説明

ロール体保持具とこれを具備するフィルム包装機

【課題】包装用のフィルムを巻回したロール体の交換作業を容易に行うことが可能なフィルム包装機のロール体保持具とこれを具備するフィルム包装機を提供すること。
【解決手段】長尺のフィルム14が巻回されたロール体10の巻芯部を挿通するロッド20とロッド20上に巻芯部の両端に嵌入してロール体10を保持する第1、および第2のエンドキャップ30,40とを有し、第1のエンドキャップ30は、巻芯部端部が当接するフランジ部38と、巻芯部がフランジ部38に当接して巻芯部に嵌入する嵌入部である大径部34と、大径部34に向かって徐々に拡径して大径部34に至るスロープ部35とを具備し、スロープ部35は、ロール体10を装着する際、ロール体10の一端側内周面でスロープ部35上に乗せ、フランジ部38方向に押すことによって、巻芯部の一端側がスロープ部35の傾斜面に案内する案内部に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロール体保持具とこれを具備するフィルム包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
ロール体に巻回した包装用のフィルムを用いて物品を包装するフィルム包装機としては、いわゆるピロー包装機等が広く知られている。
【0003】
このようなピロー包装機としては、例えば特開2003−267602号公報(図38参照)に示されているように、包装対象である物品を供給する物品供給部と、包装用フィルムを供給するフィルム供給部と、フィルムで物品を包装する包装部と、包装体を搬出する搬出部とを有するものが一般的な構成として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−267602号公報(図38参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなフィルム包装機は、包装用のフィルムを供給するフィルム供給部に、包装用のフィルムを巻回したロール体を定期的に交換する必要がある。一般的なフィルム包装機においては、フィルム供給部はフィルム包装機の本体フレームに固定されていて、フィルム供給部には包装機の正面側からロール体の交換作業を行うことが可能な構成に設けられている。
フィルム供給部に設けられた保持用ロッドから使用済みのロール体を引き抜いた後、新規のロール体を保持用ロッドに挿入して交換する構成が採用されている。一般に、このようなフィルム包装機の操作は、女性やお年寄りが行うことが多く、ロール体の交換作業を行う際には、ロール体の引き抜き作業は行うことができたとしても、重量物である新規のロール体を装着するといった作業は力仕事になるため単独での作業はきわめては困難であるといえる。
【0006】
ロール体をフィルム供給部に装着する際の動作について具体的に説明する。
ロール体の巻芯部にフィルム供給部の保持用ロッドを挿入した後、フィルム供給部内におけるロール体の空転や、ロール体が回転する際における回転軸のぶれを防止するため、保持用ロッドとロール体の巻芯部を密着させる等して固定する必要がある。保持用ロッドとロール体を密着させるためには、図11〜図14に示すように、保持用ロッド200のフィルム包装機の本体フレーム105側部分に取り付けた一方の固定具250に連結させた第1のエンドキャップ210に、フィルム224を円筒体222に巻回してなるロール体220の回転軸である巻芯部(円筒体222の中空部)を嵌入させる構成がある。
【0007】
このような構成であると、ロール体220の巻芯部(円筒体222の中空部)を保持用ロッド200に挿入(図11)し、ロール体220の挿入側先端部分が第1のエンドキャップ210の取り付け位置に到達した際には、ロール体220の挿入側先端部分を持ち上げながらロール体220を保持用ロッド200に押し込まなければならない(図12)。そして、保持用ロッド200に他方の第2のエンドキャップ240を挿入した後、ロール体220の後端部分を持ち上げた状態にしてロール体220をさらに保持用ロッド200に押し込んだ後、ロール体220の後端部分の巻芯部と保持用ロッド200との間に他方の第2のエンドキャップ240を嵌入させる(図13)。最後に、他方の第2のエンドキャップ240を固定する他方の固定具250を保持用ロッド200に固定してロール体220を保持用ロッド200に装着していた(図14)。
【0008】
図14では、第1のエンドキャップ210の先端部分がロール体220の挿入側先端部分の位置に一致した状態で装着されているが、操作者がロール体220を押し込みすぎると、ロール体220への第1のエンドキャップ210の挿入状態(挿入量)が一定にならず、包装部に供給するフィルム224の中心位置がずれてしまうおそれがある。
このように、保持ロッド200にロール体220を装着させるためには、フィルム包装機の下方部分の奥側に腕を深く差し込んだ状態でロール体220の挿入側先端部分を持ち上げなければならず、女性やお年寄りには単独での作業が困難な作業である点、ロッド200(第1のエンドキャップ210)へのロール体220の装着位置の調整が困難である点において構造の改善が望まれていた。
【0009】
そこで本願発明は、力の少ない女性やお年寄りが単独であっても、容易にロール体の交換作業を行うことを可能にすると共に、ロッドへのロール体の装着位置を一定にすることが可能なロール体保持具とこれを具備するフィルム包装機の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明は鋭意研究を行った結果、以下の構成に想到した。
すなわち、長尺のフィルムが巻回されたロール体が装着されるロール体保持具であって、前記ロール体の巻芯部を挿通するロッドと、該ロッド上に間隔をおいて着脱自在に固定され、前記巻芯部の両端に嵌入して前記ロール体を保持する第1、および第2のエンドキャップとを有し、前記第1のエンドキャップは、前記巻芯部端部が当接するフランジ部と、前記巻芯部が前記フランジ部に当接した状態において、前記巻芯部に嵌入する嵌入部と、該嵌入部に向かって徐々に拡径して前記嵌入部に至るスロープ部と、を具備し、前記スロープ部は、前記ロール体を装着する際、前記ロール体を、前記巻芯部の一端側内周面により前記スロープ部上に乗せ、前記フランジ部方向に押すことによって、前記巻芯部の一端側が前記スロープ部の傾斜面に当接しながら案内され、前記フランジ部に当接した位置で前記巻芯部の一端側に前記嵌入部が嵌入するための案内部に形成されていることを特徴とするロール体保持具である。
【0011】
また、物品を供給する物品供給部と、ロール体に形成された物品包装用のフィルムが装着可能なフィルム供給部と、前記フィルム供給部から巻き出された前記フィルムにより物品を包装する包装部と、前記包装部により前記物品がフィルム包装されてなる包装体を搬出する搬出部を具備し、前記フィルム供給部に上記ロール体保持具が用いられていることを特徴とするフィルム包装機としての発明もある。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるロール体保持具とこれを具備するフィルム包装機によれば、ロール体の巻芯部にロッドを挿入した後、ロール体をロッドに押し込む作業を行うだけでロール体の回転軸となるロール体の巻芯部をロッドに取り付けた第1のエンドキャップに位置決めした状態で嵌入させることができる。ロッドに取り付けられた第1のエンドキャップは、ロール体装着側におけるロッドとの境界部分において、ロッドの外形寸法との径寸法差がわずかで、スロープ部の勾配が緩く形成されているため、ロール体の挿入側先端部をロッドに押し込むだけでロール体の巻芯部に第1のエンドキャップに嵌入させることができる。このため、不自然な姿勢でフィルム供給部に腕を深く差し込んだ状態でロール体を持ち上げる必要がなくなり、ロール体の交換作業時における労力を大幅に軽減することができる。
また、第1のエンドキャップの挿入側先端部分にはストッパとなるフランジ部が設けられているので、ロール体の挿入側端部がフランジ部に当接するまでロール体を押し込めば、ロール体の押し込み位置を規制することができる。これによりロッドへのロール体の押し込み加減を微調整する必要なくロッドの適切な位置にロール体を装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態にかかるロール体保持具に、ロール体を装着した状態を示す要部断面図である。
【図2】図1のロール体保持具における第1のエンドキャップの正面図である。
【図3】図2中のA−A線における断面図である。
【図4】本実施形態にかかるロール体保持具を具備するフィルム包装機の構成の一例を示す正面図である。
【図5】本実施形態のロール体保持具にロール体を装着する際における各段階の概略状態を示す断面図である。
【図6】本実施形態のロール体保持具にロール体を装着する際における各段階の概略状態を示す断面図である。
【図7】本実施形態のロール体保持具にロール体を装着する際における各段階の概略状態を示す断面図である。
【図8】本実施形態のロール体保持具にロール体を装着する際における各段階の概略状態を示す断面図である。
【図9】本願発明にかかるロール体保持具の他の実施形態の一例を示す断面図である。
【図10】本願発明にかかるロール体保持具の他の実施形態の一例を示す断面図である。
【図11】従来技術にかかるロール体保持具にロール体を装着する際における各段階の概略状態を示す断面図である。
【図12】従来技術にかかるロール体保持具にロール体を装着する際における各段階の概略状態を示す断面図である。
【図13】従来技術にかかるロール体保持具にロール体を装着する際における各段階の概略状態を示す断面図である。
【図14】従来技術にかかるロール体保持具にロール体を装着する際における各段階の概略状態を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明にかかるロール体保持具とこれを具備するフィルム包装機の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態にかかるロール体保持具に、ロール体を装着した状態を示す要部断面図である。図2は、図1のロール体保持具における第1のエンドキャップの正面図であり、図3は、図2中のA−A線における断面図である。
本実施形態におけるロール体保持具1は、合成樹脂や紙により形成された巻芯部である円筒体12の外周面に包装用のフィルム14を巻回させてなるロール体10を保持するものである。巻芯部である円筒体12の外周面にフィルム14を巻回した後に、円筒体12を抜き取り、フィルム14のみからなるロール体10であっても良いのはもちろんである。このようなフィルム14のみからなるロール体10を採用した場合、ロール体10の中空部が巻芯部に相当することになる。
【0015】
ロール体保持具1は、巻芯部である円筒体12(以下、単に円筒体12という)の中空部に挿入されるロッド20と、ロッド20に配設され円錐台状に形成された第1のエンドキャップ30と、ロッド20に配設され、第1のエンドキャップ30側におけるロール体10の回転軸をロッド20の中心軸に平行にするための第2のエンドキャップ40を具備している。第2のエンドキャップ40は、第1のエンドキャップ10と所要間隔をあけてロッド20上に着脱自在に取り付けられている。
このような構成のロール体保持具1は、第1のエンドキャップ30側が奥側になる配置でフィルム包装機の本体フレーム105に着脱自在に取り付けられている。
【0016】
本実施形態においては、図1に示すように、第1のエンドキャップ30と第2のエンドキャップ40とは同じ形状に形成している。第1のエンドキャップ30と第2のエンドキャップ40の外方側には、固定具50が取り付けられ、ネジ止め等によりロッド20に固定具50が取り付け固定されている。固定具50は、ロッド20の径方向に螺入させたネジによりロッド20に固定されている。第1のエンドキャップ30と第2のエンドキャップ40とはそれぞれ固定具50との当接面にそれぞれ配設されたネジ孔にネジ(共に図示せず)を螺入させたネジにより連結され、固定具50を介してロッド20に取り付けられている。
【0017】
第1のエンドキャップ30は、図2および図3に示すように概略形状が細長な円錐台状に形成されている。円錐台の小径部32と大径部34とを結ぶ母線となる部分が、ロール体10を載せ、ロール体10を大径部34にスライド移動させるためのスロープ部35を構成している。また、ロール体10の巻芯部に嵌入する嵌入部である大径部34には、自由端側の先端部にフランジ部38が形成されている。このフランジ部38にロール体10の挿入側先端部(巻芯部端部)が当接することにより、ロール体10を位置決めした状態でロール体10の巻芯部に大径部34を嵌入させることができる。
また、第1のエンドキャップ30の回転軸部分にはロッド20を挿入させるための挿通孔36が形成されている。第1のエンドキャップ30の小径部32の径寸法φ1は、ロール体10の挿入側先端部が衝突した際における衝撃に耐久するために必要な部材厚が確保されているため、図3に示すようにロッド20の外径寸法φrよりわずかに大きい径寸法に形成されている。
【0018】
第1のエンドキャップ30の嵌入部である大径部34の外径寸法(φ2)は、円筒体12の内径寸法に等しく形成され、かつ、巻芯部である円筒体12の中空部への挿入方向に所要範囲にわたって形成されている。このように形成された第1のエンドキャップ30を用いることにより、円筒体12の中空部を確実にロッド20の回転軸に一致させることができ、包装用のフィルム14を安定した状態で巻き出すことが可能になる。
以上に説明したように、第1のエンドキャップ30のロッド20への取り付け位置を予め調整しておけば、後述するフィルム包装機100に対してフィルム14の幅方向の中心位置を包装部130の中央部分に位置合わせした状態で供給することができるため好都合である。
【0019】
また、第1のエンドキャップ30の小径部32と大径部34とを連続させるスロープ部35のロッド20の軸線に対する傾斜角度は、12°以下の角度に形成されている。また、第1のエンドキャップ30のうち少なくともスロープ部35には摩擦係数を低減させることが可能な低摩擦剤(例えばテフロン(登録商標)に代表されるフッ素樹脂等)によって被覆されている。このように、スロープ部35の傾斜角度を緩くすると共に、摩擦力を低減させるための表面処理を行っていることにより、第1のエンドキャップ30(ロール体保持具1)へのロール体10の装着作業を容易に行うことができる。
【0020】
次に、本実施形態にかかるロール体保持具1を具備するフィルム包装機100へのロール体10の装着方法について説明する。図4は、本実施形態にかかるロール体保持具を具備するフィルム包装機(ピロー包装機)の構成の一例を示す正面図である。また、図5〜図8はそれぞれ、本実施形態のロール体保持具にロール体を装着する際における各段階の概略状態を示す断面図である。
本実施形態におけるフィルム包装機100の概略構成は、従来技術におけるフィルム包装機100と同様である。すなわち、図4に示すように、包装対象である物品Bを供給する物品供給部110と、包装用のフィルム14を供給するフィルム供給部120と、フィルム14で物品Bを包装する包装部130と、包装体Hを搬出する搬出部140とを有している。ピロー包装機における物品供給部110、包装部130、搬出部140の構成はそれぞれ公知であるから、ここでの詳細な説明は省略する。
【0021】
まず、図5に示すように、フィルム包装機100のフィルム供給部120に配設されたロール体保持具1のロッド20(本体フレーム105側付近)に固定具50および第1のエンドキャップ30をそれぞれ位置決めして取り付ける。固定具50はロッド20の径方向にネジ止めすることによりロッド20に固定され、第1のエンドキャップ30は第1のエンドキャップ30と固定具50の当接面に直交する方向に配設されたネジ孔にネジを挿通させることにより固定具50を介してロッド20に取り付けられている。ロッド20への固定具50の取り付け位置は、装着すべきロール体10の幅寸法に合わせて適宜変更することができる。
【0022】
フィルム包装機100の操作者は、図6に示すように、ロール体10の巻芯部である円筒体12の中空部にロッド20を挿入させて、ロッド20にロール体10を吊り下げた状態でロッド20の軸線に沿ってロール体10を本体フレーム105側に押し込む。ロール体10の挿入側先端部分(巻芯部端部)が第1のエンドキャップ30の小径部32の位置に到達した後も引き続きロール体10を本体フレーム105側に押し込む。小径部32の位置より奥側では、ロール体10をロッド20に押し込む際の負荷が若干高くなるものの、ロール体10を持ち上げる必要はない。巻芯部の一端側内周面であるロール体10の挿入側先端部分の内周面は、図5に示すように第1のエンドキャップ30のスロープ部35(円錐台体の母線)に乗せられた後、スロープ部35に沿いながら徐々に大径部34へと誘導される。
【0023】
このとき、第1のエンドキャップ30のスロープ部のロッド20の軸線に対する傾斜角度は12°以下の傾斜であることに加え、スロープ部35における摩擦力を軽減させるための低摩擦剤による表面処理が施されているため、女性やお年寄りであってもロール体10の挿入側先端部分の内周面をスロープ部35に乗せた状態でスロープ部35のスロープ面沿って容易に大径部34へと誘導することができる。
もし、ロッド20の外径寸法φrと第1のエンドキャップ30の小径部32の外径寸法φ1との寸法差による段差によって、スロープ部35へのロール体10の挿入側先端部分の挿入抵抗が大きすぎるときには、円筒部12の挿入側先端部と、円筒部12の挿入側先端部の内周面とを円滑に接続させる曲面加工(いわゆるアール部の形成)を行えばよい。
【0024】
第1のエンドキャップ30の嵌入部である大径部34は、巻芯部である円筒体12の中空部の内径寸法に等しい径寸法に形成されていると共に、円筒体12の中空部への挿入方向(ロッド20の軸線方向)に所要範囲に設けられている。すなわちロール体10の挿入側先端部分が大径部34に到達すると、ロール体10を押し込む際の負荷が低くなる(ロール体10にロッド20を挿入させた当初の負荷状態に戻る)。これにより操作者は、大径部34がロール体10の巻芯部に嵌入したことを把握することができる。
また、大径部34の本体フレーム105側の端部には大径部34よりもさらに大径に形成されたフランジ部38が設けられているから、操作者がロール体10を必要以上にロッド20の奥側(本体フレーム105側)まで挿入しようとしても、ロール体10の挿入側先端部がフランジ部38に当接し、ロール体10の過挿入が防止され、ロール体保持具1に対して常に位置決めした状態でロール体10を装着することができる。
【0025】
ロール体10の挿入側先端部の一部をフランジ部38に当接させた後、操作者は、図7に示すように第2のエンドキャップ40をロッド20に挿入し、第2のエンドキャップ40をロール体10の回転軸(円筒体12の中空部)に装着させる。本実施形態においては、第2のエンドキャップ40を第1のエンドキャップ30と同一形成に形成し、スロープ部には同様の表面処理を施しているので、第2のエンドキャップ40の装着時においてもロール体10の手前側部分を持ち上げる必要はない。この点においてもロール体10の装着時における作業負荷は従来技術に比べて大幅に軽減されている。第2のエンドキャップ40の取り付け後に、第2のエンドキャップ40のさらに手前側に固定具50を取り付ければ、図8で示すようにロール体保持具1へのロール体10の装着が完了する。
【0026】
以上に説明したようにしてロール体10をフィルム供給部120のロール体保持具1に装着した後、フィルム包装機100を運転して、フィルム14による物品Bの包装処理を行う。ロール体10に巻回されているフィルム14の残量が終了または残りわずかになった際には、上述のフィルム供給部120のロール体保持具1へのロール体10装着作業を逆順に行い、ロール体供給部120のロール体保持具1からロール体10を取り外せばよい。ロール体保持具1からロール体10を取り外した後、上述の手順により、ロール体保持具1に新しいロール体10を装着すればよい。
【0027】
以上に、本願発明に係るロール体保持具およびこれを具備するフィルム包装機について、実施形態に基づいて詳細に説明してきたが、本願発明は以上の実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては、第1のエンドキャップ30のスロープ部35は、円錐台状の側面がすべて覆われた形態について説明しているが、図9に示すように、ロッド20を挿通させるスリーブ39の外周面に小径部32から大径部34を連結するリブRをロッド20の径方向に適宜(単数または複数)立設させることによりスロープ部35を構成する形態であってもよい。要は、ロッド20(第1のエンドキャップ30の小径部32)から大径部34までの間においてロール体10を載せた状態で少ない力でスライド移動させることができるスロープ部に相当する部位があればよいのである。このとき、ロッド20へのロール体10の装着時において、リブRの配設位置がロッド20の頂点位置になるようにして第1のエンドキャップ30をロッド20に取り付ける必要がある。
【0028】
また、本実施形態においては第1のエンドキャップ30と第2のエンドキャップ40の形状および低摩擦化するための表面処理を同一にしているが、これに限定されるものではない。第2のエンドキャップ40へのフランジ部の配設および低摩擦化のための表面処理は任意である。さらに第2のエンドキャップ40は、ロール体保持具1に装着させる際におけるロール体10の手前側部分(挿入後端部分)に装着する部材である。このため、ロール体10の挿入側先端部を持ち上げることに比較すれば、ロール体10の手前側部分の持ち上げは十分に可能であるから、従来技術における第2のエンドキャップと同様に、ロッド20からロール体10の手前側部分を持ち上げて装着するテーパ部分の短い形状(図10に示す第2のエンドキャップ40)であってもかまわない。
【0029】
さらに、本実施形態においては、第1のエンドキャップ30はロッド20に着脱自在に形成された構成について説明しているが、ロッド20に対するロール体10の保持位置が一定であるならば、ロッド20と第1のエンドキャップ30とを一体に形成した構成を採用してもよいのはもちろんである。この形状によれば、ロッド20の径寸法φrと第1のエンドキャップ30の小径部32の径寸法φ1とを完全に一致させることができ、ロール体保持具1へのロール体10の装着作業をより容易に行うことが可能になる。
【0030】
また、本実施形態においては、第1のエンドキャップ30と第2のエンドキャップ40はそれぞれ固定具50を介してロッド20に取り付けているが、固定具50を介さずに、第1のエンドキャップ30と第2のエンドキャップ40をそれぞれ直接ロッド20に取り付けする形態を採用してもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0031】
1 フィルム保持具
10 ロール体
12 円筒体
14 フィルム
20 ロッド
30 第1のエンドキャップ
32 小径部
34 大径部
35 スロープ部
36 挿通孔
38 フランジ部
39 スリーブ
40 第2のエンドキャップ
50 固定具
100 フィルム包装機
105 本体フレーム
110 物品供給部
120 フィルム供給部
130 包装部
140 排出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺のフィルムが巻回されたロール体が装着されるロール体保持具であって、
前記ロール体の巻芯部を挿通するロッドと、該ロッド上に間隔をおいて着脱自在に固定され、前記巻芯部の両端に嵌入して前記ロール体を保持する第1、および第2のエンドキャップとを有し、
前記第1のエンドキャップは、
前記巻芯部端部が当接するフランジ部と、
前記巻芯部が前記フランジ部に当接した状態において、前記巻芯部に嵌入する嵌入部と、
該嵌入部に向かって徐々に拡径して前記嵌入部に至るスロープ部と、を具備し、
前記スロープ部は、
前記ロール体を装着する際、前記ロール体を、前記巻芯部の一端側内周面により前記スロープ部上に乗せ、前記フランジ部方向に押すことによって、前記巻芯部の一端側が前記スロープ部の傾斜面に当接しながら案内され、前記フランジ部に当接した位置で前記巻芯部の一端側に前記嵌入部が嵌入するための案内部に形成されていることを特徴とするロール体保持具。
【請求項2】
前記第1のエンドキャップは、前記ロッドの軸線に対する前記スロープ部の傾斜角度は、12°以下に形成されていることを特徴とする請求項1記載のロール体保持具。
【請求項3】
前記第2のエンドキャップは、前記第1のエンドキャップと同一形状に形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のロール体保持具。
【請求項4】
少なくとも前記第1のエンドキャップのスロープ部には、低摩擦素材により表面が被覆されていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載のロール体保持具。
【請求項5】
物品を供給する物品供給部と、
ロール体に形成された物品包装用のフィルムが装着可能なフィルム供給部と、
前記フィルム供給部から巻き出された前記フィルムにより物品を包装する包装部と、
前記包装部により前記物品がフィルム包装されてなる包装体を搬出する搬出部を具備し、
前記フィルム供給部には、請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載のロール体保持具が配設されていることを特徴とするフィルム包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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