説明

ロールホルダー

【課題】ロールの装着に際し、ペーパーカッタの開度を小さくできるとともに、ロールの装着を容易に行なうことできるロールホルダーを提供する。
【解決手段】ホルダー本体2と、該本体2の前方へ突出する一対の側部3に組付けられるサイドカバー4と、該カバー4の壁面に開口した開口部の背面側下部に設けられる支持部6に嵌着される保持爪7とからなり、該保持爪7が前記支持部6を支点としてホルダー本体2の斜め前方へ傾動できるように前記支持部6に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロールホルダーに関する。さらに詳しくは、円筒状芯部にペーパーまたはビニール袋などをロール状に巻き取ったロールの内芯を片手で回転自在に保持させることができるロールホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ペーパーをロール状に巻き取ったロールには、トイレットペーパーやペーパータオルなどがあり、たとえばトイレットペーパーを保持するロールホルダーAとして、本体から前方へ突出する一対のアームの内側に、それぞれ上向きにのみ折畳むことができ、かつ互いに向き合うように設けられる一対の突起部材を備えるものがある。この突起部材は、アームに約90°の範囲で回動自在にされるとともに、コイルバネにより水平方向に維持されている。
【0003】
しかし、かかるロールホルダーAでは、突起部材を付勢するコイルバネが比較的弱いので、このコイルバネに代えて付勢力の大きい板バネを用いたロールホルダーBがある(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】実公平5−11835号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記ロールホルダーBでは、突起部材が板バネの大きな付勢力により維持されているため、強く紙を引き出す場合にトイレットペーパーが突起部材から抜け落ちることはない。
【0006】
しかしながら、前記突起部材は、上下方向に約90°の範囲で回動するため、トイレットペーパーの芯部に突起部材を挿入させる場合、該トイレットペーパーをその頂部が前記本体の上面から露出させるように持ち上げなければならない。このとき、前記本体の後方上端に設けられるペーパーカッタも持ち上げられるため、本体の上方部位に芳香剤容器や花びんなどを置くための棚部を設ける場合には、該本体と棚部とのあいだに大きな空間が必要になり、ロールホルダーの上部周辺部をコンパクトにすることができない。
【0007】
本発明は、叙上の事情に鑑み、ロールの装着に際し、ペーパーカッタの開度を小さくできるとともに、ロールの装着を容易に行なうことできるロールホルダーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のロールホルダーは、ホルダー本体と、該本体の前方へ突出する一対の側部に組付けられるサイドカバーと、該カバーの壁面に開口した開口部の背面側下部に設けられる支持部に嵌着される保持爪とからなり、該保持爪が前記支持部を支点としてホルダー本体の斜め前方へ傾動できるように前記支持部に支持されてなるロールホルダーであって、前記保持爪の両側面に係止突起が形成されており、前記支持部の近傍部位に前記係止突起に当接するガイドが形成されてなり、前記サイドカバーの開口部の背面側上部に、前記保持爪の背面側の下部に延びる、コ字形状の囲い部を介して、両側部に間隙が設けられた板バネが設けられ、前記保持爪の長手方向の軸が、垂直方向から前方に25〜50°傾斜し、かつ保持爪の自由端が、支持部に対して斜め前方に支持され、前記保持爪の背部の下部が円弧面に形成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したとおり、本発明によれば、保持爪が傾斜しているため、ペーパーカッタの開度を従来よりも小さくでき、ホルダー本体の上部位置の棚に近づけて取り付けることができる。
【0010】
また保持爪の下部を円弧面に形成することにより、ロールを装着させる動作が、肘を支点としてホルダー本体の下方から斜め前方および斜め前方から下方に向かう往復円弧の軌跡になる。このため、腕の動きが滑らかになり、ロールの装着を容易に行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて本発明のロールホルダーを説明する。
【0012】
図1は本発明のロールホルダーの一実施の形態を示す正面図、図2は図1におけるロールホルダーの右側面図、図3は図2におけるA−A線断面図、図4は図1におけるB−B線断面図、図5は図1におけるC−C線断面図、図6は図5におけるD−D線断面の拡大図、図7は右側サイドカバーの左側面図、図8は右側サイドカバーの正面図、図9は右側サイドカバーの背面図、図10は図9におけるE−E線断面の拡大図、図11は保持爪の側面図、図12は保持爪の平面図、図13は保持爪の正面図である。
【0013】
図1〜6に示されるように、本発明の一実施の形態にかかわるロールホルダーは、たとえばトイレットペーパーPの芯部Paを保持させることができるように、キャビネット1やタイルなどの壁面に取り付けられるホルダー本体2と、該本体2の前方へ突出する一対の側部3に組付けられるサイドカバー4と、該カバー4の壁面に開口した開口部5の背面側下部に設けられる支持部6に嵌着される保持爪7とから構成されている。そして前記保持爪7は前記支持部6を支点としてホルダー本体2の斜め前方へ傾動できるように前記支持部6に支持されている。
【0014】
前記ホルダー本体2は、その側部3が空洞に成形されたコ字形状を呈しており、前記サイドカバー4が当該空洞内にホルダー本体2の背面側から差し込められたのち、ベース8と側部3に接着剤などにより組付けられている。図3および図8〜9に示されるように、当該組付けに際し、前記サイドカバー4の背面および後端側面には、ホルダー本体2の側部3に差し込んだときの位置決め用突起片9a、9b、9cおよび9dがそれぞれ形成されている。本実施の形態では、ホルダー本体2の後方側のベース8の上部にペーパーカッタ10が開閉自在に設けられているが、該ペーパーカッタ10を、たとえば前記キャビネット1に設けることもできる。なお、11は壁面に取り付けるためのねじ孔である。
【0015】
前記サイドカバー4の開口部5は、図4〜5、図7および図9〜10に示されるように、ホルダー本体2の前方に傾斜して開口しており、該開口部5の背面側には、コ字形状の囲い部12が形成されるとともに、開口部5の背面側上部に板バネ13が設けられている。該板バネ13は、前面が凹面になるように湾曲に形成されて前記保持爪7の背面側の下部に延びており、先端には膨出部14が形成されている。前記支持部6は、前記囲い部12の下部開口端にそれぞれ設けられ、U字状を呈している。該支持部6の嵌着凹部15には、後述する保持爪7の両側面から突出する支持突起23が嵌着され、保持爪7を前記開口部5の内外の位置へ回動自在にできるように支持している。本実施の形態では、保持爪7が回動して開口部5内に入ると、前記板バネ13の先端膨出部14が保持爪7の背面を付勢して常時保持爪7を開口部5内から突出させるようにしている。なお、前記支持部6の近傍部位、たとえば上部に、後述する保持爪7の両側面に形成される係止突起24に当接するガイド16を形成するのが好ましい。かかるガイド16と係止突起24により、保持爪7が回動して開口部5の奥側に入いり過ぎるのが制止され、保持爪7が前記板バネ13を押し上げて支持部6から抜け落ちるのを防止することができる。
【0016】
前記保持爪7は、図11〜13に示されるように、内部が空洞に成形されており、上端表面がトイレットペーパーPの芯部Paの内筒面に接触できるように円弧面に形成された保持部20と、長手方向に湾曲した背部21と、両側の壁部22と、該壁部22の下方における両側面に形成される、支持突起23および該支持突起23から離れた上部位置の係止突起24と、前記背部21の下端に形成される肩部25とから構成されている。該保持爪7は、支持突起23が下方に位置しているため、保持爪7の重心が該支持突起23から離れた位置にある。このため、該保持爪7の支持突起23を嵌着凹部15に嵌め込むと、前記保持爪7の下端に形成される肩部25が開口部5の下端縁部26に係止し、保持爪7が斜め前方(図4〜6参照)に支持される。本実施の形態では、保持爪7が傾斜しているため、該保持爪7の回動時、保持部20の上下方向の移動距離が従来よりも少なくなるとともに、トイレットペーパーPの芯部Paを保持爪7に挿入する方向が斜め下方向になるため、従来よりもトイレットペーパーPの装着および取り外し時のペーパーカッタ10の開度を小さくすることができる。なお、前記保持爪7の傾斜角度θとしては、たとえば25〜50°とすることができる。
【0017】
また、前記保持爪7である背部21の下部が円弧面27に形成されている。したがって、図4〜5に示されるように、保持爪7は傾斜して支持されているため、この保持爪7の円弧面27において、トイレットペーパーPを下方から上昇させると、該ペーパーPの外周縁が円弧面27に当接したときに、保持爪7を僅かに斜め前方に移動させる分力が働き、該ペーパPを保持爪7に沿わせながら、保持爪7を開口部5側に回動させ、ついで保持爪7の保持部20がペーパーPの芯部Paに入り込むと、保持爪7を斜めからペーパーPの芯部Paに滑らかに挿入することができる。これにより、ペーパーPの装着を容易に行なうことができる。また、ペーパーPを逆向きに装着してしまった時、ペーパーPを前方へ引き出すことにより、芯部Paが保持爪7の円弧面27に当接したとき、保持爪7を斜め前方に移動させる分力が働き、保持爪7を開口部5側に回動させ滑らかにペーパーPを取り出すことができる。
【0018】
なお、本実施の形態では、開口部が傾斜して開口されているが、傾斜した保持爪を該開口部内に入り込ませることができる形状であれば、とくに傾斜させる必要はない。また保持爪7の背部21の下部が円弧面27に形成されているが、ペーパーPを装着および取り外す時、保持爪7を斜め前方に移動させる分力が働く形状であれば、とくに円弧面27でなくても円弧面以外の滑らかな傾斜面、たとえば山形の面にすることもできる。さらに本実施の形態では、ホルダー本体がコ字形状に成形されているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、ホルダー本体をE字形状に成形し、トイレットペーパーを2個保持できるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のロールホルダーの一実施の形態を示す正面図である。
【図2】図1におけるロールホルダーの右側面図である。
【図3】図2におけるA−A線断面図である。
【図4】図1におけるB−B線断面図である。
【図5】図1におけるC−C線断面図である。
【図6】図5におけるD−D線断面の拡大図である。
【図7】右側サイドカバーの左側面図である。
【図8】右側サイドカバーの正面図である。
【図9】右側サイドカバーの背面図である。
【図10】図9におけるE−E線断面の拡大図である。
【図11】保持爪の側面図である。
【図12】保持爪の平面図である。
【図13】保持爪の正面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 キャビネット
2 ホルダー本体
3 側部
4 サイドカバー
5 開口部
6 支持部
7 保持爪
8 本体ベース
9a、9b、9c、9d 位置決め用突起片
10 ペーパーカッタ
11 ねじ孔
12 囲い部
13 板バネ
14 膨出部
15 嵌着凹部
16 ガイド
20 保持部
21 背部
22 壁部
23 支持突起
24 係止突起
25 肩部
27 円弧面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダー本体と、該本体の前方へ突出する一対の側部に組付けられるサイドカバーと、該カバーの壁面に開口した開口部の背面側下部に設けられる支持部に嵌着される保持爪とからなり、該保持爪が前記支持部を支点としてホルダー本体の斜め前方へ傾動できるように前記支持部に支持されてなるロールホルダーであって、前記保持爪の両側面に係止突起が形成されており、前記支持部の近傍部位に前記係止突起に当接するガイドが形成されてなり、
前記サイドカバーの開口部の背面側上部に、前記保持爪の背面側の下部に延びる、コ字形状の囲い部を介して、両側部に間隙が設けられた板バネが設けられ、前記保持爪の長手方向の軸が、垂直方向から前方に25〜50°傾斜し、かつ保持爪の自由端が、支持部に対して斜め前方に支持され、
前記保持爪の背部の下部が円弧面に形成されてなる
ロールホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−110224(P2008−110224A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326377(P2007−326377)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【分割の表示】特願平10−342158の分割
【原出願日】平成10年12月1日(1998.12.1)
【出願人】(000100595)アァルピィ東プラ株式会社 (27)