説明

ローラ

【課題】ローラを構成するパイプの両端に嵌入したハウジングの支持を極めて簡単に行えるようにする。
【解決手段】周囲に外端面が開放し、かつ開放する外端縁から周方向に突出する鍔部を設けた筒状壁3を有し、かつベアリングCを組み込んだ対のハウジングBと、このベアリングに両端部を貫通させた回転支軸Dと、両端縁から上記筒状壁の開放端縁を突出させて両端内に上記ハウジングを嵌入した金属製のパイプAとからなり、かしめ加工により上記筒状壁の開放端縁を反転屈曲させて設けた抱き込み部で上記パイプの端縁を抱き込み、上記抱き込み部とパイプの端縁部を縮径方向に絞り込んだ構成のローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えばスタンドに軸承してコンベヤのベルトを支承するローラに関する。
【背景技術】
【0002】
各種用途に使用されるパイプ製のローラは、金属製のローラパイプと、このパイプの両端内に嵌入したベアリングの組み込みハウジングと、片方のハウジングのベアリングからもう片方のハウジングのベアリングに貫通させた支軸とで構成され、上記のハウジングは、パイプから離脱しないように保持されている。
【0003】
上記の保持手段としては、パイプの両端縁から内方に内周面を切削加工して環状の段部を形成し、この段部にハウジングの周縁を嵌入しながら、段部の底の角にハウジングの周縁を当接する。
【0004】
次にパイプの両端縁を内方に曲げ加工して、曲げ加工の屈曲部によりパイプからハウジングの脱出を防止するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
なお、パイプの内周面の段部にハウジングを嵌入して、段部の底の角にハウジングの周縁を当接させて、嵌入ハウジングの停止位置決めとし、次いで、溶接により段部の内周面にフランジの周縁を固着する方式(曲げ加工しない)もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平6−87327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1の構造によると、パイプの両端縁から内方に周壁の内面を切削加工して環状の段部を形成するので、切削などの余分な工程を必要とすると共に、特に回転パイプに正確な芯出しができていないと、段部の肉厚が偏芯にともない偏肉になることがあった。
【0008】
すると、回転するパイプが偏芯する。
このため、切削加工に著しく工数がかかって大量生産に問題が発生すると共に、大幅なコストアップになった。
【0009】
また、上記溶接方式の場合、歪みにより不良品の発生原因になる以外に、スパッタ付着除去作業が必要になる問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、この発明は、パイプの端縁を内方に(縮径方向に)かしめ加工すると共に、パイプの端内に嵌入してあるベアリングの組み込みハウジングの周縁から突出する筒状壁の開放端を反転屈曲させながら反転屈曲部によりパイプの端縁を抱き込んで、パイプにハウジングを支持させることを特徴とする。
【0011】
即ち、この発明は、周囲に外端面が開放し、かつ開放する外端縁から周方向に突出する鍔部を設けた筒状壁を有し、かつベアリングを組み込んだ対のハウジングと、このベアリングに両端部を貫通させた回転支軸と、両端縁から上記筒状壁の開放端縁を突出させて両端内に上記ハウジングを嵌入した金属製のパイプとからなり、かしめ加工により上記筒状壁の開放端縁を反転屈曲させて設けた抱き込み部で上記パイプの端縁を抱き込み、上記抱き込み部とパイプの端縁部を縮径方向に絞り込んだローラである。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、この発明のローラによれば、パイプの両端内に中心に回転支軸の貫通ベアリングの組み込みずみハウジングを嵌装し、かしめ加工によりパイプの端縁から突出するハウジングの筒状壁の開放端縁の鍔部を反転屈曲しながら、反転屈曲によりパイプの端縁を抱き込み、抱き込み部と共にパイプの端を縮径方向に絞り込み加工するので、パイプ端と反転屈曲の抱き込み部との引っかかり(係合関係)によりパイプに対するハウジングのスベリ方向の移動がなく、パイプとハウジングとが一体化される。
【0013】
このため、周知方式のような手間のかかる環状段部の切削加工や、手間のかかる溶接加工が不要になる。
【0014】
そして、かしめ加工もパイプの縮径方向に行うので、パイプ端の外径がパイプの他の部分の直径よりも小さくなるので、抱き込み反転屈曲部とベルトとの接触がなく、ベルトのスムーズな走行を保障する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、この発明のローラを示す一部切欠正面図である。
【図2】図2は、同上の要部を示す縦断拡大正面図である。
【図3】図3は、他のハウジングを示す縦断拡大正面図である。
【図4】図4は、絞り加工を示す縦断正面図である。
【図5】図5は、同上の要部を示す縦断拡大正面図である。
【図6】図6は、絞り加工を終了した縦断拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の実施の形態添付図面に基づいて説明する。
【0017】
この発明の実施形態の図1から図3に示すAは、金属製のパイプである。
BはパイプAの両端内に嵌入するベアリングCの組み込み金属製のハウジングである。
【0018】
DはベアリングCに両端部を貫通する回転支軸で、回転支軸Dの両端部表面に図示のように突起dを設けておくと、突起dとベアリングCの内輪との当接により回転支軸Dに対するハウジングBの停止位置決めができる。
【0019】
上記のハウジングBは、中心に回転支軸Dの貫通用透孔1を有する円形の主壁2と、この主壁2の周縁から連なって外側方に突出すると共に、パイプA内に嵌入する筒状壁3と、この筒状壁3の開放端から連なって外方に突出する鍔部4とで構成されている。
【0020】
なお、筒状壁3の突出長さは、パイプAの両端内にハウジングBの嵌入が終了した際、パイプAの端縁に対して筒状壁3の開放端縁の鍔部4が突出するようにしてある。
【0021】
また、ハウジングBに組み込んだベアリングCは、筒状壁3内に押し込むシールカバー5と主壁2とで抱き込んで保持されている。
【0022】
図中6はシール材、7は回転支軸Dの両端にその軸線に対して互いに平行に切り落として設けた切欠きで、この切欠き7は、周知のようにベルトコンベヤ用キャリヤスタンドのサイドスタンド及びインスタンドの上端に設けてある切欠きに落とし込み係合させるようになっているが、用途によって切欠きが不要な場合もある。
【0023】
さらに、パイプAに対するハウジングBの嵌入は、まず回転支軸Dの一端にハウジングBをセットしたのち、パイプAの一端から回転支軸Dを嵌入しながら、パイプAの一端内にセットずみ一方のハウジングBを嵌入する。
【0024】
そして、回転支軸Dの他端からもう一方のハウジングBを嵌合しながら、パイプAの他端内にもう一方のハウジングBを嵌入する。
【0025】
なお、図3は、ハウジングBの直径が大きい場合の例を示す。
上記ハウジングB、シール材6及びシールカバー5は、図示の形状に限定されない。
【0026】
次にかしめ加工を説明する。
図4に示すように、上下の加圧手段としてのシリンダのピストンロッド(図示省略)の先端チャック(図示省略)にかしめ型Xの末端突軸Yを保持する。
【0027】
そして、両かしめ型Xを接近方向にスライド(加圧方向に)させることで、まずかしめ型Xの対向先端面の環状段部31に鍔部4が(図5に示す)嵌り込み、その後に環状段部31から連なって内方に向く内窄み穴のかしめテーパー部32により鍔部を反転屈曲させて図2,3に示すようにパイプAの端縁を抱き込む抱き込み部11を(図6に示すように)形成し、その後のスライドの続行にともないテーパー部32に連なるさらに内窄み穴のテーパー部33により屈曲成形の抱き込み部11と共にパイプAの端部を縮径方向にかしめる。
【0028】
上記の縮径は、抱き込み部11の表面がパイプAの摺面より内方になるようにする。
その要因は、パイプAで支承するベルトの表面に接触させないためである。
すると、図2,3に示すように、パイプAの両端にハウジングBを取り付けることができる。
【0029】
なお、かしめ型Xは、一方を定置式に、他方を昇降させることもあり、また、かしめ型Xを回転させてかしめることもある。勿論、その他の方式でかしめることもできる。
【符号の説明】
【0030】
A パイプ
B ハウジング
C ベアリング
D 回転支軸
d 突起
1 透孔
2 主壁
3 筒状壁
4 鍔部
5 シールカバー
6 シール材
11 抱き込み部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に外端面が開放し、かつ開放する外端縁から周方向に突出する鍔部を設けた筒状壁を有し、かつベアリングを組み込んだ対のハウジングと、このベアリングに両端部を貫通させた回転支軸と、両端縁から上記筒状壁の開放端縁を突出させて両端内に上記ハウジングを嵌入した金属製のパイプとからなり、かしめ加工により上記筒状壁の開放端縁を反転屈曲させて設けた抱き込み部で上記パイプの端縁を抱き込み、上記抱き込み部とパイプの端縁部を縮径方向に絞り込んだことを特徴とするローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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