説明

ロールシュリンクラベル、ロールシュリンクラベル付き容器

【課題】製造工程が簡略で、剥離が容易なロールシュリンクラベル、ロールシュリンクラベル付き容器を提供する。
【解決手段】容器の胴部外周面に巻き付けて装着するロールシュリンクラベルである。ロールシュリンクラベルの基材は、縦一軸延伸熱収縮フィルム1であり、縦一軸延伸熱収縮フィルム1の始端部2および終端部3がヒートシール剤4を介して熱溶着されたシール部の幅方向両端部の少なくとも一方に剥離開始部5を有し、剥離開始部5にはヒートシール剤が塗布されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールシュリンクラベル(以下、単に「ラベル」とも称する)、ロールシュリンクラベル付き容器およびこれらの製造方法に関し、詳しくは、製造工程が簡略で、剥離が容易なロールシュリンクラベル、ロールシュリンクラベル付き容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、飲料などの容器に全周にわたる筒状シュリンクラベルが使用されている。このような筒状シュリンクラベルを装着した容器として、予め筒状シュリンクラベルを製造し、これを容器外周に外嵌した後、熱処理してシュリンク形成する方法が一般に知られている。また、筒状シュリンクラベルの製造方法に関しては、多くの改良技術が報告されている。例えば、特許文献1には、シュリンクラベルの両端部に紫外線硬化型ホットメルト接着剤を塗布し、この紫外線硬化型ホットメルト接着剤を介してラベル両端同士を筒状に張り合わせる方法が報告されている。
【0003】
また、筒状にシュリンクラベルの両端部を重ね合わせ、重ね合わせた部分を半導体レーザーによって溶着し、得られたロールシュリンクラベルを容器に外嵌装着する方法(例えば、特許文献2)や、筒状にシュリンクラベルの両端部を重ね合わせ、重ね合わせた部分を炭酸ガスレーザーによって溶着し、得られたロールシュリンクラベルを容器に外嵌装着する方法(例えば、特許文献3)も知られている。さらに、レーザーの代わりに超音波を利用して溶着する手法も知られている(例えば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−145498号公報
【特許文献2】特開2009−96527号公報
【特許文献3】特開2009−12780号公報
【特許文献4】特開2009−12779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1〜4に記載のロールシュリンクラベルは、そのシール部の強度が大きいため、ロールシュリンクラベルを容器に装着して加熱収縮してもシール部が剥がれることはない。しかしながら、容器のリサイクル等において、シュリンクラベルを剥がす必要が生じた際、従来のロールシュリンクラベルは容易に剥がすことができないという問題を有していた。
【0006】
一方、シュリンクラベルは延伸方向に熱収縮するため、延伸方向と胴巻き方向とを一致させて容器に装着する。従来は、横一軸延伸フィルムを使用し、所定ラベル長さに裁断した後に、裁断したシュリンクラベルを90度回転させた後に筒状に成形し、直立する容器の上部から筒状ラベルを鉛直方向に装着していた。すなわち、シュリンクラベル用ロールの裁断面を接着部として使用できないため、筒状に接着する際にラベルを90度回転させる工程が必要となっている。このような工程をなくすことができれば、ロールシュリンクラベルの製造工程を簡略化することができるが、従来、かかる工程は必須とされてきた。
【0007】
そこで、本発明の目的は、製造工程が簡略で、剥離が容易なロールシュリンクラベル、ロールシュリンクラベル付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解消するために、ラベルの溶着方法につき鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、上記課題を解消することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明のロールシュリンクラベルは、容器の胴部外周面に巻き付けて装着するロールシュリンクラベルにおいて、
縦一軸延伸熱収縮フィルムからなり、前記縦一軸延伸熱収縮フィルムの始端部および終端部がヒートシール剤を介して熱溶着されたシール部の幅方向両端部の少なくとも一方に剥離開始部を有し、該剥離開始部にはヒートシール剤が塗布されていないことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のロールシュリンクラベルは、容器の胴部外周面に巻き付けて装着するロールシュリンクラベルにおいて、
縦一軸延伸熱収縮フィルムからなり、前記縦一軸延伸熱収縮フィルムの始端部および終端部がヒートシール剤を介して熱溶着されたシール部の幅方向両端部の少なくとも一方に剥離開始部を有し、該剥離開始部に塗布されたヒートシール剤の加熱収縮後の25℃における剥離強度(以下、「剥離強度(25℃)」とも称する)が、剥離開始部以外に塗布されたヒートシール剤の剥離強度(25℃)よりも小さいことを特徴とするものである。ここで、剥離強度とは、試験片を長さ50mm、幅15mmに切り出し、端部をはがして摘まみしろを作成し、JIS K6854に準じて180度剥離により300mm/分で測定した値である。
【0011】
本発明においては、前記シール部の剥離強度(25℃)は3.0〜10.0N/15mmであることが好ましい。また、本発明においては、前記始端部および前記終端部以外の表面および裏面の少なくとも一方に、好適にデザイン印刷を施すことができる。さらに、本発明においては、前記熱溶着における加熱手段としてインパルスシールまたはヒートシールを用いることができる。さらにまた、本発明においては、前記ヒートシール剤としては、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系、エチレン酢酸ビニル系、ポリオレフィン系、エチレンアクリレート系、ポリアクリレート系、またはポリエステル系の有機溶剤型ヒートシール剤、エチレンアクリレート系、エチレン酢酸ビニル系、またはエチレンアクリレート系樹脂を含む変性ポリオレフィン系の水性型ヒートシール剤、アンカーコート剤またはプライマーを用いることができる。さらに、本発明においては、前記縦一軸延伸熱収縮フィルムは、延伸ポリプロピレン系フィルム、延伸環状ポリオレフィン系フィルム、延伸ポリオレフィン系フィルム、延伸スチレン系フィルム、延伸ポリエステル系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、延伸ポリ塩化ビニル系フィルム、発泡ポリオレフィン系フィルム、発泡ポリスチレン系フィルム、ポリエステルーポリスチレン共押出フィルムからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の単層または多層フィルムを用いることができ、かつ、100℃における縦方向の熱収縮率が5〜85%であることが好ましい。さらにまた、本発明においては、前記ヒートシール剤の乾燥膜厚は0.1〜10μmであることが好ましい。また、本発明においては、前記シール部の幅が1〜20mmであることが好ましい。
【0012】
本発明のロールシュリンクラベル付き容器は、上記本発明のロールシュリンクラベルを装着し、熱処理してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、製造工程が簡略で、剥離が容易なロールシュリンクラベル、ロールシュリンクラベル付き容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の好適な一実施の形態のロールシュリンクラベルに係るシール部のヒートシール剤の塗布の一例を示す図である。
【図2】本発明の好適な他の実施の形態のロールシュリンクラベルに係るシール部のヒートシール剤の塗布の一例を示す図である。
【図3】本発明のロールシュリンクラベル付き容器の製造方法の一好適実施形態の一部の概略図であり、(a)は搬送工程、(b)は裁断工程、(c)および(d)は溶着工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施の形態について、詳細に説明する。
本発明のロールシュリンクラベルは、容器の胴部外周面に巻き付けて装着するロールシュリンクラベルである。本発明においては、ロールシュリンクラベルが縦一軸延伸熱収縮フィルムからなることが重要である。上述のとおり、シュリンクラベルは延伸方向に熱収縮するため、延伸方向と胴巻き方向とを一致させて容器に装着する必要がある。そこで本発明では、基材フィルムとして縦一軸延伸熱収縮フィルムを用いて基材フィルムの延伸方向と巻き胴方向とを一致させている。これにより、製造工程において、従来必要であったラベルを90度回転させる工程を省くことができ、ロールシュリンクラベルの製造工程が簡略化される。また、これにより、ラベル周径を約10%程度小さくすることができるため、ラベル面積を小さくすることができ、コスト面でも優れている。
【0016】
また、従来は、予め筒貼りしたシュリンクラベルをラベラーにて口開きして容器に装着するため、シュリンクラベルには一定以上の強度が必要であり、ロールシュリンクラベルの薄肉化には限界があった。しかしながら、本発明のロールシュリンクラベルは、縦一軸延伸熱収縮フィルムを用いているので、シュリンクラベルを水平方向に移動するだけで筒状に溶着することができる。このため、上記口開きの工程が不要であり、シュリンクラベルの薄肉化によるコストダウンも図ることができる。このような利点を有しつつ、従来と同様に変形容器へも装着が可能であり、また、従来と同等の意匠性を維持することができる。
【0017】
本発明における好適な一実施の形態としては、ロールシュリンクラベルが縦一軸延伸熱収縮フィルムからなることに加え、図1に示す様に、縦一軸延伸熱収縮フィルム1の始端部2および終端部3がヒートシール剤4を介して熱溶着されるシール部の幅方向両端部の少なくとも一方に剥離開始部5を有し、剥離開始部5にはヒートシール剤が塗布されていないことも重要である。剥離開始部5にはヒートシール剤が塗布されていないため、剥離開始部5から容易にラベルを剥離することができる。この場合、シール性および剥離性の観点から剥離開始部5は摘まんで剥がせる程度にするのがよい。
【0018】
本発明における好適な他の実施の形態としては、ロールシュリンクラベルが縦一軸延伸熱収縮フィルムからなることに加え、図2に示す様に、縦一軸延伸熱収縮フィルム11の始端部12および終端部13がヒートシール剤14を介して熱溶着されるシール部の幅方向両端部の少なくとも一方に剥離開始部15を有し、剥離開始部15に塗布されたヒートシール剤14aの剥離強度(25℃)が、剥離部以外に塗布されたヒートシール剤14bの剥離強度(25℃)よりも小さいことが重要である。剥離開始部15のヒートシール剤14aの剥離強度が他の部分のヒートシール剤14bの剥離強度(25℃)よりも小さいため、剥離開始部から容易にラベルを剥離することができる。
【0019】
剥離開始部15のヒールシール剤14aの剥離強度(25℃)を、剥離開始部15以外のシール部のヒートシール剤14bの剥離強度(25℃)よりも小さくする方法としては、ヒートシール剤14a,14bの塗布量を制御したり、塗布するヒートシール剤14a,14bの種類を変えたり、剥離開始部15に剥離剤を塗布したりする等の手法により行うことができる。例えば、ヒートシール剤14a,14bの塗布量を変える場合は、剥離開始部15のヒートシール剤14aの塗布量を少なくすることにより、上記要件を満足させることができる。また、剥離剤を用いる場合は、剥離剤として、ポリメチルシロキ酸などを主体とするシリコン系剥離剤、ワックス系剥離剤、ポリオレフィン等の他、ウレタンアクリレート、アクリレート等を主成分とする紫外線硬化型のUVインキ等が使用できる。UVインキにシリコン系の材料を適宜、添加して剥離性のコントロールをしてもよい。
【0020】
本発明においては、シール部の剥離強度(25℃)が3.0〜10.0N/15mmであることが好ましい。シール部の剥離強度(25℃)が3.0N/15mm未満であると、十分なシール性を得ることができず、加熱収縮段階でラベルが剥がれてしまうおそれがある。一方、シール部の剥離強度(25℃)が10N/15mmを超えると、シールの溶着が強固過ぎ、本発明の効果を良好に得ることができない場合がある。
【0021】
シール部の剥離強度(25℃)を上記範囲とするためには、先述のように、ヒートシール剤の塗布量を制御したり、剥離開始部に剥離剤を塗布したりする等の手段により行うことができる。なお、シール部全体に占める剥離開始部の面積は、剥離強度が上記範囲を満足する範囲であれば特に制限はない。
【0022】
本発明においては、剥離強度観点から、ヒートシール剤の乾燥膜厚が0.1〜10μmであることが好ましい。ヒートシール剤の膜厚が0.1μm未満であると、十分な接着強度を得ることができず、やはり、加熱収縮段階でラベルが剥がれてしまうおそれがある。一方、ヒートシール剤の乾燥膜厚が10μmを超えると、本発明の効果を良好に得ることができない場合がある。
【0023】
本発明において、縦一軸延伸熱収縮フィルムの始端部と終端部とを熱溶着させる手段として、インパルスシールまたはヒートシールを挙げることができる。ここで、インパルスシールとは、発熱体であるニクロム線により、直接、被溶着体を加熱溶着させてシールを行う方式であり、ヒートシールとは、一般的に、真鍮や銅製の熱板の中に埋めこまれたニクロム線により熱板を発熱伝導させ、被溶着体を加圧圧着させる方式である。本発明においては、ヒートシールよりもインパルスシールのほうが、熱伝達効率がよく、短時間で溶着が可能であるため好ましい。インパルスシールを採用する場合は、加熱温度を90〜260℃、加熱時間を0.02〜2.0秒、冷却時間を0.02〜2.0秒、加圧条件を0〜0.3MPaとすることが好ましく、ヒートシールを採用する場合は、加熱温度を90〜260℃、加熱時間を0.1〜3.0秒、冷却時間を0.1〜3.0秒、加圧条件を0.03〜0.3MPaとすることが好ましい。なお、ヒートシールを採用する場合は、片面加熱でも両面加熱でもよい。
【0024】
本発明において、ヒートシール剤としては、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系、エチレン酢酸ビニル系、ポリオレフィン系、エチレンアクリレート系、ポリアクリレート系、またはポリエステル系の有機溶剤型ヒートシール剤、エチレンアクリレート系、エチレン酢酸ビニル系、またはエチレンアクリレート系樹脂を含む変性ポリオレフィン系の水性型ヒートシール剤、アンカーコート剤またはプライマーを用いることができる。
【0025】
本発明において、縦一軸延伸熱収縮性フィルムとしては、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、およびこれらのフィルムの2種以上の積層フィルムであって、縦一軸延伸したものを好適に使用することができる。好ましくは、延伸ポリプロピレン系フィルム、延伸環状ポリオレフィン系フィルム、延伸ポリオレフィン系フィルム、延伸スチレン系フィルム、延伸ポリエステル系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、延伸ポリ塩化ビニル系フィルム、発泡ポリオレフィン系フィルム、発泡ポリスチレン系フィルム、ポリエステルーポリスチレン共押出フィルムからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の単層または多層フィルムであり、かつ、100℃における縦方向の熱収縮率が5〜85%である。
【0026】
一般には、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂の1種または2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、その他等の製膜化法を用いて単層で製膜化したもの、または2種以上の樹脂を使用して共押し出しなどで多層製膜したもの、または2種以上の樹脂を混合使用して製膜したものを使用することができ、テンター方式やチューブラー方式等で縦一軸延伸してなる各種の延伸フィルムを使用することができる。なお、熱収縮率は、下記式で定義される。
熱収縮率(%)=((加熱前の寸法)−(加熱後の寸法))/(加熱前の寸法)×100
【0027】
本発明において、熱収縮性フィルムの厚みは特に限定されないが、耐熱性、剛性、機械適性、外観等を損なわない範囲で適宜選択され、非発泡性縦一軸延伸フィルムの場合には15〜50μmである。また、発泡縦一軸延伸フィルムの場合には、50〜200μmである。上記範囲であれば、容器に装着して使用する際に、十分な機械的強度を確保することができる。なお、熱収縮性フィルムの厚みとは、熱収縮前の厚みである。
【0028】
さらに、本発明においては、シール部の幅が1〜20mmであることが好ましい。熱溶着する部分の幅が1mm未満であると十分な接着強度を得ることができない場合があるためである。一方、熱溶着する部分の幅が20mmを超えると、重ね合わせ部分にズレが生じやすくなり、外観美粧性を損なう場合がある。
【0029】
本発明においては、熱収縮フィルムには始端部および終端部以外の表面および裏面の少なくとも一方にデザイン印刷を施されていてもよい。デザイン印刷層は、熱収縮性フィルムのラベル最内層または最外層に有するものであってもよい。印刷方法については、制限はなく、例えば、グラビア印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式であってもよい。
【0030】
なお、熱収縮フィルムには、必要に応じて、滑剤、充填剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤等の各種添加剤を添加してもよい。また、縦一軸延伸熱収縮フィルムの表面には、印刷性を向上させるためにコロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理、酸処理などの慣用の表面処理を施してもよい。
【0031】
本発明のロールシュリンクラベル付き容器は、上記本発明のロールシュリンクラベルが容器に装着され、熱処理が施されたものであり、本発明のロールシュリンクラベルの上部または下部から容器を挿入して容器にロールシュリンクラベルを装着し、ついで熱収縮処理することで製造することができる。容器としては、ガラス容器、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂性容器、セラミックボトルなどの無機物容器、アルミや鉄、SUSなどの金属製容器、ガラス、合成樹脂、セラミック、金属、紙などを含む複合材からなる容器に好適に装着することができる。
【0032】
容器が合成樹脂製容器である場合には、容器を構成する熱可塑性樹脂層としては、PETなどのポリエステル樹脂、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、またはポリ乳酸系樹脂を使用することが、軽量で、機械的強度、耐熱性、ガス遮断性、耐薬品性、保香性、衛生性等に優れるため好ましい。特に、ポリ乳酸系樹脂は生分解性を有しており、環境への配慮の観点からも好ましい。容器は、ポリエステル樹脂やポリオレフィン系樹脂を射出成形、真空成形、圧空成形等することにより製造することができる。
【0033】
次に、本発明のロールシュリンクラベル付き容器の製造方法について説明する。
本発明のロールシュリンクラベル付き容器の製造方法は、ロールシュリンクラベル原反を搬送する搬送工程と、ロールシュリンクラベル原反を所定の長さに裁断してシュリンクラベルを製造する裁断工程と、シュリンクラベルの始端部と終端部を重ね合わせ、重ね合わせ部を熱溶着させてロールシュリンクラベルとする溶着工程と、ロールシュリンクラベルの上部側または下部側から容器を挿入して容器にロールシュリンクラベルを装着させる装着工程と、ロールシュリンクラベルを熱収縮させる熱収縮工程と、を有する。本発明においては、ロールシュリンクラベル原反として縦一軸延伸熱収縮フィルムを用い、かつ、溶着工程の前に、シュリンクラベルの始端部の表面および終端部の裏面の少なくとも一方にヒートシール剤を塗布し、熱溶着をインパルスシールまたはヒートシールにより行うことが重要である。以下、図面を用いて、詳細に説明する。
【0034】
図3(a)〜(d)は、本発明のロールシュリンクラベル付き容器の製造方法の一好適実施形態の製造工程の一部の概略図である。図3(a)は、ロールシュリンクラベル印刷原反を搬送する搬送工程を示しており、搬送工程では、原反ロール6から引き出された、縦一軸延伸熱収縮フィルム1が、張力を一定に維持され、縦一軸延伸熱収縮フィルム1を所定の寸法で裁断する裁断装置(図示せず)へ向けて連続供給される。上述のとおり、本発明においては、ロールシュリンクラベル原反として、縦一軸延伸熱収縮フィルム1を用いることが重要であり、これにより、後述の溶着工程において、従来の所定ラベル長さに裁断した後に裁断ラベルを90°回転させた後に筒状に成形し、直立する容器の上部から筒状ラベルを鉛直方向に装着する工程を省くことができる。また、シュリンクラベルの薄肉化によるコストダウンも図ることができる。なお、本発明においては、縦一軸延伸熱収縮性フィルムとしては、前述の縦一軸延伸熱収縮性フィルムを好適に用いることができる。
【0035】
裁断工程では(図3(b)参照)、連続供給される縦一軸延伸熱収縮フィルム1を所定の長さに裁断し、シュリンクラベル7を製造する。このようにして、所定の長さに裁断されたシュリンクラベル7は溶着工程へと送られる。本発明においては、溶着工程の前に、始端部2の表面および終端部3の裏面の少なくとも一方にヒートシール剤4を塗布する。この際、始端部2と終端部3とを重ね合わせて形成されるシール部の幅方向両端部の少なくとも一方にはヒートシール剤を塗布しない(図3(b))。または、シール部の幅方向両端部の少なくとも一方には、他の部分のヒートシール剤の剥離強度よりも小さい剥離強度を有するヒートシール剤を塗布するか、あるいは、シール部の幅方向両端部の少なくとも一方に剥離剤をさらに塗布する(図示せず)。
【0036】
図示例においては、シュリンクラベル7の終端部3の裏面にヒートシール剤4が塗布されているが、シール部の幅方向端部の一方にはヒートシール剤を塗布せず、この部分を剥離開始部5とする。ヒートシール剤は、通常、基材フィルムにデザイン印刷を施す際、色数の一つとしてデザイン層の最後に印刷(塗布)され、その後、基材フィルムは所定長に裁断されるが、本発明においては、ヒートシール剤を所定の間隔で塗布した後、縦一軸延伸熱収縮フィルムを裁断してもよく、縦一軸延伸熱収縮フィルム裁断後にヒートシール剤を塗布してもよい。ヒートシール剤の上に剥離剤を塗布する場合は、デザイン層の最後に剥離剤を印刷すればよい。なお、ヒートシール剤としては、前述のヒートシール剤を好適に用いることができる。
【0037】
溶着工程では、ヒートシール剤4が塗布されたシュリンクラベルの始端部2と終端部3を重ね合わせて筒状にし、シール部8を熱溶着させることによりロールシュリンクラベル10を製造する。例えば、シュリンクラベル7をエアーで吸引しながらフィルム流れと一致するようにシリンダー9に巻き付け(図3(c))、シール部8(図3(d))を形成し、シール部8を熱溶着する。シリンダー9としては、例えば、ステンレス製エアバキューム状円筒シリンダーを用いることができる。本発明においては、溶着手段としては、インパルスシールまたはヒートシールを好適に用いることができる。インパルスシールおよびヒートシールの好適な条件は前述のとおりである。本発明では、従来、シュリンクラベルの溶着に提案されてきた、超音波装置、半導体レーザーおよび炭酸ガスレーザーを用いないため、設備にかかるコストを抑えることができ、また、外観美粧性の悪化を防止することができる。本発明においては、溶着強度等の観点から、溶着部の幅は1〜20mm程度とすることが好ましい。
【0038】
溶着工程を経たロールシュリンクラベルは、次いで、装着工程(図示せず)へ送られる。装着工程では、シリンダーを下方から引き抜き、ロールシュリンクラベルの上部側または下部側から容器を挿入して容器にロールシュリンクラベルを装着させる。具体的には、シリンダーに多数の空気孔を設けておき、炭酸ガスレーザー光で溶着した後にシリンダーの空気孔から空気を排出させると、シリンダーとロールシュリンクラベルとの間に空気を送り込むことができる。この状態で、シリンダーをロールシュリンクラベルの下端から下方に移動させると、容易にロールシュリンクラベルからシリンダーを引き抜くことができる。このロールシュリンクラベルの上部から容器を降下させ、ロールシュリンクラベルを容器に装着させる。または、シリンダーを、ロールシュリンクラベルの上部側から引き抜き、下部側から容器を挿入する態様であってもよい。
【0039】
その後、ロールシュリンクラベルが接着された容器は熱収縮工程(図示せず)へ送られ、熱を加えられ、ロールシュリンクラベルを胴巻き方向に収縮させる。例えば、60〜220℃の熱風や、水蒸気及び水蒸気が結露した湯気により加熱するスチームや、赤外線等の輻射熱を作用させる。これにより、容器の胴部がロールシュリンクラベルで被覆されたロールシュリンクラベル付き容器を製造することができる。
【実施例】
【0040】
<実施例1>
幅115mm、フィルム厚30μmの縦一軸延伸ポリプロピレンフィルム(100℃×10秒における流れ方向の熱収縮率が40%)の裏面に、グラビア印刷機を用いてラベルデザインを印刷した。その後、ヒートシール剤(主成分:塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系樹脂,固形分25%,主溶剤:メチルエチルケトン/酢酸エチル)を、塗布厚が5μm、塗布幅が20mm、剥離開始部としてヒートシール剤を塗布しない領域を一方の端部から10mmとなるように塗布し、60〜70℃の熱風で5秒間乾燥させて、試験用ラベルを得た。
【0041】
得られたラベルの始端部と終端部の20mmを重ね合わせて、加熱時間0.1秒、冷却時間0.1秒、加圧条件0.1MPa、シール幅15mm(ラベル終端部から15mmまで)の条件でインパルスシールを施し、加熱溶着した。得られたロールシュリンクラベルをペットボトルに装着して、スチーム式シュリンクトンネルで90℃×10秒間加熱してラベルを収縮させ、ボトルに密着させた。
【0042】
得られたロールシュリンクラベル付き容器は、ロールシュリンクラベルの熱収縮時にも接着部分が剥がれることなく、ラベル付き容器を50cmの高さから落下してもラベルの脱落はなく、十分な接着強度が得られた。巻き付け方向の剥離強度は8.0N/15mmであり、端部から手で剥離することができた。
【0043】
なお、剥離強度は、試験片を長さ50mm、幅15mmに切り出し、端部をはがして摘まみしろを作成し、これを引張り試験機(オリエンテック社製)を用いてJIS K6854に準じて180度剥離により300mm/分で測定した。
【0044】
<実施例2>
幅115mm、フィルム厚15μmの縦一軸延伸PETフィルム(100℃×10秒における流れ方向の熱収縮率が45%)の裏面に、グラビア印刷機を用いてラベルデザインを印刷した。その後、ヒートシール剤(主成分:ポリエステル樹脂,固形分31.5%,主溶剤:メチルエチルケトン/トルエン)を塗布厚が5μm、塗布幅が20mmとなるように塗布し、60〜70℃の熱風で5秒間乾燥させ、その後、剥離開始部として、一方の端部から10mmにわたりシリコン系剥離剤を塗布し、試験用ラベルを得た。
【0045】
得られたラベルの始端部と終端部の20mmを重ね合わせて、加熱時間0.3秒、冷却時間0.3秒、加圧条件0.1MPa、シール幅15mm(ラベル終端部から15mmまで)の条件でインパルスシールを施し、加熱溶着した。得られたロールシュリンクラベルをペットボトルに装着して、スチーム式シュリンクトンネルで90℃×10秒間加熱してラベルを収縮させ、ボトルに密着させた。
【0046】
得られたロールシュリンクラベル付き容器は、ロールシュリンクラベルの熱収縮時にも接着部分が剥がれることなく、ラベル付き容器を50cmの高さから落下してもラベルの脱落はなく、十分な接着強度が得られた。巻き付け方向の剥離強度は6.0N/15mmであり、端部から手で剥離することができた。
【0047】
<実施例3>
幅115mm、フィルム厚35μmの縦一軸延伸ポリスチレンフィルム(100℃×10秒における流れ方向の熱収縮率が60%)の内面にグラビア印刷機を用いてラベルデザインを印刷した。その後、ヒートシール剤(主成分:ポリアクリレート樹脂,固形分30%,主溶剤:酢酸エチル)を、塗布厚が5μm、塗布幅が20mmとなるように塗布し、60〜70℃の熱風で5秒間乾燥させ、その後、剥離開始部として、一方の端部から10mmにわたりシリコン系剥離剤塗布し、試験用ラベルを得た。
【0048】
得られたラベルの始端部と終端部の20mmを重ね合わせて、加熱時間0.2秒、冷却時間0.2秒、加圧条件0.1MPa、シール幅15mm(ラベル終端部から15mmまで)の条件でインパルスシールを施し、加熱溶着した。得られたロールシュリンクラベルをペットボトルに装着して、スチーム式シュリンクトンネルで90℃×10秒間加熱してラベルを収縮させ、ボトルに密着させた。
【0049】
得られたロールシュリンクラベル付き容器は、ロールシュリンクラベルの熱収縮時にも接着部分が剥がれることなく、ラベル付き容器を50cmの高さから落下してもラベルの脱落はなく、十分な接着強度が得られた。巻き付け方向の剥離強度は4.0N/15mmであり、ラベル端部にまで十分にシールが施され、外観も良好であった。また、端部から手で剥離することができた。
【0050】
<比較例1>
ヒートシール剤を塗布しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作によりロールシュリンクラベルを得た。
【0051】
得られたロールシュリンクラベルをペットボトルに装着して、スチーム式シュリンクトンネルで90℃×10秒間加熱してラベルを収縮させ、ボトルに密着させたところ、シール部分が熱収縮により剥がれてしまった。
<比較例2>
ヒートシール剤の塗布厚を20μmとしたこと以外は、実施例2と同様の操作によりロールシュリンクラベルを得た。
【0052】
得られたロールシュリンクラベルをペットボトルに装着して、スチーム式シュリンクトンネルで90℃×10秒間加熱してラベルを収縮させ、ボトルに密着させた。
【0053】
得られたロールシュリンクラベル付き容器は、ロールシュリンクラベルの熱収縮時にも接着部分が剥がれることなく、ラベル付き容器を50cmの高さから落下してもラベルの脱落はなく、十分な接着強度が得られた。巻き付け方向の剥離強度は12N/15mmであり、端部から手で剥離することは困難であった。
【0054】
<比較例3>
ヒートシール剤をシール部全面に塗布したこと以外は、実施例1と同様の操作をおこなった。
【0055】
得られたロールシュリンクラベル付き容器は、ロールシュリンクラベルの熱収縮時にも接着部分が剥がれることなく、ラベル付き容器を50cmの高さから落下してもラベルの脱落はなく、十分な接着強度が得られた。巻き付け方向の剥離強度は6.0N/15mmであり、ラベル端部にまで十分にシールが施され、外観も良好であった。ただし、剥離開始部がなかったため、手で剥離しづらかった。
【符号の説明】
【0056】
1,11 縦一軸延伸熱収縮フィルム
2,12 始端部
3,13 終端部
4,14a,14b ヒートシール剤
5,15 剥離開始部
6 原反ロール
7 シュリンクラベル
8 シール部
9 シリンダー
10 ロールシュリンクラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の胴部外周面に巻き付けて装着するロールシュリンクラベルにおいて、
縦一軸延伸熱収縮フィルムからなり、前記縦一軸延伸熱収縮フィルムの始端部および終端部がヒートシール剤を介して熱溶着されたシール部の幅方向両端部の少なくとも一方に剥離開始部を有し、該剥離開始部にはヒートシール剤が塗布されていないことを特徴とするロールシュリンクラベル。
【請求項2】
容器の胴部外周面に巻き付けて装着するロールシュリンクラベルにおいて、
縦一軸延伸熱収縮フィルムからなり、前記縦一軸延伸熱収縮フィルムの始端部および終端部がヒートシール剤を介して熱溶着されたシール部の幅方向両端部の少なくとも一方に剥離開始部を有し、該剥離開始部に塗布されたヒートシール剤の加熱収縮後の25℃における剥離強度が、剥離開始部以外に塗布されたヒートシール剤の加熱収縮後の25℃における剥離強度よりも小さいことを特徴とするロールシュリンクラベル。
【請求項3】
加熱収縮後の前記シール部の25℃における剥離強度が3.0〜10.0N/15mmである請求項1または2記載のロールシュリンクラベル。
【請求項4】
前記始端部および前記終端部以外の表面および裏面の少なくとも一方にデザイン印刷を施された請求項1〜3のうちいずれか一項記載のロールシュリンクラベル。
【請求項5】
前記熱溶着における加熱手段がインパルスシールまたはヒートシールである請求項1〜4のうちいずれか一項記載のロールシュリンクラベル。
【請求項6】
前記ヒートシール剤が、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体系、エチレン酢酸ビニル系、ポリオレフィン系、エチレンアクリレート系、ポリアクリレート系またはポリエステル系の有機溶剤型ヒートシール剤である請求項1〜5のうちいずれか一項記載のロールシュリンクラベル。
【請求項7】
前記ヒートシール剤が、エチレンアクリレート系、エチレン酢酸ビニル系、またはエチレンアクリレート系樹脂を含む変性ポリオレフィン系の水性型ヒートシール剤である請求項1〜5のうちいずれか一項記載のロールシュリンクラベル。
【請求項8】
前記ヒートシール剤が、アンカーコート剤またはプライマーである請求項1〜5のうちいずれか一項記載のロールシュリンクラベル。
【請求項9】
前記縦一軸延伸熱収縮フィルムが、延伸ポリプロピレン系フィルム、延伸環状ポリオレフィン系フィルム、延伸ポリオレフィン系フィルム、延伸スチレン系フィルム、延伸ポリエステル系フィルム、ポリ乳酸系フィルム、延伸ポリ塩化ビニル系フィルム、発泡ポリオレフィン系フィルム、発泡ポリスチレン系フィルム、ポリエステルーポリスチレン共押出フィルムからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の単層または多層フィルムであり、かつ、100℃における縦方向の熱収縮率が5〜85%である請求項1〜8のうちいずれか一項記載のロールシュリンクラベル。
【請求項10】
前記ヒートシール剤の乾燥膜厚が0.1〜10μmである請求項1〜9のうちいずれか一項記載のロールシュリンクラベル。
【請求項11】
前記シール部の幅が1〜20mmである請求項1〜10のうちいずれか一項記載のロールシュリンクラベル。
【請求項12】
請求項1〜11のうちいずれか一項記載のロールシュリンクラベルを装着し、熱処理してなることを特徴とするロールシュリンクラベル付き容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−32658(P2012−32658A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173059(P2010−173059)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】