、その複数個の各案内環13毎に生じる各横襞37の間隔Sを一定に揃えるスペーサー(36)としての機能を果たすことにもなり、その各横襞37の間隔Sを一定に揃えてたくし上げることの出来るローマンシェードが得られる。
【0027】
本発明によると、係合口25の周縁の一部が切り欠かれた切欠溝26において向き合う一方の溝縁が尖端形を成しており、垂直方向に同じ図形が一定間隔で繰り返し描出されたカーテン地では、その図形のレピートに合わせて鈎先27をカーテン地に引っ掛け、或いは、輪奈付きテープをカーテン地に縫合し、その図形のレピートに合わせて鈎先27を輪奈付きテープの輪奈に引っ掛けて案内環13をカーテン地に取り付けることが出来、各横襞37・37・37………毎に同じ図形が現われ、その各横襞37・37・37………毎に現われる図形が垂直線上に真っ直ぐ揃い、看者に整然とした印象を与えるローマンシェードが得られる。
【0028】
本発明では、挿通口14の上下一方の開口17から上下他方の開口20へと切り欠かれて続くコード押込溝28を案内環の外周面23に設けたので、そのコード押込溝28を通してコード15を挿通口14に取り外し自在に挿通することが出来、カーテン地の取替や洗濯時にコード15が取り外し易く、カーテン地12に合わせてコード15までも取替・洗濯せずに済む。
【0029】
本発明では、開口内部の窪み22を漸次内径eが小さくなる錐形断面形状(図8)に構成したので、上下隣り合う案内環13と案内環13が強く密着する程度にコード15を引いてカーテン地12をたくし上げた状態(図2)では、上下隣り合う一方の案内環13の外周縁18の小さい開口外部19が、その錐形断面の斜面29に沿って滑り込むように上下隣り合う他方の案内環13の窪み22に嵌合し、複数個の各案内環13毎に生じる各横襞37の側端34・34・34………が垂直線上に確実に真っ直ぐに揃い、又、各案内環13・13・13………毎にローマンシェードの使用面(図2の用紙の裏側)に垂れ下がって生じる各U字状横襞に至るコード15からの距離も一定に揃い、従って、その各U字状横襞も垂直面上に綺麗に揃い、そのたくし上げられたローマンシェードがスッキリした清楚な美観を呈するようになる。
【0030】
それとは逆に、上下一方の開口20の窪み22に嵌め込む上下他方の開口17の開口外部19を、その先端の開口17に近づくにつれて外径Dが小さくなる尖端形の等脚台形断面形状にする場合、つまり、外周縁18の小さい開口17の外周面である開口外部19にテーパーを付ける場合も、窪み22の周縁に突き当たることなく開口17の開口外部19が窪み22に嵌まり込むので、複数個の各案内環13毎に生じる各横襞37の側端34・34・34………が垂直線上に真っ直ぐに揃い、又、各案内環13・13・13………毎にローマンシェードの使用面(図2の用紙の裏側)に生じる各U字状横襞も垂直面上に綺麗に揃うようになる。
【0031】
本発明では、係止部24が偏って突設され窪み22が形成されている開口側(20)と、その窪み22に嵌め込むことが出来る外周縁18の小さい開口外部19の形成されている開口側(17)とに案内環13を上下に2分割し、窪み22に嵌め込むことが出来る外周縁18の小さい開口外部19の形成されている開口側(17)の分割された案内環(13b)の長さXを挿通口14bの内径dの2倍以上の円筒13bにしたので、その円筒13bを取り代えて上下の横襞間37・37の間隔Sを調整することが出来、又、他方の係止部24が偏って突設されていて窪み22が形成されている開口側(20)のリング13aだけを在来の案内環として既存のローマンシェードに適用することも出来る(図4)。
【0032】
そのように、案内環13をリング13aと円筒13bに2分割すると、在来のスペーサー36(図1)と同様に、パイプを一定寸法に切断して円筒13bを調製することが出来るので、係止部24が突き出ており、挿通口14の内径dが窪み22で広くなった形状が複雑なリング13aだけをプラスチックによって射出成形するだけで済み、そのプラスチック射出成形の金型代が安くつき、案内環13のコストダウンを図ることが出来る点でも有利である。
【0033】
そして、挿通口14aの上下両端の開口20a・20bがそれぞれ窪み22a・22bの形成されている開口側(20)のリング13aと、その窪み22に開口外部19を嵌め込むことが出来る開口側(17)の円筒13bに案内環13を2分割する場合でも、その上下両端の窪み22a・22bを、挿通口14aの奥に進むにつれて内径eが漸次小さくなるラッパ乃至擂鉢形の錐形断面形状にすると、上下隣り合うリング13aとリング13aの間で円筒13bが強く挟まれる程度にコード15を引いてカーテン地12をたくし上げた状態(図2)では、分割された円筒13bが、その錐形断面の斜面29に沿って滑り込むように窪み22a・22bに嵌合し、複数個の各案内環毎に生じる各横襞37の側端34・34・34………を、垂直線上に真っ直ぐに確実に揃えることが出来る(図7)。
【0034】
それとは逆に、リング13aの窪み22a(22b)に嵌め込む円筒13bの上下両端の開口外部(19・19)にテーパーを付け、その開口外部(19・19)を円筒13bの上下両先端に近づくにつれて外径Dが小さくなる尖端形の等脚台形断面形状にする場合も、窪み22a(22b)の周縁に突き当たることなく円筒13bがリング13aの窪み22a(22b)に嵌まり込むので、複数個の各案内環13毎に生じる各横襞37の側端34・34・34………が垂直線上に真っ直ぐ揃う。
【0035】
このように、本発明によると、コード15を引いてたくし上げた状態において、上下隣り合う横襞37・37・37………の側端34・34・34………が垂直線上に真っ直ぐに揃い、特に、上下の案内環と案内環との間隔と同じ間隔で垂直方向に同じ図形が繰り返し描出されたカーテン地や、縦縞模様の描出されたカーテン地では、その描出された図形や縦縞が、U字状に垂れ下がった各横襞毎に水平方向(左右)にズレることなく、垂直線上に真っ直ぐ揃い、又、各案内環13・13・13………毎にローマンシェードの使用面(図2の用紙の裏側)に生じる各U字状横襞も同一面上に綺麗に揃い、たくし上げられてスッキリした清楚な印象を与えるローマンシェードを得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図2は、本発明に係るローマンシェードの使用面の裏側を図示する。カーテン地12は、その上縁を面ファスアーやフックを介して吊桿11に着脱自在に接合して吊り下ろされる。吊桿11の内部は吊桿の長さ方向に続く溝となっており、39は、その溝にコード15を導入する案内隙間であり、コード15によって引き上げられる最上段の案内環13は、その案内隙間39の周りに突き当って止まる。吊桿11の端部には、コード15の静動を規制するストッパーが装着される。36は、その端部のストッパーへとコード15を導く案内ロールである。吊桿(トップバー)11には、横引きカーテンを吊るすランナー走行溝の付いたチャンネル形カーテンレールを利用することが出来る。
【0037】
案内環13をリング13aと円筒13bに分割して構成する場合を除き、係止部24は、外周縁18の小さい開口外部19に偏った部位に突設しても(図6)、又、窪み22のある開口20に偏った部位に突設しても(図3・図8)、或いは又、上下の開口17・20の中間部位に突設してもよい(図5)。
【0038】
コード押込溝28は、挿通口14の上下一方の開口17から上下他方の開口20へと外周面23の円周方向に曲折して続くように形成することも出来る(図6)。
そのようにコード押込溝28を曲折させると、押込溝28とコード15が一部分で交叉して完全には平行にならないので、押込溝28の溝幅Tをコード15の太さよりも広くしても、コード15が押込溝28から外れることがなく、又、コード15を挿通口14へと押し込み易くなるので好都合である。
【0039】
窪み22の断面を、挿通口14の奥に進むにつれて内径eが漸次小さくなるラッパ形ないし擂鉢形の錐形断面形状にするのは、部分的であってもよい。即ち、挿通口14の奥に進むにつれて内径eが漸次小さくなるラッパ形ないし擂鉢形の錐形断面形状となる斜面29を、挿通口14の軸芯30を中心に放射状に窪み22の内部周面に形成すれば十分である(図7)。従って、窪み22は、それを囲む外周縁や内周縁21が、開口20の周囲に部分的に突き出た突起の頂端によって点状に描かれる形状にすることも出来る。
【0040】
外周縁18の小さい開口17の開口外部19が窪み22の周縁に突き当たらないようにするためには、外周縁18の小さい開口17の外周面である開口外部19にテーパーを付け、又、窪み22の内周面にもテーパー(斜面29)を付けて擂鉢形の錐形断面形状にすると共に、挿通口の内径dと外径Dとコード15の太さ(外径)Zとの関係において、窪み22の最大内径eを、e≧D+d−Zに設定するとよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来のローマンシェードの使用面の裏側の正面図である。
【図2】本発明に係るローマンシェードの使用面の裏側の正面図である。
【図3】本発明に係るローマンシェード用コード案内環の斜視図である。
【図4】本発明に係るローマンシェード用コード案内環の斜視図である。
【図5】本発明に係るローマンシェード用コード案内環の斜視図である。
【図6】本発明に係るローマンシェード用コード案内環の斜視図である。
【図7】本発明に係るローマンシェード用コード案内環の斜視図である。
【図8】本発明に係るローマンシェード用コード案内環の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
11:吊桿
12:カーテン地
13:案内環
13a:リング
13b:円筒
14:挿通口
15:コード
16:カーテン地の下縁部
17:開口
18:外周縁
19:開口外部
20:開口
21:内周縁
22:窪み(開口内部)
23:外周面
24:係止部
25:係合口
26:切欠溝
27:鈎先
28:コード押込溝
29:斜面
30:軸芯
34:側端
35:側縁
36:スペーサー
37:横襞
38:案内ロール
39:案内隙間
40:錘
41:重桿
d :開口の内径
e :窪みの内径
D :開口の外径
L :案内環の挿通口の長さ
S :横襞間の間隔
T :コード押込溝の溝幅
X :円筒の挿通口の長さ
Y :リングの挿通口の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 吊桿(11)から吊り下ろされるカーテン地(12)の垂直方向に所要の間隔をおいて取り付けられた複数個の案内環(13)の上下に貫通した挿通口(14)に挿通したコード(15)の下端をカーテン地(12)に接合し、そのコード(15)の上端を引いてカーテン地の下縁部(16)を昇降たくし上げて上下に開閉して使用されるローマンシェードの案内環(13)において、
(b) 案内環の挿通口(14)の上下何れか一方の開口(17)の外周縁(18)が上下他方の開口(20)の内周縁(21)よりも小さく、
(c) その大きい上下他方の開口(20)の内周縁(21)に囲まれる開口内部が、それよりも小さい上下一方の開口(17)の外周縁(18)に囲まれる開口外部(19)を嵌め込むことが出来る窪み(22)を構成しているローマンシェード用コード案内環。
【請求項2】
(d) 案内環(13)が筒状を成し、
(e) 挿通口(14)の上下の開口(17)と開口(20)の間の長さ(L)が、その上下一方の開口(17)の外周縁(18)が上下他方の開口(20)の内周縁(21)よりも小さい当該上下一方の開口内部(17)の内径(d)の2倍以上であり、
(f) 挿通口(14)の上下の開口(17)と開口(20)の間の外周面(23)に、カーテン地に係止される係止部(24)が突設されており、その係止部(24)に上下に貫通した係合口(25)が設けられている前掲請求項1に記載のローマンシェード用コード案内環。
【請求項3】
(g) 係合口(25)の周縁の一部が切り欠かれた切欠溝(26)になっており、
(h) その切欠溝(26)において向き合う一方の溝縁が尖端形を成し、
(i) その尖端形の溝縁を鈎先(27)とするC字形ないしJ字形鈎を係止部(24)が構成している前掲請求項2に記載のローマンシェード用コード案内環。
【請求項4】
(j) 案内環の外周面(23)に、挿通口(14)の上下一方の開口(17)から上下他方の開口(20)へと切り欠かれて続くコード押込溝(28)が設けられており、
(k) そのコード押込溝(28)に押し込んで挿通口(14)へとコード(15)を挿通することが出来る前掲請求項1と請求項2と請求項3の何れかに記載のローマンシェード用コード案内環。
【請求項5】
(l) 上下何れか一方の開口外部(19)を嵌め込むことが出来る上下他方の開口内部の窪み(22)が、挿通口(14)の奥に進むにつれて内径(e)が小さくなるラッパ形ないし擂鉢形の錐形断面形状を成している前掲請求項1と請求項2と請求項3と請求項4の何れかに記載のローマンシェード用コード案内環。
【請求項6】
(m) 上下何れか一方の開口(20)の窪み(22)に嵌め込むことが出来る上下他方の開口(17)の開口外部(19)が、その先端の開口(17)に近づくにつれて外径(D)が小さくなる尖端形の等脚台形断面形状を成している前掲請求項1と請求項2と請求項3と請求項4と請求項5の何れかに記載のローマンシェード用コード案内環。
【請求項7】
(n) 係止部(24)が、挿通口(14)の長さ方向において、外周縁(18)の小さい上下一方の開口(17)の開口外部(19)を嵌め込むことが出来る窪み(22)の形成されている上下他方の開口側(20)に偏って外周面(23)に突設されており、
(o) その係止部(24)が偏って突設されており、窪み(22)が形成されている開口側(20)と、その窪みに嵌め込むことが出来る外周縁(18)の小さい開口外部(19)の形成されている開口側(17)とに案内環(13)が上下に2分割されており、
(p) その窪み(22)に嵌め込むことが出来る外周縁(18)の小さい開口外部(19)の形成されている開口側(17)の分割された案内環(13b)が、その挿通口(14b)の内径(d)と外径(D)が挿通口(14)の長さ方向において一定になっており、その挿通口(14b)の長さ(X)が内径(d)の2倍以上の円筒(13b)を成しており、
(q) 係止部(24)が偏って突設されており、窪み(22)が形成されている開口側(20)の分割された案内環(13a)が、その挿通口(14a)の長さ(Y)が窪み(22)の最大内径(e)よりも短いリング(13a)を成しており、その挿通口(14a)の上下両端の開口(20a・20b)がそれぞれ窪み(22a・22b)を形成している前掲請求項2と請求項3と請求項4の何れかに記載のローマンシェード用コード案内環。
【請求項8】
(r) リング(13a)の挿通口(14a)の上下両端の開口(20a・20b)に形成されている窪み(22a・22b)が、その挿通口(14a)の奥に進むにつれて内径(e)が小さくなるラッパ形ないし擂鉢形の錐形断面形状を成している前掲請求項7に記載のローマンシェード用コード案内環。
【請求項9】
(s) リング(13a)の上下両端の窪み(22a・22b)に嵌め込むことが出来る円筒(13b)の上下両端の開口外部(19・19)が、その円筒(13b)の上下両先端に近づくにつれて外径(D)が小さくなる尖端形の等脚台形断面形状を成している前掲前掲請求項7と請求項8の何れかに記載のローマンシェード用コード案内環。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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