説明

ロールラベル付き合成樹脂製ボトル

【課題】ベンダーコラム内に積み重ねたときの傾きを少なくし、ベンダーコラムからの排出が円滑に行われるロールラベル付き合成樹脂製ボトルを提供する。
【解決手段】胴部5と、その上方に延びる肩部4と、肩部4に連設された口部3と、胴部5を閉塞する底部6とを備える。底部6は、胴部5の下方に延びる底部周壁15と、円形状の底部閉塞部16と、底部周壁15と底部閉塞部16とを繋ぐ断面視湾曲形状の湾曲部17とを備える。胴部5と肩部4との境界に沿った位置に、胴部5の外径より大径とされた環状の上部大径部8を設ける。胴部5と底部周壁15との境界に沿った位置に、上部大径部8と同径とされた環状の下部大径部9を設ける。底部周壁15の外径を、胴部5の外径と同じ又はそれより大とし、且つ下部大径部9の外径よりも小とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に飲料を内容物とする合成樹脂製ボトルであって、所定の印刷が施された帯状のロールラベル用シートが胴部に巻き付けられたロールラベル付き合成樹脂製ボトルに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の合成樹脂製ボトルとして、果汁飲料、ミネラルウォーター、コーヒー飲料、各種お茶類等の飲料を内容物とするポリエチレンテレフタレート樹脂製ボトル(以下PETボトルという)が知られている。
【0003】
この種のボトルには、胴部の外面に、内容物の表示や模様等の印刷が施されたシュリンクラベル或いはロールラベルが設けれる。
【0004】
シュリンクラベルは、熱により収縮する合成樹脂フィルムにより形成された筒状シートであり、ボトル胴部を筒状シートに挿入した後に加熱して筒状シートを収縮させることによりボトル胴部に装着される。熱により収縮したシュリンクラベルは、胴部の外面に密着すると共に、ボトルの肩部及び底部の形状に沿って密着する。これにより、シュリンクラベルは、ボトルの形状に左右されず、例えば、胴部の上端から下端にかけて最大外径を有していてもボトル外面に強固に設けられる。
【0005】
その反面、ボトル外面に強固に密着したシュリンクラベルをリサイクルの際にボトルから除去することが困難であるため、シュリンクラベルに破断線を設けることが行われる。しかし、熱収縮時や外部への接触時等に不用意に破断することを防止するために、破断容易性を抑えた破断線を設けなければならず、シュリンクラベルを除去する際の作業性は低い。
【0006】
一方、ロールラベルは、リサイクルの際の分別作業を容易に行うことを考慮してボトル胴部に設けることができる点でシュリンクラベルより有利である。ロールラベルは、合成樹脂フィルムにより形成された比較的薄手の帯状シートであり、その長手方向の一端部をボトル胴部の所定位置に接着剤を介して貼着し、更に胴部の周方向に巻き付けた後、当該一端部に他端部を重合し接着剤を介して接合することによりボトル胴部に装着される。ボトル胴部に装着されたロールラベルは、剥離作業により剥離可能な強度の接着剤を用いることで、リサイクルの際にボトルから除去することが容易に行える。
【0007】
その反面、ロールラベルは、ボトル胴部の外側に端縁部が露出していることにより当該端部が外部に接触すると捲れや剥離が生じるおそれがある。このため、ロールラベルを採用するPETボトルは、ロールラベルを巻回する胴部の外径を比較的小径として、胴部の上端と下端とに沿って段差を設け、両段差間にロールラベルを収容する形状に形成される。これにより、胴部の上下端の段差がロールラベルの捲れや剥離を抑制するだけでなく、両段差がロールラベルの巻回を案内するのでボトル胴部へのロールラベルの装着が容易に行える。
【0008】
ところで、近年、PETボトルは、大容量のものから小容量のものまで内容物に応じた容量のものがあるが、特に、容量200〜500ミリリットル程度の比較的小容量のPETボトルにあっては、店頭販売のほかに、飲料缶と共に自動販売機による販売が行われている。
【0009】
一般に、自動販売機においては、ベンダーコラム内に横倒姿勢のPETボトルが複数個積み重ねた状態で装填され、販売作動時にはベンダーコラムの下端からPETボトルが排出されると共に、ベンダーコラムの上端からPETボトルが補充される。
【0010】
しかし、PETボトルはキャップ部分の外径が胴部より小さいために、ベンダーコラム内で傾きが生じる場合がある。更に、ベンダーコラムの幅寸法は、容量350ミリリットル或いは容量500ミリリットルのPETボトルの高さ寸法に対応するものが一般的であるため、例えば、容量280ミリリットルのPETボトルを、容量350ミリリットル用のベンダーコラムに装填して販売することが行われる。この場合には、容量350ミリリットル用のベンダーコラムの幅寸法が約160mmであるのに対し、キャップが装着された容量280ミリリットルのPETボトルの高さ寸法は130mm〜138mm程度であるため、ベンダーコラム内でPETボトルを整列させるための規制が不十分となる。このような状態で、ベンダーコラム内に容量280ミリリットルのPETボトルを横倒姿勢で積み重ねると、特に上層位置のボトルの傾きが大きくなる。そして、ベンダーコラムの下端からPETボトルを排出したとき、場合によっては上層位置のボトルが倒立姿勢となることがある。
【0011】
そこで、従来より、ボトル胴部にボトルの最大外径を維持した円周面を比較的広範囲に設けたものが提案されている(特許文献1参照)。これによれば、容量280ミリリットルといった比較的容量の小さいPETボトルであっても、上下に隣り合うPETボトルが前記円周面同士で接して傾きが抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−44771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、上記特許文献1のものは、ボトル胴部にボトルの最大外径を維持した円周面を比較的広範囲に設けるために、胴部にシュリンクラベルを設けるボトルには好適に採用できても、ロールラベルを装着するために胴部の外径を他部より小さく形成する必要があるロールラベル付き合成樹脂製ボトルには採用できない。
【0014】
しかも、図4に示すように、容量280ミリリットルといった比較的容量の小さいボトル20にあっては、ボトル20の高さ寸法も低いために、ロールラベル7を装着するために外径を小とした胴部24が広範囲に設けられる。このため、図5に示すように、ベンダーコラム19内でボトル20を横倒姿勢で上下に積み重ねると、下側のボトル20の胴部24の上端側に段部を形成している上部大径部22が、上側のボトル20の小径の胴部24に入り込むなどして口部25側が下方となる姿勢に傾き、ベンダーコラム19の上層部に位置するものほどこの傾きが大きくなる。
【0015】
そして、自動販売機の販売作動時にベンダーコラム19の下端からボトル20が排出されると、ベンダーコラム19の上層部に位置する傾きの大きなボトル20は、下方のボトル20による規制が瞬間的に外れることにより、ベンダーコラム19内で倒立する場合があり、ベンダーコラム19内でボトル詰まりが発生するおそれがある。
【0016】
上記の点に鑑み、本発明は、ベンダーコラム内に積み重ねたときの傾きを少なくし、ベンダーコラムからの排出が円滑に行われるロールラベル付き合成樹脂製ボトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、所定の印刷が施された帯状のロールラベル用シートが巻き付けられる円筒状の胴部と、該胴部の上縁から次第に縮径しつつ上方に延びる肩部と、該肩部の上端に連設された口部と、前記胴部の下部を閉塞する底部とを備え、前記ロールラベル用シートが、その一端部を前記胴部の所定位置に接着剤を介して貼着して前記胴部の周方向に巻き付けた後、当該一端部に他端部を重合し接着剤を介して接合して前記胴部に装着されたロールラベル付き合成樹脂製ボトルにおいて、前記底部は、前記胴部の下方に延びる底部周壁と、円形状の底部閉塞部と、底部周壁と底部閉塞部とを繋ぐ断面視湾曲形状の湾曲部とを備え、前記胴部と前記肩部との境界に沿った位置に、該胴部の外径より大径とされた環状の上部大径部が設けられ、前記胴部と前記底部周壁との境界に沿った位置に、前記上部大径部と同径とされた環状の下部大径部が設けられ、前記底部周壁の外径は、前記胴部の外径と同じ又はそれより大であり、且つ前記下部大径部の外径よりも小であることを特徴とする。
【0018】
本発明のボトルにおいては、横倒姿勢で上下に積み重ねたとき、下側のボトルの上部大径部が、上側のボトルの胴部に入り込む場合と、その逆に、上側のボトルの上部大径部が、下側のボトルの胴部に入り込む場合とがある。
【0019】
下側のボトルの上部大径部が、上側のボトルの胴部に入り込んだときには、下側のボトルの下部大径部は、上側のボトルの底部周壁に当接する。このとき、底部周壁の外径は、前記胴部の外径と同じ又はそれより大であり、且つ前記下部大径部の外径よりも小であることにより、下側のボトルの下部大径部が上側のボトルの底部周壁に受け入れられ、相対的に、上側のボトルの下部大径部が、下側のボトルの胴部に入り込む。これにより、上側のボトルはその傾きが極めて小さい状態で、下側のボトル上に積み重ねられる。
【0020】
一方、上側のボトルの上部大径部が、下側のボトルの胴部に入り込んだときには、上側のボトルの下部大径部は、下側のボトルの底部周壁に当接する。このとき、底部周壁の外径は、前記胴部の外径と同じ又はそれより大であり、且つ前記下部大径部の外径よりも小であることにより、上側のボトルの下部大径部が下側のボトルの底部周壁に受け入れられ、相対的に、下側のボトルの下部大径部が、上側のボトルの胴部に入り込む。これにより、上側のボトルはその傾きが極めて小さい状態で、下側のボトル上に積み重ねられる。
【0021】
このように、本発明のボトルによれば、横倒姿勢で上下に積み重ねたとき、下側のボトルの上部大径部が、上側のボトルの胴部に入り込む場合と、上側のボトルの上部大径部が、下側のボトルの胴部に入り込む場合との何れの場合であっても、下側のボトルに対する上側のボトルの傾きが小さいので、自動販売機のベンダーコラム内に積み重ねたときの傾きが少なく、排出が円滑に行われる姿勢でベンダーコラムに装填することができる。
【0022】
なお、底部周壁の外径が下部大径部の外径よりも小であれば、底部周壁の外径が胴部の外径より小であっても上記の積み重ね時の傾きが少なくなる。しかし、底部周壁の外径が胴部の外径より小となると、ボトルを自立させたときの接地範囲が小さくなって不安定となるため好ましくない。そしてこのとき、前記接地範囲を拡張して安定性を向上させようとすると、底部周壁と底部閉塞部との間の湾曲部の曲率半径が小さくなって強度が低下し、落下時の衝撃等により湾曲部が陥没変形しやすくなるため好ましくない。
【0023】
従って、前記底部周壁の外径を、前記胴部の外径と同じ又はそれより大とし、且つ前記下部大径部の外径よりも小とすることで、ボトルの自立安定性や底部の強度を低下させることなく、横倒姿勢での積み重ね時にボトルの傾きが抑制できる。
【0024】
また、本発明においては、前記上部大径部と前記下部大径部との両方又は何れか一方に、周方向に延びる凹溝状のビードを設けることが好ましい。該ビードを設けることにより、横倒姿勢での積み重ね時に、ボトルの潰れ変形を防止することができ、横倒姿勢での積み重ね時にボトルの傾きを確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のロールラベル付き合成樹脂製ボトルを示す側面図。
【図2】図1のボトルにおいてロールラベルを取り除いた状態を示す側面図。
【図3】本発明のボトルを自動販売機のベンダーコラム内に積み重ねたときの状態を示す図。
【図4】従来のロールラベル付き合成樹脂製ボトルを示す側面図。
【図5】従来のボトルを自動販売機のベンダーコラム内に積み重ねたときの状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本実施形態のボトル1は、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂からなるプリフォーム(図示せず)をブロー成形により二軸延伸してなる円筒状のPETボトルであり、図1に示すように、キャップ2が螺着されている口部3と、該口部3から下方に向かって次第に拡径する肩部4を介して更にその下方に連設された円筒状の胴部5と、該胴部5の下部に連設された底部6とを備えている。
【0027】
また、図1に示すように、胴部5には、内容物の表示等の印刷が施されたロールラベル7が装着されている。ロールラベル7は帯状に形成された薄手の合成樹脂シートであり、先ず、一端部を胴部5の所定位置に接着剤を介して貼着し、胴部5の周方向に巻き付けた後、当該一端部に他端部を重合し接着剤を介して接合することにより装着状態とされている。接着剤の接着力は適宜選択されるものであるが、ボトル1のリサイクルの際に分別を容易とするために、手作業で剥離することが容易な接着剤を使用するのが好ましい。
【0028】
図2においてロールラベル7を取り除いた状態のボトル1を示すように、胴部5と肩部4との境界位置には、外方に突出してボトル1の最大外径となる環状の上部大径部8が形成されている。また、胴部5と後述する底部周壁15との境界位置には、外方に突出してボトル1の最大外径となる(上部大径部8と同一外径とされた)環状の下部大径部9が形成されている。
【0029】
更に、上部大径部8は凹状の上部ビード10を全周に備え、下部大径部9は凹状の下部ビード11を全周に備えている。更に下部大径部9の下縁に沿って下縁ビード12が設けられている。
【0030】
これらのビードにより、上部大径部8及び下部大径部9が補強され、ボトル1の軸線に交差する方向の潰れ変形が防止されている。
【0031】
上部大径部8の上部ビード10及び下部大径部9の下部ビード11は、本発明における凹溝状のビードに相当するものである。
【0032】
胴部5には、上下方向に所定間隔を存して互いに平行の複数の環状の胴部ビード13が形成されており、互いに隣り合う胴部ビード13の間には前記ロールラベル7を接着する環状の平坦面14が形成されている。なお、胴部5にロールラベル7を貼着するための接着剤は、胴部5において高さ方向に直線的に幅10mm程度で平坦面14に塗布される。
【0033】
底部6は、図2に示すように、胴部5の下端に連続して形成された底部周壁15と、該底部周壁15に包囲された領域に形成された底部閉塞部16とを備え、更に、底部周壁15と底部閉塞部16とを繋ぐ断面視湾曲形状の湾曲部17を備えている。湾曲部17と底部閉塞部16との境界には環状の接地面18が形成されている。
【0034】
ボトル1は、自動販売機による販売に対応した容量が280ミリリットルに設定されており、図2に示すように、高さ寸法H(接地面18から口部3に装着されたキャップ2の上縁までの寸法)が134mm、上部大径部8の外周頂部の直径r1と下部大径部9の外周頂部の直径r3とが何れも66mm(ボトル1の最大外径)、胴部5の直径r2(平坦面14の外径)が63mm、底部周壁15の直径r4(底部周壁15において最大の外径)が64mm(又は63mm)とされている。即ち、これらの寸法は、本発明の要旨を示すものであり、各部の寸法の相互関係は、r1=r3>r4≧r2となっている。
【0035】
また、本実施形態のボトル1は、上部大径部8の高さ方向の幅寸法L1と下部大径部9の高さ方向の幅寸法L2とは何れも8mmとされている。
【0036】
上部大径部8と下部大径部9とは、何れもロールラベル7の厚み寸法の2倍以上の寸法に突出して形成されていればよいが、本実施形態においては、胴部5の平坦面14の直径r2が63mmであることにより、上部大径部8及び下部大径部9の胴部5の平坦面14に対する突出寸法は1.5mmとされている。これにより、例えば、自動販売機等において隣接するボトル1同士が接触しても、胴部5に装着されたロールラベル7同士の接触を防止することができ、外部への接触によるロールラベル7の捲れや剥離を防止することができる。
【0037】
また、ロールラベル7は、胴部5の高さ寸法に対応する幅寸法とされ、且つ、胴部5の外周に巻き付けて両端が約10mmの重なり寸法を有するように形成されている。
【0038】
以上の構成による本実施形態のボトル1は、図3に示すように、横倒姿勢で積み重ねた状態で自動販売機のベンダーコラム19内に装填収容される。なお、図3は、ベンダーコラム19の横方向の幅寸法(コラム幅)が155mmとされ、このベンダーコラム19に15個のボトル1を装填した状態を示している。
【0039】
図3に示す通り、ベンダーコラム19内においては、上下に隣接するボトル1同士では、下側のボトル1の上部大径部8が、上側のボトル1の胴部5に入り込んでいる場合と、その逆に、上側のボトル1の上部大径部8が、下側のボトル1の胴部5に入り込んでいる場合とがある。
【0040】
本実施形態のボトル1の場合、上下に隣接するボトル1同士では、下側のボトル1の上部大径部8が、上側のボトル1の胴部5に入り込んだ場合、下側のボトル1の下部大径部9が、上側のボトル1の底部周壁15に当接する。そして、下部大径部9の外周頂部の直径r3は66mmであるのに対し、底部周壁15の直径r4は64mm(又は胴部5と同じ63mm)であって下部大径部9より小径であるから、上側のボトル1の下部大径部9が、下側のボトル1の胴部5に入り込む(図3において、最下位置のボトル1と下から2個目のボトル1との関係を参照)。これによって、下側のボトル1に対する上側のボトル1の傾きは極めて少なくなる。
【0041】
また、本実施形態のボトル1の場合、上下に隣接するボトル1同士では、上側のボトル1の上部大径部8が、下側のボトル1の胴部5に入り込んだ場合、上側のボトル1の下部大径部9は、下側のボトル1の底部周壁15に当接する。そして、底部周壁15は下部大径部9より小径であるから、下側のボトル1の下部大径部9が、上側のボトル1の胴部5に入り込む(図3において、下から2個目のボトル1と下から3個目のボトル1との関係を参照)。これによって、下側のボトル1に対する上側のボトル1の傾きは極めて少なくなる。
【0042】
ここで、本実施形態のボトル1と図4に示す従来のボトル20とを比較する。なお、従来のボトル20は底部周壁21の最大外径部分が下部大径部23の外径と同じ(ボトル20の最大外径)とされている。
【0043】
従来のボトル20は、図5に示すようにベンダーコラム19内に積み重ねると、上下に隣接するボトル20同士では、下側のボトル20の上部大径部22が、上側のボトル20の胴部24に入り込んだ場合、上側のボトル20の下部大径部23は、下側のボトル20の胴部24に入り込むことができない(図5において、最下位置のボトル20と下から2個目のボトル20との関係を参照)。また、上側のボトル20の上部大径部22が、下側のボトル20の胴部24に入り込んだ場合、下側のボトル20の下部大径部23は、上側のボトル20の胴部24には入り込むことができない(図5において、下から3個目のボトル20と下から4個目のボトル20との関係を参照)。
【0044】
そして、図3と図5とを比較すれば明らかなように、ベンダーコラム19に積み重ねられたとき、従来のボトル20がその上層部では特に大きく傾くのに対して、本実施形態のボトル1は上層部でも傾きが小さい。
【0045】
以上により、本実施形態のボトル1によれば、自動販売機の販売作動時にベンダーコラム19の下端からボトル1が排出されても、上層部のボトル1の傾きが少ないので、ベンダーコラム19内で上層部のボトル1が倒立することが防止でき、ベンダーコラム19内から円滑に排出することができる。
【0046】
なお、本実施形態においては、底部周壁15の直径r4が、胴部5の直径r2よりも少し大きい寸法(64mm)であるものを示したが、底部周壁15の直径r4は、胴部5の直径r2と同じ寸法(63mm)でもよい。
【0047】
底部周壁15の直径r4を胴部5の直径r2と同じ63mmとした場合には、ベンダーコラム19内の上層部のボトル1の傾きは、図3に示した状態よりも更に小となって、殆ど発生しなくなる。一方、底部周壁15の直径r4を胴部5の直径r2よりも少し大きい64mmとすると、直径r4を63mmとした場合に比べてベンダーコラム19内の上層位置のボトル1の傾きが多少発生するが、ベンダーコラム19の下端からボトル1が排出された際に上層位置のボトル1が倒立することはなく、更に後述する理由により、ボトル1の底部6の強度の低下を防止して十分な安定性を得ることができるので有利である。
【0048】
底部周壁15の直径r4は、胴部5の直径r2よりも小であってもベンダーコラム19に積み重ねられたときの傾きは少なくなる。その反面、底部周壁15の直径r4は、胴部5の直径r2よりも小さいと、環状の接地面18の径が小さくなりボトルを自立させたとき不安定となるおそれがある。そこで、接地面18の径を大きくして安定性を向上させようとすると、底部周壁15の直径r4が胴部5の直径r2よりも小さいことにより、湾曲部17の曲率半径が小さくなる。湾曲部17の曲率半径が小さいと、落下時の衝撃等により湾曲部が陥没変形しやすくなり、底部6の強度が低下する。
【0049】
それに対して、本実施形態では、各部の寸法の相互関係が、r1=r3>r4≧r2であるから、ボトル1の自立安定性や底部6の強度を低下させることなく、横倒姿勢での積み重ね時にボトル1の傾きを確実に抑制できる。
【0050】
また、本実施形態においては、上部大径部8に上部ビード10を設け、下部大径部9に下部ビード11を設けて、積み重ね時の耐荷重性を向上させているが、十分な耐荷重性が得られるなら、上部ビード10及び下部ビード11を設けなくてもよく、また両ビード10,11のうち何れか一方のみであってもよい。また、同様に、下部大径部9の下縁に沿った下縁ビード12も積み重ね時の荷重を考慮して適宜設ければよい。
【符号の説明】
【0051】
1…ボトル(合成樹脂製ボトル)、3…口部、4…肩部、5…胴部、6…底部、7…ロールラベル、8…上部大径部、9…下部大径部、10…上部ビード(凹溝状のビード)、11…下部ビード(凹溝状のビード)、15…底部周壁、16…底部閉塞部、17…湾曲部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の印刷が施された帯状のロールラベル用シートが巻き付けられる円筒状の胴部と、該胴部の上縁から次第に縮径しつつ上方に延びる肩部と、該肩部の上端に連設された口部と、前記胴部の下部を閉塞する底部とを備え、前記ロールラベル用シートが、その一端部を前記胴部の所定位置に接着剤を介して貼着して前記胴部の周方向に巻き付けた後、当該一端部に他端部を重合し接着剤を介して接合して前記胴部に装着されたロールラベル付き合成樹脂製ボトルにおいて、
前記底部は、前記胴部の下方に延びる底部周壁と、円形状の底部閉塞部と、底部周壁と底部閉塞部とを繋ぐ断面視湾曲形状の湾曲部とを備え、
前記胴部と前記肩部との境界に沿った位置に、該胴部の外径より大径とされた環状の上部大径部が設けられ、
前記胴部と前記底部周壁との境界に沿った位置に、前記上部大径部と同径とされた環状の下部大径部が設けられ、
前記底部周壁の外径は、前記胴部の外径と同じ又はそれより大であり、且つ前記下部大径部の外径よりも小であることを特徴とするロールラベル付き合成樹脂製ボトル。
【請求項2】
前記上部大径部と前記下部大径部との両方又は何れか一方に、周方向に延びる凹溝状のビードを設けたことを特徴とする請求項1記載のロールラベル付き合成樹脂製ボトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−235948(P2011−235948A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110894(P2010−110894)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(505440295)北海製罐株式会社 (58)
【Fターム(参考)】