説明

ロールブラシおよび研磨装置

【課題】本発明は、基材に塗布された接着剤を介して取り付けられたブラシ毛、および基材に開口部が成形されたブラシ毛からなるロールブラシに関するものである。
【解決手段】本発明のロールブラシは、パイルからなるブラシ毛が植毛される基材と、前記基材を巻回している巻き芯とから少なくとも構成されている。前記ブラシ毛が植毛されているロールブラシは、平面部材の表面を研磨し、前記ブラシ毛が磨り減った場合に、前記巻き芯を巻回することにより、新しいブラシ毛表面が現れて、所望の研磨ができるような構造になっている。また、ロールブラシは、ブラシ毛となる基材に開口部が成形されている。前記開口部が成形された基材は、巻き芯に一端から他端に向けて巻回されている。前記ロールブラシは、開口部を有する基材部分が回転されながらワークの表面を研磨する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に塗布された接着剤を介して取り付けられたブラシ毛、および基材に開口部が成形されたブラシ毛からなるロールブラシに関するものである。また、本発明は、同じ基材を使用し、ブラシとしての柔軟性、腰の強さ、および/または研磨力等の品質を任意に変えることができるロールブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2008−012632号公報に記載されているブラシ毛素材は、単線からなる合成樹脂素材中にダイヤモンド砥粒あるいは砥粒の少なくとも1種類が混入されている。前記合成樹脂素材は、線材に成形する際に、前記砥粒を混入して1本のブラシ毛とする。前記ブラシ毛の少なくとも1種類は、複数本が束ねられてブラシとなる。前記ブラシは、ワークの研磨目的に合うように、前記ブラシ毛を複数種類合わせて混毛としていた。前記混毛からなるブラシは、ブラシ毛素材の太さ、量、およびそれぞれの品質が正確に管理できないと、所望の品質にならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−012632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、ワークに対して研削、研磨、バリ取り等を行うブラシは、たとえば、合成樹脂製ブラシ毛素材の中に砥粒等の粉末が混入されている。また、ブラシ毛素材は、一本一本の線径を揃えて均一な研磨を行うようにしている。また、前記研削、研磨、バリ取り等の処理を行うためのブラシ毛素材は、ワークに対してソフトな研磨を要求するものが出るようになって来た。このような要求に対応するためのブラシ毛素材は、ソフトなブラシ毛素材および硬いブラシ毛素材を混毛して、ワークの表面に合ったブラシを作製していた。
【0005】
ブラシ毛素材は、ワークを研磨する研磨面の硬さ、長さ方向の硬さ(腰の有無)等が研磨目的に合っているか否かによって、ブラシの性能が左右される。したがって、ブラシ毛素材を複数種類混毛したブラシは、前記ブラシ毛素材の材質、線径、混毛の割合等によって、研磨を行う面の硬さ(柔らかさ)および腰の強さを調整する必要があり、ブラシを作製する際に、全ての要求に対して、均質なブラシとすることが困難であった。
【0006】
以上のような課題を解決するために、本発明は、線径の異なるブラシ毛素材を組み合わせることなく、同じ基材を使用しても、所望の研磨および腰の強さを得ることができるブラシ毛で作製されたロールブラシを提供することを目的とする。本発明は、同じ太さまたは厚さ等のブラシ毛素材を使用することで、ユーザの要求に合った均質なブラシ毛またはロールブラシを提供することを目的とする。本発明は、同じ太さのブラシ毛素材に開口部を成形することにより、複数のブラシ毛素材で混毛とすることなく、太さおよび腰の硬さの異なる、均質なロールブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(第1発明)
第1発明のロールブラシは、ブラシ毛が植毛される基材と、
前記基材に塗布された接着剤と、前記接着剤を介して取り付けられているブラシ毛となるパイルと、前記基材の一端および他端に取り付けられた巻き芯とから少なくとも構成されており、前記一端を巻回することにより、ブラシ毛部分の位置を変えることができることを特徴とする。
【0008】
(第2発明)
第2発明のロールブラシにおいて、前記基材は、メッシュから構成されていることを特徴とする。
【0009】
(第3発明)
第3発明のロールブラシは、ブラシ毛となる基材と、前記基材に形成された開口部と、前記基材の一端から巻回し、他端までを巻回して全体を覆う巻き芯とから少なくとも構成されていることを特徴とする。
【0010】
(第4発明)
第4発明のロールブラシにおいて、前記ブラシ毛となる基材の開口部は、スリット、長方形、円形、菱形、波形、およびこれらの変形の内の少なくとも一つが含まれていることを特徴とする。
【0011】
(第5発明)
第5発明のロールブラシにおいて、前記ブラシ毛となる基材は、砥粒、香料、納豆菌の内の少なくとも一つが含まれていることを特徴とする。
【0012】
(第6発明)
第6発明のロールブラシにおいて、前記ブラシ毛となる基材は、紙、合成樹脂、天然部材、バフ、スポンジ、金属の内の少なくとも一つであることを特徴とする。
【0013】
(第7発明)
第7発明のロールブラシにおいて、前記ブラシ毛となる基材は、異なる形状の開口を有する複数個が巻き芯に巻回されていることを特徴とする。
【0014】
(第8発明)
第8発明の研磨装置は、巻き芯に巻回されている異なる形状の開口を複数個有する少なくとも一つの第1のロールブラシと、前記と異なる巻き芯に巻回されているとともに、ブラシ毛が接着剤により植毛されている基材からなる少なくとも一つの第2のロールブラシとによって前記平面部材の表面を研磨することを特徴とする。
【0015】
(第9発明)
第9発明の研磨装置において、前記第1のロールブラシおよび第2のロールブラシは、前記平面部材の進行方向に対して直角方向に移動できるように構成されていることを特徴とする。
【0016】
(第10発明)
第10発明の研磨装置において、前記第2のロールブラシは、前記平面部材の進行方向に対して直角方向に巻回できる巻き芯部材を備えていることを特徴とする。
【0017】
(第11発明)
第11発明の研磨装置において、前記第1のロールブラシおよび前記第2のロールブラシは、前記平面部材の表および裏に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、同じブラシ毛素材に成形された開口部の形状および/または大きさと、開口部の先端形状および/または大きさ等により、柔らかさと腰の柔軟性を同時に持たせることができる。また、前記開口部の周辺に生じるエッジは、ワークに対する研磨を鋭く、かつ、ブラシ毛にブラシとしての柔軟性および研磨力等の品質を変えることができる。
【0019】
本発明によれば、ブラシ毛素材に長方形、丸型、正方形、多角形等のいずれかからなる開口部を成形するとともに、前記ブラシ毛素材を棒状体、筒状体、板状体とすることで、ブラシ毛素材の太さ、単一の素材から柔軟性、および研磨性の異なるブラシ毛素材とすることができる。
【0020】
本発明によれば、ブラシ毛素材に成形する開口部の形状を適宜変えることにより、同じブラシ毛素材から、線径の太さ、異なる品質のブラシ毛、およびブラシを得ることができる。
【0021】
本発明によれば、一つのブラシ毛素材から、異なる品質のブラシ毛およびブラシを得ることができるため、異なる種類のブラシ毛素材から異なる均質のブラシ毛およびブラシを得る必要がなく、品質管理の面で優れている。
【0022】
本発明によれば、同じまたは異なる開口部が成形されているブラシ毛素材からチャンネルブラシまたは捻じりブラシを作製した場合、前記同じまたは異なる開口部のエッジにより、鋭い研磨または柔らかい研磨等、予め所望の研磨が行え、また、これらのブラシの腰の強さを調整することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(イ)は本発明の基材にブラシ毛を植毛した例であり、(ロ)から(ニ)は基材に開口部を成形した例を説明するための模式図である。(実施例1)
【図2】本発明の基材を芯棒により巻回した状態を説明するための模式図である。(実施例2)
【図3】(イ)から(ハ)は芯棒に図1(イ)または(ハ)を巻回したロールブラシの例を説明するための模式図である。(実施例3)
【図4】(イ)および(ロ)は本発明の異なるロールブラシにより平面部材を研磨・洗浄を行う例を説明するための模式図である。(実施例4)
【図5】(イ)および(ロ)は平らなブラシ、および異なるロールブラシによって長い平面部材を研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。(実施例5)
【図6】(イ)は平面部材の面を研磨・洗浄する際の実施態様であり、(ロ)は平面部材の両面を研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。(実施例6)
【図7】平面部材の両面を複数の異なる種類のブラシによって研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。(実施例7)
【図8】図1(イ)に示す基材にブラシ毛を植毛する例を説明するための模式図である。(実施例8)
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1発明)
第1発明のロールブラシは、パイルからなるブラシ毛が植毛される基材と、前記基材を巻回している巻き芯とから少なくとも構成されている。前記ブラシ毛が植毛されているロールブラシは、たとえば、平面部材の表面を研磨し、前記ブラシ毛が磨り減った場合に、前記巻き芯を巻回することにより、新しいブラシ毛表面が現れて、所望の研磨ができるような構造になっている。
【0025】
前記基材は、両端部において、巻回することができる柔軟性を有するとともに、表面に接着剤が塗布されている。そして、前記接着剤が塗布されている基材の表面にブラシ毛となるパイルが取り付けられる。前記パイルの取り付ける方法は、従来のパイル植毛法を使用することができる。前記基材の一端および他端に取り付けられた巻き芯は、前記平面部材の表面を研磨した後、前記表面の磨り減った部分を所定の幅だけずらすように前記一端を巻回して、ブラシ毛部分の位置を変える。本発明のロールブラシは、ブラシを交換するための時間が少なく、常に新しいブラシ毛部分を使用することができる。
【0026】
(第2発明)
第2発明のロールブラシは、前記基材が、編み状、織られた繊維状のもの、あるいは第1発明の基材より目の粗いメッシュ状のものから構成されている。前記構成の基材は、接着剤およびブラシ毛が前記基材の隙間に入り易いため、パイル等のブラシ毛が付きやすく、脱落し難い。
【0027】
(第3発明)
第3発明のロールブラシは、ブラシ毛となる基材に開口部が成形されている。前記開口部が成形された基材は、巻き芯に一端から他端に向けて巻回されている。前記ロールブラシは、開口部を有する基材部分が回転されながらワークの表面を研磨する。ワークは、前記基材の表面で研磨されるとともに、前記開口部の内側にできるエッジによっても研磨される。
【0028】
(第4発明)
第4発明において、ロールブラシのブラシ毛となる基材の開口部は、スリット、長方形、円形、菱形、波形、およびこれらの変形の内の少なくとも一つが含まれている。前記スリットおよび長方形の開口は、ブラシ毛素材の長さ方向に、所定の間隔を置いて設けることができる。前記円形および菱形の開口部は、前記線径および長さに対して適宜決めることにより、ワークに対して程よい研磨を行うことができる。
【0029】
前記波形は、そのエッジの位置が変化するので、スリットと異なる研磨を行うことができる。また、前記スリット、長方形、円形、菱形、波形、およびこれらの変形から構成される開口部は、連続および/または組み合わせて設けることができる。さらに、前記スリット、長方形、円形、菱形、波形の開口部は、形状を限定することなく、エッジ部分をワークの研磨目的に合わせて任意に設けることができる。
【0030】
さらに、前記開口部は、前記スリット、長方形、円形、菱形、波形に対して変形したものを選択することができる。前記波型は、他の形状のもの、たとえば、スリットと組み合わせることも可能である。また、前記スリット、長方形、円形、菱形、波形等は、それぞれを適宜組み合わせて使用することにより、多種類のブラシ毛を使用したものと同じようになる。
【0031】
(第5発明)
第5発明におけるブラシ毛となる基材は、砥粒、香料、納豆菌の内の少なくとも一つが含まれている。前記砥粒は、ワークの研磨目的に合った硬さおよび大きさのものを選択する。前記香料は、ワークを研磨する際に発生する熱によって生じる異臭を緩和し、長時間の作業を容易にする。前記納豆菌は、研磨とともに使用する洗浄液を常に清掃する作用があり、また、ワークの研磨熱により、発酵が促され、前記洗浄液を長く清浄に保つことができる。
【0032】
(第6発明)
第6発明におけるブラシ毛となる基材は、紙、合成樹脂、天然部材、バフ、スポンジ、金属の内の少なくとも一つから構成される。前記各部材に設けられた開口部は、その内側エッジにより、平面と比較してそれぞれ異なった研磨を行うことができる。
【0033】
(第7発明)
第7発明のロールブラシは、異なる形状の開口部からなるブラシ毛となる基材が複数個巻き芯に巻回されている。前記異なる形状の開口部は、前記開口部のエッジ部により、ワークの表面を優しく研磨することができる。また、異なる形状の開口部は、異なるエッジの組み合わせにより、所望の力で所望の研磨を行うことができる。
【0034】
(第8発明)
第8発明の研磨装置は、比較的大型平面部材の表面を研磨するものであり、少なくとも異なる種類のロールブラシによって全体をムラなく均一に研磨することができる。たとえば、複数個の第1のロールブラシは、前記平面部材の研磨面に接して、異なる形状の開口部を有する巻き芯に巻回されている。また、第2のロールブラシは、ブラシ毛が接着剤により植毛されている基材および前記基材の両端に設けられている巻き芯とから構成されている。前記異なる研磨面を有する複数のロールブラシは、広い表面に対して均等にムラなく研磨を行うことができる。
【0035】
(第9発明)
第9発明の研磨装置は、前記第1のロールブラシを前記平面部材の進行方向に対して直角方向に移動できるように構成されている。前記第1のロールブラシは、前記平面部材に対して、同じ箇所のみを研磨するのではなく、絶えず研磨する場所を変えることによって、全ての面を均等に研磨できるようにしている。
【0036】
(第10発明)
第10発明の研磨装置は、前記第2のロールブラシを前記平面部材の進行方向に対して直角方向に巻回できる巻き芯部材から構成されている。前記第2のロールブラシは、前記平面部材に対して、同じ箇所のみを研磨するのではなく、絶えず研磨する場所を変えることによって、全ての面を均等に研磨できるようにしている。
【0037】
(第11発明)
第11発明の研磨装置は、前記第1のロールブラシおよび前記第2のロールブラシが前記平面部材の表および裏を連続して研磨できるように設けられている。
【実施例1】
【0038】
図1(イ)は本発明の基材にブラシ毛を植毛した例であり、(ロ)から(ニ)は基材に開口部を成形した例を説明するための模式図である。図1(イ)に示す基材11は、後述する方法によりブラシ毛素材12が植毛されている。図1(ロ)に示す例は、基材112に開口部113、114が成形されている。前記基材112に成形されている開口部113、114は、長方形または長楕円形であるが、大きさ、長さ、幅等を任意に選択することができる。
【0039】
図1(ハ)に示す例は、基材115に丸形、方形、三角等の開口部118、117、116が成形されている。前記基材115に成形された開口部の形状、大きさ、配置等は、ワークの研磨目的等によって、任意に変形させることができる。図1(ニ)に示す例は、基材119に砥粒1191が入っているとともに、スリット1192および波線1193が成形されている。前記開口部の形状等は、任意に単独または組み合わせることができる。
【0040】
前記砥粒1191は、使用するワークによって、ダイヤモンド、セラミックス、アルミナ、シリコン、ジルコニア、ジルコニウム、ガラス、エメリー、酸化セリウム、窒化ホウ素(CBN)、GCからなる少なくとも1種類であり、所望の大きさにすることができる。また、基材112、115、119は、異なる材質および厚さからなり、異なる大きさの砥粒を必要に応じて入れ、異なる形状および大きさの開口部が成形されている。
【0041】
前記開口部113および114、116から118は、図1(ロ)および(ハ)に示すように比較的幅が広く、鋭い刃型(金型)により打ち抜かれている。図(ニ)に示すスリット1192、1193は、形状および位置を任意に変更することができるだけでなく、狭い形状になっている。前記基材は、断面が長方形であるとともに、任意の幅と長さを有する長方形からなり、紙、合成樹脂、天然部材、バフ、スポンジ、金属の内の少なくとも一つである。前記紙または布は、丸め、または複数枚を接着剤によって貼り合わせ、その後、前記砥粒が接着または埋め込まれる。前記基材112、115、119は、板材で示されているが、棒状および毛状として、開口部を成形することができる。
【0042】
図2は本発明の基材を芯棒により巻回した状態を説明するための模式図である。図2において、平面ブラシ21は、基材11にブラシ毛素材が植毛(後述する)され、一端および他端が芯棒22、23を中心にして巻回されている。ブラシ毛が植毛された基材11は、一端と他端に芯棒22、23を巻回することにより、常に新しいブラシ毛素材12が図示されていないワークに接するようになっている。図2に示すロールブラシの使用方法は、後述する。また、図1(ロ)から(ニ)に示す基材は、図2に示すように巻回して、使用することができる。
【0043】
図3(イ)から(ハ)は芯棒に図1(イ)または(ハ)を巻回したロールブラシの例を説明するための模式図である。図3(イ)において、軸32の周囲に設けられた芯棒33は、基材34が巻回されている。前記基材34は、幅方向のほぼ中心に多数のスリット35が連続して成形されている。
【0044】
図3(ロ)において、前記芯棒33は、丸い開口部37が多数連続して開口された基材36が巻回されている。図3(ハ)において、前記芯棒33は、図1(ロ)および(ハ)に示す異なる形状の開口部を備えた基材112、115が巻回されている。前記基材112、115に成形された開口部の形状は、図示されている形状以外に、いろいろな形状のものを単独または組み合わせることができる。前記基材112、115が巻回されたロールブラシは、開口部の形状、大きさ、数、種類等によって、ワーク自体の表面研磨および前記ワークの周囲におけるエッジ、前記ワークに設けられた開口部の内部エッジを研磨することができ、さらに、ブラシの材質および砥粒の組み合わせ等によって、所望の研磨態様を得ることができる。
【0045】
図4(イ)および(ロ)は本発明の異なるロールブラシにより平面部材を研磨・洗浄を行う例を説明するための模式図で、斜視図および断面図である。図4(イ)および(ロ)において、基台41に載置されたワーク(平面部材)42は、芯棒44′に巻回されたロールブラシ44、および図3(イ)から(ロ)に記載された芯棒43′に巻回された基材に開口部を有するロールブラシ43によって研磨または洗浄される。前記ロールブラシ43、44は、ブラシ毛素材の材質および開口部の大きさまたは形状等により、ワークに対する研磨・洗浄を変えることができる。
【0046】
図5(イ)および(ロ)は平らなブラシ、および異なるロールブラシによって長い平面部材を研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。図5(イ)において、平面部材、たとえば、ガラス部材51は、図2に示されているブラシ毛が植毛された両端に巻き芯が設けられた平面ブラシ52、たとえば、丸い開口部531および異なる形状の開口部532を有するロールブラシ53、スリット541を有するロールブラシ54が所定の間隔を置いて配置されている。前記平面ブラシ52は、ガラス部材51の進行に対して直角の動き、または、固定でガラス部材51の進行に従って研磨・洗浄ができる。ロールブラシ53、54は、ガラス部材51の上部で、回転しながら研磨・洗浄を行う。
【0047】
前記ロールブラシ53、54は、開口部の形状および/または複数の開口部の組み合わせを任意にすることができる。前記平面ブラシ52は、ブラシ面が消耗した場合、巻き芯を動かして所望の距離だけ移動することにより、常に磨耗されていない状態で研磨・洗浄が可能である。前記ロールブラシ53、54は、スリットおよび開口部の大きさ、開口部の形状および数によって、ガラス表面の研磨・洗浄を多様化することができる。
【0048】
図5(ロ)に示された実施例は、図5(イ)の変形である。図5(ロ)に示すロールブラシ52から57は、図5(イ)と比較して、長さ短くなっているが、同じ長さにすることもできる。短いロールブラシ52から57は、ガラス部材51の進行方向に対して直角の動きを連続的または間欠的に行わせる。図5(ロ)における平らなブラシは、図5(イ)のものと同じである。図5(イ)および(ロ)におけるロールブラシは、前記ガラス部材51の要求に答えるような素材および開口部を備えているものである。
【0049】
図6(イ)は平面部材の面を研磨・洗浄する際の実施態様であり、(ロ)は平面部材の両面を研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。図6(イ)において、平面ブラシ62は、下部に向かって(ガラス部材61の上面に向かって)ブラシ毛素材が植毛されている。前記平面ブラシ62は、両端部に巻回部63、64が設けられている。たとえば、古くなった平面ブラシ62は、巻回部62に巻回され、新しい平面ブラシの部分が巻回部63から繰り出される。
【0050】
図6(ロ)において、ガラス部材61は、上下両面において平面ブラシ62によって覆われている。前記平面ブラシ62の両端部は、巻回部63および64に巻回できるようになっている。前記巻回部63、64の反対側には、ローラ65が設けられており、前記平面ブラシ62を移動させることができる。また、本実施例の例は、模式図であるが、平面ブラシ62の下部および上部に基台66および錘67を設けておくことができる。前記平面ブラシ62は、図6(イ)と同様に、ブラシが消耗した際に移動させることにより、何時も同じ研磨品質を保持できるようになっている。
【0051】
図7は平面部材の両面を複数の異なる種類のブラシによって研磨・洗浄する例を説明するための模式図である。図7において、ガラス部材71の上下両面には、図5(イ)および/または(ロ)に示すブラシと同じ平面ブラシ72、73、ロールブラシ74から77が 所定の間隔を置いて配置されている。また、前記平面ブラシおよびロールブラシの位置は、互いに重ならないように設けているが、同じ位置で重なるようにすることもできる。
【0052】
本発明の平面ブラシおよびロールブラシは、砥粒、香料、納豆菌の内の少なくとも一つを含めることができる。前記砥粒は、ワークの研磨目的に合った硬さおよび粒径のものを選択できる。前記香料は、ワークを研磨する際に発生する熱によって生じる異臭を緩和し、長時間の作業を容易にする。前記納豆菌は、研磨とともに使用する洗浄液を常に清掃する作用があり、また、ワークの研磨熱により、発酵が促され、前記洗浄液を長く清浄に保つことができる。さらに、前記砥粒、香料、納豆菌は、紙、布、合成樹脂、ゴム素材、不織布、スポンジ、コルク等に入れることも可能である。さらに、前記砥粒、香料、納豆菌は、高い静電気を電極に印加した際に、舞い上がりながら互いに衝突することによりブラシ毛素材に食い込ませることができる。
【0053】
実施例1
対象物 液晶パネルの表面(50インチ液晶表示画面)
使用納豆菌 γ−ポリグルタミン酸
使用ブラシ毛 和紙を丸め、縒り、捻じりを加えたチャンネルブラシ
完成後放置期間 3カ月放置したが、雑菌の繁殖および小さな汚れ、染み等の発生がなかった。
【0054】
実施例2
対象物 液晶パネルの表面(50インチ液晶表示画面)
使用納豆菌 γ−ポリグルタミン酸
使用ブラシ毛 ブラシ毛が不織布からなるチャンネルブラシ
完成後放置期間 3カ月放置したが、雑菌の繁殖および小さな汚れ、染み等の発生がなかった。
【0055】
図8は図1(イ)に示す基材にブラシ毛を植毛する例を説明するための模式図である。図8において、基材84は、下方からパイル(ブラシ毛素材)が植毛されて、図1に示すものとなる。前記基材84は、第1ローラ81、第2ローラ82、および第3ローラ83の間を通過し、下方にある接着剤槽85により接着剤が塗布される。また、下方のパイル入れ86および上方の電極87は、図示のごとく配置されている。前記パイル入れ86と電極87の間に高い静電気が印加されると、前記パイル入れ86内のパイルが基材84に向かって飛び、前記接着剤により付着して平面ブラシとなる。
【0056】
前記基材84は、繊維質のもの、網状になっている部材等、前記パイルが接着材により接着し易い部材であれば、特に限定されない。その後、前記基材84は、切断機によって、ブラシ毛が同じ長さになるようにカッティングされ、本実施例に示す平面ブラシができる。
【0057】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではない。そして、本発明は、持許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。本発明のロールブラシは、基材にブラシ毛素材が接着されているため、素材の柔らかさ、素材自体の性質等を均等に発揮させることができる。また、本発明のロールブラシに巻回した基材は、表面の摩擦および開口部のエッジによるブラッシングができるため、品質の高いロールブラシを得ることができる。
【符号の説明】
【0058】
11、112、115、119・・・基材
12・・・ブラシ毛素材
113、114、116、117、118・・・開口部
1191・・・砥粒
1192・・・スリット
1193・・・波線
21・・・平面ブラシ
22、23・・・芯棒
32・・・軸
33・・・芯棒
34・・・基材
35、37・・・開口部
36・・・基材
38、39・・・複数の異なる開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラシ毛が植毛される基材と、
前記基材に塗布された接着剤と、
前記接着剤を介して取り付けられているブラシ毛となるパイルと、
前記基材の一端および他端に取り付けられた巻き芯と、
から少なくとも構成されており、
前記一端を巻回することにより、ブラシ毛部分の位置を変えることができることを特徴とするロールブラシ。
【請求項2】
前記基材は、メッシュから構成されていることを特徴とする請求項1に記載されたロールブラシ。
【請求項3】
ブラシ毛となる基材と、
前記基材に形成された開口部と、
前記基材の一端から巻回し、他端までを巻回して全体を覆う巻き芯と、
から少なくとも構成されていることを特徴とするロールブラシ。
【請求項4】
前記ブラシ毛となる基材の開口部は、スリット、長方形、円形、菱形、波形、およびこれらの変形の内の少なくとも一つが含まれていることを特徴とする請求項3に記載されたロールブラシ。
【請求項5】
前記ブラシ毛となる基材は、砥粒、香料、納豆菌の内の少なくとも一つが含まれていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載されたロールブラシ。
【請求項6】
前記ブラシ毛となる基材は、紙、合成樹脂、天然部材、バフ、スポンジ、金属の内の少なくとも一つであることを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか1項に記載されたロールブラシ。
【請求項7】
前記ブラシ毛となる基材は、異なる形状の開口を有する複数個が巻き芯に巻回されていることを特徴とする請求項3から請求項6のいずれか1項に記載されたロールブラシ。
【請求項8】
巻き芯に巻回されている異なる形状の開口を複数個有する少なくとも一つの第1のロールブラシと、
前記と異なる巻き芯に巻回されているとともに、ブラシ毛が接着剤により植毛されている基材からなる少なくとも一つの第2のロールブラシと、
によって前記平面部材の表面を研磨することを特徴とする研磨装置。
【請求項9】
前記第1のロールブラシおよび第2のロールブラシは、前記平面部材の進行方向に対して直角方向に移動できるように構成されていることを特徴とする請求項8に記載された研磨装置。
【請求項10】
前記第2のロールブラシは、前記平面部材の進行方向に対して直角方向に巻回できる巻き芯部材を備えていることを特徴とする請求項8または請求項9記載されている研磨装置。
【請求項11】
前記第1のロールブラシおよび前記第2のロールブラシは、前記平面部材の表および裏に設けられていることを特徴とする請求項9または請求項10に記載された研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−232364(P2012−232364A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100849(P2011−100849)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(398029234)
【出願人】(506324806)
【Fターム(参考)】