説明

ロール媒体ホルダー、記録装置

【課題】装置の小型化を考慮したロール媒体ホルダーを提供すること。
【解決手段】ロール媒体ホルダー7、7は、ロール媒体(R)の内側に挿入され、ロール媒体(R)を支持する支持部8、8と、該支持部8、8よりロール媒体(R)の幅方向外側に設けられ、ロール媒体(R)の側端と接触するフランジ10、10と、該フランジ10、10の外周に設けられ、該フランジ10、10に対して相対的に回転可能な外輪部13、13と、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール媒体を保持するロール媒体ホルダー、および該ロール媒体ホルダーに保持されたロール媒体に記録を実行する記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンター、ワイヤドットプリンター、レーザープリンター、ラインプリンター、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1に示す如く、ロール媒体ホルダーは、ロール媒体を保持することができるように設けられていた。
また、特許文献2および特許文献3に示す如く、ロール媒体ホルダーは、記録装置に設けられていた。さらに、ロール媒体ホルダーは、ロール媒体の幅方向にスライド可能に設けられていた。
【0003】
図6(A)(B)に示すのは、従来技術のロール紙ホルダー装置を示す図である。このうち、図6(A)はロール紙をセットする前の状態を示す図である。一方、図6(B)はロール紙をセットしたときの状態を示す図である。
図6(A)(B)に示す如く、従来技術のロール紙ホルダー装置40は、第1ホルダー42と、第2ホルダー43と、スライド機構44とを備えていた。このうち、第1ホルダー42は、ロール紙41の一端側を保持することができるように設けられていた。また、第2ホルダー43は、ロール紙41の他端側を保持することができるように設けられていた。またさらに、スライド機構44は、ガイド軸45と、スライド部46とを有していた。スライド部46には第2ホルダー43に挿入される軸が設けられており、スライド部46はガイド軸45に案内されながら幅方向にスライド可能に設けられていた。
【0004】
図6(A)に示す如く、ロール紙41をセットする際、ユーザーは、第1ホルダー42と、第2ホルダー43との間にロール紙41を移動させる。そして、第1ホルダー42の一部がロール紙41の一端側の芯の内側に入るように装着する。同様に、第2ホルダー43がロール紙41の他端側の芯の内側に入るように装着する。
そして、図6(B)に示す如く、ロール紙を所定の位置に移動させ、スライド部46を第1ホルダー側へスライドさせる。このとき、第1ホルダー42に軸が挿入される。同様に、第2ホルダー43に軸が挿入される。このようにして、ロール紙41がセットされる構成だった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−173428号公報
【特許文献2】特開2010−110965号公報
【特許文献3】特開2009−234668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スライド機構44を有しているため、幅方向におけるロール紙41の長さに対して、ロール紙ホルダー装置40の長さが無駄に長い構成であった。そして、ロール紙ホルダー装置40の小型化の妨げとなっていた。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、装置の小型化を考慮したロール媒体ホルダー、および該ロール媒体ホルダーに保持されたロール媒体に記録を実行する記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様のロール媒体ホルダーは、ロール媒体の内側に挿入され、ロール媒体を支持する支持部と、該支持部よりロール媒体の幅方向外側に設けられ、ロール媒体の側端と接触するフランジと、該フランジの外周に設けられ、該フランジに対して相対的に回転可能な外輪部と、を備えていることを特徴とする。
本態様によれば、前記外輪部が記録装置本体に支持されてセットされる構成とすることができる。その結果、従来技術のスライド機構を必要としないため、小型化できる。即ち、前記ロール媒体ホルダーをロール媒体に装着し、記録装置本体における所定位置にそのまま置くだけで、ロール媒体のセットを完了することができる。
また、ロール媒体の始端の位置を動かさずに、前記外輪部を車輪として転がして移動することができるので、使い勝手がよい。
【0009】
例えば、前記ロール媒体ホルダーをロール媒体に装着し、床や机の上に置いた状態で、ロール媒体の始端の位置を動かさずに、前記外輪部を車輪として転がして、ロール媒体およびロール媒体ホルダーを移動させることができる。そして、ロール媒体の解かれた始端側の長さを調整することができる。また、前記床や机の上に置いた状態で、ロール媒体およびロール媒体ホルダーの位置を動かさずに、前記外輪部に対して前記フランジを回転させ、ロール媒体の始端の位置を変えることができる。
【0010】
即ち、ロール媒体ホルダーの位置を変えずに、容易に、ロール媒体の始端を引き出すようにロール媒体を解いたり、ロール媒体の始端を収納するようにロール媒体を巻いたりすることができる。
尚、前記外輪部の径が、ロール媒体の径より大径であるのは勿論である。また、前記外輪部は、前記フランジと直接接触し、摺動する構成でもよい。係る場合、接触箇所の摩擦抵抗が小さくなるように樹脂等を用いることは言うまでもない。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記フランジと、前記外輪部との間に、転動体が設けられており、該転動体、前記フランジおよび前記外輪部が転がり軸受け機構を構成することを特徴とする。
ここで、「転がり軸受け機構」とは、二つの部材の間に転動体が設けられ、二つの部材が相対的に移動・回転する際、前記転動体が回転することにより、二つの部材の間における摩擦抵抗を小さくし、前記相対的な移動・回転を滑らかにする機構をいう。例えば、ボールベアリングやニードルベアリングを挙げることができる。
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記転がり軸受け機構を構成するので、前記外輪部と、前記フランジとの間の摩擦抵抗を小さくすることができる。従って、容易に前記相対的に回転することができる。
【0012】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、前記転がり軸受け機構は、ニードルベアリングであることを特徴とする。
ここで、「ニードルベアリング」は、「ころ軸受け」の一種であり、「ころ」の形状が「針状」のものをいう。組み込まれている「ころ」がJISの既定する「針状ころ」の範囲を多少超えるものも「ニードルベアリング」と呼ばれている。また、「ころ軸受け」は、「転がり軸受け」の下位概念であり、「玉軸受け」である所謂、ボールベアリングと大別される。
本態様によれば、第2の態様と同様の作用効果に加え、ボールベアリングと比較して耐久性に優れている。従って、重いロール媒体を支持する構成に特に適している。
【0013】
本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれか一の態様において、前記フランジには、ロール媒体を送る媒体送り装置本体側から動力を受ける被動力伝達部が設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、第1から第3のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記ロール媒体ホルダーが装着されたロール媒体が、前記媒体送り装置の所定位置にセットされたとき、前記媒体送り装置側から動力を受けて、前記フランジ、前記支持部およびロール媒体を回転させることができる。その結果、動力伝達を簡単な構造で実現することができる。
【0014】
本発明の第5の態様の記録装置は、ロール状に巻かれたロール媒体を解いて送る媒体送り手段と、該媒体送り手段により送られるロール媒体に対して記録する記録部と、を備えた記録装置であって、上記第1から第4のいずれか一の態様のロール媒体ホルダーが装着されたロール媒体が、所定位置にセットされる構成であることを特徴とする。
本態様によれば、前記記録装置は、前記所定位置において前記ロール媒体ホルダーの前記外輪部を支持する構成とすることができる。従って、従来技術のスライド機構を必要としないため、小型化できる。即ち、前記ロール媒体ホルダーをロール媒体に装着し、記録装置本体における前記所定位置にそのまま置くだけで、ロール媒体のセットを完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例のプリンター全体の概略を示す側面図。
【図2】(A)(B)は本実施例のロール媒体ホルダーの概略を示す正面図。
【図3】(A)(B)は本実施例のロール媒体ホルダーの概略を示す図。
【図4】(A)(B)は本実施例のロール媒体ホルダーの動作を示す側面図。
【図5】(A)(B)は本実施例のロール媒体ホルダーをセットした状態を示す図。
【図6】(A)(B)は従来技術のロール紙ホルダー装置を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本発明に係る「記録装置」或いは「液体噴射装置」の一例としてのインクジェットプリンター(以下「プリンター」と言う)1の全体の概略を示す側面図である。
ここで、液体噴射装置とは、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射して被記録材への記録を実行するインクジェット式記録装置、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えて特定の用途に対応する液体を前述した記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録材に相当する被噴射材に噴射して、液体を被噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0017】
またさらに、液体噴射ヘッドとしては、前述した記録ヘッド以外に、液晶ディスプレイ等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料を噴射する試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0018】
図1に示す如く、プリンター1は、媒体送り手段2と、搬送部16と、記録部19と、乾燥部23と、媒体巻き取り手段25とを備えている。このうち、媒体送り手段2は、被噴射媒体および被記録媒体の一例であるロール状のロール紙Rを解いて搬送部16へ給送することができるように設けられている。
具体的には、第1所定位置3にセットされるロール媒体ホルダー7、7を有し、ロール媒体ホルダー7、7がロール状のロール紙Rを保持している。そして、ロール状のロール紙Rを回動させることにより、送り方向下流側の搬送部16へ解いたロール紙Rを給送することができるように構成されている。
尚、詳しくは後述するが、ロール媒体ホルダー7、7が駆動する構成でもよいし、従動回転する構成でもよい。
また、本実施例では、被記録媒体の一例としてロール紙Rを挙げて説明するが、ロール状のフィルム材でもよいのは勿論である。
【0019】
また、搬送部16は、媒体送り手段2から送られたロール紙Rを記録部19へ搬送することができるように設けられている。具体的には、第1送りローラー17を有し、送られたロール紙Rをさらに送り方向下流側の記録部19へ搬送することができるように構成されている。
またさらに、記録部19は、搬送部16から送られたロール紙Rに対して液体の一例であるインクを吐出して記録を実行することができるように設けられている。
【0020】
具体的には、記録部19は、媒体支持部22と、キャリッジ20と、記録ヘッド21とを有している。このうち、媒体支持部22は、ロール紙Rを裏面から支持することができるように設けられている。また、キャリッジ20は、媒体支持部22と対向し、図示しない第1ガイド軸に案内されながら、図示しないキャリッジモーターの動力によって、ロール紙Rの送り方向Yに対する幅方向Xに移動することができるように設けられている。
【0021】
また、記録ヘッド21は、キャリッジ20に設けられ、幅方向Xにおいてキャリッジ20と一体に移動することができるように設けられている。さらに、記録ヘッド21は、送り方向Yにおいて、キャリッジ20に対して相対的に移動することができるように構成されている。具体的には、図示しない第2ガイド軸に案内されながら、図示しない記録ヘッドモーターの動力によって、送り方向Yに移動することができるように設けられている。即ち、記録ヘッド21は、媒体支持部22と対向する範囲において、送り方向Yおよび幅方向Xへ移動することができるように構成されている。そして、記録ヘッド21における媒体支持部22と対向する面に設けられたノズル列33からインクを吐出することにより、ロール紙Rに記録を実行することができる。
【0022】
またさらに、媒体支持部22より送り方向下流側には、第2送りローラー18が設けられている。そして、第2送りローラー18は、記録されたロール紙Rを送り方向下流側である乾燥部23へ送ることができるように構成されている。
また、乾燥部23は、ロール紙Rに吐出されたインクにおけるインク成分中の水分や有機溶剤を蒸発させることできるように構成されている。ここで、有機溶剤とは、インクに含まれている水分以外の液体をいう。
【0023】
また、乾燥部23の出口近傍には、第3送りローラー24が設けられている。第3送りローラー24は、ロール紙Rの裏面と接触するように配設され、送り方向下流側である媒体巻き取り手段25へロール紙Rを送ることができるように構成されている。
またさらに、媒体巻き取り手段25は、乾燥部23から送られたロール紙Rをさらに送り方向下流側へ送り、巻き取ることができるように設けられている。具体的には、媒体巻き取り手段25は、第4送りローラー26と、第5送りローラー27と、第6送りローラー28と、第7送りローラー29と、巻き取りローラー30と、ロール媒体ホルダー7、7とを有している。
【0024】
このうち、第4送りローラー26および第5送りローラー27は、ロール紙Rの表面と接触するように配設されている。また、第6送りローラー28および第7送りローラー29はローラー対を成すように配設されている。そして、第6送りローラー28および第7送りローラー29によって送られたロール紙Rは、巻き取りローラー30によって巻き取られるように設けられている。またさらに、ロール媒体ホルダー7、7は、巻き取りローラー30を保持することができるように設けられている。また、媒体巻き取り手段25のロール媒体ホルダー7、7は、第2所定位置31にセットされるように構成されている。またさらに、媒体巻き取り手段25のロール媒体ホルダー7、7は、駆動してロール紙Rを巻き取るように設けられている。
【0025】
続いて、ロール媒体ホルダー7、7のセットの仕方について詳しく説明する。
図2(A)(B)に示すのは、本実施例のロール媒体ホルダーの概略を示す正面図である。このうち、図2(A)はセットする前の状態である。一方、図2(B)はセットした状態である。
図2(A)に示す如く、ロール媒体ホルダー7は、支持部8と、フランジ10と、外輪部13とを備えている。このうち、支持部8は、ロール紙Rの芯R2の内側に挿入され、芯R2の内周と接触してロール紙Rを支持することができるように設けられている。また、フランジ10は、ロール紙Rの側端と接触することができるように設けられている。これは、ロール紙Rが緩んだとき、緩んだロール紙Rが幅方向Xにずれないようにするためである。またさらに、外輪部13は、フランジ10の外周に設けられており、フランジ10に対して相対的に回転可能に構成されている。
【0026】
また、媒体送り手段2のロール媒体ホルダー7、7がセットされる第1所定位置3には、載置部4が設けられている。さらに、載置部4には、凹部5、5が形成されている。凹部5、5は、外輪部13、13の位置を安定させることができるように設けられている。また、凹部5、5が外輪部13、13を支持した状態では、フランジ10およびロール紙Rが載置部4と接触しないように構成されている。
ロール媒体ホルダー7、7のセットする手順としては、先ず、ロール紙Rの幅方向両側から一対のロール媒体ホルダー7、7をロール紙Rに装着する。この際、後述するロール媒体ホルダー7の支持部8に設けられた揺動部9の姿勢を調整して、該揺動部9が芯R2の内周にぴったりとフィットするようにする。
【0027】
次に、図2(B)に示す如く、一対のロール媒体ホルダー7、7が装着されたロール紙Rを、第1所定位置3にセットする。このとき、外輪部13、13が凹部5、5に嵌るように、前記装着されたロール紙Rを置くだけでよい。前述したように、フランジ10およびロール紙Rが載置部4と接触しない構成となっているので、セットされた状態では、支持部8、フランジ10およびロール紙Rは、回転することができる。即ち、ロール紙Rを解いて送ることができる。
【0028】
従って、前述した従来技術のようなスライド機構を必要としない。その結果、幅方向Xにコンパクトなプリンター1とすることができる。
尚、凹部5は、対応するロール紙サイズの数に応じて、3つ以上設けることができる。係る場合、ロール紙サイズに応じて設ける位置を決めることは言うまでもない。
また、媒体送り手段2のロール媒体ホルダー7を第1所定位置3にセットすることについて説明したが、媒体巻き取り手段25のロール媒体ホルダー(7)を第2所定位置31にセットすることについても同様である。その説明は省略する。
【0029】
図3(A)(B)に示すのは、本実施例のロール媒体ホルダーの概略を示す図である。このうち、図3(A)は送り方向に対して横から見た側面図である。一方、図3(B)は送り方向から見た正面図である。
図3(A)に示す如く、ロール媒体ホルダー7は、転がり軸受け機構14を有している。転がり軸受け機構14は、外輪部13がフランジ10に対して相対的に回転可能にするために設けられている。本実施例では、転がり軸受け機構14は、一例としてニードルベアリング14aである。フランジ10と、外輪部13との間に、複数の転動体15、15…が周方向に略等間隔に配列されている。転動体15、15…は、図示しない保持部によって回転可能に保持されている。転動体15、15…が回転することにより、フランジ10と、外輪部13との間の摩擦抵抗を小さくし、前記相対的な回転を滑らかにすることができる。
【0030】
尚、ニードルベアリング14aとした理由は、ロール紙Rは比較的重く、転がり軸受け機構14の耐久性を考慮したためである。転動体15、15…をニードル、即ち、針形にすることにより、転動体15、15…と外輪部13の内周面との接触箇所を、比較的長い線とすることができる。また、転動体15、15…とフランジ10の外周面との接触箇所をも、比較的長い線とすることができる。これにより、ボールベアリングやコロベアリングとした場合と比較して、転動体15、15…が摩耗しにくいため耐久性がよい。
【0031】
図3(B)に示す如く、支持部8には、公知技術である複数の揺動部9が設けられている(特開2009−173428号公報)。揺動部9は、つまみ部12(図3(A)参照)を操作することにより、支持部8の放射方向遠方へ揺動することができるように構成されている。これにより、揺動部9を含む支持部8の径を、ロール紙Rの芯R2の内周にフィットするように調整することができる。
【0032】
また、フランジ10の外周面には、プリンター本体側からの動力を受ける被動力伝達部11の一例である第1ギア11aが形成されている。第1ギア11aは、後述するように、ロール媒体ホルダー7が第1所定位置3にセットされたとき、プリンター本体側の第2ギア6(図5参照)と噛み合うように設けられている。
尚、被動力伝達部11の一例として第1ギア11aを設けたが、これに限らない。動力を受けることができるゴムローラーでもよい。技術的思想としては、動力を受けてフランジ10を回転させることができればよい。従って、被動力伝達部11を設ける位置は、フランジ10の外周面に限らない。
【0033】
続いて、外輪部13を設けたことによる別の作用効果について説明する。
図4(A)(B)に示すのは、本実施例のロール媒体ホルダーの動作を示す側面図である。このうち、図4(A)は机や床の上でロール媒体ホルダーを転がす前の状態である。一方、図4(B)は図4(A)の状態からロール媒体ホルダーを転がしたときの様子を示す図である。
図4(A)(B)に示す如く、ロール媒体ホルダー7が装着されたロール紙Rを、第1所定位置3および第2所定位置31以外の床や机Tの上に置く場合がある。具体的には、第1所定位置3および第2所定位置31にセットする前や、第1所定位置3および第2所定位置31から移動させたとき、床や机Tの上に置く。そして、ユーザーが、送り側のロール紙Rの先端側(巻き取り側の場合は後端側)の解かれた部分の長さを調整する場合がある。
【0034】
ロール紙Rの先端側の解かれた部分の長さを長くしたい場合、ユーザーは、図4(A)に示す如く、片方の手で、ロール紙Rの先端R1を持つ。そして、もう片方の手で、ロール媒体ホルダー7を図4(A)から図4(B)に示す如く図中左側へ移動させる。このとき、外輪部13は、反時計方向へ回転する。ここで、前述したように外輪部13はフランジ10に対して相対的に回転可能に設けられている。従って、一方のフランジ10、支持部8およびロール紙Rは、時計方向へ回転することができる。その結果、ロール紙Rの先端側の解かれた部分の長さを長くすることができる。
【0035】
尚、図4(A)(B)では、ロール紙Rの先端R1の位置を動かさずに、ロール媒体ホルダー7の位置を動かすことにより、ロール紙Rの先端側の解かれた部分の長さを長くしたが、逆でもよい。言い換えると、ロール媒体ホルダー7の位置を動かさずに、ロール紙Rの先端R1の位置を図中右側へ動かすことにより、ロール紙Rを時計方向へ回転させて、ロール紙Rの先端側の解かれた部分の長さを長くしてもよい。
【0036】
また、ロール紙Rの先端側の解かれた部分の長さを短くしたい場合、ロール媒体ホルダー7の位置を動かさずに、ロール紙Rを図4(B)における反時計方向へ回転させることにより、ロール紙Rの先端側の解かれた部分の長さを短くすることができる。
尚、ロール紙Rの先端R1の位置を動かさずに、ロール紙Rを図4(B)における反時計方向へ回転させながら、ロール媒体ホルダー7の位置を図4(B)における右側へ動かすことにより、ロール紙Rの先端側の解かれた部分の長さを短くしてもよい。
【0037】
以上説明したように、外輪部13はフランジ10に対して相対的に回転可能に設けられているので、ユーザーは、ロール紙Rの先端側の解かれた部分の長さを容易に調整することができる。即ち、利便性がよい。
また、一対のロール媒体ホルダー7、7の一方の外輪部13のみを回転させることや、一方の外輪部13と他方の外輪部13とを互いに逆となる方向へ回転させることにより、ロール紙Rの向きを変えることができる。外輪部13が設けられていない構成と比較して、利便性が優れており、ロール紙Rが重い場合に特に効果的である。
【0038】
続いて、ロール媒体ホルダー7、7が装着されたロール紙Rが第1所定位置3にセットされた状態について説明する。
図5(A)(B)に示すのは、本実施例のロール媒体ホルダーをセットした状態を示す図である。このうち、図5(A)は送り方向に対して横から見た側面図である。一方、図5(B)は送り方向から見た正面図である。
【0039】
図5(A)(B)に示す如く、ロール媒体ホルダー7を第1所定位置3にセットした状態では、凹部5は、外輪部13の位置を安定させることができるように構成されている。即ち、外輪部13が凹部5に対して回転しない状態で、その位置に保持される。従って、ロール媒体ホルダー7、7が装着されたロール紙Rも、第1所定位置3に安定して保持される。
【0040】
また、第1ギア11aは、プリンター本体側のモーターの動力を伝達する動力伝達手段の一例である載置部側に設けられた第2ギア6と噛み合うように構成されている。第2ギア6は、プリンター本体の例えば搬送部16の搬送用モーターの動力によって回動するように設けられている。従って、フランジ10、支持部8およびロール紙Rは、第2ギア6からの動力を受けて駆動することができる。即ち、簡単な構成でロール媒体ホルダー7へ動力を伝達することができる。
【0041】
尚、第1所定位置3にセットされる媒体送り手段2のロール媒体ホルダー7について説明したが、第2所定位置31にセットされる媒体巻き取り手段25のロール媒体ホルダー(7)についても同様である。その説明は省略する。
また、前述したように、媒体送り手段2としては、ロール媒体ホルダー7が駆動する構成、従動回転する構成のどちらでもよい。
またさらに、幅方向Xにコンパクトなプリンター1とする作用効果を得るためには、ロール媒体ホルダー7に転がり軸受け機構14が設けられていない構成でもよいのは言うまでもない。
【0042】
本実施例のロール媒体ホルダー7は、ロール媒体の一例であるロール紙Rの内側に挿入され、ロール紙Rを支持する支持部8と、支持部8よりロール紙Rの幅方向外側に設けられ、ロール紙Rの側端と接触するフランジ10と、フランジ10の外周に設けられ、フランジ10に対して相対的に回転可能な外輪部13と、を備えていることを特徴とする。
また、本実施例において、フランジ10と、外輪部13との間に、転動体15、15…が設けられており、転動体15、15…、フランジ10および外輪部13が転がり軸受け機構14を構成することを特徴とする。
またさらに、本実施例において、転がり軸受け機構14は、ニードルベアリング14aであることを特徴とする。
【0043】
また、本実施例において、フランジ10には、ロール紙Rを送る媒体送り装置本体側としてのプリンター本体側から動力を受ける被動力伝達部11が設けられていることを特徴とする。
本実施例の記録装置としてのプリンター1は、ロール状に巻かれたロール紙Rを解いて送る媒体送り手段2と、媒体送り手段2により送られるロール紙Rに対して記録する記録部19と、を備えたプリンター1であって、ロール媒体ホルダー7が装着されたロール紙Rが、所定位置としての第1所定位置3にセットされる構成であることを特徴とする。
【0044】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0045】
1 プリンター、2 媒体送り手段、3 第1所定位置、4 載置部、5 凹部、
6 第2ギア、7 ロール媒体ホルダー、8 支持部、9 揺動部、10 フランジ、
11 被動力伝達部、11a 第1ギア、12 つまみ部、13 外輪部、
14 転がり軸受け機構、14a ニードルベアリング、15 転動体、16 搬送部、
17 第1送りローラー、18 第2送りローラー、19 記録部、20 キャリッジ、
21 記録ヘッド、22 媒体支持部、23 乾燥部、24 第3送りローラー、
25 媒体巻き取り手段、26 第4送りローラー、27 第5送りローラー、
28 第6送りローラー、29 第7送りローラー、30 巻き取りローラー、
31 第2所定位置、40 (従来技術の)ロール紙ホルダー装置、41 ロール紙、
42 第1ホルダー、43 第2ホルダー、44 スライド機構、45 ガイド軸、
46 スライド部、R ロール紙、R1 先端、R2 芯、T 机、X 幅方向、
Y 送り方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール媒体の内側に挿入され、ロール媒体を支持する支持部と、
該支持部よりロール媒体の幅方向外側に設けられ、ロール媒体の側端と接触するフランジと、
該フランジの外周に設けられ、該フランジに対して相対的に回転可能な外輪部と、を備えるロール媒体ホルダー。
【請求項2】
請求項1に記載のロール媒体ホルダーにおいて、前記フランジと、前記外輪部との間に、転動体が設けられており、
該転動体、前記フランジおよび前記外輪部が転がり軸受け機構を構成することを特徴とするロール媒体ホルダー。
【請求項3】
請求項2に記載のロール媒体ホルダーにおいて、前記転がり軸受け機構は、ニードルベアリングであることを特徴とするロール媒体ホルダー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のロール媒体ホルダーにおいて、前記フランジには、ロール媒体を送る媒体送り装置本体側から動力を受ける被動力伝達部が設けられていることを特徴とするロール媒体ホルダー。
【請求項5】
ロール状に巻かれたロール媒体を解いて送る媒体送り手段と、
該媒体送り手段により送られるロール媒体に対して記録する記録部と、を備えた記録装置であって、
請求項1から4のいずれか1項に記載のロール媒体ホルダーが装着されたロール媒体が、所定位置にセットされる構成である記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−96877(P2012−96877A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245226(P2010−245226)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】