説明

ロールスクリーン装置

【課題】太陽光が当たっていない太陽電池モジュールに電流が流ることに起因して生ずる不具合が生じない形で使用できるロールスクリーン装置を提供する。
【解決手段】ロールスクリーン装置1は、巻取パイプ30と、支持部40と、支持部40に対して固定された一対の主出力端子51と、一方の面上に複数の太陽電池モジュール20が配設された、その一端が巻取パイプ30に連結されたスクリーン10と、スクリーン10の、巻取パイプ30に巻き取られている非露出領域に全ての部分又は一部の部分が配置されている各太陽電池モジュール20に電流が流れない状態を形成すると共に、他の各太陽電池モジュール20の出力を合成して一対の主出力端子51から出力する出力手段(31、37等)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールが複数個配設されているスクリーンを備えたロールスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、太陽光がありさえすれば発電が可能な、CO2などの温室効果ガスを発生
しないクリーンなエネルギー源である。そして、ロールスクリーン装置は、窓等から屋内に日光が入り込まないようにするために窓際に配置される装置であるため、ロールスクリーン装置にて遮蔽する日光を有効利用するために、ロールスクリーン装置のスクリーン部分に太陽電池を取り付けること(例えば、特許文献1、2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−42142号公報
【特許文献2】登録実用新案第3143588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽電池付スクリーン(太陽電池を貼り付けたスクリーン)は、スクリーン上に、幾つかの太陽電池モジュール(1対の出力端子を備えた太陽電池セル群)が配設されたものとなる。また、スクリーン上の各太陽電池モジュール間は、直列又は並列(又は直並列)に接続されることになるが、太陽光が当たっていない太陽電池モジュールは、抵抗として機能する。そのため、スクリーン上の複数の太陽電池モジュールが直列接続されている場合、スクリーンが少し巻き上げられてスクリーン上端側に位置する太陽電池モジュールに太陽光が当たらなくなるだけで、出力電圧が激減してしまうことになる。また、太陽光が当たっていない太陽電池モジュールが、発熱して劣化してしまうことにもなる。
【0005】
一方、スクリーンの長さ方向に複数の太陽電池モジュールが並べられた上で、それらの太陽電池モジュールを並列接続しておけば、スクリーンが巻き上げられても、原則として出力電圧が変化せず、太陽光が当たっていない太陽電池モジュールの発熱による劣化も生じにくいロールスクリーン装置を実現することが出来る。ただし、そのようなスクリーンを採用したロールスクリーン装置を、出力端子を開放し、スクリーンを途中まで巻き上げた状態で使用した場合、太陽光が当たっている各太陽電池モジュールの出力により、巻き取りパイプに巻き込まれている各太陽電池モジュールが発熱・劣化してしまうことになる。
【0006】
そこで、本発明の課題は、上記のような不具合が生じない形で使用できるロールスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様のロールスクリーン装置は、巻取パイプと、巻取パイプを回転可能に支持する支持部と、支持部に対して固定された一対の主出力端子と、一方の面上に複数の太陽電池モジュールが配設されたスクリーンであって、巻取パイプへの巻き取り及び巻取パイプからの巻き解きが可能なように、その一端が巻取パイプに連結されたスクリーンと、複数の太陽電池モジュールの中の、スクリーンの、巻取パイプに巻き取られている領域である非露出領域に全ての部分又は一部の部分が配置されている各太陽電池モジュールに電流が流れない状態を形成すると共に、他の各太陽電池モ
ジュールの出力を合成して一対の主出力端子から出力する出力手段とを備える。
【0008】
すなわち、上記した不具合は、“スクリーンの巻取パイプに巻き取られている非露出領域に全ての部分又は一部の部分が配置されている各太陽電池モジュール”に電流が流れることにより生ずるものである。従って、上記構成を有する本発明の第1の態様のロールスクリーン装置は、上記のような不具合が生じない形で使用できる装置となっていることになる。
【0009】
本発明の第1の態様のロールスクリーン装置の出力手段として、『他の各太陽電池モジュールの出力電圧の総和を一対の主出力端子から出力する』手段を採用することも、『他の各太陽電池モジュールの出力電流の総和を一対の主出力端子から出力する』手段(各太陽電池モジュールの出力を一対の主出力端子に並列に供給する手段)を採用することも出来る。ただし、後者の出力手段は、太陽光が当たっている各太陽電池モジュールの出力電圧が同じでないと効率が悪い手段である。そして、太陽光が当たっている各太陽電池モジュールの出力電圧が同じとは限らないので、出力手段としては、各太陽電池モジュールの出力電圧が同じでなくても問題無く機能する前者の手段を採用しておくことが好ましい。
【0010】
また、本発明の第1の態様のロールスクリーン装置の出力手段は、電子デバイス(ロータリエンコーダ等)を用いて実現したものであっても良いが、出力手段として、『一対の主出力端子と複数の太陽電池モジュールの出力端子間の電気的な接続経路を巻取パイプの回転角度に応じて機械的に変更することにより、非露出領域に全ての部分又は一部の部分が配置されている各太陽電池モジュールに電流が流れない状態を形成すると共に他の各太陽電池モジュールの出力を合成して一対の主出力端子から出力する』手段を採用しておけば、低コストでロールスクリーン装置を製造できることになる。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明の第2の態様のロールスクリーン装置は、巻取パイプと、巻取パイプを回転可能に支持する支持部と、一方の面上にN(≧2)個の太陽電池モジュールが配設されたスクリーンであって、巻取パイプへの巻き取り及び巻取パイプからの巻き解きが可能なように、その一端が巻取パイプに連結されたスクリーンと、支持部に対して固定されたN対の出力取出端子であって、それぞれ、N個の太陽電池モジュールの中の互いに異なる太陽電池モジュールの1対の出力端子と電気的に接続されているN対の出力取出端子とを備える。
【0012】
すなわち、本発明の第2の態様のロールスクリーン装置は、スクリーン上の各太陽電池モジュールの出力を個別に取り出せる構成(N対の出力取出端子を備えた構成)を有している。そして、各太陽電池モジュールの出力を個別に取り出せれば、“スクリーンの巻取パイプに巻き取られている非露出領域に全ての部分又は一部の部分が配置されている各太陽電池モジュール”に電流が流れないようにすることが出来る。従って、本発明の第2の態様のロールスクリーン装置も、上記のような不具合が生じない形で使用できる装置となっていると言うことが出来る。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、太陽光が当たっていない各太陽電池モジュールに電流が流れることに起因して生ずる不具合が生じない形で使用できるロールスクリーン装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係るロールスクリーン装置の外観図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係るロールスクリーン装置に採用できるスクリーンの構成の説明図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係るロールスクリーン装置に採用できるスクリーンの構成の説明図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係るロールスクリーン装置の構成の説明図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係るロールスクリーン装置が備える切替機構の説明図である。
【図6】図6(図6(A)〜図6(C))は、第1実施形態に係るロールスクリーン装置の機能(動作内容)の説明図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態に係るロールスクリーン装置の外観図である。
【図8】図8は、第2実施形態に係るロールスクリーン装置が備える出力制御部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
《第1実施形態》
図1に、本発明の第1実施形態に係るロールスクリーン装置1の、屋外側から見た外観を示す。
【0017】
本実施形態に係るロールスクリーン装置1は、一種のプルコード式(スプリング式)ロールスクリーンであり、図示してあるように、スクリーン10、巻取パイプ30、支持部40、出力端子部50等を備えている。
【0018】
スクリーン10は、4つの太陽電池モジュール20a〜20dを、スクリーン基材25上に、スクリーン基材25(スクリーン10)の長さ方向に並べて配設した部材である。以下、説明の便宜上、スクリーン基材25上での位置が無関係な場合には、各太陽電池モジュール20a、20b、20c、20dのことを、太陽電池モジュール20と表記することにする。なお、本明細書において、太陽電池モジュール20とは、1対の出力端子から出力が取り出せるように、複数の太陽電池セルを直列又は直並列に接続したもののことである。
【0019】
ロールスクリーン装置1の構成要素として使用するスクリーン10は、『複数の太陽電池モジュール20が、スクリーン基材25上に、スクリーン基材25(スクリーン10)の長さ方向に並べて配設された、或る程度の可撓性を有する部材』でありさえすれば良い。従って、図2に示したように、スクリーン10として、スクリーン基材25、複数の太陽電池モジュール20(各図では、複数の太陽電池セル11)、耐候性保護フィルム12、封止材13a、封止材13b、バックシート14、シール材15、スクリーン基材25からなるものを使用することが出来る。また、図3に示したように、スクリーン10として、紫外線カットフィルム16をさらに備えたものを使用することも出来る。
【0020】
図1に示してあるように、スクリーン10の上端は、巻取パイプ30への巻き取り及び巻取パイプ30からの巻き解きが可能なように巻取パイプ30に連結されている。また、スクリーン10の下端には、ボトムバー38が設けられている。そして、当該ボトムバー38の中央部には、プルコードが取り付けられている。
【0021】
巻取パイプ30は、スクリーン10を巻き取るためのパイプ状部材である。この巻取パイプ30の外径は、(1)スクリーン10の長さ、(2)巻取パイプ30の外径が小さ過ぎると、スクリーン10の巻き取り時にスクリーン10が損傷しやすくなること、(3)巻取パイプ30の外径が大きすぎると、巻取パイプ30の重量および体積が増すため施工
性が悪くなること、等を考慮して定めるべきものである。例えば、スクリーン10の長さが2m程度である場合、通常、外径が60mm〜80mm程度の巻取パイプ30を用いれば、スクリーン10が損傷し難く、施工性も良いロールスクリーン装置1を得ることができる。なお、巻取パイプ30の構成材料は何であっても構わないが、軽量なアルミニウムが好適である。
【0022】
巻取パイプ30内には、巻取パイプ30にスクリーン10の巻き取り方向の回転力を付勢するための付勢機構(図示略)が設けられている。巻取パイプ30内には、スクリーン10の巻き上げ速度が、常に、所定速度以下となるように(過度に高速にならないように)するためのブレーキ機構(図示略)も設けられている。巻取パイプ30内には、付勢機構により回転力が付勢されている巻取パイプ30を、スクリーン10の一部のみを巻き取った状態(スクリーン10の巻取パイプ30からの引き出し量が異なる複数の状態の中のいずれかの状態)で停止させるための停止位置制御機構(図示略)も設けられている。これらの機構は、既存のプルコード式ロールスクリーンの巻取パイプ内に設けられているものと本質的には同じものであるため、各機構の詳細説明は省略する。
【0023】
支持部40は、複数の部材を組み合わせることによって構成された、巻取パイプ30を回転可能に支持する部材である。ロールスクリーン装置1の窓への取り付け時には、この支持部40が、窓枠内/窓枠外に、直接或いは他部材を介して固定される。
【0024】
支持部40には、電力の供給対象機器(バッテリ、パワーコンディショナー等)を接続するための一対の主出力端子51を備えた出力端子部50が取り付けられている。
【0025】
以上のことを前提に、以下、本実施形態に係るロールスクリーン装置1の構成を、さらに具体的に説明する。
【0026】
図4に模式的に示してあるように、ロールスクリーン装置1のスクリーン10(スクリーン基材25)上の太陽電池モジュール20a〜20dは、直列接続されている。また、ロールスクリーン装置1の巻取パイプ30内には、第1〜第4入力端子321〜324と1つの出力端子33とを有する切替機構31(詳細は後述)、及び、2極タイプのロータリコネクタ37が設けられている。
【0027】
太陽電池モジュール20dの+端子26dp、太陽電池モジュール20cの+端子26cp、太陽電池モジュール20bの+端子26bp、太陽電池モジュール20aの+端子26apは、それぞれ、切替機構31の第1〜第4入力端子321〜324と接続されている。なお、既に説明したように、太陽電池モジュール20a〜20dは、直列接続されている。そのため、切替機構31の第1〜第3入力端子321〜323は、それぞれ、太陽電池モジュール20cの−端子26cm、太陽電池モジュール20bの−端子26bm、太陽電池モジュール20aの−端子26amとも接続されている。
【0028】
ロータリコネクタ37は、一方の部分のみが巻取パイプ30と共に回転する形で巻取パイプ30内に収容されている。そして、ロータリコネクタ37の2つの入力端子(ロータリコネクタ37の巻取パイプ30と共に回転する部分に設けられている2つの端子)は、それぞれ、切替機構31の出力端子33、及び、太陽電池モジュール20dの−端子26dmと接続されている。また、ロータリコネクタ37の各出力端子(ロータリコネクタ37の巻取パイプ30と共に回転しない部分に設けられている各端子)は、対応する極性の主出力端子51と接続されている。
【0029】
切替機構31は、ロータリスイッチと減速ギアとを組み合わせたような機構である。具体的には、図5に模式的に示したように、切替機構31は、第1〜第4入力端子321
324と接続された扇状電極351〜354を有する電極板34を備えている。また、切替
機構31は、この電極板34に対して回転し得る回転部材(図示略)、及び、回転部材の回転に伴い各扇状電極351〜354上を移動するように回転部材に対して取り付けられた電極36を備えている。なお、図5には明示していないが、この電極36は、隣り合っている2つの扇状電極35と同時に接することがない形状のものである。
【0030】
さらに、切替機構31は、回転部材を、巻取パイプ30の回転速度のk(<1)倍の速度で回転させる減速ギア(図示略)を備えている。そして、切替機構31は、この減速ギアの減速比、各扇状電極35の形状等を、以下の条件を満たすように決定して製造したものとなっている。
【0031】
・スクリーン10が巻取パイプ30から完全に引き出されている場合、電極36が位置P4に位置している(電極36が扇状電極354と接触している)。
・スクリーン10の太陽電池モジュール20aが配置されている部分が巻取パイプ30に巻き取られ始めたときに、電極36が位置P3に位置する(電極36と接触する電極が、扇状電極353に変わる)。
・スクリーン10の太陽電池モジュール20bが配置されている部分が巻取パイプ30に巻き取られ始めたときに、電極36が位置P2に位置する(電極36と接触する電極が、扇状電極352に変わる)。
・スクリーン10の太陽電池モジュール20cが配置されている部分が巻取パイプ30に巻き取られ始めたときに、電極36が位置P1に位置する(電極36と接触する電極が、扇状電極351に変わる)。
・スクリーン10の太陽電池モジュール20dが配置されている部分が巻取パイプ30に巻き取られ始めたときに、電極36が位置P0に位置する(電極36が、いずれの扇状電極35とも接触しない状態となる)。
【0032】
以上の説明から既に明らかであるとは考えるが、ここで、図6を用いて、本実施形態に係るロールスクリーン装置1の機能を説明しておくことにする。
【0033】
ロールスクリーン装置1は、スクリーン10が巻取パイプ30から完全に引き出されている場合、切替機構31内の電極36(図5参照)が、位置P4に位置する/扇状電極354と接触する装置である。そして、電極36は、ロータリコネクタ37を介して一方の
主出力端子51と接続されており、扇状電極354は、他の3つの太陽電池モジュール2
0と直列接続されている太陽電池モジュール20aの+端子26ap(図4参照)と、第4入力端子324を介して接続されている。
【0034】
また、他の3つの太陽電池モジュール20と直列接続されている太陽電池モジュール20dの−端子26dp(図4参照)は、ロータリコネクタ37を介して他方の主出力端子51と接続されている。
【0035】
従って、スクリーン10が巻取パイプ30から完全に引き出されている場合、ロールスクリーン装置1の一対の主出力端子51から、図6(A)に模式的に示してあるように、太陽電池モジュール20a〜20dの出力電圧の総和が出力されることになる。ここでスクリーン10が巻取パイプ30から完全に引き出されているとは、太陽電池モジュール20の面積として70%以上が引き出されていることである。好ましくは、80%以上、さらに好ましくは、90%以上である。
【0036】
また、スクリーン10の一部が巻き取られて太陽電池モジュール20aのみに太陽光が当たらなくなった場合、切替機構31内の電極36は、扇状電極353と接触する。そし
て、扇状電極353には、太陽電池モジュール20bの+端子26bpが接続されている

【0037】
従って、この場合、ロールスクリーン装置1の一対の主出力端子51から、図6(B)に模式的に示してあるように、太陽電池モジュール20d〜20dの出力電圧の総和が出力されることになる。また、太陽光が当たっていない(巻取パイプ30に巻き取られている)太陽電池モジュール20aは、電流が流れない状態(一方の端子が開放されている状態)をとることになる。
【0038】
また、スクリーン10の大部分(上端側のおよそ3/4の部分)が巻き取られて太陽電池モジュール20dのみに太陽光が当たるようになった場合、切替機構31内の電極36は、太陽電池モジュール20dの+端子26dpが接続されている扇状電極351と接触
する。
【0039】
従って、この場合、ロールスクリーン装置1の一対の主出力端子51から、図6(C)に模式的に示してあるように、太陽電池モジュール20dの出力電圧が出力されることになる。また、太陽光が当たっていない(巻取パイプ30に巻き取られている)他の各太陽電池モジュール20は、電流が流れない状態をとることになる。
【0040】
このように、ロールスクリーン装置1は、巻取パイプ30にその全て又は一部が巻き取られた各太陽電池モジュール20が電流が流れない状態に制御されるように、且つ、その他の各太陽電池モジュール20の出力電圧の総和が主出力端子51から出力されるように構成されている。
【0041】
従って、このロールスクリーン装置1は、太陽光が当たっていない各太陽電池モジュールに電流が流ることに起因して生ずる上記不具合が生じない形で使用できる装置となっていることになる。
【0042】
本発明のロールスクリーン装置1においては、太陽電池モジュールの設置面積を可能な限り大きくすることが、発電効率の点から好ましい。太陽電池モジュールの設置面積を可能な限り大きくする方法は、特に限定はないが、スクリーン10に対して太陽電池モジュールを可能なかぎり大きく設置する方法や、スクリーン10の端部からロールスクリーン装置1の端部の長さを短くする方法が挙げられる。スクリーン10の端部からロールスクリーン装置1の端部の長さを短くするには、接続機構40を小さくする方法が挙げられる。スクリーン10の端部からロールスクリーン装置1の端部の長さは、80mm以下が好ましく、さらに好ましくは60mm以下、より好ましくは40mm以下、特に好ましくは30mm以下である。スクリーン10の端部からロールスクリーン装置1の端部の長さを短くすることで、発電領域の確保だけではなく、ロールスクリーン装置1を複数設置した場合、各ロールスクリーン装置の間隔を狭めることができ、遮光性を高めることが出来る。
【0043】
最後に、スクリーン10の製造に使用できる材料例、スクリーン10の製造方法例を説明する。
【0044】
[太陽電池セル11]
太陽電池セル11は、或る程度の可撓性を有する(曲げ応力が繰り返しかかっても壊れにくい)ものであれば良い。従って、太陽電池セル11として、アモルファスシリコン系太陽電池セル、有機太陽電池セル、化合物半導体系太陽電池セルなどを用いることができる。
【0045】
アモルファスシリコン系太陽電池セルは、厚さ1μm程度の薄膜でも太陽光を十分に吸
収できる長所を有する。また、アモルファスシリコンは、曲げに対する耐性が高い非結晶質の材料である。そのため、太陽電池セル11として、アモルファスシリコン系太陽電池セルを採用しておけば、巻取パイプ30への巻き取りによる太陽電池セル11の破壊/性能劣化等が生じにくい、薄くて軽量なスクリーン10を実現することができる。
【0046】
また、太陽電池セル11として有機太陽電池セルを用いることもできる。ここで、有機太陽電池セルとは、光吸収層(光電変換層)に有機半導体が用いられた太陽電池セルのことである。なお、有機太陽電池セルの構成要素として使用できる有機半導体としては、例えば、ナフタレン(或いはペリレン)テトラカルボン酸ジイミド、フラーレン(C60)およびその誘導体等が知られている。また、例えば、ポリチオフェン、ポリフルオレン、ポリチエニレンビニレン、ポリアセチレン、ポリアニリン等の共役高分子;アルキル置換されたオリゴチオフェン等の高分子半導体も知られている。
【0047】
また、太陽電池セル11として化合物半導体系太陽電池セルを用いることもできる。化合物半導体系太陽電池セルのうちでも、高い光電変換効率が得られるI−III−VI2族半導
体系(カルコパイライト系)太陽電池セルが好ましく、特にI族元素としてCuを用いたCu−III−VI2族半導体系太陽電池セルが好ましい。ここで、Cu−III−VI2族半導体系太陽電池セルとは、構成材料としてCu−III−VI2族半導体を有する太陽電池セルのことである。Cu−III−VI2族半導体とは、CuとIII族元素とVI族元素が1:1:2の割合
で含まれる化合物からなる半導体のことである。このCu−III−VI2族半導体としては、CuInSe2、CuGaSe2、Cu(In1-xGax)Se2、CuInS2、CuGaS2、Cu(In1-xGax)S2、CuInTe2、CuGaTe2、Cu(In1-xGax)Te2を例示できる。
【0048】
太陽電池セル11として使用する化合物半導体系太陽電池セルの構成材料は、これらの2種以上の混合物であってもよい。なお、化合物半導体系太陽電池セルとしては、CIS系太陽電池セル及びCIGS系太陽電池セルが特に好ましい。ここで、CIS系太陽電池セルとは、構成材料としてCIS系半導体を有する太陽電池セルのことであり、CIS系半導体とは、CuIn(Se1-yy2〔0≦y≦1〕のことである。すなわち、CIS
系半導体とは、CuInSe2、CuInS2、又はこれらが混合状態にあるもののことである。
【0049】
また、CIGS系太陽電池セルとは、構成材料としてCIGS系半導体を有する太陽電池セルのことであり、CIGS系半導体とは、Cu(In1-xGax)(Se1-yy2
0<x<1、0≦y≦1〕のことである。なお、Cu(In1-xGax)Se2は、通常、
CuInSe2とCuGaSe2との混晶となっている。また、xの範囲は、通常は0より大きく、好ましくは0.05より大きく、より好ましくは0.1より大きく、また、通常0.8未満、好ましくは0.5未満、より好ましくは0.4未満である。
【0050】
[耐候性保護フィルム12]
耐候性保護フィルム12は、天候変化から太陽電池セル11を保護するためのフィルムである。太陽電池セル11の構成要素のなかには、温度変化、湿度変化、自然光、風雨による侵食などにより劣化するものがある。そのため、耐候性保護フィルム12で太陽電池セル11を覆うことにより、太陽電池セル11等を天候変化などから保護することにより、発電能力が劣化しないようにしておくことが望ましい。
【0051】
耐候性保護フィルム12は、スクリーン10の最表層に位置するため、耐候性、耐熱性、透明性、撥水性、耐汚染性、機械強度などの、スクリーン10(太陽電池セル11)の表面被覆材として好適な性能を備え、しかもそれを屋外暴露において長期間維持する性質を有することが好ましい。
【0052】
スクリーン10は、コンパクトに巻き取れるものであることが好ましい。従って、耐候性保護フィルム12は薄いものが好ましい。通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは100μm以下である。耐候性保護フィルム12を薄くすると柔軟性が高まるため巻き取り易くなる。ただし、耐候性保護フィルム12が薄過ぎるのは好ましくない。何故ならば、耐候性保護フィルム12が薄過ぎると、耐候性が確保されないことになるからである。
【0053】
また、耐候性保護フィルム12は、太陽電池セル11の光吸収を妨げないという観点から、可視光を透過させるものが好ましい。例えば、耐候性保護フィルム12の可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、特に好ましくは95%である。
【0054】
さらに、スクリーン10は光を受けて熱せられることが多いため、耐候性保護フィルム12も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、耐候性保護フィルム12の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることでスクリーン10の使用時に耐候性保護フィルム12が融解・劣化する可能性を低減できる。
【0055】
耐候性保護フィルム12を構成する材料は、天候変化から太陽電池セル11を保護することができるものであれば任意である。
【0056】
また、耐候性層に、紫外線遮断、熱線遮断、防汚性、防曇性、耐擦性、導電性、反射防止、防眩性、光拡散、光散乱、波長変換性等の機能を付与してもよい。特に、スクリーン10は太陽光からの強い紫外線にさらされるので、耐候性層に、紫外線遮断機能を持たせてもよい。紫外線遮断機能を有する層を塗工製膜等により耐候性層上に積層したり、紫外線遮断機能を発現する材料を溶解・分散させるなどして耐候性層に含有させることにより、紫外線遮断機能を耐候性層に付与できる。
【0057】
なお、耐候性保護フィルム12は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。また、耐候性保護フィルム12は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムを備えた積層フィルムであってもよい。
【0058】
また、耐候性保護フィルム12には、他のフィルムとの接着性の改良のために、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理を行なってもよい。
【0059】
耐候性保護フィルム12は、スクリーン10においてできるだけ外側に設けることが好ましい。スクリーン10の構成部材のうちより多くのものを保護できるようにするためである。したがって耐候性保護フィルム12はスクリーン10の最表面に設けておくことが好ましい。
【0060】
さらに、巻取った状態でスクリーン基材25の太陽電池セル11が設けられていない側(室内側)の面と耐候性保護フィルム12の表面側とが、接着する可能性を無くするために、耐候性保護フィルム12の表面にエンボス加工を施してもよい。また、このスクリーン10表面のエンボス加工は、スクリーン10を、外から見てまぶしくないものとするためにも、有効である。
【0061】
[封止材13a]
封止材13aは、太陽電池セル11を補強するフィルムである。太陽電池セル11は薄いため通常は強度が弱く、ひいてはスクリーン10の強度が弱くなる傾向があるが、封止材13aにより強度を高く維持することが可能である。
【0062】
スクリーン10をコンパクトに巻き取れるようにするために、封止材13aは薄いものが好ましい。通常50μm以上、好ましくは100μm以上、より好ましくは150μm以上であり、また、通常500μm以下、好ましくは450μm以下、より好ましくは400μm以下である。薄くすることで柔軟性が高まり巻取り易くなるが、薄すぎると強度が確保されないことになり好ましくない。
【0063】
また、封止材13aは、スクリーン10の強度保持の観点から強度が高いことが好ましい。具体的強度については、封止材13a以外の耐候性保護フィルム12やバックシート14の強度とも関係することになり一概には規定しにくいが、封止材13aは、スクリーン10を、巻取パイプ30に巻き取ったり、伸ばしたりしても、スクリーン10の各部で剥離や変形を生じないような接着性と強度を有していることが望ましい。
【0064】
また、封止材13aは、太陽電池セル11の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、封止材13aの可視光(波長360〜830nm)の光の透過率は、通常60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上、更に好ましくは80%以上、中でも好ましくは85%以上、とりわけ好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、その中でも特に好ましくは97%以上である。太陽光をより多く電気エネルギーに変換するためである。
【0065】
さらに、スクリーン10は光を受けて熱せられることが多いため、封止材13aも熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、封止材13aの構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点を高くすることでロールスクリーン装置1の使用時に封止材13aが融解・劣化する可能性を低減できる。
【0066】
[封止材13b]
封止材13bは、上述した封止材13aと同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は封止材13aと同様のものを同様に用いることができる。厚みも封止材13aと同様である。また、太陽電池セル11よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、封止材13bとしては、可視光を透過させないものを用いることもできる。
【0067】
[バックシート14]
スクリーン10をコンパクトに巻き取り可能なものとするために、バックシート14は薄いのが好ましい。通常10μm以上、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。薄くすることで柔軟性が高まる傾向になり巻取り易くなるが、薄すぎると耐候性が確保されないことになり好ましくない。
【0068】
バックシート14は、上述した耐候性保護フィルム12と同様のフィルムであり、配設位置が異なる他は耐候性保護フィルム12と同様のものを同様に用いることができる。また、太陽電池セル11よりも背面側の構成部材は必ずしも可視光を透過させる必要が無いため、可視光を透過させないものを用いることもできる。このため、バックシート14としては、以下に説明するものを用いることもできる。
【0069】
例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルースチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のシートを使用することができる。
【0070】
これらの樹脂のシートの中でも、フッ素系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂のシートを使用することが好ましい。フッ素系樹脂の具体例を挙げるとポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4−フッ化エチレン−パークロロアルコキシ共重合体(PFA)、4−フッ化エチレン−6−フッ化プロピレン共重合体(FEP)、2−エチレン−4−フッ化エチレン共重合体(ETFE)、ポリ3−フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)及びポリフッ化ビニル(PVF)等が挙げられる。なお、これらは1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0071】
[シール材15]
上述した耐候性保護フィルム12、封止材13a、13b、及びバックシート14の縁部をシールするために、シール材15を用いても良い。スクリーン10は光を受けて熱せされることが多いため、シール材15も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、シール材15の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常250℃以下、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。融点が低すぎると薄膜太陽電池100の使用時にシール材15が融解する可能性がある。
【0072】
シール材15を構成する材料としては、例えば、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂等のポリマーが挙げられる。なお、シール材15は1種の材料で形成されていてもよく、2種以上の材料で形成されていても良い。
【0073】
シール材15は、スクリーン10の耐候性保護フィルム12とバックシート14以外の各フィルムをシールできる位置に設ける。これによりシール材15で囲まれた空間を密閉し、この空間内に湿気及び酸素が侵入しないようにすることができる。
【0074】
このシール材15は、さまざまな方法により形成することが出来る。例えば、シール材15の構成材料を、耐候性保護フィルム12とバックシート14との間に注入することにより形成できる。
【0075】
[スクリーン基材25]
スクリーン10をコンパクトに巻き取れるものとするために、スクリーン基材25は薄いものが良い。通常0.1mm以上、好ましくは0.15mm以上、より好ましくは0.2mm以上であり、また、通常2mm以下、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1mm以下である。薄くすることで柔軟性が高まる傾向になり巻取り易くなるが、薄すぎると強度が確保されないことになり好ましくない。
【0076】
スクリーン基材25の材質は、ポリプロピレンやポリエステル製のような樹脂から作成されるものの他、和紙、綿や麻のような天然素材でもよい。またポリエステルと綿の混紡
でもよい。スクリーン基材25は遮光性の高いものでもよく、また低いもの(いわゆる透け感のあるもの)でも良い。またスクリーン基材25は遮熱性のあるものでもよい。
【0077】
スクリーン基材25の色は特に何色でも良いが、白、ベージュ、ブラウン、ブルー、グリーン等が意匠性から好適に用いられる。また意匠性を上げるために、特に室内側に所望の模様を施しても良い。さらに、巻き取った状態で、スクリーン基材25の太陽電池セル11が設けられていない側(室内側)の面と耐候性保護フィルム12の表面側とが、接着する可能性を無くするために、スクリーン基材25の室内側の表面にエンボス加工を施しておくことも出来る。
【0078】
[紫外線カットフィルム16]
紫外線カットフィルム16は紫外線の透過を防止するフィルムである。スクリーン10の構成部品のなかには紫外線により劣化するものがあるため、紫外線カットフィルム16を用いても良い。
【0079】
スクリーン10には、巻き取った状態でコンパクトであることが望まれるので、紫外線カットフィルム16は薄いのが好ましい。通常5μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上であり、また、通常200μm以下、好ましくは180μm以下、より好ましくは150μm以下である。厚みを厚くすることで紫外線の吸収が高まる傾向にあるが、厚くしすぎるとコンパクト性を確保できなくなる。
【0080】
紫外線カットフィルム16に要求される紫外線の透過抑制能力の程度は、紫外線(例えば、波長300nm)の透過率が50%以下であることが好ましく、30%以下であることがより好ましく、特に好ましくは10%以下である。
【0081】
また、紫外線カットフィルム16は、太陽電池セル11の光吸収を妨げない観点から可視光を透過させるものが好ましい。例えば、可視光(波長360〜830nm)の光の透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、特に好ましくは95%である。
【0082】
さらに、スクリーン10は光を受けて熱せられることが多いため、紫外線カットフィルム16も熱に対する耐性を有することが好ましい。この観点から、紫外線カットフィルム16の構成材料の融点は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上であり、また、通常350℃以下、好ましくは320℃以下、より好ましくは300℃以下である。融点が低すぎると薄膜太陽電池100の使用時に紫外線カットフィルム16が融解する可能性がある。
【0083】
また、紫外線カットフィルム16は、柔軟性が高く、隣接するフィルムとの接着性が良好であり、水蒸気や酸素をカットしうるものが好ましい。
【0084】
紫外線カットフィルム16を構成する材料は、紫外線の強度を弱めることができるものであれば任意である。その材料の例を挙げると、エポキシ系、アクリル系、ウレタン系、エステル系の樹脂に紫外線吸収剤を配合して成膜したフィルムなどが挙げられる。
【0085】
紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾル系、シアノアクリレート系のものを用いることができる。中でもベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系が好ましい。この例としては、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の種々の芳香族系有機化合物などが挙げられる。紫外線吸収剤は1種の化合物で形成されていてもよく、2種以上の化合物で形成されていても良い。また、紫外線吸収剤を樹脂中に分散あるいは溶解させた層を基材フィルム上に形成したフィルムを用いても良い。或
いは紫外線吸収層を基材フィルム上に形成したフィルムを用いることもできる。このようなフィルムは、例えば、紫外線吸収剤を含む塗布液を基材フィルム上に塗布し、乾燥させることで作製できる。
【0086】
基材フィルムの材質は特に限定されないが、耐熱性、柔軟性のバランスが良好なフィルムが得られる点で、例えばポリエステルが挙げられる。
【0087】
なお、紫外線カットフィルム16は単層フィルムにより形成されていても良いが、2層以上のフィルムからなる積層フィルムであってもよい。
【0088】
[スクリーン10の製造方法]
スクリーン10のスクリーン基材25以外の部分(以下、太陽電池部と表記する)は、さまざまな方法により製造することが出来る。例えば、図3示したタイプの太陽電池部は、耐候性保護フィルム12とバックシート14との間に、複数の太陽電池セル11を直列または並列接続したものを、封止材13a、13bと共に一般的な真空ラミネート装置でラミネートすることにより製造することができる。また、図4に示したタイプの太陽電池部は、上記のようなラミネート時に、紫外線カットフィルム16を同時にラミネートすることや、幾つかのフィルムを別途ラミネートすることにより製造することが出来る。
【0089】
この際、加熱温度は通常130℃以上、好ましくは140℃以上であり、通常180℃以下、好ましくは170℃以下である。また、加熱時間は通常10分以上、好ましくは20分以上であり、通常100分以下、好ましくは90分以下である。圧力は通常0.001MPa以上、好ましくは0.01MPa以上であり、通常0.2MPa以下、好ましくは0.1MPa以下である。圧力をこの範囲とすることで封止を確実に行い、かつ、端部からの封止材13a,13bがはみ出しや過加圧による膜厚低減を抑え、寸法安定性を確保しうる。
【0090】
スクリーン基材25・太陽電池部間の固定方法としては、接着材を用いる方法と、縫い付ける方法が挙げられる。
【0091】
巻取った状態でスクリーン基材25の薄膜太陽電池が装着されていない側(室内側)の面と耐候性保護フィルム12の表面側とが、接着する可能性を無くするため、スクリーン基材25の室内側の表面にエンボス加工を施してもよい。
【0092】
《第2実施形態》
以下、図7及び図8を用いて、本発明の第2実施形態に係るロールスクリーン装置2の構成を説明する。なお、以下では、ロールスクリーン装置2の、ロールスクリーン装置1と本質的には同じ構成要素については、同じ符号を付することによって、その詳細説明を省略する。
【0093】
本実施形態に係るロールスクリーン装置2も、ロールスクリーン装置1と同様に、一種のプルコード式(スプリング式)ロールスクリーンである。図7に示してあるように、ロールスクリーン装置2は、スクリーン10′、巻取パイプ30、支持部40等を備えている。
【0094】
スクリーン10′は、スクリーン10と同様に、スクリーン基材25上に、4つの太陽電池モジュール20a〜20dを、スクリーン基材25(スクリーン10′)の長さ方向に並べて配設した部材である。ただし、スクリーン10′における太陽電池モジュール20a〜20d間の接続形態は、スクリーン10のそれとは異なっており、スクリーン10′には、太陽電池モジュール20毎に、その出力を取り出すための電線対28(28a〜
28d)が設けられている。
【0095】
ロールスクリーン装置2の支持部50には、一対の主出力端子51を備えた出力制御部70、及び、巻取パイプ30の回転角度を検出するためのロータリエンコーダ64が、設けられている。
【0096】
ロールスクリーン装置2の巻取パイプ30内には、切替機構31及びロータリコネクタ37の代わりに、8極タイプのロータリコネクタ62が設けられている。このロータリコネクタ62の8個の入力端子は、電線対28a〜28dの総計8本の電線とそれぞれ接続されており、ロータリコネクタ62の各出力端子は、出力制御部70と接続されている。
【0097】
出力制御部70は、各太陽電池モジュール20の出力を合成して一対の主出力端子51p、51mから出力するユニットである。
【0098】
図8に、出力制御部70の概略構成を示す。なお、この図8及び以下の説明において、は、入力端子71xp(x=a〜d)とは、電線対28x、ロータリコネクタ62等を介して、太陽電池モジュール20xの+端子と接続されている端子のことである。同様に、入力端子71xmとは、電線対28x、ロータリコネクタ62等を介して、太陽電池モジュール20xの−端子と接続されている端子のことである。
【0099】
図示してあるように、出力制御部70は、各入力端子71xp・主出力端子51p間に設けられたスイッチ72、各入力端子71xm・主出力端子51m間に設けられたスイッチ72を備えている。また、出力制御部70は、入力端子71ap・入力端子71bm間に設けられたスイッチ72、入力端子71bp・入力端子71cm間に設けられたスイッチ72、入力端子71cp・入力端子71am間に設けられたスイッチ72を、備えている。
【0100】
さらに、出力制御部70は、マイクロコントローラ75、モード設定スイッチ76、出力制御部70の各部及びロータリエンコーダ64の電源として機能するバッテリ(図示略)を、備えている。
【0101】
出力制御部70が備えるモード設定スイッチ76は、出力制御部70の動作モードを、直列接続モード、並列接続モードのいずれかとするかを設定するためのディップスイッチである。各スイッチ72は、各端子間の電気的な接続をON/OFFするための、マイクロコントローラ75により制御されるスイッチである。
【0102】
マイクロコントローラ75は、ロータリエンコーダ64からの情報(巻取パイプ30の回転角)に基づき、動作モード(モード設定スイッチ76の状態)に応じた内容のON/OFF制御を、各スイッチ72に対して行うユニット(いわゆるワンチップマイコン)である。
【0103】
このマイクロコントローラ75は、以下の制御を行うように、プログラミングされている。
【0104】
動作モードが直列接続モードである場合、マイクロコントローラ75は、巻取パイプ30にその全て又は一部が巻き取られた各太陽電池モジュール20に電流が流れないように、且つ、その他の各太陽電池モジュール20の出力電圧の総和が主出力端子51p、51mから出力されるように、各スイッチ72を制御する。
【0105】
また、動作モードが直列接続モードである場合、マイクロコントローラ75は、巻取パ
イプ30にその全て又は一部が巻き取られた各太陽電池モジュール20に電流が流れないように、且つ、その他の各太陽電池モジュール20の出力電流の総和が主出力端子51p、51mから出力されるように(その他の各太陽電池モジュール20の出力が、並列的に、主出力端子51p、51mに入力されるように)、各スイッチ72を制御する。
【0106】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係るロールスクリーン装置2も、太陽光が当たっていない各太陽電池モジュール20に電流が流れない構成を有している。
【0107】
従って、このロールスクリーン装置2も、ロールスクリーン装置1と同様に、太陽光が当たっていない各太陽電池モジュールに電流が流ることに起因して生ずる上記不具合が生じない形で使用できる装置となっていることになる。
【0108】
《変形形態》
上記したロールスクリーン装置1、2は、各種の変形を行えるものである。例えば、ロールスクリーン装置2を、出力制御部70として、各種端子間の接続のON/OFFを機械的に行うユニット(各種端子間の接続のON/OFFを行う、動作させるために通電を要するデバイスを含まないユニット)を備えた装置に変形することが出来る。また、ロールスクリーン装置2を、並列接続モードのみで動作する装置に変形することも出来る。
【0109】
ロールスクリーン装置2を、出力制御部70を備えない装置(複数対の主出力端子を有し、それらが、パワーコンディショナ等に接続されて使用される装置)に変形することも出来る。
【0110】
また、ロールスクリーン装置1、2を、上記したものとは具体的な構成(スクリーン基材25上に配設されている太陽電池モジュール20の枚数、切替機構31の構成、出力制御部70の構成等)の異なる装置に変形しても良いことは、当然のことである。
【符号の説明】
【0111】
1、2 ロールスクリーン装置
10、10′ スクリーン
20(20a、20c、20b、20d) 太陽電池モジュール
11 太陽電池セル
12 耐候性保護フィルム
13b、13a 封止材
14 バックシート
15 シール材
16 紫外線カットフィルム
25 スクリーン基材
26 端子
28 電線対
30 巻取パイプ
31 切替機構
32、71 入力端子
33 出力端子
34 電極板
35 扇状電極
36 電極
37、62 ロータリコネクタ
40 支持部
50 出力端子部
51、51p、51m 主出力端子
64 ロータリエンコーダ
70 出力制御部
72 スイッチ
75 マイクロコントローラ
76 モード設定スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取パイプと、
前記巻取パイプを回転可能に支持する支持部と、
前記支持部に対して固定された一対の主出力端子と、
一方の面上に複数の太陽電池モジュールが配設されたスクリーンであって、前記巻取パイプへの巻き取り及び前記巻取パイプからの巻き解きが可能なように、その一端が前記巻取パイプに連結されたスクリーンと、
前記複数の太陽電池モジュールの中の、前記スクリーンの、前記巻取パイプに巻き取られている領域である非露出領域に全ての部分又は一部の部分が配置されている各太陽電池モジュールに電流が流れない状態を形成すると共に、他の各太陽電池モジュールの出力を合成して前記一対の主出力端子から出力する出力手段と、
を備えることを特徴とするロールスクリーン装置。
【請求項2】
前記出力手段は、
前記他の各太陽電池モジュールの出力電圧の総和を前記一対の主出力端子から出力する
ことを特徴とする請求項1に記載のロールスクリーン装置。
【請求項3】
前記出力手段は、
前記一対の主出力端子と前記複数の太陽電池モジュールの出力端子間の電気的な接続経路を前記巻取パイプの回転角度に応じて機械的に変更することにより、前記非露出領域に全ての部分又は一部の部分が配置されている各太陽電池モジュールに電流が流れない状態を形成すると共に他の各太陽電池モジュールの出力を合成して前記一対の主出力端子から出力する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のロールスクリーン装置。
【請求項4】
巻取パイプと、
前記巻取パイプを回転可能に支持する支持部と、
一方の面上にN(≧2)個の太陽電池モジュールが配設されたスクリーンであって、前記巻取パイプへの巻き取り及び前記巻取パイプからの巻き解きが可能なように、その一端が前記巻取パイプに連結されたスクリーンと、
前記支持部に対して固定されたN対の出力取出端子であって、それぞれ、前記N個の太陽電池モジュールの中の互いに異なる太陽電池モジュールの1対の出力端子と電気的に接続されているN対の出力取出端子と、
を備えることを特徴とするロールスクリーン装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−76293(P2013−76293A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217568(P2011−217568)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】