説明

ロールの軸受方法

【課題】 コロガリ軸受および静圧軸受の両者の優れた面、すなわちコロガリ軸受においては、負荷荷重、剛性で優れた特性を発揮し、また静圧軸受においては、アキシャル方向の精度の良いロール軸受とした特性を発揮できるロールの軸受方法を提供することを課題とする。

【解決手段】 ロールの幅方向の両端部にある軸に、それぞれロールの幅方向の中心側から順に、静圧軸受次いでコロガリ軸受を直列に取り付け、回転自在に支承することを特徴とするロールの軸受方法とした。また、ロールの幅方向の両端部にある軸に、それぞれロールの幅方向の中心側から順に、コロガリ軸受次いで静圧軸受を直列に取り付け、回転自在に支承することを特徴とするロールの軸受方法とした。 静圧軸受は、空気静圧軸受であることを特徴とするロールの軸受方法とした。 静圧軸受は、前述の空気軸受に替えて、油静圧軸受としたことを特徴とするロールの軸受方法とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密機械のロールあるいはコーティング材料をフィルムにコーティングする際に用いるコーティングロール等のロールの軸受方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種ロールの軸受方法は、図2および図3に示されるように、ロール1の幅方向の両端部にある軸2をコロガリ軸受3により回転自在に支承するもの、あるいはロール4の幅方向の両端部にある軸5を、図3の矢印aのように空気または圧油を作用させ、内径面の孔6から軸5の外周面に吹き出し、軸5を回転自在に支承するために静圧軸受7を用いる方法が周知である。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003‐200091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の二つの方法は、それぞれ長所、欠点が有った。即ち前者は、負荷荷重および剛性において優れているものの、回転精度において劣るという欠点があった。また後者は、その逆であって、回転精度やアキシャル方向のフレ精度などの全体的な精度は良いものの、負荷荷重および剛性において劣っていた。
【0005】
このようなそれぞれの特性のため、クリーンルームのような清潔な環境においてアキシャル方向に精度良く、またラジアル方向に一定の負荷加重および剛性の必要な精密機械、例えばワークの付加加重の必要なロール研削盤あるいは精密な工程を必要とする印刷機械、精密シート成形用押出成形機、または、精密転写装置(インプリント装置)等が好適な例であるが、そのような精密機械に使用されるためにこの種のロールに要求される負荷荷重および剛性が優れ、しかもロールのアキシャル方向の振れが、例えば1μmあるいはそれ以下とするような精密なロールの支承は、一般に困難であった。
【0006】
本発明の目的は、前述のようなコロガリ軸受、静圧軸受を、それぞれ単独に使用した場合の欠点を取り除き、両者の優れた面のみ発揮できるロールの軸受方法を提供することにある。
【0007】
そのためにラジアル方向には負荷荷重、剛性で優れたコロガリ軸受を、アキシャル方向にはフレ精度に優れた静圧軸受を用いたハイブリット方式にすれば良く、特にクリーンルームのような清潔な室内環境内で稼動される印刷機械あるいは精密ロール旋盤などに使用されるロール軸受において使用可能とするよう、空気静圧軸受とコロガリ軸受を組み合わせれば良い、という結論に達し、本発明に至った。

【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の目的を達成するため本発明は、ロールの幅方向の両端部にある軸に、それぞれロールの幅方向の中心側から順に静圧軸受、次いでコロガリ軸受を直列に取り付け、回転自在に支承するロールの軸受方法とした。
【0009】
さらにまた、本発明は、ロールの幅方向の両端部にある軸に、それぞれロールの幅方向の中心側から順にコロガリ軸受、次いで静圧軸受を直列に取り付け、回転自在に支承することを特徴とするロールの軸受方法とした。
【0010】
静圧軸受は、空気静圧軸受であることを特徴とするロールの軸受方法とした。
【0011】
さらにまた、静圧軸受は、空気静圧軸受であることを特徴とするロールの軸受方法としてもよい。

【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、コロガリ軸受および静圧軸受の、それぞれの優れた部分が発揮され、負荷荷重、剛性で優れた、しかもアキシャル精度は良いというロールの軸受方法となった。

【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明が適用されるロールの軸受方法の概略図である。
【図2】従来のロールの軸受方法を示す概略図である。
【図3】他の従来のロールの軸受方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に本発明の一実施形態例を図1を用いて説明する。符号10は、ロールユニットを示しており、ロール11の両端部にある軸12および13にそれぞけロールの幅方向の中心側から順に、静圧軸受14、次いでコロガリ軸受15を取り付け、ロール11を回転自在に支承している。静圧軸受14には、継手16から孔17を経てロール11の側面Aに開口している空気室18に空気源19からの圧力空気が供給されるようにしてある。
【0015】
符号20は、ロール11と一体的に取り付けてあるビルトインモータを示しており、このビルトインモータ20自身でロール11を回転するように構成し、他の機構、例えば回転の伝達機構や結合機構を必要としないので、ロール11の振れを小さくすることが可能である。
【0016】
ここで前述の静圧軸受14は、空気静圧軸受で説明をしたが、勿論空気に限らず油静圧軸受としても良い。
【0017】
以上好適な実施形態例を用いて説明したように、上述の構成となっているので、コロガリ軸受と静圧軸受のそれぞれの優れた部分が適所に用いられた結果、ラジアル方向に高加重に耐え剛性の高く、アキシャル方向にフレ精度の高い優れた軸受となった。
【0018】
なお、上述の実施形態例においては、両端の軸受部は、ロールの幅方向の中心側からそれぞれ静圧軸受およびコロガリ軸受の順番として配置したが、別な実施形態の例として、この順序を入れかえて構成しても良い。すなわちロール両端の軸受部において、アキシャル方向にロールの幅方向の中心側から、それぞれ転がり軸受ついで静圧軸受の順番で配置しても良く、このように構成しても、同様な効果は期待できる。
従って、したがってこのような実施形態例を使用した精密ロール旋盤等の精密加工機械、精密印刷機械、精密転写装置(インプリント装置)等において、剛性と精度の両方を備えた特性を必要とするような使用を必要とするときには、上述のような実施の形態を採用できる。

【符号の説明】
【0019】
10 ロールユニット
11 ロール
12、13 軸
14 静圧軸受
15 コロガリ軸受
16 継手
17 孔
18 空気室
19 空気源
20 ビルトインモータ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールの幅方向の両端部にある軸に、それぞれロールの幅方向の中心側から順に静圧軸受、次いでコロガリ軸受を直列に取り付け、回転自在に支承することを特徴とするロールの軸受方法。

【請求項2】
ロールの幅方向の両端部にある軸に、それぞれロールの幅方向の中心側から順にコロガリ軸受、次いで静圧軸受を直列に取り付け、回転自在に支承することを特徴とするロールの軸受方法。

【請求項3】
前記静圧軸受は、空気静圧軸受であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロールの軸受方法。

【請求項4】
前記静圧軸受は、油静圧軸受であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロールの軸受方法。








【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−241955(P2011−241955A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116814(P2010−116814)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000003458)東芝機械株式会社 (843)
【Fターム(参考)】