ローラコンベア装置の故障診断方法、ローラコンベア装置、並びにコンベア装置用コントローラ
【課題】複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出可能なローラコンベア装置の故障診断方法、ローラコンベア装置、並びにコンベア装置用コントローラを提供することである。
【解決手段】ローラ23と、ブラシレスモータ43と、ブラシレスモータ43を制御可能なコントローラ1とを有したローラコンベア装置の故障診断方法において、ブラシレスモータ43及び/又はローラ23は、回転数検出装置31を有し、コントローラ1はロジック内蔵ドライバ14と、メモリ16と、マイクロコンピュータ15とを有し、且つプログラムを内蔵可能であり、プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、コントローラ1は、ブラシレスモータ43及び/又はローラ23の動作パラメータを取得して基準パラメータと比較し、基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と検出する。
【解決手段】ローラ23と、ブラシレスモータ43と、ブラシレスモータ43を制御可能なコントローラ1とを有したローラコンベア装置の故障診断方法において、ブラシレスモータ43及び/又はローラ23は、回転数検出装置31を有し、コントローラ1はロジック内蔵ドライバ14と、メモリ16と、マイクロコンピュータ15とを有し、且つプログラムを内蔵可能であり、プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、コントローラ1は、ブラシレスモータ43及び/又はローラ23の動作パラメータを取得して基準パラメータと比較し、基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はローラコンベア装置に対する故障診断方法および、故障診断機能を備えたローラコンベア装置に関するものである。
さらに詳細には、ローラと、モータと、前記モータを制御可能なコントローラとを有したローラコンベア装置に対する故障診断方法およびローラコンベア装置に関するものである。
また本発明は、コンベア装置用のコントローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場や物流倉庫では、容易に荷物を搬送するため、ローラコンベア装置が利用されている。ローラコンベア装置には、複数のローラが設けられており、その内のいくつかには、モータ(電動機)が設けられている。また、近年、コンベア装置で形成される搬送ラインは、複雑化しており、その複雑化された搬送ラインを容易に制御するために、搬送ラインを複数のゾーンに区分したコンベア装置がある。
【0003】
複数の制御ゾーンに区分されたローラコンベア装置では、ローラコンベア装置の全体を一体的に動作させるのではなく、制御ゾーン毎にモータを回転させて搬送物を搬送するため、無駄が少なく経済性に優れている。また、制御する範囲を小さく区分することにより、複雑な制御システムが不要となる。
【0004】
しかし、一方で、複数の制御ゾーンを有するローラコンベア装置では、モータを起動・停止させる頻度が高く、ギアやベルト、モータ出力軸を固定する金具等が摩耗し易い。
そのため、ローラコンベア装置のメンテナンスが重要となるが、各消耗品の摩耗度合いについては、経験則によるものや、導入時期からの割り出し、或いは触手による判定、音や匂いからの判定等、人的な判断によるところが大きく、容易ではない。
【0005】
特許文献1には、モータ(電動機)等の機器における消耗部材の交換時期を、容易に判断できる設備診断方法が開示されている。特許文献1に開示された設備診断方法では、機器が健全な状態における無負荷運転でのモータの電流値と、稼働中における無負荷運転でのモータの電流値を比較し、両者の差に基づくことによって、交換時期が判断できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−143704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に開示された設備診断方法は、モータの無負荷運転での電流値を、健全な状態と稼働中の状態とで比べているだけである。つまり、消耗品の交換時期と判断された場合でも、機器において、どの部品を交換するべきかが明確でない。そのため、機器内の部品を順番に点検する必要があり、手間である。
【0008】
上記した現状に鑑み、本発明は、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出可能なローラコンベア装置の故障診断方法およびローラコンベア装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ローラと、モータと、モータを制御可能なコントローラとを有したローラコンベア装置の故障診断方法において、上位制御手段を有し、モータ及び/又はローラは、回転数検出装置を有し、コントローラはモータ駆動回路を有し、前記上位制御手段は、プログラムを内蔵可能であり、前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、上位制御手段は、モータ及び/又はローラの動作パラメータを取得して前記の基準パラメータと比較し、基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と検出することを特徴とするローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0010】
上位制御手段はプログラムを内蔵可能である。プログラムに複数の故障診断プログラムを含ませることにより、ローラコンベア特有の複数の故障モードを検出できる。つまり、消耗品の種類に応じた故障モードを検出することで、各消耗品の交換時期が判明する。
また、プログラムに所望する基準パラメータを含ませることにより、所望する条件で不具合と判定することができる。つまり、消耗品の交換時期の設定が可能である。
本発明のローラコンベア装置の故障診断方法によれば、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、ローラと、モータと、モータを制御可能なコントローラとを有したローラコンベア装置の故障診断方法において、モータ及び/又はローラは、回転数検出装置を有し、コントローラはモータ駆動回路と、メモリと、CPUとを有し、且つプログラムを内蔵可能であり、前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、コントローラは、モータ及び/又はローラの動作パラメータを取得して前記の基準パラメータと比較し、基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と検出することを特徴とするローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0012】
CPUと、メモリとを有したコントローラは、プログラムを内蔵可能である。プログラムに複数の故障診断プログラムを含ませることにより、ローラコンベア特有の複数の故障モードを検出できる。つまり、消耗品の種類に応じた故障モードを検出することで、各消耗品の交換時期が判明する。
なお、プログラムに所望する基準パラメータを含ませることにより、所望する条件で不具合と判定することができる。つまり、消耗品の交換時期の設定が可能である。
【0013】
すなわち、上位にコンピュータ等の制御手段を設けることなく、コントローラ単独で、ローラコンベア装置の挙動を監視し、故障モード毎に不具合を検出可能である。つまり、故障と検出するまでの処理速度が速い。
【0014】
また、コントローラ単独で処理することにより、上位の制御手段への負荷を軽減することができる。このことにより、例えば大規模なコンベアシステムにおいて、数十台の搬送装置を連結した場合にでも、上位制御手段がダウンすることがない。
本発明のローラコンベア装置の故障診断方法によれば、コントローラ単独で、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記基準パラメータおよび動作パラメータは、モータ及び/又はローラの速度、モータの電流値、モータ及び/又はローラの動作時間の内のいずれか1つ又は2つ以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0016】
モータ及び/又はローラの速度、モータの電流値、モータ及び/又はローラの動作時間を自由に組み合わせることにより、様々な故障モードをパラメータとして数値化することができる。つまり、通常のローラコンベア装置の制御に用いているパラメータで故障診断ができるため、特別な故障診断用の機器を増設する必要がない。
【0017】
請求項4に記載の発明は、上位制御手段を有し、前記コントローラと上位制御手段とを接続し、上位制御手段からコントローラに指令を送り、故障診断プログラムを作動させるタイミングを制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0018】
CPUを備えたコントローラは、上位制御手段で容易に制御できる。つまり、故障診断プログラムを作動させるタイミングを、上位制御手段で任意に設定可能である。例えば、ローラコンベア装置を稼働中、所定の間隔で診断することや、始業時や終業時に診断すること等、使用者の都合で設定できる。また、使用者は現場のライン等に入らなくても、上位制御手段から遠隔操作が可能である。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記コントローラから上位制御手段に前記動作パラメータ及び/又は故障診断結果を送信することを特徴とする請求項4に記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0020】
コントローラが保持する動作パラメータや故障診断結果を上位制御手段に送信することにより、上位制御手段で各データを蓄積できる。例えば、過去と現在でのモータやローラの挙動の動向を見ることにより、より詳細な故障診断や解析を行うことができる。
また、動作パラメータや故障診断結果を上位制御手段に送信することをコマンドとして、前記プログラムに任意に設定することができる。例えば、設定した条件を満足する場合にのみ、上位制御手段に送信する等、自由である。
【0021】
請求項6に記載の発明は、前記上位制御手段に複数のコントローラを接続することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0022】
複数のコントローラを上位制御手段に接続することで、上位制御手段で複数のデータを比較することができる。例えば、モータやローラの平均寿命を求めることが可能である。
【0023】
請求項7に記載の発明は、前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の起動時に、所定のローラ初期動作を実施して、前記動作パラメータを取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0024】
通常、ローラコンベア装置の起動時は、ローラコンベア上に搬送物がない。すなわち、起動時に所定のローラ初期動作を実施することで、故障が発見された際に、搬送物を取り除いたりする必要がないので、メンテナンス作業が容易である。
【0025】
請求項8に記載の発明は、前記ローラ初期動作は、無負荷状態のローラを低速回転で、起動・停止、正転・逆転、寸動の内、少なくとも1つを実行させることを特徴とする請求項7に記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0026】
低速回転させたローラはトルクが大きく、起動・停止、正転・逆転、寸動させることで、駆動系の摩耗やゆるみを顕在化させ易い。駆動系が摩耗やゆるみを有する場合、モータの起動電流の立上り時間が遅れる。このことにより、例えば、駆動系であるモータの出力軸をローラに固定する金具の摩耗を検出することが可能である。
【0027】
請求項9に記載の発明は、前記ローラ初期動作は、無負荷状態のローラを回転させ、モータへの電流の供給を停止し、惰性でモータを停止させる間に、前記動作パラメータを取得することを特徴とする請求項7に記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0028】
ある一定の速度で回転させたモータを、電流をOFFにして惰性運転させた場合、ローラへ加わるモータの電気ブレーキの影響を排除することができる。つまり、ローラは、回転方向とは逆向きに転がり抵抗を受ける。転がり抵抗の要因として、複数のローラを同期させているベルトや、モータに取り付けられたギア等が挙げられる。ベルトやギアが摩耗して、転がり抵抗が低い場合、ローラは停止し難くなる。このことにより、ベルトやギアの摩耗を検出することが可能である。
【0029】
請求項10に記載の発明は、前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の稼働中に、ローラで搬送物を搬送した後、無負荷状態のローラにおいて前記動作パラメータを取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0030】
ローラで搬送物を搬送した後、無負荷状態のローラにおいて動作パラメータを監視することにより、駆動系の故障を検出できる。このことにより、ローラコンベア装置が稼働中でも、簡易故障診断ができる。
【0031】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法を実施可能であることを特徴とするローラコンベア装置である。
【0032】
請求項1乃至10のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法を用いて故障診断することにより、消耗品の種類に応じた故障モードを、確実に検出できる。このことにより、各消耗品の交換時期が、確実に判明する。
【発明の効果】
【0033】
本発明のローラコンベア装置の故障診断方法およびローラコンベア装置によれば、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係るローラコンベア装置を示す概念図である。
【図2】コントローラを示す正面図である。
【図3】コントローラの回路構成を示すブロック図である。
【図4】直線搬送装置を示す平面図である。
【図5】直線搬送装置の1つのゾーンを示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図6】モータ内蔵ローラを示す分解斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係るローラコンベア装置の故障診断方法の所定のローラ初期動作を示すタイムチャートである。
【図8】基準パラメータを設定するプログラムを示すフローチャートである。
【図9】基準パラメータを示すタイムチャートである。
【図10】所定のローラ初期動作時に、動作パラメータを取得して故障を検出するプログラムを示すフローチャートである。
【図11】基準パラメータと動作パラメータを比較した状態を示すタイムチャートである。
【図12】本発明の実施形態に係るローラコンベア装置の故障診断方法の別の初期動作を示すタイムチャートである。
【図13】基準パラメータを設定するプログラムを示すフローチャートである。
【図14】基準パラメータを示すタイムチャートである。
【図15】別のローラ初期動作時に、動作パラメータを取得して故障を検出するプログラムを示すフローチャートである。
【図16】基準パラメータと動作パラメータを比較した状態を示すタイムチャートである。
【図17】簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムを示すフローチャートである。
【図18】本発明の別の実施形態に係るローラコンベア装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下は、本発明の実施形態に係るローラコンベア装置の故障診断方法およびローラコンベア装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。また、公知のものについては、説明を省略する。
【0036】
図1に示すように、ローラコンベア装置20は、搬送物70等を搬送するためのコンベアシステムである。ローラコンベア装置20は、コントローラ1と、直線搬送装置21と、制御装置50(上位制御手段)とを有している。
【0037】
コントローラ1は、コントローラ1a,1bを有している。
図2に示すように、コントローラ1は、モータ制御基板2を有している。モータ制御基板2は、モータコネクタ3a〜3dと、センサコネクタ4a〜4eと、通信コネクタ5a,5bと、電源コネクタ6とを有している。
【0038】
図3のブロック図に示すように、コントローラ1は、I/O回路11と、通信回路12と、ロジック内蔵ドライバ14(モータ駆動回路)と、マイクロコンピュータ15(CPU)と、メモリ16(書き換え可能なメモリ)とを有している。コントローラ1は、マイクロコンピュータ15とメモリ16を有していることにより、コントローラ1単独でローラコンベア装置20(直線搬送装置21)を制御可能である。
【0039】
I/O回路11は、外部装置と入出力信号をやり取りするための回路である。I/O回路11は、センサコネクタ4a〜4eに接続されている。
通信回路12は、他のコントローラと通信が可能な回路である。通信回路12は、CANopen規格に準拠している。通信回路12は、通信コネクタ5a,5bに接続されている。
【0040】
ロジック内蔵ドライバ14は、モータ駆動回路である。ロジック内蔵ドライバ14は、図示しないプログラマブル・ロジックを有している。ロジック内蔵ドライバ14は、各々モータコネクタ3a〜3dに接続されている。ロジック内蔵ドライバ14は、PWM(パルス幅変調)制御が可能である。
【0041】
マイクロコンピュータ15(CPU)は、プログラムの演算処理が可能な装置である。マイクロコンピュータ15(CPU)は、図示しないRAM(メインメモリ)を有している。
メモリ16は、書き換え可能な記憶装置であり、プログラムやデータの格納が可能である。メモリ16は、電気型消去メモリ(EEPROM)や、フラッシュメモリで構成されることが望ましい。
【0042】
図1に示すように、コントローラ1a,1bは、CAN通信線54で相互に接続されており、CAN通信によるバス60(バス型ネットワーク)が構築されている。
バス60の一方の端部は、ゲートウェイ基板55に接続されている。バス60の他方の端部は、終端抵抗56に接続されている。
【0043】
ゲートウェイ基板55は、通信線53で制御装置50に接続されている。
制御装置50は、コンピュータ51と、バーコードリーダ52とを有している。バーコードリーダ52は、コンピュータ51に接続されている。
【0044】
コンピュータ51は、コントローラ1a,1bの制御が可能である。また、コンピュータ51は、コントローラ1a,1bへのプログラムの転送が可能である。
なお、コンピュータ51は、バーコードリーダ52から読み込んだ情報を、電子符号化することができる。コンピュータ51によって、「TrayID」と呼ばれるID(電子符号)を、搬送物70に付すことが可能である。
【0045】
直線搬送装置21は、直線搬送装置21a,21bを有している。直線搬送装置21a,21bは、直線方向の搬送が可能な装置である。
【0046】
図4に示すように、直線搬送装置21は、ゾーンA〜Dの4つの制御ゾーンに区分されている。ゾーンA〜Dの各ゾーンには、各々ローラ23と、フレーム25a,25bと、センサ27a〜27dが設けられている。
ローラ23は、モータ内蔵ローラ24a〜24dと、モータ等の動力機構を持たないフリーローラ26とを有している。
【0047】
図5(a)に示すように、ゾーンAは、1本のモータ内蔵ローラ24aの両側に、2本のフリーローラ26が位置している。つまり、ゾーンAは、5本のローラ23から構成されている。
隣接するローラ23同士にはベルト28が懸架されている。このことにより、モータ内蔵ローラ24aの回転に応じて、5本のローラが同方向に回転する。
なお、ゾーンB〜DについてもゾーンAと同様である。
【0048】
図5(b)に示すように、フレーム25a,25bの側面には、複数の孔25cが設けられている。孔25cは、ローラ23を支持するためのものである。
また、フレーム25a,25bの側面には、固定金具40が固定されている。固定金具40には、後述するモータ内蔵ローラ24aの固定軸46が固定されている。
固定金具40の中央には、コントローラ1aが固定されている。
【0049】
図5(a),(b)に示すように、フレーム25bの天面には、センサ27aが固定されている。センサ27aは、コントローラ1aに接続されている。
センサ27a〜27dは、在荷状態(搬送物70の有無)を検知する検知装置である。センサ27a〜27dは、搬送物に光を照射し、反射した光で搬送物の有無を検知できる反射型センサから成る。
なお、直線搬送装置21bについても直線搬送装置21aと同様である。
【0050】
図6に示すように、モータ内蔵ローラ24a〜24dは公知のそれと同様に、ローラ23の内部に、ギア42と、ブラシレスモータ43と、一対の蓋部材44と、出力板47と、回転数検出手段31とを備えている。
ギア42は公知の減速機である。ギア42は出力軸48を有している。
ブラシレスモータ43は、公知のDCブラシレスモータである。ブラシレスモータ43は、ケーブル43aと、コネクタ43bと、出力軸とを有している。なお、ブラシレスモータ43は、DC24Vで回転する。
【0051】
蓋部材44は、軸受と、固定軸46とを有している。蓋部材44は、固定軸46に対して相対的に回転可能である。
回転数検出手段31は、モータの回転数を検出可能であり、ホールICや、ロータリーエンコーダで構成されることが望ましい。
【0052】
ブラシレスモータ43の出力軸は、ギア42に接続されている。ギア42の出力軸48は、出力板47を介して、ローラ23に接続されている。一対の蓋部材44は、ローラ23の両端部に取り付けられる。すなわち、ブラシレスモータ43の出力軸を回転させると、ローラ23は固定軸46に対して相対的に回転する。
なお、モータ内蔵ローラ24b〜24dについてもモータ内蔵ローラ24aと同様である。
【0053】
つぎに、ローラコンベア装置20の故障診断方法について説明する。
前述のように、図1のローラコンベア装置20では、コントローラ1にプログラムを内蔵することにより、コントローラ1単独で直線搬送装置21を制御可能である。すなわち、コントローラ1aは、直線搬送装置21aのA〜Dゾーンを各々制御できる。同じく、コントローラ1bは、直線搬送装置21bのA〜Dゾーンを各々制御できる。なお、コントローラ1a,1bへの故障診断プログラムの転送は、コンピュータ51を用いる。
【0054】
まず、ローラコンベア装置20の起動時に、所定のローラ初期動作を実行して故障を検出する方法について、直線搬送装置21aを例に説明する。
直線搬送装置21aのローラ初期動作として、図7に示すような正転・停止のサイクルを実行させる。モータ内蔵ローラ23aを速度Pで2秒間正転(CW)させ、2秒間停止させるサイクルを3回繰り返す。この時、速度Pは、1〜50回転/分の低速回転とする。ただし、速度Pは任意に設定可能である。なお、正転・停止のサイクルでは、無負荷状態でモータ内蔵ローラ23aを回転させる。
【0055】
図8は、直線搬送装置21aの故障を検出する際に基準となる基準パラメータを設定するプログラムである。
まず、ステップ1で、モータ(ブラシレスモータ43)の電源がONかどうかを確認する。ステップ2で、基準パラメータの設定が開始される。
【0056】
ステップ3で、基準パラメータのモニタリングを開始する。この時、基準パラメータは、ブラシレスモータ43の電流値と、ブラシレスモータ43の動作時間とする。換言すれば、基準パラメータは、所定時間における電流の連続量である。
【0057】
ステップ4で、カウンタに1を足す。ステップ5で、モータをRUNさせる。この時、モータは、速度Pで2秒間正転(CW)させる。
ステップ6で、モータを2秒間停止する。ステップ7では、カウンタのカウント数が3であるかを確認し、3であればステップ8へ進む。カウント数が3以下であれば、ステップ3に戻る。つまり、ステップ4〜7は、正転・停止のサイクルを実行している。
【0058】
ステップ8で基準パラメータのモニタリングを停止し、終了となる。
上記のステップ1〜8により、基準パラメータの設定が完了となる。
設定された基準パラメータである電流プロファイルは図9の通りとなる。図9の基準パラメータは、モータ内蔵ローラ23aの正転・停止のサイクルに応じた電流変化量を示している。
【0059】
図10は、直線搬送装置21aの起動時のローラ初期動作時に、動作パラメータを取得して故障を検出するプログラムである。
ステップ1〜ステップ8までについては、前述の基準パラメータの設定と同様であり、初期動作での動作パラメータのモニタリングを行う。
【0060】
ステップ9では、基準パラメータと動作パラメータとの差Xを確認している。差Xは、図11に示すように、基準パラメータと動作パラメータとの電流変化量の遅れ度合いである。差Xが下限値と上限値の範囲外となれば、ステップ10へ進み、エラー信号を出す。差Xが下限値と上限値の範囲内であれば、終了となる。
【0061】
上記のステップ1〜10により、基準パラメータと動作パラメータとの差Xを求めることができる。差Xが大きいと、駆動系に摩耗やゆるみが有ると考えられる。すなわち、差Xが下限値と上限値の範囲外となれば、直線搬送装置21aの故障と判断する。直線搬送装置21aにおいては、固定金具40の摩耗と判定する。
なお、差Xの下限値と上限値については、任意に設定できる。
【0062】
上記の所定のローラ初期動作として、正転・停止のサイクルを実施したが、これは一例であり、正転・逆転のサイクル、寸動での動作確認を実施することも可能である。
また、ローラ初期動作のサイクル数も、任意に設定可能である。
さらに、ローラ初期動作を時間で設定しても構わない。例えば、100〜1000時間耐久試験として実施することも可能である。
【0063】
また、上記の所定のローラ初期動作では、無負荷状態でモータ内蔵ローラ23aを回転させたが、これは一例であり、ダミー負荷等を搬送させても構わない。ダミー負荷としては、5kgや10kg、50kg等、任意の重量に設定した搬送物が好適である。
さらに、例えば、基準パラメータを5〜200kgの範囲において、5kg刻みで設定し、データテーブルに保存しても構わない。このことにより、稼働中のローラコンベア装置20において、取得した動作パラメータと比較することで、搬送物の重量を特定することも可能である。
【0064】
つぎに、ローラコンベア装置20の起動時に、別のローラ初期動作を実行して故障を検出する方法について説明する。
【0065】
直線搬送装置21aの別のローラ初期動作として、正転・惰性停止のサイクルを実行させる。すなわち、図12に示すように、ブラシレスモータ43へ10秒間電流を供給した後、電流供給を停止する。モータ内蔵ローラ23aは回転を続け、惰性で停止する。この時、ブラシレスモータ43の速度Qは、100〜300回転/分の高速回転とする。ただし、速度Qは任意に設定可能である。なお、正転・惰性停止のサイクルでは、無負荷状態でモータ内蔵ローラ23aを回転させる。
【0066】
正転・惰性停止のサイクルにおける故障を検出する際の基準パラメータは、図13のプログラムで設定する。
まず、ステップ1で、モータ(ブラシレスモータ43)の電源がONかどうかを確認する。ステップ2で、基準パラメータの設定が開始される。
【0067】
ステップ3で、基準パラメータのモニタリングを開始する。この時、基準パラメータは、回転数検出手段31の速度(回転数)と、モータ内蔵ローラ23aの動作時間(回転時間)とする。換言すれば、基準パラメータは、所定時間における速度の連続量である。
【0068】
ステップ4で、モータをRUNさせる。この時、モータは、速度Qで10秒間正転(CW)させる。ステップ5で、モータへの電流の供給を停止する。すると、モータは惰性で回転を続ける。
【0069】
ステップ6では、回転数検出手段31からのパルス出力の有無を確認する。パルス出力がある場合は、ステップ7へは進まず、パルス出力が停止するまで確認を続ける。パルス出力がない場合は、ステップ7へ進む。
ステップ7で基準パラメータのモニタリングを停止し、終了となる。
【0070】
上記のステップ1〜7により、基準パラメータの設定が完了となる。
設定された基準パラメータは、図14に示す速度プロファイルとなる。つまり、図14は正転後、惰性で停止するまでの制動時間を表している。
【0071】
図15は、直線搬送装置21aの別のローラ初期動作時に、動作パラメータを取得して故障を検出するプログラムである。
ステップ1〜ステップ7までについては、前述の基準パラメータの設定と同様であり、初期動作での動作パラメータのモニタリングを行う。
【0072】
ステップ8では、基準パラメータと動作パラメータとの差Yを確認している。差Yは、図16に示すように、基準パラメータと動作パラメータとの速度変化量の遅れ度合いである。差Yが下限値と上限値の範囲外となれば、ステップ9へ進み、エラー信号を出す。差Yが下限値と上限値の範囲内であれば、終了となる。
【0073】
上記のステップ1〜9により、基準パラメータと動作パラメータとの差Yを求めることができる。差Yが大きいと、ベルト28やギア42に摩耗が有ると考えられる。すなわち、差Yが下限値と上限値の範囲外となれば、直線搬送装置21aの故障と判断する。直線搬送装置21aにおいては、ベルト28やギア42の摩耗と判定する。なお、差Yの下限値と上限値については、任意に設定できる。
【0074】
上記の基準パラメータ及び動作パラメータは、コントローラ1(1a,1b)が有するメモリ内に、数値化されたデータテーブルとして保存される。基準パラメータ及び動作パラメータは、上位のコンピュータ51を用いることで、図9,11のように画像としてモニタができる。また、基準パラメータ及び動作パラメータを上位のコンピュータ51に送信して、データを蓄積することで、故障予測ができる。
【0075】
上記の別のローラ初期動作では、ローラ23(モータ内蔵ローラ23a)の速度プロファイルを、回転数検出手段31からのパルス出力(回転数)で取得したが、これは一例である。例えば、動力を有さないフリーローラ26に、別の回転数検出手段を設けて、速度プロファイルを取得しても構わない。モータ内蔵ローラ23aではなく、フリーローラ26で速度変化量を確認することで、ギア42の影響を抑制することができる。つまり、ベルト28の故障を検出し易くなる。
【0076】
つぎに、ローラコンベア装置20の稼働中に故障を検出する方法について説明する。
図1に示したように、ローラコンベア装置20では、搬送物70が直線搬送装置21a,21bで搬送される。この時、直線搬送装置21a,21bは、図17のフローチャートに示す簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムで制御される。
【0077】
簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムの概要を、図4の直線搬送装置21aのゾーンBを例として、説明すると、ゾーンBのモータ(モータ内蔵ローラ24b)は、搬送物70が上流センサ1(27a)に検知された時点で、回転を開始する。
そして、搬送物がゾーンBに到着すると、下流センサ1(センサ27c)がOFFかどうかを確認し、その搬送物をゾーンCへ流す。
このように、ゾーンA〜Dでは、各ゾーンに搬送物が到着する前に、到着予定物を検知できる。
【0078】
簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムは、ステップ1〜ステップ17で構成されている。
ステップ1〜ステップ2では、上流センサ1がONしているかどうかを確認し、条件が成立していると、自軸モータを速度RでRUN(回転)する。
【0079】
ステップ3では、自ゾーンセンサ1がONしているかどうかを確認し、条件が成立していると、次へ進む。ステップ4では、下流センサ1がOFFしているかどうかを確認し、条件が成立していると、次へ進む。条件が不成立の場合には、ステップ15に移る。
【0080】
ステップ15〜ステップ17では、自軸モータを停止させた後、下流センサ1がOFFかどうか確認し、条件が成立すると、自軸モータを速度Rで運転させ、ステップ6に進む。
【0081】
ステップ5、ステップ6では、自センサーをOFFにした後、RUN保持タイマーをスタートさせる。
ステップ6では、RUN保持タイマーが開始される。
ステップ7〜ステップ8では、簡易故障診断プログラムを開始し、自軸モータが無負荷状態で運転される際の電流値(動作パラメータ)が測定される。
【0082】
ステップ9〜ステップ14では、上流センサ1がONかどうかを確認し、条件が成立していると、ステップ2へ戻る。条件が不成立の場合には、RUN保持タイマーが時間切れかどうか確認する。RUN保持タイマーが停止されると、無負荷状態での自軸モータの電流値(動作パラメータ)の測定が終了する。
【0083】
測定した電流値(動作パラメータ)は、予め設定された基準パラメータとの比較が行われる。基準パラメータと動作パラメータとの差Zが下限値と上限値の範囲外となれば、エラー信号を出す。差Zが下限値と上限値の範囲内であれば、自軸モータを停止させ、再び「ステップ1」以降の動作が繰り返される。
以上が、図17に示すフローチャートの主な説明である。
【0084】
上記のステップ1〜17により、基準パラメータと動作パラメータとの差Zを求めることができる。すなわち、無負荷状態のモータ内蔵ローラ24a(ブラシレスモータ43)の電流値(動作パラメータ)を監視することにより、駆動系の故障を検出できる。このことにより、ローラコンベア装置20が稼働中でも、簡易故障診断ができる。
【0085】
図18は、本発明の別の実施例に係るローラコンベア装置80を示す。ローラコンベア装置80は、PLC81(上位制御手段)と、搬送装置83,84と、コントローラ85とを有している。
搬送装置83,84は、各々モータ内蔵ローラ24と回転数検出手段86とを有している。回転数検出手段86は、公知のロータリーエンコーダであり、フリーローラ26に実装されている。コントローラ85は、公知のモータ駆動回路である。
【0086】
PLC81とコントローラ85は、配線82で接続されている。コントローラ85は、搬送装置83,84に接続されている。回転数検出手段86は、PLC81につながっている。PLC81は、コントローラ85を介して、搬送装置83,84を制御可能である。
【0087】
ローラコンベア装置80は、コントローラ85として、CPUを有さないただのモータ駆動回路を有している。このため、ローラコンベア装置80の故障診断方法では、コントローラ85及び回転数検出手段86の情報をPLC81に送ることによって、基準パラメータ及び動作パラメータを取得する。すなわち、ローラコンベア装置80の故障診断方法においても、前述のローラコンベア装置20の故障診断方法と同様の故障診断が可能である。
【0088】
以上のように、本実施形態のローラコンベア装置20,80の故障診断方法およびローラコンベア装置20,80によれば、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0089】
上記した実施形態では、基準パラメータ又は動作パラメータを、電流値や速度の時間変化量とする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回転数や角度、或いは移動量や長さ等、測定して数値化できる他のパラメータを用いても構わない。すなわち、故障診断ができるパラメータなら、何でも構わない。
【0090】
また、本発明は、以下の発明も包含する。
【0091】
1つの発明は、物品を搬送するための複数のローラと、前記ローラの内の1又は複数のローラを回転させるための1又はそれ以上のモータと、1又は複数のモータを制御するためのコントローラとを有したローラコンベア装置において、前記モータ及び/又は前記ローラの回転に関する情報を回転情報とし、モータに供給する電流及び/又は電圧に関する情報を電力情報とし、ローラコンベア装置が正常に機能している場合における回転情報及び/又は電力情報を基準情報として記憶するメモリと、現状における回転情報及び/又は電力情報を現状情報として検知する情報検出手段と、現状情報と前記メモリに記憶された基準情報とを比較する比較手段を備えたことを特徴とするローラコンベア装置。
【0092】
好ましくは、ローラコンベア装置を構成する構成部品のいずれかに異常が生じた場合における回転情報及び/又は電力情報の変化が部品別故障情報としてメモリに記憶され、部品別故障情報を参照して異常箇所を特定可能である。
【0093】
好ましくは、比較手段における比較の結果、現状情報が基準情報に対して一定以上相違する場合に所定の信号を発信する。
【0094】
好ましくは、基準情報は、前記モータに供給される電流又は電圧と、時間との相関関係である。
【0095】
好ましくは、基準情報は、前記モータに通電した後に通電を停止し、モータ及び/又はローラを惰性で回転させた場合における一連の前記モータ及び/又は前記ローラの回転情報である。
【0096】
好ましくは、複数のコントローラと、当該コントローラに対する上位制御装置を有し、各コントローラに基準情報を記憶するメモリと、情報検出手段と、比較手段があり、比較手段における結果が上位制御装置に送信される。
【0097】
好ましくは、複数のコントローラと、当該コントローラに対する上位制御装置を有し、各コントローラから上位制御装置に現状情報が収集される。
【0098】
他の発明は、1又は複数のローラを回転させるためのモータを駆動する駆動回路と、1又は複数の駆動回路を制御する制御回路とを備えたコンベア装置用コントローラにおいて、前記モータ及び/又はローラの回転に関する情報を回転情報とし、モータに供給される電流及び/又は電圧に関する情報を電力情報とし、コンベア装置が正常に機能している場合における回転情報及び/又は電力情報を基準情報として記憶するメモリと、現状における回転情報及び/又は電力情報を現状情報として検知する情報検出手段と、前記メモリに記憶された基準情報と現状情報とを比較する比較手段を備え、コントローラが現状情報を取得して前記メモリに記憶された基準情報と現状情報とを比較し、その結果を他の機器に出力可能であることを特徴とするコンベア装置用コントローラ。
【0099】
好ましくは、基準情報は、前記モータに供給される電流又は電圧と、時間との相関関係である。
【0100】
さらに、他の発明は、物品を搬送するための複数のローラと、前記ローラの内の1又は複数のローラを回転させるための1又はそれ以上のモータと、1又は複数のモータを制御可能なコントローラとを有するローラコンベア装置に対して行う故障診断方法であって、前記ローラコンベア装置は、プログラムが内蔵されたメモリと、プログラムを実行可能なマイクロコンピュータとを有し、前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、故障診断プログラムに基づいてモータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの個々の状況を検知して動作パラメータとして取得し、動作パラメータと基準パラメータとを比較し、両者の相違が一定の基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と判定することを特徴とするローラコンベア装置の故障診断方法。
【0101】
好ましくは、ローラコンベア装置は、コントローラと信号の授受を行う上位制御装置を有するものであり、前記コントローラは前記メモリとマイクロコンピュータとを有し、上位制御装置の指令に応じてモータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの動作パラメータを前記コントローラが取得してローラコンベア装置の異常の有無を判断し、その結果を上位制御装置に送信する。
【0102】
好ましくは、ローラコンベア装置は、コントローラと信号の授受を行う上位制御装置を有するものであり、前記上位制御装置は前記メモリとマイクロコンピュータとを有し、モータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの動作パラメータを取得する。
【0103】
好ましくは、ローラコンベア装置を構成する構成部材のいずれかに異常が生じた場合におけるモータ及び/又はローラの回転状況が部材別故障情報として記憶され、動作パラメータと部材別故障情報とを比較して異常箇所を特定する。
【0104】
好ましくは、ローラコンベア装置は、コントローラと信号の授受を行う上位制御装置を有するものであり、上位制御装置からコントローラに指令を送り、故障診断プログラムを作動させるタイミングを制御する。
【0105】
好ましくは、前記基準パラメータおよび動作パラメータは、モータ及び/又はローラの速度、モータの電流値、モータ及び/又はローラの動作時間の内のいずれか1つ又は2つ以上、または2つ以上の関連である。
【0106】
好ましくは、ローラコンベア装置は、コントローラと信号の授受を行う上位制御装置を有するものであり、前記上位制御装置に複数のコントローラを接続する。
【0107】
好ましくは、前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の起動時に、所定の動作を実行させて、前記動作パラメータを取得する。
【0108】
好ましくは、動作パラメータは、無負荷状態のモータ及び/又はローラを低速回転で、起動・停止、正転・逆転、寸動の内、少なくとも1つを実行させることによって取得する。
【0109】
好ましくは、動作パラメータは、無負荷状態のモータ及び/又はローラを回転させ、モータへの電流の供給を停止し、惰性でモータを停止させることによって取得する。
【0110】
好ましくは、前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の稼働中に、モータ及び/又はローラで搬送物を搬送した後、無負荷状態のモータ及び/又はローラにおいて前記動作パラメータを取得する。
【0111】
つまり、本発明は、通常のローラコンベア装置の基本構成を備えている。即ち本発明のローラコンベア装置は、物品を搬送するための複数のローラと、前記ローラの内の1又は複数のローラを回転させるための1又はそれ以上のモータと、1又は複数のモータを制御するためのコントローラとを有している。
また本発明では、モータ及び/又は前記ローラの回転に関する情報を回転情報と定義し、モータに供給される電流及び/又は電圧に関する情報を電力情報と定義する。
本発明のローラコンベア装置は、正常に機能している場合における回転情報及び/又は電力情報を基準情報として記憶するメモリと、現状における回転情報及び/又は電力情報を現状情報として検知する情報検出手段と、現状情報と前記メモリに記憶された基準情報とを比較する比較手段を備えている。
【0112】
本発明では、コントローラによって1又は複数のモータが動作される。そして正常に機能している場合における動作状況を示す基準情報と、現在の動作状況を示す現状情報を比較する。そのため正常な状態の動作状況と現在の動作状況が比較され、機器の異常の有無が判る。また前記した様にコントローラによって動作させたモータを特定できるので、異常が発生した部材は特定のモータであるか、あるいは当該モータから動力伝達を受ける部材であることが突き止められる。
【0113】
ローラコンベア装置を構成する構成部品のいずれかに異常が生じた場合における回転情報及び/又は電力情報の変化が部品別故障情報としてメモリに記憶され、部品別故障情報を参照して異常箇所を特定可能であることが望ましい。
【0114】
本構成によると、異常のある部品を直接特定することができる。
【0115】
比較手段における比較の結果、現状情報が基準情報に対して一定以上相違する場合に所定の信号を発信する構成を採用することが望ましい。
【0116】
基準情報は、前記モータに供給される電流又は電圧と、時間との相関関係であることが望ましい。
【0117】
例えばモータに供給される電流と時間との関係のプロファイルを基準情報として使用する。なお、プロファイルとは、線状のデータであり、波形や軌跡を表すものである。
【0118】
基準情報は、前記モータに通電した後に通電を停止し、モータ及び/又はローラを惰性で回転させた場合における一連の前記モータ及び/又は前記ローラの回転情報であることが望ましい。
【0119】
複数のコントローラと、当該コントローラに対する上位制御装置を有し、各コントローラに基準情報として記憶するメモリと、情報検出手段と、比較手段があり、比較手段における結果が上位制御装置に送信される構成が推奨される。
【0120】
複数のコントローラと、当該コントローラに対する上位制御装置を有し、各コントローラから上位制御装置に現状情報が収集される構成であってもよい。
【0121】
本発明の本質的部分をコントローラに応用することもできる。
コントローラの発明は、コンベア装置が正常に機能している場合における回転情報及び/又は電力情報を基準情報として記憶するメモリと、現状における回転情報及び/又は電力情報を現状情報として検知する情報検出手段と、前記メモリに記憶された基準情報と現状情報とを比較する比較手段を備え、コントローラが現状情報を取得して前記メモリに記憶された基準情報と現状情報とを比較し、その結果を出力するものである。
【0122】
また方法に関する発明は、物品を搬送するための複数のローラと、前記ローラの内の1又は複数のローラを回転させるための1又はそれ以上のモータと、1又は複数のモータを制御可能なコントローラとを有するローラコンベア装置に対して行う故障診断方法である。
本発明では、プログラムが内蔵されたメモリと、プログラムを実行可能なマイクロコンピュータを使用し、前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含む。
そして故障診断プログラムに基づいてモータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの個々の状況を検知して動作パラメータとして取得し、動作パラメータと基準パラメータとを比較し、両者の相違が一定の基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と判定する。
【0123】
プログラムに複数の故障診断プログラムを含ませることにより、ローラコンベア特有の複数の故障モードを検出できる。消耗品の種類に応じた故障モードを検出することで、各消耗品の交換時期が判明する。
また、プログラムに所望する基準パラメータを含ませることにより、所望する条件で不具合と判定することができる。消耗品の交換時期の設定が可能である。
本発明のローラコンベア装置の故障診断方法によれば、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0124】
本発明は、コントローラと信号の授受を行う上位制御装置を有するものにも応用することができる。コントローラはメモリとマイクロコンピュータとを有することが望ましい。そしてモータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの動作パラメータを前記コントローラが取得してローラコンベア装置の異常の有無を判断し、その結果を他の機器である上位制御装置に送信する。
【0125】
コントローラが有するメモリに前記プログラムを内蔵させることにより、コントローラ単独で、ローラコンベア装置の挙動を監視し、故障モード毎に不具合を検出可能である。そのため、故障と検出するまでの処理速度が速い。
【0126】
また、コントローラ単独で処理することにより、上位の制御手段への負荷を軽減することができる。このことにより、例えば大規模なコンベアシステムにおいて、数十台の搬送装置を連結した場合にでも、上位制御装置がダウンすることがない。
本発明のローラコンベア装置の故障診断方法によれば、コントローラ単独で、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0127】
コントローラが保持する動作パラメータや故障診断結果を上位制御装置に送信することにより、上位制御装置で各データを蓄積できる。例えば、過去と現在でのモータやローラの挙動の動向を見ることにより、より詳細な故障診断や解析を行うことができる。
また、動作パラメータや故障診断結果を上位制御装置に送信することをコマンドとして、前記プログラムに任意に設定することができる。例えば、設定した条件を満足する場合にのみ、上位制御装置に送信する等の方策が考えられる。
【0128】
また上位制御装置はメモリとマイクロコンピュータとを有することが望ましい。
前記プログラムを上位制御装置が有するメモリに内蔵させてもよい。そして上位制御装置の指令に応じてモータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの動作パラメータを取得する。
【0129】
上位制御装置からコントローラに指令を送り、故障診断プログラムを作動させるタイミングを制御する方策を採用することが望ましい。
【0130】
マイクロコンピュータ(CPU)を備えたコントローラは、上位制御装置で容易に制御できる。そして故障診断プログラムを作動させるタイミングを、上位制御装置で任意に設定可能である。例えば、ローラコンベア装置を稼働中、所定の間隔で診断することや、始業時や終業時に診断すること等、使用者の都合で設定できる。また、使用者は現場のライン等に入らなくても、上位制御装置から遠隔操作が可能である。
【0131】
前記基準パラメータおよび動作パラメータは、モータ及び/又はローラの速度、モータの電流値、モータ及び/又はローラの動作時間の内のいずれか1つ又は2つ以上、または2つ以上の関連であることが望ましい。
【0132】
モータ及び/又はローラの速度、モータの電流値、モータ及び/又はローラの動作時間を自由に組み合わせることにより、様々な故障モードをパラメータとして数値化することができる。つまり、通常のローラコンベア装置の制御に用いているパラメータで故障診断ができるため、特別な故障診断用の機器を増設する必要がない。
【0133】
前記上位制御装置に複数のコントローラを接続することが望ましい。
【0134】
複数のコントローラを上位制御装置に接続することで、上位制御装置で複数のデータを比較することができる。例えば、モータやローラの平均寿命を求めることが可能である。
【0135】
前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の起動時に、所定の動作を実行させて、前記動作パラメータを取得することが望ましい。
【0136】
通常、ローラコンベア装置の起動時は、ローラコンベア上に搬送物がない。起動時に所定のローラ初期動作を実施することで、故障が発見された際に、搬送物を取り除いたりする必要がないので、メンテナンス作業が容易である。
【0137】
動作パラメータは、無負荷状態のモータ及び/又はローラを低速回転で、起動・停止、正転・逆転、寸動の内、少なくとも1つを実行させることによって得ることが望ましい。
【0138】
低速回転させたモータ及び/又はローラはトルクが大きく、起動・停止、正転・逆転、寸動させることで、駆動系の摩耗やゆるみを顕在化させ易い。駆動系が摩耗やゆるみを有する場合、モータの起動電流の立上り時間が遅れる。このことにより、例えば、駆動系であるモータの出力軸をローラに固定する金具の摩耗を検出することが可能である。
【0139】
動作パラメータは、無負荷状態のモータ及び/又はローラを回転させ、モータへの電流の供給を停止し、惰性でモータ及び/又はローラを停止させることによって取得することが望ましい。
【0140】
ある一定の速度で回転させたモータを、電流をOFFにして惰性運転させた場合、ローラへ加わるモータの電気ブレーキの影響を排除することができる。つまり、モータ及び/又はローラは、回転方向とは逆向きに転がり抵抗を受ける。転がり抵抗の要因として、複数のローラを同期させているベルトや、モータに取り付けられたギア等が挙げられる。ベルトやギアが摩耗して、転がり抵抗が低い場合、ローラは停止し難くなる。このことにより、ベルトやギアの摩耗を検出することが可能となる。
【0141】
故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の稼働中に、ローラで搬送物を搬送した後、無負荷状態のローラにおいて前記動作パラメータを取得することが望ましい。
【0142】
モータ及び/又はローラで搬送物を搬送した後、無負荷状態のローラにおいて動作パラメータを監視することにより、駆動系の故障を検出できる。このことにより、ローラコンベア装置が稼働中でも、簡易故障診断ができる。
【0143】
本発明のローラコンベア装置の故障診断方法、ローラコンベア装置およびコントローラによれば、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0144】
以下、ローラコンベア装置20の故障診断方法について再度説明する。
前述のように、図1のローラコンベア装置20では、コントローラ(以下、ゾーンコントローラと称する)1a,1bに所定の物品搬送用プログラムが内蔵されており、ゾーンコントローラ1a,1b単独で直線搬送装置21を制御可能である。すなわち、ゾーンコントローラ1aは、直線搬送装置21aのA〜Dゾーンを各々制御できる。同じく、ゾーンコントローラ1bは、直線搬送装置21bのA〜Dゾーンを各々制御できる。またゾーンコントローラ1a,1bには他のプログラムも内蔵されている。他のプログラムには複数の故障診断プログラムと複数の基準パラメータを含む。即ちゾーンコントローラ1a,1bに故障診断プログラムも内蔵されている。故障診断プログラムは、上位制御装置50のコンピュータ51から転送されて各ゾーンコントローラ1a,1bのメモリ16に格納される。
【0145】
また基準情報として基準パラメータが格納されている。故障診断プログラムには、後記する様に複数の種類があり、本実施形態では、全ての故障診断プログラムがメモリ16に格納されている。また故障診断プログラムに対応する基準パラメータと、構成部品のいずれかに異常が生じた場合における動作パラメータの変化が部品別故障情報としてメモリ16に記憶されている。
【0146】
ローラコンベア装置20の故障診断は、予め取得した基準情報たる基準パラメータと、診断時に取得した現状情報たる動作パラメータを比較して行う。また両者の間に基準を越える相違があった場合には、部品別故障情報を参照して故障部品を特定する。例えば部品別故障情報を電流プロファイルとして記憶し、動作パラメータと複数の部品別故障情報を比較する。そして動作パラメータと共通点のある部品別故障情報を選択し、故障部品を特定する。
基準情報たる基準パラメータ及び現状情報たる動作パラメータは、いずれも所定の動作パターンでローラ23を動作させた場合のローラ23の回転状態(回転情報)や、モータ内蔵ローラ24a〜24dの電圧や電流の増減に関する情報(電力情報)であり、時間との相関に関するデータの集まり(プロファイル)である。
基準パラメータ及び動作パラメータを得るための動作は、モータ内蔵ローラ24a〜24dの回転と停止を繰り返したり、正転と逆転を繰り返すといったものである。
【0147】
次に、ローラコンベア装置20の起動時に、所定のパラメータ取得動作を実行して故障を検出する方法について、直線搬送装置21aを例に説明する。
まず、基準パラメータを得るための動作として、モータ内蔵ローラ24a〜24dに図7に示すような正転・停止のサイクルを実行させる(以下、第1パラメータ取得動作と言う)。
即ち直線搬送装置21aを設置した直後であって、何らの故障も無い状態において、第1パラメータ取得動作を実行させ、モータ内蔵ローラ24a〜24dを図7に示すような正転・停止のサイクルで動かす。具体的には、モータ内蔵ローラ24aを速度Pで2秒間正転(CW)させ、その後に2秒間停止させる動作を一つのサイクルとし、このサイクルを3回繰り返す。この時、速度Pは、1〜50回転/分の低速回転とする。ただし、速度Pは任意に設定可能である。なお、正転・停止のサイクルでは、無負荷状態でモータ内蔵ローラ24aを回転させる。
【0148】
図8は、直線搬送装置21aの故障を検出する際に基準となる基準パラメータを設定するプログラムである。
まず、ステップ1で、モータ(ブラシレスモータ43)の電源がONかどうかを確認する。ステップ2で、基準パラメータの設定が開始される。
【0149】
ステップ3で、基準パラメータのモニタリングを開始する。この時、基準パラメータは、ブラシレスモータ43の電流値の変化と時間との相関である。換言すれば、基準パラメータは、所定時間における電流の連続量である。
【0150】
続いて、ステップ4〜7では、正転・停止のサイクルを3回実行する。
まず、ステップ4では、プログラム上で動作可能なカウンタを用いて、正転・停止のサイクルの回数をカウントするために、カウンタに1を足す。ステップ5で、モータをRUNさせる。この時、モータは、速度Pで2秒間正転(CW)させる。
【0151】
ステップ6で、モータを2秒間停止する。ステップ7では、カウンタのカウント数が3であるかを確認し、3であればステップ8へ進む。カウント数が3未満であれば、ステップ3に戻る。
【0152】
ステップ8で基準パラメータのモニタリングを停止し、動作を終了させる。
上記のステップ1〜8により、基準パラメータの設定が完了する。
設定された基準パラメータである電流プロファイルは図9の通りとなる。図9の基準パラメータは、モータ内蔵ローラ24aの正転・停止のサイクルに応じた電流変化量を示している。
【0153】
次に動作パラメータの取得及び故障検出の工程について説明する。
図10は、例えば直線搬送装置21aの朝の起動時に、動作パラメータを取得して故障を検出するプログラムである。即ち一日に始業時に直線搬送装置21aを起動し、立ち上げる際に、図10のプログラムが自動的に実行される。
ステップ1〜ステップ8までについては、前述の基準パラメータの設定と同様であり、第1パラメータ取得動作を実行させ、動作パラメータのモニタリングを行う。
【0154】
ステップ9では、基準パラメータと動作パラメータとの差Xを確認している。差Xは、図11に示すように、基準パラメータと動作パラメータとの電流変化量の遅れ度合いである。差Xが下限値と上限値の範囲外となれば、ステップ10へ進み、エラー信号を出す。差Xが下限値と上限値の範囲内であれば、故障診断を終了する。
【0155】
上記のステップ1〜10により、基準パラメータと動作パラメータとの差Xを求めることができる。差Xが大きいと、駆動系に摩耗やゆるみ、固定金具40の摩耗が有ると考えられる。すなわち、差Xが下限値と上限値の範囲外となれば、直線搬送装置21a内の特定のゾーンの故障と判断する。
なお、差Xの下限値と上限値については、任意に設定できる。
【0156】
また基準パラメータと動作パラメータのプロファイルの相違から、故障の箇所を特定することもできる。
即ち直線搬送装置21a,21bは、機械部品としてモータ内蔵ローラ24a〜24dと、フリーローラ26及びベルト28を有している。またモータ内蔵ローラ24a〜24dには、ギア42、ブラシレスモータ43、出力板47、軸受けといった部品があり、フリーローラ26にも部品がある。
そしてこれらの部品が故障すると、電流のプロファイルに特有の変化が現れる。例えばベルト28にキズが生じると、一定周期毎にパルス状の電流変化が生じる。またギア42に故障が生じても、一定周期毎にパルス状の電流変化が生じるが、変化の周期は短い。軸受けが故障すると、全体的に電流値が上昇したり、不規則な電流変化が生じる。ベルトが切れると、負荷が軽くなるので電流値が全体的に低下する。
本実施形態では、構成部品のいずれかに異常が生じた場合における基本パラメータの変化が部品別故障情報としてメモリ16に記憶されている。
動作パラメータと複数の部品別故障情報を比較し、動作パラメータと共通点のある部品別故障情報を選択し、故障部品を特定する。
【0157】
直線搬送装置21aが故障していることが判れば、その情報が上位制御装置50に送信され、図示しない表示画面に表示される。
故障の判定は、ゾーンコントローラ1a,1bで行われ、且つゾーンごとに実行されるから、故障しているゾーンを特定することができる。またプロファイルをコンピュータで精査することによって故障している部品を特定することもできる。
従って、どのゾーンのどの部品に異常があるかを特定することができる。
【0158】
上記の所定のパラメータ取得動作として、正転・停止のサイクルを実施したが、これは一例であり、正転・逆転のサイクル、寸動での動作確認を実施することも可能である。
また、ローラ初期動作のサイクル数も、任意に設定可能である。
さらに、基本パラメータや動作パラメータを取得するためのモータ内蔵ローラ24a〜24dの動作時間を極端に長くしてもよい。例えば100〜1000時間の耐久試験を行い、このときの電流値やプロファイルに基づいて基本パラメータや動作パラメータを決定してもよい。
【0159】
また、上記の第1パラメータ取得動作では、無負荷状態でモータ内蔵ローラ24aを回転させたが、これは一例であり、ダミー負荷等を搬送させても構わない。ダミー負荷としては、5kgや10kg、50kg等、任意の重量に設定した搬送物が好適である。
さらに、例えば、5〜200kgの範囲において、例えば5kg刻みで搭載重量を変化させ、それぞれの場合の電流値やその変化プロファイルを基本パラメータとして取得し、基準パラメータをデータテーブルに保存しても構わない。稼働中のローラコンベア装置20において、取得した動作パラメータとデータテープルの基本パラメータを比較することで、搬送物の重量を特定することも可能である。
【0160】
つぎに、ローラコンベア装置20の起動時に、別のパラメータ取得動作を実行して故障を検出する方法について説明する(以下、第2パラメータ取得動作と言う)。
【0161】
直線搬送装置21aの第2パラメータ取得動作として、正転・惰性停止(フリーRUN ストップ)のサイクルを実行させる。すなわち、図12に示すように、ブラシレスモータ43へ10秒間電流を供給して、モータ内蔵ローラ24aを速度Qで10秒間正転(CW)させた後、ブラシレスモータ43への電流供給を停止する。その結果、モータ内蔵ローラ24aは惰性で回転を続け、やがて停止する。この時、モータ内蔵ローラ24aの速度Qは、100〜300回転/分の高速回転とする。ただし、速度Qは任意に設定可能である。なお、正転・惰性停止(フリーRUN ストップ)のサイクルでは、無負荷状態でモータ内蔵ローラ24aを回転させる。
【0162】
正転・惰性停止(フリーRUN ストップ)のサイクルにおける故障を検出する際の基準パラメータは、図13のプログラムで設定する。
まず、ステップ1で、モータ(ブラシレスモータ43)の電源がONかどうかを確認する。ステップ2で、基準パラメータの設定が開始される。
【0163】
ステップ3で、基準パラメータのモニタリングを開始する。この時、基準パラメータは、回転数検出装置31の速度(回転数)と、モータ内蔵ローラ24aの動作時間(回転時間)の関係とする。換言すれば、基準パラメータは、所定時間における速度の連続量である。
【0164】
ステップ4で、モータをRUNさせる。この時、モータは、速度Qで10秒間正転(CW)させる。ステップ5で、モータへの電流の供給を停止する。すると、モータは惰性で回転を続ける。
【0165】
ステップ6では、回転数検出装置31からのパルス出力の有無を確認する。パルス出力がある場合は、ステップ7へは進まず、パルス出力が停止するまで確認を続ける。パルス出力がない場合は、ステップ7へ進む。
ステップ7で基準パラメータのモニタリングを停止する。
【0166】
上記のステップ1〜7により、基準パラメータの設定が完了となる。
設定された基準パラメータは、図14に示す速度プロファイルとなる。つまり、図14は正転後、惰性で停止するまでの制動時間を表している。
【0167】
図15は、直線搬送装置21aに対して前記した第2パラメータ取得動作を実行させ、動作パラメータ等を取得して故障を検出するプログラムである。
ステップ1〜ステップ7までについては、前述の基準パラメータの設定と同様であり、第2パラメータ取得動作を実行させて動作パラメータのモニタリングを行う。
【0168】
ステップ8では、基準パラメータと動作パラメータとの差Yを確認している。差Yは、図16に示すように、基準パラメータと動作パラメータとの速度変化量の遅れ度合いである。差Yが下限値と上限値の範囲外となれば、ステップ9へ進み、エラー信号を出す。差Yが下限値と上限値の範囲内であれば、診断を終了する。
【0169】
上記のステップ1〜9により、基準パラメータと動作パラメータとの差Yを求めることができる。差Yが大きいと、ベルト28やギア42に摩耗が有ると考えられる。すなわち、差Yが下限値と上限値の範囲外となれば、直線搬送装置21aの故障と判断する。具体的には、直線搬送装置21aのベルト28やギア42に摩耗があると判定する。なお、差Yの下限値と上限値については、任意に設定できる。
【0170】
上記の基準パラメータ及び動作パラメータは、ゾーンコントローラ1(1a,1b)が有するメモリ内に、数値化されたデータテーブルとして保存される。基準パラメータ及び動作パラメータは、上位制御装置50のコンピュータ51を用いることで、図9、図11のように画像としてモニタができる。また、基準パラメータ及び動作パラメータをコンピュータ51に送信して、データを蓄積することで、故障予測ができる。
【0171】
上記の第2パラメータ取得動作では、ローラ23(モータ内蔵ローラ24a)の速度プロファイルを、回転数検出装置31からのパルス出力(回転数)で取得したが、これは一例である。例えば、動力を有さないフリーローラ26に、別の回転数検出装置を設けて、速度プロファイルを取得しても構わない。モータ内蔵ローラ24aではなく、フリーローラ26で速度変化量を確認することで、ギア42の影響を抑制することができる。つまり、ベルト28の故障を検出し易くなる。
【0172】
第1パラメータ取得動作による動作パラメータの取得と、第2パラメータ取得動作による動作パラメータの取得は、始業時に連続して行うことが望ましいが、一日置き等の様に間隔を空けて実施してもよい。
【0173】
つぎに、ローラコンベア装置20の稼働中に故障を検出する方法について説明する。
図1に示したように、ローラコンベア装置20では、搬送物70が直線搬送装置21a,21bで搬送される。この時、直線搬送装置21a,21bは、図17のフローチャートに示す簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムで制御される。
【0174】
簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムの概要を、図4の直線搬送装置21aのゾーンBを例として、説明すると、ゾーンBのモータ(モータ内蔵ローラ24b)は、搬送物70が上流センサ1(27a)に検知された時点で、回転を開始する。
そして、搬送物がゾーンBに到着すると、下流センサ1(センサ27c)がOFFかどうかを確認し、その搬送物をゾーンCへ流す。
このように、ゾーンA〜Dでは、各ゾーンに搬送物が到着する前に、到着予定物を検知できる。
なお、上流センサ1とは、制御対象となるゾーンから数えて上流側の1つ目に位置しているセンサを表現しているものであり、図17のフローチャートを説明するための表現である。下流センサ1についても同様であり、制御対象となるゾーンから数えて下流側の1つ目に位置しているセンサを表現しているものである。
【0175】
簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムは、ステップ1〜ステップ17で構成されている。
ステップ1〜ステップ2では、上流センサ1がONしているかどうかを確認し、条件が成立していると、自軸モータを速度RでRUN(回転)する。
【0176】
ステップ3では、自センサー(27b)がONしているかどうかを確認し、条件が成立していると、次へ進む。ステップ4では、下流センサ1がOFFしているかどうかを確認し、条件が成立していると、次へ進む。条件が不成立の場合には、ステップ15に移る。
【0177】
ステップ15〜ステップ17では、自軸モータを停止させた後、下流センサ1がOFFかどうか確認し、条件が成立すると、自軸モータを速度Rで運転させ、ステップ6に進む。
【0178】
ステップ5、ステップ6では、自センサーをOFFにした後、RUN保持タイマーをスタートさせる。
ステップ6では、RUN保持タイマーが開始される。
ステップ7〜ステップ8では、簡易故障診断プログラムを開始し、自軸モータが無負荷状態で運転される際の電流値(動作パラメータ)が測定される。
【0179】
ステップ9〜ステップ14では、上流センサ1がONかどうかを確認し、条件が成立していると、ステップ2へ戻る。条件が不成立の場合には、RUN保持タイマーが時間切れかどうか確認する。RUN保持タイマーが停止されると、無負荷状態での自軸モータの電流値(動作パラメータ)の測定が終了する。
【0180】
測定した電流値(動作パラメータ)は、予め設定された基準パラメータとの比較が行われる。基準パラメータと動作パラメータとの差Zが下限値と上限値の範囲外となれば、エラー信号を出す。差Zが下限値と上限値の範囲内であれば、自軸モータを停止させ、再び「ステップ1」以降の動作が繰り返される。
以上が、図17に示すフローチャートの主な説明である。
【0181】
上記のステップ1〜17により、基準パラメータと動作パラメータとの差Zを求めることができる。すなわち、無負荷状態のモータ内蔵ローラ24a(ブラシレスモータ43)の電流値(動作パラメータ)を監視することにより、駆動系の故障を検出できる。このことにより、ローラコンベア装置20が稼働中でも、簡易故障診断ができる。
【0182】
以上の実施形態では、いずれもゾーンコントローラ1a,1bに、基準情報(基準パラメータ)や現状情報(動作パラメータ)を記憶するメモリ16と、情報検出手段及び比較手段たる故障診断プログラムが内蔵され、結果が上位制御装置50に送信される構成であるが、基準情報や現状情報、故障診断プログラムを上位制御装置側に保持させる構成も可能である。以下、この構成を図18を参照しつつ説明する。
【0183】
図18は、本発明の別の実施例に係るローラコンベア装置80を示す。ローラコンベア装置80は、PLC(Programmable Logic Controller)81と、搬送装置83,84と、ゾーンコントローラ85とを有している。
PLC81は、メモリ92と、マイクロコンピュータ(CPU)91とを内蔵した制御装置である。PLC81は、ゾーンコントローラ85の上流側に位置しており、上位制御装置90として機能する。
搬送装置83,84は、各々モータ内蔵ローラ24と回転数検出装置86とを有している。回転数検出装置86は、公知のロータリーエンコーダであり、フリーローラ26に実装されている。ゾーンコントローラ85は、公知のモータ駆動回路である。
【0184】
PLC81とゾーンコントローラ85は、配線82で接続されている。ゾーンコントローラ85は、搬送装置83,84に接続されている。回転数検出装置86は、PLC81につながっている。PLC81は、ゾーンコントローラ85を介して、搬送装置83,84を制御可能である。
【0185】
ローラコンベア装置80は、ゾーンコントローラ85として、CPUを有さず、単にモータ駆動回路だけを有している。このため、ローラコンベア装置80の故障診断方法では、ゾーンコントローラ85及び回転数検出装置86の情報を上位制御装置たるPLC81に送ることによって、基準パラメータ及び動作パラメータを取得する。すなわち、ローラコンベア装置80の故障診断方法においても、前述のローラコンベア装置20の故障診断方法と同様の故障診断が可能である。
【0186】
以上のように、本実施形態のローラコンベア装置20,80の故障診断方法およびローラコンベア装置20,80によれば、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0187】
上記した実施形態では、基準パラメータ又は動作パラメータを、電流値や速度の時間変化量とする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回転数や角度、或いは移動量や長さ等、測定して数値化できる他のパラメータを用いても構わない。すなわち、故障診断ができるパラメータなら、何でも構わない。
【0188】
上記した実施形態では、基準パラメータを所定のパラメータ取得動作を実行して取得する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基準パラメータとして理論値を用いても構わない。
【0189】
上記した実施形態では、マイクロコンピュータ15(CPU)を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、CPU、メモリ、入出力回路、タイマー回路などを1つの集積回路に格納したマイクロコントローラを用いても構わない。
【0190】
また本発明は故障診断だけでなく、機器の経時変化を管理して、部品の取り替え時期を推定する用途に使用することもできる。
また本実施例の特徴的構成に加えて、機器の実労時間を積算するプログラムを内蔵させ、故障診断プログラムの診断結果と実労時間を併用して部品の傷み具合を推定することも推奨される。
【0191】
本実施形態のゾーンコントローラ自体は、例えば、ローラコンベア以外のベルトコンベアやチェーンコンベアにも使用することができる。
【0192】
本発明におけるプロファイルは、換言すると、線状のデータであり、波形や軌跡を表すものである。
【0193】
本実施形態のゾーンコントローラ1a,1bについて捕捉する。前述の通り、ゾーンコントローラ1a,1bに、基準情報(基準パラメータ)や現状情報(動作パラメータ)を記憶するメモリ16と、情報検出手段及び比較手段たる故障診断プログラムが内蔵され、結果が上位制御装置50に送信される構成を示したが、基準情報や現状情報、故障診断プログラムを上位制御装置側に保持させる構成も可能である。
【0194】
本実施形態の直線搬送装置21a,21bについて捕捉する。直線搬送装置21a,21bは同一の構造であり、直列に接続されている。直線搬送装置21a,21bは、搬送物を直線方向に搬送する装置である。
図4に示すように、直線搬送装置21a,21bは、それぞれゾーンA〜Dの4つの制御ゾーンに区分されている。ゾーンB〜Dは、ゾーンコントローラ1aが固定金具40の中央に設けられていないことを除いて、ゾーンAとほぼ同様の構成を有している。これは、1台のゾーンコントローラ1aで、ゾーンA〜Dを制御できるからである。そのため、ゾーンB〜Dに位置しているモータ内蔵ローラ24b〜24dは、ゾーンAに位置しているゾーンコントローラ1aに電気的に接続されている。
【0195】
直線搬送装置21aに属するモータ内蔵ローラ24a〜24dは、いずれもゾーンコントローラ1aに接続されている。また直線搬送装置21bに属するモータ内蔵ローラ24a〜24dは、いずれもゾーンコントローラ1bに接続されている。
ゾーンコントローラ1a,1bから各モータ内蔵ローラ24a〜24dに対して駆動・停止の信号が発信され、各モータ内蔵ローラ24a〜24dは、前記信号に応じて個別に動作する。
例えば、各モータ内蔵ローラ24a〜24dは、搬送物の流れに応じて、上流側から順次起動し、自己のゾーンから搬送物を送り出して自己のゾーンに搬送物が無くなると停止する。
【0196】
本実施形態の制御装置(上位制御装置)50について捕捉する。上位制御装置50のコンピュータ51は、ゾーンコントローラ1a,1bの総括的な制御を行う他、ローラコンベア装置20の故障診断を行うものである。
また、コンピュータ51は、ゾーンコントローラ1a,1bへのプログラムの転送も行うことができる。
【符号の説明】
【0197】
1,1a,1b コントローラ
14 ロジック内蔵ドライバ(モータ駆動回路)
15,91 マイクロコンピュータ(CPU)
16,92 メモリ
20,80 ローラコンベア装置
23 ローラ
31 回転数検出手段
43 ブラシレスモータ
50,90 制御装置(上位制御手段)
70 搬送物
【技術分野】
【0001】
本発明はローラコンベア装置に対する故障診断方法および、故障診断機能を備えたローラコンベア装置に関するものである。
さらに詳細には、ローラと、モータと、前記モータを制御可能なコントローラとを有したローラコンベア装置に対する故障診断方法およびローラコンベア装置に関するものである。
また本発明は、コンベア装置用のコントローラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
工場や物流倉庫では、容易に荷物を搬送するため、ローラコンベア装置が利用されている。ローラコンベア装置には、複数のローラが設けられており、その内のいくつかには、モータ(電動機)が設けられている。また、近年、コンベア装置で形成される搬送ラインは、複雑化しており、その複雑化された搬送ラインを容易に制御するために、搬送ラインを複数のゾーンに区分したコンベア装置がある。
【0003】
複数の制御ゾーンに区分されたローラコンベア装置では、ローラコンベア装置の全体を一体的に動作させるのではなく、制御ゾーン毎にモータを回転させて搬送物を搬送するため、無駄が少なく経済性に優れている。また、制御する範囲を小さく区分することにより、複雑な制御システムが不要となる。
【0004】
しかし、一方で、複数の制御ゾーンを有するローラコンベア装置では、モータを起動・停止させる頻度が高く、ギアやベルト、モータ出力軸を固定する金具等が摩耗し易い。
そのため、ローラコンベア装置のメンテナンスが重要となるが、各消耗品の摩耗度合いについては、経験則によるものや、導入時期からの割り出し、或いは触手による判定、音や匂いからの判定等、人的な判断によるところが大きく、容易ではない。
【0005】
特許文献1には、モータ(電動機)等の機器における消耗部材の交換時期を、容易に判断できる設備診断方法が開示されている。特許文献1に開示された設備診断方法では、機器が健全な状態における無負荷運転でのモータの電流値と、稼働中における無負荷運転でのモータの電流値を比較し、両者の差に基づくことによって、交換時期が判断できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−143704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1に開示された設備診断方法は、モータの無負荷運転での電流値を、健全な状態と稼働中の状態とで比べているだけである。つまり、消耗品の交換時期と判断された場合でも、機器において、どの部品を交換するべきかが明確でない。そのため、機器内の部品を順番に点検する必要があり、手間である。
【0008】
上記した現状に鑑み、本発明は、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出可能なローラコンベア装置の故障診断方法およびローラコンベア装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ローラと、モータと、モータを制御可能なコントローラとを有したローラコンベア装置の故障診断方法において、上位制御手段を有し、モータ及び/又はローラは、回転数検出装置を有し、コントローラはモータ駆動回路を有し、前記上位制御手段は、プログラムを内蔵可能であり、前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、上位制御手段は、モータ及び/又はローラの動作パラメータを取得して前記の基準パラメータと比較し、基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と検出することを特徴とするローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0010】
上位制御手段はプログラムを内蔵可能である。プログラムに複数の故障診断プログラムを含ませることにより、ローラコンベア特有の複数の故障モードを検出できる。つまり、消耗品の種類に応じた故障モードを検出することで、各消耗品の交換時期が判明する。
また、プログラムに所望する基準パラメータを含ませることにより、所望する条件で不具合と判定することができる。つまり、消耗品の交換時期の設定が可能である。
本発明のローラコンベア装置の故障診断方法によれば、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、ローラと、モータと、モータを制御可能なコントローラとを有したローラコンベア装置の故障診断方法において、モータ及び/又はローラは、回転数検出装置を有し、コントローラはモータ駆動回路と、メモリと、CPUとを有し、且つプログラムを内蔵可能であり、前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、コントローラは、モータ及び/又はローラの動作パラメータを取得して前記の基準パラメータと比較し、基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と検出することを特徴とするローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0012】
CPUと、メモリとを有したコントローラは、プログラムを内蔵可能である。プログラムに複数の故障診断プログラムを含ませることにより、ローラコンベア特有の複数の故障モードを検出できる。つまり、消耗品の種類に応じた故障モードを検出することで、各消耗品の交換時期が判明する。
なお、プログラムに所望する基準パラメータを含ませることにより、所望する条件で不具合と判定することができる。つまり、消耗品の交換時期の設定が可能である。
【0013】
すなわち、上位にコンピュータ等の制御手段を設けることなく、コントローラ単独で、ローラコンベア装置の挙動を監視し、故障モード毎に不具合を検出可能である。つまり、故障と検出するまでの処理速度が速い。
【0014】
また、コントローラ単独で処理することにより、上位の制御手段への負荷を軽減することができる。このことにより、例えば大規模なコンベアシステムにおいて、数十台の搬送装置を連結した場合にでも、上位制御手段がダウンすることがない。
本発明のローラコンベア装置の故障診断方法によれば、コントローラ単独で、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記基準パラメータおよび動作パラメータは、モータ及び/又はローラの速度、モータの電流値、モータ及び/又はローラの動作時間の内のいずれか1つ又は2つ以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0016】
モータ及び/又はローラの速度、モータの電流値、モータ及び/又はローラの動作時間を自由に組み合わせることにより、様々な故障モードをパラメータとして数値化することができる。つまり、通常のローラコンベア装置の制御に用いているパラメータで故障診断ができるため、特別な故障診断用の機器を増設する必要がない。
【0017】
請求項4に記載の発明は、上位制御手段を有し、前記コントローラと上位制御手段とを接続し、上位制御手段からコントローラに指令を送り、故障診断プログラムを作動させるタイミングを制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0018】
CPUを備えたコントローラは、上位制御手段で容易に制御できる。つまり、故障診断プログラムを作動させるタイミングを、上位制御手段で任意に設定可能である。例えば、ローラコンベア装置を稼働中、所定の間隔で診断することや、始業時や終業時に診断すること等、使用者の都合で設定できる。また、使用者は現場のライン等に入らなくても、上位制御手段から遠隔操作が可能である。
【0019】
請求項5に記載の発明は、前記コントローラから上位制御手段に前記動作パラメータ及び/又は故障診断結果を送信することを特徴とする請求項4に記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0020】
コントローラが保持する動作パラメータや故障診断結果を上位制御手段に送信することにより、上位制御手段で各データを蓄積できる。例えば、過去と現在でのモータやローラの挙動の動向を見ることにより、より詳細な故障診断や解析を行うことができる。
また、動作パラメータや故障診断結果を上位制御手段に送信することをコマンドとして、前記プログラムに任意に設定することができる。例えば、設定した条件を満足する場合にのみ、上位制御手段に送信する等、自由である。
【0021】
請求項6に記載の発明は、前記上位制御手段に複数のコントローラを接続することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0022】
複数のコントローラを上位制御手段に接続することで、上位制御手段で複数のデータを比較することができる。例えば、モータやローラの平均寿命を求めることが可能である。
【0023】
請求項7に記載の発明は、前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の起動時に、所定のローラ初期動作を実施して、前記動作パラメータを取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0024】
通常、ローラコンベア装置の起動時は、ローラコンベア上に搬送物がない。すなわち、起動時に所定のローラ初期動作を実施することで、故障が発見された際に、搬送物を取り除いたりする必要がないので、メンテナンス作業が容易である。
【0025】
請求項8に記載の発明は、前記ローラ初期動作は、無負荷状態のローラを低速回転で、起動・停止、正転・逆転、寸動の内、少なくとも1つを実行させることを特徴とする請求項7に記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0026】
低速回転させたローラはトルクが大きく、起動・停止、正転・逆転、寸動させることで、駆動系の摩耗やゆるみを顕在化させ易い。駆動系が摩耗やゆるみを有する場合、モータの起動電流の立上り時間が遅れる。このことにより、例えば、駆動系であるモータの出力軸をローラに固定する金具の摩耗を検出することが可能である。
【0027】
請求項9に記載の発明は、前記ローラ初期動作は、無負荷状態のローラを回転させ、モータへの電流の供給を停止し、惰性でモータを停止させる間に、前記動作パラメータを取得することを特徴とする請求項7に記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0028】
ある一定の速度で回転させたモータを、電流をOFFにして惰性運転させた場合、ローラへ加わるモータの電気ブレーキの影響を排除することができる。つまり、ローラは、回転方向とは逆向きに転がり抵抗を受ける。転がり抵抗の要因として、複数のローラを同期させているベルトや、モータに取り付けられたギア等が挙げられる。ベルトやギアが摩耗して、転がり抵抗が低い場合、ローラは停止し難くなる。このことにより、ベルトやギアの摩耗を検出することが可能である。
【0029】
請求項10に記載の発明は、前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の稼働中に、ローラで搬送物を搬送した後、無負荷状態のローラにおいて前記動作パラメータを取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法である。
【0030】
ローラで搬送物を搬送した後、無負荷状態のローラにおいて動作パラメータを監視することにより、駆動系の故障を検出できる。このことにより、ローラコンベア装置が稼働中でも、簡易故障診断ができる。
【0031】
請求項11に記載の発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法を実施可能であることを特徴とするローラコンベア装置である。
【0032】
請求項1乃至10のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法を用いて故障診断することにより、消耗品の種類に応じた故障モードを、確実に検出できる。このことにより、各消耗品の交換時期が、確実に判明する。
【発明の効果】
【0033】
本発明のローラコンベア装置の故障診断方法およびローラコンベア装置によれば、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態に係るローラコンベア装置を示す概念図である。
【図2】コントローラを示す正面図である。
【図3】コントローラの回路構成を示すブロック図である。
【図4】直線搬送装置を示す平面図である。
【図5】直線搬送装置の1つのゾーンを示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図6】モータ内蔵ローラを示す分解斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係るローラコンベア装置の故障診断方法の所定のローラ初期動作を示すタイムチャートである。
【図8】基準パラメータを設定するプログラムを示すフローチャートである。
【図9】基準パラメータを示すタイムチャートである。
【図10】所定のローラ初期動作時に、動作パラメータを取得して故障を検出するプログラムを示すフローチャートである。
【図11】基準パラメータと動作パラメータを比較した状態を示すタイムチャートである。
【図12】本発明の実施形態に係るローラコンベア装置の故障診断方法の別の初期動作を示すタイムチャートである。
【図13】基準パラメータを設定するプログラムを示すフローチャートである。
【図14】基準パラメータを示すタイムチャートである。
【図15】別のローラ初期動作時に、動作パラメータを取得して故障を検出するプログラムを示すフローチャートである。
【図16】基準パラメータと動作パラメータを比較した状態を示すタイムチャートである。
【図17】簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムを示すフローチャートである。
【図18】本発明の別の実施形態に係るローラコンベア装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下は、本発明の実施形態に係るローラコンベア装置の故障診断方法およびローラコンベア装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。また、公知のものについては、説明を省略する。
【0036】
図1に示すように、ローラコンベア装置20は、搬送物70等を搬送するためのコンベアシステムである。ローラコンベア装置20は、コントローラ1と、直線搬送装置21と、制御装置50(上位制御手段)とを有している。
【0037】
コントローラ1は、コントローラ1a,1bを有している。
図2に示すように、コントローラ1は、モータ制御基板2を有している。モータ制御基板2は、モータコネクタ3a〜3dと、センサコネクタ4a〜4eと、通信コネクタ5a,5bと、電源コネクタ6とを有している。
【0038】
図3のブロック図に示すように、コントローラ1は、I/O回路11と、通信回路12と、ロジック内蔵ドライバ14(モータ駆動回路)と、マイクロコンピュータ15(CPU)と、メモリ16(書き換え可能なメモリ)とを有している。コントローラ1は、マイクロコンピュータ15とメモリ16を有していることにより、コントローラ1単独でローラコンベア装置20(直線搬送装置21)を制御可能である。
【0039】
I/O回路11は、外部装置と入出力信号をやり取りするための回路である。I/O回路11は、センサコネクタ4a〜4eに接続されている。
通信回路12は、他のコントローラと通信が可能な回路である。通信回路12は、CANopen規格に準拠している。通信回路12は、通信コネクタ5a,5bに接続されている。
【0040】
ロジック内蔵ドライバ14は、モータ駆動回路である。ロジック内蔵ドライバ14は、図示しないプログラマブル・ロジックを有している。ロジック内蔵ドライバ14は、各々モータコネクタ3a〜3dに接続されている。ロジック内蔵ドライバ14は、PWM(パルス幅変調)制御が可能である。
【0041】
マイクロコンピュータ15(CPU)は、プログラムの演算処理が可能な装置である。マイクロコンピュータ15(CPU)は、図示しないRAM(メインメモリ)を有している。
メモリ16は、書き換え可能な記憶装置であり、プログラムやデータの格納が可能である。メモリ16は、電気型消去メモリ(EEPROM)や、フラッシュメモリで構成されることが望ましい。
【0042】
図1に示すように、コントローラ1a,1bは、CAN通信線54で相互に接続されており、CAN通信によるバス60(バス型ネットワーク)が構築されている。
バス60の一方の端部は、ゲートウェイ基板55に接続されている。バス60の他方の端部は、終端抵抗56に接続されている。
【0043】
ゲートウェイ基板55は、通信線53で制御装置50に接続されている。
制御装置50は、コンピュータ51と、バーコードリーダ52とを有している。バーコードリーダ52は、コンピュータ51に接続されている。
【0044】
コンピュータ51は、コントローラ1a,1bの制御が可能である。また、コンピュータ51は、コントローラ1a,1bへのプログラムの転送が可能である。
なお、コンピュータ51は、バーコードリーダ52から読み込んだ情報を、電子符号化することができる。コンピュータ51によって、「TrayID」と呼ばれるID(電子符号)を、搬送物70に付すことが可能である。
【0045】
直線搬送装置21は、直線搬送装置21a,21bを有している。直線搬送装置21a,21bは、直線方向の搬送が可能な装置である。
【0046】
図4に示すように、直線搬送装置21は、ゾーンA〜Dの4つの制御ゾーンに区分されている。ゾーンA〜Dの各ゾーンには、各々ローラ23と、フレーム25a,25bと、センサ27a〜27dが設けられている。
ローラ23は、モータ内蔵ローラ24a〜24dと、モータ等の動力機構を持たないフリーローラ26とを有している。
【0047】
図5(a)に示すように、ゾーンAは、1本のモータ内蔵ローラ24aの両側に、2本のフリーローラ26が位置している。つまり、ゾーンAは、5本のローラ23から構成されている。
隣接するローラ23同士にはベルト28が懸架されている。このことにより、モータ内蔵ローラ24aの回転に応じて、5本のローラが同方向に回転する。
なお、ゾーンB〜DについてもゾーンAと同様である。
【0048】
図5(b)に示すように、フレーム25a,25bの側面には、複数の孔25cが設けられている。孔25cは、ローラ23を支持するためのものである。
また、フレーム25a,25bの側面には、固定金具40が固定されている。固定金具40には、後述するモータ内蔵ローラ24aの固定軸46が固定されている。
固定金具40の中央には、コントローラ1aが固定されている。
【0049】
図5(a),(b)に示すように、フレーム25bの天面には、センサ27aが固定されている。センサ27aは、コントローラ1aに接続されている。
センサ27a〜27dは、在荷状態(搬送物70の有無)を検知する検知装置である。センサ27a〜27dは、搬送物に光を照射し、反射した光で搬送物の有無を検知できる反射型センサから成る。
なお、直線搬送装置21bについても直線搬送装置21aと同様である。
【0050】
図6に示すように、モータ内蔵ローラ24a〜24dは公知のそれと同様に、ローラ23の内部に、ギア42と、ブラシレスモータ43と、一対の蓋部材44と、出力板47と、回転数検出手段31とを備えている。
ギア42は公知の減速機である。ギア42は出力軸48を有している。
ブラシレスモータ43は、公知のDCブラシレスモータである。ブラシレスモータ43は、ケーブル43aと、コネクタ43bと、出力軸とを有している。なお、ブラシレスモータ43は、DC24Vで回転する。
【0051】
蓋部材44は、軸受と、固定軸46とを有している。蓋部材44は、固定軸46に対して相対的に回転可能である。
回転数検出手段31は、モータの回転数を検出可能であり、ホールICや、ロータリーエンコーダで構成されることが望ましい。
【0052】
ブラシレスモータ43の出力軸は、ギア42に接続されている。ギア42の出力軸48は、出力板47を介して、ローラ23に接続されている。一対の蓋部材44は、ローラ23の両端部に取り付けられる。すなわち、ブラシレスモータ43の出力軸を回転させると、ローラ23は固定軸46に対して相対的に回転する。
なお、モータ内蔵ローラ24b〜24dについてもモータ内蔵ローラ24aと同様である。
【0053】
つぎに、ローラコンベア装置20の故障診断方法について説明する。
前述のように、図1のローラコンベア装置20では、コントローラ1にプログラムを内蔵することにより、コントローラ1単独で直線搬送装置21を制御可能である。すなわち、コントローラ1aは、直線搬送装置21aのA〜Dゾーンを各々制御できる。同じく、コントローラ1bは、直線搬送装置21bのA〜Dゾーンを各々制御できる。なお、コントローラ1a,1bへの故障診断プログラムの転送は、コンピュータ51を用いる。
【0054】
まず、ローラコンベア装置20の起動時に、所定のローラ初期動作を実行して故障を検出する方法について、直線搬送装置21aを例に説明する。
直線搬送装置21aのローラ初期動作として、図7に示すような正転・停止のサイクルを実行させる。モータ内蔵ローラ23aを速度Pで2秒間正転(CW)させ、2秒間停止させるサイクルを3回繰り返す。この時、速度Pは、1〜50回転/分の低速回転とする。ただし、速度Pは任意に設定可能である。なお、正転・停止のサイクルでは、無負荷状態でモータ内蔵ローラ23aを回転させる。
【0055】
図8は、直線搬送装置21aの故障を検出する際に基準となる基準パラメータを設定するプログラムである。
まず、ステップ1で、モータ(ブラシレスモータ43)の電源がONかどうかを確認する。ステップ2で、基準パラメータの設定が開始される。
【0056】
ステップ3で、基準パラメータのモニタリングを開始する。この時、基準パラメータは、ブラシレスモータ43の電流値と、ブラシレスモータ43の動作時間とする。換言すれば、基準パラメータは、所定時間における電流の連続量である。
【0057】
ステップ4で、カウンタに1を足す。ステップ5で、モータをRUNさせる。この時、モータは、速度Pで2秒間正転(CW)させる。
ステップ6で、モータを2秒間停止する。ステップ7では、カウンタのカウント数が3であるかを確認し、3であればステップ8へ進む。カウント数が3以下であれば、ステップ3に戻る。つまり、ステップ4〜7は、正転・停止のサイクルを実行している。
【0058】
ステップ8で基準パラメータのモニタリングを停止し、終了となる。
上記のステップ1〜8により、基準パラメータの設定が完了となる。
設定された基準パラメータである電流プロファイルは図9の通りとなる。図9の基準パラメータは、モータ内蔵ローラ23aの正転・停止のサイクルに応じた電流変化量を示している。
【0059】
図10は、直線搬送装置21aの起動時のローラ初期動作時に、動作パラメータを取得して故障を検出するプログラムである。
ステップ1〜ステップ8までについては、前述の基準パラメータの設定と同様であり、初期動作での動作パラメータのモニタリングを行う。
【0060】
ステップ9では、基準パラメータと動作パラメータとの差Xを確認している。差Xは、図11に示すように、基準パラメータと動作パラメータとの電流変化量の遅れ度合いである。差Xが下限値と上限値の範囲外となれば、ステップ10へ進み、エラー信号を出す。差Xが下限値と上限値の範囲内であれば、終了となる。
【0061】
上記のステップ1〜10により、基準パラメータと動作パラメータとの差Xを求めることができる。差Xが大きいと、駆動系に摩耗やゆるみが有ると考えられる。すなわち、差Xが下限値と上限値の範囲外となれば、直線搬送装置21aの故障と判断する。直線搬送装置21aにおいては、固定金具40の摩耗と判定する。
なお、差Xの下限値と上限値については、任意に設定できる。
【0062】
上記の所定のローラ初期動作として、正転・停止のサイクルを実施したが、これは一例であり、正転・逆転のサイクル、寸動での動作確認を実施することも可能である。
また、ローラ初期動作のサイクル数も、任意に設定可能である。
さらに、ローラ初期動作を時間で設定しても構わない。例えば、100〜1000時間耐久試験として実施することも可能である。
【0063】
また、上記の所定のローラ初期動作では、無負荷状態でモータ内蔵ローラ23aを回転させたが、これは一例であり、ダミー負荷等を搬送させても構わない。ダミー負荷としては、5kgや10kg、50kg等、任意の重量に設定した搬送物が好適である。
さらに、例えば、基準パラメータを5〜200kgの範囲において、5kg刻みで設定し、データテーブルに保存しても構わない。このことにより、稼働中のローラコンベア装置20において、取得した動作パラメータと比較することで、搬送物の重量を特定することも可能である。
【0064】
つぎに、ローラコンベア装置20の起動時に、別のローラ初期動作を実行して故障を検出する方法について説明する。
【0065】
直線搬送装置21aの別のローラ初期動作として、正転・惰性停止のサイクルを実行させる。すなわち、図12に示すように、ブラシレスモータ43へ10秒間電流を供給した後、電流供給を停止する。モータ内蔵ローラ23aは回転を続け、惰性で停止する。この時、ブラシレスモータ43の速度Qは、100〜300回転/分の高速回転とする。ただし、速度Qは任意に設定可能である。なお、正転・惰性停止のサイクルでは、無負荷状態でモータ内蔵ローラ23aを回転させる。
【0066】
正転・惰性停止のサイクルにおける故障を検出する際の基準パラメータは、図13のプログラムで設定する。
まず、ステップ1で、モータ(ブラシレスモータ43)の電源がONかどうかを確認する。ステップ2で、基準パラメータの設定が開始される。
【0067】
ステップ3で、基準パラメータのモニタリングを開始する。この時、基準パラメータは、回転数検出手段31の速度(回転数)と、モータ内蔵ローラ23aの動作時間(回転時間)とする。換言すれば、基準パラメータは、所定時間における速度の連続量である。
【0068】
ステップ4で、モータをRUNさせる。この時、モータは、速度Qで10秒間正転(CW)させる。ステップ5で、モータへの電流の供給を停止する。すると、モータは惰性で回転を続ける。
【0069】
ステップ6では、回転数検出手段31からのパルス出力の有無を確認する。パルス出力がある場合は、ステップ7へは進まず、パルス出力が停止するまで確認を続ける。パルス出力がない場合は、ステップ7へ進む。
ステップ7で基準パラメータのモニタリングを停止し、終了となる。
【0070】
上記のステップ1〜7により、基準パラメータの設定が完了となる。
設定された基準パラメータは、図14に示す速度プロファイルとなる。つまり、図14は正転後、惰性で停止するまでの制動時間を表している。
【0071】
図15は、直線搬送装置21aの別のローラ初期動作時に、動作パラメータを取得して故障を検出するプログラムである。
ステップ1〜ステップ7までについては、前述の基準パラメータの設定と同様であり、初期動作での動作パラメータのモニタリングを行う。
【0072】
ステップ8では、基準パラメータと動作パラメータとの差Yを確認している。差Yは、図16に示すように、基準パラメータと動作パラメータとの速度変化量の遅れ度合いである。差Yが下限値と上限値の範囲外となれば、ステップ9へ進み、エラー信号を出す。差Yが下限値と上限値の範囲内であれば、終了となる。
【0073】
上記のステップ1〜9により、基準パラメータと動作パラメータとの差Yを求めることができる。差Yが大きいと、ベルト28やギア42に摩耗が有ると考えられる。すなわち、差Yが下限値と上限値の範囲外となれば、直線搬送装置21aの故障と判断する。直線搬送装置21aにおいては、ベルト28やギア42の摩耗と判定する。なお、差Yの下限値と上限値については、任意に設定できる。
【0074】
上記の基準パラメータ及び動作パラメータは、コントローラ1(1a,1b)が有するメモリ内に、数値化されたデータテーブルとして保存される。基準パラメータ及び動作パラメータは、上位のコンピュータ51を用いることで、図9,11のように画像としてモニタができる。また、基準パラメータ及び動作パラメータを上位のコンピュータ51に送信して、データを蓄積することで、故障予測ができる。
【0075】
上記の別のローラ初期動作では、ローラ23(モータ内蔵ローラ23a)の速度プロファイルを、回転数検出手段31からのパルス出力(回転数)で取得したが、これは一例である。例えば、動力を有さないフリーローラ26に、別の回転数検出手段を設けて、速度プロファイルを取得しても構わない。モータ内蔵ローラ23aではなく、フリーローラ26で速度変化量を確認することで、ギア42の影響を抑制することができる。つまり、ベルト28の故障を検出し易くなる。
【0076】
つぎに、ローラコンベア装置20の稼働中に故障を検出する方法について説明する。
図1に示したように、ローラコンベア装置20では、搬送物70が直線搬送装置21a,21bで搬送される。この時、直線搬送装置21a,21bは、図17のフローチャートに示す簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムで制御される。
【0077】
簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムの概要を、図4の直線搬送装置21aのゾーンBを例として、説明すると、ゾーンBのモータ(モータ内蔵ローラ24b)は、搬送物70が上流センサ1(27a)に検知された時点で、回転を開始する。
そして、搬送物がゾーンBに到着すると、下流センサ1(センサ27c)がOFFかどうかを確認し、その搬送物をゾーンCへ流す。
このように、ゾーンA〜Dでは、各ゾーンに搬送物が到着する前に、到着予定物を検知できる。
【0078】
簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムは、ステップ1〜ステップ17で構成されている。
ステップ1〜ステップ2では、上流センサ1がONしているかどうかを確認し、条件が成立していると、自軸モータを速度RでRUN(回転)する。
【0079】
ステップ3では、自ゾーンセンサ1がONしているかどうかを確認し、条件が成立していると、次へ進む。ステップ4では、下流センサ1がOFFしているかどうかを確認し、条件が成立していると、次へ進む。条件が不成立の場合には、ステップ15に移る。
【0080】
ステップ15〜ステップ17では、自軸モータを停止させた後、下流センサ1がOFFかどうか確認し、条件が成立すると、自軸モータを速度Rで運転させ、ステップ6に進む。
【0081】
ステップ5、ステップ6では、自センサーをOFFにした後、RUN保持タイマーをスタートさせる。
ステップ6では、RUN保持タイマーが開始される。
ステップ7〜ステップ8では、簡易故障診断プログラムを開始し、自軸モータが無負荷状態で運転される際の電流値(動作パラメータ)が測定される。
【0082】
ステップ9〜ステップ14では、上流センサ1がONかどうかを確認し、条件が成立していると、ステップ2へ戻る。条件が不成立の場合には、RUN保持タイマーが時間切れかどうか確認する。RUN保持タイマーが停止されると、無負荷状態での自軸モータの電流値(動作パラメータ)の測定が終了する。
【0083】
測定した電流値(動作パラメータ)は、予め設定された基準パラメータとの比較が行われる。基準パラメータと動作パラメータとの差Zが下限値と上限値の範囲外となれば、エラー信号を出す。差Zが下限値と上限値の範囲内であれば、自軸モータを停止させ、再び「ステップ1」以降の動作が繰り返される。
以上が、図17に示すフローチャートの主な説明である。
【0084】
上記のステップ1〜17により、基準パラメータと動作パラメータとの差Zを求めることができる。すなわち、無負荷状態のモータ内蔵ローラ24a(ブラシレスモータ43)の電流値(動作パラメータ)を監視することにより、駆動系の故障を検出できる。このことにより、ローラコンベア装置20が稼働中でも、簡易故障診断ができる。
【0085】
図18は、本発明の別の実施例に係るローラコンベア装置80を示す。ローラコンベア装置80は、PLC81(上位制御手段)と、搬送装置83,84と、コントローラ85とを有している。
搬送装置83,84は、各々モータ内蔵ローラ24と回転数検出手段86とを有している。回転数検出手段86は、公知のロータリーエンコーダであり、フリーローラ26に実装されている。コントローラ85は、公知のモータ駆動回路である。
【0086】
PLC81とコントローラ85は、配線82で接続されている。コントローラ85は、搬送装置83,84に接続されている。回転数検出手段86は、PLC81につながっている。PLC81は、コントローラ85を介して、搬送装置83,84を制御可能である。
【0087】
ローラコンベア装置80は、コントローラ85として、CPUを有さないただのモータ駆動回路を有している。このため、ローラコンベア装置80の故障診断方法では、コントローラ85及び回転数検出手段86の情報をPLC81に送ることによって、基準パラメータ及び動作パラメータを取得する。すなわち、ローラコンベア装置80の故障診断方法においても、前述のローラコンベア装置20の故障診断方法と同様の故障診断が可能である。
【0088】
以上のように、本実施形態のローラコンベア装置20,80の故障診断方法およびローラコンベア装置20,80によれば、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0089】
上記した実施形態では、基準パラメータ又は動作パラメータを、電流値や速度の時間変化量とする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回転数や角度、或いは移動量や長さ等、測定して数値化できる他のパラメータを用いても構わない。すなわち、故障診断ができるパラメータなら、何でも構わない。
【0090】
また、本発明は、以下の発明も包含する。
【0091】
1つの発明は、物品を搬送するための複数のローラと、前記ローラの内の1又は複数のローラを回転させるための1又はそれ以上のモータと、1又は複数のモータを制御するためのコントローラとを有したローラコンベア装置において、前記モータ及び/又は前記ローラの回転に関する情報を回転情報とし、モータに供給する電流及び/又は電圧に関する情報を電力情報とし、ローラコンベア装置が正常に機能している場合における回転情報及び/又は電力情報を基準情報として記憶するメモリと、現状における回転情報及び/又は電力情報を現状情報として検知する情報検出手段と、現状情報と前記メモリに記憶された基準情報とを比較する比較手段を備えたことを特徴とするローラコンベア装置。
【0092】
好ましくは、ローラコンベア装置を構成する構成部品のいずれかに異常が生じた場合における回転情報及び/又は電力情報の変化が部品別故障情報としてメモリに記憶され、部品別故障情報を参照して異常箇所を特定可能である。
【0093】
好ましくは、比較手段における比較の結果、現状情報が基準情報に対して一定以上相違する場合に所定の信号を発信する。
【0094】
好ましくは、基準情報は、前記モータに供給される電流又は電圧と、時間との相関関係である。
【0095】
好ましくは、基準情報は、前記モータに通電した後に通電を停止し、モータ及び/又はローラを惰性で回転させた場合における一連の前記モータ及び/又は前記ローラの回転情報である。
【0096】
好ましくは、複数のコントローラと、当該コントローラに対する上位制御装置を有し、各コントローラに基準情報を記憶するメモリと、情報検出手段と、比較手段があり、比較手段における結果が上位制御装置に送信される。
【0097】
好ましくは、複数のコントローラと、当該コントローラに対する上位制御装置を有し、各コントローラから上位制御装置に現状情報が収集される。
【0098】
他の発明は、1又は複数のローラを回転させるためのモータを駆動する駆動回路と、1又は複数の駆動回路を制御する制御回路とを備えたコンベア装置用コントローラにおいて、前記モータ及び/又はローラの回転に関する情報を回転情報とし、モータに供給される電流及び/又は電圧に関する情報を電力情報とし、コンベア装置が正常に機能している場合における回転情報及び/又は電力情報を基準情報として記憶するメモリと、現状における回転情報及び/又は電力情報を現状情報として検知する情報検出手段と、前記メモリに記憶された基準情報と現状情報とを比較する比較手段を備え、コントローラが現状情報を取得して前記メモリに記憶された基準情報と現状情報とを比較し、その結果を他の機器に出力可能であることを特徴とするコンベア装置用コントローラ。
【0099】
好ましくは、基準情報は、前記モータに供給される電流又は電圧と、時間との相関関係である。
【0100】
さらに、他の発明は、物品を搬送するための複数のローラと、前記ローラの内の1又は複数のローラを回転させるための1又はそれ以上のモータと、1又は複数のモータを制御可能なコントローラとを有するローラコンベア装置に対して行う故障診断方法であって、前記ローラコンベア装置は、プログラムが内蔵されたメモリと、プログラムを実行可能なマイクロコンピュータとを有し、前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、故障診断プログラムに基づいてモータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの個々の状況を検知して動作パラメータとして取得し、動作パラメータと基準パラメータとを比較し、両者の相違が一定の基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と判定することを特徴とするローラコンベア装置の故障診断方法。
【0101】
好ましくは、ローラコンベア装置は、コントローラと信号の授受を行う上位制御装置を有するものであり、前記コントローラは前記メモリとマイクロコンピュータとを有し、上位制御装置の指令に応じてモータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの動作パラメータを前記コントローラが取得してローラコンベア装置の異常の有無を判断し、その結果を上位制御装置に送信する。
【0102】
好ましくは、ローラコンベア装置は、コントローラと信号の授受を行う上位制御装置を有するものであり、前記上位制御装置は前記メモリとマイクロコンピュータとを有し、モータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの動作パラメータを取得する。
【0103】
好ましくは、ローラコンベア装置を構成する構成部材のいずれかに異常が生じた場合におけるモータ及び/又はローラの回転状況が部材別故障情報として記憶され、動作パラメータと部材別故障情報とを比較して異常箇所を特定する。
【0104】
好ましくは、ローラコンベア装置は、コントローラと信号の授受を行う上位制御装置を有するものであり、上位制御装置からコントローラに指令を送り、故障診断プログラムを作動させるタイミングを制御する。
【0105】
好ましくは、前記基準パラメータおよび動作パラメータは、モータ及び/又はローラの速度、モータの電流値、モータ及び/又はローラの動作時間の内のいずれか1つ又は2つ以上、または2つ以上の関連である。
【0106】
好ましくは、ローラコンベア装置は、コントローラと信号の授受を行う上位制御装置を有するものであり、前記上位制御装置に複数のコントローラを接続する。
【0107】
好ましくは、前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の起動時に、所定の動作を実行させて、前記動作パラメータを取得する。
【0108】
好ましくは、動作パラメータは、無負荷状態のモータ及び/又はローラを低速回転で、起動・停止、正転・逆転、寸動の内、少なくとも1つを実行させることによって取得する。
【0109】
好ましくは、動作パラメータは、無負荷状態のモータ及び/又はローラを回転させ、モータへの電流の供給を停止し、惰性でモータを停止させることによって取得する。
【0110】
好ましくは、前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の稼働中に、モータ及び/又はローラで搬送物を搬送した後、無負荷状態のモータ及び/又はローラにおいて前記動作パラメータを取得する。
【0111】
つまり、本発明は、通常のローラコンベア装置の基本構成を備えている。即ち本発明のローラコンベア装置は、物品を搬送するための複数のローラと、前記ローラの内の1又は複数のローラを回転させるための1又はそれ以上のモータと、1又は複数のモータを制御するためのコントローラとを有している。
また本発明では、モータ及び/又は前記ローラの回転に関する情報を回転情報と定義し、モータに供給される電流及び/又は電圧に関する情報を電力情報と定義する。
本発明のローラコンベア装置は、正常に機能している場合における回転情報及び/又は電力情報を基準情報として記憶するメモリと、現状における回転情報及び/又は電力情報を現状情報として検知する情報検出手段と、現状情報と前記メモリに記憶された基準情報とを比較する比較手段を備えている。
【0112】
本発明では、コントローラによって1又は複数のモータが動作される。そして正常に機能している場合における動作状況を示す基準情報と、現在の動作状況を示す現状情報を比較する。そのため正常な状態の動作状況と現在の動作状況が比較され、機器の異常の有無が判る。また前記した様にコントローラによって動作させたモータを特定できるので、異常が発生した部材は特定のモータであるか、あるいは当該モータから動力伝達を受ける部材であることが突き止められる。
【0113】
ローラコンベア装置を構成する構成部品のいずれかに異常が生じた場合における回転情報及び/又は電力情報の変化が部品別故障情報としてメモリに記憶され、部品別故障情報を参照して異常箇所を特定可能であることが望ましい。
【0114】
本構成によると、異常のある部品を直接特定することができる。
【0115】
比較手段における比較の結果、現状情報が基準情報に対して一定以上相違する場合に所定の信号を発信する構成を採用することが望ましい。
【0116】
基準情報は、前記モータに供給される電流又は電圧と、時間との相関関係であることが望ましい。
【0117】
例えばモータに供給される電流と時間との関係のプロファイルを基準情報として使用する。なお、プロファイルとは、線状のデータであり、波形や軌跡を表すものである。
【0118】
基準情報は、前記モータに通電した後に通電を停止し、モータ及び/又はローラを惰性で回転させた場合における一連の前記モータ及び/又は前記ローラの回転情報であることが望ましい。
【0119】
複数のコントローラと、当該コントローラに対する上位制御装置を有し、各コントローラに基準情報として記憶するメモリと、情報検出手段と、比較手段があり、比較手段における結果が上位制御装置に送信される構成が推奨される。
【0120】
複数のコントローラと、当該コントローラに対する上位制御装置を有し、各コントローラから上位制御装置に現状情報が収集される構成であってもよい。
【0121】
本発明の本質的部分をコントローラに応用することもできる。
コントローラの発明は、コンベア装置が正常に機能している場合における回転情報及び/又は電力情報を基準情報として記憶するメモリと、現状における回転情報及び/又は電力情報を現状情報として検知する情報検出手段と、前記メモリに記憶された基準情報と現状情報とを比較する比較手段を備え、コントローラが現状情報を取得して前記メモリに記憶された基準情報と現状情報とを比較し、その結果を出力するものである。
【0122】
また方法に関する発明は、物品を搬送するための複数のローラと、前記ローラの内の1又は複数のローラを回転させるための1又はそれ以上のモータと、1又は複数のモータを制御可能なコントローラとを有するローラコンベア装置に対して行う故障診断方法である。
本発明では、プログラムが内蔵されたメモリと、プログラムを実行可能なマイクロコンピュータを使用し、前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含む。
そして故障診断プログラムに基づいてモータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの個々の状況を検知して動作パラメータとして取得し、動作パラメータと基準パラメータとを比較し、両者の相違が一定の基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と判定する。
【0123】
プログラムに複数の故障診断プログラムを含ませることにより、ローラコンベア特有の複数の故障モードを検出できる。消耗品の種類に応じた故障モードを検出することで、各消耗品の交換時期が判明する。
また、プログラムに所望する基準パラメータを含ませることにより、所望する条件で不具合と判定することができる。消耗品の交換時期の設定が可能である。
本発明のローラコンベア装置の故障診断方法によれば、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0124】
本発明は、コントローラと信号の授受を行う上位制御装置を有するものにも応用することができる。コントローラはメモリとマイクロコンピュータとを有することが望ましい。そしてモータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの動作パラメータを前記コントローラが取得してローラコンベア装置の異常の有無を判断し、その結果を他の機器である上位制御装置に送信する。
【0125】
コントローラが有するメモリに前記プログラムを内蔵させることにより、コントローラ単独で、ローラコンベア装置の挙動を監視し、故障モード毎に不具合を検出可能である。そのため、故障と検出するまでの処理速度が速い。
【0126】
また、コントローラ単独で処理することにより、上位の制御手段への負荷を軽減することができる。このことにより、例えば大規模なコンベアシステムにおいて、数十台の搬送装置を連結した場合にでも、上位制御装置がダウンすることがない。
本発明のローラコンベア装置の故障診断方法によれば、コントローラ単独で、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0127】
コントローラが保持する動作パラメータや故障診断結果を上位制御装置に送信することにより、上位制御装置で各データを蓄積できる。例えば、過去と現在でのモータやローラの挙動の動向を見ることにより、より詳細な故障診断や解析を行うことができる。
また、動作パラメータや故障診断結果を上位制御装置に送信することをコマンドとして、前記プログラムに任意に設定することができる。例えば、設定した条件を満足する場合にのみ、上位制御装置に送信する等の方策が考えられる。
【0128】
また上位制御装置はメモリとマイクロコンピュータとを有することが望ましい。
前記プログラムを上位制御装置が有するメモリに内蔵させてもよい。そして上位制御装置の指令に応じてモータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの動作パラメータを取得する。
【0129】
上位制御装置からコントローラに指令を送り、故障診断プログラムを作動させるタイミングを制御する方策を採用することが望ましい。
【0130】
マイクロコンピュータ(CPU)を備えたコントローラは、上位制御装置で容易に制御できる。そして故障診断プログラムを作動させるタイミングを、上位制御装置で任意に設定可能である。例えば、ローラコンベア装置を稼働中、所定の間隔で診断することや、始業時や終業時に診断すること等、使用者の都合で設定できる。また、使用者は現場のライン等に入らなくても、上位制御装置から遠隔操作が可能である。
【0131】
前記基準パラメータおよび動作パラメータは、モータ及び/又はローラの速度、モータの電流値、モータ及び/又はローラの動作時間の内のいずれか1つ又は2つ以上、または2つ以上の関連であることが望ましい。
【0132】
モータ及び/又はローラの速度、モータの電流値、モータ及び/又はローラの動作時間を自由に組み合わせることにより、様々な故障モードをパラメータとして数値化することができる。つまり、通常のローラコンベア装置の制御に用いているパラメータで故障診断ができるため、特別な故障診断用の機器を増設する必要がない。
【0133】
前記上位制御装置に複数のコントローラを接続することが望ましい。
【0134】
複数のコントローラを上位制御装置に接続することで、上位制御装置で複数のデータを比較することができる。例えば、モータやローラの平均寿命を求めることが可能である。
【0135】
前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の起動時に、所定の動作を実行させて、前記動作パラメータを取得することが望ましい。
【0136】
通常、ローラコンベア装置の起動時は、ローラコンベア上に搬送物がない。起動時に所定のローラ初期動作を実施することで、故障が発見された際に、搬送物を取り除いたりする必要がないので、メンテナンス作業が容易である。
【0137】
動作パラメータは、無負荷状態のモータ及び/又はローラを低速回転で、起動・停止、正転・逆転、寸動の内、少なくとも1つを実行させることによって得ることが望ましい。
【0138】
低速回転させたモータ及び/又はローラはトルクが大きく、起動・停止、正転・逆転、寸動させることで、駆動系の摩耗やゆるみを顕在化させ易い。駆動系が摩耗やゆるみを有する場合、モータの起動電流の立上り時間が遅れる。このことにより、例えば、駆動系であるモータの出力軸をローラに固定する金具の摩耗を検出することが可能である。
【0139】
動作パラメータは、無負荷状態のモータ及び/又はローラを回転させ、モータへの電流の供給を停止し、惰性でモータ及び/又はローラを停止させることによって取得することが望ましい。
【0140】
ある一定の速度で回転させたモータを、電流をOFFにして惰性運転させた場合、ローラへ加わるモータの電気ブレーキの影響を排除することができる。つまり、モータ及び/又はローラは、回転方向とは逆向きに転がり抵抗を受ける。転がり抵抗の要因として、複数のローラを同期させているベルトや、モータに取り付けられたギア等が挙げられる。ベルトやギアが摩耗して、転がり抵抗が低い場合、ローラは停止し難くなる。このことにより、ベルトやギアの摩耗を検出することが可能となる。
【0141】
故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の稼働中に、ローラで搬送物を搬送した後、無負荷状態のローラにおいて前記動作パラメータを取得することが望ましい。
【0142】
モータ及び/又はローラで搬送物を搬送した後、無負荷状態のローラにおいて動作パラメータを監視することにより、駆動系の故障を検出できる。このことにより、ローラコンベア装置が稼働中でも、簡易故障診断ができる。
【0143】
本発明のローラコンベア装置の故障診断方法、ローラコンベア装置およびコントローラによれば、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0144】
以下、ローラコンベア装置20の故障診断方法について再度説明する。
前述のように、図1のローラコンベア装置20では、コントローラ(以下、ゾーンコントローラと称する)1a,1bに所定の物品搬送用プログラムが内蔵されており、ゾーンコントローラ1a,1b単独で直線搬送装置21を制御可能である。すなわち、ゾーンコントローラ1aは、直線搬送装置21aのA〜Dゾーンを各々制御できる。同じく、ゾーンコントローラ1bは、直線搬送装置21bのA〜Dゾーンを各々制御できる。またゾーンコントローラ1a,1bには他のプログラムも内蔵されている。他のプログラムには複数の故障診断プログラムと複数の基準パラメータを含む。即ちゾーンコントローラ1a,1bに故障診断プログラムも内蔵されている。故障診断プログラムは、上位制御装置50のコンピュータ51から転送されて各ゾーンコントローラ1a,1bのメモリ16に格納される。
【0145】
また基準情報として基準パラメータが格納されている。故障診断プログラムには、後記する様に複数の種類があり、本実施形態では、全ての故障診断プログラムがメモリ16に格納されている。また故障診断プログラムに対応する基準パラメータと、構成部品のいずれかに異常が生じた場合における動作パラメータの変化が部品別故障情報としてメモリ16に記憶されている。
【0146】
ローラコンベア装置20の故障診断は、予め取得した基準情報たる基準パラメータと、診断時に取得した現状情報たる動作パラメータを比較して行う。また両者の間に基準を越える相違があった場合には、部品別故障情報を参照して故障部品を特定する。例えば部品別故障情報を電流プロファイルとして記憶し、動作パラメータと複数の部品別故障情報を比較する。そして動作パラメータと共通点のある部品別故障情報を選択し、故障部品を特定する。
基準情報たる基準パラメータ及び現状情報たる動作パラメータは、いずれも所定の動作パターンでローラ23を動作させた場合のローラ23の回転状態(回転情報)や、モータ内蔵ローラ24a〜24dの電圧や電流の増減に関する情報(電力情報)であり、時間との相関に関するデータの集まり(プロファイル)である。
基準パラメータ及び動作パラメータを得るための動作は、モータ内蔵ローラ24a〜24dの回転と停止を繰り返したり、正転と逆転を繰り返すといったものである。
【0147】
次に、ローラコンベア装置20の起動時に、所定のパラメータ取得動作を実行して故障を検出する方法について、直線搬送装置21aを例に説明する。
まず、基準パラメータを得るための動作として、モータ内蔵ローラ24a〜24dに図7に示すような正転・停止のサイクルを実行させる(以下、第1パラメータ取得動作と言う)。
即ち直線搬送装置21aを設置した直後であって、何らの故障も無い状態において、第1パラメータ取得動作を実行させ、モータ内蔵ローラ24a〜24dを図7に示すような正転・停止のサイクルで動かす。具体的には、モータ内蔵ローラ24aを速度Pで2秒間正転(CW)させ、その後に2秒間停止させる動作を一つのサイクルとし、このサイクルを3回繰り返す。この時、速度Pは、1〜50回転/分の低速回転とする。ただし、速度Pは任意に設定可能である。なお、正転・停止のサイクルでは、無負荷状態でモータ内蔵ローラ24aを回転させる。
【0148】
図8は、直線搬送装置21aの故障を検出する際に基準となる基準パラメータを設定するプログラムである。
まず、ステップ1で、モータ(ブラシレスモータ43)の電源がONかどうかを確認する。ステップ2で、基準パラメータの設定が開始される。
【0149】
ステップ3で、基準パラメータのモニタリングを開始する。この時、基準パラメータは、ブラシレスモータ43の電流値の変化と時間との相関である。換言すれば、基準パラメータは、所定時間における電流の連続量である。
【0150】
続いて、ステップ4〜7では、正転・停止のサイクルを3回実行する。
まず、ステップ4では、プログラム上で動作可能なカウンタを用いて、正転・停止のサイクルの回数をカウントするために、カウンタに1を足す。ステップ5で、モータをRUNさせる。この時、モータは、速度Pで2秒間正転(CW)させる。
【0151】
ステップ6で、モータを2秒間停止する。ステップ7では、カウンタのカウント数が3であるかを確認し、3であればステップ8へ進む。カウント数が3未満であれば、ステップ3に戻る。
【0152】
ステップ8で基準パラメータのモニタリングを停止し、動作を終了させる。
上記のステップ1〜8により、基準パラメータの設定が完了する。
設定された基準パラメータである電流プロファイルは図9の通りとなる。図9の基準パラメータは、モータ内蔵ローラ24aの正転・停止のサイクルに応じた電流変化量を示している。
【0153】
次に動作パラメータの取得及び故障検出の工程について説明する。
図10は、例えば直線搬送装置21aの朝の起動時に、動作パラメータを取得して故障を検出するプログラムである。即ち一日に始業時に直線搬送装置21aを起動し、立ち上げる際に、図10のプログラムが自動的に実行される。
ステップ1〜ステップ8までについては、前述の基準パラメータの設定と同様であり、第1パラメータ取得動作を実行させ、動作パラメータのモニタリングを行う。
【0154】
ステップ9では、基準パラメータと動作パラメータとの差Xを確認している。差Xは、図11に示すように、基準パラメータと動作パラメータとの電流変化量の遅れ度合いである。差Xが下限値と上限値の範囲外となれば、ステップ10へ進み、エラー信号を出す。差Xが下限値と上限値の範囲内であれば、故障診断を終了する。
【0155】
上記のステップ1〜10により、基準パラメータと動作パラメータとの差Xを求めることができる。差Xが大きいと、駆動系に摩耗やゆるみ、固定金具40の摩耗が有ると考えられる。すなわち、差Xが下限値と上限値の範囲外となれば、直線搬送装置21a内の特定のゾーンの故障と判断する。
なお、差Xの下限値と上限値については、任意に設定できる。
【0156】
また基準パラメータと動作パラメータのプロファイルの相違から、故障の箇所を特定することもできる。
即ち直線搬送装置21a,21bは、機械部品としてモータ内蔵ローラ24a〜24dと、フリーローラ26及びベルト28を有している。またモータ内蔵ローラ24a〜24dには、ギア42、ブラシレスモータ43、出力板47、軸受けといった部品があり、フリーローラ26にも部品がある。
そしてこれらの部品が故障すると、電流のプロファイルに特有の変化が現れる。例えばベルト28にキズが生じると、一定周期毎にパルス状の電流変化が生じる。またギア42に故障が生じても、一定周期毎にパルス状の電流変化が生じるが、変化の周期は短い。軸受けが故障すると、全体的に電流値が上昇したり、不規則な電流変化が生じる。ベルトが切れると、負荷が軽くなるので電流値が全体的に低下する。
本実施形態では、構成部品のいずれかに異常が生じた場合における基本パラメータの変化が部品別故障情報としてメモリ16に記憶されている。
動作パラメータと複数の部品別故障情報を比較し、動作パラメータと共通点のある部品別故障情報を選択し、故障部品を特定する。
【0157】
直線搬送装置21aが故障していることが判れば、その情報が上位制御装置50に送信され、図示しない表示画面に表示される。
故障の判定は、ゾーンコントローラ1a,1bで行われ、且つゾーンごとに実行されるから、故障しているゾーンを特定することができる。またプロファイルをコンピュータで精査することによって故障している部品を特定することもできる。
従って、どのゾーンのどの部品に異常があるかを特定することができる。
【0158】
上記の所定のパラメータ取得動作として、正転・停止のサイクルを実施したが、これは一例であり、正転・逆転のサイクル、寸動での動作確認を実施することも可能である。
また、ローラ初期動作のサイクル数も、任意に設定可能である。
さらに、基本パラメータや動作パラメータを取得するためのモータ内蔵ローラ24a〜24dの動作時間を極端に長くしてもよい。例えば100〜1000時間の耐久試験を行い、このときの電流値やプロファイルに基づいて基本パラメータや動作パラメータを決定してもよい。
【0159】
また、上記の第1パラメータ取得動作では、無負荷状態でモータ内蔵ローラ24aを回転させたが、これは一例であり、ダミー負荷等を搬送させても構わない。ダミー負荷としては、5kgや10kg、50kg等、任意の重量に設定した搬送物が好適である。
さらに、例えば、5〜200kgの範囲において、例えば5kg刻みで搭載重量を変化させ、それぞれの場合の電流値やその変化プロファイルを基本パラメータとして取得し、基準パラメータをデータテーブルに保存しても構わない。稼働中のローラコンベア装置20において、取得した動作パラメータとデータテープルの基本パラメータを比較することで、搬送物の重量を特定することも可能である。
【0160】
つぎに、ローラコンベア装置20の起動時に、別のパラメータ取得動作を実行して故障を検出する方法について説明する(以下、第2パラメータ取得動作と言う)。
【0161】
直線搬送装置21aの第2パラメータ取得動作として、正転・惰性停止(フリーRUN ストップ)のサイクルを実行させる。すなわち、図12に示すように、ブラシレスモータ43へ10秒間電流を供給して、モータ内蔵ローラ24aを速度Qで10秒間正転(CW)させた後、ブラシレスモータ43への電流供給を停止する。その結果、モータ内蔵ローラ24aは惰性で回転を続け、やがて停止する。この時、モータ内蔵ローラ24aの速度Qは、100〜300回転/分の高速回転とする。ただし、速度Qは任意に設定可能である。なお、正転・惰性停止(フリーRUN ストップ)のサイクルでは、無負荷状態でモータ内蔵ローラ24aを回転させる。
【0162】
正転・惰性停止(フリーRUN ストップ)のサイクルにおける故障を検出する際の基準パラメータは、図13のプログラムで設定する。
まず、ステップ1で、モータ(ブラシレスモータ43)の電源がONかどうかを確認する。ステップ2で、基準パラメータの設定が開始される。
【0163】
ステップ3で、基準パラメータのモニタリングを開始する。この時、基準パラメータは、回転数検出装置31の速度(回転数)と、モータ内蔵ローラ24aの動作時間(回転時間)の関係とする。換言すれば、基準パラメータは、所定時間における速度の連続量である。
【0164】
ステップ4で、モータをRUNさせる。この時、モータは、速度Qで10秒間正転(CW)させる。ステップ5で、モータへの電流の供給を停止する。すると、モータは惰性で回転を続ける。
【0165】
ステップ6では、回転数検出装置31からのパルス出力の有無を確認する。パルス出力がある場合は、ステップ7へは進まず、パルス出力が停止するまで確認を続ける。パルス出力がない場合は、ステップ7へ進む。
ステップ7で基準パラメータのモニタリングを停止する。
【0166】
上記のステップ1〜7により、基準パラメータの設定が完了となる。
設定された基準パラメータは、図14に示す速度プロファイルとなる。つまり、図14は正転後、惰性で停止するまでの制動時間を表している。
【0167】
図15は、直線搬送装置21aに対して前記した第2パラメータ取得動作を実行させ、動作パラメータ等を取得して故障を検出するプログラムである。
ステップ1〜ステップ7までについては、前述の基準パラメータの設定と同様であり、第2パラメータ取得動作を実行させて動作パラメータのモニタリングを行う。
【0168】
ステップ8では、基準パラメータと動作パラメータとの差Yを確認している。差Yは、図16に示すように、基準パラメータと動作パラメータとの速度変化量の遅れ度合いである。差Yが下限値と上限値の範囲外となれば、ステップ9へ進み、エラー信号を出す。差Yが下限値と上限値の範囲内であれば、診断を終了する。
【0169】
上記のステップ1〜9により、基準パラメータと動作パラメータとの差Yを求めることができる。差Yが大きいと、ベルト28やギア42に摩耗が有ると考えられる。すなわち、差Yが下限値と上限値の範囲外となれば、直線搬送装置21aの故障と判断する。具体的には、直線搬送装置21aのベルト28やギア42に摩耗があると判定する。なお、差Yの下限値と上限値については、任意に設定できる。
【0170】
上記の基準パラメータ及び動作パラメータは、ゾーンコントローラ1(1a,1b)が有するメモリ内に、数値化されたデータテーブルとして保存される。基準パラメータ及び動作パラメータは、上位制御装置50のコンピュータ51を用いることで、図9、図11のように画像としてモニタができる。また、基準パラメータ及び動作パラメータをコンピュータ51に送信して、データを蓄積することで、故障予測ができる。
【0171】
上記の第2パラメータ取得動作では、ローラ23(モータ内蔵ローラ24a)の速度プロファイルを、回転数検出装置31からのパルス出力(回転数)で取得したが、これは一例である。例えば、動力を有さないフリーローラ26に、別の回転数検出装置を設けて、速度プロファイルを取得しても構わない。モータ内蔵ローラ24aではなく、フリーローラ26で速度変化量を確認することで、ギア42の影響を抑制することができる。つまり、ベルト28の故障を検出し易くなる。
【0172】
第1パラメータ取得動作による動作パラメータの取得と、第2パラメータ取得動作による動作パラメータの取得は、始業時に連続して行うことが望ましいが、一日置き等の様に間隔を空けて実施してもよい。
【0173】
つぎに、ローラコンベア装置20の稼働中に故障を検出する方法について説明する。
図1に示したように、ローラコンベア装置20では、搬送物70が直線搬送装置21a,21bで搬送される。この時、直線搬送装置21a,21bは、図17のフローチャートに示す簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムで制御される。
【0174】
簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムの概要を、図4の直線搬送装置21aのゾーンBを例として、説明すると、ゾーンBのモータ(モータ内蔵ローラ24b)は、搬送物70が上流センサ1(27a)に検知された時点で、回転を開始する。
そして、搬送物がゾーンBに到着すると、下流センサ1(センサ27c)がOFFかどうかを確認し、その搬送物をゾーンCへ流す。
このように、ゾーンA〜Dでは、各ゾーンに搬送物が到着する前に、到着予定物を検知できる。
なお、上流センサ1とは、制御対象となるゾーンから数えて上流側の1つ目に位置しているセンサを表現しているものであり、図17のフローチャートを説明するための表現である。下流センサ1についても同様であり、制御対象となるゾーンから数えて下流側の1つ目に位置しているセンサを表現しているものである。
【0175】
簡易故障診断プログラムを含んだ直線搬送プログラムは、ステップ1〜ステップ17で構成されている。
ステップ1〜ステップ2では、上流センサ1がONしているかどうかを確認し、条件が成立していると、自軸モータを速度RでRUN(回転)する。
【0176】
ステップ3では、自センサー(27b)がONしているかどうかを確認し、条件が成立していると、次へ進む。ステップ4では、下流センサ1がOFFしているかどうかを確認し、条件が成立していると、次へ進む。条件が不成立の場合には、ステップ15に移る。
【0177】
ステップ15〜ステップ17では、自軸モータを停止させた後、下流センサ1がOFFかどうか確認し、条件が成立すると、自軸モータを速度Rで運転させ、ステップ6に進む。
【0178】
ステップ5、ステップ6では、自センサーをOFFにした後、RUN保持タイマーをスタートさせる。
ステップ6では、RUN保持タイマーが開始される。
ステップ7〜ステップ8では、簡易故障診断プログラムを開始し、自軸モータが無負荷状態で運転される際の電流値(動作パラメータ)が測定される。
【0179】
ステップ9〜ステップ14では、上流センサ1がONかどうかを確認し、条件が成立していると、ステップ2へ戻る。条件が不成立の場合には、RUN保持タイマーが時間切れかどうか確認する。RUN保持タイマーが停止されると、無負荷状態での自軸モータの電流値(動作パラメータ)の測定が終了する。
【0180】
測定した電流値(動作パラメータ)は、予め設定された基準パラメータとの比較が行われる。基準パラメータと動作パラメータとの差Zが下限値と上限値の範囲外となれば、エラー信号を出す。差Zが下限値と上限値の範囲内であれば、自軸モータを停止させ、再び「ステップ1」以降の動作が繰り返される。
以上が、図17に示すフローチャートの主な説明である。
【0181】
上記のステップ1〜17により、基準パラメータと動作パラメータとの差Zを求めることができる。すなわち、無負荷状態のモータ内蔵ローラ24a(ブラシレスモータ43)の電流値(動作パラメータ)を監視することにより、駆動系の故障を検出できる。このことにより、ローラコンベア装置20が稼働中でも、簡易故障診断ができる。
【0182】
以上の実施形態では、いずれもゾーンコントローラ1a,1bに、基準情報(基準パラメータ)や現状情報(動作パラメータ)を記憶するメモリ16と、情報検出手段及び比較手段たる故障診断プログラムが内蔵され、結果が上位制御装置50に送信される構成であるが、基準情報や現状情報、故障診断プログラムを上位制御装置側に保持させる構成も可能である。以下、この構成を図18を参照しつつ説明する。
【0183】
図18は、本発明の別の実施例に係るローラコンベア装置80を示す。ローラコンベア装置80は、PLC(Programmable Logic Controller)81と、搬送装置83,84と、ゾーンコントローラ85とを有している。
PLC81は、メモリ92と、マイクロコンピュータ(CPU)91とを内蔵した制御装置である。PLC81は、ゾーンコントローラ85の上流側に位置しており、上位制御装置90として機能する。
搬送装置83,84は、各々モータ内蔵ローラ24と回転数検出装置86とを有している。回転数検出装置86は、公知のロータリーエンコーダであり、フリーローラ26に実装されている。ゾーンコントローラ85は、公知のモータ駆動回路である。
【0184】
PLC81とゾーンコントローラ85は、配線82で接続されている。ゾーンコントローラ85は、搬送装置83,84に接続されている。回転数検出装置86は、PLC81につながっている。PLC81は、ゾーンコントローラ85を介して、搬送装置83,84を制御可能である。
【0185】
ローラコンベア装置80は、ゾーンコントローラ85として、CPUを有さず、単にモータ駆動回路だけを有している。このため、ローラコンベア装置80の故障診断方法では、ゾーンコントローラ85及び回転数検出装置86の情報を上位制御装置たるPLC81に送ることによって、基準パラメータ及び動作パラメータを取得する。すなわち、ローラコンベア装置80の故障診断方法においても、前述のローラコンベア装置20の故障診断方法と同様の故障診断が可能である。
【0186】
以上のように、本実施形態のローラコンベア装置20,80の故障診断方法およびローラコンベア装置20,80によれば、複数の消耗品の交換時期を種類毎に検出できる。
【0187】
上記した実施形態では、基準パラメータ又は動作パラメータを、電流値や速度の時間変化量とする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、回転数や角度、或いは移動量や長さ等、測定して数値化できる他のパラメータを用いても構わない。すなわち、故障診断ができるパラメータなら、何でも構わない。
【0188】
上記した実施形態では、基準パラメータを所定のパラメータ取得動作を実行して取得する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、基準パラメータとして理論値を用いても構わない。
【0189】
上記した実施形態では、マイクロコンピュータ15(CPU)を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、CPU、メモリ、入出力回路、タイマー回路などを1つの集積回路に格納したマイクロコントローラを用いても構わない。
【0190】
また本発明は故障診断だけでなく、機器の経時変化を管理して、部品の取り替え時期を推定する用途に使用することもできる。
また本実施例の特徴的構成に加えて、機器の実労時間を積算するプログラムを内蔵させ、故障診断プログラムの診断結果と実労時間を併用して部品の傷み具合を推定することも推奨される。
【0191】
本実施形態のゾーンコントローラ自体は、例えば、ローラコンベア以外のベルトコンベアやチェーンコンベアにも使用することができる。
【0192】
本発明におけるプロファイルは、換言すると、線状のデータであり、波形や軌跡を表すものである。
【0193】
本実施形態のゾーンコントローラ1a,1bについて捕捉する。前述の通り、ゾーンコントローラ1a,1bに、基準情報(基準パラメータ)や現状情報(動作パラメータ)を記憶するメモリ16と、情報検出手段及び比較手段たる故障診断プログラムが内蔵され、結果が上位制御装置50に送信される構成を示したが、基準情報や現状情報、故障診断プログラムを上位制御装置側に保持させる構成も可能である。
【0194】
本実施形態の直線搬送装置21a,21bについて捕捉する。直線搬送装置21a,21bは同一の構造であり、直列に接続されている。直線搬送装置21a,21bは、搬送物を直線方向に搬送する装置である。
図4に示すように、直線搬送装置21a,21bは、それぞれゾーンA〜Dの4つの制御ゾーンに区分されている。ゾーンB〜Dは、ゾーンコントローラ1aが固定金具40の中央に設けられていないことを除いて、ゾーンAとほぼ同様の構成を有している。これは、1台のゾーンコントローラ1aで、ゾーンA〜Dを制御できるからである。そのため、ゾーンB〜Dに位置しているモータ内蔵ローラ24b〜24dは、ゾーンAに位置しているゾーンコントローラ1aに電気的に接続されている。
【0195】
直線搬送装置21aに属するモータ内蔵ローラ24a〜24dは、いずれもゾーンコントローラ1aに接続されている。また直線搬送装置21bに属するモータ内蔵ローラ24a〜24dは、いずれもゾーンコントローラ1bに接続されている。
ゾーンコントローラ1a,1bから各モータ内蔵ローラ24a〜24dに対して駆動・停止の信号が発信され、各モータ内蔵ローラ24a〜24dは、前記信号に応じて個別に動作する。
例えば、各モータ内蔵ローラ24a〜24dは、搬送物の流れに応じて、上流側から順次起動し、自己のゾーンから搬送物を送り出して自己のゾーンに搬送物が無くなると停止する。
【0196】
本実施形態の制御装置(上位制御装置)50について捕捉する。上位制御装置50のコンピュータ51は、ゾーンコントローラ1a,1bの総括的な制御を行う他、ローラコンベア装置20の故障診断を行うものである。
また、コンピュータ51は、ゾーンコントローラ1a,1bへのプログラムの転送も行うことができる。
【符号の説明】
【0197】
1,1a,1b コントローラ
14 ロジック内蔵ドライバ(モータ駆動回路)
15,91 マイクロコンピュータ(CPU)
16,92 メモリ
20,80 ローラコンベア装置
23 ローラ
31 回転数検出手段
43 ブラシレスモータ
50,90 制御装置(上位制御手段)
70 搬送物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローラと、モータと、モータを制御可能なコントローラとを有したローラコンベア装置の故障診断方法において、
上位制御手段を有し、
モータ及び/又はローラは、回転数検出装置を有し、
コントローラはモータ駆動回路を有し、
前記上位制御手段は、プログラムを内蔵可能であり、
前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、
上位制御手段は、モータ及び/又はローラの動作パラメータを取得して前記の基準パラメータと比較し、基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と検出することを特徴とするローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項2】
ローラと、モータと、モータを制御可能なコントローラとを有したローラコンベア装置の故障診断方法において、
モータ及び/又はローラは、回転数検出装置を有し、
コントローラはモータ駆動回路と、メモリと、CPUとを有し、且つプログラムを内蔵可能であり、
前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、
コントローラは、モータ及び/又はローラの動作パラメータを取得して前記の基準パラメータと比較し、基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と検出することを特徴とするローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項3】
前記基準パラメータおよび動作パラメータは、モータ及び/又はローラの速度、モータの電流値、モータ及び/又はローラの動作時間の内のいずれか1つ又は2つ以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項4】
上位制御手段を有し、前記コントローラと上位制御手段とを接続し、上位制御手段からコントローラに指令を送り、故障診断プログラムを作動させるタイミングを制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項5】
前記コントローラから上位制御手段に前記動作パラメータ及び/又は故障診断結果を送信することを特徴とする請求項4に記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項6】
前記上位制御手段に複数のコントローラを接続することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項7】
前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の起動時に、所定のローラ初期動作を実施して、前記動作パラメータを取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項8】
前記ローラ初期動作は、無負荷状態のローラを低速回転で、起動・停止、正転・逆転、寸動の内、少なくとも1つを実行させることを特徴とする請求項7に記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項9】
前記ローラ初期動作は、無負荷状態のローラを回転させ、モータへの電流の供給を停止し、惰性でモータを停止させる間に、前記動作パラメータを取得することを特徴とする請求項7に記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項10】
前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の稼働中に、ローラで搬送物を搬送した後、無負荷状態のローラにおいて前記動作パラメータを取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法を実施可能であることを特徴とするローラコンベア装置。
【請求項12】
物品を搬送するための複数のローラと、前記ローラの内の1又は複数のローラを回転させるための1又はそれ以上のモータと、1又は複数のモータを制御するためのコントローラとを有したローラコンベア装置において、
前記モータ及び/又は前記ローラの回転に関する情報を回転情報とし、モータに供給する電流及び/又は電圧に関する情報を電力情報とし、
ローラコンベア装置が正常に機能している場合における回転情報及び/又は電力情報を基準情報として記憶するメモリと、現状における回転情報及び/又は電力情報を現状情報として検知する情報検出手段と、現状情報と前記メモリに記憶された基準情報とを比較する比較手段を備えたことを特徴とするローラコンベア装置。
【請求項13】
1又は複数のローラを回転させるためのモータを駆動する駆動回路と、1又は複数の駆動回路を制御する制御回路とを備えたコンベア装置用コントローラにおいて、前記モータ及び/又はローラの回転に関する情報を回転情報とし、モータに供給される電流及び/又は電圧に関する情報を電力情報とし、
コンベア装置が正常に機能している場合における回転情報及び/又は電力情報を基準情報として記憶するメモリと、現状における回転情報及び/又は電力情報を現状情報として検知する情報検出手段と、前記メモリに記憶された基準情報と現状情報とを比較する比較手段を備え、
コントローラが現状情報を取得して前記メモリに記憶された基準情報と現状情報とを比較し、その結果を他の機器に出力可能であることを特徴とするコンベア装置用コントローラ。
【請求項14】
物品を搬送するための複数のローラと、前記ローラの内の1又は複数のローラを回転させるための1又はそれ以上のモータと、1又は複数のモータを制御可能なコントローラとを有するローラコンベア装置に対して行う故障診断方法であって、
前記ローラコンベア装置は、プログラムが内蔵されたメモリと、プログラムを実行可能なマイクロコンピュータとを有し、
前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、
故障診断プログラムに基づいてモータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの個々の状況を検知して動作パラメータとして取得し、動作パラメータと基準パラメータとを比較し、両者の相違が一定の基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と判定することを特徴とするローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項1】
ローラと、モータと、モータを制御可能なコントローラとを有したローラコンベア装置の故障診断方法において、
上位制御手段を有し、
モータ及び/又はローラは、回転数検出装置を有し、
コントローラはモータ駆動回路を有し、
前記上位制御手段は、プログラムを内蔵可能であり、
前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、
上位制御手段は、モータ及び/又はローラの動作パラメータを取得して前記の基準パラメータと比較し、基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と検出することを特徴とするローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項2】
ローラと、モータと、モータを制御可能なコントローラとを有したローラコンベア装置の故障診断方法において、
モータ及び/又はローラは、回転数検出装置を有し、
コントローラはモータ駆動回路と、メモリと、CPUとを有し、且つプログラムを内蔵可能であり、
前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、
コントローラは、モータ及び/又はローラの動作パラメータを取得して前記の基準パラメータと比較し、基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と検出することを特徴とするローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項3】
前記基準パラメータおよび動作パラメータは、モータ及び/又はローラの速度、モータの電流値、モータ及び/又はローラの動作時間の内のいずれか1つ又は2つ以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項4】
上位制御手段を有し、前記コントローラと上位制御手段とを接続し、上位制御手段からコントローラに指令を送り、故障診断プログラムを作動させるタイミングを制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項5】
前記コントローラから上位制御手段に前記動作パラメータ及び/又は故障診断結果を送信することを特徴とする請求項4に記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項6】
前記上位制御手段に複数のコントローラを接続することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項7】
前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の起動時に、所定のローラ初期動作を実施して、前記動作パラメータを取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項8】
前記ローラ初期動作は、無負荷状態のローラを低速回転で、起動・停止、正転・逆転、寸動の内、少なくとも1つを実行させることを特徴とする請求項7に記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項9】
前記ローラ初期動作は、無負荷状態のローラを回転させ、モータへの電流の供給を停止し、惰性でモータを停止させる間に、前記動作パラメータを取得することを特徴とする請求項7に記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項10】
前記故障診断プログラムは、ローラコンベア装置の稼働中に、ローラで搬送物を搬送した後、無負荷状態のローラにおいて前記動作パラメータを取得することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載のローラコンベア装置の故障診断方法を実施可能であることを特徴とするローラコンベア装置。
【請求項12】
物品を搬送するための複数のローラと、前記ローラの内の1又は複数のローラを回転させるための1又はそれ以上のモータと、1又は複数のモータを制御するためのコントローラとを有したローラコンベア装置において、
前記モータ及び/又は前記ローラの回転に関する情報を回転情報とし、モータに供給する電流及び/又は電圧に関する情報を電力情報とし、
ローラコンベア装置が正常に機能している場合における回転情報及び/又は電力情報を基準情報として記憶するメモリと、現状における回転情報及び/又は電力情報を現状情報として検知する情報検出手段と、現状情報と前記メモリに記憶された基準情報とを比較する比較手段を備えたことを特徴とするローラコンベア装置。
【請求項13】
1又は複数のローラを回転させるためのモータを駆動する駆動回路と、1又は複数の駆動回路を制御する制御回路とを備えたコンベア装置用コントローラにおいて、前記モータ及び/又はローラの回転に関する情報を回転情報とし、モータに供給される電流及び/又は電圧に関する情報を電力情報とし、
コンベア装置が正常に機能している場合における回転情報及び/又は電力情報を基準情報として記憶するメモリと、現状における回転情報及び/又は電力情報を現状情報として検知する情報検出手段と、前記メモリに記憶された基準情報と現状情報とを比較する比較手段を備え、
コントローラが現状情報を取得して前記メモリに記憶された基準情報と現状情報とを比較し、その結果を他の機器に出力可能であることを特徴とするコンベア装置用コントローラ。
【請求項14】
物品を搬送するための複数のローラと、前記ローラの内の1又は複数のローラを回転させるための1又はそれ以上のモータと、1又は複数のモータを制御可能なコントローラとを有するローラコンベア装置に対して行う故障診断方法であって、
前記ローラコンベア装置は、プログラムが内蔵されたメモリと、プログラムを実行可能なマイクロコンピュータとを有し、
前記プログラムは、故障診断プログラムと基準パラメータを含み、
故障診断プログラムに基づいてモータ及び/又はローラを動作させ、その際のモータ及び/又はローラの個々の状況を検知して動作パラメータとして取得し、動作パラメータと基準パラメータとを比較し、両者の相違が一定の基準外となる場合にローラコンベア装置の異常と判定することを特徴とするローラコンベア装置の故障診断方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−71988(P2012−71988A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172920(P2011−172920)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(592026819)伊東電機株式会社 (71)
【Fターム(参考)】
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