説明

ローラ装置、並びに、ローラ装置の製造方法

【課題】ローラ本体と被固定部材の一体化および分解が容易であると共に、分解後にローラ本体や被固定部材を容易に再利用可能なローラ装置、並びに、ローラ装置の製造方法の提供を目的とする。
【解決手段】ローラ装置1は、ローラ本体2の両端に閉塞部材3が取り付けられている。閉塞部材3は、軸体挿通孔22を有する閉塞部材本体10と固定手段11を有する。固定手段11は、軸体挿通孔22に挿通された軸体30と、これに螺合されたテーパーナット31とを有する。閉塞部材3は、ローラ本体2の端部に差し込まれた状態で軸体30を回転させ、テーパーナット31を軸体挿通孔22内に侵入させることにより外周部21がローラ本体2の内周面に押しつけられた状態となり、ローラ本体2に対して固定された状態になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア装置や、カーテンやシャッター等を巻き上げるための巻き上げ装置等に好適に採用可能なローラ装置、並びに、当該ローラ装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、物品を搬送するコンベア装置等に、支軸に対して回転自在に支持された円筒状のローラ本体からなるフリーローラや、ローラ本体内にモータと減速機とが内蔵されたモータ内蔵ローラが採用されている。
【0003】
従来技術のフリーローラやモータ内蔵ローラ等のローラ装置は、ローラ本体に対してカバーを圧入したり、ローラ本体に対して挿入されたカバーを接着剤やピンで固定する等の方策により、ローラ本体とカバーとを一体化している。また、従来技術のローラ装置として、下記特許文献1に開示されているように、ローラ本体の内側に閉塞部材を差し込んだ状態で、ローラ本体の外周部に対して略垂直に外力を加えることにより、ローラ本体および閉塞部材を一体的に塑性変形させ、これらを一体化した構成のものもある。
【特許文献1】特開2004−190709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来技術のローラ装置は、ローラ本体に対して被固定部材たるカバーや閉塞部材を取り付ける場合に、特殊な工具を必要としたり、手間を要するといった問題点があった。また逆に、従来技術のローラ装置は、ローラ本体と被固定部材とを分解する際にも特殊な工具を必要としたり、分解後にローラ本体等の構成部材を再利用しにくいという問題点があった。すなわち、上記したようにローラ本体を塑性変形させたり、ピンで固定したりする場合は、ローラ本体に孔や凹部等が形成されることとなり、このままの状態では、ローラ本体を再利用できなかった。また、ローラ本体と被固定部材とを接着固定する場合は、ローラ本体や被固定部材に塗布された接着剤を取り外すのに手間を要するといった問題があった。
【0005】
そこで、かかる知見に基づき、本発明は、ローラ本体と被固定部材の一体化および分解が容易であると共に、分解後にローラ本体や被固定部材を容易に再利用可能なローラ装置、並びに、ローラ装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決すべく提供される請求項1に記載の発明は、筒状のローラ本体と、被固定部材とを有し、当該被固定部材が、被固定部材本体と、固定手段とを有し、被固定部材本体が、軸体挿通孔を有し、固定手段が、前記被固定部材に設けられた軸体挿通孔に挿通可能な軸体と、当該軸体に連結された拡張部材とを有し、前記軸体が軸体挿通孔に挿通されており、前記軸体の回転に伴って前記拡張部材を軸体挿通孔に対して侵入あるいは退出させることができ、前記軸体挿通孔に拡張部材を侵入させることにより、軸体挿通孔を拡張させ、被固定部材の外周部を当該外周部に対して交差する方向に押し広げることができるものであり、ローラ本体内に前記被固定部材の一部又は全部が収納されると共に、当該被固定部材の拡張部材が軸体挿通孔内に侵入しており、前記被固定部材が、外周部の一部又は全部がローラ本体の内周面に押しつけられた状態でローラ本体に対して固定されていることを特徴とするローラ装置である。
【0007】
本発明のローラ装置が備える被固定部材の固定手段は、被固定部材本体に設けられた軸体挿通孔に挿通された軸体を回転させることにより、当該軸体に連結された拡張部材を軸体挿通孔内に侵入させ、被固定部材の外周部を押し広げることにより、被固定部材をローラ本体に対して固定することができる。すなわち、本発明のローラ装置は、被固定部材に設けられた軸体を回転させるだけで被固定部材をローラ装置に取り付けることができ、上記した従来技術のようにローラ本体や被固定部材に特別な加工を施す等しなくてもよい。従って、本発明によれば、容易に製造可能なローラ装置を提供することができる。
【0008】
また、上記したように、本発明のローラ装置は、組み立てに際してローラ本体や被固定部材に特別な加工を施したり、両者を接着等しなくてもよい。また、本発明のローラ装置は、軸体を回転させることにより拡張部材を被固定部材本体の軸体挿通孔から退出させれば、被固定部材をローラ本体から容易に取り外すことができる。そのため、本発明のローラ装置は、ローラ本体と被固定部材とに容易に分解することができると共に、分解後にローラ本体や被固定部材を再利用することができる。
【0009】
ここで、上記したローラ装置のように、被固定部材に設けられた軸体挿通孔に拡張部材を侵入させる構成とした場合、軸体挿通孔に対して被固定部材の中心側の部分の変形のしやすさが被固定部材の外周側の部分と同程度であると、被固定部材を効率よく変形させることができなかったり、ローラ本体に対して十分な固定強度で固定できない可能性がある。よって、被固定部材は、拡張部材の侵入に伴って、その外周側の部分が中心側の部分よりも容易に変形可能な構成であることが望ましい。
【0010】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項2に記載の発明は、被固定部材本体の中心側にコア部が設けられており、当該コア部に対して被固定部材の外周側に軸体挿通孔が設けられたものであって、当該軸体挿通孔への拡張部材の侵入に伴って作用する応力により、被固定部材が、コア部側方向よりも、被固定部材の外周側方向に向けて変形しやすいことを特徴とする請求項1に記載のローラ装置である。
【0011】
本発明のローラ装置で採用されている被固定部材は、軸体挿通孔に拡張部材が侵入することにより、被固定部材のコア部側よりも外周側の方が優先的に変形する構成とされている。そのため、本発明のローラ装置は、ローラ本体に対する被固定部材の取り付けに際して軸体を回転させて拡張部材を軸体挿通孔に侵入させることにより、被固定部材をローラ本体に対して容易かつしっかりと固定することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、被固定部材本体の中心側にコア部を有し、ローラ本体の軸心位置に挿通された支軸を有し、当該支軸がコア部に挿通されており、前記コア部に対して被固定部材の外周側に軸体挿通孔が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラ装置である。
【0013】
本発明のローラ装置は、被固定部材本体の中心側にコア部が設けられ、当該コア部に支軸が挿通されている。そのため、本発明のローラ装置において、被固定部材の中心側の部分は支軸によって補強され、高強度になっている。一方、本発明のローラ装置では、コア部に対して被固定部材の外周側に軸体挿通孔が設けられている。そのため、本発明のローラ装置で採用されている被固定部材は、軸体挿通孔に対して被固定部材の中心側の部分が高強度になっている。よって、本発明のローラ装置は、組み立てに際して軸体挿通孔に拡張部材を侵入させることにより、被固定部材のコア部側よりも外周側の方が優先的に変形することになり、被固定部材がローラ本体に対して容易かつしっかりと固定される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、被固定部材本体の中心側にコア部があり、当該コア部に軸受が設けられており、ローラ本体の軸心位置に支軸が挿通され、当該支軸が前記軸受によって支持されており、前記コア部に対して被固定部材の外周側に軸体挿通孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のローラ装置である。
【0015】
本発明のローラ装置は、被固定部材本体の中心側にあるコア部に対して被固定部材の外周側の部分に軸体挿通孔が設けられていると共に、コア部に軸受が設けられ、当該軸受によって支軸が支持されている。そのため、本発明のローラ装置は、被固定部材の中心側の部分が軸受や支軸がある分だけ高強度になっており、組み立てに際して軸体挿通孔に拡張部材を侵入させることにより、被固定部材のコア部側よりも外周側の方が優先的に変形する。従って、本発明のローラ装置は、被固定部材がローラ本体に対して容易に組み立てることができると共に、組み立て後の状態において被固定部材とローラ本体とがしっかりと固定されている。
【0016】
請求項5に記載の発明は、筒状のローラ本体と、被固定部材とを有し、当該被固定部材が、被固定部材本体と、固定手段とを有し、前記ローラ本体の内周面側に係合部が設けられており、前記被固定部材本体の外周部に被係合部が設けられており、当該被係合部に軸体挿通孔が設けられたものであり、固定手段が、前記被固定部材に設けられた軸体挿通孔に挿通可能な軸体と、当該軸体に連結された拡張部材とを有し、前記軸体が軸体挿通孔に挿通されており、前記軸体の回転に伴って前記拡張部材を軸体挿通孔に対して侵入あるいは退出させることができ、前記軸体挿通孔に拡張部材を侵入させることにより、軸体挿通孔を拡張させ、被係合部を被固定部材本体の外周部に沿う方向に膨張させることができるものであり、ローラ本体内に前記被固定部材の一部又は全部が収容され、前記ローラ本体の係合部に被固定部材本体に設けられた被係合部が係合すると共に、当該被固定部材の拡張部材が軸体挿通孔内に侵入し、被固定部材の被係合部の一部又は全部がローラ本体の係合部に押しつけられた状態で係合し、被固定部材がローラ本体に対して固定されていることを特徴とするローラ装置である。
【0017】
本発明のローラ装置が備える被固定部材は、被固定部材本体の軸体挿通孔に挿通された軸体を回転させることにより、当該軸体に連結された拡張部材を軸体挿通孔内に侵入させ、当該軸体挿通孔を押し広げると共に、被係合部を被固定部材本体の外周部に沿う方向に膨張させることができる。そのため、被固定部材は、被固定部材の被係合部をローラ本体の係合部に係合するように装着した状態で、軸体を回転させると、被固定部材側の被係合部がローラ本体側の係合部に押しつけられ、被固定部材とローラ本体とが相対回転不能なように固定された状態となる。そのため、本発明によれば、ローラ本体に対して被固定部材が強固に固定されたローラ装置を提供することができる。
【0018】
上記したように、本発明のローラ装置は、被固定部材に設けられた軸体を回転させるだけで被固定部材をローラ装置に取り付けることができる。よって、本発明によれば、容易に製造可能なローラ装置を提供することができる。また、本発明のローラ装置は、組み立てに際してローラ本体や被固定部材に特別な加工を施したり、両者を接着等しなくてもよい。さらに、本発明のローラ装置は、軸体を回転させることにより拡張部材を被固定部材本体の軸体挿通孔から退出させれば、被固定部材をローラ本体から容易に取り外すことができる。そのため、本発明のローラ装置は、ローラ本体と被固定部材とに容易に分解することができると共に、分解後にローラ本体や被固定部材を再利用することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、拡張部材の一端側の断面積が、他端側よりも大きく、軸体を正方向に回転させることにより、前記拡張部材を断面積の小さい方の端部を先頭にして軸体挿通孔内に侵入させることができ、軸体を逆方向に回転させることにより、前記拡張部材を軸体挿通孔の外側に向けて退出させることができることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のローラ装置である。
【0020】
本発明のローラ装置で採用されている拡張部材は、一端側に断面積の大きな部分があり、他端側に断面積の小さな部分がある。そして、本発明のローラ装置は、軸体を正回転させた際に拡張部材が断面積の小さな部分を先頭にして軸体挿通孔内に侵入する構成である。そのため、本発明のローラ装置は、組み立てに際して、さほど大きな力で軸体を回転させなくても拡張部材を軸体挿通孔内に侵入させることができる。従って、本発明のローラ装置は、容易にローラ本体と被固定部材とを一体化することができる。
【0021】
また、本発明のローラ装置は、軸体を逆回転させることにより、拡張部材を軸体挿通孔から退出させることができる。そして、拡張部材が軸体挿通孔から退出した状態になると、被固定部材側からローラ本体側に作用する押圧力が解除され、ローラ本体から被固定部材を容易に取り外し可能な状態になる。従って、本発明によれば、ローラ本体と被固定部材とを容易に分解することが可能なローラ装置を提供することができる。
【0022】
ここで、上記各発明にかかるローラ装置において採用されているローラ本体は筒状である。そのため、被固定部材をローラ本体に対してバランス良く固定するためには、被固定部材をその周方向に複数箇所で固定することが望ましい。具体的には、ローラ本体に対する被固定部材の固定強度を、被固定部材の周方向にバランスよく調整可能であることが望ましい。
【0023】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項7に記載の発明は、軸体挿通孔が、被固定部材本体の周方向に複数設けられており、各軸体挿通孔に軸体が挿通されると共に、拡張部材が軸体挿通孔内に侵入した状態で軸体に対して連結されることにより発生する押圧力により、被固定部材がローラ本体に対して固定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のローラ装置である。
【0024】
かかる構成によれば、ローラ本体に対する被固定部材の固定強度を被固定部材の周方向にバランス良く調整することができる。
【0025】
ここで、上記各発明にかかるローラ装置は、被固定部材に設けられた軸体を回転させることにより拡張部材を軸体挿通孔に対して進退させ、被固定部材をローラ本体に対して固定したり、被固定部材をローラ本体から取り外し可能とすることができる構成である。そのため、ローラ装置の組み立て作業や分解作業を容易に行えるようにするためには、軸体を容易に回転させることができる構成であることが望ましい。
【0026】
そこで、かかる知見に基づいて提供される請求項8に記載の発明は、軸体をローラ本体の端部側から回転させることができることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のローラ装置である。
【0027】
かかる構成によれば、軸体を容易に回転させることができる。よって、本発明のローラ装置は、その組み立てや分解を容易に行うことができる。
【0028】
上記請求項1〜8のいずれかに記載のローラ装置において、被固定部材は、ローラ本体の端部を閉塞する蓋とすることができる(請求項9)。
【0029】
かかる構成によれば、ローラ本体の端部を閉塞するための蓋をローラ本体に対して取り付けることができる。
【0030】
また、上記請求項1〜9のいずれかに記載のローラ装置は、ローラ本体の軸心位置に挿通された支軸を有し、ローラ本体の内部に駆動源が内蔵されており、当該駆動源において発生する動力を受けて、ローラ本体が支軸に対して相対回転可能なように支持されていることを特徴とするものであってもよい(請求項10)。
【0031】
本発明のローラ装置は、ローラ本体の内部に駆動源を備えており、当該駆動源から動力を受けてローラ本体が回転するものであるため、ローラ本体の回転に伴ってこれに取り付けられた被固定部材にも相応の応力が作用することになる。しかし、本発明のローラ装置は、上記請求項1〜9のいずれかのローラ装置で説明したような固定構造でローラ本体に対して被固定部材が固定されているため、ローラ本体が動力を受けて回転しても被固定部材がローラ本体から外れる可能性が極めて低い。
【0032】
請求項11に記載の発明は、筒状のローラ本体と、被固定部材とを有し、被固定部材がローラ本体に対して固定されたローラ装置の製造方法であって、前記被固定部材として、被固定部材本体と、固定手段とを有するものを用意すると共に、被固定部材本体として、軸体挿通孔を有し、固定手段が、前記被固定部材に設けられた軸体挿通孔に挿通可能な軸体と、当該軸体に連結され、一端側の断面積が他端側よりも大きい拡張部材とを有し、前記軸体を軸体挿通孔に挿通した状態において、前記軸体の回転に伴って、前記拡張部材を断面積の小さい方の端部を先頭にして軸体挿通孔内に侵入させ、被固定部材の外周部を当該外周部に対して交差する方向に押し広げることができるものを用意する工程と、ローラ本体内に前記被固定部材の一部又は全部を収納させる工程と、前記被固定部材の軸体を回転させて拡張部材を軸体挿通孔内に侵入させ、前記被固定部材の外周部の一部又は全部をローラ本体の内周面に押しつけた状態とすることにより、被固定部材をローラ本体に対して固定する工程とを有することを特徴とするローラ装置の製造方法である。
【0033】
本発明のローラ装置の製造方法で採用されている被固定部材は、固定手段を有し、当該固定手段を構成する軸体を回転させることにより、当該軸体に連結された拡張部材を被固定部材本体に設けられた軸体挿通孔内に侵入させ、被固定部材の外周部を押し広げ、被固定部材をローラ本体に対して固定することができる構成となっている。そのため、本発明のローラ装置の製造方法は、前記したような構成の被固定部材の一部又は全部をローラ本体の内側に収容させると共に、軸体を回転させて軸体挿通孔内に侵入させ、前記被固定部材の外周部の一部又は全部がローラ本体の内周面に押しつけられた状態とするだけで被固定部材をローラ本体に対して固定することができる。よって、本発明のローラ装置の製造方法によれば、ローラ本体に対して被固定部材を容易かつしっかりと取り付けることができる。
【0034】
本発明のローラ装置の製造方法によれば、ローラ本体や被固定部材に特別な加工を施したり、両者を接着等しなくてもよい。また、本発明の製造方法によって製造したローラ装置は、軸体を回転させることにより拡張部材を被固定部材本体の軸体挿通孔から退出させれば、被固定部材をローラ本体から容易に取り外すことができる。そのため、本発明のローラ装置の製造方法によれば、ローラ本体と被固定部材とに容易に分解可能であり、分解後にローラ本体や被固定部材を再利用可能なローラ装置を製造することができる。
【0035】
請求項12に記載の発明は、筒状のローラ本体と、被固定部材とを有し、被固定部材がローラ本体に対して固定されたローラ装置の製造方法であって、前記ローラ本体として、内周面側に係合部が設けられたものを用意すると共に、前記被固定部材として、被固定部材本体と、固定手段とを有し、被固定部材本体の外周部に被係合部を有し、当該被係合部に軸体挿通孔が設けられ、前記固定手段が、前記被固定部材に設けられた軸体挿通孔に挿通可能な軸体と、当該軸体に連結され、一端側の断面積が他端側よりも大きい拡張部材とを有し、前記軸体を軸体挿通孔に挿通した状態において、前記軸体の回転に伴って、前記拡張部材を断面積の小さい方の端部を先頭にして軸体挿通孔内に侵入させ、被固定部材の被係合部を被固定部材本体の外周部に対して交差する方向に押し広げることが可能なものを用意する工程と、ローラ本体内に前記被固定部材の一部又は全部を収納させる工程と、前記被固定部材の軸体を回転させて拡張部材を軸体挿通孔内に侵入させ、前記被固定部材の被係合部をローラ本体の係合部に押しつけた状態とすることにより、被固定部材をローラ本体に対して固定する工程とを有することを特徴とするローラ装置の製造方法である。
【0036】
本発明の製造方法によってローラ装置を製造すれば、軸体を回転させて拡張部材を被固定部材側に設けられた軸体挿通孔に侵入させるだけでローラ本体と被固定部材とを固定することができ、両者を固定する際に特別な加工を施したり、両者を接着する等の方策を施す必要がない。また、本発明の製造方法によって製造したローラ装置は、軸体を回転させて拡張部材を被固定部材本体の軸体挿通孔から退出させれば、被固定部材をローラ本体から容易に取り外すことができる。そのため、本発明のローラ装置の製造方法によれば、ローラ本体と被固定部材とに容易に分解可能であり、分解後にローラ本体や被固定部材を再利用可能なローラ装置を製造することができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、ローラ本体と被固定部材の一体化および分解が容易であると共に、分解後にローラ本体や被固定部材を容易に再利用可能なローラ装置、並びに、ローラ装置の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
(第1実施形態)
続いて、本発明の一実施形態にかかるローラ装置1について説明する。図1に示すように、ローラ装置1は、金属製で筒状のローラ本体2の両端を閉塞部材3,3(被固定部材)で閉塞したものであり、支軸5が閉塞部材3,3からローラ本体2の外側に向けて突出した構成とされている。ローラ装置1は、図2に示すように、ローラ本体2にモータ6や減速器(図示せず)からなる駆動ユニット7を内蔵した、いわゆるモータ内蔵ローラであり、駆動ユニット7から伝達されたモータ6の動力により、ローラ本体2が支軸5に対して回転可能な構成とされている。
【0039】
閉塞部材3は、本実施形態のローラ装置1において最も特徴的な構成を有する部材であり、その構成が閉塞部材本体10と、固定手段11とに大別される。閉塞部材本体10は、樹脂製であり、図3に示すように外観が略円筒型とされている。閉塞部材本体10の一端側には、他の部分よりも径方向外側に張り出したフランジ状の閉塞部15がある。図1や図2に示すように、閉塞部15は、閉塞部材3を取り付けた際にローラ本体2の端部に突き当てた状態とされる部分であり、その外径がローラ本体2の外径と略同一とされている。
【0040】
閉塞部材本体10は、その中心側(軸心側)のコア部20と、コア部20より外周側の外周部21とに大別される。閉塞部材本体10は、コア部20に中空の部分があり、当該中空部分に金属製の軸受12,13が所定の間隔を開けて並べて固定されている。具体的には、閉塞部材本体10の一端側に軸受12が、他端側に軸受13が取り付けられている。さらに、軸受12,13には、支軸5が挿通されている。そのため、閉塞部材本体10は、コア部20側の部分が径方向への押圧(応力の作用)を受けても変形しにくくなっている。また、閉塞部材本体10は、特に軸受12,13が設けられた部分は押圧による変形が起こりにくくなっている。
【0041】
一方、図2や図3に示すように、閉塞部材本体10は、外周部21に軸体挿通孔22を有する。軸体挿通孔22は、図2に示すように閉塞部材本体10の軸方向に伸びる貫通孔である。軸体挿通孔22は、図3に示すように、外周部21に、閉塞部材本体10の周方向に複数(本実施形態では4つ)設けられている。各軸体挿通孔22同士の間隔は、閉塞部材本体10の周方向に略均一とされている。
【0042】
軸体挿通孔22は、閉塞部15側の位置に縮径部23が設けられており、これよりも閉塞部15側の部分に座部25が、縮径部23を挟んで座部25とは反対側の部分にテーパー部26が設けられた構成とされている。縮径部23は、軸体挿通孔22において最も開口面積(開口径)が小さい部分である。縮径部23の開口径(断面積)は、後に詳述する軸体30を構成する軸部36は通過できるが、頭部35は通過できない程度の大きさである。座部25は、ローラ装置1の組み立て状態において後に詳述する軸体30の頭部35が収まる部分である。座部25は、閉塞部材3の閉塞部15に向けて開口している。
【0043】
テーパー部26は、図2に示すように、軸体挿通孔22の内径が閉塞部15側から離れるにつれて拡大する部分である。閉塞部材本体10は、テーパー部26が設けられた部分において、閉塞部材本体10の外周面と軸体挿通孔22の内周面との間の厚み(肉厚)が、閉塞部15から離れるにつれて徐々に肉薄になっているが、軸体挿通孔22の内周面と上記したコア部20との間の厚み(肉厚)は、略均一となっている。
【0044】
上記したように、閉塞部材本体10は、テーパー部26が設けられた部分において、軸体挿通孔22と外周面との間の肉厚が、閉塞部15側から離れるほど肉薄になっている。一方、テーパー部26が設けられた部分は、軸体挿通孔22のコア部20側の部分の肉厚が、部位によらず略均一の肉厚となっている。また、コア部20には軸受12,13が設けられており、これらに支軸5が挿通されている。これにより、コア部20は、軸体挿通孔22よりも外周側の部分よりも閉塞部材本体10の径方向外側に向かう方向への強度が高くなっている。そのため、閉塞部材本体10は、軸体挿通孔22において当該軸体挿通孔22の径方向外側に向かう方向に応力が作用すると、外周部21が閉塞部材本体10の径方向外側に向けて優先的に変形することとなる。
【0045】
固定手段11は、軸体30や、テーパーナット31(拡張部材)、平座金32、バネ座金33を備えている。軸体30は、いわゆる六角穴付きボルトによって構成されており、図2や図3に示すように頭部35と軸部36とを有する。頭部35は、上記した閉塞部材本体10に設けられた座部25に収まる程度の大きさを有している。軸体30は、頭部35に設けられた六角形の穴に六角レンチ等の工具を差し込んで回転させることができる。軸部36は、外周にネジが設けられたネジ軸である。
【0046】
軸体30は、図2や図3(a)に示すように、閉塞部材本体10に設けられた軸体挿通孔22に対して、閉塞部15側の開口部分に軸部36側を先頭にして差し込まれている。軸体30は、図2や図3(b)に示すように軸部36が閉塞部15とは反対側の開口部分から突出するように差し込まれている。この状態において、平座金32およびバネ座金33は、頭部35と座部25との間に挟まれている。
【0047】
軸部36の先端部分は、図2や図3(b)に示すように、軸体挿通孔22のテーパー部26側の開口から外側に向けて突出している。軸部36には、テーパーナット31が装着されている。テーパーナット31は、図2や図3に示すように、断面形状が略矩形でくさび状の部材である。テーパーナット31は、面積が小さな先端面41と面積の大きな基端面43とを有し、先端面41側から基端面43側に向けて断面積がだんだん大きくなる形状となっている。
【0048】
具体的には、図4に示すように、テーパーナット31は、先端面41と、これに対して略平行な基端面43と、これらに対して交差する外周面45a〜45dを有する。外周面45a,45cは互いに対向する位置関係にある。また、外周面45b,45dについても、互いに対向する位置関係にある。外周面45a,45cは、図示するように平面視が略台形となっており、共に先端面41および基端面43に対して略垂直になっている。また、外周面45bは、平面視が略矩形となっており、先端面41および基端面43に対して略垂直になっている。外周面45d(以下、必要に応じてテーパー面45dとも称す)は、外周面45aに対してやや傾斜した状態で外周面45bに対向している。すなわち、テーパー面45dは、図4に示すように外周面45bを下方に向けた姿勢において、先端面41a側の部分から基端面43側の部分に向けて上向きに傾斜している。
【0049】
テーパーナット31は、先端面41および基端面43に対して略垂直に設けられたネジ穴46を有し、これに軸体30の軸部36を螺合させることができる。テーパーナット31は、図2や図3に示すように、テーパー面45dが閉塞部材本体10の外周面側に向く姿勢として、先端面41側を先頭にして軸体挿通孔22のテーパー部26側の開口から差し込まれ、軸体30の軸部36と螺合されている。
【0050】
テーパーナット31は、上記したような姿勢で軸体30の軸部36と螺合されており、六角レンチ等を用いて軸体30を回転させることによりテーパーナット31に対して軸部36の伸びる方向、すなわち軸体挿通孔22のテーパー部26の伸びる方向に推進力を発生させることができる。具体的には、軸体30を正方向に回転させると、軸部36に係合されているテーパーナット31が閉塞部材本体10に設けられた軸体挿通孔22内に侵入し、閉塞部15側に向けて進む方向に推進力が発生する。一方、軸体30を逆方向に回転させると、軸部36に係合されているテーパーナット31が軸体挿通孔22から出る方向、すなわち閉塞部15から離れる方向に向けて進む方向に推進力が発生する。
【0051】
ここで、上記したように、テーパーナット31は、先端面41側が基端面43よりも小さい。また、テーパーナット31の先端面41側の外接円を想定した場合、当該外接円の径は、軸体挿通孔22のテーパー部26の開口径と同等あるいはやや小さい。そのため、テーパーナット31は、特別大きな外力を作用させなくても、先端面41側の部分を軸体挿通孔22のテーパー部26側の開口部分に差し込むことができる。一方、テーパーナット31の基端面43側の端部の面積は、テーパー部26の開口面積よりも大きい。すなわち、基端面43の外接円を想定した場合、当該外接円の径はテーパー部26の開口径よりも大きい。そのため、テーパーナット31は、単に軸体挿通孔22のテーパー部26側の開口から差し込もうとするだけでは、先端面41側からある程度差し込んだ時点でテーパー部26側の開口に引っかかり、それ以上軸体挿通孔22内に侵入することができない。
【0052】
しかし、本実施形態では、テーパーナット31に先端面41と基端面43との間を貫通するように設けられたネジ穴46が設けられている。そして、閉塞部材本体10に設けられた軸体挿通孔22に挿通されている軸体30の軸部36が、テーパーナット31のネジ穴46に螺合している。そのため、テーパーナット31を先端面41を先頭にして軸体挿通孔22のテーパー部26側の開口から差し込んだ状態において軸体30を正回転させると、テーパーナット31に対して閉塞部材本体10の閉塞部15側に向かう方向に大きな推進力が発生する。
【0053】
さらに、本実施形態で採用されている閉塞部材本体10は、軸体挿通孔22よりも外周側の部分が、軸体挿通孔22よりもコア部20側の部分よりも閉塞部材本体10の径方向への強度が低い。すなわち、閉塞部材本体10において軸体挿通孔22よりも中心側(コア部20側)の部分は、軸受12,13や支軸5によって補強される等して強度が高いが、軸体挿通孔22よりも外側の部分は肉薄で径方向外側に向けて変形しやすい。特に、テーパー部26の入口部分、すなわち閉塞部材本体10のテーパー部26側の開口部分近辺は、テーパー部26の末端にあたり特に肉薄であるのに対し、コア部20側の部分には軸受12があり特に高強度となっている。そのため、軸体30を正回転させテーパーナット31に対して推進力を発生させると、図2(b)に示すようにテーパーナット31が軸体挿通孔22内に侵入すると共に、これに伴って発生する応力により閉塞部材本体10の軸体挿通孔22に対して外周側の部分が、閉塞部材本体10の径方向外側に向けて押し広げられる。
【0054】
続いて、本実施形態にかかるローラ装置1の製造方法について説明する。ローラ装置1は、筒状のローラ本体2に対してモータ6や減速器(図示せず)からなる駆動ユニット7や支軸5、閉塞部材3,3を組み付けることにより構成される。すなわち、ローラ装置1を組み立てる場合は、図2に示すように、予め準備された筒状のローラ本体2内に駆動ユニット7が配され、組み付けられると共に、筒状の支軸5が挿通される。駆動ユニット7に電気的に繋がれ、駆動ユニット7に対する電力供給や駆動ユニット7の制御等に使用するためのコード50は、図2に示すように支軸5の内部に挿通されると共に、予め支軸5の端部に設けられた取出口5aから外部に取り出される。
【0055】
上記したようにして駆動ユニット7をはじめとするローラ本体2に内蔵される部材や、支軸5が配されると、ローラ本体2の両端の開口部分に閉塞部材3,3が装着され、ローラ本体2に対して固定される。具体的には、閉塞部材3,3は、ローラ本体2への装着に先立って、閉塞部材本体10の外周部21に設けられた各軸体挿通孔22に軸体30が挿通されると共に、軸体30の先端側にテーパーナット31が装着される。ここで、軸体30は、図3に示すように、軸部36を先頭にして軸体挿通孔22の座部25側、すなわち閉塞部材本体10の閉塞部15側の開口部分から差し込まれる。また、テーパーナット31は、図3に示すように、表面積の小さな先端面41側を先頭として軸体挿通孔22に侵入可能であり、テーパー面45dが軸体挿通孔22内に侵入した状態において閉塞部材本体10の外周側を向く姿勢とされる。
【0056】
上記したようにして閉塞部材本体10に対して固定手段11をなす軸体30やテーパーナット31を組み付けた状態とされると、閉塞部材3,3は、図2(a)に示すように、それぞれ閉塞部15とは逆側の端部(軸体挿通孔22のテーパー部26側の端部)を先頭にしてローラ本体2の両端の開口部から閉塞部15がローラ本体2の端部に突き当たるまで差し込まれる。この際、閉塞部材本体10のコア部20に設けられた軸受12,13の開口部分に支軸5が挿通される。これにより、図2(a)に示すように、閉塞部材3の中心部(軸心位置)を支軸5が通り、支軸5の端部が閉塞部15よりも外側に突出した状態になる。
【0057】
上記したようにして閉塞部材3,3の主要部がローラ本体2内に嵌め込まれた状態になると、各閉塞部材3の閉塞部15側に露出している軸体30の頭部35に設けられた六角形の穴に六角レンチ等の工具を差し込む等して、軸体30が正方向に回転される。これにより、軸体30の軸部36に連結(螺合)されているテーパーナット31に対して推進力が作用し、軸部36に沿って先端面41側を先頭にして閉塞部材本体10の軸体挿通孔22内に侵入しはじめる。
【0058】
上記したようにしてテーパーナット31が軸体挿通孔22内に侵入していくと、テーパーナット31によって軸体挿通孔22が押し広げられると共に、閉塞部材本体10の外周面がその径方向外側に向けて拡張する。さらに詳細に説明すると、上記したように、テーパーナット31は、先端面41が軸体挿通孔22内に侵入可能な程度の大きさとされているが、先端面41側から基端面43側に向けて徐々に断面積が拡大している。
【0059】
また、閉塞部材本体10は、軸体挿通孔22のテーパー部26がその先端部、すなわちテーパーナット31の入口側の部分ほど肉薄であり、閉塞部材本体10の径方向に向けて撓みやすいのに対して、軸体挿通孔22よりもコア部20側の部分は軸受12,13や支軸5の存在によって補強され、軸体挿通孔22に対して外周側の部位よりも閉塞部材本体10の径方向に撓みにくくなっている。さらに、テーパー部26の入口近傍の部分は、軸体挿通孔22に対して閉塞部材本体10の径方向外側の部分が最も肉薄になっているのに対し、コア部20側の部分には軸受12が存在し、さらにこれに支軸5が挿通されている。そのため、軸体30の回転に伴う推進力を受けてテーパーナット31が図2(b)に示すように軸体挿通孔22内に侵入すると、軸体挿通孔22が拡張されると共に、軸体挿通孔22に対して閉塞部材本体10の外側の部分が優先的に閉塞部材本体10の径方向外側に向けて膨出した状態になる。これにより、閉塞部材本体10の外周部21がローラ本体2の内周面に押しつけられた状態になる。
【0060】
上記したようにして、各閉塞部材3,3に設けられた全ての軸体30が正回転されると、当該軸体30が挿通されている部分において閉塞部材本体10の外周部21が径方向外側に膨出し、ローラ本体2の内周面に押しつけられた状態になる。ここで、各軸体30の回転量は、略同一とされる。これにより、各軸体30に装着されているテーパーナット31が軸体挿通孔22内に同程度だけ侵入することになり、閉塞部材本体10が周方向のいずれの部位においても同程度の強度でローラ本体2に対して固定された状態となる。これにより、一連のローラ装置1の組み立て作業が完了する。
【0061】
ローラ装置1は、上記したようにして閉塞部材3をローラ本体2に装着した状態で各軸体30を正回転させることにより閉塞部材3をローラ本体2に対して固定できると共に、各軸体30を逆回転させることにより閉塞部材3をローラ本体2から取り外し可能な状態とし、分解することができる。さらに詳細には、上記したようにして組み立てられたローラ装置1を分解する場合は、閉塞部材3の閉塞部15に露出している各軸体30に設けられた六角形の穴に六角レンチ等を装着し、各軸体30を上記したのとは逆方向に回転させる。これにより、テーパーナット31に軸体挿通孔22の外側に出る方向(閉塞部15側から遠ざかる方向)への推進力が作用する。
【0062】
テーパーナット31が図2(b)のように軸体挿通孔22の内側にある状態から図2(a)のように外側に向けて移動した状態になると、テーパーナット31の侵入に伴って閉塞部材本体10の外周面に作用していたローラ本体2の内周面側に向かう方向への押圧力が解除される。このような状態になると、閉塞部材3は、ローラ本体2からさほど大きな力で引っ張らなくても容易に取り外し可能な状態になる。
【0063】
上記したようにしてローラ本体2の両端に取り付けられた閉塞部材3,3をそれぞれ取り外すと、モータ6等からなる駆動ユニット7や支軸5等の構成部材についてもローラ本体2から取り外し可能な状態になる。そして、これらの構成部材をローラ本体2から取り外すと、ローラ装置1の分解作業が完了する。
【0064】
本実施形態のローラ装置1が備える閉塞部材3の固定手段11は、閉塞部材本体10に設けられた軸体挿通孔22に挿通された軸体30を正回転させることにより、これに連結(螺合)されたテーパーナット31を軸体挿通孔22内に侵入させて軸体挿通孔22を拡張すると共に、軸体挿通孔22に対して閉塞部材本体10の外周側の部分をコア部20側の部分よりも優先的に押し広げ、閉塞部材本体10の外周面をローラ本体2の内周面に押しつけた状態として閉塞部材3をローラ本体2に対して固定することができる。このように、ローラ装置1は、組み立てに際して軸体30を正回転させるだけで閉塞部材3を固定できるため、上記した従来技術に比べて極めて容易に組み立てることができる。
【0065】
また、本実施形態のローラ装置1は、軸体30を逆回転させてテーパーナット31を軸体挿通孔22から退出させることにより、閉塞部材3とローラ本体2との固定構造を解除し、閉塞部材3を取り外し可能な状態とすることができる。よって、本実施形態のローラ装置1は、組み立てだけでなく、分解も容易に行うことができる。
【0066】
さらに、本実施形態のローラ装置1は、組み立て時にローラ本体2や閉塞部材3に特別な加工を施したり、接着剤を塗布する等いったようなことが行われない。そのため、ローラ装置1は、ローラ本体2から閉塞部材3を取り外した状態において両者を再利用する事ができる。
【0067】
なお、上記実施形態では、閉塞部材3を構成する固定手段11のみを用いて閉塞部材3をローラ本体2に対して固定する構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記した従来技術のようにローラ本体2と閉塞部材3とを一体的にかしめるような固定構造や接着剤による固定構造を併用することとしてもよい。かかる構成とした場合、ローラ本体2に対する閉塞部材3の取り付けや取り外しの簡便さや、ローラ本体2から閉塞部材3を取り外した後の再利用が困難になるが、ローラ本体2と閉塞部材3とをより一層強固に固定することができる。
【0068】
また、上記したように従来技術の固定方法と、上記した固定手段11を用いた固定構造とを併用する場合は、先ず固定手段11による固定構造によりローラ本体2に対して閉塞部材3が動かないように固定(仮止め)して、その後、ローラ本体2と閉塞部材3とをかしめる等して固定することとしてもよい。かかる固定方法を採用すれば、ローラ本体2に対して閉塞部材3をより一層強固に固定できると共に、従来技術の固定方法によるローラ本体2と閉塞部材3との固定も容易に行うことができる。
【0069】
上記実施形態で例示した閉塞部材本体10は、外周面が平滑なものであったが、例えばテーパーナット31が軸体挿通孔22内に侵入することに伴って閉塞部材本体10の径方向外側に向けて膨出する部分、すなわち軸体挿通孔22に対して径方向外側の部分に凸部を設けたり、当該凸部に加えて当該凸部と係合可能な部分をローラ本体2の内周面に設ける等して、閉塞部材本体10の膨出に伴ってローラ本体2と閉塞部材3とが係合したり引っかかることが可能な構成としてもよい。かかる構成とすれば、閉塞部材本体10の外周面がローラ本体2の内周面に向けて押しつけられる押圧力に加えて、前記凸部がローラ本体2の内周面に係合したり引っかかった状態になることとなり、ローラ本体2に対して閉塞部材3をより一層強固に固定することができる。
【0070】
本実施形態のローラ装置1で採用されているテーパーナット31は、一端側に断面積(あるいは表面積)の大きな基端面43があり、他端側に断面積(あるいは表面積)の小さな先端面41があり、いわゆる「くさび」のような形状とされている。一方、閉塞部材本体10に設けられた軸体挿通孔22は、断面形状がテーパー状となっており、末端部分、すなわちテーパーナット31の入口側に向けて開口領域が拡がる構成とされている。また、ローラ装置1は、軸体30を正回転させた際にテーパーナット31が断面積の小さな部分を先頭にして軸体挿通孔22内に侵入する構成とされている。そのため、ローラ装置1は、組み立てに際して、さほど大きな力で軸体を回転させなくてもテーパーナット31を軸体挿通孔22内にスムーズに侵入させ、ローラ本体2と閉塞部材3とを一体化することができる。
【0071】
上記実施形態では、軸体30に連結されるテーパーナット31が図4等に示すように断面形状が矩形でくさび状のものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、従来公知のテーパーナットのように外観が台円錐形のもの等を採用することも可能である。テーパーナット31に代わって外観が台円錐状のものを採用した場合は、断面積が縮小した部分を先頭にして軸体挿通孔22に挿通させる構成とすることにより、テーパーナット31を採用した場合と同様に軸体30を回転させることにより軸体挿通孔22にスムーズに侵入させることができる。なお、テーパーナット31に代わって外観が台円錐状のテーパーナットを採用する場合は、当該テーパーナットを軸体挿通孔22に侵入させた状態において外周面が軸体挿通孔22の内周面に当接可能なように軸体挿通孔22の断面形状を調整することが望ましい。
【0072】
上記したローラ装置1は、閉塞部材本体10の周方向に軸体挿通孔22が複数設けられており、各軸体挿通孔22に軸体30が挿通されると共に、これにテーパーナット31が連結(螺合)されている。そして、各軸体30をそれぞれ正回転させることにより、閉塞部材本体10が全周にわたってローラ本体2の内周面に押圧され、閉塞部材本体10がローラ本体2に対して固定されている。そのため、ローラ装置1は、閉塞部材3がローラ本体2の全周にわたってバランス良く固定されている。
【0073】
なお、上記実施形態では、ローラ本体2と閉塞部材3とを固定する際に、各軸体30を同程度の回転量だけ回転させることにより、閉塞部材3の各部をローラ本体2の内周面に向けて略均等に押圧させた状態で固定することとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、ローラ装置1の組み立て時に、ローラ本体2や閉塞部材3の周方向の一部に相当する部分にある軸体30の回転量を他の部位にある軸体30と異なるようにして、固定強度をローラ本体2や閉塞部材3の周方向の位置によって異なる構成としてもよい。かかる構成によれば、ローラ本体2に対する閉塞部材3の固定強度をこれらの部材の周方向に適宜調整することができる。
【0074】
また、上記実施形態では、閉塞部材3の複数の軸体挿通孔22を周方向に略等間隔に設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の軸体挿通孔22のうちの一部についての配置間隔が、他の軸体挿通孔22のものと異なる構成としてもよい。かかる構成によれば、ローラ装置1において特定の位置に大きな負荷が作用すると想定されるような場合に、当該部位を他の部位よりも強固に固定する等、ローラ本体2および閉塞部材3の周方向に固定強度のバランスを適宜最適な状態に調整することができる。
【0075】
上記したローラ装置1は、閉塞部材本体10の中心側にコア部20が設けられており、当該コア部20に対して閉塞部材3の外周側に軸体挿通孔22が設けられている。そして、閉塞部材本体10は、軸体挿通孔22にテーパーナット31が侵入することにより、閉塞部材本体10の径方向に作用する応力により、閉塞部材本体10がコア部20側方向よりも、閉塞部材本体10の外周側方向に向けて変形しやすい構造となっている。具体的には、コア部20に軸受12,13が設けられており、これらに支軸5が挿通されているのに対し、外周部21は肉薄とされており閉塞部材本体10の径方向に容易に変形可能な構造となっている。そのため、閉塞部材本体10は、軸体挿通孔22にテーパーナット31が侵入することにより、閉塞部材3のコア部20側よりも外周側の方が優先的に変形する。従って、本実施形態のローラ装置1は、テーパーナット31が軸体挿通孔22に侵入することにより閉塞部材本体10の径方向に作用する応力を閉塞部材本体10の外周部21を径方向外側に向けて変形(撓ませる)ために有効利用することができ、閉塞部材3をローラ本体2に対して容易かつしっかりと固定することができる。
【0076】
上記実施形態では、閉塞部材本体10のコア部20に軸受12,13を設けたり、これらに支軸5を挿通することにより、コア部20の径方向への圧縮強度を向上させた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、軸受12,13を設けたりする代わりに、コア部20を外周部21よりも高強度な部材や素材で構成することとしたり、軸体挿通孔22よりも閉塞部材本体10の中心(軸心)側の部分の肉厚を軸体挿通孔22よりも外周部21側の部分の肉厚よりも厚くする等の方策を施してもよい。また、上記したようにローラ本体2の蓋として機能する閉塞部材3ではなく、支軸5が挿通されない他の被固定部材を固定等する場合は、当該被固定部材に上記した軸体挿通孔22に相当するものを設けると共に、固定手段11に相当するものを設け、コア部20に相当する部分を中実としたり、コア部20に相当する部分を外周部21に相当する部分よりも高強度な構成としてもよい。
【0077】
上記したローラ装置1は、ローラ本体2の開口部分に閉塞部材3を嵌め込んだ状態において、ローラ本体2の端部において外部に露出する閉塞部15に軸体30の頭部35が設けられており、この頭部35に設けられた穴に六角レンチ等の工具を装着して容易に軸体30を回転させることができる。そのため、ローラ装置1は、閉塞部材3の固定および取り外しを容易に行うことができる。
【0078】
なお、上記実施形態では、軸体30をローラ本体2の端部近傍に偏った位置に軸体30が存在し、ローラ装置2の端部側から回転させることができる構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ローラ本体2の内部であって、ローラ本体2の端部から離れた位置に軸体30が存在する構成とされてもよい。かかる構成とした場合は、軸体30を回転させるのが困難になる可能性があるが、上記実施形態で示したのと同様に軸体30を回転させるだけで閉塞部材3をローラ本体2に対して固定することができる。
【0079】
上記したローラ装置1は、ローラ本体2の内部に駆動ユニット7を内蔵しており、この動力を受けて支軸5に対してローラ本体2が回転可能な、いわゆるモータ内蔵ローラであり、作動に伴ってローラ本体2に対して閉塞部材3が固定されている部分に幾ばくかの応力が作用する可能性がある。しかし、本実施形態のローラ装置1は、ローラ本体2と閉塞部材3とが上記したような固定構造でしっかりと一体化されているため、ローラ本体2が支軸5に対して回転することにより固定構造部分に応力が作用しても、閉塞部材3がローラ本体2から外れることがない。
【0080】
上記実施形態で例示したローラ装置1は、モータ6等を内蔵したモータ内蔵ローラであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ローラ本体2内に駆動源をもたない、いわゆるフリーローラ等であってもよい。
【0081】
また、上記したローラ装置1は、閉塞部材3がローラ本体2の両端に取り付けられたものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ローラ本体2の一端側にのみ取り付けられているものであってもよい。すなわち、ローラ本体2の一端側に閉塞部材3とは別の閉塞部材を取り付けた構成としたり、ローラ本体2として一端側が閉塞された筒体を用い、その開口端に上記した閉塞部材3を取り付ける構成としてもよい。
【0082】
上記実施形態では、閉塞部材3の主要部がローラ本体2の内部に納まると共に、その一部をなす閉塞部15がローラ本体2の外側に位置するようにして固定した構造を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、閉塞部材3の全部がローラ本体2の内側に収納される構成であってもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、ローラ本体2の蓋として機能する閉塞部材3を閉塞部材本体10と固定手段11とにより構成した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ローラ本体2に対して固定される他の部材を同様の構成を備えたものとし、同様の固定構造で固定することとしてもよい。
【0084】
上記実施形態で示したローラ装置1は、ローラ本体2の内周面および閉塞部材本体10の外周面の双方の断面形状が円形であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ローラ本体2の内周面および閉塞部材本体10の外周面のいずれか一方又は双方について断面形状が非円形のものとすることも可能である。かかる構成とした場合は、ローラ本体2に対して閉塞部材3がしっかりと固定され、作動時にローラ本体2に対して閉塞部材3が相対回転しない、いわゆる回転止めの効果も高いローラ装置1を提供することができる。
【0085】
また、本実施形態のローラ装置1は、閉塞部材3を構成する閉塞部材本体10の外周面を径方向に拡げることによりローラ本体2に対して閉塞部材3を固定するものであるため、ローラ本体2の内径や閉塞部材本体10の外径に多少のバラツキがあってもこれらをしっかりと固定することができる。
【0086】
(第2実施形態)
本発明は、上記したローラ装置1のように閉塞部材3の閉塞部材本体10をその径方向外側に膨張変形させることにより閉塞部材3をローラ本体2に対して固定する構造に限定されるものではなく、以下に示す第2実施形態にかかるローラ装置50のような固定構造を採用したものであってもよい。以下、ローラ装置50について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、ローラ装置50は、大部分が上記第1実施形態にかかるローラ装置1と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0087】
図1に示すように、第2実施形態にかかるローラ装置50は、上記したローラ装置1と同様に、外観が円筒状のローラ本体52を有し、この両端に閉塞部材53,53を装着した構成とされている。ローラ装置50は、上記実施形態にかかるローラ装置1と同様にローラ本体52の内部にモータ6等からなる駆動ユニット7を備えている。ローラ装置50は、ローラ本体52の両端側から突出した支軸5に対して自由に回転可能なように支持されている。
【0088】
ローラ装置50は、ローラ本体52や、これに取り付けられる閉塞部材53、テーパーナット81等の構成が一部上記したローラ本体2や閉塞部材3、テーパーナット31と異なる。また、ローラ本体52と閉塞部材53との固定構造についても、上記した第1実施形態のものと異なる。
【0089】
さらに具体的に説明すると、本実施形態で採用されているローラ本体52は、図5(a),(b)に示すように、ローラ本体52の内周側の4カ所に係合部55が設けられている。各係合部55は、それぞれローラ本体52の周方向に略等間隔に設けられている。係合部55は、それぞれローラ本体52の内側に向けて突出した一対の係合片55a,55bの組み合わせによって構成されている。係合片55a,55bは、それぞれローラ本体52の端部(開口部分)からローラ本体52の長手方向にほぼ真っ直ぐ伸びており、互いに平行となっている。そのため、係合部55は、係合片55a,55bに挟まれた部分(以下、溝部55cとも称す)がローラ本体52の長手方向に伸びており、溝状になっている。
【0090】
閉塞部材53は、閉塞部材本体60と、固定手段61とに大別される。閉塞部材本体60は、樹脂製で筒状の部材である。閉塞部材本体60は、上記した閉塞部材3の閉塞部材本体10と大部分の構成が同一であるが、一部が構造の異なる部分がある。
【0091】
閉塞部材53の構造について具体的に説明すると、閉塞部材本体60は、その一端側に他の部分よりも径方向外側に張り出したフランジ状の閉塞部65がある。閉塞部材本体60は、上記した閉塞部材本体10のコア部20に相当するコア部70を有し、その外周側に複数(本実施形態では4つ)の軸体挿通部72(被係合部)を有する。すなわち、閉塞部材本体60は、上記した閉塞部材本体10の外周部21に相当する部分に代わって、閉塞部材本体10に設けられている軸体挿通孔22と同様に軸体30を挿通可能な軸体挿通部72が設けられた構造とされている。換言すれば、閉塞部材本体60は、上記した閉塞部材本体10において、外周部21のうち、軸体挿通孔22に相当する部分を除く部分を取り除いたような構造とされている。
【0092】
軸体挿通部72は、ローラ装置50の組み立てに際して、ローラ本体52の内側に設けられた係合部55と係合する部分である。軸体挿通部72は、閉塞部65とは反対側(以下、背面側とも称す)から閉塞部65側(以下、正面側とも称す)に向け、閉塞部材本体60の軸線方向に直線的に伸びる突条のような外観を有する。軸体挿通部72は、上記したローラ本体52の内側に設けられた係合部55を構成する溝部55cに沿って差し込み可能な大きさとされている。
【0093】
コア部70には、上記した閉塞部材本体10のコア部20と同様に中空の部分がある。そして、この中空の部分に金属製の軸受12,13が所定の間隔を開けて並べて固定されている。軸受12,13には、支軸5が挿通される。支軸5は、ローラ装置50の組み立て状態において、閉塞部材本体60の端部に設けられた閉塞部65の略中央に設けられた開口を介して外部に突出している。コア部70は、軸受12,13やこれに挿通された支軸5によって径方向への応力を受けても変形しにくくなっている。
【0094】
軸体挿通部72は、閉塞部材本体60の軸方向に伸びる貫通孔を形成している。軸体挿通部72は、図8や図9に示すように、閉塞部65側の位置に縮径部73が設けられており、これよりも閉塞部65側(正面側)の部分に座部75が、縮径部73を挟んで座部75とは反対側(背面側)の部分にテーパー部76が設けられた構成とされている。縮径部73は、軸体挿通部72において最も開口面積(開口径)が小さい部分であり、その開口径(断面積)は軸体30の軸部36は通過できるが、頭部35は通過できない程度の大きさである。座部75は、図6(a)に示すように、正面視が円形であり、ローラ装置50の組み立て状態において軸体30の頭部35が収まる部分であり、閉塞部65において開口している。
【0095】
テーパー部76は、上記第1実施形態の閉塞部材本体60に設けられた軸体挿通孔22のものとは異なる。さらに詳細に説明すると、テーパー部76は、図6(b)や図7に示すように正面視が略矩形の孔である。そして、テーパー部76は、図9に示すように、背面側から正面側(閉塞部65側)に近づくほどその開口領域(開口断面積)が小さくなっている。すなわち、テーパー部76は、図9に示すようにコア部70の外接面に沿って断面視した状態(図7のB−B断面)において、その内周面が略テーパー状である。テーパー部76は、閉塞部材本体60において背面側から正面側に向けて徐々にその開口領域が狭くなっている。一方、図8に示すように、テーパー部76は、コア部70の径方向に沿って断面視した状態(図7のA−A断面)において、その内周面は閉塞部材本体60の正面側から背面側に向けて拡大あるいは縮小することなく略均一となっている。
【0096】
さらに詳細に説明すると、テーパー部76を構成する4面を面72a〜72dとし、面72aをコア部70の外周面によって構成される面、面72bを面72aに対向する面、面72c,72dを面72a,72bに対して略垂直な面とした場合、面72a,72bは閉塞部材本体60の正面側から背面側に向けて互いに平行であり、その肉厚が全体にわたって略均一である。一方、面72c,72dは、閉塞部材本体60の正面側から背面側に向けて徐々に肉薄になり、その分互いの間隔が拡がっている。よって、テーパー部76は、面72c,72dの肉薄になっている部分、すなわち面72c,72dにおいて閉塞部材本体60の背面側の部分は、面72c,72dに対して略垂直方向に作用する応力に対して変形しやすくなっている。
【0097】
固定手段61は、上記第1実施形態で採用されていた固定手段11と同様に、軸体30と、テーパーナット81(拡張部材)、平座金32、バネ座金33を備えた構成とされている。軸体30は、図8や図9に示すように、閉塞部材本体60に設けられた軸体挿通部72に対して、閉塞部65側の開口部分に軸部36側を先頭にして差し込まれている。軸体30は、軸部36が軸体挿通部72の背面側の開口部分から突出するように差し込まれている。この状態において、平座金32およびバネ座金33は、頭部35と座部75との間に挟まれている。
【0098】
軸部36には、テーパーナット81が装着される。テーパーナット81は、図10(a)に示すように、外観がテーパー状の部材である。すなわち、テーパーナット81は、面積が小さな先端面81aと面積の大きな基端面81bとを有し、先端面81a側から基端面81b側に向けて断面積がだんだん大きくなる形状となっている。また、テーパーナット81は、先端面81aおよび基端面81bに対して略垂直な天面81cおよび底面81dを有し、これらが互いに略平行となっている。テーパーナット81は、天面81cおよび底面81dに対して略垂直な一対の側面81e,81fを有する。側面81e,81fの間隔は、基端面81b側から先端面81a側に向かって徐々に小さくなっており、いわゆるテーパー状となっている。
【0099】
テーパーナット81には、先端面81aおよび基端面81bに対して略垂直に貫通したネジ穴96を有し、これに軸体30の軸部36を螺合させることができる。テーパーナット81は、図6や図9に示すように、側面81e,81fが閉塞部材本体60に設けられた軸体挿通部72の面72c,72dに沿い、天面81cおよび底面81dが面72b,72aに沿う姿勢とされ、先端面81a側を先頭にして軸体挿通部72のテーパー部76側(背面側)の開口から差し込まれ、軸体30の軸部36と螺合されている。
【0100】
テーパーナット81は、上記したような姿勢で軸体30の軸部36と螺合されている。そのため、六角レンチ等を用いて軸体30を回転させると、テーパーナット81に対して軸部36の伸びる方向、すなわち軸体挿通部72のテーパー部76の伸びる方向に推進力が発生し、テーパーナット81が軸体挿通部72内に侵入あるいは軸体挿通部72から退出する。具体的には、軸体30を正方向に回転させると、軸部36に係合されているテーパーナット81が閉塞部材本体60に設けられた軸体挿通部72内に侵入し、閉塞部65側に向けて進む方向に推進力が発生する。一方、軸体30を逆方向に回転させると、軸部36に係合されているテーパーナット81が軸体挿通部72から出る方向、すなわち閉塞部65から離れる方向に向けて進む方向に推進力が発生する。
【0101】
ここで、上記したように、テーパーナット81は、先端面81a側が基端面81b側よりも小さく、外観がテーパー状(くさび状)になっている。そのため、テーパーナット81は、特別大きな外力を作用させなくても、先端面81a側の部分を先頭にして軸体挿通部72のテーパー部76側の開口部分に差し込むことができる。
【0102】
一方、テーパーナット81の基端面81b側の端部の面積は、テーパー部76の開口面積よりも大きい。また、テーパーナット81の厚み、すなわち天面81cと底面81dとの間隔は、上記した軸体挿通部72の内周側の面72aおよび外周側の面72bとの間に形成される空間の間隔と同等とされている。さらに、テーパーナット81の幅、すなわち側面81e,81f間の間隔は、先端面81a側から基端面81b側に向けて徐々に拡大しており、その中途よりも基端面81b側の部分の幅は、上記した軸体挿通部72に設けられた開口の間口、すなわち面72c,72d間の間隔よりも大きくなっている。そのため、テーパーナット81は、軸体挿通部72への侵入初期段階、すなわちテーパーナット81の先端面81a側の部分だけが軸体挿通部72に侵入した段階ではスムーズに軸体挿通部72内に侵入する。そして、その後さらに軸体30を正方向に回転させ、テーパーナット81をさらに軸体挿通部72内に侵入させようとすると、テーパーナット81の側面81e,81fが面72c,72dに引っかかった状態になり、単に軸体挿通部72に差し込もうとするだけでは、それ以上侵入できない状態になる。
【0103】
しかし、本実施形態では、テーパーナット81のネジ穴96に装着された軸体30を正方向に回転させると、テーパーナット81に大きな推進力が発生する。また、閉塞部材本体60において、軸体挿通部72のテーパー部76を構成する面72c,72dは、閉塞部材本体60の背面側の部分においてその肉厚が薄くなっており、比較的変形しやすい。そのため、軸体30を正回転させテーパーナット81に対して推進力を発生させると、図9(b)に示すようにテーパーナット81が軸体挿通部72のテーパー部76を構成する面72c,72dの間隔を押し広げながら軸体挿通部72内に侵入する。これにより、閉塞部材本体60の軸体挿通部72は、面72c,72dに相当する部分、すなわち閉塞部材本体60の周方向外側に向けて拡がるように変形する。
【0104】
続いて、本実施形態のローラ装置50の製造方法について説明する。ローラ装置50は、上記したローラ装置1を製造する場合と同様に、閉塞部材53の取り付けに先立って筒状のローラ本体52に対してモータ6や減速器(図示せず)からなる駆動ユニット7や支軸5が組み付けられる。そしてその後、閉塞部材53,53がローラ本体52に対して取り付けられ、固定される。
【0105】
具体的には、閉塞部材53,53は、ローラ本体52への装着に先立って、閉塞部材本体60の外周部21に設けられた各軸体挿通部72に軸体30が挿通されると共に、軸体30の先端側にテーパーナット81が装着される。ここで、軸体30は、図6や、図8、図9等に示すように、軸部36を先頭にして軸体挿通部72の座部75側、すなわち閉塞部材本体60の閉塞部65側の開口部分から差し込まれる。また、軸体30の先端には、テーパーナット81が表面積の小さな先端面81a側を先頭として装着され、軸体30を正回転させることにより軸体挿通部72に侵入可能な姿勢とされる。
【0106】
上記したようにして閉塞部材本体60に対して固定手段61をなす軸体30やテーパーナット81を組み付けた状態とされると、閉塞部材53,53は、ローラ本体52の両端に嵌め込まれる。この際、閉塞部材53,53は、図9(a)に示すように、閉塞部材本体50の外周に4カ所にわたって設けられた軸体挿通部72のそれぞれが、ローラ本体52の内側に4カ所にわたって設けられた各係合部55の溝部55cに沿って差し込まれるようにして装着される。閉塞部65がローラ本体52の端部に突き当たるまで閉塞部材53,53が差し込まれると、閉塞部材本体60のコア部70に設けられた軸受12,13の開口部分に支軸5が挿通され、閉塞部65の略中心に設けられた開口から支軸5が突出した状態になる。
【0107】
上記したようにして各閉塞部材53の閉塞部材本体60がローラ本体52内に嵌め込まれた状態になると、各閉塞部材53の閉塞部65側に露出している軸体30の頭部35に設けられた六角形の穴に六角レンチ等の工具を差し込む等して、軸体30が正方向に回転される。これにより、軸体30の軸部36に連結(螺合)されているテーパーナット81に対して閉塞部65側(正面側)に向かって進む方向に推進力が作用し、テーパーナット81が先端面81a側を閉塞部材本体60の軸体挿通部72内に侵入しはじめる。
【0108】
テーパーナット81が軸体挿通部72内に侵入していくと、テーパーナット81によって軸体挿通部72の面72c,72dが互いに離反する方向に押し広げられる。すなわち、軸体挿通部72が、その幅方向に拡がる。これにより、図9(b)に示すように軸体挿通部72の面72c,72dがローラ本体2側に設けられた係合部55を構成する係合片55a,55bに押しつけられ、各閉塞部材53がローラ本体52に対して固定された状態になる。これにより、一連のローラ装置50の組み立て作業が完了する。
【0109】
上記したように、本実施形態のローラ装置50で採用されている閉塞部材53は、軸体30を正回転させることにより、閉塞部材53に設けられた軸体挿通部72をその幅方向、すなわち閉塞部材53の周方向あるいは閉塞部材53の外接面に沿う方向に向けて膨張させることができる。そして、軸体挿通部72を構成する面72c,72dをローラ本体52側に設けられた係合部55に向けて押圧した状態とし、閉塞部材53をローラ本体52に対して固定した状態とすることができる。そのため、本実施形態のローラ装置50についても、上記第1実施形態のローラ装置1と同様に軸体30を正回転させるだけで閉塞部材53を固定することができる。
【0110】
また逆に、ローラ装置50は、軸体30を逆回転させることによりテーパーナット81を軸体挿通部72から退出させると、テーパーナット81により作用している押圧力が解除され、閉塞部材53を容易にローラ本体52から取り外すことができる。さらに、本実施形態のローラ装置50は、組み立て時にローラ本体52や閉塞部材53に特別な加工を施したり、接着剤を塗布する等といったようなことが行う必要がない。そのため、ローラ装置50は、ローラ本体52から閉塞部材53を取り外すことにより、容易に両者を再利用する事ができる。
【0111】
なお、上記したローラ装置50についても、ローラ装置1と同様に固定手段61を用いて構成される固定構造のみでローラ本体52に対して閉塞部材53を固定したものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、従来公知のものと同様にローラ本体52と閉塞部材53とを接着する等する構成と、固定手段61による固定構造とを組み合わせた構成としてもよい。かかる構成によれば、ローラ本体52と閉塞部材53とをより一層強固に固定することができる。また、ローラ装置50は、上記第1実施形態で例示した固定手段11によって構成される固定構造と、本実施形態の固定手段61によって構成される固定構造とを併用した構成としてもよい。
【0112】
また、上記実施形態で示したローラ装置50は、閉塞部材53の軸体挿通部72を構成する面72c,72dをテーパー状とし、閉塞部材53の内周側および外周側に位置する面72a,72bをそれぞれ互いに平行な面とすると共に、テーパーナット81をこれに沿う形状とした例を例示したが本発明はこれに限定されるものではない。
【0113】
具体的には、面72a,72bを上記実施形態における面72c,72dのようにテーパー状とし、面72c,72dを互いに略平行とすると共に、テーパーナット81の天面81cおよび底面81dをテーパー状とし、側面81e,81fに相当する面を互いに平行な面としてもよい。すなわち、軸体挿通部72の外周側および内周側の面72a,72bがテーパー状であると共に、側方側の面72c,72dを平行な面とすると共に、テーパーナット81をこれらの面72a〜72dに沿って侵入可能な形状としてもよい。
【0114】
かかる構成とした場合、軸体挿通部72の面72a〜72dのそれぞれにテーパーナット81の天面81c、底面81d、側面81e,81fが沿う姿勢としてテーパーナット81を装着した状態で軸体30を正回転させると、テーパーナット81が軸体挿通部72内に侵入し、軸体挿通部72の外周側の面72bがローラ本体52の内周面に押しつけられた状態になり、上記第1実施形態で示したのと同様の固定構造、すなわち軸体挿通部72の外周側の面72bがローラ本体52の内周面に押しつけられた構造で閉塞部材53がローラ本体52に固定された状態になる。
【0115】
また、上記したように、互いに対向する面72a,72bおよび面72c,72dの組み合わせの一方だけをテーパー状とし、他方を平行とする代わりに、面72a〜72dの全てについてテーパー状とすると共に、これに装着されるテーパーナット81を図10(b)に示すように天面81c、底面81d、並びに、側面81e,81fの全てについてテーパー状とした構成としてもよい。
【0116】
かかる構成とした場合、軸体挿通部72の面72a〜72dのそれぞれにテーパーナット81の天面81c、底面81d、側面81e,81fが沿う姿勢としてテーパーナット81を装着した状態で軸体30を正回転させると、テーパーナット81が軸体挿通部72内に侵入し、軸体挿通部72の外周側の面72bがローラ本体52の内周面に押しつけられた状態になると共に、軸体挿通部72の側方(周方向両側)にある面72c,72dがそれぞれローラ本体52の係合片55a,55b側に押しつけられた状態になる。すなわち、上記したような構成とした場合は、上記第1実施形態で示したように閉塞部材53側から径方向外側に向けて発生する押圧力による固定構造と、第2実施形態で示したように閉塞部材53側から周方向に沿う方向に向けて発生する押圧力による固定構造の双方が形成されることとなる。そのため、上記したような固定構造を採用すれば、閉塞部材53をローラ本体52に対してより一層強固に固定することができる。
【0117】
上記したように、本実施形態で採用しているテーパーナット81は、上記実施形態で採用されていたものと同様にくさび状の形状を有する。そのため、軸体30を正回転させると、さほど大きな応力を作用させなくてもテーパーナット81が軸体挿通部72内にスムーズに侵入していく。なお、ローラ装置50の製造上好ましい構成ではないが、テーパナット81にかわって、テーパー状(くさび状)でないものを採用することも可能である。
【0118】
ローラ装置50は、ローラ本体52の内周面側に、周方向に略等間隔に複数(本実施形態では4つ)の係合部55を有し、閉塞部材53に設けられた軸体挿通部72についても閉塞部材本体60の外周部に周方向に略等間隔に複数(本実施形態では4つ)設けられている。そのため、ローラ装置50は、閉塞部材53がローラ本体52の全周にわたってバランス良く固定されている。
【0119】
なお、上記実施形態では、一般的にローラ装置50に作用する外力が部位によらず略均一であることを考慮して、ローラ本体52の係合部55と閉塞部材53の軸体挿通部72とによって構成される固定構造がローラ本体52の周方向に略均一に設けられた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、ある一定の部分に大きな外力が作用する等の事情がある場合は、当該部位に前記したような固定構造を集中的に配した構成とすることも可能である。すなわち、前記した固定構造の配置は、ローラ装置50に作用する外力等を考慮して適宜調整してもよい。
【0120】
ローラ装置50は、閉塞部材53の閉塞部65側から六角レンチ等の工具を用いて軸体30を回転させることができため、組み立てや分解を容易に行うことができる。
【0121】
上記実施形態で示したローラ装置50は、ローラ本体52の内部にモータ6等からなる駆動ユニット7を内蔵した、いわゆるモータ内蔵ローラであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、いわゆるフリーローラのように駆動ユニット7等を内蔵していないものであってもよい。
【0122】
上記実施形態において、閉塞部材3,53は、ローラ本体2,52の端部を閉塞するための蓋となるものであったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ローラ本体2,52の内部に内蔵される部材を閉塞部材3,53と同様の構成とし、同様の固定構造で固定する構成としてもよい。
【0123】
ローラ装置50は、ローラ本体52の内周面および閉塞部材本体10の外周面の双方の断面形状が円形であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、ローラ本体52の内周面および閉塞部材本体60の外周面のいずれか一方又は双方について断面形状が非円形のものとすることも可能である。かかる構成とした場合は、ローラ本体52に対して閉塞部材53がしっかりと固定され、作動時にローラ本体52に対して閉塞部材53が相対回転しない、いわゆる回転止めの効果も高いローラ装置50を提供することができる。
【0124】
上記したローラ装置50は、閉塞部材53の軸体挿通部72を幅方向、すなわち閉塞部材本体60の外周面に沿う方向に押し広げて固定するものであるため、ローラ本体52に対する閉塞部材53の周方向へのがたつきを最小限に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の一実施形態にかかるローラ装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示すローラ装置の端部近傍を示す断面図であり、(a)はローラ本体に対して閉塞部材を固定する前の状態を示す断面図、(b)はローラ本体に対して閉塞部材を固定した状態を示す断面図である。
【図3】閉塞部材を示す斜視図であり、(a)は閉塞部側から観察した状態を示す斜視図、(b)は(a)とは逆側から観察した状態を示す斜視図である。
【図4】テーパーナットを示す斜視図である。
【図5】(a)は第2実施形態で使用されるローラ本体の端部を示す正面図であり、(b)は当該ローラ本体の端部近傍の構造を示す斜視図である。
【図6】(a)は第2実施形態で使用される被固定部材の正面側の構造を示す斜視図であり、(b)は当該被固定部材の背面側の構造を示す斜視図である。
【図7】第2実施形態で使用される被固定部材の背面側の構造を示す正面図である。
【図8】図7のA−A断面図である。
【図9】(a)はローラ本体に対する被固定部材の取り付けの初期段階における軸体挿通部近傍の構造を示す断面図であり、(b)はローラ本体に対して被固定部材を取り付けた状態における軸体挿通部近傍の構造を示す断面図である。
【図10】(a)は第2実施形態で採用されているテーパーナットを示す斜視図であり、(b)は(a)に示すテーパーナットの変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0126】
1,50 ローラ装置
2,52 ローラ本体
3,53 閉塞部材(被固定部材、蓋)
5 支軸
6 モータ
10,60 閉塞部材本体
11,61 固定手段
12,13 軸受
20,70 コア部
21 外周部
22 軸体挿通孔
26,76 テーパー部
30 軸体
31,81 テーパーナット(拡張部材)
41 先端面
43,81a 基端面
55,81b 係合部
72 軸体挿通部(被係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のローラ本体と、被固定部材とを有し、
当該被固定部材が、被固定部材本体と、固定手段とを有し、
被固定部材本体が、軸体挿通孔を有し、
固定手段が、前記被固定部材に設けられた軸体挿通孔に挿通可能な軸体と、当該軸体に連結された拡張部材とを有し、前記軸体が軸体挿通孔に挿通されており、前記軸体の回転に伴って前記拡張部材を軸体挿通孔に対して侵入あるいは退出させることができ、前記軸体挿通孔に拡張部材を侵入させることにより、軸体挿通孔を拡張させ、被固定部材の外周部を当該外周部に対して交差する方向に押し広げることができるものであり、
ローラ本体内に前記被固定部材の一部又は全部が収納されると共に、当該被固定部材の拡張部材が軸体挿通孔内に侵入しており、
前記被固定部材が、外周部の一部又は全部がローラ本体の内周面に押しつけられた状態でローラ本体に対して固定されていることを特徴とするローラ装置。
【請求項2】
被固定部材本体の中心側にコア部が設けられており、当該コア部に対して被固定部材の外周側に軸体挿通孔が設けられたものであって、
当該軸体挿通孔への拡張部材の侵入に伴って作用する応力により、被固定部材が、コア部側方向よりも、被固定部材の外周側方向に向けて変形しやすいことを特徴とする請求項1に記載のローラ装置。
【請求項3】
被固定部材本体の中心側にコア部を有し、
ローラ本体の軸心位置に挿通された支軸を有し、当該支軸がコア部に挿通されており、
前記コア部に対して被固定部材の外周側に軸体挿通孔が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のローラ装置。
【請求項4】
被固定部材本体の中心側にコア部があり、当該コア部に軸受が設けられており、ローラ本体の軸心位置に支軸が挿通され、当該支軸が前記軸受によって支持されており、
前記コア部に対して被固定部材の外周側に軸体挿通孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のローラ装置。
【請求項5】
筒状のローラ本体と、被固定部材とを有し、
当該被固定部材が、被固定部材本体と、固定手段とを有し、
前記ローラ本体の内周面側に係合部が設けられており、
前記被固定部材本体の外周部に被係合部が設けられており、当該被係合部に軸体挿通孔が設けられたものであり、
固定手段が、前記被固定部材に設けられた軸体挿通孔に挿通可能な軸体と、当該軸体に連結された拡張部材とを有し、前記軸体が軸体挿通孔に挿通されており、前記軸体の回転に伴って前記拡張部材を軸体挿通孔に対して侵入あるいは退出させることができ、前記軸体挿通孔に拡張部材を侵入させることにより、軸体挿通孔を拡張させ、被係合部を被固定部材本体の外周部に沿う方向に膨張させることができるものであり、
ローラ本体内に前記被固定部材の一部又は全部が収容され、前記ローラ本体の係合部に被固定部材本体に設けられた被係合部が係合すると共に、当該被固定部材の拡張部材が軸体挿通孔内に侵入し、被固定部材の被係合部の一部又は全部がローラ本体の係合部に押しつけられた状態で係合し、被固定部材がローラ本体に対して固定されていることを特徴とするローラ装置。
【請求項6】
拡張部材の一端側の断面積が、他端側よりも大きく、
軸体を正方向に回転させることにより、前記拡張部材を断面積の小さい方の端部を先頭にして軸体挿通孔内に侵入させることができ、
軸体を逆方向に回転させることにより、前記拡張部材を軸体挿通孔の外側に向けて退出させることができることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のローラ装置。
【請求項7】
軸体挿通孔が、被固定部材本体の周方向に複数設けられており、
各軸体挿通孔に軸体が挿通されると共に、拡張部材が軸体挿通孔内に侵入した状態で軸体に対して連結されることにより発生する押圧力により、被固定部材がローラ本体に対して固定されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のローラ装置。
【請求項8】
軸体をローラ本体の端部側から回転させることができることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のローラ装置。
【請求項9】
被固定部材が、ローラ本体の端部を閉塞する蓋であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のローラ装置。
【請求項10】
ローラ本体の軸心位置に挿通された支軸を有し、ローラ本体の内部に駆動源が内蔵されており、当該駆動源において発生する動力を受けて、ローラ本体が支軸に対して相対回転可能なように支持されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のローラ装置。
【請求項11】
筒状のローラ本体と、被固定部材とを有し、被固定部材がローラ本体に対して固定されたローラ装置の製造方法であって、
前記被固定部材として、被固定部材本体と、固定手段とを有するものを用意すると共に、被固定部材本体として、軸体挿通孔を有し、固定手段が、前記被固定部材に設けられた軸体挿通孔に挿通可能な軸体と、当該軸体に連結され、一端側の断面積が他端側よりも大きい拡張部材とを有し、前記軸体を軸体挿通孔に挿通した状態において、前記軸体の回転に伴って、前記拡張部材を断面積の小さい方の端部を先頭にして軸体挿通孔内に侵入させ、被固定部材の外周部を当該外周部に対して交差する方向に押し広げることができるものを用意する工程と、
ローラ本体内に前記被固定部材の一部又は全部を収納させる工程と、
前記被固定部材の軸体を回転させて拡張部材を軸体挿通孔内に侵入させ、前記被固定部材の外周部の一部又は全部をローラ本体の内周面に押しつけた状態とすることにより、被固定部材をローラ本体に対して固定する工程とを有することを特徴とするローラ装置の製造方法。
【請求項12】
筒状のローラ本体と、被固定部材とを有し、被固定部材がローラ本体に対して固定されたローラ装置の製造方法であって、
前記ローラ本体として、内周面側に係合部が設けられたものを用意すると共に、前記被固定部材として、被固定部材本体と、固定手段とを有し、被固定部材本体の外周部に被係合部を有し、当該被係合部に軸体挿通孔が設けられ、前記固定手段が、前記被固定部材に設けられた軸体挿通孔に挿通可能な軸体と、当該軸体に連結され、一端側の断面積が他端側よりも大きい拡張部材とを有し、前記軸体を軸体挿通孔に挿通した状態において、前記軸体の回転に伴って、前記拡張部材を断面積の小さい方の端部を先頭にして軸体挿通孔内に侵入させ、被固定部材の被係合部を被固定部材本体の外周部に対して交差する方向に押し広げることが可能なものを用意する工程と、
ローラ本体内に前記被固定部材の一部又は全部を収納させる工程と、
前記被固定部材の軸体を回転させて拡張部材を軸体挿通孔内に侵入させ、前記被固定部材の被係合部をローラ本体の係合部に押しつけた状態とすることにより、被固定部材をローラ本体に対して固定する工程とを有することを特徴とするローラ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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