説明

ロール媒体ホルダー装置、記録装置

【課題】ロール媒体のロール芯の芯口に嵌合部を嵌めて適切に保持することを考慮したロール媒体ホルダー装置を提供すること。
【解決手段】ロール媒体ホルダー装置51は、ガイド部(7)と、ホルダー部(3)と、を備え、該ホルダー部(3)は、前記ガイド部に対して摺動可能なベース部41と、該ベース部に対して前記幅方向へ移動可能でありロール媒体Rのロール芯11の芯口12に嵌る嵌合部13と、一端(42a)側が前記嵌合部13と接触し、前記幅方向におけるロール媒体側へ前記嵌合部13を前記ベース部41に対して付勢する弾性体(42)と、を備えており、前記弾性体42の前記一端(42a)と他端(42b)との位置関係が変わることにより、前記嵌合部13を前記ロール媒体側へ付勢する力Fの大きさが変わる構成であり、前記付勢する力Fの大きさが所定の大きさになったことを示す目印43があることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール媒体を保持するロール媒体ホルダー装置および該ロール媒体ホルダー装置を有する記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンター、ワイヤドットプリンター、レーザープリンター、ラインプリンター、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1に示す如く、記録装置は、ロール状のロール紙を保持するホルダー装置を備えていた。該ホルダー装置は、ロール紙の両側に一対のホルダーを有していた。そして、一対のホルダーのうち少なくとも一方が、ロール紙の幅方向に延設されたガイド部に沿ってスライド可能に設けられていた。従って、ロール紙のサイズに応じて、少なくとも一方のホルダーをスライドさせることにより、一対のホルダーが、ロール紙の両側に嵌りロール紙を保持することができた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−234668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記一対のホルダーをロール紙のロール芯の芯口に嵌める際の圧力が十分な大きさであるか否かの判断が、ユーザーにとって困難であった。ロール紙の重量が重い程、前記圧力を大きくする必要がある。また、ロール紙の両側に嵌る部分の形状によっても必要な前記圧力の大きさが異なる。前記圧力が適切な大きさでない場合は、ロール紙が落下する虞や、ロール紙の端部等が破損する虞がある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、ロール媒体のロール芯の芯口に嵌合部を嵌めて適切に保持することを考慮したロール媒体ホルダー装置およびロール媒体ホルダー装置を有する記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様のロール媒体ホルダー装置は、ロール媒体の幅方向に延設されたガイド部と、該ガイド部に案内されて前記幅方向へ摺動可能であり、ロール媒体を繰り出し可能に保持するホルダー部と、を備え、該ホルダー部は、前記ガイド部に対して摺動可能なベース部と、該ベース部に対して前記幅方向へ移動可能でありロール媒体のロール芯の芯口に嵌る嵌合部と、一端側が前記嵌合部と接触し、前記幅方向におけるロール媒体側へ前記嵌合部を前記ベース部に対して付勢する弾性体と、を備えており、前記弾性体の前記一端と他端との位置関係が変わることにより、前記嵌合部を前記ロール媒体側へ付勢する力の大きさが変わる構成であり、前記弾性体の前記一端と他端との位置関係が変わることにより、前記付勢する力の大きさが所定の大きさになったことを示す目印があることを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、前記ロール媒体ホルダー装置は、前記所定の大きさでロール媒体を両側から圧力をかけて保持することができる。つまり、ユーザーは、前記目印によって前記付勢する力の大きさが前記所定の大きさか否かを、目印を有さない構成と比較して、容易に確認することができる。比較的重量が大きいロール媒体である場合、前記ロール媒体ホルダー装置がロール媒体をきちんと保持するためには、比較的大きな付勢力を必要とするので、有効である。
尚、前記所定の大きさは、ロール媒体の重量と圧入される嵌合部の形状とによって決まる。
【0008】
本発明の第2の態様のロール媒体ホルダー装置は、ロール媒体の幅方向に延設されたガイド部と、該ガイド部に案内されて前記幅方向へ摺動可能であり、ロール媒体を繰り出し可能に保持するホルダー部と、を備え、該ホルダー部は、前記ガイド部に対して摺動可能なベース部と、該ベース部に対して前記幅方向へ移動可能でありロール媒体のロール芯の芯口に嵌る嵌合部と、一端側が前記嵌合部と接触し、前記幅方向におけるロール媒体側へ前記嵌合部を付勢する弾性体と、該弾性体の他端側と接触し、前記ベース部に対して前記幅方向へ移動可能な移動部材と、を備えており、前記弾性体の前記一端と他端との位置関係が変わることにより、前記嵌合部を前記ロール媒体側へ付勢する力の大きさが変わる構成であり、前記嵌合部と前記移動部材との前記幅方向における位置関係が変わることにより、前記付勢する力の大きさが所定の大きさになった際、前記嵌合部の一部が、前記移動部材の一部と揃うことを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、ユーザーは、前記嵌合部と前記移動部材との前記幅方向における位置関係を変えることにより、前記付勢する力の大きさを前記所定の大きさにすることができる。その際、前記嵌合部の一部が、前記移動部材の一部と揃うことにより、前記付勢する力の大きさが前記所定の大きさになったことを確認することができる。つまり、ユーザーは、前記付勢する力の大きさが前記所定の大きさか否かを、前記嵌合部の一部と前記移動部材の一部とが揃わない構成と比較して、容易に確認することができる。
【0010】
本発明の第3の態様は、第2の態様において、回転可能なハンドルと、該ハンドルの回転により前記移動部材を前記幅方向へ移動させるねじ機構と、を備えていることを特徴とする。
本態様によれば、第2の態様と同様の作用効果に加え、ユーザーは、前記ハンドルを一の方向へ回すことにより、前記弾性体の付勢力を強めることができる。一方、前記ハンドルを前記一と逆方向へ回すことにより、前記弾性体の付勢力を弱めることができる。その結果、前記弾性体の付勢力の大きさを、ハンドルを有さない構成と比較して、容易に前記所定の大きさにすることができる。つまり、ユーザーは、比較的大きな力で前記ベース部を摺動させなくても、比較的小さな力で前記ハンドルを回すだけで、前記弾性体の付勢力の大きさを容易に前記所定の大きさにすることができる。
【0011】
本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれか一の態様において、前記ホルダー部が保持可能な高さにロール媒体を持ち上げることができる持ち上げ手段を有することを特徴とする。
本態様によれば、第1から第3のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記持ち上げ手段を必要とする程の重量を有するロール媒体である場合、前記所定の大きさは比較的大きいので、係る場合に有効である。
【0012】
本発明の第5の態様の記録装置は、ロール状のロール媒体を送り方向下流側へ繰り出し可能な繰り出し手段と、繰り出されたロール媒体に対して記録する記録部と、記録されたロール媒体を巻き取る巻き取り手段と、を備えた記録装置であって、前記繰り出し手段は、上記第1から第4のいずれか一の態様のロール媒体ホルダー装置を有していることを特徴とする。
本態様によれば、前記繰り出し手段は、上記第1から第4のいずれか一の態様のロール媒体ホルダー装置を有している。従って、前記記録装置において、上記第1から第4のいずれか一の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施例のプリンターの全体構成の概略を示す側断面図。
【図2】本実施例のプリンターの全体構成の概略を示す正面図。
【図3】本実施例の媒体繰り出し手段のロール媒体ホルダー装置を示す斜視図。
【図4】本実施例のロール媒体持ち上げ前のホルダー装置を示す正面一部断面図。
【図5】本実施例のロール媒体持ち上げた時のホルダー装置を示す正面一部断面図。
【図6】本実施例のホルダー装置を摺動させた際の状態を示す正面一部断面図。
【図7】本実施例のホルダー装置のハンドルを回した際の状態を示す正面一部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本実施例の記録装置としての大型のインクジェットプリンター1(以下、単にプリンターという。)の全体構成の概略を示す側断面図である。
図1に示す如く、プリンター1は、媒体繰り出し手段26と、記録部28と、巻き取り手段37と、を備えている。このうち、媒体繰り出し手段26は、ロール状に巻かれたロール媒体Rを解いて送り方向Qへ送り出すことができる。具体的には、送り出し側ロールホルダーである第1ホルダー部3と、ローラー対29と、を有している。
【0015】
このうち、第1ホルダー部3は、ロール媒体Rの両端部を回動可能に保持することができる。第1ホルダー部3は、ロール媒体Rのロール芯11の芯口12に嵌る嵌合部13を有している。嵌合部13は、回動自在な構成でも、図示しないモーターの動力によって駆動する構成でもよい。回動自在な構成の場合は、送り方向下流側の駆動するローラー対29によってロール媒体Rが引っ張られて解かれるからである。
尚、第1ホルダー部3は、向い合わせで一対配設されている。そして、このうち少なくとも一方の第1ホルダー部3が、ロール媒体Rの幅寸法の違いに対応してガイド部材7に対して幅方向Xにスライドし取付け位置を調整できる。
【0016】
また、第1ホルダー部3の下方には、仮置き部としての仮置き台5と、持ち上げ手段2とが設けられている。仮置き台5は、ロール媒体Rを第1ホルダー部3に取り付ける前に仮に置くための台である。一例として、幅方向Xに延設された二本の第1管部材7a、第2管部材7bによって構成されている。また、持ち上げ手段2は、仮置き台5に置かれた重たいロール媒体Rを容易に上方に持ち上げ、ロール媒体Rの端部を容易に第1ホルダー部3に取り付けることができる。
【0017】
具体的に、持ち上げ手段2は、ガイド部材7としての二本の第1管部材7a、第2管部材7bに対して幅方向Xに摺動可能な基体部8と、操作レバー6と、昇降部16と、を備えている。そして、操作レバー6を一方向へ回動させることにより、昇降部16は上昇し、ロール媒体Rを持ち上げることができる。一方、操作レバー6を反対方向へ回動させることにより、昇降部16は下降し、ロール媒体Rを下ろすことができる。つまり、操作レバー6のレバー比の大きさを利用して比較的小さい力で、比較的重いロール媒体Rを上げ下げすることができる。
【0018】
また、記録部28は、プリンター本体19を有している。プリンター本体19には、幅方向Xに延設されたキャリッジガイド軸21と、キャリッジ23と、記録ヘッド25と、媒体支持部27とが設けられている。キャリッジ23は、キャリッジガイド軸21にガイドされながら幅方向Xへ移動可能に設けられている。また、記録ヘッド25は、キャリッジ23における媒体支持部27と対向する位置に設けられ、インクをロール媒体Rに対して吐出して記録することができる。またさらに、媒体支持部27は、ロール媒体Rを支持し、ロール媒体Rと記録ヘッド25との間の距離を所定の距離にすることができる。
【0019】
尚、ローラー対29は、プリンター本体19の内部に設けたが、外部でもよい。ロール媒体Rを送り方向Qへ送ることができればよいからである。
また、プリンター本体19より送り方向上流側にはプレヒーター31が設けられている。ロール媒体Rに対して記録を実行する前の段階で予めロール媒体Rを温めることにより、記録を実行した際、ロール媒体Rに着弾したインクが乾燥しやすくするためである。
またさらに、プリンター本体19より送り方向下流側にはアフターヒーター33が設けられている。ロール媒体Rに着弾したインクを、記録を実行した後から巻き取り手段37によって巻かれる前までの間に、確実に乾燥させるためである。
【0020】
またさらに、巻き取り手段37は、図示しないモーターの動力によってロール媒体Rを巻き取ることができる。具体的には、ガイド部材39としての二本の第3管部材39a、第4管部材39bに取り付けられた巻き取り側ロールホルダーとしての第2ホルダー部40を有している。そして、第2ホルダー部40に巻き取ったロール媒体Rを保持することができる。
【0021】
尚、プリンター1は、下端部に移動用のキャスター15を有する側面視逆T字形の支持フレーム17を対向するように左右両端部に備えている。そして、支持フレーム17の上部にプリンター本体19が設けられている。また、支持フレーム17に取り付けられたサブフレーム35に、仮置き台5が取り付けられている。またさらに、第3管部材39a、第4管部材39bの両端は、支持フレーム17から延びた保持部24によって保持されている。
また、図中のZ軸方向は、鉛直方向である。
【0022】
図2に示すのは、本実施例のプリンター1の全体構成の概略を示す正面図である。
図2に示す如く、プリンター1の支持フレーム17を基準とした前側には、第1ホルダー部3が設けられ、後側には、第2ホルダー部40が設けられている。第1ホルダー部3は、前述したように、サブフレーム35によって両端が保持されたガイド部材7としての第1管部材7a、第2管部材7bに対して、スライド可能に設けられている。同様に、第2ホルダー部40は、保持部24によって両端が保持されたガイド部材39としての第3管部材39a、第4管部材39bに対して、スライド可能に設けられている。
【0023】
ここで、第2ホルダー部40の第3管部材39a、第4管部材39bに対する固定の仕方は、第1ホルダー部3の第1管部材7a、第2管部材7bに対する固定の仕方と同様である。以下、第1ホルダー部3を第1管部材7a、第2管部材7bに対して固定する構造について説明するものとし、第2ホルダー部40を第3管部材39a、第4管部材39bに対して固定する構造についての説明は省略する。
【0024】
図3に示すのは、本実施例の媒体繰り出し手段26におけるロール媒体ホルダー装置51を示す斜視図である。
図3に示す如く、媒体繰り出し手段26は、ロール媒体ホルダー装置51を備えている。ロール媒体ホルダー装置51は、ガイド部材7(ガイド部)として二本の第1管部材7a、第2管部材7bと、嵌合部13を有した第1ホルダー部3とを備えている。
【0025】
そして、つまみ付きのねじ(図示せず)のつまみ部36を、ねじを緩める方向へ回転させることにより、第1ホルダー部3を第1管部材7a、第2管部材7bに対して摺動させることができる。具体的には、第1ホルダー部3の下方に設けられたベース部4が第1管部材7a、第2管部材7bに対して摺動する。一方、ねじを締める方向へ回転させることにより、第1ホルダー部3を第1管部材7a、第2管部材7bに対して固定することができる。従って、ロール媒体Rの幅サイズに応じて一対の第1ホルダー部3の位置を調整することができる。
【0026】
尚、持ち上げ手段2は、一対の第1ホルダー部3の間において、第1管部材7a、第2管部材7bに対して摺動可能に設けられている。持ち上げ手段2については、第1管部材7a、第2管部材7bに対して摺動可能な状態と固定した状態とを切り替え可能に構成する必要はない。ロール媒体Rのサイズに応じてロール媒体Rの側端近傍の下方へ摺動させ、ロール媒体Rの側端を持ち上げることができればよいからである。
【0027】
続いて、本実施例のロール媒体ホルダー装置51について詳しく説明する。
図4に示すのは、本実施例のロール媒体Rを持ち上げる前のロール媒体ホルダー装置51を示す正面一部断面図である。尚、図4に示すのは、一対のうちの一方の第1ホルダー部3である。
図4に示す如く、ロール媒体ホルダー装置51の一対の第1ホルダー部3のうちの少なくとも一方は、弾性体の一例であるばね42と、移動部材44と、軸47と、ハンドル45と、ねじ機構46とを有している。
【0028】
このうち、ばね42は、嵌合部13を移動部材44に対してロール媒体R側へ付勢する。ここで、嵌合部42は、軸47に対して幅方向Xへ摺動可能に設けられている。また、移動部材44は、ベース部4に対して幅方向Xへ移動可能に構成されている。具体的に、移動部材44は、軸47に設けられた係合部47aと係合しており、軸47がロール媒体R側へ移動するとき、一体となって移動することができる。またさらに、軸47は、ベース部4に対して摺動可能にベース部4によって支持されている。また、ハンドル45は、一例として、幅方向Xを軸として回転可能に設けられている。またさらに、ねじ機構46は、ハンドル45の回転によって軸47を幅方向Xへ移動させることができる。
【0029】
図4に示す状態は、ロール媒体Rを持ち上げる前の状態である。この状態から先ず、一対の第1ホルダー部3のうちの前記一方と反対側である他方の持ち上げ手段(2)によってロール媒体Rを持ち上げる(図示せず)。そして、前記他方の第1ホルダー部(3)をロール媒体R側へ摺動させて、ロール芯11の芯口(12)に前記他方の第1ホルダー部(3)の嵌合部(13)をはめ込む(図示せず)。さらに、前述したようにつまみ部36を回転させて第1管部材7a、第2管部材7bに対して前記他方の第1ホルダー部(3)を固定する(図示せず)。その後、後述するように、一対の第1ホルダー部3のうちの前記一方側の持ち上げ手段2によってロール媒体Rを持ち上げる。
【0030】
図5に示すのは、本実施例のロール媒体Rを持ち上げた時のロール媒体ホルダー装置51を示す正面一部断面図である。尚、図5に示すのは、一対のうちの一方の第1ホルダー部3である。
図5に示す如く、前述したように、前記他端側の第1ホルダー部(3)の嵌合部(13)をロール芯11の芯口(12)にはめ込んだ後、一対の第1ホルダー部3のうちの前記一方側の持ち上げ手段2によってロール媒体Rを持ち上げる。そして、前記一端側の第1ホルダー部3の嵌合部13の高さと、ロール媒体Rの前記一端側のロール芯11の芯口12の高さとが同じとなるようにする。
【0031】
図6に示すのは、本実施例のロール媒体ホルダー装置51を摺動させた際の状態を示す正面一部断面図である。尚、図6に示すのは、一対のうちの一方の第1ホルダー部3である。
図6に示す如く、前記一端側の第1ホルダー部3の嵌合部13の高さと、ロール媒体Rの前記一端側のロール芯11の芯口12の高さとを同じにしたら、前記一端側の第1ホルダー部3をロール媒体R側へ摺動させる。そして、ロール芯11の芯口12に前記一方の第1ホルダー部3の嵌合部13をはめ込む。ここで、ある程度、嵌合部13を芯口12にはめ込むことができたら、前述したようにつまみ部36を回転させて第1管部材7a、第2管部材7bに対して前記一方の第1ホルダー部3を固定する。
【0032】
図7に示すのは、本実施例のロール媒体ホルダー装置51のハンドル45を回した際の状態を示す正面一部断面図である。尚、図7に示すのは、一対のうちの一方の第1ホルダー部3である。
図7に示す如く、ユーザーがハンドル45を、ねじを締める方向へ回転させる。すると、ねじ機構46によって軸47がロール媒体R側へ押され、ベース部4に対して徐々に摺動する。
【0033】
この際、軸47の係合部47aが移動部材44をロール媒体R側へベース部4に対して徐々に一体となって移動させる。従って、ばね42における嵌合部13と接触している箇所(ばね42の一端42a)と、移動部材44と接触している箇所(ばね42の他端42b)との距離が徐々に短くなる。これにより、嵌合部13がロール媒体Rのロール芯11の芯口12に対して付勢される力Fの大きさが徐々に大きくなる。
【0034】
そして、嵌合部13がロール媒体Rのロール芯11の芯口12にぴったりとはめ込まれる。さらに、前記付勢される力Fの大きさが徐々に大きくなり、所定の大きさになったとき、嵌合部13の一部である幅方向外側部分13aと、移動部材44の一部である円盤部分44aとが、幅方向Xにおいて揃う。つまり、所定の大きさになったときの目印43である。
【0035】
これにより、ユーザーは、所定の大きさの力Fによってロール媒体Rのロール芯11が一対の第1ホルダー部3によって保持されていることを確認することができる。
尚、ロール媒体Rの両側のうちの一方で、所定の大きさの力Fが作用していれば、反作用によって、他方でも反対方向に所定の大きさの力Fが作用していることとなる。つまり、ばね42は一対の第1ホルダー部3のうちの一方にあればよい。ばね42が一対の第1ホルダー部3の両方にあってもよいのは勿論である。
【0036】
そして、所定の大きさの力Fになったことを確認することができたら、ユーザーは、ハンドル45の回転を止める。
尚、ハンドル45から手を離しても、ハンドル45が付勢力の反力によって回転することがないようにねじ機構46は構成されている。
また、移動部材44が嵌合部13側に入り込み過ぎた場合、ユーザーはハンドル45を、ねじが緩む方向へ回転させればよい。これにより、ばね42における嵌合部13と接触している箇所(ばね42の一端42a)と、移動部材44と接触している箇所(ばね42の他端42b)との距離が徐々に長くなり、嵌合部13がロール媒体Rのロール芯11の芯口12に対して付勢される力Fの大きさが徐々に小さくなるからである。
【0037】
以上説明したように、ロール媒体ホルダー装置51は、前記所定の大きさでロール媒体Rを両側から圧力Fをかけて保持することができる。つまり、ユーザーは、目印43として前記嵌合部13の一部が、前記移動部材44の一部と揃うことにより、前記付勢する力Fの大きさが前記所定の大きさか否かを容易に確認することができる。比較的重量が大きいロール媒体Rである場合、ロール媒体ホルダー装置51がロール媒体Rをきちんと保持するためには、比較的大きな付勢力Fを必要とするので、有効である。
また、ユーザーは、比較的大きな力でベース部4を摺動させなくても、比較的小さな力でハンドル45を回すだけで、ばね42の付勢力Fの大きさを容易に前記所定の大きさにすることができる。
【0038】
尚、ロール媒体Rを第1ホルダー部3から取り外す際は、ハンドル45をねじが緩む方向へ回転させてから、第1ホルダー部3を幅方向外側へ摺動させ、嵌合部13をロール芯11の芯口12から引き抜いてもよい。また、第1ホルダー部3を幅方向外側へ摺動させ、嵌合部13をロール芯11の芯口12から引き抜いてから、ハンドル45をねじが緩む方向へ回転させてもよい。
また、上記実施例では、弾性体の一例としてばね42を用いたが、ばね42以外でもよい。例えば、弾性変形するゴムを用いることも可能である。
【0039】
またさらに、上記実施例では、ばね42が付勢する力Fの大きさが所定の大きさになったとき、嵌合部13の一部である幅方向外側部分13aと、移動部材44の一部である円盤部分44aとが、幅方向Xにおいて揃う構成としたが、これに限らない。技術的思想としては、ばね42(弾性体)の前記一端42aと他端42bとの位置関係(両者の間の距離)が変わることにより、前記付勢する力Fの大きさが所定の大きさになったことを示す構成であればよい。
【0040】
また、上記実施例では、ハンドル45と、ねじ機構46とを有する構成について説明したが、有しない構成でもよい。技術的思想としては、前記一方の第1ホルダー部3をロール媒体R側へ摺動させたとき(図6参照)に、目印43として嵌合部13の一部である幅方向外側部分13aと、移動部材44の一部である円盤部分44aとが、幅方向Xにおいて揃うように使用してもよい。つまり、ハンドル45と、ねじ機構46とを必ずしも使用しなくてもよく、前記付勢する力Fの大きさが所定の大きさになったことを示す目印43を有していればよい。
【0041】
また、上記実施例では、比較的小さな力で移動部材44を移動させる機構としてねじ機構46を用いたが、技術的思想としては、レバー比やギア比の大きさによって比較的小さな力で移動部材44を移動させてばね42を圧縮させることができればよい。従って、ねじ機構46に代えてレバー機構やカム機構等を用いてもよい。本実施例でねじ機構46を用いた理由は、レバー機構やカム機構等と比較して、コンパクトな機構で動力を変換することができ現実的であるからである。また、ユーザーがハンドルから手を離しても移動部材44の位置を保持することができるからである。
【0042】
本実施例のロール媒体ホルダー装置51は、ロール媒体Rの幅方向Xに延設されたガイド部としてのガイド部材7と、ガイド部材7に案内されて幅方向Xへ摺動可能であり、ロール媒体Rを繰り出し可能に保持するホルダー部である第1ホルダー部3と、を備え、第1ホルダー部3は、ガイド部材7に対して摺動可能なベース部4と、ベース部4に対して幅方向Xへ移動可能でありロール媒体Rのロール芯11の芯口12に嵌る嵌合部13と、一端42a側が嵌合部13と接触し、幅方向Xにおけるロール媒体R側へ嵌合部13をベース部4に対して付勢する弾性体の一例であるばね42と、を備えており、ばね42の前記一端42aと他端42bとの位置関係が変わることにより、嵌合部13をロール媒体R側へ付勢する力Fの大きさが変わる構成であり、ばね42の前記一端42aと他端42bとの位置関係が変わることにより、前記付勢する力Fの大きさが所定の大きさになったことを示す目印43があることを特徴とする。
【0043】
また、本実施例のロール媒体ホルダー装置51は、ロール媒体Rの幅方向Xに延設されたガイド部材7と、ガイド部材7に案内されて幅方向Xへ摺動可能であり、ロール媒体Rを繰り出し可能に保持する第1ホルダー部3と、を備え、第1ホルダー部3は、ガイド部材7に対して摺動可能なベース部4と、ベース部4に対して幅方向Xへ移動可能でありロール媒体Rのロール芯11の芯口12に嵌る嵌合部13と、一端42a側が嵌合部13と接触し、幅方向Xにおけるロール媒体R側へ嵌合部13を付勢するばね42と、ばね42の他端42b側と接触し、ベース部4に対して幅方向Xへ移動可能な移動部材44と、を備えており、ばね42の前記一端42aと他端42bとの位置関係が変わることにより、嵌合部13をロール媒体R側へ付勢する力Fの大きさが変わる構成であり、嵌合部13と移動部材44との幅方向Xにおける位置関係が変わることにより、前記付勢する力Fの大きさが所定の大きさになった際、嵌合部13の一部である幅方向外側部分13aが、移動部材44の一部である円盤部分44aと揃うことを特徴とする。
【0044】
また、本実施例において、回転可能なハンドル45と、ハンドル45の回転により移動部材44を幅方向Xへ移動させるねじ機構46と、を備えていることを特徴とする。
またさらに、本実施例において、第1ホルダー部3が保持可能な高さにロール媒体Rを持ち上げることができる持ち上げ手段2を有することを特徴とする。
【0045】
本実施例の記録装置としてのプリンター1は、ロール状のロール媒体Rを送り方向下流側へ繰り出し可能な繰り出し手段である媒体繰り出し手段26と、繰り出されたロール媒体Rに対して記録する記録部28と、記録されたロール媒体Rを巻き取る巻き取り手段37と、を備えたプリンター1であって、媒体繰り出し手段26は、ロール媒体ホルダー装置51を有していることを特徴とする。
【0046】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0047】
1 プリンター、2 持ち上げ手段、3 第1ホルダー部、4 ベース部、
5 仮置き台、6 操作レバー、7 ガイド部材、7a 第1管部材、
7b 第2管部材、8 基体部、11 ロール芯、12 芯口、13 嵌合部、
13a 幅方向外側部分、15 キャスター、16 昇降部、17 支持フレーム、
19 プリンター本体、21 キャリッジガイド軸、23 キャリッジ、24 保持部、
25 記録ヘッド、26 媒体繰り出し手段、27 媒体支持部、28 記録部、
29 ローラー対、31 プレヒーター、33 アフターヒーター、
35 サブフレーム、36 つまみ部、37 巻き取り手段、39 ガイド部材、
39a 第3管部材、39b 第4管部材、40 第2ホルダー部、
42 ばね(弾性体)、42a 一端、42b 他端、43 目印、44 移動部材、
44a 円盤部分、45 ハンドル、46 ねじ機構、47 軸、47a 係合部、
51 ロール媒体ホルダー装置、F 力、Q 送り方向、R ロール媒体、X 幅方向、
Z 鉛直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール媒体の幅方向に延設されたガイド部と、
該ガイド部に案内されて前記幅方向へ摺動可能であり、ロール媒体を繰り出し可能に保持するホルダー部と、を備え、
該ホルダー部は、
前記ガイド部に対して摺動可能なベース部と、
該ベース部に対して前記幅方向へ移動可能でありロール媒体のロール芯の芯口に嵌る嵌合部と、
一端側が前記嵌合部と接触し、前記幅方向におけるロール媒体側へ前記嵌合部を前記ベース部に対して付勢する弾性体と、を備えており、
前記弾性体の前記一端と他端との位置関係が変わることにより、前記嵌合部を前記ロール媒体側へ付勢する力の大きさが変わる構成であり、
前記弾性体の前記一端と他端との位置関係が変わることにより、前記付勢する力の大きさが所定の大きさになったことを示す目印があることを特徴とするロール媒体ホルダー装置。
【請求項2】
ロール媒体の幅方向に延設されたガイド部と、
該ガイド部に案内されて前記幅方向へ摺動可能であり、ロール媒体を繰り出し可能に保持するホルダー部と、を備え、
該ホルダー部は、
前記ガイド部に対して摺動可能なベース部と、
該ベース部に対して前記幅方向へ移動可能でありロール媒体のロール芯の芯口に嵌る嵌合部と、
一端側が前記嵌合部と接触し、前記幅方向におけるロール媒体側へ前記嵌合部を付勢する弾性体と、
該弾性体の他端側と接触し、前記ベース部に対して前記幅方向へ移動可能な移動部材と、を備えており、
前記弾性体の前記一端と他端との位置関係が変わることにより、前記嵌合部を前記ロール媒体側へ付勢する力の大きさが変わる構成であり、
前記嵌合部と前記移動部材との前記幅方向における位置関係が変わることにより、前記付勢する力の大きさが所定の大きさになった際、前記嵌合部の一部が、前記移動部材の一部と揃うことを特徴とするロール媒体ホルダー装置。
【請求項3】
請求項2に記載のロール媒体ホルダー装置において、回転可能なハンドルと、
該ハンドルの回転により前記移動部材を前記幅方向へ移動させるねじ機構と、を備えていることを特徴とするロール媒体ホルダー装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のロール媒体ホルダー装置において、前記ホルダー部が保持可能な高さにロール媒体を持ち上げることができる持ち上げ手段を有することを特徴とするロール媒体ホルダー装置。
【請求項5】
ロール状のロール媒体を送り方向下流側へ繰り出し可能な繰り出し手段と、
繰り出されたロール媒体に対して記録する記録部と、
記録されたロール媒体を巻き取る巻き取り手段と、を備えた記録装置であって、
前記繰り出し手段は、請求項1から4のいずれか1項に記載のロール媒体ホルダー装置を有していることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−32206(P2013−32206A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169357(P2011−169357)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】