ロールおよび内側回転部材の軸受構造
【課題】ローラの外筒の端部から内部に異物が侵入することを防止しつつ、侵入した異物を軸線方向外方へ容易に排出することができるローラの軸受構造を提供する。
【解決手段】本発明のロールの軸受構造は、外側回転部材になる外筒11と、外筒11に挿通された内側固定部材になる固定軸12と、外筒11の内周面13および固定軸12の外周面21との間に設けられて外筒11を回転自在に支持する軸受22と、軸受22よりも軸線方向外方の外筒端部に位置し、外筒11の内周面20に取り付けられた外側回転部材になるリング部材23とを備える。そしてリング部材23の内周面にはリング部材23の軸線方向外側端面23sと接続する溝27,37が形成され、溝27,37は少なくとも一部において外筒11の正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延びる。
【解決手段】本発明のロールの軸受構造は、外側回転部材になる外筒11と、外筒11に挿通された内側固定部材になる固定軸12と、外筒11の内周面13および固定軸12の外周面21との間に設けられて外筒11を回転自在に支持する軸受22と、軸受22よりも軸線方向外方の外筒端部に位置し、外筒11の内周面20に取り付けられた外側回転部材になるリング部材23とを備える。そしてリング部材23の内周面にはリング部材23の軸線方向外側端面23sと接続する溝27,37が形成され、溝27,37は少なくとも一部において外筒11の正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延びる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板製造設備等に使用されるテンションレベラーにおいて、テンションレベラーのワークロール、中間ロール、バックアップロール等の外筒を回転自在に支持する軸受構造、および回転軸の軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状製品の薄板に加工する工程において、ワークロール、中間ロール、バックアップロール等の外筒は、大量の冷却水および洗浄液といった水に晒される。このため、外筒を回転自在に支持する軸受にも、水が侵入し、軸受の潤滑不良および錆が発生する懸念があった。かかるロールの軸受内部への洗浄液等の侵入を防止する技術としては従来、例えば、特開2006−250198号公報(特許文献1)に記載のごとき技術が知られている。特許文献1に記載のロール支持装置は、外筒の軸方向端部における内周面を、端部開口へ向かうほど内径が大きくなるテーパ孔に形成し、固定軸の外周に設けられて外筒のテーパ孔と対面するリング状部材の外周面を、外筒の端部開口へ向かうほど外径が大きくなるテーパ状に形成し、かかる外筒の端部と、リング状部材との環状隙間を、微小な隙間幅で部分円錐筒状にするというものである。
【特許文献1】特開2006−250198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来のようなロール支持装置にあっては、以下に説明するような問題を生ずる。つまり、微小な隙間がリング状部材の軸線方向内側端から外側端まで延在することから、リング状部材の軸線方向内方に一旦、水が侵入すると、侵入した水をリング状部材の軸線方向外方へ排出することが困難である。
【0004】
本発明は、上述の実情に鑑み、外筒を回転自在に支持する軸受を水の侵入から保護するべく、外筒の端部から水が容易に侵入することができず、たとえ侵入した場合であっても、侵入した水を軸線方向外方へ容易に排出することができる軸受構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため本発明によるロールの軸受構造は、外側回転部材と、外側回転部材に挿通された内側固定部材と、外側回転部材の内周面と内側固定部材の外周面との間に設けられて外側回転部材を回転自在に支持する軸受とを備え、外側回転部材の内周面には軸受よりも軸線方向外方の位置にあって外側回転部材の軸線方向外側端面と接続する溝が形成され、溝は少なくとも一部において外筒の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びる。
【0006】
かかる本発明によれば、外側回転部材の内周面には軸受よりも軸線方向外方の位置にあって外側回転部材の軸線方向外側端面と接続する溝が形成され、溝は少なくとも一部において外側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びることから、外側回転部材の正回転時に軸線方向外方から冷却水や洗浄水といった異物が飛来しても、異物は外側回転部材の軸線方向外側端面でせき止められ、溝に流入することができない。しかも、万一異物が、溝や、外側回転部材の内周面上に侵入しても、溝が異物を軸線方向外側へ付勢して異物を速やかに排出することができる。したがって、異物が溝を通過して軸線方向内方へ侵入することを防止できる。なお、溝は1箇所または複数箇所に形成され、1本または複数本形成される。
【0007】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、溝は、外側回転部材の回転軸を中心として螺旋状に延びてよい。かかる実施形態によれば、溝が螺旋形状に延びることから、外側回転部材内周面を雌ねじと同様に加工すればよく、溝の加工が容易になる。
【0008】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、溝は、外側回転部材の軸線方向外側端面よりも軸線方向内方の位置で折れて延びてもよい。これにより、溝に沿って侵入する異物が溝の折れ箇所よりも軸線方向内方へ侵入することを防止することができる。
【0009】
本発明の溝は溝深さが一定になるよう形成されてもよいが、好ましくは、溝深さが軸線方向外側へ向かうにつれて大きくなるよう形成される。かかる実施形態によれば、溝深さが軸線方向外側へ向かうにつれて大きくなるよう形成されることから、回転中心から溝底までの距離が軸線方向外側に向かうにつれて大きくなる。これにより、軸線方向外側に向かうにつれて大きな遠心力が溝に作用して、溝内に存在する異物を効率よく排出することができる。
【0010】
本発明の溝は、外側回転部材の内周面に形成されるが、この意味するところは、外側回転部材は軸受の外輪の外周面に固定された外筒と、該外筒の軸線方向端部に固定されたリング部材とを有し、溝はリング部材の内周面に形成される。あるいは、外筒の内周面に直接に形成されてもよい。
【0011】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、リング部材は、所定の第1内径を有する第1領域と、第1領域よりも軸線方向内側に位置し第1内径よりも内径が大きい第2内径を有する第2領域とを有し、溝は、第1領域の内周面に形成されてもよい。かかる実施形態によれば、溝がリング部材の第1領域の内周面に形成されることから、リング部材内周面と内側固定部材との隙間に存在する異物を軸線方向外方へ排出することが可能になる。
【0012】
ここで溝は、リング部材の第1領域の軸線方向内方端から離れて形成されてもよい。かかる実施形態によれば、溝が第1領域の軸線方向内方端と接続しないことから、万一異物が溝に侵入しても、異物が溝を伝って内方端よりも軸線方向内方にさらに侵入することを防止することができる。
【0013】
あるいは、溝は、リング部材の軸線方向内方端から軸線方向外方端まで形成される。かかる実施形態によれば、溝は、リング部材の軸線方向内方端と接続することから、万一異物がリング部材よりも軸線方向内方に侵入した場合であっても、かかる異物を軸線方向外方へ排出することが可能になる。
【0014】
好ましくは、内側固定部材は、軸受の内輪の内周面に固定された固定軸と、リング部材に対面する位置で固定軸に固定された環状のカラーとを有し、カラーは、第2領域の内周面に対面する位置で径方向外方に向かって突出したフランジ部を備える。かかる実施形態によれば、フランジ部を備えることから、万一異物がリング部材よりも軸線方向内方へ侵入しても、かかる異物はフランジ部でせき止められ、軸受に異物が直接到達することを防止することができる。
【0015】
本発明に係る技術的思想は、外筒などの外側部材が回転する場合のみならず、軸などの内側部材が回転する一般軸受(ボールベアリング、テーパーベアリング、ローラーベアリング等)における、外部からの異物侵入を防止する場合にも適用可能である。すなわち、本発明に係る内側回転部材の軸受構造は、外側固定部材と、外側固定部材に挿通された内側回転部材と、外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内方の位置で、外側固定部材の内周面および内側回転部材の外周面との間に設けられて内側回転部材を回転自在に支持する軸受とを備え、内側回転部材の外周面には外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内側および外側にまたがって延びる溝が形成され、溝は少なくとも一部において内側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びる。
【0016】
かかる本発明によれば、内側回転部材の外周面には外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内側および外側にまたがって延びる溝が形成され、溝は少なくとも一部において内側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びることから、内側回転部材の正回転時に軸線方向外方から冷却水や洗浄水といった異物が飛来しても、異物は外側固定部材の軸線方向端でせき止められ、溝に流入することができない。しかも、万一異物が、溝や、外側固定部材と内側回転部材との環状隙間に侵入しても、溝が異物を軸線方向外側へ付勢して異物を速やかに排出することができる。したがって、異物が溝を通過して軸線方向内方へ侵入することを防止できる。なお、内側回転部材についても、上述した外側回転部材に形成された溝にかかる実施形態と同じように、すべて適用可能である。
【0017】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、溝は、内側回転部材の回転軸を中心として螺旋状に延びてもよい。かかる実施形態によれば、溝が螺旋形状に延びることから、外側回転部材内周面を雌ねじと同様に加工すればよく、溝の加工が容易になる。
【0018】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、溝は、外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内方の位置で折れて延びてもよい。これにより、溝に沿って侵入する異物が溝の折れ箇所よりも軸線方向内方へ侵入することを防止することができる。
【0019】
本発明の溝は、溝底径寸法が一定になるよう形成されてもよいが、好ましくは、溝の溝底径寸法が軸線方向外側へ向かうにつれて大きくなるよう形成される。かかる実施形態によれば、回転中心から溝底までの距離が軸線方向外側に向かうにつれて大きくなる。これにより、軸線方向外側に向かうにつれて大きな遠心力が溝に作用して、溝内に存在する異物を効率よく排出することができる。
【0020】
本発明の溝は、内側回転部材の外周面に形成されるが、内側回転部材は、軸受の内輪の内周面に固定された内筒または軸と、該内筒または軸に固定されて外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内側および外側にまたがって延びるリング部材とを有し、溝は、リング部材の外周面に形成される。あるいは、内筒または軸の外周面に直接に形成されてもよい。
【0021】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、リング部材は、所定の第1外径を有する第1領域と、第1領域よりも軸線方向内側に位置し第1外径よりも外径が小さい第2外径を有する第2領域とを有し、溝は第1領域の外周面に形成されてもよい。かかる実施形態によれば、溝がリング部材の第1領域の外周面に形成されることから、リング部材外周面と外側固定部材との隙間に存在する異物を軸線方向外方へ排出することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
このようにロールの軸受構造にかかる本発明は、外側回転部材の内周面には外側回転部材の軸線方向外側端面と接続する溝が形成され、溝は少なくとも一部において外側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びることから、外側回転部材の正回転時に軸線方向外方から冷却水や洗浄水等といった異物が飛来しても、異物は外側回転部材の軸線方向外側端面でせき止められ、溝に流入することができない。したがって、異物が溝を通過して軸線方向内方へ侵入することを防止できる。しかも、万一異物が、溝や、外側回転部材内周面上に侵入しても、溝が異物を軸線方向外側へ付勢して異物を速やかに排出することができる。このため、ロールの軸受の耐久性が向上する。
【0023】
また内側回転部材の軸受構造にかかる本発明は、内側回転部材の外周面には外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内側および外側にまたがって延びる溝が形成され、溝は少なくとも一部において内側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びる。これにより、内側回転部材の正回転時に軸線方向外方から冷却水や洗浄水等といった異物が飛来して、溝および内側回転部材外周面上に侵入しても、溝が異物を軸線方向外側へ付勢して異物を速やかに排出することができる。したがって、軸受の耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【0025】
図1は、本実施例になる軸受構造を備えたバックアップロールの全体を示す縦断面図である。
【0026】
図1において、11はバックアップロール等の外筒を示し、両端開口形状である。またワークロールの場合外筒11の外周面は、図示しない帯状製品と転がりながら接触して、帯状製品のそりやひずみを矯正する。外筒11の内径側には、回転しない固定軸12が挿通される。外筒11の軸線O方向中央部と端部との間に位置する内周面13と、固定軸12の外周面14との間には、複数のころ15を配置する。複数のころ15は、内周面13を外側軌道面とし、外周面14を内側軌道面とするころ軸受17を構成する。ころ軸受17は、外筒11の他方の端部についても同様に配置され、外筒11を回転自在に支持する。
【0027】
外筒11は、ころ軸受17よりも軸線O方向端部側に環状の段差16を有する。段差16よりも軸線O方向外側における外筒11の内周面20の内径は、内周面13の内径よりも大きい。段差16には、リング部材18を押し当てて、内周面20に係合固定する。かかるリング部材18の軸線方向位置で、固定軸12は段差19を伴って端部側、すなわち軸線O方向外側の外径が小さい。段差19よりも軸線O方向外側の外周面21には、玉軸受22の内輪22iを嵌合固定する。また、内輪22iと対応する外筒11の内周面13には玉軸受22の外輪22oを嵌合固定する。これら内輪22iおよび外輪22o間には複数の玉22tを配列する。また、内輪22iおよび外輪22o間における軸線O方向両側部にはシール部材22sをそれぞれ配置する。外周面21のうち内輪22iが取り付けられる箇所には、内輪22iの軸線O方向寸法よりも小さな溝幅のリング溝32を全周に亘り刻設し、このリング溝32にOリング33を嵌合する。Oリング33は内輪22iの内周面と密着して、内輪22iおよび外周面21間の隙間を封止する。
【0028】
玉軸受22よりも軸線O方向外側には、リング部材23と、カラー24と、外筒クリップ25と、固定軸クリップ26とを配設する。外筒11と、外筒11の内周面20に固定されたリング部材23は、外側回転部材に含まれる。固定軸12と、固定軸12の外周面21に固定されたカラー24は、内側固定部材に含まれる。
【0029】
図2は、これらリング部材23、カラー24、外筒クリップ25、および固定軸クリップ26等を拡大して示す縦断面図である。また図3は、リング部材23の縦断面図である。また図4は、リング部材23の内周面の展開図である。リング部材23は、所定の内径の内周面および外周を備えた筒状の部材であり、その外周が外筒11の内周面20に嵌合固定され、その内周面には後述する螺旋溝27が刻設される。
【0030】
リング部材23は、軸受22よりも軸線方向外方になる外筒11の軸線O方向外側端部に固定される。ここで、リング部材23の外周面が外筒11の内周面に固定される。リング部材23は、所定の第1内径を有する第1領域34と、第1領域34よりも軸受22側になる軸線方向内側に位置し第1内径よりも内径が大きい第2内径を有する第2領域35とを有する。リング部材23は、外筒11の内周面20よりも小径であり、軸線O方向外側に外側端面23sを有する。またリング部材23は、第1領域34の軸線O方向内方に平坦な環状面23uを有する。
【0031】
環状面23uを境界としてリング部材23の軸線O方向内側である第2領域35は、軸線O方向外側の第1領域34よりも内径が大きくなる(第1内径<第2内径)。第1領域34の内周面には螺旋溝27が刻設される。第2領域35の軸線O方向内側端は外輪22oへ突き当てられて、外輪22oが軸線O方向外側に抜け出ることを防止する。本実施例の第2領域35は、第1部材34と一体結合してリング部材23を構成するが、第2領域35と第1領域34とは別部材であって、第1領域34がリング部材23を構成してもよい。また第1領域34にある溝底径は、第2領域35の第2内径と同一あるいは大きくてもよい。
【0032】
カラー24は、リング形状であって、その内周が固定軸12の外周面21に嵌合固定される。そして、カラー24の外周面28がリング部材23の内周面と対面する。リング部材23の内周面の内径は、カラー24の外周面28の外径よりも僅かに大きく、リング部材23の内周面は外周面28と僅かな隙間を介して対面する。この隙間の径方向幅は、できるだけ小さいことが望ましい。異物がこの隙間を軸線O方向内方へ侵入し難くするため、およびこの隙間に侵入した異物を軸線O方向外方へ排出し易くするためである。なお、図示はしなかったが、場合によりカラー24を省略して、リング部材23の内周面を固定軸12の外周面21と僅かな隙間を介して対面させてもよい。
【0033】
好ましくは、カラー24の軸線方向内側にフランジ部36を形成する。フランジ部36は外周面28から径方向外方に向かって突出する。フランジ部36は、万一異物が螺旋溝27よりも軸線O方向内方へ侵入しても、かかる異物が軸受22へ向かってさらに侵入することを防止する。
【0034】
固定軸クリップ26は、リング形状であって、外周面21に刻設されて全周に亘り延在するリング溝30に係合固定されて、カラー24が軸線O方向外側に抜け出ることを防止する。
【0035】
外筒クリップ25は、リング形状であって、内周面20に刻設されて全周に亘り延在するリング溝29に係合固定されて、リング部材23が軸線O方向外側に抜け出ることを防止する。
【0036】
図3および図4に示すように、リング部材23の螺旋溝27は、リング部材23の軸線O方向外側端面23sから環状面23uまで形成されて、外筒11の回転軸線Oを中心として雌ねじのように螺旋状に延びる。リング部材23は外筒11とともに矢の向きに回転するところ、螺旋溝27は、外筒の正回転方向に対し角度θで斜め方向に延びる。角度θは鋭角であり(0°<θ<90°)、好ましくは0°<θ<45°の範囲である。
【0037】
図5および図6は、螺旋溝27を、図4のA−Aで断面とし、矢印の向きにみた状態を示す説明図である。図5に示すように螺旋溝27の溝底31は勾配φがなく、螺旋溝27の溝深さが一定である。
【0038】
このように螺旋溝27はリング部材23の外径寄りに溝底を有する他、図示はしなかったが螺旋溝27の溝深さをリング部材23の径方向厚みと一致させてもよい。つまり、リング部材23に螺旋状のスリットを設ける。この場合、リング部材23を内周面20に嵌合固定することによって、内周面20が螺旋溝の溝底になる。
【0039】
あるいは図6に示すように、螺旋溝27の溝底31に一定の勾配φを設け、外側端面23sに近づくにつれて溝深さが大きくなるようにしてもよい。
【0040】
本実施例によれば、玉軸受22やころ軸受17といった軸受よりも軸線O方向外方の外筒11端部に位置し、外筒11の内周面20に取り付けられたリング部材23を備えることから、軸線O方向外方からリング部材23に冷却水や洗浄水等といった異物が飛来しても、異物はリング部材23の軸線方向外側端面23sでせき止められ、軸線方向内方へ流入することができない。しかも、リング部材23の内周面にはリング部材23の軸線方向外側端面23sと接続する螺旋溝27が形成され、螺旋溝27は外筒11の正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延びることから、外筒11の正回転に伴い螺旋溝27も回転する。これにより、万一異物が、螺旋溝27や、リング部材23の内周面上に侵入しても、螺旋溝27がリング部材23の内周面上に侵入した異物を軸線方向外方へ速やかに排出することができる。したがって、玉軸受22およびころ軸受17の寿命を長くすることができる。
【0041】
リング部材23は、所定の第1内径を有する第1領域34と、第1領域34よりも軸線方向内側に位置し第1内径よりも内径が大きい第2内径を有する第2領域35とを有し、螺旋溝27は、第1領域34の内周面に形成される。そして螺旋溝27は第1領域34の環状面23uと接続することや、螺旋溝27の溝底31に勾配φ(図6)が設けられていることから、環状面23uよりも軸線方向内側に侵入した異物をも軸線方向外方へ速やかに排出することができる。
【0042】
この点につき詳述すると、第1領域34の円筒内周面は内径が一定(第1内径)であり、軸線方向における勾配を有しない。この円筒内周面に形成された螺旋溝27は、図5に示すように溝深さが一定になるよう形成されてもよいが、好ましくは図6に示すように溝深さが軸線O方向外側へ向かうにつれて勾配φで大きくなるよう形成される。これにより、リング部材23内周面上に存在する異物を効率よく排出することができる。また、溝底31がテーパ孔の表面のように勾配φで傾斜することから、回転中心Oから溝底31までの距離が軸線方向外側に向かうにつれて大きくなる。そうすると、外筒11の正回転による遠心力が軸線方向外側に向かうにつれて大きくなり、かかる遠心力によって、溝37の異物排出能力を向上させることができる。したがって、異物が溝37を伝って軸線方向内方へ侵入することを防止することができる。
【0043】
また本実施例によれば、軸受22の内輪22iの内周面に固定された固定軸12と、リング部材23に対面する位置で固定軸12に固定された環状のカラー24とを有し、カラー24は、第2領域35の内周面に対面する位置で径方向外方に向かって突出したフランジ部36を備えることから、軸受22と第1領域34との間にフランジ部36が介在する。したがって、異物が軸受22に向かってさらに侵入することを防止することができる。
【0044】
次に本発明の他の実施例を説明する。図7は他の実施例を示す縦断面図であり、図8は同実施例のリング部材の縦断面図である。また図9は、リング部材の内周面の展開図である。この実施例につき、上述した実施例と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例では、リング部材23の内周面に軸線方向外側端面23sと接続する溝37が周方向等間隔に複数本または1本形成される。溝37は、軸線方向外側端面23sからリング部材23の軸線方向中程まで延び、環状面23uとは接続しない。溝37は図5または図6に示すように数mmの深さを有し、図示はしなかったが溝底から軸線までの径が第2領域35の第2内径(筒状部内周面35n)より大きくてもよい。
【0045】
溝37はリング部材23の外径寄りに溝底を有する他、溝37の溝深さをリング部材23の径方向厚みと一致させてもよい。つまり、リング部材23にスリットを設ける。この場合、リング部材23を内周面20に嵌合固定することによって、内周面20が溝37の溝底になる。
【0046】
この実施例によれば、図9に示すように溝37が外筒11の正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延びることから、外筒11の正回転に伴い溝37も回転する。これにより、万一異物が、溝37や、リング部材23の内周面上に侵入しても、溝37がリング部材23の内周面上に侵入した異物を軸線方向外方へ速やかに排出することができる。
【0047】
また溝37は、第1領域34の環状面23uから離れて形成されることから、万一異物が溝37に侵入しても、異物が溝37を伝って環状面23uよりも軸線O方向内方にさらに侵入することを防止することができる。
【0048】
次に本発明のさらに他の実施例を説明する。図10はさらに他の実施例を示す縦断面図であり、図11は同実施例のリング部材の縦断面図である。また図12は、リング部材の内周面の展開図である。この実施例につき、上述した実施例と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例では、溝37が、第1領域34の内周面の環状面23uから外側端面23sまで形成される。溝37は図5または図6に示すように数mmの深さを有し、図示はしなかったが溝底から軸線までの径が第2領域35の第2内径(筒状部内周面35n)より大きくてもよい。
【0049】
この実施例によれば、溝37が第1領域34の環状面23uから軸線方向外側端面23sまで形成されることから、溝37がリング部材23の環状面23uと接続する。これにより、万一異物がリング部材23よりも軸線方向内方に侵入した場合であっても、かかる異物を軸線方向外方へ排出することが可能になる。
【0050】
次に本発明のさらに他の実施例を説明する。図13はさらに他の実施例を示す縦断面図であり、図14は同実施例のリング部材の縦断面図である。また図15は、リング部材の内周面の展開図である。この実施例につき、上述した実施例と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例の溝37は、一部において外筒11の正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延びる。具体的には、第1領域34の内周面に形成された溝37が、環状面23uから外側端面23sまで延びる。そして溝37のうち軸線方向内側の部分が正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延び、溝37のうち軸線方向外側の部分37hは、外筒11の回転中心である軸線Oと平行に延びる。溝37は図5または図6に示すように数mmの深さを有し、図示はしなかったが溝底から軸線までの径が領域35の第2内径(筒状部内周面35n)より大きくてもよい。
【0051】
この実施例によれば、溝37のうち軸線方向外側の部分が軸線Oと平行に延び、溝37のうち軸線方向中程の部分が正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延びることから、軸線方向中程の溝37によって軸線方向外方へ付勢された異物を、軸線方向外側の平行溝37hを流下させることが可能になる。また、溝37は外側端面23sよりも軸線O方向内方の位置で折れて延びることから、平行溝37hを伝って侵入した異物がこの折れ箇所よりも軸線方向内方に侵入することを防止することができる。
【0052】
類似の形態として第1領域34の内周面に形成された溝37が、環状面23uから外側端面23sまで延び、軸線方向中程で折れている。そして図示はしなかったが折れ箇所よりも軸線方向外側の溝37部分が正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延び、折れ箇所よりも軸線方向内側の溝37部分(37hと同様)が環状面23uまで外筒11の回転中心である軸線Oと平行に延びる。溝37は図5または図6に示すように数mmの溝深さを有し、図示はしなかったが溝底から軸線までの径が領域35の第2内径(筒状部内周面35n)より大きくてもよい。
【0053】
この実施例によれば、溝37のうち外側端面23sから軸線方向中程までの部分が正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延びることから、正回転時外方から飛来する異物は外側端面23sでせき止められ軸線方向内方へ侵入することができない。さらに外部より溝37に沿って異物が侵入したとしても、軸線方向中程に位置する溝37の折れ個所にせき止められ軸線方向内方への侵入が防止される。また溝37に存在する水分等の異物は正回転時、溝37によって軸線方向外方へ遠心力により付勢され排出される。
【0054】
これまで説明した実施例では、ロールが回転する場合であるが、本発明は、軸が回転する場合にも適用可能である。この場合、固定された筒状部材と、筒状部材に挿通された回転軸と、筒状部材の内周面および回転軸の外周面との間に設けられて回転軸を回転自在に支持する軸受と、軸受よりも軸線方向外方の筒状部材端部に位置し、回転軸の外周面に取り付けられたリング部材とを備え、リング部材の外周面にはリング部材の軸線方向外側端面と接続する溝が形成され、溝は少なくとも一部において回転軸の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びる。
【0055】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の軸受構造を備えたバックアップロールの全体を示す縦断面図である。
【図2】同実施例の軸受構造を示す縦断面図である。
【図3】同実施例のリング部材の縦断面図である。
【図4】同実施例のリング部材内周面の展開図である。
【図5】溝をA−Aで断面とし、矢印の向きにみた状態を示す溝深さの説明図である。
【図6】溝の変形例であって、A−Aで断面とし、矢印の向きにみた状態を示す溝深さの説明図である。
【図7】他の実施例の軸受構造を示す縦断面図である。
【図8】同実施例のリング部材の縦断面図である。
【図9】同実施例のリング部材内周面の展開図である。
【図10】さらに他の実施例の軸受構造を示す縦断面図である。
【図11】同実施例のリング部材の縦断面図である。
【図12】同実施例のリング部材内周面の展開図である。
【図13】さらに他の実施例の軸受構造を示す縦断面図である。
【図14】同実施例のリング部材の縦断面図である。
【図15】同実施例のリング部材内周面の展開図である。
【符号の説明】
【0057】
11 外筒、12 固定軸、13 内周面、14 外周面、15 ころ、16 段差、17 ころ軸受、19 段差、20 内周面、21 外周面、22 玉軸受、23 リング部材、23s 外側端面、23u 環状面、24 カラー、25 外筒クリップ、26 固定軸クリップ、27 螺旋溝、28 カラー外周面、29 リング溝、30 リング溝、31 溝底、32 リング溝、33 Oリング、34 第1領域、35 第2領域、35n 筒状部内周面、36 フランジ部、37 溝、37h 平行溝。
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板製造設備等に使用されるテンションレベラーにおいて、テンションレベラーのワークロール、中間ロール、バックアップロール等の外筒を回転自在に支持する軸受構造、および回転軸の軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状製品の薄板に加工する工程において、ワークロール、中間ロール、バックアップロール等の外筒は、大量の冷却水および洗浄液といった水に晒される。このため、外筒を回転自在に支持する軸受にも、水が侵入し、軸受の潤滑不良および錆が発生する懸念があった。かかるロールの軸受内部への洗浄液等の侵入を防止する技術としては従来、例えば、特開2006−250198号公報(特許文献1)に記載のごとき技術が知られている。特許文献1に記載のロール支持装置は、外筒の軸方向端部における内周面を、端部開口へ向かうほど内径が大きくなるテーパ孔に形成し、固定軸の外周に設けられて外筒のテーパ孔と対面するリング状部材の外周面を、外筒の端部開口へ向かうほど外径が大きくなるテーパ状に形成し、かかる外筒の端部と、リング状部材との環状隙間を、微小な隙間幅で部分円錐筒状にするというものである。
【特許文献1】特開2006−250198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来のようなロール支持装置にあっては、以下に説明するような問題を生ずる。つまり、微小な隙間がリング状部材の軸線方向内側端から外側端まで延在することから、リング状部材の軸線方向内方に一旦、水が侵入すると、侵入した水をリング状部材の軸線方向外方へ排出することが困難である。
【0004】
本発明は、上述の実情に鑑み、外筒を回転自在に支持する軸受を水の侵入から保護するべく、外筒の端部から水が容易に侵入することができず、たとえ侵入した場合であっても、侵入した水を軸線方向外方へ容易に排出することができる軸受構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため本発明によるロールの軸受構造は、外側回転部材と、外側回転部材に挿通された内側固定部材と、外側回転部材の内周面と内側固定部材の外周面との間に設けられて外側回転部材を回転自在に支持する軸受とを備え、外側回転部材の内周面には軸受よりも軸線方向外方の位置にあって外側回転部材の軸線方向外側端面と接続する溝が形成され、溝は少なくとも一部において外筒の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びる。
【0006】
かかる本発明によれば、外側回転部材の内周面には軸受よりも軸線方向外方の位置にあって外側回転部材の軸線方向外側端面と接続する溝が形成され、溝は少なくとも一部において外側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びることから、外側回転部材の正回転時に軸線方向外方から冷却水や洗浄水といった異物が飛来しても、異物は外側回転部材の軸線方向外側端面でせき止められ、溝に流入することができない。しかも、万一異物が、溝や、外側回転部材の内周面上に侵入しても、溝が異物を軸線方向外側へ付勢して異物を速やかに排出することができる。したがって、異物が溝を通過して軸線方向内方へ侵入することを防止できる。なお、溝は1箇所または複数箇所に形成され、1本または複数本形成される。
【0007】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、溝は、外側回転部材の回転軸を中心として螺旋状に延びてよい。かかる実施形態によれば、溝が螺旋形状に延びることから、外側回転部材内周面を雌ねじと同様に加工すればよく、溝の加工が容易になる。
【0008】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、溝は、外側回転部材の軸線方向外側端面よりも軸線方向内方の位置で折れて延びてもよい。これにより、溝に沿って侵入する異物が溝の折れ箇所よりも軸線方向内方へ侵入することを防止することができる。
【0009】
本発明の溝は溝深さが一定になるよう形成されてもよいが、好ましくは、溝深さが軸線方向外側へ向かうにつれて大きくなるよう形成される。かかる実施形態によれば、溝深さが軸線方向外側へ向かうにつれて大きくなるよう形成されることから、回転中心から溝底までの距離が軸線方向外側に向かうにつれて大きくなる。これにより、軸線方向外側に向かうにつれて大きな遠心力が溝に作用して、溝内に存在する異物を効率よく排出することができる。
【0010】
本発明の溝は、外側回転部材の内周面に形成されるが、この意味するところは、外側回転部材は軸受の外輪の外周面に固定された外筒と、該外筒の軸線方向端部に固定されたリング部材とを有し、溝はリング部材の内周面に形成される。あるいは、外筒の内周面に直接に形成されてもよい。
【0011】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、リング部材は、所定の第1内径を有する第1領域と、第1領域よりも軸線方向内側に位置し第1内径よりも内径が大きい第2内径を有する第2領域とを有し、溝は、第1領域の内周面に形成されてもよい。かかる実施形態によれば、溝がリング部材の第1領域の内周面に形成されることから、リング部材内周面と内側固定部材との隙間に存在する異物を軸線方向外方へ排出することが可能になる。
【0012】
ここで溝は、リング部材の第1領域の軸線方向内方端から離れて形成されてもよい。かかる実施形態によれば、溝が第1領域の軸線方向内方端と接続しないことから、万一異物が溝に侵入しても、異物が溝を伝って内方端よりも軸線方向内方にさらに侵入することを防止することができる。
【0013】
あるいは、溝は、リング部材の軸線方向内方端から軸線方向外方端まで形成される。かかる実施形態によれば、溝は、リング部材の軸線方向内方端と接続することから、万一異物がリング部材よりも軸線方向内方に侵入した場合であっても、かかる異物を軸線方向外方へ排出することが可能になる。
【0014】
好ましくは、内側固定部材は、軸受の内輪の内周面に固定された固定軸と、リング部材に対面する位置で固定軸に固定された環状のカラーとを有し、カラーは、第2領域の内周面に対面する位置で径方向外方に向かって突出したフランジ部を備える。かかる実施形態によれば、フランジ部を備えることから、万一異物がリング部材よりも軸線方向内方へ侵入しても、かかる異物はフランジ部でせき止められ、軸受に異物が直接到達することを防止することができる。
【0015】
本発明に係る技術的思想は、外筒などの外側部材が回転する場合のみならず、軸などの内側部材が回転する一般軸受(ボールベアリング、テーパーベアリング、ローラーベアリング等)における、外部からの異物侵入を防止する場合にも適用可能である。すなわち、本発明に係る内側回転部材の軸受構造は、外側固定部材と、外側固定部材に挿通された内側回転部材と、外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内方の位置で、外側固定部材の内周面および内側回転部材の外周面との間に設けられて内側回転部材を回転自在に支持する軸受とを備え、内側回転部材の外周面には外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内側および外側にまたがって延びる溝が形成され、溝は少なくとも一部において内側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びる。
【0016】
かかる本発明によれば、内側回転部材の外周面には外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内側および外側にまたがって延びる溝が形成され、溝は少なくとも一部において内側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びることから、内側回転部材の正回転時に軸線方向外方から冷却水や洗浄水といった異物が飛来しても、異物は外側固定部材の軸線方向端でせき止められ、溝に流入することができない。しかも、万一異物が、溝や、外側固定部材と内側回転部材との環状隙間に侵入しても、溝が異物を軸線方向外側へ付勢して異物を速やかに排出することができる。したがって、異物が溝を通過して軸線方向内方へ侵入することを防止できる。なお、内側回転部材についても、上述した外側回転部材に形成された溝にかかる実施形態と同じように、すべて適用可能である。
【0017】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、溝は、内側回転部材の回転軸を中心として螺旋状に延びてもよい。かかる実施形態によれば、溝が螺旋形状に延びることから、外側回転部材内周面を雌ねじと同様に加工すればよく、溝の加工が容易になる。
【0018】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、溝は、外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内方の位置で折れて延びてもよい。これにより、溝に沿って侵入する異物が溝の折れ箇所よりも軸線方向内方へ侵入することを防止することができる。
【0019】
本発明の溝は、溝底径寸法が一定になるよう形成されてもよいが、好ましくは、溝の溝底径寸法が軸線方向外側へ向かうにつれて大きくなるよう形成される。かかる実施形態によれば、回転中心から溝底までの距離が軸線方向外側に向かうにつれて大きくなる。これにより、軸線方向外側に向かうにつれて大きな遠心力が溝に作用して、溝内に存在する異物を効率よく排出することができる。
【0020】
本発明の溝は、内側回転部材の外周面に形成されるが、内側回転部材は、軸受の内輪の内周面に固定された内筒または軸と、該内筒または軸に固定されて外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内側および外側にまたがって延びるリング部材とを有し、溝は、リング部材の外周面に形成される。あるいは、内筒または軸の外周面に直接に形成されてもよい。
【0021】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、リング部材は、所定の第1外径を有する第1領域と、第1領域よりも軸線方向内側に位置し第1外径よりも外径が小さい第2外径を有する第2領域とを有し、溝は第1領域の外周面に形成されてもよい。かかる実施形態によれば、溝がリング部材の第1領域の外周面に形成されることから、リング部材外周面と外側固定部材との隙間に存在する異物を軸線方向外方へ排出することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
このようにロールの軸受構造にかかる本発明は、外側回転部材の内周面には外側回転部材の軸線方向外側端面と接続する溝が形成され、溝は少なくとも一部において外側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びることから、外側回転部材の正回転時に軸線方向外方から冷却水や洗浄水等といった異物が飛来しても、異物は外側回転部材の軸線方向外側端面でせき止められ、溝に流入することができない。したがって、異物が溝を通過して軸線方向内方へ侵入することを防止できる。しかも、万一異物が、溝や、外側回転部材内周面上に侵入しても、溝が異物を軸線方向外側へ付勢して異物を速やかに排出することができる。このため、ロールの軸受の耐久性が向上する。
【0023】
また内側回転部材の軸受構造にかかる本発明は、内側回転部材の外周面には外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内側および外側にまたがって延びる溝が形成され、溝は少なくとも一部において内側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びる。これにより、内側回転部材の正回転時に軸線方向外方から冷却水や洗浄水等といった異物が飛来して、溝および内側回転部材外周面上に侵入しても、溝が異物を軸線方向外側へ付勢して異物を速やかに排出することができる。したがって、軸受の耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【0025】
図1は、本実施例になる軸受構造を備えたバックアップロールの全体を示す縦断面図である。
【0026】
図1において、11はバックアップロール等の外筒を示し、両端開口形状である。またワークロールの場合外筒11の外周面は、図示しない帯状製品と転がりながら接触して、帯状製品のそりやひずみを矯正する。外筒11の内径側には、回転しない固定軸12が挿通される。外筒11の軸線O方向中央部と端部との間に位置する内周面13と、固定軸12の外周面14との間には、複数のころ15を配置する。複数のころ15は、内周面13を外側軌道面とし、外周面14を内側軌道面とするころ軸受17を構成する。ころ軸受17は、外筒11の他方の端部についても同様に配置され、外筒11を回転自在に支持する。
【0027】
外筒11は、ころ軸受17よりも軸線O方向端部側に環状の段差16を有する。段差16よりも軸線O方向外側における外筒11の内周面20の内径は、内周面13の内径よりも大きい。段差16には、リング部材18を押し当てて、内周面20に係合固定する。かかるリング部材18の軸線方向位置で、固定軸12は段差19を伴って端部側、すなわち軸線O方向外側の外径が小さい。段差19よりも軸線O方向外側の外周面21には、玉軸受22の内輪22iを嵌合固定する。また、内輪22iと対応する外筒11の内周面13には玉軸受22の外輪22oを嵌合固定する。これら内輪22iおよび外輪22o間には複数の玉22tを配列する。また、内輪22iおよび外輪22o間における軸線O方向両側部にはシール部材22sをそれぞれ配置する。外周面21のうち内輪22iが取り付けられる箇所には、内輪22iの軸線O方向寸法よりも小さな溝幅のリング溝32を全周に亘り刻設し、このリング溝32にOリング33を嵌合する。Oリング33は内輪22iの内周面と密着して、内輪22iおよび外周面21間の隙間を封止する。
【0028】
玉軸受22よりも軸線O方向外側には、リング部材23と、カラー24と、外筒クリップ25と、固定軸クリップ26とを配設する。外筒11と、外筒11の内周面20に固定されたリング部材23は、外側回転部材に含まれる。固定軸12と、固定軸12の外周面21に固定されたカラー24は、内側固定部材に含まれる。
【0029】
図2は、これらリング部材23、カラー24、外筒クリップ25、および固定軸クリップ26等を拡大して示す縦断面図である。また図3は、リング部材23の縦断面図である。また図4は、リング部材23の内周面の展開図である。リング部材23は、所定の内径の内周面および外周を備えた筒状の部材であり、その外周が外筒11の内周面20に嵌合固定され、その内周面には後述する螺旋溝27が刻設される。
【0030】
リング部材23は、軸受22よりも軸線方向外方になる外筒11の軸線O方向外側端部に固定される。ここで、リング部材23の外周面が外筒11の内周面に固定される。リング部材23は、所定の第1内径を有する第1領域34と、第1領域34よりも軸受22側になる軸線方向内側に位置し第1内径よりも内径が大きい第2内径を有する第2領域35とを有する。リング部材23は、外筒11の内周面20よりも小径であり、軸線O方向外側に外側端面23sを有する。またリング部材23は、第1領域34の軸線O方向内方に平坦な環状面23uを有する。
【0031】
環状面23uを境界としてリング部材23の軸線O方向内側である第2領域35は、軸線O方向外側の第1領域34よりも内径が大きくなる(第1内径<第2内径)。第1領域34の内周面には螺旋溝27が刻設される。第2領域35の軸線O方向内側端は外輪22oへ突き当てられて、外輪22oが軸線O方向外側に抜け出ることを防止する。本実施例の第2領域35は、第1部材34と一体結合してリング部材23を構成するが、第2領域35と第1領域34とは別部材であって、第1領域34がリング部材23を構成してもよい。また第1領域34にある溝底径は、第2領域35の第2内径と同一あるいは大きくてもよい。
【0032】
カラー24は、リング形状であって、その内周が固定軸12の外周面21に嵌合固定される。そして、カラー24の外周面28がリング部材23の内周面と対面する。リング部材23の内周面の内径は、カラー24の外周面28の外径よりも僅かに大きく、リング部材23の内周面は外周面28と僅かな隙間を介して対面する。この隙間の径方向幅は、できるだけ小さいことが望ましい。異物がこの隙間を軸線O方向内方へ侵入し難くするため、およびこの隙間に侵入した異物を軸線O方向外方へ排出し易くするためである。なお、図示はしなかったが、場合によりカラー24を省略して、リング部材23の内周面を固定軸12の外周面21と僅かな隙間を介して対面させてもよい。
【0033】
好ましくは、カラー24の軸線方向内側にフランジ部36を形成する。フランジ部36は外周面28から径方向外方に向かって突出する。フランジ部36は、万一異物が螺旋溝27よりも軸線O方向内方へ侵入しても、かかる異物が軸受22へ向かってさらに侵入することを防止する。
【0034】
固定軸クリップ26は、リング形状であって、外周面21に刻設されて全周に亘り延在するリング溝30に係合固定されて、カラー24が軸線O方向外側に抜け出ることを防止する。
【0035】
外筒クリップ25は、リング形状であって、内周面20に刻設されて全周に亘り延在するリング溝29に係合固定されて、リング部材23が軸線O方向外側に抜け出ることを防止する。
【0036】
図3および図4に示すように、リング部材23の螺旋溝27は、リング部材23の軸線O方向外側端面23sから環状面23uまで形成されて、外筒11の回転軸線Oを中心として雌ねじのように螺旋状に延びる。リング部材23は外筒11とともに矢の向きに回転するところ、螺旋溝27は、外筒の正回転方向に対し角度θで斜め方向に延びる。角度θは鋭角であり(0°<θ<90°)、好ましくは0°<θ<45°の範囲である。
【0037】
図5および図6は、螺旋溝27を、図4のA−Aで断面とし、矢印の向きにみた状態を示す説明図である。図5に示すように螺旋溝27の溝底31は勾配φがなく、螺旋溝27の溝深さが一定である。
【0038】
このように螺旋溝27はリング部材23の外径寄りに溝底を有する他、図示はしなかったが螺旋溝27の溝深さをリング部材23の径方向厚みと一致させてもよい。つまり、リング部材23に螺旋状のスリットを設ける。この場合、リング部材23を内周面20に嵌合固定することによって、内周面20が螺旋溝の溝底になる。
【0039】
あるいは図6に示すように、螺旋溝27の溝底31に一定の勾配φを設け、外側端面23sに近づくにつれて溝深さが大きくなるようにしてもよい。
【0040】
本実施例によれば、玉軸受22やころ軸受17といった軸受よりも軸線O方向外方の外筒11端部に位置し、外筒11の内周面20に取り付けられたリング部材23を備えることから、軸線O方向外方からリング部材23に冷却水や洗浄水等といった異物が飛来しても、異物はリング部材23の軸線方向外側端面23sでせき止められ、軸線方向内方へ流入することができない。しかも、リング部材23の内周面にはリング部材23の軸線方向外側端面23sと接続する螺旋溝27が形成され、螺旋溝27は外筒11の正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延びることから、外筒11の正回転に伴い螺旋溝27も回転する。これにより、万一異物が、螺旋溝27や、リング部材23の内周面上に侵入しても、螺旋溝27がリング部材23の内周面上に侵入した異物を軸線方向外方へ速やかに排出することができる。したがって、玉軸受22およびころ軸受17の寿命を長くすることができる。
【0041】
リング部材23は、所定の第1内径を有する第1領域34と、第1領域34よりも軸線方向内側に位置し第1内径よりも内径が大きい第2内径を有する第2領域35とを有し、螺旋溝27は、第1領域34の内周面に形成される。そして螺旋溝27は第1領域34の環状面23uと接続することや、螺旋溝27の溝底31に勾配φ(図6)が設けられていることから、環状面23uよりも軸線方向内側に侵入した異物をも軸線方向外方へ速やかに排出することができる。
【0042】
この点につき詳述すると、第1領域34の円筒内周面は内径が一定(第1内径)であり、軸線方向における勾配を有しない。この円筒内周面に形成された螺旋溝27は、図5に示すように溝深さが一定になるよう形成されてもよいが、好ましくは図6に示すように溝深さが軸線O方向外側へ向かうにつれて勾配φで大きくなるよう形成される。これにより、リング部材23内周面上に存在する異物を効率よく排出することができる。また、溝底31がテーパ孔の表面のように勾配φで傾斜することから、回転中心Oから溝底31までの距離が軸線方向外側に向かうにつれて大きくなる。そうすると、外筒11の正回転による遠心力が軸線方向外側に向かうにつれて大きくなり、かかる遠心力によって、溝37の異物排出能力を向上させることができる。したがって、異物が溝37を伝って軸線方向内方へ侵入することを防止することができる。
【0043】
また本実施例によれば、軸受22の内輪22iの内周面に固定された固定軸12と、リング部材23に対面する位置で固定軸12に固定された環状のカラー24とを有し、カラー24は、第2領域35の内周面に対面する位置で径方向外方に向かって突出したフランジ部36を備えることから、軸受22と第1領域34との間にフランジ部36が介在する。したがって、異物が軸受22に向かってさらに侵入することを防止することができる。
【0044】
次に本発明の他の実施例を説明する。図7は他の実施例を示す縦断面図であり、図8は同実施例のリング部材の縦断面図である。また図9は、リング部材の内周面の展開図である。この実施例につき、上述した実施例と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例では、リング部材23の内周面に軸線方向外側端面23sと接続する溝37が周方向等間隔に複数本または1本形成される。溝37は、軸線方向外側端面23sからリング部材23の軸線方向中程まで延び、環状面23uとは接続しない。溝37は図5または図6に示すように数mmの深さを有し、図示はしなかったが溝底から軸線までの径が第2領域35の第2内径(筒状部内周面35n)より大きくてもよい。
【0045】
溝37はリング部材23の外径寄りに溝底を有する他、溝37の溝深さをリング部材23の径方向厚みと一致させてもよい。つまり、リング部材23にスリットを設ける。この場合、リング部材23を内周面20に嵌合固定することによって、内周面20が溝37の溝底になる。
【0046】
この実施例によれば、図9に示すように溝37が外筒11の正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延びることから、外筒11の正回転に伴い溝37も回転する。これにより、万一異物が、溝37や、リング部材23の内周面上に侵入しても、溝37がリング部材23の内周面上に侵入した異物を軸線方向外方へ速やかに排出することができる。
【0047】
また溝37は、第1領域34の環状面23uから離れて形成されることから、万一異物が溝37に侵入しても、異物が溝37を伝って環状面23uよりも軸線O方向内方にさらに侵入することを防止することができる。
【0048】
次に本発明のさらに他の実施例を説明する。図10はさらに他の実施例を示す縦断面図であり、図11は同実施例のリング部材の縦断面図である。また図12は、リング部材の内周面の展開図である。この実施例につき、上述した実施例と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例では、溝37が、第1領域34の内周面の環状面23uから外側端面23sまで形成される。溝37は図5または図6に示すように数mmの深さを有し、図示はしなかったが溝底から軸線までの径が第2領域35の第2内径(筒状部内周面35n)より大きくてもよい。
【0049】
この実施例によれば、溝37が第1領域34の環状面23uから軸線方向外側端面23sまで形成されることから、溝37がリング部材23の環状面23uと接続する。これにより、万一異物がリング部材23よりも軸線方向内方に侵入した場合であっても、かかる異物を軸線方向外方へ排出することが可能になる。
【0050】
次に本発明のさらに他の実施例を説明する。図13はさらに他の実施例を示す縦断面図であり、図14は同実施例のリング部材の縦断面図である。また図15は、リング部材の内周面の展開図である。この実施例につき、上述した実施例と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例の溝37は、一部において外筒11の正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延びる。具体的には、第1領域34の内周面に形成された溝37が、環状面23uから外側端面23sまで延びる。そして溝37のうち軸線方向内側の部分が正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延び、溝37のうち軸線方向外側の部分37hは、外筒11の回転中心である軸線Oと平行に延びる。溝37は図5または図6に示すように数mmの深さを有し、図示はしなかったが溝底から軸線までの径が領域35の第2内径(筒状部内周面35n)より大きくてもよい。
【0051】
この実施例によれば、溝37のうち軸線方向外側の部分が軸線Oと平行に延び、溝37のうち軸線方向中程の部分が正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延びることから、軸線方向中程の溝37によって軸線方向外方へ付勢された異物を、軸線方向外側の平行溝37hを流下させることが可能になる。また、溝37は外側端面23sよりも軸線O方向内方の位置で折れて延びることから、平行溝37hを伝って侵入した異物がこの折れ箇所よりも軸線方向内方に侵入することを防止することができる。
【0052】
類似の形態として第1領域34の内周面に形成された溝37が、環状面23uから外側端面23sまで延び、軸線方向中程で折れている。そして図示はしなかったが折れ箇所よりも軸線方向外側の溝37部分が正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延び、折れ箇所よりも軸線方向内側の溝37部分(37hと同様)が環状面23uまで外筒11の回転中心である軸線Oと平行に延びる。溝37は図5または図6に示すように数mmの溝深さを有し、図示はしなかったが溝底から軸線までの径が領域35の第2内径(筒状部内周面35n)より大きくてもよい。
【0053】
この実施例によれば、溝37のうち外側端面23sから軸線方向中程までの部分が正回転方向に対し鋭角θとなるよう斜め方向に延びることから、正回転時外方から飛来する異物は外側端面23sでせき止められ軸線方向内方へ侵入することができない。さらに外部より溝37に沿って異物が侵入したとしても、軸線方向中程に位置する溝37の折れ個所にせき止められ軸線方向内方への侵入が防止される。また溝37に存在する水分等の異物は正回転時、溝37によって軸線方向外方へ遠心力により付勢され排出される。
【0054】
これまで説明した実施例では、ロールが回転する場合であるが、本発明は、軸が回転する場合にも適用可能である。この場合、固定された筒状部材と、筒状部材に挿通された回転軸と、筒状部材の内周面および回転軸の外周面との間に設けられて回転軸を回転自在に支持する軸受と、軸受よりも軸線方向外方の筒状部材端部に位置し、回転軸の外周面に取り付けられたリング部材とを備え、リング部材の外周面にはリング部材の軸線方向外側端面と接続する溝が形成され、溝は少なくとも一部において回転軸の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びる。
【0055】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の軸受構造を備えたバックアップロールの全体を示す縦断面図である。
【図2】同実施例の軸受構造を示す縦断面図である。
【図3】同実施例のリング部材の縦断面図である。
【図4】同実施例のリング部材内周面の展開図である。
【図5】溝をA−Aで断面とし、矢印の向きにみた状態を示す溝深さの説明図である。
【図6】溝の変形例であって、A−Aで断面とし、矢印の向きにみた状態を示す溝深さの説明図である。
【図7】他の実施例の軸受構造を示す縦断面図である。
【図8】同実施例のリング部材の縦断面図である。
【図9】同実施例のリング部材内周面の展開図である。
【図10】さらに他の実施例の軸受構造を示す縦断面図である。
【図11】同実施例のリング部材の縦断面図である。
【図12】同実施例のリング部材内周面の展開図である。
【図13】さらに他の実施例の軸受構造を示す縦断面図である。
【図14】同実施例のリング部材の縦断面図である。
【図15】同実施例のリング部材内周面の展開図である。
【符号の説明】
【0057】
11 外筒、12 固定軸、13 内周面、14 外周面、15 ころ、16 段差、17 ころ軸受、19 段差、20 内周面、21 外周面、22 玉軸受、23 リング部材、23s 外側端面、23u 環状面、24 カラー、25 外筒クリップ、26 固定軸クリップ、27 螺旋溝、28 カラー外周面、29 リング溝、30 リング溝、31 溝底、32 リング溝、33 Oリング、34 第1領域、35 第2領域、35n 筒状部内周面、36 フランジ部、37 溝、37h 平行溝。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側回転部材と、
前記外側回転部材に挿通された内側固定部材と、
前記外側回転部材の内周面と前記内側固定部材の外周面との間に設けられて外側回転部材を回転自在に支持する軸受とを備え、
前記外側回転部材の内周面には前記軸受よりも軸線方向外方の位置にあって前記外側回転部材の軸線方向外側端面と接続する溝が1箇所または複数箇所形成され、
前記溝は少なくとも一部において外側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びる、ロールの軸受構造。
【請求項2】
前記溝は、前記外側回転部材の回転軸を中心として螺旋状に延びる、請求項1に記載のロールの軸受構造。
【請求項3】
前記溝は、前記外側回転部材の軸線方向外側端面よりも軸線方向内方の位置で折れて延びる、請求項1または2に記載のロールの軸受構造。
【請求項4】
前記溝は溝深さが一定になるよう形成される、請求項1〜3のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項5】
前記溝の溝深さが軸線方向外側へ向かうにつれて小さくなるよう形成される、請求項1〜3のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項6】
前記外側回転部材は、前記軸受の外輪の外周面に固定された外筒と、該外筒の軸線方向端部に固定されたリング部材とを有し、
前記溝は前記リング部材の内周面に形成される、請求項1〜5のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項7】
前記リング部材は、所定の第1内径を有する第1領域と、前記第1領域よりも軸線方向内側に位置し前記第1内径よりも内径が大きい第2内径を有する第2領域とを有し、
前記溝は、前記第1領域の内周面に形成される、請求項6に記載のロールの軸受構造。
【請求項8】
前記溝は、前記第1領域の軸線方向内方端から離れて形成される、請求項7に記載のロールの軸受構造。
【請求項9】
前記溝は、前記第1領域の軸線方向内方端から軸線方向外方端まで形成される、請求項7に記載のロールの軸受構造。
【請求項10】
前記内側固定部材は、前記軸受の内輪の内周面に固定された固定軸と、前記リング部材に対面する位置で前記固定軸に固定された環状のカラーとを有し、
前記カラーは、前記第2領域の内周面に対面する位置で径方向外方に向かって突出したフランジ部を備える、請求項7〜9のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項11】
外側固定部材と、前記外側固定部材に挿通された内側回転部材と、
外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内方の位置で、前記外側固定部材の内周面および前記内側回転部材の外周面との間に設けられて内側回転部材を回転自在に支持する軸受とを備え、
前記内側回転部材の外周面には外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内側および外側にまたがって延びる溝が形成され、
前記溝は少なくとも一部において内側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びる、内側回転部材の軸受構造。
【請求項12】
前記溝は、前記内側回転部材の回転軸を中心として螺旋状に延びる、請求項11に記載の内側回転部材の軸受構造。
【請求項13】
前記溝は、前記外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内方の位置で折れて延びる、請求項11または12に記載の内側回転部材の軸受構造。
【請求項14】
前記溝の溝底径寸法が一定になるよう形成される、請求項11〜13のいずれかに記載の内側回転部材の軸受構造。
【請求項15】
前記溝の溝底径寸法が軸線方向外側へ向かうにつれて大きくなるよう形成される、請求項11〜13のいずれかに記載の内側回転部材の軸受構造。
【請求項16】
前記内側回転部材は、前記軸受の内輪の内周面に固定された内筒または軸と、該内筒または軸に固定されて前記外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内側および外側にまたがって延びるリング部材とを有し、
前記溝は、前記リング部材の外周面に形成される、請求項11〜15のいずれかに記載の内側回転部材の軸受構造。
【請求項17】
前記リング部材は、所定の第1外径を有する第1領域と、前記第1領域よりも軸線方向内側に位置し前記第1外径よりも外径が小さい第2外径を有する第2領域とを有し、
前記溝は前記第1領域の外周面に形成される、請求項16に記載の内側回転部材の軸受構造。
【請求項1】
外側回転部材と、
前記外側回転部材に挿通された内側固定部材と、
前記外側回転部材の内周面と前記内側固定部材の外周面との間に設けられて外側回転部材を回転自在に支持する軸受とを備え、
前記外側回転部材の内周面には前記軸受よりも軸線方向外方の位置にあって前記外側回転部材の軸線方向外側端面と接続する溝が1箇所または複数箇所形成され、
前記溝は少なくとも一部において外側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びる、ロールの軸受構造。
【請求項2】
前記溝は、前記外側回転部材の回転軸を中心として螺旋状に延びる、請求項1に記載のロールの軸受構造。
【請求項3】
前記溝は、前記外側回転部材の軸線方向外側端面よりも軸線方向内方の位置で折れて延びる、請求項1または2に記載のロールの軸受構造。
【請求項4】
前記溝は溝深さが一定になるよう形成される、請求項1〜3のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項5】
前記溝の溝深さが軸線方向外側へ向かうにつれて小さくなるよう形成される、請求項1〜3のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項6】
前記外側回転部材は、前記軸受の外輪の外周面に固定された外筒と、該外筒の軸線方向端部に固定されたリング部材とを有し、
前記溝は前記リング部材の内周面に形成される、請求項1〜5のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項7】
前記リング部材は、所定の第1内径を有する第1領域と、前記第1領域よりも軸線方向内側に位置し前記第1内径よりも内径が大きい第2内径を有する第2領域とを有し、
前記溝は、前記第1領域の内周面に形成される、請求項6に記載のロールの軸受構造。
【請求項8】
前記溝は、前記第1領域の軸線方向内方端から離れて形成される、請求項7に記載のロールの軸受構造。
【請求項9】
前記溝は、前記第1領域の軸線方向内方端から軸線方向外方端まで形成される、請求項7に記載のロールの軸受構造。
【請求項10】
前記内側固定部材は、前記軸受の内輪の内周面に固定された固定軸と、前記リング部材に対面する位置で前記固定軸に固定された環状のカラーとを有し、
前記カラーは、前記第2領域の内周面に対面する位置で径方向外方に向かって突出したフランジ部を備える、請求項7〜9のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項11】
外側固定部材と、前記外側固定部材に挿通された内側回転部材と、
外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内方の位置で、前記外側固定部材の内周面および前記内側回転部材の外周面との間に設けられて内側回転部材を回転自在に支持する軸受とを備え、
前記内側回転部材の外周面には外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内側および外側にまたがって延びる溝が形成され、
前記溝は少なくとも一部において内側回転部材の正回転方向に対し鋭角となるよう斜め方向に延びる、内側回転部材の軸受構造。
【請求項12】
前記溝は、前記内側回転部材の回転軸を中心として螺旋状に延びる、請求項11に記載の内側回転部材の軸受構造。
【請求項13】
前記溝は、前記外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内方の位置で折れて延びる、請求項11または12に記載の内側回転部材の軸受構造。
【請求項14】
前記溝の溝底径寸法が一定になるよう形成される、請求項11〜13のいずれかに記載の内側回転部材の軸受構造。
【請求項15】
前記溝の溝底径寸法が軸線方向外側へ向かうにつれて大きくなるよう形成される、請求項11〜13のいずれかに記載の内側回転部材の軸受構造。
【請求項16】
前記内側回転部材は、前記軸受の内輪の内周面に固定された内筒または軸と、該内筒または軸に固定されて前記外側固定部材の軸線方向端よりも軸線方向内側および外側にまたがって延びるリング部材とを有し、
前記溝は、前記リング部材の外周面に形成される、請求項11〜15のいずれかに記載の内側回転部材の軸受構造。
【請求項17】
前記リング部材は、所定の第1外径を有する第1領域と、前記第1領域よりも軸線方向内側に位置し前記第1外径よりも外径が小さい第2外径を有する第2領域とを有し、
前記溝は前記第1領域の外周面に形成される、請求項16に記載の内側回転部材の軸受構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−121765(P2010−121765A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298255(P2008−298255)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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