説明

ローラの外面亀裂診断装置及び診断方法

【課題】 超音波ホーンを取り替えることなく、様々な外径のローラについて診断ができ、かつ、ローラに対し超音波を安定的に入射することができるローラの外面亀裂診断装置及び診断方法を提供する。
【解決手段】 超音波振動を発生する超音波振動子5aと、発生した超音波振動を増幅させる超音波ホーン5bと、を備えた超音波振動発生装置5と、超音波ホーン5bの先端部がローラの表面に所望の圧力で接触するように、超音波振動発生装置5とローラとを固定する固定装置6と、超音波振動の入射によって発熱する亀裂部分を含む被測定部の温度分布を計測し、外面亀裂を検出する赤外線サーモグラフィ装置9と、を有するローラの外面亀裂診断装置1であって、超音波ホーン5bの先端部をV字形状とすることで、ローラと超音波ホーン5bとの接触の安定性を高め、高効率で外面亀裂の検査をすることが可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラに発生する外面亀裂等の異常の診断に関するものであり、特に、材料の外面亀裂に対して超音波振動を与えた場合に発生する外面亀裂の温度変化を赤外線サーモグラフィ装置で検出するローラの外面亀裂診断装置及び診断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄プラントにおける圧延ラインでは、鋼板を搬送するためにテーブルローラが多数備えられている。これらのテーブルローラには、運転中に鋼板の衝突により多大なる荷重がかかり、両端のテーブルローラネック部において表面腐食を起点とする外面亀裂が発生する。これらの外面亀裂は長期間の使用により進展し、テーブルローラの破断を引き起こすこともある。そこで、このようなローラの外面亀裂を検査する様々な手法が提案されている。
【0003】
従来、ローラの外面亀裂を検査する方法としては、磁粉探傷、浸透探傷および超音波探傷等が広く用いられている。ここで、磁粉探傷や浸透探傷は、亀裂の位置を磁粉や浸透剤によって可視化することはできるが、亀裂診断精度は高くはなく、また、検査に長時間を要する。さらに、テーブルローラネック部には、冷却水からネック部を保護するために鋼鉄製の保護カバーが設けられているので、磁粉探傷や浸透探傷で亀裂診断をする場合、保護カバーを取り外す必要がある。しかしながら、保護カバーは、取り外しが困難な場合が多く、検査時間を増加させる要因となる。さらには、機械構造上の理由で保護カバーの取り外しそのものが不可能な場合もあり、そのような個所は検査が出来ないという問題点がある。
【0004】
超音波探傷の場合は、亀裂部分から反射エコーを測定することによって亀裂を検出するのだが、超音波計測の妨げとなるローラ表面の錆や汚れ・グリスなどを除去するために、ローラ表面を研削装置で研削した後、ローラに対して螺旋状に超音波探触子を移動させ、従来では検出の難しかった超音波振動の進行方向の外面亀裂を検出し易くした方法が行われている(例えば、特許文献1参照)。しかし、この方法は、亀裂反射エコーを点として捕らえる点診断であり、広い検査面積を行うには検査効率が悪いという欠点を有する。オンラインでの検査は設備稼働の都合上により、オフラインでの検査と比較し、検査可能時間が短いので、一般的に高い検査効率が求められる。また、狭隘部や高所など、空間的に研削の出来ない部位は検査することが出来ないという問題点もある。
【0005】
また、ローラ表面に接触媒質として水柱を保持することにより、オンライン・高速度で超音波探傷を行う方法もある(例えば、特許文献2参照)。しかし、この方法は、水の供給設備が必要であり、防水及び漏水対策が必要なため装置が大型化し易い。そのため、空間的に狭い場所の検査が出来ず、非開放点検を行うことが出来ない。また、ローラ表面に錆や汚れ・グリスなど異物が付着している場合は、異物とローラ表面間で反射が起こり、ノイズが大きくなり検査精度が落ちるという問題点がある。
【0006】
また、ワイパーと超音波探触子を連結し、外面亀裂探傷の障害となる非検査物表面の水分などの意図しない接触媒質をワイパーにより除去し、検査精度を高める方法も行われている(例えば、特許文献3参照)。しかし、この方法では、グリスなどの粘着性の物質や固着しているダストなどを完全に除去することが出来ない。そして、これらの物質がローラ表面に残ると、ローラとの境界面で超音波反射が起こるため、検査精度が大幅に落ちるという問題点がある。また、検査可能部位においてもワイパーで処理した部分しか検査をすることが出来ず、検査効率が悪く、また、ローラネック部などワイパーが入らない場所は検査をすることが出来ないという問題点がある。
【0007】
このように、特許文献1〜3に記載の超音波探傷を用いた外面亀裂検査技術は、検査効率が悪く、またローラ表面のグリスや汚れ・錆などの付着物を完全に除去しないと、誤検出が数多く発生して、さらに検査効率が大幅に落ちたり、検査が出来ないという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平08−114581号公報
【特許文献2】特開2000−180426号公報
【特許文献3】特開2003−98160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、これらの問題点を解消するために提案されたのが、超音波振動を与えたときに発生する亀裂部分の温度変化を赤外線サーモグラフィ装置で測定することにより、亀裂を検出する亀裂診断装置である。この亀裂検出の原理は、以下の通りである。
【0010】
まず、被測定物に超音波を与え、被測定物に亀裂があると、その亀裂の界面が超音波振動により擦れて熱が発生する。そこで、この被測定物の温度分布を赤外線カメラで計測し、発熱部分を亀裂として検出するのである。また、超音波振動で亀裂部分から発生した熱は、反射板で反射することが可能である。そこで、保護カバーで覆われ直接測定することが困難な部材の亀裂についても、超音波振動を与えて発熱させ、その熱を保護カバーで覆われていない方向から取り出して、赤外線カメラの方向に反射板を用いて反射させ、赤外線カメラで検出することが提案されている。
【0011】
上記ローラの亀裂診断装置によれば、被検査面の表面付着物の影響を受けにくい。したがって、磁粉探傷や浸透探傷では検査することの出来ないような、保護カバーが妨げとなって被検査面清掃が完全に出来ない部位においても、亀裂検査が出来る。さらに、面探傷であり、限定的な範囲しか捉えることの出来ない超音波探傷と比較して広範囲を検査可能であるので検査効率も高い。
【0012】
しかしながら、ローラの亀裂診断装置によって亀裂診断を行う場合、超音波ホーンの先端部の形状が平坦のときは、超音波ホーンとローラとの接触の安定性が良くないため、超音波の伝達効率が低下することがある。また、超音波ホーンの先端部をローラの曲率と同じ円弧形状にした場合には、診断をするローラの大きさに合わせて、その都度、超音波ホーンを取り替える必要がある。さらに、設計上は同じ曲率だとしても、ローラ表面に圧延等の繰り返しによる摩耗が生じていると、設計図通りに合致しないことが多い。そうすると、超音波ホーンの位置合わせに長時間を費やしたり、超音波の伝達効率が低下してしまうという問題を生じることになる。
【0013】
本発明は、斯かる課題を解決するために、超音波ホーンの先端部をV字形状とすることにより、超音波ホーンを取り替えることなく、様々な外径のローラについて診断ができ、かつ、ローラに対し超音波を安定的に入射することができるローラの外面亀裂診断装置及び診断方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ローラに発生した外面亀裂を非破壊及び非開放で検査するローラの外面亀裂診断装置において、超音波振動を発生する超音波振動子と、発生した超音波振動を増幅させる超音波ホーンと、を備えた超音波振動発生装置と、前記超音波ホーンの先端部が前記ローラの表面に所望の圧力で接触するように、前記超音波振動発生装置と前記ローラとを固定する固定装置と、超音波振動の入射によって発熱する亀裂部分を含む被測定部の温度分布を計測し、外面亀裂を検出する赤外線サーモグラフィ装置と、を有し、前記超音波ホーンの先端部がV字形状であることを特徴とするものである。
【0015】
ここで、V字形状は、前記超音波ホーンと前記ローラとの接点が、前記超音波ホーンの側端部から全幅1/4より内側の範囲となる角度であるようにすると良い。また、赤外線サーモグラフィ装置は、反射板を介して前記被測定部の温度分布を計測することにしても良い。
【0016】
さらに、本発明は、ローラに発生した外面亀裂を非破壊及び非開放で検査するローラの外面亀裂診断方法において、超音波振動を発生する超音波振動子と、先端部がV字形状であって発生した超音波振動を増幅させる超音波ホーンと、を備えた超音波振動発生装置を有し、前記超音波ホーンの先端部をローラの表面に所望の圧力で接触させて、前記超音波振動発生装置と前記ローラとを固定する工程と、前記ローラに前記超音波振動発生装置から超音波振動を付与する工程と、前記ローラの被測定部の温度分布を赤外線サーモグラフィ装置で計測し、外面亀裂を検出する工程と、前記超音波振動発生装置を隣接するローラに移動して固定する工程と、を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、赤外線サーモグラフィ装置を利用して、ローラの外面亀裂を非破壊及び非開放で検査する装置において、超音波ホーンの先端部をV字形状に加工したので、様々な外径のテーブルローラに対して超音波ホーンとローラ表面の接触面積が一定となり、外径が異なるローラに対しても、超音波ホーンを取り替えることなく、安定的に超音波を入射することが可能となる。また、安定して超音波を入射出来ることにより、ローラの検査が高効率に出来るという効果が得られる。
【0018】
また、超音波ホーンとローラ表面の接点が、超音波ホーンの側端部から全幅1/4より内側の範囲とすることで、より超音波振動の伝達率を高めることが出来るという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のローラの外面亀裂診断装置及び診断方法の一実施例を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図2】図1で示された本発明のローラの外面亀裂診断装置及び診断方法の一実施例のローラと超音波ホーンの接触部を拡大した正面図である。
【図3】本発明のローラの外面亀裂診断装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明のローラの外面亀裂診断装置及び診断方法の一実施例を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図である。本発明のローラの外面亀裂診断装置1は、超音波振動発生装置5と、赤外線サーモグラフィ装置9と、固定装置6と、を有する。テーブルローラ2は、テーブルローラ胴部2aと、テーブルローラネック部2bと、を有し、冷却水等からテーブルローラネック部2bを保護するための鋼鉄製の保護カバー3を備えている。一般的に、鉄鋼製品の圧延ラインでは、電動機4からの出力がテーブルローラ2を回転させて、鋼材を運搬する。テーブルローラ胴部2aには、超音波振動発生装置5が固定装置6を介して設置されている。超音波振動発生装置5は、超音波振動子5aと超音波ホーン5bから構成される。超音波振動は、超音波振動子5aに電気信号が送られることにより発生し、超音波ホーン5bを介して増幅される。そして、超音波ホーン5bをテーブルローラ胴部2aと接触させることによりテーブルローラ2に超音波振動を入射することができる。
【0022】
この超音波ホーン5bは、テーブルローラ胴部2aとの音響インピーダンス差を最小にして界面での反射を防ぎ、入射を最適化するためにテーブルローラ胴部2aと同質材、若しくは音響インピーダンスが近い材料で作られていることが望ましい。
【0023】
固定装置6は、隣接ローラ11,12に渡すことにより平面方向の安定を保つ機能を持つ土台部6bと、超音波振動発生装置5を保持し所望の圧力でローラに押し付ける機構を持つ保持部6aとから構成され、検査対象のテーブルローラ2のテーブルローラ胴部2aにベルト7で垂直方向に固定されている。また、テーブルローラネック部2bの検査終了後は、テーブルローラ2及び隣接ローラ11,12を回転させることにより、土台部6bがローラ上を移動するので、次の検査部位に固定装置6及び超音波振動発生装置5を容易に移動させることが出来る。
【0024】
反射板8は、検査対象であるテーブルローラネック部2bに保護カバー3が取り付けられているときに、テーブルローラネック部2bから放射される赤外線をテーブルローラ2の上方に設置された赤外線カメラ9aの方向に反射させるため、テーブルローラ2の下部に設置されている。この反射板8はアルミ製で、赤外線を高効率に反射させるために表面が鏡面加工されていることが望ましい。
【0025】
赤外線サーモグラフィ装置9は、赤外線カメラ9aと表面温度分布の表示記録装置9bとから構成される。赤外線カメラ9aは、被測定部であるテーブルローラネック部2bの表面温度分布を赤外線により計測する。このとき、テーブルローラネック部2bに保護カバー3が取り付けられている場合には、反射板8を介して計測することが出来る。表面温度分布の表示記録装置9bは、赤外線カメラ9aで計測したテーブルローラネック部2bの表面温度分布を表示及び記録する装置である。そして表面温度分布から、温度上昇している亀裂部分を検出することが出来る。
【0026】
図2は、図1で示された本発明のローラの外面亀裂診断装置及び診断方法の一実施例のローラと超音波ホーンの接触部を拡大した正面図である。超音波ホーン5bは先端部をV字形状に加工することにより、様々な外径のテーブルローラに対して超音波ホーンとローラ表面の接触面積が一定となるので、外径が異なるローラに対しても安定的に超音波を入射することが出来る。さらに、同一の超音波ホーン5bで多種類のローラを検査することが出来、超音波ホーンの取り替え時間を省略することが出来るので、効率的な検査が可能である。
【0027】
また、テーブルローラ胴部2aは長期間の使用により微小な摩耗、変形が数多く起こっている。特にローラ幅端部周辺の摩耗は、種々の幅の鋼帯が通るため、その鋼帯の幅によって鋼帯とローラの接触個所が変化して安定せず、摩耗による段差や表面の粗さが増加する傾向にある。このような要因により、実際のテーブルローラ胴部2aの表面形状が設計図と異なる場合が多い。このような場合に、超音波ホーンの先端部を従来のようにテーブルローラ2の外径に合わせた曲率の円弧形状にすると、超音波ホーンとテーブルローラ胴部2aとが十分に接触出来ないことが多い。そこで、超音波ホーン5bの先端部をV字形状にすれば、ローラの変形に対応することが可能であり、安定的な超音波振動の入射が可能である。具体的には、従来のように超音波ホーンの先端部の形状をローラの外径に合わせた曲率の円弧形状にした場合は、ピッタリと合致したときは、超音波ホーンからローラへの超音波伝達率はほぼ100%になるが、超音波伝達率がほぼ100%になるローラ外面亀裂診断の確率は15%程度でしかない。それに対し、本発明のように超音波ホーン5bの先端部をV字形状にした場合は、超音波伝達率がほぼ100%になるローラ外面亀裂診断の確率は90%以上であった。
【0028】
また、超音波ホーンの幅方向中央部ほど超音波振動の伝達率が大きくて良好であることからすると、超音波ホーンの幅方向中央部とテーブルローラ2とを接触させるために、超音波ホーンの先端部を平坦にしたいところであるが、平坦にするとテーブルローラ2との接触部分が不安定になり、必ずしも超音波ホーンの幅方向中央部とテーブルローラ2が接触しないことになる。そこで、本発明のように超音波ホーン5bの先端部をV字形状にし、テーブルローラ2との接触を安定させ、さらに、テーブルローラ2との接触位置を超音波ホーン5bの全幅Lの1/4より内側、つまり、超音波ホーン5bの側端部からL/4よりも中央寄りで接触させることで、超音波振動の伝達率をより良好にすることが可能となった。
【0029】
図3は、本発明のローラの外面亀裂診断装置の動作を示すフローチャートである。まず、超音波振動発生装置5をテーブルローラ胴部2aに接触させ、テーブルローラ2全体に超音波振動を与える。具体的には超音波振動子5aに電気信号を与えることにより超音波振動を発生させ、その振動を超音波ホーン5bで増幅し、超音波ホーン5bをテーブルローラ胴部2aに接触させることにより超音波振動を伝える(S100)。
【0030】
次に、テーブルローラネック部2bの温度分布を取得する(S101)。具体的には、保護カバー3が取り付けられているので、反射板8を介してテーブルローラネック部2bの下面から放出される赤外線を、テーブルローラ胴部2aの上方に設置した赤外線カメラ9aの方向に反射し、赤外線カメラ9aで計測する。そして、赤外線カメラ9aで計測されたテーブルローラネック部2bの表面温度分布を二次元表示し、温度変異部として外面亀裂を検出する(S102)。
【0031】
最後に、テーブルローラ2及び隣接ローラ11,12を回転させ、次の検査部位に固定装置6及び超音波振動発生装置5を移動させて設置する(S103)。
【0032】
以上説明したように、本発明のローラの外面亀裂診断装置は、テーブルローラ表面に超音波振動を与える超音波振動発生装置と、超音波振動発生装置をローラ上に固定し、所望の圧力で押し付ける機構を持つ固定装置と、テーブルローラ表面に発生する温度変化をアルミ製の反射板を介して計測し分析する赤外線サーモグラフィ装置から構成される。
【0033】
超音波振動発生装置は、テーブルローラ胴部に固定装置及びベルトにより固定されており、固定装置は超音波振動発生装置を所望の圧力でテーブルローラ表面に接触させる機構を有するので、テーブルローラ表面に超音波振動発生装置を接触させることによりテーブルローラ表面に超音波振動を安定して入射させることが可能となった。さらに、テーブルローラと超音波ホーンの材質を、音響インピーダンスが同じものとすることにより、音響インピーダンスの差がなくなり、テーブルローラ表面への超音波伝導率が向上した。また、超音波ホーンは先端部をV字形状に加工することにより、様々な外径のテーブルローラに対して超音波ホーン先端部とローラ表面の接触面積が一定となるので、外径が異なるローラに対しても安定的に超音波を入射することが可能になった。さらに、同一の超音波ホーンで多種類のローラを検査することが出来、ローラ外径が異なるローラを検査する場合においても、超音波ホーンを取り替える必要がないので、効率的な検査が可能となった。なお、このV字形状の角度は、超音波ホーンとローラの接点が超音波ホーン側端部から全幅1/4より内側の範囲になるよう調整すると、より高効率で超音波振動を入射できるようになった。
【0034】
また、アルミ製の反射板を取り付けたことにより、テーブルローラ上方から保護カバーに覆われていないテーブルローラ下面の計測が可能となり、保護カバーを取り外さない非開放検査が可能となった。
【0035】
さらに、ローラを回転させることにより、固定装置及び超音波振動発生装置を容易に移動することが出来るので効率的な検査が可能となった。
【符号の説明】
【0036】
1 ローラの外面亀裂診断装置
2 テーブルローラ
2a テーブルローラ胴部
2b テーブルローラネック部
3 保護カバー
4 電動機
5 超音波振動発生装置
5a 超音波振動子
5b 超音波ホーン
6 固定装置
6a 保持部
6b 土台部
7 ベルト
8 反射板
9 赤外線サーモグラフィ装置
9a 赤外線カメラ
9b 表面温度分布の表示記録装置
11,12 隣接ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラに発生した外面亀裂を非破壊及び非開放で検査するローラの外面亀裂診断装置において、
超音波振動を発生する超音波振動子と、発生した超音波振動を増幅させる超音波ホーンと、を備えた超音波振動発生装置と、
前記超音波ホーンの先端部が前記ローラの表面に所望の圧力で接触するように、前記超音波振動発生装置と前記ローラとを固定する固定装置と、
超音波振動の入射によって発熱する亀裂部分を含む被測定部の温度分布を計測し、外面亀裂を検出する赤外線サーモグラフィ装置と、
を有し、前記超音波ホーンの先端部がV字形状であることを特徴とするローラの外面亀裂診断装置。
【請求項2】
前記V字形状は、前記超音波ホーンと前記ローラとの接点が、前記超音波ホーンの側端部から全幅1/4より内側の範囲となる角度であることを特徴とする請求項1に記載のローラの外面亀裂診断装置。
【請求項3】
前記赤外線サーモグラフィ装置は、反射板を介して前記被測定部の温度分布を計測することを特徴とする請求項1又は2に記載のローラの外面亀裂診断装置。
【請求項4】
ローラに発生した外面亀裂を非破壊及び非開放で検査するローラの外面亀裂診断方法において、
超音波振動を発生する超音波振動子と、先端部がV字形状であって発生した超音波振動を増幅させる超音波ホーンと、を備えた超音波振動発生装置を有し、
前記超音波ホーンの先端部をローラの表面に所望の圧力で接触させて、前記超音波振動発生装置と前記ローラとを固定する工程と、
前記ローラに前記超音波振動発生装置から超音波振動を付与する工程と、
前記ローラの被測定部の温度分布を赤外線サーモグラフィ装置で計測し、外面亀裂を検出する工程と、
前記超音波振動発生装置を隣接するローラに移動して固定する工程と、
を有することを特徴とするローラの外面亀裂診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−145146(P2011−145146A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5729(P2010−5729)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】