説明

ローラ搬送式のディスク装置

【課題】 部品点数を多くすることなく、ゴム製の搬送ローラに帯電した電荷を、確実に装置外部に逃がすことができる「ローラ搬送式のディスク装置」を提供することを目的とする。
【解決手段】 シャッタ部材60を開放姿勢に付勢するばね部材70が、コイル巻き部71と、第1のフック部72および第2のフック部73を有し、第1のフック部72から金属線端部74が延び出ている。第1のフック部72は、ローラブラケット44に設けられた掛止部47aに掛止され、第2のフック部73が、シャッタ部材60に設けられた掛止片65に掛けられている。金属線端部74がローラ軸42の外周部に当接している。ローラ軸42がばね部材70を経てシャッタ部材60に導通しており、搬送ローラに帯電する電荷をシャッタ部材60に逃がすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非導電性のローラでディスクを装置内に搬入するディスク装置に係り、特にローラに帯電する電荷を簡単な構造で確実に接地することができるローラ搬送式のディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
筐体の前方に開口するスリット状の挿入口からディスクが挿入されるいわゆるスロットイン方式のディスク装置は、挿入口の内側にローラを有する搬送機構が設けられている。
【0003】
特許文献1に記載されているように、前記搬送機構には、ディスクに対する摩擦係数の大きい非導電性のゴムローラが設けられている。このゴムローラは金属製のローラ軸の外周に設けられ、ローラ軸がローラアームに回転自在に支持されている。ローラアームは、ばね部材の付勢力でディスクガイドに向けて付勢されており、ディスクは付勢力が与えられているゴムローラとディスクガイドとに挟持されて搬送される。
【0004】
ゴムローラでディスクに適度な搬送力を与えるためには、ゴムローラをディスクに対して比較的大きな力で圧接させることが必要である。そのために、ばね部材からローラアームに大きな付勢力が与えられて、ゴムローラがディスクに接触しているときに、ローラアームがローラ軸を大きな力で加圧する。この状態で、ローラ軸を低負荷で回転させるために、ローラ軸とローラアームとの間に、低摩擦係数を実現するために合成樹脂などの非導電性の軸受を介在させることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−86399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ゴムローラの回転力でディスクを搬送する際に、ゴムローラとディスクとのスリップによってゴムローラに電荷が帯電するが、軸受の介在により電荷をローラ軸からローラアームに逃がすことができないため、ゴムローラに多くの電荷が蓄積される。
【0007】
ディスクが所定の位置まで搬送されると、ゴムローラの回転が停止し、ローラアームが回動させられて、ゴムローラがディスクから離れる。このとき、ゴムローラが、筐体内の金属部の直近を通過しまたは金属部に触れると、ゴムローラに帯電した大きな電荷が金属部に瞬時に放電される。このとき、衝撃的なノイズが発生し、ディスクに記録された信号を再生して送出するためのインターフェースやその他の通信部にノイズが重畳し、ディスク装置が誤動作したりまたは停止するなどの問題が生じるおそれがある。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、金属製のローラ軸から他の金属部へ電荷を常に逃がすことができ、ローラに帯電した電荷の放電によるノイズの発生などを防止できるローラ搬送式のディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、金属製のローラ軸およびこのローラ軸の表面に設けられた非導電性のローラと、前記ローラに向かうディスクの導入経路を開放する開放姿勢と前記導入経路を閉鎖する閉鎖姿勢との間で移動する開閉部材とが設けられたディスク装置において、
前記開閉部材は金属製であり、前記開閉部材が金属線で形成されたばね部材によって前記開放姿勢と前記閉鎖姿勢の一方に向けて付勢され、前記ばね部材の付勢力に対抗して前記開閉部材を前記開放姿勢と前記閉鎖姿勢の他方に向けて移動させる駆動部材が設けられており、
前記ばね部材を構成する金属線の一部が前記ローラ軸に弾圧されて接触し、前記ローラ軸が前記ばね部材を介して前記開閉部材に導通されていることを特徴とするものである。
【0010】
本発明は、ディスクの導入を許容しまたは阻止する開閉部材が設けられており、この開閉部材を移動させるために設けられたばね部材を使用して、ローラに帯電した電荷をローラ軸からばね部材を介して開閉部材に逃がしている。そのため、ローラから金属部への急激な放電の発生を防止できる。また、ローラ軸を金属部に導通させるための導電経路を特別に設ける必要がないため、ベース上の機構の構造を簡単にできる。
【0011】
また、ローラ軸およびローラは、ディスクに接触する搬送姿勢と、ディスクから離れる姿勢とに回動するが、ローラ軸に、ばね部材を構成する弾性変形可能な金属線を接触させているため、金属線がローラ軸およびローラの動きに追従できるようになり、電荷を逃がす導電経路が機構の動作の妨げにならない。
【0012】
本発明は、前記ばね部材がコイルばねであり、その両端に前記金属線が曲げられたフック部が形成されており、一方の前記フック部が前記開閉部材に掛止され、他方の前記フック部が前記ローラ軸の近傍に掛止されているとともに、他方の前記フック部から延びる前記金属線が、前記ロータ軸に弾圧されているものが好ましい。
【0013】
前記のように、コイルばねの端部で金属線を曲げて形成したフック部から金属線を延ばし、この金属線をローラ軸に接触させていると、コイルばねと金属線を一体に構成でき、開閉部材を付勢するばね機構と、ローラ軸に接触させた電荷の通電機構の双方の機能を同じ部品で実現できるようになる。
【0014】
本発明は、前記ローラ軸は、非導電性の軸受を介してローラ支持部材に回転自在に支持されており、前記他方のフック部は前記ローラ支持部材に掛止されているものである。
【0015】
非導電性の軸受でローラ軸を支持していると、ローラ支持部材によってローラ軸をディスクに向けて大きな弾性力で付勢しても、ローラ軸の回転負荷を低減できる。しかも、軸受を介して電気的に浮いた状態となるローラ軸を金属製の開閉部材に導通させることが可能になる。
【0016】
本発明は、前記開閉部材は、金属製のベースに直接にまたは他の部材を介して導通されている。
【0017】
例えば、本発明は、前記ローラ支持部材は金属製で、前記ローラ支持部材が金属製のベースに回動自在に支持されて、前記ローラがディスクを搬送する位置とディスクから離れる位置とへ移動可能とされており、前記開閉部材が前記ローラ支持部材に移動自在に支持されて、前記開閉部材が前記ローラ支持部材を介して前記ベースに導通されているものである。
【0018】
なお、ばね部材として、金属線の巻回部から金属線の2本の腕部が延出したトーションばねを使用し、一方の腕部を開閉部材に掛止させて開閉部材を付勢し、他方の腕部をローラ軸に圧接する構造であってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のディスク装置は、ローラに帯電した電荷をローラ軸から開閉部材へ常に逃がすことができ、ローラから金属部への急激な放電を防止できる。よって、前記放電により、インターフェース又は通信回路へのノイズの重畳を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態のディスク装置の全体構造を示す斜視図、
【図2】図1のディスク装置の断面拡大図であり、開閉部材が開放姿勢に設定されている状態を示す図、
【図3】図1のディスク装置の断面拡大図であり、開閉部材が閉鎖姿勢に設定されている状態を示す図、
【図4】ばね部材とローラ軸とが接触している状態を示す断面拡大図、
【図5】ばね部材の掛止部を示すディスク装置の部分底面図、
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に説明するディスク装置は、DVD(デジタルバーサタイルディスク)やCD(コンパクトディスク)などの直径が12cmのディスクDが装填可能である。
【0022】
図2と図3に示すように、ディスク装置は筐体1を有している。筐体1は導電性材料である金属板で形成されている。車載用のディスク装置の場合、筐体1の大きさは、例えば1DINサイズまたは1/2DINサイズであり、筐体1は自動車の車室内のインストルメントパネルに埋設して設置される。
【0023】
筐体1は、底板2と天井板3と前面板4とを有し、Y2側に後面板を有しており、X1側とX2側には側面板が設けられている。筐体1の前面板4には挿入口5が開口している。筐体1の前面板4の前方には、合成樹脂で形成された化粧ノーズ(図示せず)が取り付けられており、この化粧ノーズの前面に各種操作部材や表示装置が設けられている。化粧ノーズには、挿入口5に連通するノーズ部挿入口が開口しており、このノーズ部挿入口と挿入口5を経て、ディスクDが筐体1の内部に向けて挿入される。挿入口は、左右方向(X1−X2方向)に向けて細長く形成されている。
【0024】
筐体1の内部に、図1に示す機構ユニット10が収納されている。機構ユニット10は底部側にドライブベース11を有し、上部側にクランプベース12を有している。ドライブベース11とクランプベース12は導電性材料である金属板で形成されている。
【0025】
図2と図3に示すように、ドライブベース11に回転駆動部20が設けられている。回転駆動部20は、ドライブベース11に固定されたスピンドルモータ21と、スピンドルモータ21の回転軸22に固定された合成樹脂製のターンテーブル23を有している。図1に示すように、クランプベース12に、板ばね材料で形成された支持ばね26が固定されており、支持ばね26に、合成樹脂製のクランパ27が回動自在に支持されている。
【0026】
図2に示すように、挿入口5と回転駆動部20との間に搬送機構40が設けられている。
【0027】
搬送機構40は、搬送ローラ41と、搬送ローラ41のZ1側に対向する固定案内部43とを有している。固定案内部43は、摩擦係数の小さい合成樹脂材料で形成されて、筐体1の天井板の下面に動かないように固定されている。前面板4と固定案内部43との間には、摩擦係数の小さい合成樹脂材料で形成された可動式の案内部50が設けられている。搬送ローラ41は、固定案内部43の下に対向している。
【0028】
搬送ローラ41は、合成ゴムなどの摩擦係数の大きな材料で円筒状に形成されており、金属製のローラ軸42の外周に装着されている。搬送ローラ41は非導電性であり、ローラ軸42が導電性である。搬送ローラ41とローラ軸42は固定されておらず、搬送ローラ41に大きな加圧力が作用すると、搬送ローラ41との摩擦力により、搬送ローラ41がローラ軸42と共に回転する。
【0029】
ローラブラケット44は導電性材料である金属板で形成されている。図1に示すように、ローラブラケット44は、X1側に、右側支持部44aと、この右側支持部44aのY1側の先部から上方へ延びる右側先部44bとが一体に形成されており、図2と図3に示すように、X2側に、左側支持部44cと、この左側支持部44cのY1側の先部から上方へ延びる左側先部44dとが一体に形成されている。
【0030】
図1に示すように、ローラブラケット44のX1側の右側先部44bに支持穴44eが開口し、X2側の左側先部44dに支持穴44fが開口している。支持穴44eと支持穴44fは、X1−X2軸と平行な軸線上に位置している。筐体1の左右の両側面板の内側には短い一対の支持軸45,45(図2参照)が固定されており、支持穴44e,44fがそれぞれの支持軸45,45に支持され、ローラブラケット44は、支持軸45,45を回動支点として回動自在に支持されている。
【0031】
図2と図3に示すように、ローラブラケット44と筐体1の底板2との間には引っ張りコイルばね46が掛けられており、その付勢力によって、ローラブラケット44が常に反時計方向へ付勢され、搬送ローラ41が固定案内部43に押し付けられている。
【0032】
図5には、ローラブラケット44のX2側に設けられた左側支持部44cが図示されている。図5に示すように、左側支持部44cの内側には、非導電性の合成樹脂材料で形成された樹脂ブラケット47が固定されている。樹脂ブラケット47には軸受48が一体に形成されている。左側支持部44cのY2側の端部に保持穴44gが開口しており、軸受48が保持穴44gに保持されている。図示省略するが、ローラブラケット44のX1側に形成された右側支持部44aのY2側の端部にも保持穴が開口しており、合成樹脂材料で形成された軸受が保持穴内で保持されている。
【0033】
図5に示すように、ローラ軸42のX2側の端部は、軸受48に回動自在に支持されており、ローラ軸42のX1側の端部も、ローラブラケット44の右側支持部44aに保持された前記軸受に回動自在に支持されている。軸受48は合成樹脂材料で形成されているため、ローラブラケット44とローラ軸42とは電気的に絶縁されている。
【0034】
図5に示すように、ローラ軸42には軸受48からさらにX2側へ突出する嵌合部42bが一体に形成されており、合成樹脂製のピニオン歯車49が嵌合部42bに拘束されて装着されており、ピニオン歯車49はローラ軸42と一体に回転できるように固定されている。
【0035】
図2に示すように、ローラブラケット44が反時計方向へ回動して、搬送ローラ41と固定案内部43とでディスクDを挟持して搬送できる状態になると、ピニオン歯車49が、図示しない大径歯車と嵌合し、搬送モータからの動力が大径歯車を経てピニオン歯車49に伝達されて、ローラ軸42の回転駆動が可能になる。
【0036】
図2と図3に示すように、筐体1の前面板4の内側には、開閉部材として機能するシャッタ部材60が設けられている。シャッタ部材60は導電性材料である金属板で形成されている。
【0037】
シャッタ部材60は、挿入口を内側から閉鎖することができる開閉板部61を有している。図4などに示すように、開閉板部61は、挿入口5に凸側が向けられたほぼ円筒面の湾曲形状である。図1に示すように、シャッタ部材60には、開閉板部61のX1側からほぼ直角に折り曲げられた右側支持部62aが設けられ、図2、図4、図5に示すように、開閉板部61のX2側からほぼ直角に折り曲げられた左側支持部62bが設けられている。
【0038】
ローラブラケット44の右側先部44bの内面および左側先部44dの内面には短い連結軸63,63が固定されており、シャッタ部材60の右側支持部62aと左側支持部62bが、連結軸63,63を連結支点として、ローラブラケット44の内側に回動自在に支持されている。ローラブラケット44とシャッタ部材60を連結している連結軸63,63と、ローラブラケット44の回動支点である支持軸45,45は互いに異なる位置に配置されている。
【0039】
図2では、シャッタ部材60が反時計方向へ回動して開閉板部61が開口部5よりも下方へ移動し、シャッタ部材60が、挿入口5から搬送ローラ41へのディスクDの搬送経路を開放する開放姿勢である。図3では、シャッタ部材60が時計方向へ回動して、開閉板部61で挿入口5が閉じられており、シャッタ部材60が、挿入口5から搬送ローラ41へのディスクDの搬送経路を閉鎖する閉鎖姿勢である。図3に示す閉鎖姿勢では、ローラブラケット44が支持軸45を支点として時計方向へ回動しているため、連結軸63の位置は、図2よりも図3の方が時計方向へ移動している。そのため、閉鎖姿勢のシャッタ部材60の開閉板部61で挿入口5を完全に閉鎖することができる。
【0040】
図4と図5に示すように、シャッタ部材60には、開閉板部61のY2側の端部からさらにY2側に延長する掛止片65が一体に形成されている。また、ローラブラケット44の左側支持部44cに固定された樹脂ブラケット47には、下向きの掛止部47aが一体に形成されている。掛止片65と掛止部47aとの間に、ばね部材70が掛けられている。ばね部材70は引っ張りコイルばねであり、ばね部材70の引っ張り弾性力によって、図2に示すように、シャッタ部材60が常に反時計方向、すなわち開放姿勢に向けて付勢されている。
【0041】
ばね部材70は、ステンレス線やピアノ線などのばね性を有し且つ導電性の金属線で形成されている。図4と図5に示すように、ばね部材70は、伸縮部となるコイル巻き部(巻回部)71を有している。コイル巻き部71の一方の端部には金属線がループ状にまかれた第1のフック部72が形成され、他方の端部には金属線がループ状にまかれた第2のフック部73が一体に形成されている。第1のフック部72では、金属線が少なくとも360度以上、すなわち1回転以上リング状に巻かれており、さらに金属線端部74が第1のフック部72からY2方向へ延び出ている。
【0042】
ばね部材70の第2のフック部73は、シャッタ部材60に形成された掛止片65に掛けられ、第1のフック部72は、樹脂ブラケット47に形成された掛止部47aに掛けられている。そして、金属線端部74が、搬送ローラ41のX2側の端面と軸受48との隙間に入り込んでおり、ローラ軸42の表面に当接している。金属線端部74は、掛止部47aの位置から曲げ変形させられてローラ軸42の表面に当接し、ローラ軸42の表面に弾性力を有して圧接されている。そのため、金属線端部74とローラ軸42との接触状態を常に保つことができる。
【0043】
また、金属線端部74は、曲げ変形状態でローラ軸42の表面に弾圧されているため、金属線端部74がローラ軸42に当接していても、ローラ軸42の回転負荷が大きく増加することはない。
【0044】
ローラ軸42は、ばね部材70を介してシャッタ部材60に導通している。ばね部材70とローラブラケット44を連結している連結軸63は金属製であるため、シャッタ部材60はローラブラケット44と導通している。ローラブラケット44と筐体1とを連結している支持軸45も金属製であるため、ローラブラケット44は筐体1と導通している。よって、搬送ローラ41とディスクDとの摩擦で帯電した電荷は、常時、ローラ軸42からばね部材70を介し、さらにシャッタ部材60とローラブラケット44を介して筐体1に逃がすことが可能である。
【0045】
図1に示すように、シャッタ部材60の右側支持部62aにはX1方向へ突出する突部64が設けられ、図3に示すように、シャッタ部材60の左側支持部62bにもX2方向へ突出する突部64が設けられている。
【0046】
図1に示すように、ドライブベース11のX1側の側部には右側駆動部材30aが設けられ、X2側の側部には左側駆動部材30bが設けられている。モータMの動力によって、右側駆動部材30aと左側駆動部材30bは、同期して一緒にY1方向へ移動し、一緒にY2方向に移動させられる。
【0047】
図1に示すように、右側駆動部材30aには、クランプ制御カム32とローラ制御カム34が設けられている。クランプベース12に設けられた制御ピン18はクランプ制御カム32に挿入され、ローラ軸42のX1側の端部42aがローラ制御カム32内に挿入されている。右側駆動部材30aのY1側の端部には、突部64に対向する押圧部37が設けられ、図3に示すように、左側駆動部材30bのY1側の端部にも突部64に対向する押圧部37が一体に形成されている。
【0048】
右側駆動部材30aと左側駆動部材30bが共にY2方向へ移動していると、図1と図2に示すように、クランプ制御カム32によって制御ピン18が持ち上げられて、クランプベース12が時計方向へ回動し、クランパ27がターンテーブル23から離れている。また、ローラ制御カム34によってローラ軸42がZ1方向へ持ち上げられており、ローラ軸42は引っ張りコイルばね46の弾性力によって固定案内部43に圧接されている。また、シャッタ部材60は、図4と図5に示すばね部材70によって反時計方向へ回動させられて挿入口5が開放されている。
【0049】
図2に示す状態で、挿入口5からディスクDが挿入されると、搬送モータが始動し、ローラ軸42が時計方向へ駆動され、ディスクDは固定案内部43と搬送ローラ41とに挟まれてY2方向へ搬送される。ディスクDの中心穴がターンテーブル23に一致すると、これが図示しない検知部材で検知され、モータMが始動して、右側駆動部材30aと左側駆動部材30bとが共にY1方向へ移動させられる。
【0050】
右側駆動部材30aがY1方向へ移動すると、クランプ制御カム32による制御ピン18のZ1方向への持ち上げ力が解除されるため、クランプベース12がクランプばね17の付勢力で反時計方向へ回動させられ、図3に示すように、ターンテーブル23とクランパ27とでディスクDが挟持されてクランプされる。また、ローラ制御カム34によって、ローラ軸42がZ2方向へ下降させられ、図3に示すように、搬送ローラ41がディスクDの下面から離れてZ2方向へ移動させられる。
【0051】
さらに、右側駆動部材30aに設けられた押圧部37と左側駆動部材30bに設けられた押圧部37によって、シャッタ部材60に設けられた突部64がY1方向へ押圧される。よって、図3に示すように、シャッタ部材60はばね部材70の引っ張り力に対抗して時計方向へ回動して閉鎖姿勢となり、開閉板部61で挿入口5が閉鎖される。
【0052】
図2に示すように、搬送ローラ41でディスクDを搬送しているとき、および図3に示すようにディスクDの搬送が完了しているときに、図4と図5に示すように、ローラ軸42は、ばね部材70によって、常にシャッタ部材60に導通され、さらには筐体1に導通されている。よって、ローラ軸42を合成樹脂製の軸受48で回転自在に支持して回転負荷を低減させた構造であっても、ローラ軸42を常に接地電位またはこれに近い電位に設定できる。そのため、搬送ローラ41とディスクDとの摩擦によって搬送ローラ41が帯電しても、その電荷が筐体1の内部の金属部に瞬時に放電されて大電流が流れる現象を防止できる。
【0053】
なお、図4と図5では、ばね部材70から延びる金属線端部74が直線状に延びてローラ軸42に接触しているが、この金属線端部74が鋭角に折り曲げられ、または湾曲形状とされて、ローラ軸42を囲むようにまたはローラ軸42に巻きつくように接触していてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 筐体
5 挿入口
10 機構ユニット
20 回転駆動部
23 ターンテーブル
27 クランパ
30a 右側駆動部材
30b 左側駆動部材
37 押圧部
41 搬送ローラ
42 ローラ軸
44 ローラブラケット
45 支持軸
60 シャッタ部材(開閉部材)
61 開閉板部
63 連結軸
64 突部
70 ばね部材
71 コイル巻き部
72 第1のフック部
73 第2のフック部
74 金属線端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製のローラ軸およびこのローラ軸の表面に設けられた非導電性のローラと、前記ローラに向かうディスクの導入経路を開放する開放姿勢と前記導入経路を閉鎖する閉鎖姿勢との間で移動する開閉部材とが設けられたディスク装置において、
前記開閉部材は金属製であり、前記開閉部材が金属線で形成されたばね部材によって前記開放姿勢と前記閉鎖姿勢の一方に向けて付勢され、前記ばね部材の付勢力に対抗して前記開閉部材を前記開放姿勢と前記閉鎖姿勢の他方に向けて移動させる駆動部材が設けられており、
前記ばね部材を構成する金属線の一部が前記ローラ軸に弾圧されて接触し、前記ローラ軸が前記ばね部材を介して前記開閉部材に導通されていることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記ばね部材がコイルばねであり、その両端に前記金属線が曲げられたフック部が形成されており、一方の前記フック部が前記開閉部材に掛止され、他方の前記フック部が前記ローラ軸の近傍に掛止されているとともに、他方の前記フック部から延びる前記金属線が、前記ローラ軸に弾圧されている請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記ローラ軸は、非導電性の軸受を介してローラ支持部材に回転自在に支持されており、前記他方のフック部は前記ローラ支持部材に掛止されている請求項2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記開閉部材は、金属製のベースに直接にまたは他の部材を介して導通されている請求項1ないし3のいずれか1項に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記ローラ支持部材は金属製で、前記ローラ支持部材が金属製のベースに回動自在に支持されて、前記ローラがディスクを搬送する位置とディスクから離れる位置とへ移動可能とされており、前記開閉部材が前記ローラ支持部材に移動自在に支持されて、前記開閉部材が前記ローラ支持部材を介して前記ベースに導通されている請求項4記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−198658(P2010−198658A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39546(P2009−39546)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】