説明

ロールプロテクタ、ロール保持体およびロールの保管方法

【課題】ロールに巻き付けられたフィルム部材の皺や積層部材同士の剥離等の発生を防止できるロールプロテクタ、ロール保持体およびロールの保管方法を提供すること。
【解決手段】本発明のロールプロテクタ1は、フィルム部材42が芯材41に巻き付けられているロール40の一端面側に当接して装着される第一基板10と、ロール40の他端面側に当接して装着される第二基板20と、第一基板10および第二基板20を連結するとともに、第一基板10および第二基板20がロール40に装着されている際に第一基板10および第二基板20からロール40の幅方向内側へ向かって加わる力に抗する支持部30と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロールプロテクタ、ロール保持体およびロールの保管方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルムを芯材に巻き付けた円筒状のロールを搬送する際に、当該ロールの幅方向両端に装着させるロールプロテクタが用いられている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
特許文献1および特許文献2に記載されたロール部材用プロテクタ(ロールプロテクタ)は、略正方形の平板部と、この平板部の中央部に設けられたロール部材の保持部と、平板部の周縁部に連接された矩形枠状の側壁部とを備えている。
【0003】
図12には、従来のロールプロテクタ100でロール200を保持した状態を示す斜視図が示され、図13には、その状態の断面図が示されている。
ロール200は、中空の円筒状の芯材201にフィルム部材202が巻き付けられている。ロールプロテクタ100は、図12および図13に示すように、平板状の基板101を有し、その表面部102から厚み方向に窪む凹部104が形成されており、その凹部の底面には、装着時にロール200の幅方向端部が当接する底部105が形成されている。ロール200の幅方向両端側は、図13に示すように、芯材201とフィルム部材202の端部が同一面に揃えられているので、装着時には、底部105がこれらに当接した状態となる。このように当接させることで、ロール幅方向でフィルムがずれること(以下、巻ずれという場合がある。)を防止できる。底部105の中央部にはロールの保持部107が形成されており、この保持部107がロール200の芯材201の中空部分に挿入されて保持される。
ロールプロテクタ100を装着させた後、図12および図13に示すように、結束バンド300でロールプロテクタ100の外側から抑えるように固定した状態でロール200が搬送される。ロール200からロールプロテクタ100が外れないようにするためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−10216号公報
【特許文献2】特許第3978593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12および図13に示すように結束バンド300でロールプロテクタ100を固定すると、ロール200の両端に装着された各基板101からロール幅方向内側へ向かう力がロール200に対して加わる。このとき、基板101の底部105は、芯材201とフィルム部材202の端部に当接しているので、フィルム部材202にも同じ方向に力が加わろうとする。
フィルム部材202は、芯材201に比べて薄く柔らかい材質で形成されているので、フィルム部材202がその幅方向両側から押されて撓み、皺が発生し易いという問題がある。特に、ロール200の表層側に巻き付けられている部分で皺が発生し易い。
また、フィルム部材202が複数のフィルムや粘着剤層を積層させたような積層フィルムである場合には、フィルム部材202の撓みによって積層部材同士が剥離する場合があるという問題もある。さらに、フィルム部材202の性能や用途によっては、ロール200がロールプロテクタ100で保持された状態のまま低温で保管されることもある。このような場合、結束バンド300が低温になって収縮し、ロール200両端から内側へ向かう力がさらに大きくなるので、上記のようなフィルム部材202の皺や剥離が発生し易くなるという問題もある。結束バンド300は、樹脂製であることが多く、例えばポリプロピレン製であれば、低温での収縮が大きくなるので、フィルムの皺や積層部材同士の剥離等の問題が発生し易くなる。
【0006】
本発明の目的は、ロールに巻き付けられたフィルム部材の皺の発生や、フィルム部材が積層フィルムの場合には積層部材同士の剥離の発生を防止できるロールプロテクタ、ロール保持体およびロールの保管方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のロールプロテクタは、
フィルム部材が芯材に巻き付けられているロールの一端面側に当接して装着される第一基板と、
前記ロールの他端面側に当接して装着される第二基板と、
前記第一基板および前記第二基板を連結するとともに、前記第一基板および前記第二基板が前記ロールに装着されている際に前記第一基板および前記第二基板から前記ロールの幅方向内側へ向かって加わる力に抗する支持部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のロールプロテクタにおいて、
前記支持部は、前記第一基板および前記第二基板の少なくともいずれかと一体化されていることが好ましい。
【0009】
一方で、本発明のロールプロテクタにおいて、
前記支持部は、前記第一基板および前記第二基板とは別体化されている場合でも、上述のように一体化されている場合とは異なる効果を奏するので、好ましい。
【0010】
本発明のロールプロテクタにおいて、
前記支持部は、前記第一基板および前記第二基板の間に配置される支柱であることが好ましい。
【0011】
本発明のロール保持体は、
フィルム部材が芯材に巻き付けられているロールと、
上記いずれかに記載の本発明のロールプロテクタと、を備え、
前記第一基板が前記ロールの一端面側に当接して装着され、
前記第二基板が前記ロールの他端面側に当接して装着され、
前記芯材に巻き付けられた状態で前記フィルム部材同士の間に隙間が形成されている
ことを特徴とする。
【0012】
本発明のロール保持体において、
前記フィルム部材は、半導体加工用フィルム部材であることが好ましい。
【0013】
本発明のロールの保管方法は、上記本発明のロール保持体としてロールを保管することを特徴とする。
【0014】
本発明のロールの保管方法において、
前記ロールが−40℃以上10℃以下の温度で保管されることが好ましい。
【0015】
本発明のロールプロテクタによれば、支持部を備え、この支持部は、第一基板および第二基板を連結するとともに、第一基板および第二基板がロールに装着されている際に、両基板からロール幅方向内側へ向かう圧縮力(以下、このような力を基板圧縮力という。)に抗し、当該基板圧縮力が当該ロールに対して加わることを防ぐ。
例えば、ロールの一端面側に第一基板を当接させて装着し、他端面側に第二基板を当接させて装着し、さらに結束バンド等で固定すると、両基板は、互いに近接する方向に押される。ロールに対して第一基板および第二基板が当接していると、上述の基板圧縮力がフィルムに加わろうとするが、本発明の支持部は、当該基板圧縮力に抗することができる。ゆえに、本発明によれば、保持されるロールのフィルム部材の皺の発生を防止したり、フィルム部材が積層フィルムの場合に積層部材同士の剥離を防止したりすることができる。
【0016】
本発明のロール保持体では、芯材に巻き付けられた状態でフィルム部材同士の間に隙間が形成されているロールを本発明のロールプロテクタで保持する。
通常のロールプロテクタに保持されるロールにおいて、上述のようにフィルム部材同士の間に隙間が形成されている場合、上述の基板圧縮力が加わると、フィルム部材の皺の発生や積層部材同士の剥離が発生しやすい。
しかしながら、本発明のロール保持体では、本発明のロールプロテクタが装着されており、フィルム部材の皺の発生や積層部材同士の剥離を防止できる。
【0017】
本発明のロールの保管方法によれば、上述のような本発明のロール保持体を保管するので、保管時においてフィルム部材の皺の発生や積層部材同士の剥離を防止できる。
【0018】
本発明のロールプロテクタにおいて、支持部が第一基板および第二基板の少なくともいずれかに一体化されていると、第一基板と第二基板とをロールを挟み込むように装着することで支柱が基板間に配置されるようになり、ロール保持作業が容易になる。
本発明のロールプロテクタにおいて、支持部が第一基板および第二基板とは別体化されていると、支柱の長さ寸法を変えることで、様々な幅方向寸法のロールに対応して保持できる。
【0019】
本発明のロールプロテクタにおいて、第一基板および第二基板が、ロールに装着されている際に、当該基板間に支柱が配置されるので、ロール両端から内側へ向かって加わる力に対する抗力が発生し易い。
【0020】
本発明のロール保持体において、保持対象が、半導体加工用フィルム部材が芯材に巻き付けられたロールであっても、フィルム部材の皺の発生や積層部材同士の剥離を防止できるので、半導体製造工程の歩留まり低下を防止できる。
【0021】
本発明のロールの保管方法においては、ロールが−40℃以上10℃以下の温度で保管されるので、例えば、ロールの第一基板および第二基板を装着させた状態でさらに結束バンド等で固定されていると、低温状態になった結束バンドが収縮する。そのため、常温時と比べてより大きな上述の基板圧縮力がロールに対して加わろうとする。しかしながら、本発明においては、上述の本発明のロールプロテクタが、支持部を有しているので、低温時においても上述の基板圧縮力に抗することができる。ゆえに、低温保管時においてもフィルム部材の皺の発生や積層部材同士の剥離を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第一実施形態に係るロールプロテクタでロールを保持した状態を示す斜視図。
【図2】図1のII−II線における矢視方向断面図。
【図3】(A)前記第一実施形態に係るロールプロテクタの第一基板の平面図、(B)図3(A)のIII−III線における矢視方向断面図。
【図4】(A)前記第一実施形態に係るロールプロテクタの第二基板の平面図、(B)図4(A)のIV−IV線における矢視方向断面図。
【図5】本発明の第二実施形態に係るロールプロテクタでロールを保持した状態を示す断面図。
【図6】本発明の第三実施形態に係るロールプロテクタでロールを保持した状態を示す分解斜視図。
【図7】図6のVII−VII線における本発明の第三実施形態に係るロールプロテクタでロールを保持した状態の矢視方向断面図。
【図8】本発明の第四実施形態に係るロールプロテクタでロールを保持した状態を示す断面図。
【図9】本発明のロールプロテクタで保持されるロールを示す斜視図
【図10】フィルム部材の図9のX−X線における矢視方向断面図。
【図11】前記第二実施形態に係るロールプロテクタの支持部の別の例を示す斜視図。
【図12】従来のロールプロテクタでロールを保持した状態を示す斜視図。
【図13】図12のXIII−XIII線における矢視方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
<第一実施形態>
図1には、本発明の第一実施形態に係るロールプロテクタ1でロール40を保持したロール保持体が示されている。図2には、ロールプロテクタ1の断面図が示されている。ロール40は、図2に示されているように、円柱状の芯材41の周りにフィルム部材42が巻き付けられている。ロール40の幅方向両端(図2では、ロール40の上端および下端)については、図2に示すように、芯材41とフィルム部材42の端部が同一面に揃えられている。芯材41は、ロールプロテクタ1で保持するために、芯材41の幅方向全体にわたって中空の円筒状に形成されている。ただし、芯材は、必ずしも幅方向全体にわたって中空である必要は無い。少なくとも幅方向両端側が中空の円筒状に形成されていれば、幅方向全体にわたって中空でなくともロールプロテクタ1でロール40を保持することができる。フィルム部材42としては、単層フィルムや複数のフィルムが積層された積層フィルム、基材フィルムに粘着層が積層された粘着シートなどが挙げられ、可撓性を有している。積層フィルムの例として、後述する第五実施形態の半導体加工用フィルム部材43(図9及び図10参照)等が挙げられる。
【0024】
(ロールプロテクタ)
ロールプロテクタ1は、図1および図2に示されているように、ロール40の一端側(図2では、ロール40の下側)に装着されている板状の第一基板10と、ロール40の他端側(図2では、ロール40の上側)に装着されている板状の第二基板20と、第一基板10および第二基板20を連結する2つの支持部30とを備える。
また、図1および図2に示されているように、ロール40に装着されたロールプロテクタ1は、ロールプロテクタ1の外側から抑えるように巻き付けられた結束バンド50で締め付けて固定されている。
【0025】
(第一基板)
図3(A)には、第一基板10の平面図が示され、図3(B)には、第一基板10の断面図が示されている。
第一基板10は、ロール40の一端面側に当接して装着されて、ロール40を保持するとともに、ロール40に巻き付けられたフィルム部材42の巻ずれを防止する。
第一基板10は、図3(A)に示されているように、第一基板10の厚み方向で見た平面視(以下、基板平面視という。)で略長方形状に形成された板状の部材である。
第一基板10は、図1〜図3に示されているように、ロール40が装着される側の表面部12と、表面部12から略垂直方向に立設する2本の支柱11と、表面部12から第一基板10の厚み方向に窪んで形成されている基板凹部14と、基板凹部14の底面に形成されている底部15と、底部15に形成されている複数の開口部16と、底部15の略中央に表面部12方向に突出して形成されている保持部17と、を備える。
【0026】
支柱11は、後述する第二基板20の支柱21(図1、図2および図4参照)と係合して、支持部30を構成する。
支柱11は、円柱状に形成されている。支柱11の先端には、支柱11の直径よりも小さな直径を有する円柱状の支柱凸部11aが形成されている。支柱凸部11aは、支柱11の支柱上面11bから突出しており、支柱凸部11aの上面は、支柱凸部上面11cである。第一基板10が備える2本の支柱11は、同じ形状であり、いずれも第一基板10と一体に形成されている。支柱11の詳細については、支持部30の説明と共に後に説明する。
【0027】
基板凹部14は、図3(A)および図3(B)に示されているように、円柱状に窪んでおり、ロール40の一端側を一部収容する。また、基板凹部14の両側には、支柱11が1つずつ配置されている。
底部15は、図3(A)および図3(B)に示されているように、円柱状に窪む基板凹部14の底面に円形薄板状に形成されている。底部15には、図1および図2に示されているように、ロール40の一端面側が当接している。上記のとおり、芯材41およびフィルム部材42の端部が同一面に揃えられているので、芯材41およびフィルム部材42の端部は、底部15に当接している。
開口部16は、図3(A)に示されているように、扇形に形成され、第一基板10の表面部12とは反対側の裏面側まで貫通する。このような開口部16を複数設けることで、第一基板10の軽量化を図ることができる。開口部16が形成されているため、底部15は、その中心から外側に放射状に延びる梁部15aが形成されていることになる。図2に示されているように、この梁部15aに対して、芯材41の一部およびフィルム部材42が当接している。
保持部17は、芯材41の一端面側に着脱可能に係合して、ロール40の一端側を保持する。保持部17は図3(A)および図3(B)に示されているように、中空の略円筒状に形成されている。保持部17の側面は、図3に示されているように、テーパー状に形成されている。
【0028】
(第二基板)
図4(A)には、第二基板20の平面図が示され、図4(B)には、第二基板20の断面図が示されている。
第二基板20は、ロール40の他端面側に当接して装着されて、ロール40を保持するとともに、ロール40に巻き付けられたフィルム部材42の巻ずれを防止する。
第二基板20も、図4(A)に示されているように、第一基板10と同様、第二基板20の厚み方向で見た平面視(以下、基板平面視という。)で略長方形状に形成された板状の部材である。
第二基板20は、図2および図4に示されているように、ロール40が装着される側の表面部22と、表面部22から略垂直方向に立設する2本の支柱21と、表面部22から第二基板20の厚み方向に窪んで形成されている基板凹部24と、基板凹部14の底面に形成されている略円形薄板状の底部25と、底部25に形成されている複数の開口部26と、底部25の略中央から放射状に延びる梁部25aと、底部25の略中央に表面部22方向に突出して形成されている保持部27と、を備える。
第二基板20も基本的に第一基板10と同様の構造を有するが、支柱21の形状が、第一基板10の支柱11の形状と異なる。支柱21は、円柱状に形成されている。支柱21の先端には、支柱凹部21aが形成されている。支柱凹部21aは、支柱21の上面にあたる支柱上面21bに形成されている。具体的には、支柱凹部21aは、支柱21の直径よりも小さな直径を有する円柱状に窪んで形成されている。支柱凹部21aの底面は、支柱凹部底面21cである。第二基板20が備える2本の支柱21は、同じ形状であり、いずれも第二基板20と一体に形成されている。
支柱21以外の、表面部22、基板凹部24、底部25、梁部25a、開口部26および保持部27は、対応する名称を有する第一基板10の各部位と同様であるため、説明を省略する。
【0029】
第一基板10および第二基板20は、成形性、軽量性、価格等の観点から、合成樹脂からなることが好ましく、より好ましくは射出成形により作製可能な熱可塑性樹脂からなることが好ましい。合成樹脂としては、特に制限されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂(アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン(Butadiene)、スチレン(Styrene)共重合樹脂)、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0030】
(支持部)
支持部30は、ロール40に対して第一基板10および第二基板20が装着されている際に、第一基板10の支柱11と第二基板20の支柱21とが係合されることで構成される。支持部30は、第一基板10と第二基板20との間に立設する支柱として、第一基板10および第二基板20がロール40に装着されている際に、両基板10,20からロール幅方向内側へ向かってロール40に対して加わる力(上述の基板圧縮力)に抗する。
ここで、支持部30を構成する支柱11および支柱21について説明する。ロール40に対して第一基板10および第二基板20が装着されている際に、支柱11の支柱凸部11aと支柱21の支柱凹部21aは、互いに着脱可能に係合するように、その寸法が設定されている。このように係合するとき、支柱11の先端部と支柱21の先端部とが当接している。具体的には、支柱上面11bと支柱上面21bとが当接し、支柱凸部上面11cと支柱凹部底面21cとが当接している。
また、支柱11の高さ寸法(表面部12から支柱凸部11aの根元までの寸法)および支柱21の高さ寸法(表面部22から支柱21の先端までの寸法)は、ロール40に対して第一基板10および第二基板20が装着された際に、ロール40の両端が、第一基板10の底部15および第二基板20の底部25にそれぞれ当接するような寸法に設定されている。
支持部30は、上述の基板圧縮力に抗することのできる材質で形成されている。例えば、成形性、軽量性、価格等の観点から、第一基板10および第二基板20で説明した合成樹脂の中から選ばれる。その他、金属製、木製等のものであっても良い。
【0031】
(ロールの保持方法)
ロールプロテクタ1を用いてロール40を保持する方法に関しては、次のような手順が実施される。
まず、第一基板10の保持部17をロール40の芯材41の一端側の開口に挿入し、ロール40の一端面側を第一基板10の底部15に当接させる。
続いて、第二基板20の保持部27を芯材41の他端側の開口に挿入し、ロール40の他端面側を第二基板20の底部25に当接させるとともに、第一基板10の2つの支柱11の支柱凸部11aと、第二基板20の2つの支柱21の支柱凹部21aとを係合させる。
さらに、図1や図2に示されているように、ロール40に装着されたロールプロテクタ1の外側から結束バンド50を巻き付けて固定する。結束バンドとしては、例えば、ポリプロピレン製のものが挙げられる。
なお、第一基板10および第二基板20をどちらか一方を先に装着しても良いし、同時に装着しても良い。
【0032】
(ロール保管方法)
上記の通り、ロール40をロールプロテクタ1で保持した後は、図1や図2に示されているように、縦置きの状態で保管しても良いし、横倒しにして横置きの状態で保管しても良い。ロール40の保管としては、例えば、保管室に置いておく場合や、ロール40を搬送する車両等の搬送コンテナ内に置いておく場合が挙げられる。
さらに、ロール40をロールプロテクタ1で保持したまま、防湿袋などの保護袋に入れて保管しても良い。
ロールプロテクタ1で保持されたロール40は、低温に維持された搬送コンテナや保管室内にて保管しても良い。特に、フィルム部材42が、後述するような半導体加工用フィルム部材の場合には、剥離フィルム上に熱硬化成分を含む粘着剤層が積層されていることが多い。そのため、保管時に粘着剤層が変質しないよう、低温で保管し、粘着剤層の反応性を抑え、保存期間を延ばすことがなされる場合がある。低温での保管条件としては、例えば、−40℃以上10℃以下である。なお、低温になり過ぎるとフィルム部材42の構成材料の線膨張係数の差により、皺や剥離が発生するおそれがある。
【0033】
〔第一実施形態の作用効果〕
第一実施形態に係るロールプロテクタ1によれば、次のような効果を奏する。
ロールプロテクタ1は、支持部30を備え、この支持部30が、第一基板10および第二基板20を連結するとともに、第一基板10および第二基板20がロール40に装着されている際に、上述の基板圧縮力に抗する。ロール40の両端は、それぞれ第一基板10の底部15および第二基板20の底部25に当接した状態で保持されているが、支持部30は、当該基板圧縮力がフィルム部材42に加わるのを防ぐことができる。したがって、フィルム部材42の皺の発生を防止したり、積層フィルムの場合に積層部材同士の剥離を防止したりすることができる。
特に、ロールプロテクタが結束バンド50で固定されている場合には、当該基板圧縮力が加わり易いが、第一実施形態に係るロールプロテクタ1によれば、支持部30によって上述のフィルムの皺や剥離を防止できる。さらに、低温で保管された場合、結束バンド50が収縮して、当該基板圧縮力が大きくなるが、ロールプロテクタ1によれば、支持部30が当該基板圧縮力に対して抗するので、上述のフィルムの皺や剥離を防止できる。
【0034】
また、ロールプロテクタ1によれば、第一基板10および第二基板20が、ロール40に装着されている際に、当該基板10,20間に支持部30としての支柱が配置される。そのため、上述の基板圧縮力に対する抗力を発生させ易い。
【0035】
また、ロールプロテクタ1の装着時には、支柱上面11bと支柱上面21bとが当接し、支柱凸部上面11cと支柱凹部底面21cとが当接しているので、基板圧縮力に対して、これらの当接面で抗力が生じる。その結果、ロールプロテクタ1によれば、支持部30の当該基板圧縮力に対する抗力をより確実に発生させることができる。
【0036】
さらに、ロールプロテクタ1によれば、第一基板10に支柱11が一体化され、第二基板20に支柱21が一体化されている。そのため、支柱凸部11aと、支柱凹部21aとを係合させるように第一基板10および第二基板20をロール40に対して装着すれば、当該基板10,20間に支持部30としての支柱が配置されるので、ロール保持作業が容易になる。
【0037】
また、ロールプロテクタ1では、第一基板10および第二基板20にそれぞれ開口部16および開口部26を形成して軽量化を図っている。そのため、第一基板10の底部15には、梁部15aが形成され、第二基板20の底部25には、梁部25aが形成されており、この梁部15a,25aに対して、芯材41の一部およびフィルム部材42の端部が当接している。フィルム部材42の端部に対して梁部15a,25aが所定間隔を置いて当接していると、フィルム部材42の当該当接部分に上述の基板圧縮力が集中的に加わる。そのため、従来の支柱が無いロールプロテクタ100を装着した状態では、フィルム部材42がより撓み易く、皺が発生し易くなる。しかしながら、ロールプロテクタ1は、支持部30としての支柱が形成されているので、当該基板圧縮力の集中的な付与が防止される。その結果、軽量化を図るために第一基板10および第二基板20に開口部16および開口部26を形成しても、皺の発生等を防止できる。
【0038】
<第二実施形態>
次に、本発明の第二実施形態に係るロールプロテクタ2について図面を用いて説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分については、同一符号を付してその説明を省略又は簡略する。
図5には、ロール40を保持した状態のロールプロテクタ2の断面図が示されている。なお、断面の位置は、第一実施形態に係るロールプロテクタ1の図2と同様である。また、ロールプロテクタ2の斜視図は、省略するが、ロールプロテクタ1の斜視図である図1の支持部30とは形状が異なる以外同様となる。
ロールプロテクタ2は、支持部の構成が、第一実施形態のロールプロテクタ1の支持部30と異なる。ロールプロテクタ1の支持部30においては、第一基板10および第二基板20にそれぞれ一体化された支柱11および支柱21が係合して構成されるのに対し、ロールプロテクタ2の支持部31は、第一基板10Aおよび第二基板20Aとは別体に形成されている点で相違する。
【0039】
(ロールプロテクタ)
ロールプロテクタ2は、図5に示されているように、ロール40の一端側(図5では、ロール40の下側)に装着されている板状の第一基板10Aと、ロール40の他端側(図5では、ロール40の上側)に装着されている板状の第二基板20Aと、第一基板10Aおよび第二基板20Aを連結する2つの支持部31とを備える。
また、図5に示されているように、ロール40に装着されたロールプロテクタ2は、第一実施形態と同様に結束バンド50で固定されている。
【0040】
(第一基板および第二基板)
第二実施形態における第一基板10Aおよび第二基板20Aは、それぞれ第一実施形態の第一基板10および第二基板20の支柱11および支柱21を備えず、代わりに係合凹部18,係合凹部28を備える点以外は、第一基板10および第二基板20と同様の構成を備えている。
第一基板10Aの係合凹部18は、図5に示されているように、保持部17を挟んで両側の表面部12に一つずつ形成されている。係合凹部18は、表面部12から円柱状に窪んで形成されている。係合凹部18の底面は、係合凹部底面18aである。
第二基板20Aの係合凹部28も、図5に示されているように、保持部27を挟んで両側の表面部22に一つずつ形成されている。係合凹部28は、表面部22から円柱状に窪んで形成されている。係合凹部28の底面は、係合凹部底面28aである。
【0041】
(支持部)
支持部31は、図5に示されているように円柱状に形成されている。支持部31は、支持部30と同様に、第一基板10Aと第二基板20Aとの間に立設する支柱として、上述の基板圧縮力に抗する。
支持部31は、長手方向両端の端面31bから外側に向かって円柱状に突出する支柱凸部31aを有する。支柱凸部31aの端部には、平坦状の支柱凸部表面31cが形成されている。
ここで、第一基板10Aおよび第二基板20Aと、支持部31との連結状態について説明する。第一基板10Aの係合凹部18および第二基板20Aの係合凹部28と、支持部31の支柱凸部31aとは、互いに着脱可能に係合するようにその寸法が設定されている。このように係合するとき、支持部31の2つの支柱凸部31aは、それぞれ第一基板10Aおよび第二基板20Aの表面と当接している。具体的には、第一基板10A側では、支持部31の一方側の端面31bと表面部12とが当接し、支柱凸部表面31cと係合凹部底面18aとが当接している。また、第二基板20A側では、支持部31の他方側の端面31bと表面部22とが当接し、支柱凸部表面31cと係合凹部底面28aとが当接している。
また、支持部31の長さ寸法は、第一基板10Aおよび第二基板20Aの間に支持部31が設置されるとともにロール40に対して装着されている際に、ロール40の両端が、底部15および底部25にそれぞれ当接するような寸法に設定されている。なお、ここでの支持部31の長さ寸法は、一方の端面31bから他方の端面31bまでの寸法をいう。
【0042】
(ロールの保持方法)
ロールプロテクタ2を用いてロール40を保持する方法に関しては、次のような手順が実施される。
まず、第一基板10Aの保持部17をロール40の芯材41の一端側の開口に挿入し、ロール40の一端面側を第一基板10Aの底部15に当接させる。
続いて、第一基板10Aの2つの係合凹部18に対して、2つの支持部31の一端側の支柱凸部31aを係合させる。
その後、第二基板20Aの保持部27を芯材41の他端側の開口に挿入し、ロール40の他端面側を第二基板20Aの底部25に当接させるとともに、すでに第一基板10Aに連結している支持部31の他端側の支柱凸部31aと第二基板20Aの係合凹部28とを係合させる。
さらに、第一実施形態と同様にして、ロール40に装着されたロールプロテクタ2の外側から結束バンド50を巻き付けて固定する。
なお、第一基板10Aおよび第二基板20Aをどちらか一方を先に装着しても良いし、同時に装着しても良い。
【0043】
(ロール保管方法)
第二実施形態のロールプロテクタ2で保持したロール40も、第一実施形態と同様にして、保管される。
【0044】
〔第二実施形態の作用効果〕
第二実施形態に係るロールプロテクタ2によれば、次のような効果を奏する。
ロールプロテクタ2は、支持部31を備え、この支持部31は、第一実施形態の支持部30と同様に、第一基板10Aおよび第二基板20Aを連結するとともに、第一基板10Aおよび第二基板20Aがロール40に装着されている際に、上述の基板圧縮力に抗する。そのため、ロールプロテクタ2によれば、第一実施形態の支持部30と同様に、フィルム部材42の皺の発生を防止したり、積層フィルムの場合に積層部材同士の剥離を防止したりすることができる。結束バンド50で固定されている場合、および低温保管されている場合についても同様に効果を奏する。
【0045】
また、ロールプロテクタ2によれば、第一基板10Aおよび第二基板20Aが、ロール40に装着されている際に、当該基板10A,20A間に支持部31としての支柱が配置される。そのため、上述の基板圧縮力に対する抗力を発生させ易い。
【0046】
また、ロールプロテクタ2の装着時には、第一基板10A側では、支持部31の一方側の端面31bと表面部12とが当接し、支柱凸部表面31cと係合凹部底面18aとが当接している。一方、第二基板20A側では、支持部31の他方側の端面31bと表面部22とが当接し、支柱凸部表面31cと係合凹部底面28aとが当接している。そのため、基板圧縮力に対して、これらの当接面で抗力が生じる。ゆえに、ロールプロテクタ2によれば、支持部31の当該基板圧縮力に対する抗力をより確実に発生させることができる。
【0047】
さらにロールプロテクタ2によれば、支持部31が第一基板10Aおよび第二基板20Aとは別体化されている。そのため、ロール40とは異なる幅方向寸法を有する別のロールを保持したい場合には、第一基板10Aおよび第二基板20Aはそのまま共通して利用でき、当該別のロールの幅方向寸法に対応した長さ寸法の別の支持部を用意すればよい。このように、支持部の長さ寸法を変えることで、様々な幅方向寸法のロールに対して対応できるので、ロールプロテクタの部材の種類を増やさずに済み、コストを低減できる。
【0048】
<第三実施形態>
次に、本発明の第三実施形態に係るロールプロテクタ3について図面を用いて説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分については、同一符号を付してその説明を省略又は簡略する。
図6には、ロール40を保持した状態のロールプロテクタ3の分解斜視図が示されている。図7には、ロールプロテクタ3の断面図が示されている。
ロールプロテクタ3は、支持部の構成が、第一実施形態の支持部30や第二実施形態の支持部31と異なる。ロールプロテクタ1の支持部30においては、第一基板10に一体化された支柱11および第二基板20に一体化された支柱21が係合して構成されるのに対し、ロールプロテクタ3の支持部32は、第一基板10Aおよび第二基板20Aとは別体に形成されている点で相違する。また、ロールプロテクタ2の支持部31は、2つの基板の表面部12と表面部22との間に立設する円柱状の支柱であるのに対し、ロールプロテクタ3の支持部32は、第一基板10Bおよび第二基板20Bのそれぞれの側面に係合して両基板10B,20Bを連結する点で相違する。
【0049】
(ロールプロテクタ)
ロールプロテクタ3は、図6および図7に示されているように、ロール40の一端側(図7では、ロール40の下側)に装着されている板状の第一基板10Bと、ロール40の他端側(図7では、ロール40の上側)に装着されている板状の第二基板20Bと、第一基板10Bおよび第二基板20Bを連結する2つの支持部32とを備える。
また、図7に示されているように、ロール40に装着されたロールプロテクタ2は、第一実施形態と同様に結束バンド50で固定されている。
【0050】
(第一基板および第二基板)
第三実施形態における第一基板10Bおよび第二基板20Bは、それぞれ第一実施形態の第一基板10および第二基板20の支柱11および支柱21を備えていない。その代わりに、第一基板10Bの基板側面19に側面凹部19aが形成され、第二基板20Bの基板側面29に側面凹部29aが形成されている。それ以外の点は、第一基板10および第二基板20と同様の構成を備えている。
第一基板10Bの側面凹部19aは、図6および図7に示されているように、基板側面19の4つの面のうち、一つの側面に4箇所形成され、この面とは反対側の側面にも4箇所形成されている。側面凹部19aの配置は、2行2列の配置となっている。第二基板20Bの側面凹部29aについても、図6および図7に示されているように、側面凹部19aと同様に形成されている。側面凹部19aおよび側面凹部29aは、それぞれ基板側面19および基板側面29から円柱状に窪んで形成されている。
【0051】
(支持部)
支持部32は、図6および図7に示されているように、第一基板10Bおよび第二基板20Bの基板側面19および基板側面29に係合し、両基板10B,20Bを連結するとともに側面から支持する支柱として、上述の基板圧縮力に抗する。
支持部32は、ロール40に第一基板10Bおよび第二基板20Bが装着されている際に、基板側面19と基板側面29とに渡って連結可能な長さ寸法の長尺状の板状部材である。支持部32は、板状部材の表面から円柱状に突出する係合凸部32aを有する。係合凸部32aは、長手方向の一端側に8個形成され、他端側にも8個形成されている。一端側および他端側においても、図6および図7に示されているように、4行2列の配置となっている。
上述の側面凹部19a、側面凹部29a、および係合凸部32aは、支持部32を第一基板10Bおよび第二基板20Bに対して装着させるときに、これらが係合可能に配置されている。本実施形態では、16個の係合凸部32aの内、支持部32の長手方向端部寄りの4個(2行2列)の組合せが、それぞれ、側面凹部19aの4箇所および側面凹部29aの4箇所と係合可能に配置されている。また、側面凹部19aおよび側面凹部29aと、係合凸部32aとは、互いに着脱可能に係合するようにその寸法が設定されている。
【0052】
(ロールの保持方法)
ロールプロテクタ3を用いてロール40を保持する方法に関しては、次のような手順が実施される。
まず、第一基板10Bの保持部17をロール40の芯材41の一端側の開口に挿入し、ロール40の一端面側を第一基板10Bの底部15に当接させる。
続いて、第二基板20Bの保持部27を芯材41の他端側の開口に挿入し、ロール40の他端面側を第二基板20Bの底部25に当接させる。
次に、支持部32の長手方向一端側の4個の係合凸部32aを第一基板10Bの4箇所の側面凹部19aに挿入して係合させるとともに、他端側の4個の係合凸部32aを第二基板20Bの4箇所の側面凹部29aに挿入して係合させる(図6参照)。支持部32は、ロール40に対して両側に配置されるように2つ装着させる。
さらに、図7に示されているように、ロール40に装着されたロールプロテクタ1の外側から結束バンド50を巻き付けて固定する。
なお、第一基板10Bおよび第二基板20Bをどちらか一方を先に装着しても良いし、同時に装着しても良い。
【0053】
(ロールの保管方法)
第三実施形態のロールプロテクタ3で保持したロール40も、第一実施形態と同様にして、保管される。
【0054】
〔第三実施形態の作用効果〕
第三実施形態に係るロールプロテクタ3によれば、次のような効果を奏する。
ロールプロテクタ3は、支持部32を備え、この支持部32は、第一実施形態の支持部30や第二実施形態の支持部31と同様に、第一基板10Bおよび第二基板20Bを連結するとともに、第一基板10Bおよび第二基板20Bがロール40に装着されている際に、上述の基板圧縮力に抗する。そのため、ロールプロテクタ3によれば、支持部30や支持部31と同様に、フィルム部材42の皺の発生を防止したり、積層フィルムの場合に積層部材同士の剥離を防止したりすることができる。結束バンド50で固定されている場合、および低温保管されている場合についても同様に効果を奏する。
【0055】
また、ロールプロテクタ3によれば、第一基板10Bおよび第二基板20Bが、ロール40に装着されている際に、第一基板10Bおよび第二基板20Bの側面から係合し、支持部32としての支柱が配置される。そのため、上述の基板圧縮力に対する抗力を発生させ易い。
【0056】
さらに、ロールプロテクタ3によれば、保持部17および保持部27と、芯材41とが係合する方向(ロール40の幅方向)に対して交差する方向で、側面凹部19aおよび側面凹部29aと、係合凸部32aとが係合している。そのため、ロール40から第一基板10Bおよび第二基板20Bが離脱することを防止できる。この場合、結束バンド50を用いずにロール40を支持することも可能である。
【0057】
さらにロールプロテクタ3によれば、支持部32が第一基板10Bおよび第二基板20Bとは別体化されている。そのため、ロール40とは異なる幅方向寸法を有する別のロールを保持したい場合には、第一基板10Bおよび第二基板20Bはそのまま共通して利用でき、支持部32について当該別のロールの幅方向寸法に対応した位置に係合凸部32aを形成しておけば、係合凸部32aと側面凹部19a,側面凹部29aとの係合位置を調整できる。
例えば、ロール40よりもロール幅方向寸法が小さい小ロールであれば、当該小ロールに対して、第一基板10Bおよび第二基板20Bを装着させた後、支持部32の長手方向の内側寄りの4つの係合凸部32aの組合せを側面凹部19aおよび側面凹部29aに係合させることで、別の支持部を用いずに当該小ロールを保持できる。
このように、様々な幅方向寸法のロールに対して対応できるので、ロールプロテクタの部材の種類を増やさずに済み、コストを低減できる。
【0058】
<第四実施形態>
次に、本発明の第四実施形態に係るロールプロテクタ4について図面を用いて説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分については、同一符号を付してその説明を省略又は簡略する。
図8には、ロール40を保持した状態のロールプロテクタ4の断面図が示されている。なお、断面の位置は、第一実施形態に係るロールプロテクタ1の図2と同様である。また、ロールプロテクタ4の斜視図は、省略するが、ロールプロテクタ1の斜視図である図1の支持部30とは形状が異なる以外同様となる。
ロールプロテクタ4は、ロールを保持する基板の構造が、第一実施形態のロールプロテクタ1の基板と異なる。ロールプロテクタ1においては、第一基板10と第二基板20との構造が異なるのに対して、ロールプロテクタ4においては、第一基板10Cと第二基板20Cとが同じ構造である点で相違する。
【0059】
(ロールプロテクタ)
ロールプロテクタ4は、図8に示されているように、ロール40の一端側(図8では、ロール40の下側)に装着されている板状の第一基板10Cと、ロール40の他端側(図8では、ロール40の上側)に装着されている板状の第二基板20Cと、第一基板10Cおよび第二基板20Cを連結する2つの支持部33とを備える。
また、図8に示されているように、ロール40に装着されたロールプロテクタ4は、第一実施形態と同様に結束バンド50で固定されている。
【0060】
(第一基板および第二基板)
第四実施形態における第一基板10Cは、第一実施形態の第一基板10の支柱11と第二基板20の支柱21とを一つずつ備える。同じく、第二基板20Cも、第一実施形態の第一基板10の支柱11と第二基板20の支柱21とを一つずつ備える。
【0061】
(支持部)
支持部33は、第一基板10Cと第二基板20Cとの間に立設する支柱として、上述の基板圧縮力に抗する。
上述のように、第一基板10Cおよび第二基板20Cは、それぞれ一つずつ第一実施形態の第一基板10の支柱11と第二基板20の支柱21とを備える。そのため、第一基板10Cと第二基板20Cとの連結は、第一基板10Cの支柱11の支柱凸部11aと、第二基板20Cの支柱21の支柱凹部21aとが係合することでなされ、図8の左側の支持部33が形成されている。さらに、第一基板10Cの支柱21の支柱凹部21aと、第二基板20Cの支柱11の支柱凸部11aとが係合することで連結がなされ、図8の右側の支持部33が形成されている。
【0062】
(ロールの保持方法)
ロールプロテクタ4を用いてロール40を保持する方法に関しては、次のような手順が実施される。
まず、第一基板10Cの保持部17をロール40の芯材41の一端側の開口に挿入し、ロール40の一端面側を第一基板10Cの底部15に当接させる。
続いて、第二基板20Cの保持部27を芯材41の他端側の開口に挿入し、ロール40の他端面側を第二基板20Cの底部25に当接させるとともに、第一基板10Cの支柱11の支柱凸部11aと、第二基板20Cの支柱21の支柱凹部21aとを係合させ、さらに、第一基板10Cの支柱21の支柱凹部21aと、第二基板20Cの支柱11の支柱凸部11aとが係合させる。
そして、図8に示されているように、ロール40に装着されたロールプロテクタ4の外側から結束バンド50を巻き付けて固定する。結束バンドとしては、例えば、ポリプロピレン製のものが挙げられる。
なお、第一基板10Cおよび第二基板20Cをどちらか一方を先に装着しても良いし、同時に装着しても良い。
【0063】
(ロール保管方法)
第四実施形態のロールプロテクタ4で保持したロール40も、第一実施形態と同様にして、保管される。
【0064】
〔第四実施形態の作用効果〕
第四実施形態に係るロールプロテクタ4によれば、第一実施形態のロールプロテクタ1と同様の効果に加え、次のような効果を奏する。
第一基板10Cと第二基板20Cとは、同じ構造である。そのため、ロールプロテクタ4によれば、第一実施形態のロールプロテクタ1のように2種類の基板(第一基板10および第二基板20)を用意する必要が無く、1種類の基板を用意すればよいのでコストを低減できる。例えば、第一基板10Cおよび第二基板20Cが射出成形により作製可能な熱可塑性樹脂製である場合、成形金型を1種類用意すればよい。
【0065】
<第五実施形態>
次に、本発明の第五実施形態について図面を用いて説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分と同一の部分については、同一符号を付してその説明を省略又は簡略する。
第五実施形態では、芯材41に巻き付けられるフィルムが、積層フィルムであるとともに、フィルム上に段差が形成されているようなフィルムである場合を例に挙げて説明する。
図9には、芯材41に半導体加工用フィルム部材43が巻き付けられたロール40の斜視図が示されている。図9では、説明のため、半導体加工用フィルム部材43が一部展開された状態が示されている。ロール40の幅方向両端側は、図10に示すように、芯材41と半導体加工用フィルム部材43の端部が同一面に揃えられている。
図10には、図9のX−X線における矢視方向断面図(半導体加工用フィルム部材43の厚さ方向断面図)が示されている。
【0066】
半導体加工用フィルム部材43は、半導体加工プロセスで用いられるフィルム部材であって、具体的にはシリコンウエハのダイシング・ダイボンディング工程で用いられるものである。図10に示されているように、半導体加工用フィルム部材43は、剥離フィルム431側から順に、第一粘着剤層432、第一フィルム層433、第二粘着剤層434、第二フィルム層435が積層されている。
このような半導体加工用フィルム部材43を半導体ウエハ(図示せず)に貼付する際は、まず、剥離フィルム431を剥離し、図9に示されているような円形にプリカットされた第二粘着剤層434部分を露出させる。次に、この露出した第二粘着剤層434部分に半導体ウエハを貼付する。また、第二粘着剤層434の当該円形部分外周には、円形枠状に露出する第一粘着剤層432が形成されており、この第一粘着剤層432部分に半導体ウエハを保持するリングフレーム(図示せず)を貼付する。このように半導体加工用フィルム部材43が貼付された半導体ウエハおよびこれを保持するリングフレームは、その後、ダイシング工程へ搬送され、さらにその後、ダイボンディング工程へと搬送される。
半導体加工用フィルム部材43は、半導体ウエハおよびリングフレームが貼付される上述の円形部分とその他の部分とを区分するようにプリカットされているため、図10に示されているように、段差D1を有する。また、半導体加工用フィルム部材43は、半導体ウエハが貼付される第二粘着剤層434部分が円形に露出するようにプリカットされているため、図10に示されているように、段差D2を有する。このような段差D1および段差D2を有する半導体加工用フィルム部材43が芯材41に巻き付けられていると、剥離フィルム431側にさらに第二フィルム層435が配置された状態となる。そうすると、剥離フィルム431と第二フィルム層435とで挟まれた段差D1および段差D2の部分が隙間となる。
このような半導体加工用フィルム部材43が芯材41に巻き付けられて上述のような隙間を有するロール40に対しても、上述のロールプロテクタ1,2,3,4を装着させることが可能である。
【0067】
〔第五実施形態の作用効果〕
第五実施形態によれば、次のような効果を奏する。
半導体加工用フィルム部材43が巻き付けられたロール40のように半導体加工用フィルム部材43同士の間に隙間が形成されていると、上述の基板圧縮力が半導体加工用フィルム部材43に加わったときに、当該隙間部分で撓みやすい。しかしながら、上述のロールプロテクタ1,2,3,4を装着させることで、半導体加工用フィルム部材43に基板圧縮力が加わるのを防ぐことができる。そのため、フィルム部材42の皺の発生を防止することができる。
また、半導体加工用フィルム部材43のように、複数層が積層されている積層フィルムの場合には、異なる部材同士の界面が存在する。そのため、基板圧縮力がフィルムに加わると、当該界面から積層されているフィルム等の部材同士が剥離してしまうおそれがある。しかしながら、上述のロールプロテクタ1,2,3,4を装着させることで、上記と同様に、積層部材同士の剥離を防止することができる。
【0068】
また、半導体加工用フィルム部材43はシリコンウエハのダイシング・ダイボンディング工程で用いられるものであり、第二粘着剤層434には、熱硬化成分が含まれている。そのため、半導体加工用フィルム部材43が巻き付けられたロールを、低温で保管する必要がある。低温保管されると上述のとおり基板圧縮力がロールに対して加わろうとし、かつ半導体加工用フィルム部材43は、上述のような隙間部分を有するので撓み易い。しかしながら、第五実施形態においては、半導体加工用フィルム部材43が巻き付けられたロールに上述のロールプロテクタ1等を装着することで、低温時においても上述の基板圧縮力に抗することができる。ゆえに、低温保管時においても半導体加工用フィルム部材43の皺の発生や積層部材同士の剥離を防止できる。
【0069】
<実施形態の変形>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、以下に示される変形等をも含む。
【0070】
支持部は、上記実施形態で例に挙げて説明したような円柱状や板状以外にも、角柱状やその他の形状であっても、上述の基板圧縮力に抗することのできる形状であればよい。
【0071】
上記実施形態では、支持部は、2つの場合を例に挙げたが、これに限定されず、1つであっても良いし、3つ以上であっても良い。例えば、基板の4つのコーナー部分に支持部を配置することで、1つや2つの場合に比べて、よりバランスよく基板圧縮力に抗することができる。
【0072】
上記実施形態では、一つのロールプロテクタでロールを1本ずつ保持する例を挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第一基板や第二基板を2つずつ連結させた構造の基板とし、ロールを2本ずつ保持できる態様としても良い。
【0073】
第一基板10および第二基板20は、図3(A)や図4(A)に示されているように、基板厚み方向で見た平面視で長方形状に形成されている板状部材であるが、このような形状に限定されない。当該平面視で正方形や正八角形などの多角形状や円形状や楕円形状であってもよい。多角形状とすることで、第一基板10および第二基板20の側面部が平面状となるので、ロールプロテクタ1を装着した状態でロールを横倒した際のロールの転がりを防止できる。
【0074】
第一実施形態では、支柱11と支柱21とを係合させたときに、支柱上面11bと支柱上面21bとが当接し、かつ支柱凸部上面11cと支柱凹部底面21cとが当接している例を挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、支柱上面11bと支柱上面21bとが当接するか、もしくは支柱凸部上面11cと支柱凹部底面21cとが当接していれば、基板圧縮力に対する抗力を、当接面で生じさせることができる。第二実施形態から第四実施形態までについても、このような当接面での抗力について、同様のことが言える。
【0075】
第一実施形態では、支柱の先端に形成されている支柱凸部11aや支柱凹部21aは、円柱状に突出したり窪んだりした形状で説明したがこれに限定されない。例えば、角柱状等、その他の形状であっても良い。
第二実施形態から第四実施形態までにおいても基板と支持部との係合に関する形状について円柱状の場合を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、角柱状等、その他の形状であっても良い。
【0076】
上記実施形態では、支持部と基板との連結に、凸部と凹部との係合による方法を用いた例を挙げて説明したが、これに限定されない。
例えば、第二実施形態では、支持部31の円柱状の支柱凸部31aにねじを切り、係合凹部18および係合凹部28をねじ穴とし、これらを螺合させる方法でもよい。また、第二実施形態において、第一基板10Aや第二基板20Aが中空状の場合には、係合凹部18および係合凹部28を形成していた部分を貫通穴とし、この貫通穴の位置に合わせて基板10A,20Aの内面側に裏ナットを固定させておく。そして、上記と同様に支持部31の円柱状の支柱凸部31aにねじを切り、この支柱凸部31aと裏ナットとを螺合させる方法でもよい。
その他、第三実施形態のような板状の支持部32を連結させる場合、例えば、支持部32の係合凸部32aに対応する位置に貫通穴を形成し、側面凹部19aや側面凹部29aを上記と同様にねじ穴とし、ボルトを当該貫通穴に挿通させると共に、当該ねじ穴に螺合させる方法でもよい。
【0077】
第二実施形態における支持部31の変形例として、その長さ寸法を変更できるような構成も挙げられる。例えば、図11に示されているような支持部31Aは、ターンバックルのような構成を備えており、このような支持部31Aをロールプロテクタ2に対しても適用することができる。このように、長さ寸法を変更可能な構成を備える可変支持部を用いれば、異なる幅方向寸法を有する様々なロールに対しても、第一基板10A、第二基板20Aおよび当該可変支持部で構成されるロールプロテクタで対応でき、幅方向寸法ごとに部材を揃える必要が無く、コストを低減できる。
【0078】
半導体加工用フィルム部材として、ダイシング・ダイボンディング工程で利用される半導体加工用フィルム部材43を例に挙げて説明したが、これに限定されず、その他のバックグラインド工程で利用されるフィルム部材等であっても良い。
なお、半導体加工用フィルム部材として、その他、例えば、特許第3521099号公報、特許第4677758号公報、特開2005−350520号公報に記載されたものが挙げられる。
【符号の説明】
【0079】
1,2,3,4…ロールプロテクタ、
10,10A,10B,10C…第一基板、
11…支柱、
20,20A,20B,20C…第二基板、
21…支柱、
30,31,31A,32,33…支持部、
40…ロール、
41…芯材、
42…フィルム部材、
43…半導体加工用フィルム部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム部材が芯材に巻き付けられているロールの一端面側に当接して装着される第一基板と、
前記ロールの他端面側に当接して装着される第二基板と、
前記第一基板および前記第二基板を連結するとともに、前記第一基板および前記第二基板が前記ロールに装着されている際に前記第一基板および前記第二基板から前記ロールの幅方向内側へ向かって加わる力に抗する支持部と、を備える
ことを特徴とするロールプロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のロールプロテクタにおいて、
前記支持部は、前記第一基板および前記第二基板の少なくともいずれかと一体化されている
ことを特徴とするロールプロテクタ。
【請求項3】
請求項1に記載のロールプロテクタにおいて、
前記支持部は、前記第一基板および前記第二基板とは別体化されている
ことを特徴とするロールプロテクタ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載のロールプロテクタにおいて、
前記支持部は、前記第一基板および前記第二基板の間に配置される支柱である
ことを特徴とするロールプロテクタ。
【請求項5】
フィルム部材が芯材に巻き付けられているロールと、
請求項1から請求項4までのいずれかに記載のロールプロテクタと、を備え、
前記第一基板が前記ロールの一端面側に当接して装着され、
前記第二基板が前記ロールの他端面側に当接して装着され、
前記芯材に巻き付けられた状態で前記フィルム部材同士の間に隙間が形成されている
ことを特徴とするロール保持体。
【請求項6】
請求項5に記載のロール保持体において、
前記フィルム部材は、半導体加工用フィルム部材である
ことを特徴とするロール保持体。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のロール保持体としてロールを保管するロールの保管方法。
【請求項8】
請求項7に記載のロールの保管方法において、
前記ロールが−40℃以上10℃以下の温度で保管される
ことを特徴とするロールの保管方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−95470(P2013−95470A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239466(P2011−239466)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】