説明

ロールタイプ自動包装機の混合充填装置

【課題】 簡単かつ低コストな構成でありながら、包装袋の内容物充填部に液状原料と混合原料とを混合して充填する場合でも、混合原料の噛み込みやシール不良を招くことなく良好に包装袋の充填口をヒートシールにより封止することができ、以って品質不良等のない高い製品品質を達成することができるロールタイプ自動包装機の混合充填装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、ロールタイプ自動包装機1の混合充填装置であって、筒状包装袋内に第一の原料を間欠充填する第一の充填ノズル10と、第二及び第三の液状原料を充填する第二及び第三の充填ノズル20、30と、これら充填ノズル群の直下に配置され筒状包装袋を挟み込むことによって原料の液面レベル位置を調整する一対のしごきロール41、42と、を含んで構成され、前記しごきロール41、42の少なくとも一方には原料の誘導経路41A、42Aが設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールタイプ自動包装機の混合充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動包装機に関し、例えば特許文献1や特許文献2などに記載されているように、ロール状に巻き取られた包装フィルムを送り出し縦シールを施して筒状に成形した後、横シールにより下端を封止して袋状に成形し、その中に例えば保冷剤を内容物として充填し、上端を横シールにより封止した後、切り離して、個別の包装体を作り上げるようにしたものがある。
【0003】
ここで、内容物が保冷剤の場合、水と、吸湿性材料(高吸水性樹脂:吸水ポリマー)と、を充填することになるが、水と吸湿性材料とは、それらが混合されると同時に反応が開始され、経時と伴に反応が進行してゲル状となって粘度が高まり扱い難くなるため、混合のさせ方や混合のタイミングなどが、包装装内への良好な充填を実現するためには重要な要素となっている。
【0004】
このため、特許文献1に記載されている自動包装機では、水を一旦蓄えてから溢れさせて流出させる溢流部(特許文献1の図5の符号21参照)を備え、この溢流部21の厚い水膜で覆われた部分に、吸湿性材料を落下供給することで、吸湿性材料を水の溢れ出し流れに乗せて混合しながらその混合物を、混合配管(特許文献1の図5、図6の符号27参照)を介して、筒状袋の内容物充填部へ供給するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2899279号公報
【特許文献2】実公平06−28403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載される自動包装機は、包装フィルムを縦シールして円筒状とし、縦シール位置を横シールの幅方向略中央付近に設定し、下端及び上端を横シールするといった所謂ピロータイプ(枕形状)の包装袋を製作する自動包装機に適しており、レイアウト上、溢流部や混合配管などを包装袋の搬送方向に沿って鉛直方向に配設することができると共に、混合配管の長さも比較的短く構成されている。
【0007】
この一方で、ロール状に巻き取られた包装フィルムを、繰出しロール等で引き出しながら、フィルム折り畳み装置によって断面略U字状に折り返し、縦ヒートシールロールと横ヒートシールロールによって折り畳まれた包装フィルムに縦方向シールと横方向シールを施して下端及び側部が閉じられた包装袋を形成し、この包装袋の内容物充填部に充填ノズルによって内容物を充填し、その後、包装袋の充填口を横ヒートシールロールによって封止することで、複数の包装袋が連接された連続包装袋とし、これを切り離すことで個別包装袋を製造するように構成された所謂ロールタイプ自動包装機がある。
【0008】
このようなロールタイプ自動包装機において、保冷剤を内容物とする場合にも、上述したと同様に、水と吸湿性材料との混合のさせ方や混合のタイミングなどは良好な充填を実現するために重要な要因となるため、例えば、特許文献1に記載の自動包装機の技術を利用することが考えられる。
【0009】
しかしながら、ロールタイプ自動包装機の場合には、包装フィルムが断面U字状に折り畳まれているため、混合配管(充填ノズル)は、横方向から包装袋の充填部へ延伸され、そこから垂直方向(包装袋の搬送方向下流側)に向けて折り曲げられる必要があるなど、溢流部から充填ノズル先端までの距離が長くなると共に、混合配管が途中で折り曲げられるため流れが円滑でなくなるといったおそれがあり、溢流部での混合開始から充填ノズル先端から吐出されるまでの時間が長く、その間に水と吸湿性材料との反応が進んでゲル化が進み、充填ノズル先端から良好に内容物を供給することができなくなるおそれがある。
【0010】
また、保冷剤の性能向上などの要請から、吸湿性材料の混合割合を増加させることなどが要求される場合も想定され、かかる場合には、一層、水と吸湿性材料の混合開始後より早期に粘度が高まって流れ難くなるといった傾向になる。
【0011】
このようなことから、ロールタイプ自動包装機の場合には、特許文献1に記載されている技術をそのまま利用することは難しいといった実情がある。
【0012】
従って、ロールタイプ自動包装機において保冷剤を内容物とするような場合には、特許文献2に記載されている自動包装機のように、水を供給する水供給管と、吸湿性材料を供給する固体供給管と、を、先端をほぼ揃えて袋内に別々に配置することで、袋内で水と吸湿性材料の混合(反応)を開始させることで、袋外でのゲル化をできるだけ進行させないような手法を採用することが適しているものと考えられる。
【0013】
しかし、ロールタイプ自動包装機において保冷剤を内容物とする場合、保冷剤の充填を完了した後短時間のうちに上側の横シールを施して包装を完了すると共に、外気(空気)が保冷剤と一緒に封じ込まれないようにして、外気(空気)との接触を遮断して変質の進行を抑制し保冷剤としての性能を長期間維持できるように、包装袋内における内容物(保冷剤)の液面よりも下の位置で包装袋の充填口を横ヒートシールロールによって封止する所謂液中シール(以下、液中シールと称する)が行われている。
【0014】
なお、このような液中シールを行う場合には、内容物の液面高さ(すなわち、包装袋下方への水の移動量)を調整するための「しごきロール」(特許文献2の図3の符号17等参照)が配設される。
【0015】
そして、特許文献2に記載されている自動包装機のように、水と、吸湿性材料と、を別々に供給すると共に、液中シールを行う場合、しごきロールにより吸湿性材料の下方への移動が制限されるため、吸湿性材料が水面近くに多く存在することになり、かかる部分においてゲル化が進み、液中シールを行う際に、吸湿性材料やゲル化した内容物を包装フィルム間に挟み込みつつ横シールすることになって、横シール部に噛み込みやシール不良が生じてしまうといったおそれがある。
【0016】
本発明は、このような実情に鑑みなされたもので、簡単かつ低コストな構成でありながら、包装袋の内容物充填部に液状原料と、これに混合される混合原料と、を混合して充填する場合でも、混合原料の噛み込みやシール不良を招くことなく良好に包装袋の充填口をヒートシールにより封止することができ、以って品質不良等のない高い製品品質を達成することができるロールタイプ自動包装機の混合充填装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
このため、本発明は、
連続移送される包装フィルムに対して縦シールロール及び横シールロールによって縦・横シールを施して筒状包装袋を形成しつつ、混合充填装置を用いて筒状包装袋内に複数種類の原料を混合充填した後、充填用開口部分に横シールを施して封止し密閉された連続包装体を形成し、この連続包装体の横シール中央付近をカッター装置によって切り離して個別包装体を作り上げるロールタイプ自動包装機の混合充填装置であって、
筒状包装幅方向中央付近に配置され、筒状包装袋内に第一の原料を間欠充填する第一の充填ノズルと、
筒状包装幅方向両端部分に配置され、筒状包装袋内に第二及び第三の液状原料を充填する第二及び第三の充填ノズルと、
上記充填ノズル群の直下に配置され、筒状包装袋を挟み込むことによって原料の液面レベル位置を調整する一対のしごきロールと、
を含んで構成され、
前記一対のしごきロールの少なくとも一方には、筒状包装袋幅方向中央付近に複数種類の原料の誘導経路が設けられていることを特徴とする。
【0018】
本発明において、前記しごきロールの誘導経路は、第一の充填ノズルから投入される第一の原料を、第二及び第三の充填ノズルから投入される第二及び第三の液状原料で包み込むように誘導して、しごきロール下側の筒状包装袋内に送り込むように動作することを特徴とすることができる。
【0019】
本発明において、前記しごきロールの誘導経路は、しごきロールの断面径より細い断面径であり、しごきロールの誘導経路全周に亘って予め定められた切り欠き状に形成されていることを特徴とすることができる。
【0020】
本発明において、前記しごきロールの誘導経路は、しごきロールの誘導経路全周に亘って多角形状若しくは円弧状に切り欠き形成されていることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡単かつ低コストな構成でありながら、包装袋の内容物充填部に液状原料と混合原料とを混合して充填する場合でも、混合原料の噛み込みやシール不良を招くことなく良好に包装袋の充填口をヒートシールにより封止することができ、以って品質不良等のない高い製品品質を達成することができるロールタイプ自動包装機の混合充填装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係るロールタイプ自動包装機の一構成例を示す正面図である。
【図2】同上実施の形態に係るロールタイプ自動包装機の内容物充填部の様子を説明するために拡大して示した正面図である。
【図3】(A)は同上実施の形態に係るロールタイプ自動包装機のしごきロール装置の一構成例を包装フィルム搬送方向上流側から見た上面図であり、(B)は(A)の側面図であり、(C)は装置正面方向から見た正面図である。
【図4】同上実施の形態に係るしごきロール装置のしごきロールの隙間拡張部分の変形態様を説明するために一部を抜き出して示した上面図(包装フィルム搬送方向上流側から見た図)である。
【図5】同上実施の形態に係るロールタイプ自動包装機の混合物充填部分の一構成例を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る一実施の形態を、添付の図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態により、本発明が限定されるものではない。
【0024】
なお、本実施の形態では、混合によって内容物が完成される前の複数種類の原料について各原料毎に保管しておいて、包装袋の内容物充填部に原材料毎に別々に複数種類の原材料を投入して混合することで内容物を完成させる場合において、この複数種類の原料は、例えば、液状原料に混合される多種多様な形態の原料を「第一の原料」と称し、別々に投入される液状原料を「第二の液状原料」、「第三の液状原料」と称する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係るロールタイプ自動包装機の全体構成を示している。
図1に示すように、ロールタイプ自動包装機1の右側部分に、包装フィルムFが巻回された原反ロールFHが脱着可能に保持されている。
【0026】
そして、ロールタイプ自動包装機1の上部には、包装フィルムFに所定張力を付与するテンショナー装置2と、フィルム折り返しロール3と、包装フィルムFを長手方向に二つ折りするフィルム折畳装置4と、二つ折りされた包装フィルムFXの内側(内容部充填部)に第二の液状原料を送り込むための第二の充填ノズル20と、第三の液状原料を送り込むための第三の充填ノズル30と、が設けられている。
なお、第二の液状原料と、第三の液状原料と、は種類の異なる原料に限らず、同じ原料であっても良いものである。
【0027】
更に、本実施の形態では、二つ折りされた包装フィルムFXの内側(内容部充填部)に第一の原料を送り込むための第一の充填ノズル10が、第二の充填ノズル20と第三の充填ノズル30の間の略中央付近に配設されている。
【0028】
ロールタイプ自動包装機1の正面には上から包装フィルムの搬送方向下流側に向けて、縦シール装置5、しごきロール装置40、第一横シール装置6、第二横シール装置7、整列ガイド装置8、横カッター装置9が、この順番で備えられている。なお、包装フィルムFの繰り出し動力は、例えば、縦シール装置5の縦ヒートシールロールの回転駆動により包装フィルムFに付与するような構成とすることができる。
【0029】
また、ロールタイプ自動包装機1には、当該ロールタイプ自動包装機1の各部の動作の制御を司る制御装置100が設けられている。
【0030】
ところで、包装フィルムFは、例えば、PET等のベースフィルム、このベースフィルムよりも融点の低いポリエチレン等のヒートシールフィルムから構成されることができる。なお、包装フィルムとしては、ベースフィルム、中間フィルム、ヒートシールフィルムの3層構造のものなどを採用することもできる。
【0031】
以下、本実施の形態に係るロールタイプ自動包装機1の動作を詳細に説明する。
包装フィルムFは、原反ロールFHから繰り出されるが、引き出された包装フィルムFは、フィルム折り返しロール3に掛け渡されて直下のフィルム折畳装置4に送られる。
【0032】
フィルム折畳装置4は、図1平面に略直交する方向を幅方向とする包装フィルムFを、図1に示すように、長手方向に二つ折りするもので、二つ折りされた後の包装フィルムFXは、二つ折りされた包装フィルムFX内に第一の原料を送り込む第一の充填ノズル10、第二の液状原料を送り込む第二の充填ノズル20、第三の液状原料を送り込む第三の充填ノズル30を挟み込みつつ、縦シール装置5に送られる。
【0033】
縦シール装置5では、二つ折りされた包装フィルムFXの重なり部分の幅方向端部に対して縦シール(図2等参照)を施し、包装フィルムFXを筒状形態にする。
【0034】
その後、筒状にされた包装フィルムFXは、第一横シール装置6の横ヒートシールロールにより横シール(図2等参照)され、この横シールにより包装袋の底部が形成される。
【0035】
そして、図2に示すように、有底筒状に形成された包装フィルムFX内に挿入された状態となっている第一の充填ノズル10、第二の充填ノズル20、第三の充填ノズル30から、複数種類の内容物が包装袋内に充填される。
【0036】
ここで、第一の充填ノズル10から投入される第一の原料としては、粉状、粒状、タブレット状、ペースト状などの原料が想定されるが、これら以外の態様の原料を混合原料として扱うことも可能であると共に、第一の原料を複数種類からなるものとすることもできる。
また、第二の充填ノズル20及び第三の充填ノズル30から投入される第二或いは第三の液状原料は、液状に限定されるものではなく、ゲル状などとすることもできるが、これら以外の態様の原料を液状原料として扱うことも可能である。
【0037】
内容物の具体例として、保冷剤の場合には、第一の原料は高吸水性樹脂(吸水ポリマー)で、第二及び第三の液状原料は水などとすることができる。
また、食用のドレッシングの場合には、第一の原料はゴマ(固形添加物)、第二及び第三の液状原料はドレッシングソースなどとすることができる。また、第二或いは第三の液状原料の一方を油などとして、他方をドレッシングソースとするなど、それぞれ異なる液状原料とすることもできる。
【0038】
ここで、本実施の形態に係るロールタイプ自動包装機1の混合充填装置は、第一の充填ノズル10と、第二の充填ノズル20と、第三の充填ノズル30と、しごきロール装置40と、を含んで構成され、図2に示すように、図2中左端を縦シールされると共に下端が横シールされて上側が開口された袋状となっている包装袋FXの内側の左端寄りに挿入されている第二の充填ノズル20から第二の液状原料が充填され、包装袋の内側の右端寄りに挿入されている第三の充填ノズル30から第三の液状原料が充填される。
【0039】
更に、本実施の形態では、第二の充填ノズル20と、第三の充填ノズル30と、の間に配置されると共に、その先端が第二の充填ノズル20の先端及び第三の充填ノズル30の先端より包装フィルム搬送方向上流側にオフセットして配置されている第一の充填ノズル10から、第一の原料が添加充填されるようになっている。
【0040】
なお、このようにオフセット配置することで、例えば、内容物が保冷剤の場合に、第一の充填ノズル10の先端を出て直ぐの第一の原料である高吸水性樹脂(吸水ポリマー)が、第二及び第三の液状原料である水と反応して硬化してしまって第一の充填ノズル10の先端に付着等して堆積するようなことを確実に抑制することができる。
【0041】
第一の原料は、図5(A)に示すように、計量ホッパ等の計量供給装置から所定量に調量されて、第一の原料シュート11に供給される。そして、この調量された第一の原料は、図5(B)に示すように、第一の原料シュート11を滑って下方へ送られ、第一の原料フラップ12に当接して一時的に係止される。その後、図5(C)に示すように、制御装置100によりタイミングが計られて第一の原料フラップ12が開放されて、第1の原料は第一の充填ノズル30に供給され、図2に示すように、その先端から包装フィルムFXの内部に供給される。
【0042】
そして、本実施の形態においては、第二の充填ノズル20の先端及び第三の充填ノズル30の先端より包装フィルム搬送方向下流側に、しごきロール装置40が配設されている。
【0043】
このしごきロール装置40は、図3に示すように、袋状の包装フィルムFXを挟んで両側に対面配置される一対のしごきロール41、42を含んで構成されている。図2では、しごきロール42だけが表示されている。
【0044】
図3から理解されるように、しごきロール41は袋状の包装フィルムFXの表面側(装置正面側)に接触し、しごきロール42は袋状の包装フィルムFXの背面側(装置背面側)に接触している。
【0045】
本実施の形態では、一対のしごきロール41、42間の隙間を調整することができるように、しごきロール41、42の回転軸間距離を調整可能な構成とすることができる。このように、しごきロール41、42間の隙間を図3(A)、(B)のZ方向(包装袋の厚み方向)に調整可能に構成することで、筒状包装袋の挟み込み具合、すなわち第二の充填ノズル20及び第三の充填ノズル30から供給される第二及び第三の液状原料がしごきロール41、42間を通過して下方へ移動する度合いを調整できるので、内容物の液面レベルを所望に調整することができる。
【0046】
これにより、包装袋内における内容物の液面よりも下の位置で包装袋の充填用開口部分を横ヒートシールロールによって封止する液中シールを比較的自由度高く行うことができるため、極力空気を含ませず、且つ、空気に触れさせない包装を行うことができる。
【0047】
なお、調整機構の一例としては、例えば、図3に示すように、軸間調整ねじを回動させることで、これに螺合する移動ブロック延いてはしごきロール41の回転軸を図3(A)、(B)のZ方向(包装袋の厚み方向)に移動可能とすることで、一対のしごきロール41、42間の隙間を調整可能に構成することができる。
【0048】
また、図3(A)において幅方向に並列されている一対の軸間調整ねじは、相互独立な構成として、一対のしごきロール41、42間の隙間を幅方向において変化(しごきロール41の回転軸を図3(A)の平面内において傾斜)させることなども可能な構成とすることができる。
【0049】
ところで、しごきロール41、42の回転軸の双方を図3(A)のZ方向に移動させる構成とすることもできるし、何れか一方を他方に対して相対移動させるような構成とすることもできる。
【0050】
更に、本実施の形態においては、図2や図3に示したように、一対のしごきロール41、42の長手方向の少なくとも一部が縮径され、一対のしごきロール41、42の間の隙間が他の部分より広げられた隙間拡張部分41A、42Aが設けられている。
【0051】
なお、一対のしごきロール41、42は、包装フィルムFXとの接触により従動回転される構成とすることもできるし、或いは包装フィルムFXの搬送速度に合わせて一対のしごきロール41、42の少なくとも一方を回転駆動するような構成とすることができる。
【0052】
このような構成を備えた本実施の形態に係るロールタイプ自動包装機1の混合充填装置によれば、袋状の包装フィルムFXの内部に、第二の充填ノズル20及び第三の充填ノズル30を介して第二及び第三の液状原料を投入すると、第二及び第三の液状原料は対面配置されている一対のしごきロール41、42間の隙間を通過しようとするが、隙間拡張部分41A、42Aの部分は他の部分より流路抵抗が小さいため、第二の充填ノズル20及び第三の充填ノズル30から投入された第二及び第三の液状原料には、隙間拡張部分41A、42Aへ両側から流れ込むような流れが生成されることになる。
【0053】
一方、第一の充填ノズル10から投入される第一の原料は、第二及び第三の液状原料のこの隙間拡張部分41A、42Aへの流れ込みに影響され、第二及び第三の液状原料の流れに包み込まれるように隙間拡張部分41A、42A(誘導経路)へ誘導される。
【0054】
これにより、本実施の形態では、袋状の包装フィルムFXの内部に充填された第二及び第三の液状原料中延いては内容物充填部全体への第一の原料の拡散を防止することができる。
【0055】
このため、本実施の形態では、第一の原料の拡散が防止されるため、内容物の液面近くに第一の原料が多く存在することを抑制できるため、横シール部への噛み込みやシール不良などの発生を回避することができる。また、第一の原料の拡散が防止され横シール部への噛み込みやシール不良などの発生が回避できるので、横シールとして、液中シールの採用も可能である。
【0056】
その後、連接された状態の包装袋は、整列ガイド装置8により整列されつつ横カッター装置9へ送られ、横カッター装置9により横シール中央部分に対してミシン目加工若しくは切断加工を行い個別の包装袋形態とされるようになっている。
【0057】
このように、本実施の形態によれば、一対のしごきロール41、42により形成される誘導経路(隙間拡張部分41A、42A)と、第二の充填ノズル20及び第三の充填ノズル30の2方向から充填される第二及び第三の液状原料の流れの作用により、第一の充填ノズル10から投入される第一の原料が、筒状包装袋の幅方向中央付近でこの液状原料の流れに包み込まれるように前記誘導経路に誘導されるため、第二及び第三の液状原料への第一の原料の拡散を抑制することができる。
【0058】
よって、本実施の形態によれば、内容物(第一の原料、第二及び第三の液状原料)を充填した後、横ヒートシールロールにより包装袋の上部開口(充填用開口)部分を封止する際に、包装フィルムが第一の原料を挟み込んで一緒にシールされ、シール部にピンホール(小穴)やシール不良或いは外観不良などが発生してしまうといったおそれを抑制することができ、安定して高品質な包装袋(製品)を生産することができる。
また、良好な液中シールも可能となるため、空気との接触を嫌う内容物について、その所期の特性(例えば、保冷剤の場合は保冷性能、食物の場合は風味など)を長期間維持することなどが可能となる。
【0059】
すなわち、本実施の形態によれば、簡単かつ低コストな構成でありながら、包装袋の内容物充填部に液状原料と混合原料などを混合して充填する場合でも、生産速度を高いレベルに維持しながら、混合原料の噛み込みやシール不良を招くことなく良好に包装袋の充填口をヒートシールにより封止することができ、以って品質不良等のない高い製品品質を達成することができるロールタイプ自動包装機の充填混合装置延いてはロールタイプ自動包装機を提供することができる。
【0060】
また、本実施の形態では、一対のしごきロール41、42間の隙間を変更(調整)することができるようにしたので、一対のしごきロール41、42間の隙間の流路抵抗を変更することができるため、以って隙間に流れ込む液状原料の流れを調整することができる。
従って、例えば、第一の原料、第二及び第三の液状原料の性状・種類や粘度などの特性に応じて、最適な第二及び第三の液状原料の流れを形成することができ、以って種々の要求に応じて所望の第一の原料の拡散度合いを実現することができる。
【0061】
更に、本実施の形態では、一対のしごきロール41、42間の隙間を包装フィルムFX(包装袋)の幅方向において変化(しごきロール41の回転軸を傾斜)させることも可能としたので、例えば、第二の充填ノズル20から充填される第二の液状原料と、第三の充填ノズル30から充填される第三の液状原料と、が種類や粘度などの特性が異なる場合であっても、最適な液状原料の流れを形成することができ、以って種々の要求に応じて所望の第一の原料(固形燃料など)の拡散度合いを実現することができる。
【0062】
なお、隙間拡張部分41A、42A(誘導経路)の形状は、図3に示したものに限定されるものではなく、例えば、第一の原料、第二及び第三の液状原料の性状・種類や粘度などの特性に応じて最適な第二及び第三の液状原料の流れを形成することができるように、図4(A)〜図4(C)に例示したような形状、言い換えれば、包装フィルム搬送方向から見て、隙間拡張部分41A、42A(誘導経路)の形状を、多角形形状としたり、円弧形状としたり、更には底部を波形状や凹凸形状などとすることができるものである。
【0063】
また、本実施の形態においては、一対のしごきロール41、42の双方に隙間拡張部分41A、42Aを設けた構成例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、何れか一方に隙間拡張部分(誘導経路)を形成した構成とすることもできる。
【0064】
以上で説明した実施の形態は、本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0065】
1 ロールタイプ自動包装機
2 テンショナー装置
3 フィルム折り返しロール
4 フィルム折畳装置
5 縦シール装置
6 第一横シール装置
7 第二横シール装置
8 整列ガイド装置
9 横カッター装置
10 第一の充填ノズル(混合充填装置の一部を構成している)
20 第二の充填ノズル(混合充填装置の一部を構成している)
30 第三の充填ノズル(混合充填装置の一部を構成している)
40 しごきロール装置(混合充填装置の一部を構成している)
41、42 しごきロール
41A、42A 隙間拡張部分(誘導経路)
100 制御装置
F 包装フィルム
FX 二つ折りされた包装フィルム
FH 原反ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続移送される包装フィルムに対して縦シールロール及び横シールロールによって縦・横シールを施して筒状包装袋を形成しつつ、混合充填装置を用いて筒状包装袋内に複数種類の原料を混合充填した後、充填用開口部分に横シールを施して封止し密閉された連続包装体を形成し、この連続包装体の横シール中央付近をカッター装置によって切り離して個別包装体を作り上げるロールタイプ自動包装機の混合充填装置であって、
筒状包装幅方向中央付近に配置され、筒状包装袋内に第一の原料を間欠充填する第一の充填ノズルと、
筒状包装幅方向両端部分に配置され、筒状包装袋内に第二及び第三の液状原料を充填する第二及び第三の充填ノズルと、
上記充填ノズル群の直下に配置され、筒状包装袋を挟み込むことによって原料の液面レベルを調整する一対のしごきロールと、
を含んで構成され、
前記一対のしごきロールの少なくとも一方には、筒状包装袋幅方向中央付近に複数種類の原料の誘導経路が設けられていることを特徴とするロールタイプ自動包装機の混合充填装置。
【請求項2】
前記しごきロールの誘導経路は、第一の充填ノズルから投入される第一の原料を、第二及び第三の充填ノズルから投入される第二及び第三の液状原料で包み込むように誘導して、しごきロール下側の筒状包装袋内に送り込むように動作することを特徴とする請求項1に記載のロールタイプ自動包装機の混合充填装置。
【請求項3】
前記しごきロールの誘導経路は、しごきロールの断面径より細い断面径であり、しごきロールの誘導経路全周に亘って予め定められた切り欠き状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロールタイプ自動包装機の混合充填装置。
【請求項4】
前記しごきロールの誘導経路は、しごきロールの誘導経路全周に亘って多角形状若しくは円弧状に切り欠き形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載のロールタイプ自動包装機の混合充填装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−232791(P2012−232791A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−104146(P2011−104146)
【出願日】平成23年5月9日(2011.5.9)
【出願人】(596092595)三光機械株式会社 (102)
【Fターム(参考)】