説明

ローラ駆動要素

ローラ要素(10)は、中心本体(1)とローラユニット(2)とを含む。ローラユニット(2)は、中心本体(1)を囲むように非円形の連続的な軌道(21)に延在するように、およびローラユニット(2)のローラ(3)が転がることによって中心本体(1)に対して移動可能であるように配置される。ローラ(3)は、剛性の対向本体(5)上を転がるためにローラユニット(2)の外側(23)に設けられる。ローラ要素(10)は、ローラユニット(2)と係合し、中心本体(1)に対してローラユニット(2)を駆動する駆動手段(6)を含む。
ローラ(3)の間での駆動手段(6)の係合を介して、ローラユニット(2)は直接に駆動され、中心本体の周りを連続的な軌道(21)に沿って引張られるまたは押される。中心本体(1)が対向本体(5)に対してローラ(3)に荷重をかける少なくともそれらのセクションでは、ローラ(3)は中心本体(1)上を転がり、それによって、他方の側では、対向本体(5)に対して前方へローラ要素(10)全体を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、材料取扱技術の分野に位置し、請求項1の総称(プリアンブル)に従う駆動されるローラ要素に関する。
【0002】
この発明から導出される実施例は、対応する従属項で規定される。
【背景技術】
【0003】
力の消費ができる限り低く、ほとんど摩擦がない状態で荷重が移動される材料取扱技術において、とりわけ問題が発生する。さらに、搬送手段の構成はできる限り単純なものであるべきである。本体間の線形移動、回転移動または他の誘導される移動を達成するために、第1の本体に取付けられかつ第2の本体上を転がる車輪が利用される。高荷重の場合には、車輪の数が増やされる。しかしながら、摩擦を最小にするという問題は残り、ここで車輪の軸受支持体に移譲される。
【0004】
1932年の文献GB 403 082では、走行台またはクレーントロリーおよび下部構造で利用される器具が明かされ、この場合、レール車輪のいくつかの軸方向に接続された対がそれぞれに楕円形のレールの対の周りを円運動する。そうする際に、2つのレールの楕円の平面は互いに対して平行である。連続する車輪の対の車軸は、要素を接続することによってまたはばねを接続することによって互いに結合される。どの車輪の対も、一方では、記載された楕円形のレール上を走り、他方では、レールの据え付けの対またはI形梁の端縁上を走る。記載された、出願の分野に対応するこの構成は高荷重用に設計され、この構成はレールおよびレールの車輪の示される選択をまねく。この構成を駆動するために、据え付け型歯付ラックと係合するさらなる歯車が設けられる。結果として、可動装置と据え付け型装置との間のさらなる機械的な結合が必要である。
【0005】
GB 387 403はさらに、移動式大砲などの大型の乗物のためのクリーパチェーン(creeper chains/Raupenketten)を記載する。連続的な軌道の個々のセクション上にあるクリーパチェーンは、移動ローラ上に支持される。ローラは車軸を介してともに結合され、中心本体の周りを円運動する。この乗物を動かすために、ローラとともに移動しない領域にあるクリーパチェーンが駆動輪によって駆動される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
乗物の工学技術からの記載された装置は、材料取扱技術においては効率的な態様で利用されることができない。なぜなら、このような装置は異なる要件、特に絶対的に見て高荷重およびより大きな寸法用に設計されるためである。駆動装置はさらなる手段(歯車および歯付ラック、またはローラから切り離されたさらなる支持軸受を有するクリーパチェーン)を必要とし、これによってこの構成は非常に複雑なものになる。
【0007】
したがって、この発明の目的は、材料取扱技術で利用されるのに好適な駆動されるローラ要素を作ることである。特に、このローラ要素はその構成に関して単純な方法で設計されるべきである。この中で、絶対的な意味では、このローラ要素は材料および寸法に対してより小さな荷重に耐えることができるが、高荷重に耐えることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に従う駆動されるローラ要素は、中心本体とローラユニットとを含む。ローラユニットは、中心本体の周りに延在する非円形の連続的な軌道上に配置され、ローラユニ
ットの内側でローラユニットのローラが転がることによって中心本体上を移動可能であるように中心本体に対して配置される。ローラユニットの外側にあるローラは、剛性の対向本体(Gegenkoerper)上を転がるために設けられる。ローラ要素は、ローラユニットと係合し、中心本体に対してローラユニットを駆動する駆動手段を含む。
【0009】
駆動手段がローラユニット上で係合することによって、ローラユニットは直接的に駆動され、連続的な軌道に沿って中心本体の周りを引張られるまたは押される。中心本体が対向本体に対してローラを担う少なくともそのようなポイントでは、ローラは中心本体上を転がり、これによって、他方の側では、対向本体に対して前方へローラ要素全体を駆動する。
【0010】
ローラユニットの直接的な駆動を介して、対向本体とのさらなる機械的な結合を持たない駆動装置が可能である。この構成は、単純で堅固であり、比較的緩い、または緩く接続された構成要素を用いてこの構成を実現することが可能である。
【0011】
ローラの回転によってローラを駆動することも原則的には可能であるが、技術的には実現が困難である。したがって、好ましくは、ローラユニット全体は、カムまたは歯によって中心本体に対して駆動され、このカムまたは歯はローラおよび/またはローラユニットの他の部分と係合する。このように、駆動装置は突出する要素を含み、この突出する要素はローラユニットの対応する要素と係合するように、およびこれとともに中心本体に対してローラユニットを駆動するように設計される。
【0012】
ローラと係合する間、たとえば突出する駆動要素は、ローラチェーンの場合と同様に円筒形であり、互いの間にスペーシングを有するローラ間で係合する。または、ローラは互いにより接近して配置され、円運動する方向に延在する溝をそれぞれに備え、結果として、突出する駆動要素を受けるように設計される。
【0013】
ローラユニットの他の部分と係合する間、この種類の他の部分は好ましくは、軸方向に突出し、カムに対応するように設計される軸受軸の駆動体要素である。軸受軸がチェーン繋ぎ板と接続される場合には、駆動体要素がこれらのチェーン繋ぎ板上に形成されることも可能である。
【0014】
この発明の好ましい実施例では、駆動装置はローラユニットの内側に配置される少なくとも1つの歯車によって形成される。その歯は好ましくは、ローラ間の空間またはローラの溝と係合する。
【0015】
この発明の好ましい実施例では、駆動装置は、内側からまたは外側からローラユニットと係合し、ローラユニットを駆動する一続きの駆動カムによって形成される。好ましくは、そうする際に駆動カムはしばしばローラユニットと係合せず、径方向のカムによって制御され、中心本体に対して予め規定された領域の中で一時的にローラユニットと係合する状態にされる。
【0016】
ローラは好ましくは、ボールまたは球形または基本的には円筒形であるように設計される。ローラの単純な形状のために、ローラ要素および対向本体を機械的に単純な態様で実現することが可能である。ローラはたとえば、単純な手段を用いて中心本体における連続的な溝の中を確実に誘導されることが可能である。これは、比較的高い許容差を有する状態で、したがって緩く接続された要素を用いて行なわれることが可能である。ローラの形状またはドラムの形状、したがって基本的に円筒形の形状または外側に隆起する円筒の形状または内側に隆起する円筒の形状によって、荷重圧力はローラと対向本体との間の接触線上に分散される。非円形の連続的な軌道のために、中心本体の形状およびこれとともに
連続的な軌道の形状を対向本体の形状に適合することが可能であり、その結果、荷重圧力はいくつかのローラ上に分散されることができる。ローラの形状のために、たとえばレール上でローラユニットを同時に単純に誘導することが可能である。
【0017】
好ましくは、ローラユニットはローラ間に一定のスペーシングを達成するための手段を含む。これによって、連続するローラが互いに接触することが防止され、その結果、おそらく摩擦損失が生成されるであろう。たとえば、ローラがローラチェーンに似たチェーンのような態様でともに接続されるという点で、この手段を実現することは可能である。しかしながら、ローラチェーンとは対照的に、この発明に従うローラはチェーンの接続つなぎを超えて突出し、歯車の歯を受けるためのローラチェーンの場合に絶対に必要である空間などの空間がローラ間に存在することは必須ではない。
【0018】
この発明の好ましい実施例では、ローラ間に一定の距離を達成するための手段は、ローラの軸受軸を互いに接続する少なくとも可撓性の軸受ストリップである。これによって、ローラユニットの構成はローラのチェーンのような接続と比較して単純なものになる。好ましくは、ローラが間に位置するまたは軸受ストリップが2列のローラの間に位置する2つの軸受ストリップを利用することが可能である。原則的には、数列のローラおよびローラストリップを有する構成および/または非対称的な構成も可能である。少なくとも内側の軸受ストリップは同期または歯付ベルトとして設計されることができ、この同期または歯付ベルトは歯車の対応して設計される歯形(Verzahnung)と係合する。
【0019】
この発明の別の好ましい実施例では、ローラの回転軸は、ローラに対して横向きに配置されるスペーサ本体において回転可能であるように支持される。スペーサ本体またはスペーサは好ましくは硬質で堅く、この手段は基本的には可撓性ではなく、緩く差込まれ、ともに繋がれることはない。連続的な軌道の方向に、スペーサ本体はローラよりも遠くに延在する。したがって、スペーサ本体の対はどのローラに対しても割当てられ、スペーサ本体はローラの軸を介してローラと接続され、回転可能であり、ローラとともに移動し、ローラを互いからある距離に保つ。したがって、一連のローラを専ら押すことはできるが、それらを引張ることはできない。
【0020】
これとともに、ローラ間の最小のスペーシングが保証され、そのため、ローラは互いに接触しない。最大のスペーシングはスペーサ本体自体によって保証されるのではない。ローラユニットのすべての他のローラと組合されて、およびローラが走る搬送軌道によって制限されることによってのみ、最大のスペーシングも保証される。
【0021】
スペーサ本体はローラとともに中心本体を囲むように搬送軌道を走る。搬送軌道は部分的にスペーサ本体を取囲み、そのため、スペーサ本体は径方向に落ちることができない。ローラの両側にあるスペーサ本体が、ローラと堅く接続される、突出する短いスタブ車軸に差込まれること、またはスペーサ本体がローラの車軸と堅く接続されることが可能であり、ローラはこの車軸を中心に回転可能であるように配置される。
【0022】
スペーサ本体とローラとの間、およびスペーサ本体と搬送軌道との間には、好ましくは相当の遊びが存在する。結果として、これらの部分は互いに対して容易に移動可能であり、それらを費用対効果が高く製造することおよびそれらを単純な態様で設置することが可能である。
【0023】
原則的には、ローラユニットは外部軸受胴によって誘導され、互いからある距離に維持されることも可能である。これらの外部軸受胴は、関節で繋がったまたは可撓性の態様でともに接続される個々の軸受胴の構成から形成され、以下でケージベルトとも称される可動軸受ケージを形成する。この中で、この発明の好ましい実施例におけるケージベルトは
少なくとも2つの方向に曲げられることができ、好ましくは捩られることもできる。したがって、ケージベルトは、平坦な連続的な軌道を移動することができるだけでなく、湾曲した表面に延在する軌道に沿って移動することもできる。これとともに、ローラの軸の方向にローラ要素からある距離にある、円の中心の周りの湾曲した、特に円形の軌道を辿るローラユニットを備付けることが可能である。ケージベルトが捩られることができることに対応して、たとえばより複雑なねじ型の軌道の形も可能である。
【0024】
この発明の好ましい実施例では、中心本体と対向本体との間に、ランナーベルトまたはクリーパチェーンベルトが配置され、このランナーベルトまたはクリーパチェーンベルトはその全周にわたってローラユニットを取囲み、そのため、ローラ要素はランナーベルトによって対向本体上を転がる。これとともに、対向本体におけるばらつきはいずれも補償され、ベルトに好適な材料を利用することによって、ローラユニットと対向本体との間の接着が高められることが可能である。
【0025】
この発明のさらなる好ましい実施例では、対向本体はローラ要素とともに移動しない。たとえば、対向本体はガイドレールまたはガイド溝もしくは単に平坦な表面を有する本体である可能性がある。この表面の方向への中心本体の荷重は、ローラを介して直接的に伝えられる。そうする際のローラの可能な軸受支持体は、大幅には荷重されない。したがって、これらのローラ軸受は平易な軸受のように最も単純な態様で実現されることが可能である。その結果、構成全体は非常に単純になる。
【0026】
典型的には、対向本体は据え付け型支持体またはガイドレールである。しかしながら、逆に、ローラ要素が周囲に対して据え付けられて固定され、対向本体が移動することも可能である。
【0027】
この発明のさらなる好ましい実施例では、ローラユニットはさらなる本体上を転がることが予想され、ローラユニットおよび前記さらなる本体は、形の正しい力伝達のための、対応して成形される噛み合い手段を含む。
【0028】
この発明のさらなる好ましい実施例では、ローラは基本的には円筒形であり、歯車のプロファイルまたは歯車装置を備付けられる。歯車装置と向い合って位置するさらなる本体上の表面はそれぞれに、対応する歯車装置を含む。このため、駆動されるローラユニットを用いて、ランナーベルトまたは対向本体への高い推進力の伝達が可能になる。ローラの歯車装置が中心本体の周囲に沿って少なくとも部分的に転がる歯車装置を中心本体自体が含むことも可能である。
【0029】
対向本体への力の伝達のためのローラの歯車装置の代わりに、または歯車装置に加えて、横向きのスペーサ本体またはケージベルトも径方向に突出する駆動体を含むことができ、これらの径方向に突出する駆動体はさらなる本体の係合開口と係合することが予想される。
【0030】
この発明に従う1つの駆動ユニットは、駆動されるローラ要素と、対応して成形される対向本体とを含む。ローラ要素および対向本体の形状ならびに運動学の構成によって、形の正しい力伝達が可能になる。
【0031】
この中で、対向本体は優先的に歯付ラックとして設計され、この歯付ラックは線形の主拡張方向に沿って、深くなった係合開口または歯付プロファイルを含む。たとえば、係合開口はローラ要素が対向本体上を転がる間にローラまたはローラの車軸を受けること、または横向きのスペーサ本体に取付けられる駆動体の係合に役立つ。両方の例において、ローラ要素と対向本体との間の形の正しい接続が生成され、これによって、線形の主拡張方
向に、または移動の方向に互いに滑り落ちることが不可能になる。
【0032】
この発明のさらなる好ましい実施例では、ローラ要素に対して対向本体と向い合って配置されるさらなる対向本体が存在し、この対向本体も形の正しい力伝達のために、ローラに対応して成形される手段を含む。したがって、円運動するローラユニットは、ローラ要素の両側で対向本体またはさらなる対向本体と係合し、このように、一方を他方に対して支持し、駆動することが可能である。
【0033】
この発明の特定の実施例では、対向本体およびさらなる対向本体は、円形の円筒形の同心の面も含み、リング型の軸受を形成することが可能である。そうする際に、第1の側にあるローラ要素の中心本体は円形の弧型の軌道セクションを含み、第1の側と向い合って位置する第2の側にあるローラ要素の中心本体は第2の円形の弧型の軌道セクションを含み、これら2つの円形の弧型の軌道セクションは同心である。少なくとも3つのローラ要素が、互いに対して支持される軸受であるように2つの本体の間に配置され、これらのローラ要素はローラ要素上を互いに対して転がり、駆動されることができる。
【0034】
スペーシングのための記載された手段なしで済ませる場合には、特に単純な態様でこの発明を実現することが可能である。そうする際に、概して、ローラは互いに接触し、互いに擦れ合うことが受け入れられる。この発明の好ましい実施例では、この互いに擦れ合うことは、ローラが荷重下にある連続的な軌道のセクションにおいては防止される。これは、中心本体上の連続的な軌道および/またはガイド通路の構成によって解決され、ローラがそれぞれにスペーシングを有するという点で、ローラがこのセクションに入るときに起こる。ローラが荷重下にあるセクションに入るとすぐに、ローラのスペーシングは両側の転がる移動によって規定され、そのスペーシングは一定のままである。ローラが樽型またはボールもしくは球形であるように実現される場合、ローラ間の摩擦または擦り面は低減される。
【0035】
中心本体がローラ上を転がり、ローラが再びさらなる本体上を転がる間、ローラユニットは連続的な軌道に沿って中心本体の周りを移動する。そうする際に、ローラは好ましくは中心本体のガイド通路、たとえば連続的な溝の中を移動する。このガイド通路は、軸方向のローラの位置を規定する。
【0036】
連続的な軌道の形状は好ましくは半円形の端部セクションを有する楕円であり、この半円形の端部セクションは上部および下部直線セクションによって接続される。下部直線セクションはさらなる本体に面する。他のセクションが、記載された半円形および直線によって形成されなければならないことは必須ではなく、この他のセクションがローラユニットのそれ自体への低損失の戻りを可能にすることが十分である。この発明のさらなる好ましい実施例では、既に上に記載されたように、直線セクションではなく、共通の中心ポイントを有する円のセグメントが存在する。
【0037】
この発明の好ましい実施例では、ローラはそれぞれにガイド要素を含む。これは、切込みによってまたはローラの突き出た部分によって、たとえばローラの回転の方向への連続的な経路もしくは溝によって、またはローラ上の隆起もしくはリブによって形成される。好ましくは、対応するローラの経路もしくは溝とともに、連続的な隆起もしくはブリッジが中心本体に形成され、または逆に、ローラのリブとともに、溝が中心本体上に形成される。ローラ要素がいかに差込まれるかに応じて、対応するガイド部がさらなる本体に形成されることも可能である。
【0038】
ローラは基本的には回転円筒形の形状を含む。好ましくは、ローラは基本的には一定の直径を有する円筒形であり、またはそれぞれに内側または外側に膨らんで丸みがついた円
筒形であるが、ボールまたは球形の形状を有して設計されることもある。このような形状の場合にも、中心本体上の連続的な軌道の形状および/またはさらなる本体の形状が対応して成形されることが可能である。
【0039】
ローラ要素の個々の構成要素は、比較的大きい許容差を有する状態で製造されることができ、したがって費用対効果が高く、実用性はこれによって低減されることはない。ローラは好ましくは単一の部品として、硬質のプラスチックから作られる。
【0040】
ローラ要素は、荷重がいくつかのローラ上に分散されるという利点、および同様の寸法を有する従来の軸受よりも全体的により荷重に耐えることができるようにこの構成を製造することが可能であるという利点を有する楕円形のローラまたは転がり軸受と考えられることができる。
【0041】
この発明に従うローラ要素はさらに、原則的には、これまで車輪が平坦なまたは通常の湾曲した表面上を転がるところならどこでも利用されることができる。したがって、レール上を誘導され、運ばれるべき物体のための保持装置、たとえば留め金を備付けられる個々のローラ要素は、移動可能である。または、いくつかのローラユニットが従来の車輪の代わりに乗物に配置されることが可能である。たとえば、中心本体の長さは2cmから20cmの間、最大で50cmまでの範囲内にあり、ローラの直径は4mmから10cmの間の範囲にある。
【0042】
この発明の好ましい実施例では、ローラユニットはそれ自体の中におよび/または中心本体に対する移動度の点で遊びを含む。許容可能な遊びに関連したローラの単純な形状によって、一方では、中心本体の周りでローラユニットをその構成に対して単純に誘導することを実現することが可能であり、他方では、特にローラユニットの費用対効果の高い製造が可能になる。したがって、ローラユニットは緩く接続された要素で構成されることができ、たとえば中心本体における連続的な溝の中を確実に誘導されることができる。先行技術とは対象的に、この遊びはばねによって排除されるのではなく、認められるかまたは拡大されることさえあり、対応して堅固なもしくは耐性のあるガイド通路と組合せられる。したがって、ローラ要素は、ローラユニットを中心本体の方へ引張る位置またはローラユニットをそこに保持する位置にある任意のさらなる要素を含まない。
【0043】
中心本体に対するローラユニットの遊びは好ましくは非常に大きいので、1つのポイントにおけるローラユニットはローラの直径の少なくとも1/5または1/2だけ中心本体から持上げられることができる。ローラユニットのガイド通路の寸法に応じて、ローラの直径全体までの持上がりを許容することも専ら可能であるが、これまでのところ、横方向または軸方向へのローラユニット全体の遊びを考慮して、ローラは横方向にガイド通路を離れることができない。
【0044】
別の形成物では、遊びは、ローラユニットの長さがいずれの遊びも持たない、接近して位置するローラユニットの長さよりも少なくとも2%から5%だけ大きいことを記載することによって定量化されることもできる。
【0045】
さらなる好ましい実施例は、従属請求項から得られる。
同一の優先日または出願日を有するスイス特許出願または国際特許出願CH2004 0884/04では、記載されたローラ要素のさらなる詳細およびローラ要素のさらなる実施例が説明される。これら2つの出願の内容は、引用によって本願に引き継がれる。記載された組合せに加えて、ローラ要素およびその駆動装置の記載される特徴を多くのおよび多様な方法で組合せることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下に、この発明の目的が実施例の好ましい例に基づいてより詳細に記載され、これらの実施例は添付の図面に図示される。これらはそれぞれに概略的に示す。
【0047】
図面の中で利用される参照符号およびそれらの意味は、参照符号の一覧に要約して列挙される。原則に則って、図面の中では、同一の部分は同一の参照符号を用いて示される。
【0048】
図1はこの発明の好ましい実施例に従うローラ要素10の側面図を示し、図2はこの発明の好ましい実施例に従うローラ要素10を通る長手方向の断面図を概略的に示す。ローラ要素10は中心本体1と、中心本体1の周りを円運動するローラユニット2とを含む。ローラユニット2は複数のローラ3で構成され、その軸受軸31はチェーン繋ぎ板4を介してともに接続される。
【0049】
チェーン繋ぎ板4はローラ3とともにローラチェーンを形成する。そうする際のローラの直径はチェーン繋ぎ板4に対して非常に大きいので、ローラ3はチェーン繋ぎ板4に対して内側および外側の両方に、径方向にチェーン繋ぎ板4を超えて突出する。これによって、ローラ3全体の内側はローラユニット2の内側22を形成する。対応して、ローラ3全体の外側はローラユニット2の外側を形成する。この内側22および外側23は想像されるユニットであり、外側23は図1では破線を用いて示される。内側22では、ローラ3は中心本体1上を転がることができ、外側23では、ローラ3は以下で対向本体5と称されるさらなる本体上を転がることができる。対向本体5に面している中心本体1の側が対向本体の形状に対応する形状を含むとき、対向本体5の方向への中心本体1の荷重はいくつかのローラ3上に分散される。対向本体5と、対応して対向本体1の直線セクション12とがここに図示される。対向本体5に対して平行なこの図の平面において中心本体1がずれる場合には、中心本体1はローラ3によって対向本体5上を転がる。そうする際に、ローラユニット2は中心本体1を囲むように連続的な軌道21を移動する。
【0050】
ローラユニット2を駆動するために、ローラ要素10はチェーン車輪または歯車62を含み、チェーン車輪または歯車62はローラ3の間で内側からローラユニット2と係合する。歯車の歯を受けるために、ローラ3は周方向に延在する溝またはスリットをそれぞれに含み、したがって、ローラ3はH型の断面を有する。歯車62は駆動軸63を介して駆動され、駆動軸63はローラ要素10から一方向または両方向にある軸方向に突出し、示されない駆動装置によって始動されることができる。
【0051】
図3は、図1または図2に従うローラ要素の一部を通る断面A−A′を図示する。ローラ3が中心本体1のガイド溝13にいかに延在し、それによって軸方向にいかに保持されるかが明らかになる。ガイド溝13は、一節ずつ(abschnittsweise)または完全にローラユニット2の連続的な軌道21の周りに延在する。
【0052】
図4および図5はローラ要素10を図示し、そのローラユニット2は、ローラ3を間隔をあけて置くための横向きのスペーサ本体84を含む。図6では、例示のために、横向きのスペーサ本体84が属する短い一連のローラ3が、ローラ要素10のさらなる要素のない状態で示される。スペーサ本体84は、基本的には立方形として成形され、横向きの面のうちの1つの中心に、ローラ3の軸受軸31を緩く受けるためのボアを含む。この横向きの面は、一方の方向にはローラの直径よりも長く、他方の方向にはローラの直径よりも短い。したがって、スペーサ本体84は移動する方向にローラの直径よりも大きく、その結果、ローラ3は間隔をあけて維持される。ともに押されるスペーサ本体84の端部は好ましくは円筒扇形の表面であり、その円筒の軸は軸受軸31と一致する。結果として、連続するスペーサ本体84の端部は互いに対して転がることができる。これによって、特に方向の変化の場合に、ローラユニット2の容易な移動が可能になる。スペーサ本体84は
、ローラ3の短いスタブ車軸または軸受軸31に差込まれる。軸受軸31およびスペーサ本体84は好ましくは大きな遊びを含み、そのため、軸受軸31はスペーサ本体84の中で緩く回転する。したがって、大きな許容差を有する状態で費用対効果が高くそれらを製造することが可能である。
【0053】
図5に従って、歯車62は中央のガイド溝36においてローラ3と係合する。図6に従って、歯車62は平行に配置される2つの部分的な歯車を含み、それらの歯車はそれぞれにローラ3の両側で軸受軸31と係合する。対応して、図6の歯車62の係合する窪みは、図5の窪みよりも小さい。このように見られるように、歯車62は径方向にいくつかの半円形の窪みを有する円筒と考えられることもできる。
【0054】
図10から図16の断面に見られるように、横向きのスペーサ本体84は搬送軌道17によって部分的に囲まれ、したがって、径方向にそれぞれに保持され、落ちることができない。さらに、ここに好ましくは大きな遊びが存在する。
【0055】
図7は、この発明のさらなる好ましい実施例に従う、駆動装置6を有するローラ要素の側面図を示す。駆動装置6は、チェーンのような態様でともに接続されるいくつかの駆動カム61、歯または駆動体を含む。チェーンは断面として示されるのみであり、示されていない駆動手段によって始動される。矢印の方向に移動される駆動カム61は、ローラユニット2と係合し、中心本体1の周りでのローラユニット2の移動を引起こす。この移動によって、次に、中心本体1が対向本体5に対して同様に矢印の方向に移動することになるが、対向本体5に対する駆動カム61の速度の半分である。
【0056】
図8は、円運動する駆動カム61のチェーンを有するローラ要素10を概略的に図示し、駆動カム61は中心本体1の内側に配置され、内側からローラユニット2と係合する。駆動カム61を接続するため、および駆動カム61を駆動するためのベルトまたはチェーンは、概略的に線として示されるのみである。駆動カム61は、ローラユニット2と係合しない状態で第1のセクションに延在し、径方向のカム67によって第2のセクションにおいてローラユニット2と係合される。そうする際に、駆動カムは、ローラ3の軸受軸31と係合し、これを介してローラ3を駆動するような態様で配置される。しかしながら、代替的には、駆動カムはローラ3自体またはスペーサ本体84と係合することも可能である。
【0057】
図9は、駆動ベルト68を有するローラ要素10を概略的に図示し、駆動ベルト68は中心本体1の内側に配置され、内側からローラユニット2を駆動する。この目的のために、ローラユニット2のセクションに沿った駆動ベルト68は、たとえば圧力ローラ69によってローラユニット2に対して押圧される。駆動ベルト68の移動はローラ3の回転に繋がり、これによって、中心本体1が対向本体5に対して移動することになる。
【0058】
この発明の他の好ましい実施例では、駆動カム61はローラ3の間ではなく、ローラユニット2のチェーン繋ぎ板4の突出する要素においてまたは軸受軸31において一方の側もしくは両方の側で係合する。駆動チェーンの代わりに、駆動装置6として1つまたはいくつかの歯車を利用することも可能であり、その歯はローラユニット2と係合する。駆動装置6は、ローラ要素10および中心本体1の大きさに応じて、ローラユニット2の内側に配置され、内側からローラユニット2と係合することも可能である。
【0059】
駆動カム61または歯車の歯を受けるために、ローラ3は好ましくは、たとえば図3に示されるような、回転の方向に延在する溝36または切込みを備付けられる。したがって、どのローラ3も、中心本体1上および対向本体5上またはランナーベルト24上を転がる、より大きな直径を有する少なくとも1つのセクションと、駆動装置6が係合する、よ
り小さな直径を有するセクションとを軸方向に含む。より小さな直径を有するこのセクションは、別個に支持されることもでき、より大きな直径を有するセクションに対して自由に回転可能である。これによって、ローラユニット2は、駆動される領域においてより容易に移動する。
【0060】
図10は、ローラ3の歯付接触領域64を有するローラ要素の一部を通る長手方向の断面図を示す。対向本体5は部分的に、転がり面を除いて、ラックとして設計され、このラックは線形の主拡張方向に沿って、ローラ3の歯形64に一致する歯形を含む。ローラ3の歯形64は、ローラ要素10が対向本体5上を転がる間、対向本体5の歯形66と係合する。同一の態様で、ローラ3の歯形64は、ローラ要素10が中心本体1上を転がる間、中心本体1の歯形と係合する。これによって、歯付ラック66に対して馴らし運転をするときにローラ3の規定された位置がとりわけ結果として生じる。ローラ要素10および対向本体5はともに駆動ユニットを形成する。
【0061】
駆動されるローラ要素10の場合には、歯形を介して高い駆動力を伝えることが可能である。したがって、歯付ラックは傾けられてまたは垂直に対向本体5上に配置されることができ、そのため、ローラ要素10は対向本体5上で上がるおよび下がることが可能である。この発明のさらなる実施例では、この種類の2つのローラ要素10は基本的には堅くともに接続され、互いに対向して位置する対向本体5の間に配置される。
【0062】
図10の断面図では、ローラ3が軸方向に沿って異なるセクションを含むことを見ることができる。外側から見ると、そのセクションとは、軸受軸31がスペーサ本体84に位置する車軸領域と、中心本体1および時には対向本体5上を転がる転がり面32を有する転がり領域と、ローラ3がより小さなローラ内径37を有する溝36を含み、ローラ3が歯車62の両方の円板によってつかまえられ運ばれる駆動領域と、その中央に歯形64を有する領域とである。歯形64はローラ3の中央に位置する。これは、歯車の対が外側に位置する場合に、歯が傾斜し、したがって歯が詰まるという危険性がより大きくなるであろうという理由からである。
【0063】
図11は、さらなる対向本体5′を有する駆動ユニットを図示し、このさらなる対向本体5′はローラ要素10に対して対向本体5に対向して配置され、同様にさらなる歯形66′を有するラックとして設計される。
【0064】
図12は、中心本体1が歯形を含まない場合の、駆動ユニットのローラ3の歯形64の領域における断面図および長手方向の断面図を示す。しかしながら、ローラ3は、対向本体5の平坦な表面上を転がる転がり面32を含む。基本的には円筒形の転がり面32の直径は、ローラ3の歯形64の転がり円の直径に等しく、そのため、速度差は発生しない。対向本体5に対して垂直なローラ要素10の荷重は、転がり面32によって吸収される。ローラユニット2が歯車62によって駆動され、ローラ3がスペーサ本体84によって中心本体1の周りを円運動する状態にされ、摩擦係合のために、転がり面32を介してローラ要素10を駆動する。摩擦係合を改善するために、好ましくは転がり面32および/または対向本体5の対応する面は、たとえばゴム質でコーティングされるかまたはプラスチックコーティングを備付けられるという点で、接着を高める手段を備える。
【0065】
ローラエレメント10が対向本体5上を転がる間、ローラ3の歯形64が対向本体5の歯形に正確に位置するようにならなければならないという問題が発生する。搬送軌道17の中で下方向に搬送されるローラ3の向きが規定されないので、ローラ3および対向本体5の歯は偶然に動かなくなることが起こり得る。このために、搬送軌道17は、対向本体5に沿って延在するセクションの初めおよび終わりにおいて、馴らし運転領域または係合領域88を含む。係合領域88では、ローラ3はローラユニット2の移動を介して対向本
体5に対して平行に既に誘導されているが、搬送軌道17の内側22によってではなく重力の力によってのみ対向本体5に対して押圧される。したがって、対向本体に対して垂直なより高い荷重はまだ存在せず、そのため、歯形64を有するローラ3は、対向本体5の歯形66と係合するために、道を譲り、わずかに摺動することが可能である。したがって、ローラ3が中心本体1上を転がる搬送軌道17の内側22は完全に楕円形ではなく、係合領域88において、半円と楕円の直線セクションとの間で移り変わる凹みを含む。
【0066】
図12の断面図では、軸方向に沿ったローラ3の断面図が見られる。車軸領域の後に、歯形64を有する領域が続き、転がり面32を有する転がり領域が続き、中央に、ローラ3が歯車62の単一の円板によってつかまれ、搬送される駆動領域が続く。
【0067】
図13は、図12のローラ要素10を通る、駆動歯車62の領域における長手方向の断面図を示す。ここでは、歯車62の、より小さなローラ内径37を有する溝36との係合が見られる。ローラ3が係合領域88で径方向に移動できるようにするために、歯車62上の係合のポイントは、ローラ3が純粋に円運動をするのに必要であろう深さよりも深く切込まれる。
【0068】
図14は、対向本体5が部分的に歯付ラックとして設計される場合の、駆動ユニットを通る長手方向の断面図および断面図を示し、歯付ラックは線形の主拡張方向に沿って、ローラ3を受けるための係合開口55を、特にローラ3の溝36の領域に含む。したがって、これによって、ローラ3は、ローラ要素10が対向本体5上を転がる間、係合開口55に位置するようになる。線形の主拡張方向の方向への係合開口55のスペーシングは、スペーサ本体84によって規定されるローラ3のスペーシングに対応する。
【0069】
図14の断面図では、ローラ内径37を有する溝36の中央領域にあるローラ3が、それぞれに時には一方では歯車62の2つの円板によって係合され、他方では対向本体5の係合開口55に位置するようになることが見られる。
【0070】
図15は、ローラ内径37が、係合開口55を有する対向本体5に対して移動する円形の線を概略的に図示する。対向本体5に対して平行な駆動の伝達の際に、係合開口55のうちの1つに位置しているそれらのローラ3がそれぞれに関与する。
【0071】
図16は、横向きのスペーサ本体84が径方向に突出する駆動体87を含む場合の、駆動ユニットを通る長手方向の断面図および断面図を図示し、この径方向に突出する駆動体87はさらなる本体5の係合開口55と係合する。この発明の上述の実施例と類似して、ここでは、駆動力はローラ内径37の代わりに駆動体87によって伝えられる。しかしながら、両方の実施例において、対向本体5に対して垂直な荷重はローラ3によって吸収される。
【0072】
図16の断面図では、内径37を有する中央領域の中のローラ3は、時には歯車62の2つの円板によってそれぞれに係合されることを見ることができる。2つの円板の代わりに、1つの円板のみを利用することも可能であろう。横向きのスペーサ本体84は、軸方向に見ると、搬送軌道17によって囲まれ、スペーサ本体84を抑えるセクションと、駆動体87が搬送軌道17の端縁を超えて径方向に突出するセクションとを含む。
【0073】
図17は、対向本体5の係合開口55に対する、駆動体87を有するスペーサ本体84の相対的な移動を概略的に図示する。ここでも、いくつかの駆動体87はそれぞれに駆動力の伝達に関与する。
【0074】
図18は、図7に従う図からのローラ要素10の一部を通る断面B−B′を図示する。
図3のように、ローラ3はガイド溝13の中を走る。しかしながら、駆動カム61の係合のためのローラ3は、図1から図3に従うものよりも互いの間により大きなスペーシングを有するので、ローラ3は円筒形であり、溝のない状態で設計される。
【0075】
図19は、ローラを間隔をあけておくためのチェーン繋ぎ板4の代わりに可撓性ベルトまたは軸受ベルト35を有するローラ要素10の一部を通る図20に従う断面C−C′を図示する。軸受ベルト35は、軸受軸31を受けるための規則正しく間隔をあけられた穴を備付けられる。図20は対応する側面図を示す。
【0076】
図21は、歯車62がローラ3の代わりにケージベルト9と係合する場合の、ケージベルト9による駆動装置を図示する。ランナーベルト24は、2つのケージベルト9によって中心本体1に対して支持される。ケージベルト9は、線形に互いに接続された複数のローラを含み、このローラはともに接続され、可撓性の、特に弾性もある接続本体を介して互いから離れて間隔をあけられる。歯車62はケージベルト9の窪みと係合し、ケージベルト9を駆動する。代替的には、歯車62は2つの平行なケージベルトの間のランナーベルト24と係合することが可能である。
【0077】
図22に従うこの発明の実施例では、中心本体1は、互いに対して平行に延在する2つのローラユニット2を含み、それらの間に、歯付ベルト38が中心本体1の周りに延在する。歯付ベルト38は内側および外側の両方に歯を含み、そのため、内側は2つの歯車62上を走り、外側は対向本体5と係合することができ、対向本体5に対して中心本体1を駆動する(逆の場合も同様である)。したがって、対向本体5に対して垂直な荷重はローラ3によって吸収され、対向本体5に対して平行な駆動力は歯付ベルト38を介して伝えられる。歯付ベルトの利用によって、駆動力は対向本体5に沿った線形のセクションのいくつかの歯上に分散される。類似の実施例もただ1つのローラユニット2またはいくつかの歯付ベルト38を含むことが可能である。
【0078】
図23は、ローラ3の異なる形状を図示する。したがって、ローラ3は一定の直径を有する円筒として設計されることが可能であるが、この円筒は外側または内側に隆起することも可能である。この出願に応じて、これは利点である可能性がある。したがって、たとえば爆弾のような形状によって、中心本体が対向本体5に対して傾斜する動きが可能になる。
【0079】
ローラ3は、中心本体1および対向本体5の対応する溝のようなガイド要素13、53に一致するガイド要素33を含むこともできる。逆に、ローラ3は、溝のようなガイド要素36を含むことも可能であり、対応して中心本体1および/または対向本体5は、ブリッジのようなもしくは櫛のようなガイド要素18、54を含むことも可能である。対応するガイド要素13、33、53、18、36、54を介して、または丸みがついた円筒形もしくは球形のローラ3を利用することによって、横向きの力を吸収することができ、ガイド要素の対応する誘導方向からのローラユニット2の移動の偏差が防止される。
【0080】
この発明のさらなる好ましい実施例では、ローラ3は2つの同軸のローラの片方を含み、このローラの片方は車軸を介して接続される。そうする際に隣接するローラ3の車軸を接続するためのチェーン繋ぎ4は、ローラの片方の間にある車軸31に取付けられる。
【0081】
図23に示される実施例の場合およびさらなる実施例では、チェーン繋ぎ板4の連続的なチェーンはそれぞれに軸受ベルト35に置き換えられることが可能である。図23に示されるローラは、たとえば、歯の係合のための溝をそれぞれに含む、図1、図2および図5の中のものと同様の歯車と関連付けることが可能である。
【0082】
図24は、ランナーベルト24を有するローラ要素10の側面図を示す。ランナーベルト24は、ローラユニットの外側23全体に沿って延在し、それを囲む。ランナーベルト24は歯付ベルトのように、プラスチックまたはゴムなどの可撓性材料で構成されることが可能であり、またはクリーパチェーンに対応して剛性材料から構成されることが可能である。
【0083】
図25は、図24に従う図からのローラ要素10の一部を通る断面D−D′を図示する。そうする際に、ローラ3は、ガイド要素36として回転の方向に延在する連続的な溝を含む。溝36に張り出しているのは、一方では中心本体1のガイドブリッジ18であり、他方ではランナーベルト24上に形成されるガイドブリッジ28である。さらに、駆動されるローラ要素10の場合には、駆動装置6も溝36と係合することが可能である。
【0084】
図26および図27は、グリッパ72に関連するこの発明の実施例を概略的におよび断面で図示する。図26では、ローラ要素10は、一方の側では、レールとして設計される対向本体5に支持される軸受であり、対向する側では、さらなる対向本体5′によって安定化される。ローラ要素10に取付けられるのは、グリッパ72を担持するアームまたはブラケットである。図27に従って、横方向に配置され、オフセットされ、割当てられたレール5上で誘導される2つのローラ要素10は、アーム71で接続される。
【0085】
図28および図29は、この発明のさらなる実施例を概略的に図示する。ローラ3が楕円形の連続的な軌道21上を移動することが必ず必要であるわけではない。図28は、連続的な軌道21の直線およびそうでなければ湾曲したコースを断面で示す。図29は、連続的な軌道21の一部が湾曲を含む場合の、任意の直線セクションを持たないコースを図示し、この湾曲は対向本体5の湾曲に一致し、対向本体5はローラ要素10に対する円形の接触面を形成する。そうする際に、ローラ要素10がレバーによって回転軸7を中心に回転可能であるように配置されることが可能である。逆に、この発明の別の実施例では、連続的な軌道21は内側に湾曲するように成形されるセクションの中にあることもでき、そのため、ローラ要素10は通常の円筒の表面上の外側を転がることができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】この発明の好ましい実施例に従う、駆動装置を有するローラ要素の側面図である。
【図2】図1に従うローラ要素を通る長手方向の断面図である。
【図3】図1に従う図からのローラ要素の一部を通る断面図である。
【図4】スペーサ本体を有するローラ要素の図である。
【図5】スペーサ本体を有するローラ要素の図である。
【図6】スペーサ本体を有する個々のローラの図である。
【図7】この発明のさらなる好ましい実施例に従う、駆動装置を有するローラ要素の図である。
【図8】この発明のさらなる好ましい実施例に従う、駆動装置を有するローラ要素の図である。
【図9】この発明のさらなる好ましい実施例に従う、駆動装置を有するローラ要素の図である。
【図10】歯付接触領域を有するローラ要素の図である。
【図11】歯付接触領域を有するローラ要素の図である。
【図12】歯付接触領域を有するローラ要素の図である。
【図13】歯付接触領域を有するローラ要素の図である。
【図14】ローラを介して形の正しい力伝達が行なわれるさらなるローラ要素の図である。
【図15】ローラを介して形の正しい力伝達が行なわれるさらなるローラ要素の図である。
【図16】スペーサ本体を介して形の正しい力伝達が行なわれるローラ要素の図である。
【図17】スペーサ本体を介して形の正しい力伝達が行なわれるローラ要素の図である。
【図18】図7に従う図からのローラ要素の一部を通る断面図である。
【図19】ローラを間隔をあけておくためのベルトを有するローラ要素の一部を通る断面図である。
【図20】図19に従うローラ要素の側面図である。
【図21】ベルトを介する駆動装置を有するローラ要素の図である。
【図22】歯付ベルトとして駆動装置を有するローラ要素の図である。
【図23】ローラの異なる形状の図である。
【図24】ランナーベルトを有するローラ要素の側面図である。
【図25】図24に従う図からのローラ要素の一部を通る断面図である。
【図26】グリッパに関連するこの発明の実施例の図である。
【図27】グリッパに関連するこの発明の実施例の図である。
【図28】この発明のさらなる実施例の図である。
【図29】この発明のさらなる実施例の図である。
【符号の説明】
【0087】
1 中心本体 2 ローラユニット 3 ローラ
4 チェーン繋ぎ板 5,5’ 対向本体,さらなる対向本体
10 ローラ要素 12 直線セクション 13 ガイド溝
14 軸受溝 15 制動突出部 16 軸受溝の内側端縁
17 搬送軌道 18 中心本体のガイドブリッジ
19 中心本体のガイド溝 21 連続的な軌道 22 内側
23 外側 24ランナーベルト/クリーパチェーン
28 ランナーベルトのガイドブリッジ 29 ランナーベルトのガイド溝
31 軸受軸 32 転がり面 33 ガイド要素
34 軸受ピン 35 軸受ベルト/軸受ストリップ
36 ローラ上のガイド溝 37 ローラ内径 38 歯付ベルト
53 ガイド要素 54 対向本体上のガイドブリッジ
55 係合開口 6 駆動装置 61 駆動カム 62 歯車
63 駆動軸 64 ローラ上の歯形 65 中心本体上の歯形
66,66’ 対向本体上,さらなる本体上の歯形
67 部材に接続する径方向のカム 68 駆動ベルト 69圧力ローラ
7 回転軸 71 搬送ブラケット/アーム 72 グリッパ
84 横方向のスペーサ本体 87 駆動体/押し器 88 係合領域
9 ケージベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動されるローラ要素であって、中心本体(1)と、前記中心本体(1)の周りに延在するローラユニット(2)とを含み、前記ローラユニット(2)は、前記中心本体(1)を囲むように非円形の連続的な軌道に沿って延在するように、および前記ローラユニット(2)の内側で前記ローラユニット(2)のローラ(3)が転がることによって前記中心本体(1)の周りを移動可能であるように配置され、前記ローラ(3)は、前記中心本体(1)の一方の側の前記ローラユニット(2)の外側で、剛性の対向本体(5)上を転がるために設けられ、ローラ要素(10)は、前記ローラユニット(2)と係合し、前記中心本体(1)に対して前記ローラユニット(2)を駆動する駆動手段を含むことを特徴とする、ローラ要素。
【請求項2】
駆動手段(6)は突出する駆動要素(61)を含み、前記突出する駆動要素(61)は、前記ローラユニット(2)の対応する要素と駆動するように、およびこれとともに前記中心本体(1)に対して前記ローラユニット(2)を駆動するように設計される、請求項1に記載のローラ要素(10)。
【請求項3】
前記突出する駆動要素(61)は、前記ローラ(3)間で係合することを特徴とする、請求項2に記載のローラ要素(10)。
【請求項4】
前記ローラ(3)は、前記突出する要素(61)を受けるように設計される、円運動する方向に延在する溝(36)を含むことを特徴とする、請求項3に記載のローラ要素(10)。
【請求項5】
前記突出する駆動要素は、軸受軸(31)の駆動体要素またはチェーン繋ぎ板(4)の駆動体要素と係合し、前記駆動体要素は前記軸受軸31を互いに接続することを特徴とする、請求項2に記載のローラ要素(10)。
【請求項6】
前記駆動手段(6)は歯車(62)であり、その歯のいくつかは内側から前記ローラユニット(2)と係合する、請求項2から5のいずれかに記載のローラ要素(10)。
【請求項7】
前記駆動手段(6)は一続きの駆動カム(61)であり、前記駆動カム(61)は内側からまたは外側から前記ローラユニット(2)と係合し、前記ローラユニット(2)を駆動することを特徴とする、請求項2から5のいずれかに記載のローラ要素(10)。
【請求項8】
前記駆動カム(61)は時には前記ローラユニット(2)と係合せず、径方向のカム(67)によって制御され、前記ローラユニット(2)と係合する状態にされる、請求項7に記載のローラ要素(10)。
【請求項9】
前記ローラユニット(2)は、前記ローラ(3)間の最小のスペーシングを達成するための手段を含み、前記手段は連続するローラ(3)が互いに接触することを防止し、一連のローラ(3)を専ら押すことはできるが、それらを引張ることはできないことを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のローラ要素(10)。
【請求項10】
前記ローラユニット(2)は、前記ローラ(3)間の最小のスペーシングを達成するための手段として横向きのスペーサ本体(84)を含み、軸方向に両側にある前記ローラ(3)は、ともに移動する横向きのスペーサ本体(84)にそれぞれに支持され、前記横向きのスペーサ本体(84)は移動する方向に前記ローラの直径よりも大きく、これによって、前記ローラ(3)は互いから間隔をあけて置かれることを特徴とする、請求項9に記載のローラ要素(10)。
【請求項11】
前記ローラユニット(2)は、前記ローラ(3)間の一定のスペーシングを達成するための可撓性の手段を含み、前記手段は前記ローラ(3)の軸受軸(31)を互いに接続することを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載のローラ要素(10)。
【請求項12】
前記可撓性の手段はケージベルト(9)であり、前記ケージベルト(9)は、前記ローラ(3)が差込まれるリングのような保持領域(91)と、前記保持領域(91)を互いに柔軟に接続する繋ぎ領域(92)とを含み、前記ケージベルト(9)は好ましくは単一の部品としてプラスチックから製造されることを特徴とする、請求項11に記載のローラ要素(10)。
【請求項13】
前記駆動手段(62)は前記ケージベルト(9)と係合し、前記ケージベルト(9)を駆動することを特徴とする、請求項12に記載のローラ要素(10)。
【請求項14】
前記駆動手段(62)は歯付ベルト(38)と係合し、前記歯付ベルト(38)は、次に、前記対向本体(5)に対して前記中心本体(1)を駆動するために前記対向本体(5)と係合することを特徴とする、請求項12に記載のローラ要素(10)。
【請求項15】
前記ローラユニット(2)と前記対向本体(5)との間に、ランナーベルト(24)またはクリーパチェーンが配置され、前記ランナーベルト(24)または前記クリーパチェーンは前記ローラユニット(2)の外側の周りに延在し、前記ローラユニット(2)の全周(23)にわたってそれに接近して位置することを特徴とする、請求項1から14のいずれかに記載のローラ要素(10)。
【請求項16】
前記ランナーベルト(24)または前記クリーパチェーンは、前記ローラ(3)の周方向のガイド溝(36)と係合するガイドブリッジ(28)を含むことを特徴とする、請求項8および4に記載のローラ要素(10)。
【請求項17】
前記ローラユニット(2)はさらなる本体(5,24)上での転がりのために設けられ、前記ローラユニット(2)および前記さらなる本体(5)は、互いに対応して成形され、形の正しい力伝達のためにともに噛み合う手段(64,66;37,55;87,55)を含むことを特徴とする、請求項1から16のいずれかに記載のローラ要素(10)。
【請求項18】
前記ローラ(3)は基本的には円筒形であり、歯形(64)を含み、前記対向本体(5)またはランナーベルト(24)もしくはクリーパチェーン上の、前記ローラ(3)の前記歯形(64)と向い合う面はそれぞれに対応する歯形(66)を含むことを特徴とする、請求項17に記載のローラ要素(10)。
【請求項19】
前記中心本体(1)上の、前記ローラ(3)の前記歯形(64)と向い合う面も、対応する歯形(65)を含むことを特徴とする、請求項18に記載のローラ要素(10)。
【請求項20】
前記ローラユニット(2)、特に横向きのスペーサ本体(84)またはケージベルト(9)は、前記さらなる本体(5)の係合開口(55)との係合のために設けられる径方向に突出する駆動体(87)を含むことを特徴とする、請求項17に記載のローラ要素(10)。
【請求項21】
前記ローラ(3)は、単一の部品として、好ましくはプラスチックから形成されることを特徴とする、請求項1から20のいずれかに記載のローラ要素(10)。
【請求項22】
前記少なくとも1つの中心本体(1)は、搬送されるべき物体を時には保持するための
手段(71,72)を含むことを特徴とする、請求項1から21のいずれかに記載のローラ要素(10)。
【請求項23】
前記ローラユニット(2)はそれ自体の中におよび/または前記中心本体(1)に対する移動度の点で遊びを含むことを特徴とする、請求項1から22のいずれかに記載のローラ要素(10)。
【請求項24】
請求項16から22のいずれかに記載のローラ要素(10)と対向本体(5)とを含む駆動ユニットであって、前記ローラ要素(10)および前記対向本体(5)は、互いに対応して成形され、形の正しい力伝達のためにともに噛み合う手段(64,66;37,55;87,55)を含む、駆動ユニット。
【請求項25】
前記対向本体(5)はラックとして設計され、前記ラックは主拡張方向に沿って、前記ローラ(3)を受けるための深くなった係合開口(55)を、特に前記ローラ(3)の溝(36)のセクションに含み、前記ローラ(3)は、前記ローラ要素(10)が前記対向本体(5)上を転がる間、前記係合開口(55)に位置するようになることを特徴する、請求項17に従属する請求項24に記載の駆動ユニット。
【請求項26】
前記対向本体(5)はラックとして設計され、前記ラックは線形の主拡張方向に沿って歯形を含み、前記歯形は前記ローラ(3)の前記歯形(64)に対応し、前記ローラ(3)の前記歯形(64)は、前記ローラ要素(10)が前記対向本体(5)上を転がる間、前記対向本体(5)の歯形(66)と係合することを特徴とする、請求項18または19に従属する請求項24に記載の駆動ユニット。
【請求項27】
前記対向本体(5)はラックとして設計され、前記ラックは線形の主拡張方向に沿って横向きのスペーサ本体(84)の駆動体(87)を受けるための深くなった係合開口(55)を含み、前記駆動体(87)は、前記ローラ要素(10)が前記対向本体(5)上を転がる間、前記係合開口(55)と係合することを特徴とする、請求項20に従属する請求項24に記載の駆動ユニット。
【請求項28】
前記駆動ユニットはさらなる対向本体(5′)を含み、前記さらなる対向本体(5′)は、前記対向本体(5)に対して前記ローラ要素(10)と向い合って配置され、前記ローラユニット(2)に対応して成形され、前記ローラ要素(10)への形の正しい力伝達のために噛み合う手段(64,66;37,55;87,55)も含むことを特徴とする、請求項24から27に記載の駆動ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公表番号】特表2007−537912(P2007−537912A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516933(P2007−516933)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【国際出願番号】PCT/CH2005/000289
【国際公開番号】WO2005/113392
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(506314379)ベー・エル・ハー・バルター・ライスト・ホウルディング・アクチェンゲゼルシャフト (11)
【氏名又は名称原語表記】WRH WALTER REIST HOLDING AG
【Fターム(参考)】