ロールおよび回転軸の軸受構造
【課題】ローラの外筒の端部から内部に異物が侵入することを防止しつつ、侵入した異物を軸線方向外方へ容易に排出することができるローラの軸受構造を提供する。
【解決手段】本発明のロールの軸受構造は、外筒11と、外筒11を貫通する固定軸12と、外筒11の内周面13および固定軸12の外周面21との間に設けられて外筒11を回転自在に支持する軸受22と、軸受22よりも軸線方向外方の外筒端部に位置し、外筒11の内周面13に取り付けられて、内周面13よりも径方向内方へ突出した環状部材26とを備える。そして環状部材26は、軸線O方向内側面から外側面まで貫通する切り込み39,40と、切り込み39,40に隣接して軸線O方向外方へ折曲形成されたフィン30とを有し、切り込み39,40およびフィン30は環状部材26の周方向に複数配設されて、外筒11の正回転方向に伴いフィン30はフィン近傍の空気および水分を軸線O方向外方へ押し出す。
【解決手段】本発明のロールの軸受構造は、外筒11と、外筒11を貫通する固定軸12と、外筒11の内周面13および固定軸12の外周面21との間に設けられて外筒11を回転自在に支持する軸受22と、軸受22よりも軸線方向外方の外筒端部に位置し、外筒11の内周面13に取り付けられて、内周面13よりも径方向内方へ突出した環状部材26とを備える。そして環状部材26は、軸線O方向内側面から外側面まで貫通する切り込み39,40と、切り込み39,40に隣接して軸線O方向外方へ折曲形成されたフィン30とを有し、切り込み39,40およびフィン30は環状部材26の周方向に複数配設されて、外筒11の正回転方向に伴いフィン30はフィン近傍の空気および水分を軸線O方向外方へ押し出す。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板製造設備等に使用されるテンションレベラーにおいて、テンションレベラーのワークロール、中間ロール、バックアップロール等の外筒を回転自在に支持する軸受構造、および回転軸の軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
薄板製品の加工工程において、ワークロール、中間ロール、バックアップロール等の外筒は、大量の冷却水および洗浄液といった水に晒される。このため、外筒を回転自在に支持する軸受にも、水が侵入し、軸受の潤滑不良および錆が発生する懸念があった。かかるロールの軸受内部への洗浄液等の侵入を防止する技術としては従来、例えば、特開2006−250198号公報(特許文献1)に記載のごとき技術が知られている。特許文献1に記載のロール支持装置は、外筒の軸方向端部における内周面を、端部開口へ向かうほど内径が大きくなるテーパ孔に形成し、固定軸の外周に設けられて外筒のテーパ孔と対面するリング状部材の外周面を、外筒の端部開口へ向かうほど外径が大きくなるテーパ状に形成し、かかる外筒の端部と、リング状部材との環状隙間を、微小な隙間幅で部分円錐筒状にするというものである。
【特許文献1】特開2006−250198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来のようなロール支持装置にあっては、以下に説明するような問題を生ずる。つまり、微小な隙間がリング状部材の軸線方向内側端から外側端まで延在することから、リング状部材の軸線方向内方に一旦、水が侵入すると、侵入した水をリング状部材の軸線方向外方へ排出することが困難である。
【0004】
本発明は、上述の実情に鑑み、外筒を回転自在に支持する軸受を水の侵入から保護するべく、外筒の端部から水が容易に侵入することができず、たとえ侵入した場合であっても、侵入した水を軸線方向外方へ容易に排出することができる軸受構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため本発明によるロールの軸受構造は、外筒と、外筒を貫通する固定軸と、外筒の内周面および固定軸の外周面との間に設けられて外筒を回転自在に支持する軸受と、軸受よりも軸線方向外方の外筒端部に取り付けられて、外筒端部の内周面よりも径方向内方へ突出した環状部材とを備え、環状部材は、軸線方向内側面から外側面まで貫通する切り込みと、切り込みに隣接して軸線方向外方へ折曲形成されたフィンとを有し、切り込みおよびフィンは環状部材の周方向に複数配設されて、外筒の正回転方向に伴いフィンはフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出す。
【0006】
かかる本発明によれば、フィンが外筒の正回転方向に伴いフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出すことから、外筒の正回転時に軸線方向外方からフィンに冷却水や洗浄水といった異物が飛来しても、異物を軸線方向外方へ跳ね返す。したがって、異物が切り込みを通過して軸線方向内方へ侵入することを防止できる。しかも、万一異物が環状部材よりも軸線方向内方に侵入しても、切り込みを経由して異物を速やかに排出することができる。
【0007】
環状部材は、プラスチック等による成形品であってもよいが、軸線方向と直角な金属製板材でもよく、フィンは、該板材の一部が軸直角平面における正回転方向に対し所定角度で軸線方向外方へ折り曲げられた状態になっている。かかる実施形態によれば、環状部材は軸線方向と直角な金属製板材であることから、フィンの製作が容易になる。
【0008】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、外筒端部の内径が軸受の支持位置における外筒の内径よりも大きく、フィンの少なくとも外径側部分が、軸受の支持位置における外筒の内周面よりも径方向外側に配置される。かかる実施形態によれば、外筒端部の内周に取り付けられる環状部材の径方向寸法を大きくして、フィンの正回転方向の進行速度を大きくすることが可能になる。したがって、フィンの押し出し機能が向上する。
【0009】
ここで好ましくは、軸受の支持位置と外筒端部との間における外筒の内径は、軸線方向外方に向かうにつれて徐々に大きくなる。あるいは、外筒は、内周のうち軸受の支持位置と外筒端部との間に環状の段差を有するのがよい。
【0010】
好ましくは、固定軸は、外周のうち軸受よりも軸線方向外側に取り付けられて径方向外方へ突出するカラーを有し、カラーは、環状部材の軸線方向内側面と対向する。かかる実施形態によれば、固定軸に取り付けられたカラーが環状部材の軸線方向内側面と対向することから、環状部材の内周縁と固定軸の外周との環状隙間から異物が侵入しても、異物は切り込みから軸線方向外方へ排出される。したがって、カラーを越えて軸線方向内方へ異物が侵入することを防止することができる。
【0011】
好ましくは、カラーは、外径側が環状部材の軸線方向内側面と対向し、内径側が環状部材の内周縁と固定軸の外周との間に介在する。かかる実施形態によれば、カラーの内径側が環状部材の内周縁と固定軸の外周との間に介在することから、カラーと環状部材との間に径方向隙間をさらに構成して、環状部材の軸線方向内側に異物が侵入し難くすることができる。
【0012】
好ましくは、環状部材の内周縁が、環状部材を貫通する固定軸の外周と、液体の侵入が困難になるよう僅かな隙間を介して対面する。かかる実施形態によれば、環状部材の内周縁と固定軸の外周面との隙間幅を小さくして、環状部材の軸線方向内側に洗浄水などの異物が侵入し難くすることができる。
【0013】
好ましくは、環状部材は、外筒端部の内周に、軸線方向所定間隔に複数取り付けられている。かかる実施形態によれば、外筒端部の内周に、環状部材が軸線方向所定間隔に複数取り付けられていることから、軸線方向において最も外方の環状部材を越えて異物が侵入しても、軸線方向内方の環状部材によって、異物の侵入を防止することができる。したがって、外筒の端部から異物が侵入することを確実に防止することができる。
【0014】
好ましくは、環状部材は、軸線方向に隣り合う第1環状部材および第2環状部材を含み、第1環状部材に形成されたフィンの周方向位置と第2環状部材に形成されたフィンの周方向位置とが互いに異なる。かかる実施形態によれば、第1環状部材に形成されたフィンと第2環状部材に形成されたフィンとを周方向位置で互い違いに配置することから、外筒の端部から内部に異物が侵入することを確実に防止することができる。
【0015】
好ましくは、環状部材は、軸線方向に隣り合う第1環状部材および第2環状部材を含み、第1環状部材に形成されたフィンの径方向位置と第2環状部材に形成されたフィンの径方向位置とが互いに異なる。かかる実施形態によれば、第1環状部材に形成されたフィンと第2環状部材に形成されたフィンとを径方向で互い違いに配置することから、外筒の端部から異物が侵入することを確実に防止することができる。
【0016】
本発明に係る技術的思想は、ロールの外筒が回転する場合のみならず、軸が回転する場合にも適用可能である。すなわち、本発明に係る回転軸の軸受構造は、筒状部材と、筒状部材を貫通する回転軸と、筒状部材端部よりも軸線方向内方で、筒状部材の内周面および回転軸の外周面との間に設けられて回転軸を回転自在に支持する軸受と、筒状部材端部における筒状部材の内周面と対面するよう回転軸に取り付けられて、回転軸の外周面よりも径方向外方へ突出した環状部材とを備え、環状部材は、軸線方向内側面から外側面まで貫通する切り込みと、前記切り込みに隣接して軸線方向外方へ折曲形成されたフィンとを有し、切り込みおよびフィンは環状部材の周方向に複数配設されて、回転軸の正回転方向に伴いフィンはフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出す。
【0017】
かかる本発明によれば、フィンが回転軸の正回転方向に伴いフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出すことから、回転軸の正回転時に軸線方向外方からフィンに冷却水や洗浄水といった異物が飛来しても、異物を軸線方向外方へ跳ね返す。したがって、異物が切り込みを通過して軸線方向内方へ侵入することを防止できる。しかも、万一異物が環状部材よりも軸線方向内方に侵入しても、切り込みを経由して異物を速やかに排出することができる。
【発明の効果】
【0018】
このように本発明は、外筒の正回転方向に伴いフィンはフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出すことから、環状部材の外側に冷却水や洗浄水といった異物が飛来しても、外筒の端部から内部に異物が侵入することを好適に防止することができる。しかも、異物が環状部材よりも軸線方向内方に万一侵入しても、切り込みを経由して異物を速やかに排出することができる。このため、ロールの軸受の耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本実施例になる軸受構造を備えたバックアップロールの全体を示す縦断面図である。
【0021】
図1において、11はバックアップロール等の外筒を示し、両端開口形状である。外筒11の外周面は、他のロールまたは図示しない薄板製品と転がり接触して、薄板製品のそりやひずみを矯正する。外筒11の内径側には、回転しない固定軸12が挿通される。外筒11の軸線O方向中央部と端部との間に位置する内周面13と固定軸12の外周面14との間には、複数のころ15と、これらころ15を周方向等間隔に保持する保持器16とを配置する。内周面13のうち、これらころ15からなるころ軸受17よりも軸線O方向端部側、すなわち軸線O方向外側には、リング形状のクリップ18を係合固定する。かかるクリップ18の軸線方向位置で、固定軸12は段差19を伴って端部側、すなわち軸線O方向外側の外径が小さい。段差19よりも軸線O方向外側の外周面21には、玉軸受22の内輪22iを嵌合固定する。また、内輪22iと対応する外筒11の内周面13には玉軸受22の外輪22oを嵌合固定する。これら内輪22iおよび外輪22o間には複数の玉22tを配列する。また、内輪22iおよび外輪22o間における軸線O方向両側部にはシール部材41をそれぞれ配置する。これらころ軸受17および玉軸受22は、外筒11の他方の端部についても同様に配置され、外筒11を回転自在に支持する。
【0022】
玉軸受22よりも軸線O方向外側には、シール部材23と、カラー24と、クリップ25と、環状部材26とを順次配設する。
【0023】
図2は、これらシール部材23、カラー24、クリップ25、および環状部材26等を拡大して示す縦断面図である。また図3は、環状部材26の一部を軸線O方向外側からみた状態を示す正面図である。また図4は、図3にIVで示すように環状部材26を径方向内側からみた状態を示す拡大図である。シール部材23は、軸線O方向一方側に内向きフランジ部31を備えた筒状の座金32と、座金32の内周に固着されるゴム製のシールリング33と、シールリング33から軸線O方向一方側かつ内径側に向かって突出するシールリップ34とを有する。座金32の外周は外筒11の内周面13に嵌合固定される。
【0024】
カラー24は、リング形状であって、固定軸12の外周に嵌合固定される。固定軸12の外周のうち、シール部材23と軸線O方向で同じ位置には、外周面21に隣接して段差36が設けられる。固定軸12の外径は、この段差36よりも軸線O方向外側で小さくなる。外周面21よりも小さな外径の外周面37には、カラー24が嵌合固定される。カラー24の縦断面は、図2に示すようにシール部材23の内径側と軸線O方向外側とを包囲する形状である。またカラー24は、段差36に突き当たって内輪22iの軸線O方向移動を規制する。このためカラー24は、径方向に大きな厚みを備えた円筒部24tと、この円筒部24tの軸線方向外側から径方向外側に突出したフランジ部24fとを有する。そして、シールリップ34の内径縁が、カラー円筒部24tの外周面と摺接して、軸線O方向外側からの異物の侵入を阻止する。
【0025】
カラー24の軸線O方向外側には、リング形状のクリップ25を隣接配置する。クリップ25は外周面37に刻設されて全周に亘り延在するリング溝38に係合固定されて、カラー24が軸線O方向外側に抜け出ることを防止する。
【0026】
クリップ25よりも軸線O方向外側になる外筒11の端部開口には、環状部材26が設けられる。環状部材26は金属製品であっても樹脂成形品であってもよく、本実施例では金属製品の場合について説明する。環状部材26は筒状部27を有し、筒状部27の外筒11の内周面に嵌合固定される。筒状部27の軸線O方向内側端は、径方向内側に向かうよう内向きフランジ部28が折曲形成される。内向きフランジ部28は中心孔29を有し、この中心孔29を固定軸12が貫通する。なお、中心孔29の内径は固定軸12の外径よりも僅かに大きく、環状部材26の内周縁を固定軸12の外周面37と略一致させる。これにより、環状部材26の内周縁が、環状部材26を貫通する固定軸の外周面と、液体の侵入が困難になるよう僅かな隙間を介して対面する。
【0027】
内向きフランジ部28の内径側には、軸線O方向内側面から外側面まで貫通する切り込み39,40が設けられる。図3に示すように切り込み39は、内向きフランジ部28の内周縁(中心孔29)から径方向中央部まで放射状に配列する。そして90度向きを変えた切り込み40は、矢で示す周方向正回転の向きに所定の長さを有する。このように中心孔29および切り込み39,40に3方を囲まれた内向きフランジ部28の一部は、図3に二点鎖線で示す位置で折り曲げられ、図4に示すように切り込み39に隣接する側が内向きフランジ部28から軸線O方向外側へ突出する。このようにして、フィン30が折曲形成される。
【0028】
フィン30の折り曲げ角度θは、内向きフランジ部28の軸線方向厚みとフィン30の周方向寸法との関係にもよるが、フィン30が切り込み39を介して内向きフランジ部28から完全に突出するものであれば良く、具体的には1°≦θ≦30°である。
【0029】
環状部材26は外筒11とともに、図3および図4に矢で示す方向に正回転する。そうすると、正回転方向に対し角度θを折り曲げ形成されたフィン30は、フィン30近傍の空気および液体を軸線O方向外方へ押し出すのである。
【0030】
本実施例によれば、玉軸受22よりも軸線O方向外方の外筒11端部における内周面13に取り付けられて、内周面13よりも径方向内方へ突出した環状部材26を備える。そして、環状部材26は、軸線O方向内側面から外側面まで貫通する切り込み39,40と、これら切り込み39,40に隣接して軸線O方向外方へ折曲形成されたフィン30とを有する。切り込み39,40およびフィン30は環状部材26の周方向に複数配設されて、外筒11の正回転方向に伴いフィン30はフィン近傍の空気および水分を軸線O方向外方へ押し出す。これにより、軸線O方向外方からフィン30に冷却水や洗浄水といった異物が飛来しても、フィン30が異物を軸線O方向外方へ跳ね返し、異物が切り込み39を通過して軸線O方向内方へ侵入することを防止できる。しかも、万一異物が環状部材26よりも軸線O方向内方に侵入しても、切り込み39を経由して異物を速やかに排出することができる。
【0031】
フィン30は、射出成形、鋳造、素材削りだし等、正回転方向に伴いフィン30近傍の空気および水分を軸線方向外方へ押し出すものであればどのような形状であってもよいが、環状部材26が軸線O方向と直角な内向きフランジ部28を有する本実施例では、環状部材26を金属製板材、または樹脂成形品とし、図3および図4に示すようにフィン30は、内向きフランジ部28の一部が軸直角平面における正回転方向に対し所定角度θで軸線O方向外方へ折り曲げられている。これにより、フィン30の製作が容易になる。特に、環状部材26が樹脂成形品の場合、射出成形によって造形の自由度が大きくなる。
【0032】
また本実施例によれば、固定軸12は、その外周面37のうち玉軸受22よりも軸線方向外側に取り付けられて径方向外方へ突出するカラー24を有する。そして、カラー24のフランジ部24fが、環状部材26の軸線O方向内側面と対向する。これにより、環状部材26の内周縁(中心孔29)と固定軸12の外周面37との環状隙間から異物が侵入しても、異物は切り込み39から軸線O方向外方へ排出される。したがって、カラー24を越えて軸線O方向内方へ異物が侵入することを防止することができる。
【0033】
また本実施例によれば、図2に示すように、環状部材26の内周縁になる中心孔29が、環状部材26を貫通する固定軸12の外周面37と略一致することから、環状部材26の中心孔29と固定軸12の外周面37との隙間幅を小さくして、環状部材26の軸線O方向内側に異物が侵入し難くすることができる。
【実施例2】
【0034】
次に本発明の実施例2を説明する。図5は実施例2を示す縦断面図であり、図6は、同実施例の環状部材の一部を軸線方向外方からみた状態を示す正面図である。この実施例2につき、上述した実施例1と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例2では、外筒11の端部の内径が軸線方向内側における内径よりも大きい。つまり、玉軸受22よりも軸線方向外方の外筒11端部における内周面43の内径を、玉軸受22の支持位置における外筒11の内周面13の内径よりも大きく形成する。これにより、内周面43に嵌合固定された環状部材26の径方向寸法を、図2に示す実施例1と比較して大きくすることができる。
【0035】
そして、フィン30を筒状部27の近傍に設け、フィン30の少なくとも外径側部分が、内周面13よりも径方向外側に配置される。具体的には、フィン30の外径側縁から内周面13までの径方向寸法をtとすると。t>0とする。カラー24の外径側になるフランジ部24fは、環状部材26の内向きフランジ部28の軸線方向内側面と対向する。
【0036】
実施例2では、玉軸受22の支持位置と外筒端部との間における外筒11の内径は、軸線方向外方に向かうにつれて徐々に大きくなる。具体的には図5に示すように、小径の内周面13と、大径の内周面43との間をテーパ孔45で接続する。
【0037】
あるいは、図7に示すように、外筒11内周のうち玉軸受22の支持位置と外筒端部との間に環状の段差47を有するものであってもよい。
【0038】
実施例2によれば、外筒端部の内周面43が、玉軸受22の支持位置における内周面13よりも内径が大きいことから、外筒11端部の内周面43に取り付けられる環状部材26の径方向寸法を実施例1よりも大きくして、フィン30の正回転方向の進行速度を大きくすることが可能になる。したがって、フィンの押し出し機能が向上する。
【実施例3】
【0039】
次に本発明の実施例3を説明する。図8は実施例3を示す縦断面図である。この実施例3につき、上述した実施例1および実施例2と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例3では、実施例2のカラー24の内径側を軸線O方向外側に突出させたものである。この突出部24kは環状部材26の内周縁(中心孔29)と固定軸12の外周面37との間に介在する。
【0040】
実施例3によれば、カラー24外径側のフランジ部24fが環状部材26の軸線方向内側面と対向し、カラー24内径側の突出部24kが環状部材26の内周縁(中心孔29)と固定軸12の外周面37との間に介在することから、中心孔29と突出部24kとの間に径方向隙間を追加することができる。軸線O方向外方から飛来する異物は、この径方向隙間によって侵入を制限され、中心孔29から侵入することを抑制することができる。
【実施例4】
【0041】
次に本発明の実施例4を説明する。図9は実施例4を示す縦断面図であり、図10は同実施例の環状部材の一部を軸線方向外方からみた状態を示す正面図である。この実施例4につき、上述した実施例1と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例4では、実施例1に第2環状部材26bを付加したものである。第2環状部材26bは、第1環状部材26a(環状部材26)と同一形状である。なお、実施例4では、説明の便宜上、環状部材26の符号の末尾に異なる符号a,bを付して区別している。図10の正面図に示すように、フィン30bの周方向位置とフィン30aの周方向位置が互いに異なり、互い違いに配置される。
【0042】
実施例4によれば、外筒11端部の内周面13に、第1環状部材26aと第2環状部材26bを軸線O方向所定間隔に複数取り付けたことから、異物が軸線O方向内側に侵入するにはまず切り込み39bを通過し次に切り込み39aを通過しなければならない。したがって異物が外筒11内部へ侵入することを一層効果的に防止でき、しかも、万一異物が環状部材26a、26bよりも軸線O方向内側に侵入しても、切り込み39a、39bを経由して異物を速やかに排出することができる。なお、図示はしなかったが、第3の環状部材を第2環状部材26bの軸線O方向外側にさらに付加してもよい。
【0043】
また実施例4によれば、環状部材は、軸線O方向に隣り合う第1環状部材26aおよび第2環状部材26bを含み、第1環状部材26aに形成されたフィン30aの周方向位置と第2環状部材26bに形成されたフィン30bの周方向位置とが互いに異なる。これにより、フィン30aとフィン30bの位相が異なって配置され、外筒11の端部から内部に異物が侵入することを確実に防止することができる。
【実施例5】
【0044】
次に本発明の実施例5を説明する。図11は実施例5を示す縦断面図である。この実施例5につき、上述した実施例1〜実施例4と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例5では、実施例4のフィン30bの位置を変更したものである。具体的には、フィン30aを内径側に、フィン30bを外径側に配置する。
【0045】
実施例5によれば、環状部材26が軸線O方向に隣り合う第1環状部材26aおよび第2環状部材26bを含み、第1環状部材26aに形成されたフィン30aの径方向位置と第2環状部材26bに形成されたフィン30bの径方向位置とが互いに異なる。これにより、フィン30a,30bを径方向で互い違いに配置して、外筒11の端部から内部へ異物が侵入することを確実に防止することができる。
【0046】
また、フィン30aとフィン30bとの位置関係を、径方向位置かつ周方向位置で互いに異ならせると、これにより、フィン30a,30bを軸線O方向視で互い違いに配置することができる。したがって、外筒11の端部から内部へ異物が侵入することを一層確実に防止することができる。
【0047】
これまで説明した実施例では、ロールが回転する場合であるが、本発明は、軸が回転する場合にも適用可能である。この場合、固定された筒状部材と、筒状部材に挿通された回転軸と、筒状部材端部よりも軸線方向内方で、筒状部材の内周面および回転軸の外周面との間に設けられて回転軸を回転自在に支持する軸受と、軸受よりも軸線方向外方で、回転軸に取り付けられて、回転軸の外周面よりも径方向外方へ突出した環状部材とを備え、環状部材は、軸線方向内側面から外側面まで貫通する切り込みと、前記切り込みに隣接して軸線方向外方へ折曲形成されたフィンとを有し、切り込みおよびフィンは環状部材の周方向に複数配設されて、回転軸の正回転方向に伴いフィンはフィン近傍の空気及び水分を軸線方向外方へ押し出す。
【0048】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の軸受構造を備えたバックアップロールの全体を示す縦断面図である。
【図2】実施例1の軸受構造を拡大して示す縦断面図である。
【図3】同実施例の環状部材の一部を軸線方向外側からみた状態を示す正面図である。
【図4】図3にIVで示すように環状部材を径方向内側からみた状態を示す拡大図である。
【図5】実施例2の軸受構造を拡大して示す縦断面図である。
【図6】同実施例の環状部材の一部を軸線方向外方からみた状態を示す正面図である。
【図7】外筒端部の変形例を示す縦断面図である。
【図8】実施例3の軸受構造を拡大して示す縦断面図である。
【図9】実施例4の軸受構造を拡大して示す縦断面図である。
【図10】同実施例の環状部材の一部を軸線方向外方からみた状態を示す正面図である。
【図11】実施例5の軸受構造を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0050】
11 外筒、12 固定軸、13 内周面、14 外周面、15 ころ、16 保持器、17 ころ軸受、21 外周面、22 玉軸受、23 シール部材、24 カラー、25 クリップ、26 環状部材、26a 第1環状部材、26b 第2環状部材、27 筒状部、28 内向きフランジ部、29 中心孔、30,30a,30b フィン、36 段差、37 外周面、39,39a,39b,40,40a,40b 切り込み、43 内周面、45 テーパ孔、47 段差。
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄板製造設備等に使用されるテンションレベラーにおいて、テンションレベラーのワークロール、中間ロール、バックアップロール等の外筒を回転自在に支持する軸受構造、および回転軸の軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
薄板製品の加工工程において、ワークロール、中間ロール、バックアップロール等の外筒は、大量の冷却水および洗浄液といった水に晒される。このため、外筒を回転自在に支持する軸受にも、水が侵入し、軸受の潤滑不良および錆が発生する懸念があった。かかるロールの軸受内部への洗浄液等の侵入を防止する技術としては従来、例えば、特開2006−250198号公報(特許文献1)に記載のごとき技術が知られている。特許文献1に記載のロール支持装置は、外筒の軸方向端部における内周面を、端部開口へ向かうほど内径が大きくなるテーパ孔に形成し、固定軸の外周に設けられて外筒のテーパ孔と対面するリング状部材の外周面を、外筒の端部開口へ向かうほど外径が大きくなるテーパ状に形成し、かかる外筒の端部と、リング状部材との環状隙間を、微小な隙間幅で部分円錐筒状にするというものである。
【特許文献1】特開2006−250198号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来のようなロール支持装置にあっては、以下に説明するような問題を生ずる。つまり、微小な隙間がリング状部材の軸線方向内側端から外側端まで延在することから、リング状部材の軸線方向内方に一旦、水が侵入すると、侵入した水をリング状部材の軸線方向外方へ排出することが困難である。
【0004】
本発明は、上述の実情に鑑み、外筒を回転自在に支持する軸受を水の侵入から保護するべく、外筒の端部から水が容易に侵入することができず、たとえ侵入した場合であっても、侵入した水を軸線方向外方へ容易に排出することができる軸受構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため本発明によるロールの軸受構造は、外筒と、外筒を貫通する固定軸と、外筒の内周面および固定軸の外周面との間に設けられて外筒を回転自在に支持する軸受と、軸受よりも軸線方向外方の外筒端部に取り付けられて、外筒端部の内周面よりも径方向内方へ突出した環状部材とを備え、環状部材は、軸線方向内側面から外側面まで貫通する切り込みと、切り込みに隣接して軸線方向外方へ折曲形成されたフィンとを有し、切り込みおよびフィンは環状部材の周方向に複数配設されて、外筒の正回転方向に伴いフィンはフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出す。
【0006】
かかる本発明によれば、フィンが外筒の正回転方向に伴いフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出すことから、外筒の正回転時に軸線方向外方からフィンに冷却水や洗浄水といった異物が飛来しても、異物を軸線方向外方へ跳ね返す。したがって、異物が切り込みを通過して軸線方向内方へ侵入することを防止できる。しかも、万一異物が環状部材よりも軸線方向内方に侵入しても、切り込みを経由して異物を速やかに排出することができる。
【0007】
環状部材は、プラスチック等による成形品であってもよいが、軸線方向と直角な金属製板材でもよく、フィンは、該板材の一部が軸直角平面における正回転方向に対し所定角度で軸線方向外方へ折り曲げられた状態になっている。かかる実施形態によれば、環状部材は軸線方向と直角な金属製板材であることから、フィンの製作が容易になる。
【0008】
本発明は一実施形態に限定されるものではないが、外筒端部の内径が軸受の支持位置における外筒の内径よりも大きく、フィンの少なくとも外径側部分が、軸受の支持位置における外筒の内周面よりも径方向外側に配置される。かかる実施形態によれば、外筒端部の内周に取り付けられる環状部材の径方向寸法を大きくして、フィンの正回転方向の進行速度を大きくすることが可能になる。したがって、フィンの押し出し機能が向上する。
【0009】
ここで好ましくは、軸受の支持位置と外筒端部との間における外筒の内径は、軸線方向外方に向かうにつれて徐々に大きくなる。あるいは、外筒は、内周のうち軸受の支持位置と外筒端部との間に環状の段差を有するのがよい。
【0010】
好ましくは、固定軸は、外周のうち軸受よりも軸線方向外側に取り付けられて径方向外方へ突出するカラーを有し、カラーは、環状部材の軸線方向内側面と対向する。かかる実施形態によれば、固定軸に取り付けられたカラーが環状部材の軸線方向内側面と対向することから、環状部材の内周縁と固定軸の外周との環状隙間から異物が侵入しても、異物は切り込みから軸線方向外方へ排出される。したがって、カラーを越えて軸線方向内方へ異物が侵入することを防止することができる。
【0011】
好ましくは、カラーは、外径側が環状部材の軸線方向内側面と対向し、内径側が環状部材の内周縁と固定軸の外周との間に介在する。かかる実施形態によれば、カラーの内径側が環状部材の内周縁と固定軸の外周との間に介在することから、カラーと環状部材との間に径方向隙間をさらに構成して、環状部材の軸線方向内側に異物が侵入し難くすることができる。
【0012】
好ましくは、環状部材の内周縁が、環状部材を貫通する固定軸の外周と、液体の侵入が困難になるよう僅かな隙間を介して対面する。かかる実施形態によれば、環状部材の内周縁と固定軸の外周面との隙間幅を小さくして、環状部材の軸線方向内側に洗浄水などの異物が侵入し難くすることができる。
【0013】
好ましくは、環状部材は、外筒端部の内周に、軸線方向所定間隔に複数取り付けられている。かかる実施形態によれば、外筒端部の内周に、環状部材が軸線方向所定間隔に複数取り付けられていることから、軸線方向において最も外方の環状部材を越えて異物が侵入しても、軸線方向内方の環状部材によって、異物の侵入を防止することができる。したがって、外筒の端部から異物が侵入することを確実に防止することができる。
【0014】
好ましくは、環状部材は、軸線方向に隣り合う第1環状部材および第2環状部材を含み、第1環状部材に形成されたフィンの周方向位置と第2環状部材に形成されたフィンの周方向位置とが互いに異なる。かかる実施形態によれば、第1環状部材に形成されたフィンと第2環状部材に形成されたフィンとを周方向位置で互い違いに配置することから、外筒の端部から内部に異物が侵入することを確実に防止することができる。
【0015】
好ましくは、環状部材は、軸線方向に隣り合う第1環状部材および第2環状部材を含み、第1環状部材に形成されたフィンの径方向位置と第2環状部材に形成されたフィンの径方向位置とが互いに異なる。かかる実施形態によれば、第1環状部材に形成されたフィンと第2環状部材に形成されたフィンとを径方向で互い違いに配置することから、外筒の端部から異物が侵入することを確実に防止することができる。
【0016】
本発明に係る技術的思想は、ロールの外筒が回転する場合のみならず、軸が回転する場合にも適用可能である。すなわち、本発明に係る回転軸の軸受構造は、筒状部材と、筒状部材を貫通する回転軸と、筒状部材端部よりも軸線方向内方で、筒状部材の内周面および回転軸の外周面との間に設けられて回転軸を回転自在に支持する軸受と、筒状部材端部における筒状部材の内周面と対面するよう回転軸に取り付けられて、回転軸の外周面よりも径方向外方へ突出した環状部材とを備え、環状部材は、軸線方向内側面から外側面まで貫通する切り込みと、前記切り込みに隣接して軸線方向外方へ折曲形成されたフィンとを有し、切り込みおよびフィンは環状部材の周方向に複数配設されて、回転軸の正回転方向に伴いフィンはフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出す。
【0017】
かかる本発明によれば、フィンが回転軸の正回転方向に伴いフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出すことから、回転軸の正回転時に軸線方向外方からフィンに冷却水や洗浄水といった異物が飛来しても、異物を軸線方向外方へ跳ね返す。したがって、異物が切り込みを通過して軸線方向内方へ侵入することを防止できる。しかも、万一異物が環状部材よりも軸線方向内方に侵入しても、切り込みを経由して異物を速やかに排出することができる。
【発明の効果】
【0018】
このように本発明は、外筒の正回転方向に伴いフィンはフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出すことから、環状部材の外側に冷却水や洗浄水といった異物が飛来しても、外筒の端部から内部に異物が侵入することを好適に防止することができる。しかも、異物が環状部材よりも軸線方向内方に万一侵入しても、切り込みを経由して異物を速やかに排出することができる。このため、ロールの軸受の耐久性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本実施例になる軸受構造を備えたバックアップロールの全体を示す縦断面図である。
【0021】
図1において、11はバックアップロール等の外筒を示し、両端開口形状である。外筒11の外周面は、他のロールまたは図示しない薄板製品と転がり接触して、薄板製品のそりやひずみを矯正する。外筒11の内径側には、回転しない固定軸12が挿通される。外筒11の軸線O方向中央部と端部との間に位置する内周面13と固定軸12の外周面14との間には、複数のころ15と、これらころ15を周方向等間隔に保持する保持器16とを配置する。内周面13のうち、これらころ15からなるころ軸受17よりも軸線O方向端部側、すなわち軸線O方向外側には、リング形状のクリップ18を係合固定する。かかるクリップ18の軸線方向位置で、固定軸12は段差19を伴って端部側、すなわち軸線O方向外側の外径が小さい。段差19よりも軸線O方向外側の外周面21には、玉軸受22の内輪22iを嵌合固定する。また、内輪22iと対応する外筒11の内周面13には玉軸受22の外輪22oを嵌合固定する。これら内輪22iおよび外輪22o間には複数の玉22tを配列する。また、内輪22iおよび外輪22o間における軸線O方向両側部にはシール部材41をそれぞれ配置する。これらころ軸受17および玉軸受22は、外筒11の他方の端部についても同様に配置され、外筒11を回転自在に支持する。
【0022】
玉軸受22よりも軸線O方向外側には、シール部材23と、カラー24と、クリップ25と、環状部材26とを順次配設する。
【0023】
図2は、これらシール部材23、カラー24、クリップ25、および環状部材26等を拡大して示す縦断面図である。また図3は、環状部材26の一部を軸線O方向外側からみた状態を示す正面図である。また図4は、図3にIVで示すように環状部材26を径方向内側からみた状態を示す拡大図である。シール部材23は、軸線O方向一方側に内向きフランジ部31を備えた筒状の座金32と、座金32の内周に固着されるゴム製のシールリング33と、シールリング33から軸線O方向一方側かつ内径側に向かって突出するシールリップ34とを有する。座金32の外周は外筒11の内周面13に嵌合固定される。
【0024】
カラー24は、リング形状であって、固定軸12の外周に嵌合固定される。固定軸12の外周のうち、シール部材23と軸線O方向で同じ位置には、外周面21に隣接して段差36が設けられる。固定軸12の外径は、この段差36よりも軸線O方向外側で小さくなる。外周面21よりも小さな外径の外周面37には、カラー24が嵌合固定される。カラー24の縦断面は、図2に示すようにシール部材23の内径側と軸線O方向外側とを包囲する形状である。またカラー24は、段差36に突き当たって内輪22iの軸線O方向移動を規制する。このためカラー24は、径方向に大きな厚みを備えた円筒部24tと、この円筒部24tの軸線方向外側から径方向外側に突出したフランジ部24fとを有する。そして、シールリップ34の内径縁が、カラー円筒部24tの外周面と摺接して、軸線O方向外側からの異物の侵入を阻止する。
【0025】
カラー24の軸線O方向外側には、リング形状のクリップ25を隣接配置する。クリップ25は外周面37に刻設されて全周に亘り延在するリング溝38に係合固定されて、カラー24が軸線O方向外側に抜け出ることを防止する。
【0026】
クリップ25よりも軸線O方向外側になる外筒11の端部開口には、環状部材26が設けられる。環状部材26は金属製品であっても樹脂成形品であってもよく、本実施例では金属製品の場合について説明する。環状部材26は筒状部27を有し、筒状部27の外筒11の内周面に嵌合固定される。筒状部27の軸線O方向内側端は、径方向内側に向かうよう内向きフランジ部28が折曲形成される。内向きフランジ部28は中心孔29を有し、この中心孔29を固定軸12が貫通する。なお、中心孔29の内径は固定軸12の外径よりも僅かに大きく、環状部材26の内周縁を固定軸12の外周面37と略一致させる。これにより、環状部材26の内周縁が、環状部材26を貫通する固定軸の外周面と、液体の侵入が困難になるよう僅かな隙間を介して対面する。
【0027】
内向きフランジ部28の内径側には、軸線O方向内側面から外側面まで貫通する切り込み39,40が設けられる。図3に示すように切り込み39は、内向きフランジ部28の内周縁(中心孔29)から径方向中央部まで放射状に配列する。そして90度向きを変えた切り込み40は、矢で示す周方向正回転の向きに所定の長さを有する。このように中心孔29および切り込み39,40に3方を囲まれた内向きフランジ部28の一部は、図3に二点鎖線で示す位置で折り曲げられ、図4に示すように切り込み39に隣接する側が内向きフランジ部28から軸線O方向外側へ突出する。このようにして、フィン30が折曲形成される。
【0028】
フィン30の折り曲げ角度θは、内向きフランジ部28の軸線方向厚みとフィン30の周方向寸法との関係にもよるが、フィン30が切り込み39を介して内向きフランジ部28から完全に突出するものであれば良く、具体的には1°≦θ≦30°である。
【0029】
環状部材26は外筒11とともに、図3および図4に矢で示す方向に正回転する。そうすると、正回転方向に対し角度θを折り曲げ形成されたフィン30は、フィン30近傍の空気および液体を軸線O方向外方へ押し出すのである。
【0030】
本実施例によれば、玉軸受22よりも軸線O方向外方の外筒11端部における内周面13に取り付けられて、内周面13よりも径方向内方へ突出した環状部材26を備える。そして、環状部材26は、軸線O方向内側面から外側面まで貫通する切り込み39,40と、これら切り込み39,40に隣接して軸線O方向外方へ折曲形成されたフィン30とを有する。切り込み39,40およびフィン30は環状部材26の周方向に複数配設されて、外筒11の正回転方向に伴いフィン30はフィン近傍の空気および水分を軸線O方向外方へ押し出す。これにより、軸線O方向外方からフィン30に冷却水や洗浄水といった異物が飛来しても、フィン30が異物を軸線O方向外方へ跳ね返し、異物が切り込み39を通過して軸線O方向内方へ侵入することを防止できる。しかも、万一異物が環状部材26よりも軸線O方向内方に侵入しても、切り込み39を経由して異物を速やかに排出することができる。
【0031】
フィン30は、射出成形、鋳造、素材削りだし等、正回転方向に伴いフィン30近傍の空気および水分を軸線方向外方へ押し出すものであればどのような形状であってもよいが、環状部材26が軸線O方向と直角な内向きフランジ部28を有する本実施例では、環状部材26を金属製板材、または樹脂成形品とし、図3および図4に示すようにフィン30は、内向きフランジ部28の一部が軸直角平面における正回転方向に対し所定角度θで軸線O方向外方へ折り曲げられている。これにより、フィン30の製作が容易になる。特に、環状部材26が樹脂成形品の場合、射出成形によって造形の自由度が大きくなる。
【0032】
また本実施例によれば、固定軸12は、その外周面37のうち玉軸受22よりも軸線方向外側に取り付けられて径方向外方へ突出するカラー24を有する。そして、カラー24のフランジ部24fが、環状部材26の軸線O方向内側面と対向する。これにより、環状部材26の内周縁(中心孔29)と固定軸12の外周面37との環状隙間から異物が侵入しても、異物は切り込み39から軸線O方向外方へ排出される。したがって、カラー24を越えて軸線O方向内方へ異物が侵入することを防止することができる。
【0033】
また本実施例によれば、図2に示すように、環状部材26の内周縁になる中心孔29が、環状部材26を貫通する固定軸12の外周面37と略一致することから、環状部材26の中心孔29と固定軸12の外周面37との隙間幅を小さくして、環状部材26の軸線O方向内側に異物が侵入し難くすることができる。
【実施例2】
【0034】
次に本発明の実施例2を説明する。図5は実施例2を示す縦断面図であり、図6は、同実施例の環状部材の一部を軸線方向外方からみた状態を示す正面図である。この実施例2につき、上述した実施例1と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例2では、外筒11の端部の内径が軸線方向内側における内径よりも大きい。つまり、玉軸受22よりも軸線方向外方の外筒11端部における内周面43の内径を、玉軸受22の支持位置における外筒11の内周面13の内径よりも大きく形成する。これにより、内周面43に嵌合固定された環状部材26の径方向寸法を、図2に示す実施例1と比較して大きくすることができる。
【0035】
そして、フィン30を筒状部27の近傍に設け、フィン30の少なくとも外径側部分が、内周面13よりも径方向外側に配置される。具体的には、フィン30の外径側縁から内周面13までの径方向寸法をtとすると。t>0とする。カラー24の外径側になるフランジ部24fは、環状部材26の内向きフランジ部28の軸線方向内側面と対向する。
【0036】
実施例2では、玉軸受22の支持位置と外筒端部との間における外筒11の内径は、軸線方向外方に向かうにつれて徐々に大きくなる。具体的には図5に示すように、小径の内周面13と、大径の内周面43との間をテーパ孔45で接続する。
【0037】
あるいは、図7に示すように、外筒11内周のうち玉軸受22の支持位置と外筒端部との間に環状の段差47を有するものであってもよい。
【0038】
実施例2によれば、外筒端部の内周面43が、玉軸受22の支持位置における内周面13よりも内径が大きいことから、外筒11端部の内周面43に取り付けられる環状部材26の径方向寸法を実施例1よりも大きくして、フィン30の正回転方向の進行速度を大きくすることが可能になる。したがって、フィンの押し出し機能が向上する。
【実施例3】
【0039】
次に本発明の実施例3を説明する。図8は実施例3を示す縦断面図である。この実施例3につき、上述した実施例1および実施例2と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例3では、実施例2のカラー24の内径側を軸線O方向外側に突出させたものである。この突出部24kは環状部材26の内周縁(中心孔29)と固定軸12の外周面37との間に介在する。
【0040】
実施例3によれば、カラー24外径側のフランジ部24fが環状部材26の軸線方向内側面と対向し、カラー24内径側の突出部24kが環状部材26の内周縁(中心孔29)と固定軸12の外周面37との間に介在することから、中心孔29と突出部24kとの間に径方向隙間を追加することができる。軸線O方向外方から飛来する異物は、この径方向隙間によって侵入を制限され、中心孔29から侵入することを抑制することができる。
【実施例4】
【0041】
次に本発明の実施例4を説明する。図9は実施例4を示す縦断面図であり、図10は同実施例の環状部材の一部を軸線方向外方からみた状態を示す正面図である。この実施例4につき、上述した実施例1と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例4では、実施例1に第2環状部材26bを付加したものである。第2環状部材26bは、第1環状部材26a(環状部材26)と同一形状である。なお、実施例4では、説明の便宜上、環状部材26の符号の末尾に異なる符号a,bを付して区別している。図10の正面図に示すように、フィン30bの周方向位置とフィン30aの周方向位置が互いに異なり、互い違いに配置される。
【0042】
実施例4によれば、外筒11端部の内周面13に、第1環状部材26aと第2環状部材26bを軸線O方向所定間隔に複数取り付けたことから、異物が軸線O方向内側に侵入するにはまず切り込み39bを通過し次に切り込み39aを通過しなければならない。したがって異物が外筒11内部へ侵入することを一層効果的に防止でき、しかも、万一異物が環状部材26a、26bよりも軸線O方向内側に侵入しても、切り込み39a、39bを経由して異物を速やかに排出することができる。なお、図示はしなかったが、第3の環状部材を第2環状部材26bの軸線O方向外側にさらに付加してもよい。
【0043】
また実施例4によれば、環状部材は、軸線O方向に隣り合う第1環状部材26aおよび第2環状部材26bを含み、第1環状部材26aに形成されたフィン30aの周方向位置と第2環状部材26bに形成されたフィン30bの周方向位置とが互いに異なる。これにより、フィン30aとフィン30bの位相が異なって配置され、外筒11の端部から内部に異物が侵入することを確実に防止することができる。
【実施例5】
【0044】
次に本発明の実施例5を説明する。図11は実施例5を示す縦断面図である。この実施例5につき、上述した実施例1〜実施例4と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。この実施例5では、実施例4のフィン30bの位置を変更したものである。具体的には、フィン30aを内径側に、フィン30bを外径側に配置する。
【0045】
実施例5によれば、環状部材26が軸線O方向に隣り合う第1環状部材26aおよび第2環状部材26bを含み、第1環状部材26aに形成されたフィン30aの径方向位置と第2環状部材26bに形成されたフィン30bの径方向位置とが互いに異なる。これにより、フィン30a,30bを径方向で互い違いに配置して、外筒11の端部から内部へ異物が侵入することを確実に防止することができる。
【0046】
また、フィン30aとフィン30bとの位置関係を、径方向位置かつ周方向位置で互いに異ならせると、これにより、フィン30a,30bを軸線O方向視で互い違いに配置することができる。したがって、外筒11の端部から内部へ異物が侵入することを一層確実に防止することができる。
【0047】
これまで説明した実施例では、ロールが回転する場合であるが、本発明は、軸が回転する場合にも適用可能である。この場合、固定された筒状部材と、筒状部材に挿通された回転軸と、筒状部材端部よりも軸線方向内方で、筒状部材の内周面および回転軸の外周面との間に設けられて回転軸を回転自在に支持する軸受と、軸受よりも軸線方向外方で、回転軸に取り付けられて、回転軸の外周面よりも径方向外方へ突出した環状部材とを備え、環状部材は、軸線方向内側面から外側面まで貫通する切り込みと、前記切り込みに隣接して軸線方向外方へ折曲形成されたフィンとを有し、切り込みおよびフィンは環状部材の周方向に複数配設されて、回転軸の正回転方向に伴いフィンはフィン近傍の空気及び水分を軸線方向外方へ押し出す。
【0048】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の軸受構造を備えたバックアップロールの全体を示す縦断面図である。
【図2】実施例1の軸受構造を拡大して示す縦断面図である。
【図3】同実施例の環状部材の一部を軸線方向外側からみた状態を示す正面図である。
【図4】図3にIVで示すように環状部材を径方向内側からみた状態を示す拡大図である。
【図5】実施例2の軸受構造を拡大して示す縦断面図である。
【図6】同実施例の環状部材の一部を軸線方向外方からみた状態を示す正面図である。
【図7】外筒端部の変形例を示す縦断面図である。
【図8】実施例3の軸受構造を拡大して示す縦断面図である。
【図9】実施例4の軸受構造を拡大して示す縦断面図である。
【図10】同実施例の環状部材の一部を軸線方向外方からみた状態を示す正面図である。
【図11】実施例5の軸受構造を拡大して示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0050】
11 外筒、12 固定軸、13 内周面、14 外周面、15 ころ、16 保持器、17 ころ軸受、21 外周面、22 玉軸受、23 シール部材、24 カラー、25 クリップ、26 環状部材、26a 第1環状部材、26b 第2環状部材、27 筒状部、28 内向きフランジ部、29 中心孔、30,30a,30b フィン、36 段差、37 外周面、39,39a,39b,40,40a,40b 切り込み、43 内周面、45 テーパ孔、47 段差。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒と、
前記外筒を貫通する固定軸と、
前記外筒の内周面および前記固定軸の外周面との間に設けられて外筒を回転自在に支持する軸受と、
前記軸受よりも軸線方向外方の外筒端部に取り付けられて、外筒端部の内周面よりも径方向内方へ突出した環状部材とを備え、
前記環状部材は、軸線方向内側面から外側面まで貫通する切り込みと、前記切り込みに隣接して軸線方向外方へ折曲形成されたフィンとを有し、
前記切り込みおよび前記フィンは環状部材の周方向に複数配設されて、外筒の正回転方向に伴いフィンはフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出す、ロールの軸受構造。
【請求項2】
前記環状部材は、軸線方向と直角な金属製板材であり、
前記フィンは、該板材の一部が軸直角平面における前記正回転方向に対し所定角度で軸線方向外方へ折り曲げられた状態となっている、請求項1に記載のロールの軸受構造。
【請求項3】
前記外筒端部の内径が前記軸受の支持位置における外筒の内径よりも大きく、
前記フィンの少なくとも外径側部分が、軸受の支持位置における外筒の内周面よりも径方向外側に配置される、請求項1または2に記載のロールの軸受構造。
【請求項4】
前記軸受の支持位置と前記外筒端部との間における外筒の内径は、軸線方向外方に向かうにつれて徐々に大きくなる、請求項3に記載のロールの軸受構造。
【請求項5】
前記外筒は、内周のうち前記軸受の支持位置と前記外筒端部との間に環状の段差を有する、請求項3に記載のロールの軸受構造。
【請求項6】
前記固定軸は、外周のうち前記軸受よりも軸線方向外側に取り付けられて径方向外方へ突出するカラーを有し、
前記カラーは、前記環状部材の軸線方向内側面と対向する、請求項1〜5のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項7】
前記カラーは、外径側が前記環状部材の軸線方向内側面と対向し、内径側が環状部材の内周縁と前記固定軸の外周との間に介在する、請求項6に記載のロールの軸受構造。
【請求項8】
前記環状部材の内周縁が、環状部材を貫通する前記固定軸の外周と、液体の侵入が困難になるよう僅かな隙間を介して対面する、請求項1〜7のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項9】
前記環状部材は、外筒端部の内周に、軸線方向所定間隔に複数取り付けられている、請求項1〜8のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項10】
前記環状部材は、軸線方向に隣り合う第1環状部材および第2環状部材を含み、第1環状部材に形成された前記フィンの周方向位置と第2環状部材に形成された前記フィンの周方向位置とが互いに異なる、請求項9に記載のロールの軸受構造。
【請求項11】
前記環状部材は、軸線方向に隣り合う第1環状部材および第2環状部材を含み、第1環状部材に形成された前記フィンの径方向位置と第2環状部材に形成された前記フィンの径方向位置とが互いに異なる、請求項9または10に記載のロールの軸受構造。
【請求項12】
筒状部材と、
前記筒状部材を貫通する回転軸と、
筒状部材端部よりも軸線方向内方で、前記筒状部材の内周面および前記回転軸の外周面との間に設けられて回転軸を回転自在に支持する軸受と、
前記筒状部材端部における筒状部材の内周面と対面するよう回転軸に取り付けられて、回転軸の外周面よりも径方向外方へ突出した環状部材とを備え、
前記環状部材は、軸線方向内側面から外側面まで貫通する切り込みと、前記切り込みに隣接して軸線方向外方へ折曲形成されたフィンとを有し、
前記切り込みおよび前記フィンは環状部材の周方向に複数配設されて、回転軸の正回転方向に伴いフィンはフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出す、回転軸の軸受構造。
【請求項1】
外筒と、
前記外筒を貫通する固定軸と、
前記外筒の内周面および前記固定軸の外周面との間に設けられて外筒を回転自在に支持する軸受と、
前記軸受よりも軸線方向外方の外筒端部に取り付けられて、外筒端部の内周面よりも径方向内方へ突出した環状部材とを備え、
前記環状部材は、軸線方向内側面から外側面まで貫通する切り込みと、前記切り込みに隣接して軸線方向外方へ折曲形成されたフィンとを有し、
前記切り込みおよび前記フィンは環状部材の周方向に複数配設されて、外筒の正回転方向に伴いフィンはフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出す、ロールの軸受構造。
【請求項2】
前記環状部材は、軸線方向と直角な金属製板材であり、
前記フィンは、該板材の一部が軸直角平面における前記正回転方向に対し所定角度で軸線方向外方へ折り曲げられた状態となっている、請求項1に記載のロールの軸受構造。
【請求項3】
前記外筒端部の内径が前記軸受の支持位置における外筒の内径よりも大きく、
前記フィンの少なくとも外径側部分が、軸受の支持位置における外筒の内周面よりも径方向外側に配置される、請求項1または2に記載のロールの軸受構造。
【請求項4】
前記軸受の支持位置と前記外筒端部との間における外筒の内径は、軸線方向外方に向かうにつれて徐々に大きくなる、請求項3に記載のロールの軸受構造。
【請求項5】
前記外筒は、内周のうち前記軸受の支持位置と前記外筒端部との間に環状の段差を有する、請求項3に記載のロールの軸受構造。
【請求項6】
前記固定軸は、外周のうち前記軸受よりも軸線方向外側に取り付けられて径方向外方へ突出するカラーを有し、
前記カラーは、前記環状部材の軸線方向内側面と対向する、請求項1〜5のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項7】
前記カラーは、外径側が前記環状部材の軸線方向内側面と対向し、内径側が環状部材の内周縁と前記固定軸の外周との間に介在する、請求項6に記載のロールの軸受構造。
【請求項8】
前記環状部材の内周縁が、環状部材を貫通する前記固定軸の外周と、液体の侵入が困難になるよう僅かな隙間を介して対面する、請求項1〜7のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項9】
前記環状部材は、外筒端部の内周に、軸線方向所定間隔に複数取り付けられている、請求項1〜8のいずれかに記載のロールの軸受構造。
【請求項10】
前記環状部材は、軸線方向に隣り合う第1環状部材および第2環状部材を含み、第1環状部材に形成された前記フィンの周方向位置と第2環状部材に形成された前記フィンの周方向位置とが互いに異なる、請求項9に記載のロールの軸受構造。
【請求項11】
前記環状部材は、軸線方向に隣り合う第1環状部材および第2環状部材を含み、第1環状部材に形成された前記フィンの径方向位置と第2環状部材に形成された前記フィンの径方向位置とが互いに異なる、請求項9または10に記載のロールの軸受構造。
【請求項12】
筒状部材と、
前記筒状部材を貫通する回転軸と、
筒状部材端部よりも軸線方向内方で、前記筒状部材の内周面および前記回転軸の外周面との間に設けられて回転軸を回転自在に支持する軸受と、
前記筒状部材端部における筒状部材の内周面と対面するよう回転軸に取り付けられて、回転軸の外周面よりも径方向外方へ突出した環状部材とを備え、
前記環状部材は、軸線方向内側面から外側面まで貫通する切り込みと、前記切り込みに隣接して軸線方向外方へ折曲形成されたフィンとを有し、
前記切り込みおよび前記フィンは環状部材の周方向に複数配設されて、回転軸の正回転方向に伴いフィンはフィン近傍の空気および液体を軸線方向外方へ押し出す、回転軸の軸受構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−112467(P2010−112467A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285507(P2008−285507)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]