説明

ローラ支持具および搬送装置

【課題】安全性の向上を図ることができるローラ支持具を提供する。
【解決手段】ローラ支持具32は、搬送ベルト11の下側部13の下面を支えるリターンローラ31を支持する。ローラ支持具32は、リターンローラ31の軸部37の軸方向端部を支持する支持体41を備える。支持体41には、リターンローラ31のローラ本体部36の軸方向端部の外周面を覆うカバー体42を一体に突設する。カバー体42は、ローラ本体部36の外周面との間に間隙43をおいて位置する略円弧面状のカバー板部44を有する。カバー板部44の下部には、異物排出用孔を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安全性の向上を図ることができるローラ支持具および搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載された搬送装置が知られている。
【0003】
この従来の搬送装置は、被搬送物を搬送する搬送ベルト等の無端体と、無端体の下側部の下面を支えるリターンローラ等のローラと、ローラを支持するリターンローラハンガ等のローラ支持具とを備えている。そして、ローラ支持具は、ローラの軸部の軸方向端部を支持する支持凹部と、フレームの一方の長孔に連通するボルト挿通用孔と、フレームの他方の長孔に挿入される係合突部とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−285918号公報(図3等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、近年、この種の搬送装置においては、例えば搬送装置の周辺で作業をする作業者等に対する安全性の向上が求められている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、安全性の向上を図ることができるローラ支持具および搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のローラ支持具は、無端体と接触する回転可能なローラ本体部およびこのローラ本体部を支持する軸部を有するローラを支持するローラ支持具であって、前記軸部を支持する支持体と、この支持体に設けられ、前記ローラ本体部の少なくとも軸方向端部の外周面を覆うカバー体とを備えるものである。
【0008】
請求項2記載のローラ支持具は、請求項1記載のローラ支持具において、カバー体は、異物を排出するための異物排出用孔を有するものである。
【0009】
請求項3記載のローラ支持具は、請求項2記載のローラ支持具において、カバー体は、ローラのローラ本体部の外周面との間に間隙をおいて位置する略円弧面状のカバー部を有し、異物排出用孔が、前記カバー部の下部に形成されているものである。
【0010】
請求項4記載のローラ支持具は、請求項1ないし3のいずれか一記載のローラ支持具において、支持体は、ナットを位置決めするナット位置決め部と、ボルトが挿通されるボルト挿通用孔とを有し、前記ナットが前記ナット位置決め部にて位置決めされることにより前記ボルト挿通用孔と前記ナットのねじ孔部とが互いに対向した状態となり、この状態で前記ボルトが前記ボルト挿通用孔に挿通されて前記ナットのねじ孔部と螺合することにより前記支持体が被取付部に取り付けられるものである。
【0011】
請求項5記載のローラ支持具は、請求項1ないし4のいずれか一記載のローラ支持具において、支持体とカバー体とが、合成樹脂によって一体に形成されているものである。
【0012】
請求項6記載の搬送装置は、被搬送物を搬送する無端体と、この無端体の下側部の下面と接触する回転可能なローラ本体部およびこのローラ本体部を支持する軸部を有するローラと、このローラを支持する請求項1ないし5のいずれか一記載のローラ支持具とを具備するものである。
【0013】
請求項7記載の搬送装置は、請求項6記載の搬送装置において、ローラ支持具が互いに離間対向して1対配設され、前記両ローラ支持具に架設され、ローラのローラ本体部の軸方向中間部の外周面を覆う中間部カバー体を具備するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る発明によれば、カバー体にてローラ本体部の少なくとも軸方向端部の外周面を覆うことができるため、安全性の向上を図ることができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、異物排出用孔から異物を排出できるため、異物がカバー体内に溜まることを防止できる。
【0016】
請求項3に係る発明によれば、略円弧面状のカバー部にてローラのローラ本体部の外周面を適切に覆うことができ、また、カバー部の下部に形成された異物排出用孔から異物を適切に排出でき、さらに、カバー部はローラのローラ本体部の外周面との間に間隙をおいて位置するため、カバー部がローラ本体部の回転に対する負荷になるようなことがない。
【0017】
請求項4に係る発明によれば、ナットがナット位置決め部にて位置決めされることによりボルト挿通用孔とナットのねじ孔部とが互いに対向した状態となるため、この状態でボルトをボルト挿通用孔に挿通してナットのねじ孔部と螺合させることによって、支持体を被取付部に容易に取り付けることができる。
【0018】
請求項5に係る発明によれば、支持体とカバー体とが合成樹脂によって一体に形成されているため、例えばローラの振動に基づく騒音等を抑制できる。
【0019】
請求項6に係る発明によれば、ローラ支持具のカバー体にて、無端体の下側部の下面と接触する回転可能なローラ本体部の少なくとも軸方向端部の外周面を覆うことができるため、安全性の向上を図ることができる。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、中間部カバー体にてローラのローラ本体部の軸方向中間部の外周面を覆うことができ、より一層の安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係る搬送装置の概略正面図である。
【図2】同上搬送装置の概略側面図である。
【図3】同上搬送装置の部分側面図である。
【図4】同上搬送装置のローラ支持具の斜視図である。
【図5】同上ローラ支持具の平面図である。
【図6】同上ローラ支持具の正面図である。
【図7】同上ローラ支持具の一側面図である。
【図8】同上ローラ支持具の他側面図である。
【図9】同上ローラ支持具およびナット案内部の断面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態に係る搬送装置の概略正面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施の形態に係る搬送装置の概略正面図である。
【図12】同上搬送装置の要部分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0023】
図1ないし図3において、1は搬送装置で、この搬送装置1は、例えば被搬送物Wを搬送方向Aに向けて搬送するベルトコンベヤである。
【0024】
搬送装置1は、搬送方向Aに沿った方向である前後方向に長手方向を有する長手状のフレーム2を備えている。
【0025】
フレーム2の長手方向一端部である前端部には駆動ローラ3が取り付けられ、この駆動ローラ3のローラ本体部4はモータ等の駆動手段(図示せず)からの動力で駆動回転する。
【0026】
フレーム2の長手方向他端部である後端部には従動ローラ5が取り付けられ、この従動ローラ5のローラ本体部6および駆動ローラ3のローラ本体部4には回行可能な無端状の無端体である搬送ベルト11が掛け渡されている。つまり、フレーム2に取り付けられたローラ手段(駆動ローラ3および従動ローラ5)に搬送ベルト11が掛け渡され、この搬送ベルト11は、駆動ローラ3のローラ本体部4の駆動回転に基づく回行時に、被搬送物Wを上面の搬送面7に載せて水平な搬送方向Aに向けて搬送する。
【0027】
搬送ベルト11は、往路部である上側部12と、復路部である下側部13とを有し、上側部12の上面にて搬送面7が構成されている。
【0028】
フレーム2は、図1に示されるように、互いに離間対向する前後方向長手状の左右1対のサイドフレーム部(被取付部)16を有し、これら両サイドフレーム部16の上端部同士が水平状の連結板部17にて一体に連結され、この連結板部17にて搬送ベルト11の上側部12の下面全体が支持されている。連結板部17の左右方向中央部には、前後方向に延びる凹状部18が形成されている。
【0029】
サイドフレーム部16は、前後方向長手状で下方に向って開口する断面略コ字状のナット案内部21を下端部に有している。ナット案内部21は、図9に示されるように、互いに離間対向する左右1対の対向板部分22を有し、これら両対向板部分22の下端部から突出部分23が内方つまり対向する対向板部分22側に向って一体に突出している。そして、両突出部分23の内端部間に前後方向に延びる長孔状の開口部24が位置し、この開口部24を介して左右の両突出部分23が互いに離間対向している。つまり、サイドフレーム部16の下端部に形成された略筒状のナット案内部21は、開口部24によって下方に向って開口している。なお、各対向板部分22は、対向面である内面にナット案内面25を有している。
【0030】
また、搬送装置1は、図1ないし図3に示されるように、搬送ベルト11の下側部13の下面における前後方向略中央部を下側部13が下方に弛まないように支える例えば1本のローラであるリターンローラ31と、フレーム2のサイドフレーム部16に取付手段33によって取り付けられリターンローラ31を支持する対をなす例えば左右1対のローラ支持部材であるローラ支持具32とを備えている。なお、両ローラ支持具(リターンローラハンガ)32は、互いに離間対向した状態で、左右対称に配設されている点のみで異なり、いずれも同一形状のものである。
【0031】
リターンローラ31は、外周面が略円筒面状に形成され外周面の上端部が搬送ベルト11の下側部13の下面と接触する回転可能なローラ本体部36と、このローラ本体部36を回転可能に水平状に支持する軸部37とを有している。軸部37の軸方向端部は、ローラ本体部36の軸方向端面から外方へ突出している。そして、リターンローラ31の軸部37の一端部が一方側のローラ支持具32にて支持され、この一方側のローラ支持具32によってローラ本体部36の軸方向一端側の外周面が覆われ、かつ、リターンローラ31の軸部37の他端部が他方側のローラ支持具32にて支持され、この他方側のローラ支持具32によってローラ本体部36の軸方向他端側の外周面が覆われている。
【0032】
取付手段33は、ナットである六角ナット39と、この六角ナット39のねじ孔部39aにねじ軸部40aが螺合するボルト40とを有している。なお、図5に示す六角ナット39の幅寸法Lは、両ナット案内面25間の離間距離より若干小さい寸法であり、六角ナット39は、両ナット案内面25間に位置した状態では、ナット案内面25との当接により回動が規制される。
【0033】
ローラ支持具32は、例えば合成樹脂材にて一体に構成されたもので、図4ないし図9に示されるように、サイドフレーム部16に取付手段33によって取り付けられリターンローラ31の軸部37の軸方向端部を支持する支持体41と、支持体41にこの支持体41から水平方向に突出状に一体に設けられリターンローラ31のローラ本体部36の少なくとも軸方向端部の外周面のうち下側部13と接触する上端部以外の部分の略全体を覆うカバー体42とを備えている。つまり、ローラ支持具32が支持体41およびカバー体42のみにて構成され、これら支持体41とカバー体42とが例えばポリアセタール(POM)等の合成樹脂によって一体に形成されている。
【0034】
カバー体42は、リターンローラ31のローラ本体部36の外周面との間に所定の間隙43をおいてその外周面に沿って水平状に位置し上方に向って開口する略円弧面状、例えば略半円弧面状に形成されたカバー部であるカバー板部44を有している。つまり、カバー体42は雨樋状をなす巻き込み防止用のカバー板部44のみで構成され、このカバー板部44は側面視でローラ本体部36の軸芯を中心とする仮想円上に位置する両端面開口状の略半円筒状のものであり、上面に開口面45を有している。そして、カバー板部44にてリターンローラ31のローラ本体部36の軸方向端部の外周面の下方部、前方部および後方部が覆われる。
【0035】
また、カバー板部44の下部である底部には、異物をカバー板部44内からカバー板部44外へ落下排出するための異物排出用孔46が形成されている。異物排出用孔46は、カバー板部44の軸方向である水平方向に沿った長孔状に形成された複数、例えば2つの孔部46a,46bにて構成され、これら両孔部46a,46bは互いに連通しておらず、両孔部46a,46b間には連通防止部47が存在する。
【0036】
なお、異物は、例えば搬送ベルト11の表面に付着していた塵埃等であって、ローラ本体部36の外周面との接触によって搬送ベルト11の表面から落ちてカバー板部44内に入り込んだものである。
【0037】
支持体41は、鉛直状に位置する略矩形状の支持板部である第1板部51を有し、この第1板部51の一側面にカバー板部44が水平状に一体に突設されている。第1板部51の長手方向中央部上側には、リターンローラ31の軸部37の軸方向端部を固定的に嵌合支持する凹状の支持部である軸受凹部52が形成されている。軸受凹部52は、第1板部51の軸受凹部52以外の部分よりも板厚状になっており、リターンローラ31側に向って突出する一方側補強凸部分53およびリターンローラ31側とは反対側に向って突出する他方側補強凸部分54を有している。そして、第1板部51にて、リターンローラ31のローラ本体部36の軸方向端面の外方部が覆われる。
【0038】
第1板部51の他側面上端部には略矩形状の取付板部である第2板部56が水平状に一体に突設され、これら第1板部51と第2板部56との間には略3角形状の補強板部であるリブ板部57が一体に設けられている。
【0039】
第2板部56は、短手方向中央部に他の部分よりも板厚な板厚部分58を有し、この板厚部分58の上部がサイドフレーム部16のナット案内部21の開口部24に嵌入される。板厚部分58の上面の長手方向中央部付近には、ナット案内部21内に挿入され六角ナット39が当接しこの六角ナット39を位置決めする略板状の複数、例えば2つのナット位置決め部であるナット当接部59が上方に向って一体に突設されている。
【0040】
また、第2板部56の板厚部分58の長手方向両端側には、ボルト40のねじ軸部40aが下方から挿通される複数、例えば2つの略円形状のボルト挿通用孔60がナット当接部59の近傍位置に板厚部分58の上下面に貫通して形成されている。ボルト挿通用孔60は、互いに離間対向する両ナット当接部59間の位置ではなく、対応するナット当接部59よりも板厚部分58の端部側の位置に形成されている。
【0041】
そして、図9に示されるように、六角ナット39の端部とナット当接部59とが当接して六角ナット39がナット当接部59にて位置決めされることにより、ボルト挿通用孔60と六角ナット39のねじ孔部39aとが上下に互いに対向して連通した状態となり、この状態でボルト40のねじ軸部40aがボルト挿通用孔60に挿通され、このねじ軸部40aと六角ナット39のねじ孔部39aとが螺合することにより支持体41の第2板部56がサイドフレーム部16の下面に固定的に取り付けられている。つまり、六角ナット39に対するボルト40の螺合締付によって、ナット案内部21の突出部分23と第2板部56とが六角ナット39とボルト40の頭部40bとで挟持固定されている。
【0042】
次に、上記搬送装置1の作用等を説明する。
【0043】
搬送装置1の組立時に、ボルト40および六角ナット39を用いて、ローラ支持具32をフレーム2のサイドフレーム部16の下面の取付位置に取り付ける手順について説明する。
【0044】
作業者は、まず、六角ナット39をサイドフレーム部16のナット案内部21の端面開口からナット案内部21内に入れ、この入れた六角ナット39を例えばドライバー等の工具の先端部で押すようにして突出部分23上でナット案内面25に沿って取付位置付近までスライド移動させる。
【0045】
次いで、ローラ支持具32の支持体41の第2板部56の上面をサイドフレーム部16の下面つまりナット案内部21の下面に当て、第2板部56の板厚部分58の上部をナット案内部21の開口部24に嵌入し、ナット当接部59をナット案内部21内に挿入位置させる。
【0046】
そして、ローラ支持具32を取付位置に位置決めした状態で、六角ナット39をナット案内部21内で少し移動させ、六角ナット39の尖った先端をナット当接部59に当接させる。
【0047】
六角ナット39とナット当接部59とが互いに当接すると、六角ナット39のねじ孔部39aがボルト挿通用孔60と一致し、これらボルト挿通用孔60とねじ孔部39aとが上下に互いに対向した状態となる。つまり、六角ナット39をナット当接部59に当接させるだけで、六角ナット39を所望位置に位置決めできるため、六角ナット39のねじ孔部39aとボルト挿通用孔60との孔合わせ作業が容易である。
【0048】
そして、作業者は、ボルト40のねじ軸部40aをボルト挿通用孔60に挿通し、ねじ軸部40aの先端側とねじ孔部39aとを互いに螺合させ、このボルト40の六角ナット39に対する螺合締付によりローラ支持具32がサイドフレーム部16の下面の取付位置に固定して取り付けられる。
【0049】
その後、両ローラ支持具32の支持体41の軸受凹部52にリターンローラ31の軸部37の端部を取り付け、ローラ本体部36の外周面の上端部によって搬送ベルト11の下側部13の下面の所定部位を支持させる。
【0050】
すると、図1に示すように、ローラ本体部36の軸方向両端側の外周面が、両ローラ支持具32のカバー体42のカバー板部44にて覆われている。
【0051】
また、被搬送物Wの搬送時には、搬送ベルト11は駆動ローラ3の駆動回転に基づいて回行し、この回行する搬送ベルト11の搬送面7にて被搬送物Wが搬送方向Aに搬送される。この際、リターンローラ31のローラ本体部36は搬送ベルト11から受ける力で軸部37を中心として従動回転するが、ローラ本体部36の軸方向両端側の外周面がカバー体42のカバー板部44にて覆われているため、例えば被搬送物Wの搬送時に搬送装置1の周辺で作業をする作業者等に対して安全性が確保される。
【0052】
そして、このように搬送装置1によれば、ローラ支持具32のカバー体42のカバー板部44にて、搬送ベルト11の下側部13の下面を支えるリターンローラ31のローラ本体部36の外周面を覆うことができるため、例えば搬送装置1の周辺で作業をする作業者等に対する安全性の向上を図ることができる。
【0053】
また、カバー体42のカバー板部44の下部に形成された異物排出用孔46から異物を適切に落下排出できるため、塵埃等の異物がカバー板部44内に溜まることを防止できる。
【0054】
さらに、カバー体42のカバー板部44はローラ本体部36の外周面との間に間隙43をおいて位置するため、カバー板部44はローラ本体部36の外周面に対して非接触で、このカバー板部44がローラ本体部36の回転に対する負荷になるようなことがない。
【0055】
また、六角ナット39と支持体41のナット当接部59との当接によりボルト挿通用孔60と六角ナット39のねじ孔部39aとが互いに対向した状態となるため、この状態でボルト40をボルト挿通用孔60に挿通してねじ孔部39aと螺合させることによって支持体41をサイドフレーム部16の下面の取付位置に容易に取り付けることができ、搬送装置1の組立性の向上を図ることができる。
【0056】
さらに、支持体41とカバー体42とが合成樹脂によって一体に形成されているため、金属製の支持部材でリターンローラ31を支持する場合に比べて、例えばリターンローラ31の振動に基づく騒音や磨耗等を効果的に抑制できる。
【0057】
なお、図1の搬送装置1よりも幅寸法が小さい図10の搬送装置1にローラ支持具32を用いる場合には、カバー板部44を所望の切断位置(例えば図1に示す切断目印a)で切断すればよい。この図10に示された幅狭状の搬送装置1では、ローラ本体部36の外周面が軸方向全長にわたって両ローラ支持具32のカバー板部44にて覆われる。
【0058】
また、カバー体42のカバー板部44の上端が搬送ベルト11の下側部13の下面に接触しない構成には限定されず、例えばカバー板部44の上端が下側部13の下面に接触し、カバー板部44にてローラ本体部36の外周面の周方向略全体が覆われる構成等でもよい。
【0059】
さらに、例えばカバー体42がローラ本体部36の軸方向に沿って伸縮可能となっている構成や、カバー体42が支持体41に交換可能に取り付けられた構成等でもよい。
【0060】
また、例えば異物排出用孔46が互いに等間隔で並ぶ複数の円形状の孔部にて構成されたものや、異物排出用孔46がカバー板部44の下部全長にわたって形成された1つの長孔にて構成されたもの等でもよい。
【0061】
さらに、ボルト挿通用孔60は、略円柱状の空間部のみからなるものには限定されず、例えば六角ナット39のねじ孔部39aと同形状のもの、つまり略円柱状の空間部とこの空間部に臨むねじ部とからなるものでもよく、この場合、ボルト40のねじ軸部40aがボルト挿通用孔に螺合挿通されてねじ孔部39aと螺合する。
【0062】
また、リターンローラ31は、例えば搬送ベルト11と接触する回転可能なローラ本体部36とこのローラ本体部36を固定的に支持しこのローラ本体部36とともに回転する軸部37とを有するもの等でもよい。
【0063】
また一方、例えば図11および図12に示す搬送装置1のように、図1に示された幅広状の搬送装置1において、リターンローラ31のローラ本体部36の軸方向中間部を中間部カバー体61で覆い、両ローラ支持具32とこれら両ローラ支持具32に架設された中間部カバー体61とによってローラ本体部36の外周面を軸方向全長にわたって覆うようにしてもよい。
【0064】
中間部カバー体61は、ローラ支持具32と同じ材料、例えばポリアセタール(POM)等の合成樹脂によって一体に形成されている。中間部カバー体61は、ローラ支持具32のカバー体42と同様、リターンローラ31のローラ本体部36の外周面との間に所定の間隙62をおいてその外周面に沿って水平状に位置し上方に向って開口する略円弧面状、例えば略半円弧面状に形成されたカバー部であるカバー板部63を有している。つまり、中間部カバー体61は雨樋状をなす巻き込み防止用のカバー板部63のみで構成され、このカバー板部63は側面視でローラ本体部36の軸芯を中心とする仮想円(カバー体42に対応する仮想円より大きな円)上に位置する両端面開口状の略半円筒状のものであり、上面に開口面64を有している。
【0065】
そして、中間部カバー体61は、取付手段、すなわち例えばボルト66およびナット67にてカバー体42のカバー板部44の外面側に固定的に取り付けられることにより、互いに離間対向する左右両側のローラ支持具32に対して架設され、その結果、この中間部カバー体61にてローラ本体部36の軸方向中間部(軸方向中央部)の外周面の下方部、前方部および後方部が覆われる。
【0066】
また、中間部カバー体61のカバー板部63の下部である底部には、カバー板部44と同様、異物をカバー板部63内からカバー板部63外へ落下排出するための異物排出用孔70が形成されている。異物排出用孔70は、それぞれがカバー板部63の軸方向である水平方向に沿った長孔状に形成され互いに間隔をおいてカバー板部63の軸方向に並んで位置する複数の孔部71にて構成されている。
【0067】
そして、例えばローラ支持具32のカバー板部44の異物排出用孔46の孔部46bと中間部カバー体61のカバー板部63の異物排出用孔70の端位置の孔部71とが上下に互いに対向した状態とされ、この状態でボルト66の軸部66aが両孔部46b,71に挿通されてナット67のねじ孔部67aと螺合することにより、中間部カバー体61のカバー板部63がカバー板部44の外面側に固定的に取り付けられている。つまり、異物排出用孔46,70がボルト挿通用孔を兼ねており、ナット67に対するボルト66の螺合締付によって両孔部46b,71の周縁部分がナット67とボルト66の頭部66bとで挟持固定されている。異物排出用孔46,70の各孔部が長孔であるため、中間部カバー体61のローラ支持具32に対する左右方向(リターンローラ31の軸方向)の位置調整が容易である。なお、ナット67は、ローラ本体部36の外周面とカバー板部44の内面との間の間隙43内に位置し、ローラ本体部36の外周面に対して非接触である。
【0068】
そして、このような図11および図12に示す搬送装置1によれば、リターンローラ31のローラ本体部36の外周面を軸方向全長にわたって覆うことができ、より一層の安全性の向上を図ることができる。
【0069】
なお、例えば図11および図12に示す搬送装置1において、異物排出用孔70が互いに等間隔で並ぶ複数の円形状の孔部にて構成されたものや、異物排出用孔70がカバー板部63の下部全長にわたって形成された1つの長孔にて構成されたもの等でもよい。
【0070】
また、ボルト66およびナット67にて中間部カバー体61がカバー体42の外面側に取り付けられる構成には限定されず、例えばカバー体42に孔部等の嵌合受部を設けかつ中間部カバー体61に嵌合受部と嵌合する凸部等の嵌合部を設け、嵌合受部と嵌合部との嵌合によって中間部カバー体61がカバー体42の外面側に取り付けられて両ローラ支持具32に架設される構成等でもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 搬送装置
11 無端体である搬送ベルト
13 下側部
16 被取付部であるサイドフレーム部
31 ローラであるリターンローラ
32 ローラ支持具
36 ローラ本体部
37 軸部
39 ナットである六角ナット
39a ねじ孔部
40 ボルト
41 支持体
42 カバー体
43 間隙
44 カバー部であるカバー板部
46 異物排出用孔
59 ナット位置決め部であるナット当接部
60 ボルト挿通用孔
61 中間部カバー体
W 被搬送物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端体と接触する回転可能なローラ本体部およびこのローラ本体部を支持する軸部を有するローラを支持するローラ支持具であって、
前記軸部を支持する支持体と、
この支持体に設けられ、前記ローラ本体部の少なくとも軸方向端部の外周面を覆うカバー体と
を備えることを特徴とするローラ支持具。
【請求項2】
カバー体は、異物を排出するための異物排出用孔を有する
ことを特徴とする請求項1記載のローラ支持具。
【請求項3】
カバー体は、ローラのローラ本体部の外周面との間に間隙をおいて位置する略円弧面状のカバー部を有し、
異物排出用孔が、前記カバー部の下部に形成されている
ことを特徴とする請求項2記載のローラ支持具。
【請求項4】
支持体は、
ナットを位置決めするナット位置決め部と、
ボルトが挿通されるボルト挿通用孔とを有し、
前記ナットが前記ナット位置決め部にて位置決めされることにより前記ボルト挿通用孔と前記ナットのねじ孔部とが互いに対向した状態となり、この状態で前記ボルトが前記ボルト挿通用孔に挿通されて前記ナットのねじ孔部と螺合することにより前記支持体が被取付部に取り付けられる
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載のローラ支持具。
【請求項5】
支持体とカバー体とが、合成樹脂によって一体に形成されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載のローラ支持具。
【請求項6】
被搬送物を搬送する無端体と、
この無端体の下側部の下面と接触する回転可能なローラ本体部およびこのローラ本体部を支持する軸部を有するローラと、
このローラを支持する請求項1ないし5のいずれか一記載のローラ支持具と
を具備することを特徴とする搬送装置。
【請求項7】
ローラ支持具が互いに離間対向して1対配設され、
前記両ローラ支持具に架設され、ローラのローラ本体部の軸方向中間部の外周面を覆う中間部カバー体を具備する
ことを特徴とする請求項6記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−280467(P2010−280467A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134134(P2009−134134)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000103426)オークラ輸送機株式会社 (84)
【Fターム(参考)】