説明

ロール体用搬送車

【課題】外径寸法が異なる複数種のロール体をロール体保持装置との間で適切に移載できるロール体用搬送車を提供する。
【解決手段】ロール体保持装置にロール体を受け渡す場合に、外周面位置取得手段にて取得された軸部における外周面の位置情報及び外径寸法取得手段にて取得された軸部における外径寸法情報に基づいて、移動操作手段の作動を制御する受け渡し用の位置合わせ処理を実行し、ロール体保持装置からロール体を受け取る場合に、外周面位置取得手段にて取得された軸部における外周面の位置情報及び外径寸法取得手段にて取得された軸部における外径寸法情報に基づいて、移動操作手段の作動を制御する受け取り用の位置合わせ処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒状の軸部にシート材が巻回されたロール体を保持するロール体保持装置との間で前記ロール体の受け渡し又は受け取りを行って前記ロール体を移載するロール体用搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるロール体用搬送車は、ロール体保持装置が設置された設備の床面上等を走行してロール体保持装置の近傍まで走行し、一対の支持体にて載置支持しているロール体をロール体保持装置に受け渡す、又は、ロール体保持装置にて保持されているロール体を一対の支持体にて受け取るようにして、ロール体保持装置との間でロール体を移載するときに使用されるものである。
【0003】
このようなロール体用搬送車の従来例として、ロール体をロール体保持装置に受け渡すときは、一対の支持体にてロール体を載置支持する状態で台車本体をロール体保持装置の近傍まで走行させて、一対の支持体にて載置支持しているロール体の軸部における外周面の位置を検出する外周面位置取得手段の検出情報に基づいて、ロール体の軸部における軸心を一対の挿入部について設定された受け渡し用目標位置に位置させるべく、移動操作手段を作動させる受け渡し用の位置合わせ処理を実行している。
また、ロール体をロール体保持装置から受け取るときは、一対の支持体にてロール体を載置支持しない状態で台車本体をロール体保持装置の近傍まで走行させて、ロール体保持装置にて保持されているロール体の軸部における外周面の位置を検出する外周面位置検出手段の検出情報に基づいて、ロール体の軸部における外周面を一対の支持体にて載置支持するべく、移動操作手段を作動させる受け取り用の位置合わせ処理を実行している(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−159134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来のロール体用搬送車は、撮像装置にて軸部を撮像し、その撮像された軸部の外周面の径方向の端部の位置から軸部の軸心位置を取得して、その軸部における軸心位置に基づいて位置合わせ処理を実行している。しかし、ロール体用搬送車にて搬送するロール体として、軸部の外径寸法が異なる複数種が存在する場合は、ロール体保持装置にロール体を受け渡す場合やロール体保持装置からロール体を受け取る場合に、次のような問題がある。
【0006】
すなわち、ロール体保持装置にロール体を受け渡す場合では、一種類のロール体であれば、軸部の径を予め把握しておくことで、軸部の外周面における径方向のいずれかの端部の位置さえ判別できれば、その端部の位置から径方向に設定量ずれた箇所が中心位置として取得することもできる。しかし、軸部の外径寸法が複数種存在する場合は、軸部の外周面における径方向の端部の位置と軸部の軸心位置との距離は一定でないため、外周面におけるいずれか一方の端部の位置を判別したとしても、軸部の中心位置を特定することはできないため、外周面における径方向の両方の端部の位置を判別する必要がある。そのため、撮像する軸部の一部が照明の影となっている場合等、軸部の外周面における径方向のいずれか一方の端部が判別できない場合は、外周面からコアの中心位置を適切に取得できない。このように移載対象のロール体として軸部の外径寸法が異なる複数種ある場合は、軸部の中心位置を適切に取得できない場合があり、受け渡し用の位置合わせ処理を実行することができない可能性がある。
【0007】
また、ロール体をロール体保持装置に受け渡す場合では、撮像装置にて軸部を撮像し、その撮像された軸部の外周面の径方向の両端の位置から軸部の中心位置を取得して、軸部の中心位置に基づいて受け取り用の位置合わせ処理を実行している。しかし、移載対象のロール体として軸部の外径寸法が異なる複数種ある場合は、軸部の中心位置を適切に取得できた場合でも、図13(a)〜(c)に示すように、ロール体の外径寸法が異なれば軸部の軸心が同じ位置でもそのロール体の軸部を載置支持する一対の支持体の高さが異なるため、受け取り用の位置合わせ処理が適切に行えない可能性がある。
【0008】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、外径寸法が異なる複数種のロール体をロール体保持装置との間で適切に移載できるロール体用搬送車を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明にかかるロール体用搬送車は、円筒状の軸部にシート材が巻回されたロール体を保持するロール体保持装置との間で前記ロール体の受け渡しを行って前記ロール体を移載するものであって、その第1特徴構成は、
前記ロール体として、前記軸部の外径寸法が異なる複数種のロール体を移載対象とし、前記ロール体保持装置が、互いに遠近離間移動自在な一対の挿入部を、前記一対の挿入部を互いに遠近移動させて、前記一対の挿入部を前記軸部に対して両端部から挿入させた挿入位置と、前記一対の挿入部を互いに離間移動させて前記一対の挿入部を前記軸部から抜出させる抜出位置とに移動自在に備えて構成され、走行自在な台車本体に、前記ロール体の軸心方向において前記シート材から両側に突出する前記軸部の両端部の外周面を載置支持する一対の支持体と、前記一対の支持体を前記台車本体に対して前記軸心方向と交差する方向に移動操作する移動操作手段と、前記移動操作手段の作動を制御する制御手段と、移載対象の前記ロール体の前記軸部における外周面の位置を取得する外周面位置取得手段と、移載対象の前記ロール体の前記軸部における外径寸法を取得する外径寸法取得手段とが設けられ、前記制御手段が、前記ロール体保持装置に前記ロール体を受け渡す場合に、前記一対の支持体に支持されている移載対象の前記ロール体の前記軸部における軸心を、前記一対の挿入部について設定された受け渡し用目標位置に位置させるべく、前記外周面位置取得手段にて取得された前記軸部における外周面の位置情報及び前記外径寸法取得手段にて取得された前記軸部における外径寸法情報に基づいて、前記移動操作手段の作動を制御する受け渡し用の位置合わせ処理を実行するように構成されている点にある。
【0010】
すなわち、ロール体保持装置にロール体を受け渡す場合では、まず、外周面位置取得手段にて、一対の支持体にて載置支持されているロール体の軸部における外周面の位置を取得し、外径寸法取得手段にて、当該軸部における外径寸法を取得する。
そして、外周面位置取得手段にて取得された軸部における外周面の位置情報及び外径寸法取得手段にて取得された軸部における外径寸法情報に基づいて、移動操作手段の作動を制御する受け渡し用の位置合わせ処理を実行することで、一対の支持体に支持されている移載対象のロール体の軸部における軸心を、一対の挿入部について設定された受け渡し用目標位置に位置させている。
【0011】
つまり、ロール体の軸部における外周面の位置と軸心位置との距離は、軸部の外径寸法の大きさによって異なるため、軸部の外周面の位置情報のみに基づいて受け渡し用の位置合わせ処理を実行しようとすると、軸部の軸心の位置は軸部の外径寸法の大きさにより受け渡し用目標位置からずれてしまうが、軸部の外周面の位置情報と軸部の外径寸法とに基づいて受け渡し用の位置合わせ処理を実行して、軸部の外周面の位置を軸部の外径寸法に応じた位置に位置させることで、軸部の外径寸法の大きさに関らず軸部の軸心を受け渡し用目標位置に位置させることができる。
そして、このような受け渡し用の位置合わせ処理を実行することで、例えば、軸部の径方向の一方側端部の位置情報があればよく、軸部における径方向の両端部の位置情報までは必要ないがないため、撮像する軸部の一部が照明の影となっており、軸部の外周面における径方向の他方側端部が判別できない場合でも、受け渡し用の位置合わせ処理を実行することができる。
従って、ロール体保持装置にロール体を受け渡す場合において、外径寸法が異なる複数種のロール体をロール体保持装置との間で適切に移載できるロール体用搬送車を提供することができるに至った。
【0012】
本発明にかかるロール体用搬送車の第2特徴構成は、第1特徴構成において、 前記軸部を撮像する撮像手段及び前記制御手段が、前記外周面位置取得手段及び前記外径寸法取得手段として設けられ、前記制御手段が、前記撮像手段の撮像情報に基づいて、前記軸部における外周面の位置情報を取得する位置取得処理と、前記軸部における外径寸法情報を取得する外径寸法取得処理とを実行するように構成されている点にある。
【0013】
すなわち、一対の支持体に載置支持されている軸部を撮像手段にて撮像し、制御手段は、撮像手段にて撮像された撮像情報に基づいて、軸部における外周面の位置情報を取得する位置取得処理を実行する。また、制御手段は、撮像手段にて撮像された撮像情報に基づいて、軸部における外径寸法情報を取得する外径寸法取得処理を実行する。
【0014】
つまり、撮像手段及び制御手段が、外周面位置取得手段及び外径寸法取得手段として設けられて、これら外周面位置取得手段と外径寸法取得手段とに兼用されているため、外周面位置取得手段と外径寸法取得手段との夫々を各別に設ける場合に比べて、構成の簡素化を図ることができる。
【0015】
本発明にかかるロール体用搬送車の第3特徴構成は、第2特徴構成において、前記撮像手段が、前記ロール体保持装置との間でロール体を移載する位置として設定された設定停止位置に前記台車本体が停止した状態で、前記ロール体保持装置の前記挿入部及び移載対象の前記ロール体の前記軸部を撮像する位置に設けられ、予め設定された設定位置に前記一対の支持体を位置させた状態で前記撮像手段にて撮像された画像における当該一対の支持体にて載置支持された前記軸部の径方向の端部の撮像位置と前記軸部の外径寸法との関係を示す受け渡し用関係情報が、前記制御手段に予め記憶され、前記制御手段が、前記ロール体保持装置に前記ロール体を受け渡す場合は、前記一対の支持体を設定位置に位置させた状態で当該一対の支持体にて載置支持された移載対象のロール体の前記軸部を前記撮像手段にて撮像し、その撮像手段にて撮像された前記軸部における径方向の端部の撮像位置に基づいて、移載対象の前記ロール体の前記軸部における外周面の位置情報を取得する前記位置取得処理を実行し、前記撮像手段にて撮像された前記軸部の径方向の端部の撮像位置と前記受け渡し用関係情報とから前記軸部の外径寸法情報を取得する前記外径寸法取得処理を実行し、前記軸部の外周面の位置情報と前記外径寸法情報とに基づいて、前記一対の支持体にて載置支持した前記軸部の軸心を前記受け渡し用目標位置に移動させるべく、前記移動操作手段の作動を制御する前記受け渡し用の位置合わせ処理を実行するように構成されている点にある。
【0016】
すなわち、ロール体保持装置にロール体を受け渡す場合は、まず、一対の支持体を設定位置に位置させた状態で当該一対の支持体にて載置支持された移載対象のロール体の軸部を撮像手段にて撮像し、その撮像手段にて撮像された軸部における径方向の端部の撮像位置に基づいて、移載対象のロール体の軸部における外周面の位置情報を取得する位置取得処理を実行する。この位置取得処理では、一対の支持体を設定位置に位置させた状態でその一対の支持体に載置支持された軸部を撮像することで、軸部における径方向の端部を、軸部の外径寸法の大きさに対応する位置に撮像することができ、その軸部の外径寸法の大きさに対応する外周面の位置を位置情報として取得することができる。
【0017】
次に、撮像手段にて撮像された軸部の径方向の端部の撮像位置と受け渡し用関係情報とから軸部の外径寸法情報を取得する外径寸法取得処理を実行する。この外径寸法取得処理では、軸部の径方向の端部の撮像位置と受け渡し用関係情報とから、一対の支持体に載置支持されている軸部の外径寸法情報を取得することができる。説明を加えると、軸部における外周面の端部の撮像位置は外径寸法の大きさに対応するものであり、また、受け渡し用関係情報は軸部の径方向の端部の撮像位置と軸部の外径寸法との関係を示す情報であるため、これら軸部の径方向の端部の撮像位置と受け渡し用関係情報とから軸部の外径寸法情報を取得することができる。
【0018】
その後、軸部の外周面の位置情報と外径寸法情報とに基づいて、移動操作手段の作動を制御する受け渡し用の位置合わせ処理を実行する。このように、受け渡し用の位置合わせ処理を実行することで、軸部の外周面の位置を軸部の外径寸法に対応した位置に移動させることができ、外形寸法が複数種存在していても軸部の軸心を受け渡し用目標位置に適切に位置させることができる。
【0019】
本発明にかかるロール体用搬送車は、円筒状の軸部にシート材が巻回されたロール体を保持するロール体保持装置との間で前記ロール体の受け渡しを行って前記ロール体を移載するものであって、その第4特徴構成は、
前記ロール体として、前記軸部の外径寸法が異なる複数種のロール体を移載対象とし、前記ロール体保持装置が、互いに遠近離間移動自在な一対の挿入部を、前記一対の挿入部を互いに遠近移動させて、前記一対の挿入部を前記軸部に対して両端部から挿入させた挿入位置と、前記一対の挿入部を互いに離間移動させて前記一対の挿入部を前記軸部から抜出させる抜出位置とに移動自在に備えて構成され、走行自在な台車本体に、前記ロール体の軸心方向において前記シート材から両側に突出する前記軸部の両端部の外周面を載置支持する一対の支持体と、前記一対の支持体を前記台車本体に対して前記軸心方向と交差する方向に移動操作する移動操作手段と、前記移動操作手段の作動を制御する制御手段と、移載対象の前記ロール体の前記軸部における外周面の位置を取得する外周面位置取得手段と、移載対象の前記ロール体の前記軸部における外径寸法を取得する外径寸法取得手段とが設けられ、前記制御手段が、前記ロール体保持装置から前記ロール体を受け取る場合に、前記ロール体保持装置に保持されている移載対象の前記ロール体の前記軸部における外周面を前記一対の支持体にて載置支持させるべく、前記外周面位置取得手段にて取得された前記軸部における外周面の位置情報及び前記外径寸法取得手段にて取得された前記軸部における外径寸法情報に基づいて、前記移動操作手段の作動を制御する受け取り用の位置合わせ処理を実行するように構成されている点にある。
【0020】
すなわち、ロール体保持装置からロール体を受け取る場合では、まず、外周面位置取得手段にて、ロール体保持装置にて保持されているロール体の軸部における外周面の位置を取得し、外径寸法取得手段にて、当該軸部における外径寸法を取得する。
そして、外周面位置取得手段にて取得された軸部における外周面の位置情報及び外径寸法取得手段にて取得された軸部における外径寸法情報に基づいて、移動操作手段の作動を制御する受け取り用の位置合わせ処理を実行することで、ロール体保持装置に保持されているロール体の軸部における外周面を一対の支持体にて載置支持させている。
【0021】
つまり、ロール体保持装置にて保持されているロール体の軸部の外周面を載置支持する一対の支持体の位置は、軸部の外径寸法の大きさによって異なるため、軸部の外周面の位置情報のみに基づいて受け渡し用の位置合わせ処理を実行すると、一対の支持体の位置は軸部の外径寸法の大きさにより軸部の外周面を載置支持する位置からずれてしまうが、軸部の外周面の位置情報と軸部の外径寸法とに基づいて受け取り用の位置合わせ処理を実行して、一対の支持体の位置を軸部の外径寸法に応じた位置に位置させることで、軸部の外径寸法の大きさに関らず一対の支持体を軸部の外周面を載置支持する位置に位置させることができる。
そして、このような受け渡し用の位置合わせ処理を実行することで、軸部の外径寸法が異なる複数種のロール体を移載する場合でも、受け渡し用の位置合わせ処理を適切に実行することができる。
従って、ロール体保持装置からロール体を受け取る場合において、外径寸法が異なる複数種のロール体をロール体保持装置との間で適切に移載できるロール体用搬送車を提供することができるに至った。
【0022】
本発明にかかるロール体用搬送車の第5特徴構成は、第4特徴構成において、 前記軸部を撮像する撮像手段及び前記制御手段が、前記外周面位置取得手段及び前記外径寸法取得手段として設けられ、前記制御手段が、前記撮像手段の撮像情報に基づいて、前記軸部における外周面の位置情報を取得する位置取得処理と、前記軸部における外径寸法情報を取得する外径寸法取得処理とを実行するように構成されている点にある。
【0023】
すなわち、ロール体保持装置に保持されている軸部を撮像手段にて撮像し、制御手段は、撮像手段にて撮像された撮像情報に基づいて、軸部における外周面の位置情報を取得する位置取得処理を実行する。また、制御手段は、撮像手段にて撮像された撮像情報に基づいて、軸部における外径寸法情報を取得する外径寸法取得処理を実行する。
【0024】
つまり、撮像手段及び制御手段が、外周面位置取得手段及び外径寸法取得手段として設けられて、これら外周面位置取得手段と外径寸法取得手段とに兼用されているため、外周面位置取得手段と外径寸法取得手段との夫々を各別に設ける場合に比べて、構成の簡素化を図ることができる。
【0025】
本発明にかかるロール体用搬送車の第6特徴構成は、第5特徴構成において、 前記挿入位置が、前記挿入部における先端部が前記軸部に挿入され且つ前記挿入部における基端部が前記軸部に挿入されない位置に設定され、前記撮像手段が、前記ロール体保持装置との間でロール体を移載する位置として設定された設定停止位置に前記台車本体が停止した状態で、前記ロール体保持装置の前記挿入部の前記基端部及び移載対象の前記ロール体の前記軸部を撮像する位置に設けられ、前記設定停止位置に前記台車本体が停止した状態で前記撮像手段にて撮像された画像における前記軸部の径方向の端部の位置と前記挿入部の基端部の径方向の端部の位置との差を端部ずれ量として、その端部ずれ量と前記軸部の外径寸法との関係を示す受け取り用関係情報が、前記制御手段に予め記憶され、前記制御手段が、前記ロール体保持装置から前記ロール体を受け取る場合は、前記設定停止位置に前記台車本体が停止した状態で前記撮像手段にて撮像された画像における前記軸部の径方向の端部の位置と前記挿入部の基端部の径方向の端部の位置とに基づいて、前記軸部の外周面の位置情報及び前記基端部の外周面の位置情報とを取得する前記位置取得処理を実行し、前記軸部の外周面の位置情報と前記挿入部の外周面の位置情報と前記受け取り用関係情報とから前記軸部の外径寸法情報を取得する前記外径寸法取得処理を実行し、前記軸部の外周面の位置情報と前記外径寸法情報とに基づいて、前記一対の支持体を前記ロール体保持装置に保持されたロール体のコアの外周面を載置支持する位置に移動させるべく、前記移動操作手段の作動を制御する前記受け取り用の位置合わせ処理を実行するように構成されている点にある。
【0026】
すなわち、ロール体保持装置にロール体を受け取る場合は、まず、台車本体を設定停止位置に位置させた状態でロール体保持装置にて保持されたロール体とロール体保持装置における基端部とを撮像し、その撮像手段にて撮像された軸部における径方向の端部の撮像位置及び基端部における径方向の端部の撮像位置に基づいて、移載対象のロール体の軸部外周面及び基端部の外周面の位置情報を取得する位置取得処理を実行する。
【0027】
次に、軸部の外周面の位置情報と基端部の外周面の位置情報と受け取り用関係情報とから軸部の外径寸法情報を取得する外径寸法取得処理を実行する。説明を加えると、軸部の外周面の位置と基端部の外周面の位置との差である端部ずれ量は軸部の外径寸法の大きさに応じて異なるものであり、また、受け取り用関係情報は、端部ずれ量と軸部の外径寸法との関係を示す情報であるため、軸部の外周面の位置情報と基端部の外周面の位置情報と受け取り用関係情報とから軸部の外径寸法情報を取得することができる。
【0028】
その後、軸部の外周面の位置情報と外径寸法情報とに基づいて、移動操作手段の作動を制御する受け取り用の位置合わせ処理を実行する。このように受け取り用の位置合わせ処理を実行することで、一対の支持体を軸部の外径寸法に対応した位置に移動させることができ、外形寸法が複数種存在していてもロール体保持装置にて保持されているロール体の軸部の外周面を一対の支持体にて適切に載置支持するように一対の支持体を位置させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】ロール体用搬送車及びロール体保持装置の側面図
【図2】ロール体用搬送車の正面図
【図3】ロール体用搬送車及びロール体保持装置の平面図
【図4】一対の挿入部の抜出位置と挿入位置とを示す図
【図5】挿入部の小径状態と大径状態とを示す図
【図6】制御ブロック図
【図7】軸部の端部における外周面の位置が外径寸法の大きさに対応することを示す図
【図8】軸部の端部における外周面の撮像位置が外径寸法の大きさに対応することを示す図
【図9】軸部の径方向の端部の撮像位置と軸部の外径寸法とを示す図
【図10】保持解除状態のロール体保持装置を一対の撮像手段にて撮像した画像を示す図
【図11】保持状態のロール体保持装置を一対の撮像手段にて撮像した画像を示す図
【図12】フローチャート
【図13】外径寸法が異なるロール体の支持高さが異なることを示す図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3に示すように、ロール体用搬送車1は、印刷原紙や各種フィルム原反の表面に印刷や塗布を行う生産機等に設けられたロール体保持装置2との間でロール体Aの受け取り及び受け渡しを行ってロール体Aを移載するべく、生産設備に配設されている。そして、ロール体用搬送車1は、床面上に敷設された誘導ライン(図示せず)に沿って設定停止位置まで自動走行し、設定停止位置に停止した状態でロール体保持装置2との間でロール体Aの移載を行うように構成されている。
ちなみに、図1は、ロール体用搬送車1が設定停止位置に停止している状態を示しており、設定停止位置は、ロール体用搬送車1がロール体保持装置2との間でロール体Aを移載する位置として設定された位置である。そして、ロール体用搬送車1は、図3に矢印で示すように走行移動するものであり、設定停止位置には横進により走行移動させるようになっている。ちなみに、図3においては、設定停止位置に停止しているロール体用搬送車1を仮想線で示している。
【0031】
そして、ロール体Aは、円筒状の軸部としてのコアaと、そのコアaに巻回された紙やフィルム等のシート材bとで構成されており、ロール体Aの中心に位置するコアaは、シート材bから軸心方向の両側に突出している。
また、ロール体Aとして、コアaの外径寸法が異なる複数種のロール体Aを移載対象としている。
【0032】
ロール体用搬送車1について説明する前に、まず、ロール体用搬送車1との間でロール体Aを授受する生産設備のロール体保持装置2について説明する。
図1及び図3に示すように、ロール体保持装置2には、互いに接近離間移動自在な一対の挿入部としての一対の支持ピン4が備えられており、ロール体保持装置2は、一対の支持ピン4を、互いに接近移動させて一対の支持ピン4をコアaに対して両側から挿入させる挿入位置(図4(b)参照)と、互いに離間移動させて一対の支持ピン4をコアaから抜出させる抜出位置(図1及び図4(a)参照)とに移動自在に備えて構成されている。ちなみに、一対の支持ピン4は、設定停止位置に停止するロール体用搬送車1の車体前後方向の両側に位置するように備えられている。
【0033】
図1及び図3に示すように、ロール体保持装置2は、一対の支持ピン4のうちの一方の支持ピン4を移動操作する電動モータ7と、一対の支持ピン4のうちの他方の支持ピン4を移動操作するエアシリンダ8とを備えて構成されている。
そして、電動モータ7にて一方の支持ピン4を車体前後方向に沿って移動操作し、エアシリンダ8にて他方の支持ピン4を車体前後方向に沿って移動操作することで、一対の支持ピン4を同時に接近離間移動させて挿入位置と抜出位置とに移動操作するように構成されている。
【0034】
一対の支持ピン4の夫々について説明を加えると、一対の支持ピン4の夫々は、その先端にコアaの内径より小径の小径部5と、その小径部5より基部側に位置してコアaの外径より大径の大径部6とを備えて構成されている。つまり、一対の支持ピン4を挿入位置に位置させた状態では、図4(b)及び図5(a)に示すように、支持ピン4における小径部5がコアaに挿入され、支持ピン4における大径部6がコアaにおける軸心方向の端部に当接されるようになっている。このように、挿入位置は、支持ピン4における小径部5がコアaに挿入され且つ支持ピン4における大径部6がコアaに挿入されない位置に設定されている。尚、小径部5が本発明の先端部に相当し、大径部6が本発明の基端部に相当する。
【0035】
また、図5に示すように、一対の支持ピン4の夫々は、図外の空気供給装置による空気の給排により、小径部5をコアaの内径より小径に小径化させた小径状態(図5(a)参照)と、小径部5をコアaの内径と同径に大径化させた大径状態(図5(b)参照)とに切り換え可能に構成されている。
【0036】
つまり、ロール体保持装置2は、一対の支持ピン4を挿入位置に互いに接近移動させて一対の小径部5をコアaの両端部に挿入させた後に一対の小径部5の夫々を大径状態に大径化させた保持状態と、一対の小径部5の夫々を小径化させた後に一対の支持ピン4を離間位置に互いに離間移動させて一対の小径部5をコアaの両端部から抜出させた保持解除状態とに切り換え可能に構成されており、保持状態に切り換えた状態でロール体Aを保持し、保持解除状態に切り換えることでロール体Aに対する保持を解除するように構成されている。
【0037】
次に、ロール体用搬送車1について説明を加える。
図1〜図3に示すように、ロール体用搬送車1は、走行自在な台車本体11に、ロール体Aを載置支持する一対の支持体12と、一対の支持体12を台車本体11に対して車体前後方向、車体横幅方向及び上下方向に移動操作する移動操作手段13と、設定停止位置
に台車本体11が停止した状態で、ロール体保持装置2の支持ピン4及び移載対象のロール体Aのコアaを撮像する撮像手段としての撮像装置14と、移動操作手段13の作動を制御する制御手段Hと、ロール体保持装置2との間で情報を送受信する通信装置15(図6参照)とを設けて構成されている。
【0038】
一対の支持体12は、車体前後方向に間隔を隔てた状態で設けられており、この一対の支持体12にて、ロール体Aにおけるシート材bから両側に突出するコアaの両端部の外周面を載置支持している。
そして、このように車体前後方向に並ぶ一対の支持体12にて、軸心が車体前後方向に沿う姿勢でコアaが載置支持されるため、一対の支持体12に載置支持されているロール体A(コアa)の軸心方向と車体前後方向とが同じ方向となり、上下方向や車体左右方向が、軸心方向と交差する方向となっている。
【0039】
一対の支持体12の夫々は、上端部が車体左右方向視でV字状に切り欠かれており、コアaを載置支持した状態では、V字状に切り欠くことで形成された一対の傾斜面に亘ってコアaが載置支持されている。
【0040】
移動操作手段13は、台車本体11に対して車体前後方向及び車体左右方向に移動自在なスライドテーブル16と、このスライドテーブル16に支持されて一対の支持体12をスライドテーブル16に対して上下方向に移動操作する昇降駆動手段としての支持アーム17とを備えて構成されている。
スライドテーブル16は、一対の支持体12を各別に支持するように車体前後方向に一対並設されており、一対のスライドテーブル16の夫々は、台車本体11に対して車体前後方向及び車体左右方向に移動自在な状態で台車本体11に支持され且つ支持アーム17を介して支持体12を上下移動操作自在に支持している。
つまり、移動操作手段13は、一対のスライドテーブル16を各別に作動させることで、一対の支持体12を各別に車体前後方向及び車体左右方向に移動操作し、また、一対の支持アーム17を各別に作動させることで、一対の支持体12を各別に上下方向に移動操作するように構成されている。そして、移動操作手段13の制御手段Hによる制御は、一対の支持アーム17の夫々の車体前後方向、車体左右方向及び上下方向の位置を検出する位置検出手段(図示せず)の検出情報に基づいて各方向毎に各別にフィードバック制御される。
【0041】
撮像装置14は、台車本体11を設定停止位置に停止させた状態で、1つの撮像装置14にてロール体保持装置2の支持ピン4と移載対象のロール体Aのコアaとを同時に1つの撮像範囲内に収めて撮像するように台車本体11に備えられている。
撮像装置14にて撮像される移載対象のロール体Aとは、ロール体用搬送車1からロール体保持装置2にロール体Aを受け渡す場合では、ロール体用搬送車1の一対の支持体12にて載置支持されているロール体Aであり、ロール体用搬送車1がロール体保持装置2からロール体Aを受け取る場合は、ロール体保持装置2の一対の支持ピン4にて保持されているロール体Aである。
【0042】
そして、撮像装置14として、台車本体11を設定停止位置に停止させた状態で一対の支持ピン4の一方とコアaの一端部とを撮像する一対の撮像装置14と、台車本体11を設定停止位置に停止させた状態で一対の支持ピン4の他方とコアaの他端部とを撮像する一対の撮像装置14との計4台の撮像装置14が台車本体11に設けられている。一対の撮像装置14は、車両前後方向視において撮像方向が交差する状態に設けられている。
これら4台の撮像装置14は、台車本体11に立設された支持棒18の上端部に高さ調節可能で且つ向き調節可能に支持されている。
【0043】
制御手段Hは、台車本体11を設定停止位置に走行させる又は台車本体11を設定停止位置から走行させるべく台車本体11の作動を制御する走行制御処理と、一対の支持体12に支持されている移載対象のロール体Aのコアaにおける軸心を一対の支持ピン4について設定された受け渡し用目標位置に位置させるべく、移動操作手段13の作動を制御する受け渡し用の位置合わせ処理と、ロール体保持装置2に保持されている移載対象のロール体Aのコアaにおける外周面を一対の支持体12にて載置支持するべく、移動操作手段13の作動を制御する受け取り用の位置合わせ処理とを実行するように構成されている。
【0044】
また、制御手段Hは、撮像装置14の撮像情報に基づいて、コアaにおける外周面の位置情報を取得する位置取得処理と、コアaにおける外径寸法情報を取得する外径寸法取得処理とを実行するように構成されている。ちなみに、本実施形態では、制御手段H及び4台の撮像装置14のうちの一つが、移載対象のロール体Aのコアaにおける外周面の位置を取得する外周面位置取得手段21として設けられている。また、制御手段H及び4台の撮像装置14のうちの一つが、移載対象のロール体Aのコアaにおける外径寸法を取得する外径寸法取得手段22としても設けられている。
【0045】
そして、制御手段Hには、予め設定された設定位置に支持体12を位置させた状態で撮像装置14にて撮像された画像における当該支持体12にて載置支持されたコアaの径方向の端部の撮像位置とコアaの外径寸法との関係を示す受け渡し用関係情報、及び、設定停止位置に台車本体11が停止した状態で撮像装置14にて撮像された画像におけるコアaの径方向の端部の撮像位置と支持ピン4の大径部6の径方向の端部の撮像位置との差を端部ずれ量G2として、その端部ずれ量G2とコアaの外径寸法との関係を示す受け取り用関係情報が、予め記憶されている。
【0046】
受け渡し用関係情報について説明を加えると、図7及び図8に示すように、予め設定された設定位置に支持体12を位置させた状態においてその支持体12に載置支持されたコアaを撮像した場合、その撮像された画像におけるコアaの径方向の端部の位置は、そのコアaの外径寸法の大きさに対応する。
よって、制御手段Hは、画像におけるコアaの径方向の端部の位置とそのコアaの外径寸法の大きさとの関係を示す受け渡し用関係情報を予め記憶しておくことで、その受け渡し用関係情報と画像におけるコアaの径方向の端部の位置とから現実のコアaの外径寸法情報を取得することができる。ちなみに、図9は、画像におけるコアaの径方向の端部の位置とそのコアaの外径寸法の大きさとの関係を示したグラフである。
【0047】
受け取り用関係情報について説明を加えると、同じロール体保持装置2からロール体Aを受け取る場合はそのロール体保持装置2の支持ピン4における大径部6の外径寸法は変化がないため、コアaの径方向の端部の撮像位置と支持ピン4の大径部6の径方向の端部の撮像位置との差(端部ずれ量)は保持するコアaの外径寸法の大きさに対応する。つまり、制御手段Hは、支持ピン4の大径部6の外径寸法を予め記憶しておくことで、この大径部6の外径寸法から端部ずれ量の2倍したものを減算することで画像上におけるコアaの外径寸法を取得し、その画像上におけるコアaの外径寸法に換算用の補正値を乗算することで現実のコアaの外径寸法を取得することができるようになっている。
【0048】
コアaにおける外周面の位置については、ロール体保持装置2にロール体Aを受け渡すときは、一対の支持体12を設定位置に位置させた状態でその支持体12に載置支持されているコアaを撮像し、その撮像した画像におけるコアaの径方向の一方側端部の位置を、コアaにおける外周面の位置としている。また、ロール体保持装置2からロール体Aを受け取るときは、台車本体11が設定停止位置に停止させた状態で一対の支持ピン4に支持されているコアaを撮像し、その撮像した画像におけるコアaの径方向の一方側端部の位置を、コアaにおける外周面の位置としている。つまり、制御手段Hは、受け渡すとき受け取るときにはいずれにおいても、撮像装置14にて撮像した画像からコアaにおける外周面の位置を取得することができるようになっている。
【0049】
コアaの外径寸法やコアaにおける外周面の位置を取得する場合に、撮像した画像におけるコアaの径方向の両端部のうち、コアaの径方向の両端部のうちの支持体12から離れる上方側に位置する端部を用いている。
つまり、コアaの上部は、生産設備の天井等に設けられた照明等により照らされ、コアaの下部は、自身により影となるため、コアaを撮像装置14にて撮像した場合に、照らされるコアaの上部においては画像処理により端部を判別し易いが、影となるコアaの下部においては画像処理により端部を判別し難い。また、撮像された画像におけるコアaの上部に位置する端部は、コアaの下部に位置する端部に比べて、そのコアaの外径寸法の大きさにより端部位置が大きく異なる。
そこで、コアaの外径寸法やコアaにおける外周面の位置を取得する場合には、コアaの径方向の両端部のうちの支持体12から離れる上方側に位置する端部を用いている。尚、支持ピン4の大径部6についても同様に径方向の両端部のうちの上方側に位置する端部を用いている。
【0050】
ロール体用搬送車1がロール体保持装置2との間でロール体Aを授受する場合の制御手段Hの制御について図12に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、走行制御処理を実行して走行台車を設定停止位置に走行させる(S1)。ちなみに、ロール体保持装置2にロール体Aに受け渡す場合では、一対の支持体12にロール体Aが載置支持されており、ロール体保持装置2にはロール体Aは保持されていない。また、ロール体保持装置2からロール体Aを受け取る場合では、一対の支持体12にはロール体Aは載置支持されておらず、ロール体保持装置2の一対の支持ピンにてロール体Aが保持されている。
【0051】
ロール体保持装置2にロール体Aに受け渡す場合は、まず、一対の支持体12を設定位置に位置させた状態で当該一対の支持体12にて載置支持されたコアaを撮像装置14にて撮像し、受け渡し用の位置取得処理を実行して、その撮像装置14にて撮像されたコアaにおける径方向の端部の撮像位置に基づいて移載対象のロール体Aのコアaにおける外周面の位置情報を取得する(S2,S3)。次に、受け渡し用の外径寸法取得処理を実行して、撮像装置14にて撮像されたコアaの径方向の端部の撮像位置と受け渡し用関係情報とからコアaの外径寸法を取得する(S4)。
ちなみに、ロール体Aを受け渡すときの位置取得処理や外径寸法取得処理は、走行制御処理の実行開始前や実行中等、一対の支持体12にて移載対象のロール体Aを載置支持している状態で実行することができる。
【0052】
その後、4台の撮像装置14にて撮像された画像から得られたコアaの外周面の位置情報と外径寸法情報とに基づいて、移動操作手段13の作動を制御する受け渡し用の位置合わせ処理を実行して、一対の支持体12にて載置支持した移載対象のロール体Aのコアaを一対の支持ピン4に対応した位置に移動させる(S5)。一対の支持ピン4に対応した位置とは、一対の支持ピン4がコアaに対して挿入可能な位置であり、具体的には、ロール体Aのコアaの軸心が一対の支持ピン4の軸心と一直線上に並び且つ一対の支持ピン4とコアaの両端との間隔が均等になる位置である。本実施形態では、コアaにおける径方向の一方側端部の位置と大径部6における径方向の一方側の端部の位置との差G1(図10参照)が、コアaの外径寸法情報に対応する値となる位置である。
【0053】
受け渡し用位置合わせ処理を実行して移載対象のロール体Aのコアaを一対の支持ピン4に対応した位置に移動させた後は、通信装置15にて受け渡し準備完了の信号をロール体保持装置2に送信するべく通信装置15の作動を制御し、ロール体保持装置2からの保持完了の信号を受信すると、ロール体Aの受け渡しが完了する(S6,S7)。
ちなみに、ロール体保持装置2は、受け渡し準備完了の信号を受信すると、一対の支持ピン4を抜出位置から挿入位置に接近移動させて一対の支持ピン4をコアaの両端部に挿入させた後、一対の支持ピン4の小径部5を大径状態に切り換えて、一対の支持ピン4にてロール体Aを保持する。このようにロール体Aの保持が完了すると、ロール体保持装置2は、図外の通信手段にて保持完了の信号をロール体用搬送車1に送信するように構成されている。
【0054】
ロール体保持装置2からロール体Aを受け取る場合は、まず、設定停止位置に台車本体11が停止した状態で撮像装置14にてロール体保持装置2に保持されたロール体A及びロール体保持装置2における大径部6を撮像し、受け取り用の位置取得処理を実行して、撮像された画像におけるコアaの径方向の端部の位置と支持ピン4の大径部6の径方向の端部の位置とに基づいて移載対象のロール体Aのコアaにおける外周面の位置情報及び支持ピン4の大径部6の外周面の径方向の端部の位置情報を取得する(S2,S8)。次に、コアaの外周面の位置情報と大径部6の外周面の位置情報との端部ずれ量G2(図11参照)を取得し、外径寸法取得処理を実行して、その端部ずれ量G2と受け取り用関係情報とからコアaの外径寸法情報を取得する(S9)。
【0055】
その後、4台の撮像装置14にて撮像された画像から得られたコアaの外周面の位置情報と外径寸法情報とに基づいて、移動操作手段13の作動を制御する受け取り用の位置合わせ処理を実行して、一対の支持体12をロール体保持装置2に保持されたロール体Aのコアaの外周面を載置支持する位置に移動させる(S10)。ちなみに、ロール体保持装置2に保持されたロール体Aのコアaの外周面を載置支持する位置とは、支持体12の上部に形成された一対の傾斜面の両方がロール体Aのコアaの外周面に接触する位置である。
【0056】
受け取り用の位置合わせ処理を実行して一対の支持体12をロール体保持装置2に保持されたロール体Aのコアaの外周面に接触する位置に移動させた後は、通信装置15にて受け取り準備完了の信号をロール体保持装置2に送信するべく通信装置15の作動を制御し、ロール体保持装置2からの保持解除完了の信号を受信すると、ロール体Aの受け取りが完了する(S11,S12)。
ちなみに、ロール体保持装置2は、受け取り準備完了の信号を受信すると、一対の支持ピン4の小径部5を小径状態に切り換えた後、一対の支持ピン4を挿入位置から抜出位置に離間移動させて一対の支持ピン4をコアaの両端部から抜出させて、ロール体Aに対する保持を解除する。このようにロール体Aに対する保持の解除が完了すると、ロール体保持装置2は、図外の通信手段にて保持解除完了の信号をロール体用搬送車1に送信するように構成されている。
【0057】
上述の如く、コアaにおける外周面の位置情報及びコアaにおける外径寸法情報に基づいて位置合わせ処理を実行することで、ロール体保持装置2にロール体Aを受け渡す場合及びロール体保持装置2からロール体Aを受け取る場合において、コアaの外径寸法が異なる複数種のロール体Aを適切に移載することができる。
【0058】
〔別実施形態〕
(1) 上記実施形態では、ロール体用搬送車1にて、ロール体保持装置2へのロール体Aの受け渡しとロール体保持装置2からのロール体Aの受け取りとの両方を行ったが、ロール体Aの受け渡しと受け取りとのいずれか一方のみを行うようにしてもよい。
また、上記実施形態のようにロール体Aの受け渡しとロール体Aの受け取りとの両方を行い、その両方の場合においてコアaにおける外周面の位置情報及びコアaにおける外径寸法情報に基づいて位置合わせ処理を実行したが、ロール体Aを受け渡す場合と受け取る場合のいずれか一方の場合のみにおいて、コアaにおける外周面の位置情報及びコアaにおける外径寸法情報に基づいて位置合わせ処理を実行してもよい。具体的には、例えば、コアaに外周面における両方側の端部を判別できるときは、ロール体保持装置2にロール体Aを受け渡す場合に、従来のロール体用搬送車のようにコアaにおける外周面の位置情報のみに基づいて受け渡し用の位置合わせ処理を実行し、ロール体保持装置2からロール体Aを受け取る場合に、コアaにおける外周面の位置情報及びコアaにおける外径寸法情報に基づいて受け取り用の位置合わせ処理を実行するようにしてもよい。
【0059】
(2) 上記実施形態では、撮像装置14及び制御手段Hを、外周面位置取得手段21及び外径寸法取得手段22としたが、外周面位置取得手段21として別途センサを設ける、又は、外径寸法取得手段22として、受け取り用関係情報や受け渡し用関係情報が記憶されている外部の装置と通信する通信手段を設ける等により、外周面位置取得手段21と外径寸法取得手段22とのうちの一方又は両方を、撮像装置14及び制御手段Hとは別の手段にて構成してもよい。
また、受け取り用関係情報や受け渡し用関係情報を用いる代わりに、移載対象のロール体Aにおけるコアaの外径寸法を把握している上位のコントローラ等の装置からコアaの外径情報をロール体用搬送車1に備えた外径寸法取得手段22としての受信装置に送信するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、4つの撮像装置14のうちの一つを外周面位置取得手段21及び外径寸法取得手段22として設けたが、4つの撮像装置14のうちの2つ以上を外周面位置取得手段21及び外径寸法取得手段22として設けてもよい。
【0060】
(3) 上記実施形態では、コアaの外径寸法やコアaにおける外周面の位置を取得する場合に、コアaの径方向の両端部のうちの支持体12から離れる上方側に位置する端部を用いたが、端部を判別できる場合は、コアaの径方向の両端部のうちの支持体12に近い下方側に位置する端部を用いてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 ロール体用搬送車
2 ロール体保持装置
4 挿入部
5 先端部
6 基端部
12 支持体
13 移動操作手段
14 撮像手段
21 外周面位置取得手段
22 外径寸法取得手段
a 軸部
b シート材
A ロール体
H 制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の軸部にシート材が巻回されたロール体を保持するロール体保持装置との間で前記ロール体の受け渡しを行って前記ロール体を移載するロール体用搬送車であって、
前記ロール体として、前記軸部の外径寸法が異なる複数種のロール体を移載対象とし、
前記ロール体保持装置が、互いに遠近離間移動自在な一対の挿入部を、前記一対の挿入部を互いに遠近移動させて、前記一対の挿入部を前記軸部に対して両端部から挿入させた挿入位置と、前記一対の挿入部を互いに離間移動させて前記一対の挿入部を前記軸部から抜出させる抜出位置とに移動自在に備えて構成され、
走行自在な台車本体に、
前記ロール体の軸心方向において前記シート材から両側に突出する前記軸部の両端部の外周面を載置支持する一対の支持体と、
前記一対の支持体を前記台車本体に対して前記軸心方向と交差する方向に移動操作する移動操作手段と、
前記移動操作手段の作動を制御する制御手段と、
移載対象の前記ロール体の前記軸部における外周面の位置を取得する外周面位置取得手段と、
移載対象の前記ロール体の前記軸部における外径寸法を取得する外径寸法取得手段とが設けられ、
前記制御手段が、
前記ロール体保持装置に前記ロール体を受け渡す場合に、前記一対の支持体に支持されている移載対象の前記ロール体の前記軸部における軸心を、前記一対の挿入部について設定された受け渡し用目標位置に位置させるべく、前記外周面位置取得手段にて取得された前記軸部における外周面の位置情報及び前記外径寸法取得手段にて取得された前記軸部における外径寸法情報に基づいて、前記移動操作手段の作動を制御する受け渡し用の位置合わせ処理を実行するように構成されているロール体用搬送車。
【請求項2】
前記軸部を撮像する撮像手段及び前記制御手段が、前記外周面位置取得手段及び前記外径寸法取得手段として設けられ、
前記制御手段が、
前記撮像手段の撮像情報に基づいて、前記軸部における外周面の位置情報を取得する位置取得処理と、前記軸部における外径寸法情報を取得する外径寸法取得処理とを実行するように構成されている請求項1記載のロール体用搬送車。
【請求項3】
前記撮像手段が、前記ロール体保持装置との間でロール体を移載する位置として設定された設定停止位置に前記台車本体が停止した状態で、前記ロール体保持装置の前記挿入部及び移載対象の前記ロール体の前記軸部を撮像する位置に設けられ、
予め設定された設定位置に前記一対の支持体を位置させた状態で前記撮像手段にて撮像された画像における当該一対の支持体にて載置支持された前記軸部の径方向の端部の撮像位置と前記軸部の外径寸法との関係を示す受け渡し用関係情報が、前記制御手段に予め記憶され、
前記制御手段が、
前記ロール体保持装置に前記ロール体を受け渡す場合は、
前記一対の支持体を設定位置に位置させた状態で当該一対の支持体にて載置支持された移載対象のロール体の前記軸部を前記撮像手段にて撮像し、その撮像手段にて撮像された前記軸部における径方向の端部の撮像位置に基づいて、移載対象の前記ロール体の前記軸部における外周面の位置情報を取得する前記位置取得処理を実行し、
前記軸部における外周面の位置情報と前記受け渡し用関係情報とから前記軸部の外径寸法情報を取得する前記外径寸法取得処理を実行し、
前記軸部の外周面の位置情報と前記外径寸法情報とに基づいて、前記一対の支持体にて載置支持した前記軸部の軸心を受け渡し用目標位置に移動させるべく、前記移動操作手段の作動を制御する前記受け渡し用の位置合わせ処理を実行するように構成されている請求項2記載のロール体用搬送車。
【請求項4】
円筒状の軸部にシート材が巻回されたロール体を保持するロール体保持装置との間で前記ロール体の受け取りを行って前記ロール体を移載するロール体用搬送車であって、
前記ロール体として、前記軸部の外径寸法が異なる複数種のロール体を移載対象とし、
前記ロール体保持装置が、互いに遠近離間移動自在な一対の挿入部を、前記一対の挿入部を互いに遠近移動させて、前記一対の挿入部を前記軸部に対して両端部から挿入させた挿入位置と、前記一対の挿入部を互いに離間移動させて前記一対の挿入部を前記軸部から抜出させる抜出位置とに移動自在に備えて構成され、
走行自在な台車本体に、
前記ロール体の軸心方向において前記シート材から両側に突出する前記軸部の両端部の外周面を載置支持する一対の支持体と、
前記一対の支持体を前記台車本体に対して前記軸心方向と交差する方向に移動操作する移動操作手段と、
前記移動操作手段の作動を制御する制御手段と、
移載対象の前記ロール体の前記軸部における外周面の位置を取得する外周面位置取得手段と、
移載対象の前記ロール体の前記軸部における外径寸法を取得する外径寸法取得手段とが設けられ、
前記制御手段が、
前記ロール体保持装置から前記ロール体を受け取る場合に、前記ロール体保持装置に保持されている移載対象の前記ロール体の前記軸部における外周面を前記一対の支持体にて載置支持させるべく、前記外周面位置取得手段にて取得された前記軸部における外周面の位置情報及び前記外径寸法取得手段にて取得された前記軸部における外径寸法情報に基づいて、前記移動操作手段の作動を制御する受け取り用の位置合わせ処理を実行するように構成されているロール体用搬送車。
【請求項5】
前記軸部を撮像する撮像手段及び前記制御手段が、前記外周面位置取得手段及び前記外径寸法取得手段として設けられ、
前記制御手段が、
前記撮像手段の撮像情報に基づいて、前記軸部における外周面の位置情報を取得する位置取得処理と、前記軸部における外径寸法情報を取得する外径寸法取得処理とを実行するように構成されている請求項4記載のロール体用搬送車。
【請求項6】
前記挿入位置が、前記挿入部における先端部が前記軸部に挿入され且つ前記挿入部における基端部が前記軸部に挿入されない位置に設定され、
前記撮像手段が、前記ロール体保持装置との間でロール体を移載する位置として設定された設定停止位置に前記台車本体が停止した状態で、前記ロール体保持装置の前記挿入部の前記基端部及び移載対象の前記ロール体の前記軸部を撮像する位置に設けられ、
前記設定停止位置に前記台車本体が停止した状態で前記撮像手段にて撮像された画像における前記軸部の径方向の端部の位置と前記挿入部の基端部の径方向の端部の位置との差を端部ずれ量として、その端部ずれ量と前記軸部の外径寸法との関係を示す受け取り用関係情報が、前記制御手段に予め記憶され、
前記制御手段が、
前記ロール体保持装置から前記ロール体を受け取る場合は、
前記設定停止位置に前記台車本体が停止した状態で前記撮像手段にて撮像された画像における前記軸部の径方向の端部の位置と前記挿入部の基端部の径方向の端部の位置とに基づいて、移載対象の前記ロール体の前記軸部における外周面の位置情報及び前記挿入部における基端部の外周面の位置情報とを取得する前記位置取得処理を実行し、
前記軸部における外周面の位置情報と前記基端部の外周面の位置情報と前記受け取り用関係情報とから前記軸部の外径寸法情報を取得する前記外径寸法取得処理を実行し、
前記軸部の外周面の位置情報と前記外径寸法情報とに基づいて、前記一対の支持体を前記ロール体保持装置に保持されたロール体のコアの外周面を載置支持する位置に移動させるべく、前記移動操作手段の作動を制御する前記受け取り用の位置合わせ処理を実行するように構成されている請求項5記載のロール体用搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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