ローラコンベヤ装置
【課題】磁気式動力伝達手段を採用するとともに、搬送力を増大するローラコンベヤ装置を提供すること。
【解決手段】複数の搬送軸110が回転可能に並列配置されており、それぞれの搬送軸110に磁気式動力伝達手段130の被駆動用磁気回転体132が設けられたローラコンベヤ装置100において、複数の搬送軸110を磁気式動力伝達手段130を介して駆動する駆動軸120が、搬送軸110と直交して複数設けられていること。
【解決手段】複数の搬送軸110が回転可能に並列配置されており、それぞれの搬送軸110に磁気式動力伝達手段130の被駆動用磁気回転体132が設けられたローラコンベヤ装置100において、複数の搬送軸110を磁気式動力伝達手段130を介して駆動する駆動軸120が、搬送軸110と直交して複数設けられていること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と該搬送軸を磁気式動力伝達手段を介して駆動する駆動軸とを有するローラコンベヤ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ローラコンベヤ装置において、クリーンな環境でのハンドリングが要求される電子部品基板、液晶パネル、精密部品等を搬送するために、摩耗や発塵、接触騒音等を軽減できる動力伝達手段として磁気式動力伝達手段を備えたものが知られている。
【0003】
そして、これらのローラコンベヤ装置は、図17に示すように、複数の搬送軸910が回転可能に並列配置され、該搬送軸910にはそれぞれ搬送面を構成する複数の搬送ローラ911が備えられ、前記搬送ローラ911は前記搬送軸910と一体に回転して搬送物Pを搬送するよう構成されている。
【0004】
前記搬送軸910の側部には駆動軸920が直交方向に設けられ、該駆動軸920は磁気式動力伝達手段930を介して前記搬送軸910を駆動し、前記駆動軸920には駆動用磁気回転体931が、前記搬送軸910には被駆動用磁気回転体932が備えられており、前記駆動軸920から前記搬送軸910に、微小空間を介して非接触で磁気的に駆動力を伝達するようになっている(例えば、特許文献1 参照)。
【特許文献1】特開2007−209137号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のローラコンベヤ装置は、磁気式動力伝達手段の伝達トルクの限界が低く、その伝達トルクの限界によって搬送力が制限されてしまうため、駆動軸のトルクを大きくしたり、動力伝達手段の強度を増すことによって搬送力を増大させることができず、歯車やチェーンやベルトのような接触式の動力伝達手段を採用したローラコンベヤ装置に比べて搬送力が小さくならざるを得ないという問題があった。
また、並列配置された複数の搬送軸の端部外方に動力伝達手段を配置していることから装置全体が大きくなるとともに、搬送軸の配置や形状の設計自由度も少ないという問題があった。
【0006】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、磁気式動力伝達手段を採用しつつ搬送力を増大させ、装置全体をコンパクトに配置できるとともに、搬送軸の配置や形状の設計自由度が高く、しかも低騒音、低振動のローラコンベヤ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本請求項1に係る発明は、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と該搬送軸を磁気式動力伝達手段を介して駆動する駆動軸とを有するローラコンベヤ装置において、前記駆動軸が前記搬送軸と直交する搬送方向に向けて複数設けられるとともに、前記搬送軸が複数の駆動軸により駆動されるように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【0008】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記磁気式動力伝達手段が、前記搬送軸の両端に設けられていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0009】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記搬送ローラが、前記磁気式動力伝達手段の被駆動側となる磁気回転体を備えていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0010】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記駆動軸が、三本以上並行して設けられるとともに、隣り合う駆動軸の間にそれぞれ前記複数の搬送軸が設けられ、中間の駆動軸が磁気式動力伝達手段を介して両側の搬送軸を駆動することにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0011】
本請求項5に係る発明は、請求項4に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記中間の駆動軸に駆動される前記両側の搬送軸が、逆方向に駆動されることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0012】
本請求項6に係る発明は、請求項4に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記中間の駆動軸と外側の駆動軸との間に設けられた前記複数の搬送軸が、水平視で前記中間の駆動軸側が低くなるように傾斜していることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0013】
本請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記磁気式動力伝達手段が、駆動側に設けられて円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒と、被駆動側に設けられて円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤とを有し、前記磁気円筒と前記磁気円盤の回転軸が、同一平面上で直交するように配置されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0014】
本請求項8に係る発明は、請求項7に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記磁気円盤が、内周から外周に向けて放射曲線状に交互に配置された磁極を有することにより、前記課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のローラコンベヤ装置は、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と該搬送軸を磁気式動力伝達手段を介して駆動する駆動軸とを有することにより、摩耗や発塵、接触騒音等を軽減できるとともに、以下のような格別の効果を奏することができる。
【0016】
すなわち、本請求項1に係る発明のローラコンベヤ装置は、前記駆動軸が前記搬送軸と直交する搬送方向に向けて複数設けられるとともに、前記搬送軸が複数の駆動軸により駆動されるように構成されていることによって、一つの搬送軸にトルクを伝達する磁気式動力伝達手段が複数設けられ、該複数の磁気式動力伝達手段の伝達力トルクの和まで前記搬送軸に伝達されるトルクの限界を増大させることができ、ローラコンベヤ装置全体の搬送力を増大させることができる。
【0017】
そして、本請求項2に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項1に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記磁気式動力伝達手段が、前記搬送軸の両端に設けられていることにより、前記搬送軸にその両端から駆動力を伝達するため、前記搬送軸の捩れや曲げ等による振動が軽減されるとともに、捩れや曲げに対する強度を増すことなく搬送力を増大させることができる。
【0018】
また、本請求項3に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項1または請求項2に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記搬送ローラが、前記磁気式動力伝達手段の被駆動側となる磁気回転体を備えていることにより、搬送面の直近に駆動軸を配置することができ、前記磁気式動力伝達手段を小さくすることができるため、前記駆動軸が前記搬送軸と直交して複数設けられても、ローラコンベヤ装置全体を小さく構成することができる。
【0019】
また、本請求項4に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記駆動軸が、三本以上並行して設けられるとともに、隣り合う駆動軸の間にそれぞれ前記複数の搬送軸が設けられ、中間の駆動軸が磁気式動力伝達手段を介して両側の搬送軸を駆動することにより、搬送面の幅方向に4個所以上の磁気式動力伝達手段を設けることができるため、ローラコンベヤ装置全体の搬送力をさらに増大させることができる。
【0020】
また、本請求項5に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項4に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記中間の駆動軸に駆動される前記両側の搬送軸が、逆方向に駆動されることにより、それぞれ逆方向の搬送力を発生することとなるため、ローラコンベヤ装置全体を大きく改造することなく、搬送力を増大させつつ用途に応じた搬送機能の変更ができる。
【0021】
また、本請求項6に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項4に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記中間の駆動軸と外側の駆動軸との間に設けられた前記複数の搬送軸が、水平視で前記中間の駆動軸側が低くなるように傾斜していることにより、ローラコンベヤ装置全体として搬送面の幅方向中間部が低くなるため、搬送物がローラコンベヤ装置の搬送方向から見て左右の端から落下するのを防止することができる。
【0022】
また、本請求項7に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項1乃至請求項6のいずれかに係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記磁気式動力伝達手段が、駆動側に設けられて円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒と、被駆動側に設けられて円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤とを有し、前記磁気円筒と前記磁気円盤の回転軸が、同一平面上で直交するように配置されていることにより、搬送軸と駆動軸が直交しつつ、磁気円筒が磁気円盤の前面の空間から大きくはみ出すことがないため、磁気式動力伝達装置全体をコンパクトにできるとともに、効率が良く振動やトルク変動の少ない動力伝達が可能となり、ローラコンベヤ装置全体を小さくすることができる。
【0023】
また、本請求項8に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項7に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記磁気円盤が、内周から外周に向けて放射曲線状に配置された磁極を有することにより、回転中に内周と外周の間で磁極の境界が滑らか移動するため、さらに、トルク変動が少なく騒音や振動が少ない動力伝達が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のローラコンベヤ装置は、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と該搬送軸を磁気式動力伝達手段を介して駆動する駆動軸とを有するローラコンベヤ装置において、前記駆動軸が前記搬送軸と直交する搬送方向に向けて複数設けられるとともに、前記搬送軸が複数の駆動軸により駆動されるように構成されているものであれば、その具体的な実施態様は如何なるものであっても何ら構わない。
【0025】
すなわち、本発明で用いる磁気式動力伝達手段は、直交する駆動軸と搬送軸の間で動力伝達が行われるものであれば具体的な形態は如何なるものでも良く、駆動側及び被駆動側それぞれの磁気回転体は、円盤、円錐あるいは円筒のいずれの形状であっても良く、磁気回転体の磁極の配列は、駆動力を有効に伝達できるものであればいかなる配列であっても良い。
【0026】
特に、駆動側が円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒であり、被駆動側が円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤であれば、小型で効率の良い動力伝達が可能となり好適であり、磁気円盤が、内周から外周に向けて放射曲線状に配置された磁極を有するものであれば、トルク変動が少なく騒音や振動が少なくなり、さらに好適である。
【0027】
そして、本発明で用いる搬送ローラについては、搬送軸と一体に回転するものであれば良く、搬送物の特性に応じてその形状は如何なるものであっても良い。例えば、一つの搬送軸に対して一つの円筒状のものであっても良く、複数に分割した円筒状のものや円盤状のものであっても良い。
【0028】
また、本発明で用いる搬送ローラの具体的な材料についても、搬送物の特性に応じて如何なるものを使用しても良く、搬送物と接触する外周表面のみを搬送に適した材料としても良い。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明の一実施例であるローラコンベヤ装置について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図であり、図2は、図1に示す本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の平面図であり、図3は、図1に示す本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の正面図であり、図4は、本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置の平面図であり、図5は、図4に示す本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置の正面図であり、図6は、本発明で用いる搬送ローラの一実施例の説明斜視図であり、図7は、本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図であり、図8は、図7に示す本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の平面図であり、図9は、図7に示す本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の正面図であり、図10は、本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図であり、図11は、図10に示す本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置の平面図であり、図12は、図10に示す本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置の正面図であり、図13は、本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図であり、図14は、図13に示す本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置の平面図であり、図15は、図13に示す本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置の正面図であり、図16は、本発明の一実施例の磁気式動力伝達手段における磁極配置の説明図である。
【0030】
まず、本発明の一実施例であるローラコンベヤ装置100は、図1に示すように、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラ111と該複数の搬送ローラ111を軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸110と該搬送軸110を磁気式動力伝達手段130を介して駆動する駆動軸120とを有し、前記駆動軸120が前記搬送軸110と直交する搬送方向Tに向けて複数設けられるとともに、前記搬送軸110が複数の駆動軸120により駆動されるものである。
【0031】
そこで、本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置100について以下に詳しく説明する。
図1乃至図3に示すように、本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置100は、複数の搬送軸110が回転可能に並列配置されており、それぞれの搬送軸110の両端には磁気式動力伝達手段130の被駆動用磁気回転体132が設けられている。
【0032】
また、それぞれの搬送軸110には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ111が、搬送軸110と一体的に回転可能に設けられている。さらに、図6に示すように、両端の搬送ローラ111Aは被駆動用磁気回転体132の外周に搬送ホイール112を一体に嵌め合せた構造となっており、搬送ローラ111と同様に搬送面を構成するとともに磁気式動力伝達手段130としても機能する。
【0033】
そして、複数の搬送軸110の両側には、該搬送軸110と直交して駆動源(図示せず)により駆動される駆動軸120が設けられており、それぞれの駆動軸120には搬送軸110に駆動力を伝達する磁気式動力伝達手段130の駆動用磁気回転体131が設けられて、両側から搬送軸110に駆動力を伝達する。
【0034】
本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置100は、両端の搬送ローラ111Aが被駆動用磁気回転体132を備えることにより、ローラコンベヤ装置100の横幅を小さく抑えつつ、搬送軸110の両側に磁気式動力伝達手段130を設けることにより、伝達トルクの限界が倍となってローラコンベヤ装置100の搬送力を増大することができる。
【0035】
次に、本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置200について以下に詳しく説明する。
図4及び図5に示すように、本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置200は、複数の搬送軸210が回転可能に並列配置されており、それぞれの搬送軸210の一端には磁気式動力伝達手段230の被駆動用磁気回転体232が設けられている。
【0036】
また、それぞれの搬送軸210には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ211が、搬送軸210と一体的に回転可能に設けられており、一端に三つの円筒状の被駆動用磁気回転体232が設けられている。
【0037】
そして、複数の搬送軸210の一端側の三つの円筒状の被駆動用磁気回転体232にそれぞれ対応する位置に、該搬送軸210と直交して駆動源(図示せず)により駆動される駆動軸220が設けられており、それぞれの駆動軸220には搬送軸210に駆動力を伝達する磁気式動力伝達手段230の駆動用磁気回転体231が設けられて、それぞれ搬送軸210に駆動力を伝達する。
【0038】
本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置200は、駆動用磁気回転体231及び被駆動用磁気回転体232がともに円筒状であり、搬送軸210と駆動軸220が上下に離れた位置で直交するため、搬送軸210の自由な位置に自由な数の被駆動用磁気回転体232を備えることが可能であり、伝達トルクの限界がその数の分だけ大きくなり、ローラコンベヤ装置200の搬送力をさらに増大することができる。
【0039】
図4及び図5に示した実施例では、搬送軸210の一端に三つの円筒状の被駆動用磁気回転体232を備えているが、両端、あるいは各搬送ローラ211の間に備えても良い。
【0040】
次に、本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置300について以下に詳しく説明する。
図7乃至図9に示すように、本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置300は、複数の搬送軸310が回転可能に並列配置されて、かつ、搬送方向Tから見て左右に2列設けられており、それぞれの搬送軸310の両端には磁気式動力伝達手段330の被駆動用磁気回転体332が設けられている。
【0041】
また、それぞれの搬送軸310には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ311が、搬送軸310と一体的に回転可能に設けられている。さらに、左右の搬送軸310が対向する側の搬送ローラ311Aは、第1実施例の搬送ローラ111Aと同様に、被駆動用磁気回転体332の外周に搬送ホイール312を一体に嵌め合せた構造となっており、搬送ローラ311と同様に搬送面を構成するとともに磁気式動力伝達手段330としても機能する。
【0042】
そして、2列の複数の搬送軸310の対向側および外側には、該搬送軸310と直交して駆動源(図示せず)により駆動される駆動軸320が設けられており、それぞれの駆動軸320には搬送軸310に駆動力を伝達する磁気式動力伝達手段330の駆動用磁気回転体331が設けられて、中間部の駆動軸320は左右両側の搬送軸310を同時に、両外側の駆動軸320はそれぞれ両側から隣接する搬送軸310に駆動力を伝達する。
【0043】
また、左右の搬送軸310が対向する側の搬送ローラ311Aの間隔は他の搬送ローラ311の間隔と同じになっており、全幅を一列の搬送軸310としたものと同一の幅でかつ同一の数の搬送ローラ311、311Aで構成することができる。
【0044】
このように構成された、本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置300は、2列の複数の搬送軸310の幅方向4か所でトルク伝達が行えることとなり、幅方向全体の搬送力に寄与する伝達トルク限界は幅方向で4倍となり、ローラコンベヤ装置300の搬送力を増大することができる。
【0045】
本第3実施例では、2列の複数の搬送軸310の外側の被駆動用磁気回転体332は、独立したものとなっているが、これを被駆動用磁気回転体332の外周に搬送ホイール312を一体に嵌め合せた構造の搬送ローラ311Aとすれば、さらに全幅を小さく抑えることができる。
【0046】
また、ローラコンベヤ装置300の全幅がさらに大きく搬送ローラ311の数が多い場合は、複数の搬送軸310を搬送方向Tから見て左右に3列以上設け、各搬送軸310の列が対向する側で同様の構造とすれば、より大きな搬送力を得ることができる。
【0047】
なお、中間部の駆動軸320の左右の搬送軸310は、搬送方向Tに被駆動用磁気回転体332の約半径分ずれることとなるが、通常、幅方向および搬送方向Tにおいて、常に複数の搬送ローラ311が搬送物に接触して搬送するものであるから、前記のずれは搬送力に何ら影響はない。
【0048】
次に、本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置400について以下に詳しく説明する。
図10乃至図12に示すように、本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置400は、複数の搬送軸410が回転可能に並列配置されて、かつ、搬送方向Tから見て左右に2列設けられており、それぞれの搬送軸410の両端には磁気式動力伝達手段430の被駆動用磁気回転体432が設けられている。
【0049】
また、それぞれの搬送軸410には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ411が、搬送軸410と一体的に回転可能に設けられている。さらに、左右の搬送軸410が対向する側の搬送ローラ411Aは、第1実施例の搬送ローラ111Aと同様に、被駆動用磁気回転体432の外周に搬送ホイール412を一体に嵌め合せた構造となっており、搬送ローラ411と同様に搬送面を構成するとともに磁気式動力伝達手段430としても機能する。
【0050】
そして、2列の複数の搬送軸410の対向側および外側には、該搬送軸410と直交して駆動源(図示せず)により駆動される駆動軸420が設けられており、それぞれの駆動軸420には搬送軸410に駆動力を伝達する磁気式動力伝達手段430の駆動用磁気回転体431が設けられて、2列の複数の駆動軸420は左右両側の搬送軸410を同時に、両外側の駆動軸420はそれぞれ両側から隣接する搬送軸410に駆動力を伝達する。
【0051】
中間部の駆動軸420の左右の搬送軸411は、搬送方向Tにずらされておらず、中間部を境に逆回転で駆動され、ローラコンベヤ装置400幅方向の左右の搬送軸411の搬送方向がそれぞれT及びT’と逆になって往復コンベヤとして用いることができるとともに、それぞれの搬送軸410の両側に磁気式動力伝達手段430を設けることにより、伝達トルクの限界が両方向とも倍となってローラコンベヤ装置400の搬送力を増大することができる。
【0052】
また、本第4実施例では、2列の複数の搬送軸410の外側の被駆動用磁気回転体432は、独立したものとなっているが、これを被駆動用磁気回転体432の外周に搬送ホイール412を一体に嵌め合せた構造の搬送ローラ411Aとすれば、さらに全幅を小さく抑えることができる。
【0053】
次に、本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置500について以下に詳しく説明する。
図13乃至図15に示すように、本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置500は、複数の搬送軸510が搬送方向に並列して、かつ、搬送方向から見て左右に2列設けられており、それぞれの搬送軸510の両端には磁気式動力伝達手段530の被駆動用磁気回転体532が設けられている。
【0054】
また、それぞれの搬送軸510には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ511が、搬送軸510と一体的に回転可能に設けられている。さらに、左右の搬送軸510が対向する側の搬送ローラ511Aは、第1実施例の搬送ローラ111Aと同様に、被駆動用磁気回転体532の外周に搬送ホイール512を一体に嵌め合せた構造となっており、搬送ローラ511と同様に搬送面を構成するとともに磁気式動力伝達手段530としても機能する。
【0055】
そして、2列の複数の搬送軸510の対向側および外側には、該搬送軸510と直交して駆動源(図示せず)により駆動される駆動軸520が設けられており、それぞれの駆動軸520には搬送軸510に駆動力を伝達する磁気式動力伝達手段530の駆動用磁気回転体531が設けられて、2列の複数の駆動軸520は左右両側の搬送軸510を同時に、両外側の駆動軸520はそれぞれ両側から隣接する搬送軸510に駆動力を伝達する。
【0056】
また、左右の搬送軸510が対向する側の搬送ローラ511Aの間隔は他の搬送ローラ511の間隔と同じになっており、全幅を一つの搬送軸510としたものと同一の幅で同一の数の搬送ローラ511、511Aで構成されている。さらに、左右の搬送軸510はそれぞれ水平視で中間の駆動軸520側が低くなるように傾斜している。
【0057】
このように構成された、本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置500は、2列の複数の搬送軸510の幅方向4か所でトルク伝達が行えることとなり、幅方向全体の搬送力に寄与する伝達トルク限界は幅方向で4倍となり、ローラコンベヤ装置500の搬送力を増大することができるとともに、左右の搬送軸510はそれぞれ水平視で中間の駆動軸520側が低くなるように傾斜していることによりローラコンベヤ装置500全体として搬送面の幅方向中間部が低くなるため、搬送物がローラコンベヤ装置500の搬送方向Tから見て左右の端から落下するのを防止することができる。
【0058】
また、ローラコンベヤ装置500の全幅がさらに大きく搬送ローラ511の数が多い場合は、複数の搬送軸510を搬送方向Tから見て左右に3列以上設け、各搬送軸510の列が対向する側で同様の構造とし、左右最も外側の搬送軸510をそれぞれ水平視で中間の駆動軸520側が低くなるように傾斜させれば、より大きな搬送力を得ることができるとともに、搬送物がローラコンベヤ装置500の搬送方向Tから見て左右の端から落下するのを防止することができる。
【0059】
次に、本発明の一実施例の磁気式動力伝達手段にについて以下に詳しく説明する。
図16(a)及び(b)に示すように、駆動用磁気回転体131は円筒形状であり、被駆動用磁気回転体132は円盤形状であって、駆動用磁気回転体131と被駆動用磁気回転体132の回転軸は同一平面上で直交している。
駆動用磁気回転体131と被駆動用磁気回転体132の対向面には、回転によって磁極が交互に入れ替わるように配置されており、駆動用磁気回転体131と被駆動用磁気回転体132の対向する磁極同士の吸引、対向する隣の磁極との反発により回転が伝達される。図16に示す実施例では、交互に配置される磁極数は8極であるが、必要とするトルクと回転の静粛性に応じて適宜の数を設定することができる。
【0060】
図16(a)に示すものは、被駆動用磁気回転体132の磁極が、内周から外周に向けて放射曲線状に配置されており、駆動用磁気回転体131の磁極はそれと対向するために傾斜して配置され、回転時に対向位置に来る磁極の境界線が連続的に移動するため、吸引力及び反発力を生じる位置が駆動用磁気回転体131の円筒の軸方向、被駆動用磁気回転体132の円盤の周方向に滑らかに変化し、回転振動やトルク変動が少ない回転が可能である。
【0061】
図16(b)に示すものは、被駆動用磁気回転体132の磁極が扇状に配置されており、駆動用磁気回転体131の磁極はそれと対向するために直線状に配置され、構造が単純となる。駆動用磁気回転体131は円筒形状であり、被駆動用磁気回転体132は円盤形状であるため、磁極の周速が駆動用磁気回転体131では一定であるのに対し、被駆動用磁気回転体132では内周と外周で異なるため、扇状、直線状の配置であっても滑りを生じて回転振動やトルク変動を吸収し滑らかに回転可能である。
【0062】
図16(a)及び(b)に示すように、磁気式動力伝達手段が、駆動側に設けられて円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒と、被駆動側に設けられて円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤とを有し、磁気円筒と磁気円盤の回転軸が、同一平面上で直交するように配置されていることにより、搬送軸と駆動軸が直交しつつ、磁気円筒が磁気円盤の前面の空間から大きくはみ出すことがないため、磁気式動力伝達装置全体をコンパクトにできるとともに、効率が良く振動やトルク変動の少ない動力伝達が可能となり、ローラコンベヤ装置全体を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図。
【図2】図1に示す本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の平面図。
【図3】図1に示す本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の正面図。
【図4】本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置の平面図。
【図5】図4に示す本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置の正面図。
【図6】本発明で用いる搬送ローラの一実施例の説明斜視図。
【図7】本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図。
【図8】図7に示す本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の平面図。
【図9】図7に示す本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の正面図。
【図10】本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図。
【図11】図10に示す本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置の平面図。
【図12】図10に示す本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置の正面図。
【図13】本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図。
【図14】図13に示す本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置の平面図。
【図15】図13に示す本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置の正面図。
【図16】本発明の磁気式動力伝達手段の一実施例の磁極配置の説明図。
【図17】従来のローラコンベヤ装置の平面図。
【符号の説明】
【0064】
100,200,300,400,500,900
・・・ローラコンベヤ装置
110,210,310,410,510,910 ・・・搬送軸
111,211,311,411,511,911 ・・・搬送ローラ
111A,311A,411A,511A,
・・・搬送ローラ(被駆動用磁気回転体一体型)
120,220,320,420,520,920 ・・・駆動軸
130,230,330,430,530,930
・・・磁気式動力伝達手段
131,231,331,431,531,931 ・・・駆動用磁気回転体
132,232,332,432,532,932 ・・・被駆動用磁気回転体
T ・・・搬送方向
P ・・・搬送物
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と該搬送軸を磁気式動力伝達手段を介して駆動する駆動軸とを有するローラコンベヤ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ローラコンベヤ装置において、クリーンな環境でのハンドリングが要求される電子部品基板、液晶パネル、精密部品等を搬送するために、摩耗や発塵、接触騒音等を軽減できる動力伝達手段として磁気式動力伝達手段を備えたものが知られている。
【0003】
そして、これらのローラコンベヤ装置は、図17に示すように、複数の搬送軸910が回転可能に並列配置され、該搬送軸910にはそれぞれ搬送面を構成する複数の搬送ローラ911が備えられ、前記搬送ローラ911は前記搬送軸910と一体に回転して搬送物Pを搬送するよう構成されている。
【0004】
前記搬送軸910の側部には駆動軸920が直交方向に設けられ、該駆動軸920は磁気式動力伝達手段930を介して前記搬送軸910を駆動し、前記駆動軸920には駆動用磁気回転体931が、前記搬送軸910には被駆動用磁気回転体932が備えられており、前記駆動軸920から前記搬送軸910に、微小空間を介して非接触で磁気的に駆動力を伝達するようになっている(例えば、特許文献1 参照)。
【特許文献1】特開2007−209137号公報(第3頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のローラコンベヤ装置は、磁気式動力伝達手段の伝達トルクの限界が低く、その伝達トルクの限界によって搬送力が制限されてしまうため、駆動軸のトルクを大きくしたり、動力伝達手段の強度を増すことによって搬送力を増大させることができず、歯車やチェーンやベルトのような接触式の動力伝達手段を採用したローラコンベヤ装置に比べて搬送力が小さくならざるを得ないという問題があった。
また、並列配置された複数の搬送軸の端部外方に動力伝達手段を配置していることから装置全体が大きくなるとともに、搬送軸の配置や形状の設計自由度も少ないという問題があった。
【0006】
本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、磁気式動力伝達手段を採用しつつ搬送力を増大させ、装置全体をコンパクトに配置できるとともに、搬送軸の配置や形状の設計自由度が高く、しかも低騒音、低振動のローラコンベヤ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本請求項1に係る発明は、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と該搬送軸を磁気式動力伝達手段を介して駆動する駆動軸とを有するローラコンベヤ装置において、前記駆動軸が前記搬送軸と直交する搬送方向に向けて複数設けられるとともに、前記搬送軸が複数の駆動軸により駆動されるように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【0008】
本請求項2に係る発明は、請求項1に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記磁気式動力伝達手段が、前記搬送軸の両端に設けられていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0009】
本請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記搬送ローラが、前記磁気式動力伝達手段の被駆動側となる磁気回転体を備えていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0010】
本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記駆動軸が、三本以上並行して設けられるとともに、隣り合う駆動軸の間にそれぞれ前記複数の搬送軸が設けられ、中間の駆動軸が磁気式動力伝達手段を介して両側の搬送軸を駆動することにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0011】
本請求項5に係る発明は、請求項4に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記中間の駆動軸に駆動される前記両側の搬送軸が、逆方向に駆動されることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0012】
本請求項6に係る発明は、請求項4に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記中間の駆動軸と外側の駆動軸との間に設けられた前記複数の搬送軸が、水平視で前記中間の駆動軸側が低くなるように傾斜していることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0013】
本請求項7に係る発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記磁気式動力伝達手段が、駆動側に設けられて円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒と、被駆動側に設けられて円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤とを有し、前記磁気円筒と前記磁気円盤の回転軸が、同一平面上で直交するように配置されていることにより、前記課題をさらに解決するものである。
【0014】
本請求項8に係る発明は、請求項7に記載されたローラコンベヤ装置の構成に加えて、前記磁気円盤が、内周から外周に向けて放射曲線状に交互に配置された磁極を有することにより、前記課題をさらに解決するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明のローラコンベヤ装置は、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と該搬送軸を磁気式動力伝達手段を介して駆動する駆動軸とを有することにより、摩耗や発塵、接触騒音等を軽減できるとともに、以下のような格別の効果を奏することができる。
【0016】
すなわち、本請求項1に係る発明のローラコンベヤ装置は、前記駆動軸が前記搬送軸と直交する搬送方向に向けて複数設けられるとともに、前記搬送軸が複数の駆動軸により駆動されるように構成されていることによって、一つの搬送軸にトルクを伝達する磁気式動力伝達手段が複数設けられ、該複数の磁気式動力伝達手段の伝達力トルクの和まで前記搬送軸に伝達されるトルクの限界を増大させることができ、ローラコンベヤ装置全体の搬送力を増大させることができる。
【0017】
そして、本請求項2に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項1に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記磁気式動力伝達手段が、前記搬送軸の両端に設けられていることにより、前記搬送軸にその両端から駆動力を伝達するため、前記搬送軸の捩れや曲げ等による振動が軽減されるとともに、捩れや曲げに対する強度を増すことなく搬送力を増大させることができる。
【0018】
また、本請求項3に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項1または請求項2に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記搬送ローラが、前記磁気式動力伝達手段の被駆動側となる磁気回転体を備えていることにより、搬送面の直近に駆動軸を配置することができ、前記磁気式動力伝達手段を小さくすることができるため、前記駆動軸が前記搬送軸と直交して複数設けられても、ローラコンベヤ装置全体を小さく構成することができる。
【0019】
また、本請求項4に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記駆動軸が、三本以上並行して設けられるとともに、隣り合う駆動軸の間にそれぞれ前記複数の搬送軸が設けられ、中間の駆動軸が磁気式動力伝達手段を介して両側の搬送軸を駆動することにより、搬送面の幅方向に4個所以上の磁気式動力伝達手段を設けることができるため、ローラコンベヤ装置全体の搬送力をさらに増大させることができる。
【0020】
また、本請求項5に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項4に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記中間の駆動軸に駆動される前記両側の搬送軸が、逆方向に駆動されることにより、それぞれ逆方向の搬送力を発生することとなるため、ローラコンベヤ装置全体を大きく改造することなく、搬送力を増大させつつ用途に応じた搬送機能の変更ができる。
【0021】
また、本請求項6に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項4に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記中間の駆動軸と外側の駆動軸との間に設けられた前記複数の搬送軸が、水平視で前記中間の駆動軸側が低くなるように傾斜していることにより、ローラコンベヤ装置全体として搬送面の幅方向中間部が低くなるため、搬送物がローラコンベヤ装置の搬送方向から見て左右の端から落下するのを防止することができる。
【0022】
また、本請求項7に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項1乃至請求項6のいずれかに係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記磁気式動力伝達手段が、駆動側に設けられて円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒と、被駆動側に設けられて円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤とを有し、前記磁気円筒と前記磁気円盤の回転軸が、同一平面上で直交するように配置されていることにより、搬送軸と駆動軸が直交しつつ、磁気円筒が磁気円盤の前面の空間から大きくはみ出すことがないため、磁気式動力伝達装置全体をコンパクトにできるとともに、効率が良く振動やトルク変動の少ない動力伝達が可能となり、ローラコンベヤ装置全体を小さくすることができる。
【0023】
また、本請求項8に係る発明のローラコンベヤ装置は、請求項7に係るローラコンベヤ装置が奏する効果に加えて、前記磁気円盤が、内周から外周に向けて放射曲線状に配置された磁極を有することにより、回転中に内周と外周の間で磁極の境界が滑らか移動するため、さらに、トルク変動が少なく騒音や振動が少ない動力伝達が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明のローラコンベヤ装置は、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と該搬送軸を磁気式動力伝達手段を介して駆動する駆動軸とを有するローラコンベヤ装置において、前記駆動軸が前記搬送軸と直交する搬送方向に向けて複数設けられるとともに、前記搬送軸が複数の駆動軸により駆動されるように構成されているものであれば、その具体的な実施態様は如何なるものであっても何ら構わない。
【0025】
すなわち、本発明で用いる磁気式動力伝達手段は、直交する駆動軸と搬送軸の間で動力伝達が行われるものであれば具体的な形態は如何なるものでも良く、駆動側及び被駆動側それぞれの磁気回転体は、円盤、円錐あるいは円筒のいずれの形状であっても良く、磁気回転体の磁極の配列は、駆動力を有効に伝達できるものであればいかなる配列であっても良い。
【0026】
特に、駆動側が円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒であり、被駆動側が円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤であれば、小型で効率の良い動力伝達が可能となり好適であり、磁気円盤が、内周から外周に向けて放射曲線状に配置された磁極を有するものであれば、トルク変動が少なく騒音や振動が少なくなり、さらに好適である。
【0027】
そして、本発明で用いる搬送ローラについては、搬送軸と一体に回転するものであれば良く、搬送物の特性に応じてその形状は如何なるものであっても良い。例えば、一つの搬送軸に対して一つの円筒状のものであっても良く、複数に分割した円筒状のものや円盤状のものであっても良い。
【0028】
また、本発明で用いる搬送ローラの具体的な材料についても、搬送物の特性に応じて如何なるものを使用しても良く、搬送物と接触する外周表面のみを搬送に適した材料としても良い。
【実施例】
【0029】
以下に、本発明の一実施例であるローラコンベヤ装置について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図であり、図2は、図1に示す本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の平面図であり、図3は、図1に示す本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の正面図であり、図4は、本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置の平面図であり、図5は、図4に示す本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置の正面図であり、図6は、本発明で用いる搬送ローラの一実施例の説明斜視図であり、図7は、本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図であり、図8は、図7に示す本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の平面図であり、図9は、図7に示す本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の正面図であり、図10は、本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図であり、図11は、図10に示す本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置の平面図であり、図12は、図10に示す本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置の正面図であり、図13は、本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図であり、図14は、図13に示す本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置の平面図であり、図15は、図13に示す本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置の正面図であり、図16は、本発明の一実施例の磁気式動力伝達手段における磁極配置の説明図である。
【0030】
まず、本発明の一実施例であるローラコンベヤ装置100は、図1に示すように、搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラ111と該複数の搬送ローラ111を軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸110と該搬送軸110を磁気式動力伝達手段130を介して駆動する駆動軸120とを有し、前記駆動軸120が前記搬送軸110と直交する搬送方向Tに向けて複数設けられるとともに、前記搬送軸110が複数の駆動軸120により駆動されるものである。
【0031】
そこで、本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置100について以下に詳しく説明する。
図1乃至図3に示すように、本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置100は、複数の搬送軸110が回転可能に並列配置されており、それぞれの搬送軸110の両端には磁気式動力伝達手段130の被駆動用磁気回転体132が設けられている。
【0032】
また、それぞれの搬送軸110には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ111が、搬送軸110と一体的に回転可能に設けられている。さらに、図6に示すように、両端の搬送ローラ111Aは被駆動用磁気回転体132の外周に搬送ホイール112を一体に嵌め合せた構造となっており、搬送ローラ111と同様に搬送面を構成するとともに磁気式動力伝達手段130としても機能する。
【0033】
そして、複数の搬送軸110の両側には、該搬送軸110と直交して駆動源(図示せず)により駆動される駆動軸120が設けられており、それぞれの駆動軸120には搬送軸110に駆動力を伝達する磁気式動力伝達手段130の駆動用磁気回転体131が設けられて、両側から搬送軸110に駆動力を伝達する。
【0034】
本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置100は、両端の搬送ローラ111Aが被駆動用磁気回転体132を備えることにより、ローラコンベヤ装置100の横幅を小さく抑えつつ、搬送軸110の両側に磁気式動力伝達手段130を設けることにより、伝達トルクの限界が倍となってローラコンベヤ装置100の搬送力を増大することができる。
【0035】
次に、本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置200について以下に詳しく説明する。
図4及び図5に示すように、本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置200は、複数の搬送軸210が回転可能に並列配置されており、それぞれの搬送軸210の一端には磁気式動力伝達手段230の被駆動用磁気回転体232が設けられている。
【0036】
また、それぞれの搬送軸210には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ211が、搬送軸210と一体的に回転可能に設けられており、一端に三つの円筒状の被駆動用磁気回転体232が設けられている。
【0037】
そして、複数の搬送軸210の一端側の三つの円筒状の被駆動用磁気回転体232にそれぞれ対応する位置に、該搬送軸210と直交して駆動源(図示せず)により駆動される駆動軸220が設けられており、それぞれの駆動軸220には搬送軸210に駆動力を伝達する磁気式動力伝達手段230の駆動用磁気回転体231が設けられて、それぞれ搬送軸210に駆動力を伝達する。
【0038】
本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置200は、駆動用磁気回転体231及び被駆動用磁気回転体232がともに円筒状であり、搬送軸210と駆動軸220が上下に離れた位置で直交するため、搬送軸210の自由な位置に自由な数の被駆動用磁気回転体232を備えることが可能であり、伝達トルクの限界がその数の分だけ大きくなり、ローラコンベヤ装置200の搬送力をさらに増大することができる。
【0039】
図4及び図5に示した実施例では、搬送軸210の一端に三つの円筒状の被駆動用磁気回転体232を備えているが、両端、あるいは各搬送ローラ211の間に備えても良い。
【0040】
次に、本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置300について以下に詳しく説明する。
図7乃至図9に示すように、本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置300は、複数の搬送軸310が回転可能に並列配置されて、かつ、搬送方向Tから見て左右に2列設けられており、それぞれの搬送軸310の両端には磁気式動力伝達手段330の被駆動用磁気回転体332が設けられている。
【0041】
また、それぞれの搬送軸310には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ311が、搬送軸310と一体的に回転可能に設けられている。さらに、左右の搬送軸310が対向する側の搬送ローラ311Aは、第1実施例の搬送ローラ111Aと同様に、被駆動用磁気回転体332の外周に搬送ホイール312を一体に嵌め合せた構造となっており、搬送ローラ311と同様に搬送面を構成するとともに磁気式動力伝達手段330としても機能する。
【0042】
そして、2列の複数の搬送軸310の対向側および外側には、該搬送軸310と直交して駆動源(図示せず)により駆動される駆動軸320が設けられており、それぞれの駆動軸320には搬送軸310に駆動力を伝達する磁気式動力伝達手段330の駆動用磁気回転体331が設けられて、中間部の駆動軸320は左右両側の搬送軸310を同時に、両外側の駆動軸320はそれぞれ両側から隣接する搬送軸310に駆動力を伝達する。
【0043】
また、左右の搬送軸310が対向する側の搬送ローラ311Aの間隔は他の搬送ローラ311の間隔と同じになっており、全幅を一列の搬送軸310としたものと同一の幅でかつ同一の数の搬送ローラ311、311Aで構成することができる。
【0044】
このように構成された、本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置300は、2列の複数の搬送軸310の幅方向4か所でトルク伝達が行えることとなり、幅方向全体の搬送力に寄与する伝達トルク限界は幅方向で4倍となり、ローラコンベヤ装置300の搬送力を増大することができる。
【0045】
本第3実施例では、2列の複数の搬送軸310の外側の被駆動用磁気回転体332は、独立したものとなっているが、これを被駆動用磁気回転体332の外周に搬送ホイール312を一体に嵌め合せた構造の搬送ローラ311Aとすれば、さらに全幅を小さく抑えることができる。
【0046】
また、ローラコンベヤ装置300の全幅がさらに大きく搬送ローラ311の数が多い場合は、複数の搬送軸310を搬送方向Tから見て左右に3列以上設け、各搬送軸310の列が対向する側で同様の構造とすれば、より大きな搬送力を得ることができる。
【0047】
なお、中間部の駆動軸320の左右の搬送軸310は、搬送方向Tに被駆動用磁気回転体332の約半径分ずれることとなるが、通常、幅方向および搬送方向Tにおいて、常に複数の搬送ローラ311が搬送物に接触して搬送するものであるから、前記のずれは搬送力に何ら影響はない。
【0048】
次に、本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置400について以下に詳しく説明する。
図10乃至図12に示すように、本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置400は、複数の搬送軸410が回転可能に並列配置されて、かつ、搬送方向Tから見て左右に2列設けられており、それぞれの搬送軸410の両端には磁気式動力伝達手段430の被駆動用磁気回転体432が設けられている。
【0049】
また、それぞれの搬送軸410には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ411が、搬送軸410と一体的に回転可能に設けられている。さらに、左右の搬送軸410が対向する側の搬送ローラ411Aは、第1実施例の搬送ローラ111Aと同様に、被駆動用磁気回転体432の外周に搬送ホイール412を一体に嵌め合せた構造となっており、搬送ローラ411と同様に搬送面を構成するとともに磁気式動力伝達手段430としても機能する。
【0050】
そして、2列の複数の搬送軸410の対向側および外側には、該搬送軸410と直交して駆動源(図示せず)により駆動される駆動軸420が設けられており、それぞれの駆動軸420には搬送軸410に駆動力を伝達する磁気式動力伝達手段430の駆動用磁気回転体431が設けられて、2列の複数の駆動軸420は左右両側の搬送軸410を同時に、両外側の駆動軸420はそれぞれ両側から隣接する搬送軸410に駆動力を伝達する。
【0051】
中間部の駆動軸420の左右の搬送軸411は、搬送方向Tにずらされておらず、中間部を境に逆回転で駆動され、ローラコンベヤ装置400幅方向の左右の搬送軸411の搬送方向がそれぞれT及びT’と逆になって往復コンベヤとして用いることができるとともに、それぞれの搬送軸410の両側に磁気式動力伝達手段430を設けることにより、伝達トルクの限界が両方向とも倍となってローラコンベヤ装置400の搬送力を増大することができる。
【0052】
また、本第4実施例では、2列の複数の搬送軸410の外側の被駆動用磁気回転体432は、独立したものとなっているが、これを被駆動用磁気回転体432の外周に搬送ホイール412を一体に嵌め合せた構造の搬送ローラ411Aとすれば、さらに全幅を小さく抑えることができる。
【0053】
次に、本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置500について以下に詳しく説明する。
図13乃至図15に示すように、本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置500は、複数の搬送軸510が搬送方向に並列して、かつ、搬送方向から見て左右に2列設けられており、それぞれの搬送軸510の両端には磁気式動力伝達手段530の被駆動用磁気回転体532が設けられている。
【0054】
また、それぞれの搬送軸510には搬送面を構成する複数の円盤状の搬送ローラ511が、搬送軸510と一体的に回転可能に設けられている。さらに、左右の搬送軸510が対向する側の搬送ローラ511Aは、第1実施例の搬送ローラ111Aと同様に、被駆動用磁気回転体532の外周に搬送ホイール512を一体に嵌め合せた構造となっており、搬送ローラ511と同様に搬送面を構成するとともに磁気式動力伝達手段530としても機能する。
【0055】
そして、2列の複数の搬送軸510の対向側および外側には、該搬送軸510と直交して駆動源(図示せず)により駆動される駆動軸520が設けられており、それぞれの駆動軸520には搬送軸510に駆動力を伝達する磁気式動力伝達手段530の駆動用磁気回転体531が設けられて、2列の複数の駆動軸520は左右両側の搬送軸510を同時に、両外側の駆動軸520はそれぞれ両側から隣接する搬送軸510に駆動力を伝達する。
【0056】
また、左右の搬送軸510が対向する側の搬送ローラ511Aの間隔は他の搬送ローラ511の間隔と同じになっており、全幅を一つの搬送軸510としたものと同一の幅で同一の数の搬送ローラ511、511Aで構成されている。さらに、左右の搬送軸510はそれぞれ水平視で中間の駆動軸520側が低くなるように傾斜している。
【0057】
このように構成された、本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置500は、2列の複数の搬送軸510の幅方向4か所でトルク伝達が行えることとなり、幅方向全体の搬送力に寄与する伝達トルク限界は幅方向で4倍となり、ローラコンベヤ装置500の搬送力を増大することができるとともに、左右の搬送軸510はそれぞれ水平視で中間の駆動軸520側が低くなるように傾斜していることによりローラコンベヤ装置500全体として搬送面の幅方向中間部が低くなるため、搬送物がローラコンベヤ装置500の搬送方向Tから見て左右の端から落下するのを防止することができる。
【0058】
また、ローラコンベヤ装置500の全幅がさらに大きく搬送ローラ511の数が多い場合は、複数の搬送軸510を搬送方向Tから見て左右に3列以上設け、各搬送軸510の列が対向する側で同様の構造とし、左右最も外側の搬送軸510をそれぞれ水平視で中間の駆動軸520側が低くなるように傾斜させれば、より大きな搬送力を得ることができるとともに、搬送物がローラコンベヤ装置500の搬送方向Tから見て左右の端から落下するのを防止することができる。
【0059】
次に、本発明の一実施例の磁気式動力伝達手段にについて以下に詳しく説明する。
図16(a)及び(b)に示すように、駆動用磁気回転体131は円筒形状であり、被駆動用磁気回転体132は円盤形状であって、駆動用磁気回転体131と被駆動用磁気回転体132の回転軸は同一平面上で直交している。
駆動用磁気回転体131と被駆動用磁気回転体132の対向面には、回転によって磁極が交互に入れ替わるように配置されており、駆動用磁気回転体131と被駆動用磁気回転体132の対向する磁極同士の吸引、対向する隣の磁極との反発により回転が伝達される。図16に示す実施例では、交互に配置される磁極数は8極であるが、必要とするトルクと回転の静粛性に応じて適宜の数を設定することができる。
【0060】
図16(a)に示すものは、被駆動用磁気回転体132の磁極が、内周から外周に向けて放射曲線状に配置されており、駆動用磁気回転体131の磁極はそれと対向するために傾斜して配置され、回転時に対向位置に来る磁極の境界線が連続的に移動するため、吸引力及び反発力を生じる位置が駆動用磁気回転体131の円筒の軸方向、被駆動用磁気回転体132の円盤の周方向に滑らかに変化し、回転振動やトルク変動が少ない回転が可能である。
【0061】
図16(b)に示すものは、被駆動用磁気回転体132の磁極が扇状に配置されており、駆動用磁気回転体131の磁極はそれと対向するために直線状に配置され、構造が単純となる。駆動用磁気回転体131は円筒形状であり、被駆動用磁気回転体132は円盤形状であるため、磁極の周速が駆動用磁気回転体131では一定であるのに対し、被駆動用磁気回転体132では内周と外周で異なるため、扇状、直線状の配置であっても滑りを生じて回転振動やトルク変動を吸収し滑らかに回転可能である。
【0062】
図16(a)及び(b)に示すように、磁気式動力伝達手段が、駆動側に設けられて円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒と、被駆動側に設けられて円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤とを有し、磁気円筒と磁気円盤の回転軸が、同一平面上で直交するように配置されていることにより、搬送軸と駆動軸が直交しつつ、磁気円筒が磁気円盤の前面の空間から大きくはみ出すことがないため、磁気式動力伝達装置全体をコンパクトにできるとともに、効率が良く振動やトルク変動の少ない動力伝達が可能となり、ローラコンベヤ装置全体を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図。
【図2】図1に示す本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の平面図。
【図3】図1に示す本発明の第1実施例であるローラコンベヤ装置の正面図。
【図4】本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置の平面図。
【図5】図4に示す本発明の第2実施例であるローラコンベヤ装置の正面図。
【図6】本発明で用いる搬送ローラの一実施例の説明斜視図。
【図7】本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図。
【図8】図7に示す本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の平面図。
【図9】図7に示す本発明の第3実施例であるローラコンベヤ装置の正面図。
【図10】本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図。
【図11】図10に示す本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置の平面図。
【図12】図10に示す本発明の第4実施例であるローラコンベヤ装置の正面図。
【図13】本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置の斜視図。
【図14】図13に示す本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置の平面図。
【図15】図13に示す本発明の第5実施例であるローラコンベヤ装置の正面図。
【図16】本発明の磁気式動力伝達手段の一実施例の磁極配置の説明図。
【図17】従来のローラコンベヤ装置の平面図。
【符号の説明】
【0064】
100,200,300,400,500,900
・・・ローラコンベヤ装置
110,210,310,410,510,910 ・・・搬送軸
111,211,311,411,511,911 ・・・搬送ローラ
111A,311A,411A,511A,
・・・搬送ローラ(被駆動用磁気回転体一体型)
120,220,320,420,520,920 ・・・駆動軸
130,230,330,430,530,930
・・・磁気式動力伝達手段
131,231,331,431,531,931 ・・・駆動用磁気回転体
132,232,332,432,532,932 ・・・被駆動用磁気回転体
T ・・・搬送方向
P ・・・搬送物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と該搬送軸を磁気式動力伝達手段を介して駆動する駆動軸とを有するローラコンベヤ装置において、
前記駆動軸が前記搬送軸と直交する搬送方向に向けて複数設けられるとともに、前記搬送軸が複数の駆動軸により駆動されるように構成されていることを特徴とするローラコンベヤ装置。
【請求項2】
前記磁気式動力伝達手段が、前記搬送軸の両端に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のローラコンベヤ装置。
【請求項3】
前記搬送ローラが、前記磁気式動力伝達手段の被駆動側となる磁気回転体を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のローラコンベヤ装置。
【請求項4】
前記駆動軸が、三本以上並行して設けられるとともに、隣り合う駆動軸の間にそれぞれ前記複数の搬送軸が設けられ、中間の駆動軸が磁気式動力伝達手段を介して両側の搬送軸を駆動することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のローラコンベヤ装置。
【請求項5】
前記中間の駆動軸に駆動される前記両側の搬送軸が、逆方向に駆動されることを特徴とする請求項4に記載のローラコンベヤ装置。
【請求項6】
前記中間の駆動軸と外側の駆動軸との間に設けられた前記複数の搬送軸が、水平視で前記中間の駆動軸側が低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項4に記載のローラコンベヤ装置。
【請求項7】
前記磁気式動力伝達手段が、駆動側に設けられて円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒と、被駆動側に設けられて円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤とを有し、前記磁気円筒と前記磁気円盤の回転軸が、同一平面上で直交するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のローラコンベヤ装置。
【請求項8】
前記磁気円盤が、内周から外周に向けて放射曲線状に配置された磁極を有することを特徴とする請求項7に記載のローラコンベヤ装置。
【請求項1】
搬送物の搬送面を構成する複数の搬送ローラと該複数の搬送ローラを軸着して回転可能に並列配置された複数の搬送軸と該搬送軸を磁気式動力伝達手段を介して駆動する駆動軸とを有するローラコンベヤ装置において、
前記駆動軸が前記搬送軸と直交する搬送方向に向けて複数設けられるとともに、前記搬送軸が複数の駆動軸により駆動されるように構成されていることを特徴とするローラコンベヤ装置。
【請求項2】
前記磁気式動力伝達手段が、前記搬送軸の両端に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のローラコンベヤ装置。
【請求項3】
前記搬送ローラが、前記磁気式動力伝達手段の被駆動側となる磁気回転体を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のローラコンベヤ装置。
【請求項4】
前記駆動軸が、三本以上並行して設けられるとともに、隣り合う駆動軸の間にそれぞれ前記複数の搬送軸が設けられ、中間の駆動軸が磁気式動力伝達手段を介して両側の搬送軸を駆動することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のローラコンベヤ装置。
【請求項5】
前記中間の駆動軸に駆動される前記両側の搬送軸が、逆方向に駆動されることを特徴とする請求項4に記載のローラコンベヤ装置。
【請求項6】
前記中間の駆動軸と外側の駆動軸との間に設けられた前記複数の搬送軸が、水平視で前記中間の駆動軸側が低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項4に記載のローラコンベヤ装置。
【請求項7】
前記磁気式動力伝達手段が、駆動側に設けられて円筒表面に磁極を交互に配置した磁気円筒と、被駆動側に設けられて円盤表面に磁極を交互に配置した磁気円盤とを有し、前記磁気円筒と前記磁気円盤の回転軸が、同一平面上で直交するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のローラコンベヤ装置。
【請求項8】
前記磁気円盤が、内周から外周に向けて放射曲線状に配置された磁極を有することを特徴とする請求項7に記載のローラコンベヤ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−137688(P2009−137688A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−314296(P2007−314296)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【出願人】(000003355)株式会社椿本チエイン (861)
【Fターム(参考)】
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