説明

ロール媒体繰り出し装置、記録装置

【課題】異なるサイズのロール媒体の芯口に対応可能な嵌合部をロール媒体の芯口にスムーズにはめ込むことを考慮したロール媒体繰り出し装置を提供すること。
【解決手段】ロール媒体繰り出し装置(26)は、ロール媒体Rの芯口12に嵌合する嵌合部13を有し、ロール媒体Rを繰り出し可能に保持するロールホルダー(3)を備え、前記嵌合部13は、第1のサイズのロール媒体R1の芯口12aに嵌合して該ロール媒体R1を支持する第1支持部13aと、前記第1のサイズより芯口が大きい第2のサイズのロール媒体R2の芯口12bに嵌合して該ロール媒体R2を支持する第2支持部13bと、ロール媒体Rの軸方向Xに対して傾斜し、前記第1支持部13aと、前記第2支持部13bとを繋ぐ傾斜部13cと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール媒体の芯口に嵌合する嵌合部を有するロール媒体繰り出し装置および該ロール媒体繰り出し装置を備えた記録装置に関する。
本願において、記録装置には、インクジェットプリンター、ワイヤドットプリンター、レーザープリンター、ラインプリンター、複写機、ファクシミリ等の種類が含まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
従来では、特許文献1に示す如く、プリンターは、ロール紙を繰り出す繰り出し装置を有していた。該繰り出し装置は、ロール紙の芯に嵌る軸を有しており、該軸によってロール紙を支持していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−23171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、ロール紙の芯の芯口のサイズは一つではない。そこで、それぞれのサイズに応じるために先端に向かって階段状に段々と径が小さくなるように軸を形成することが考えられる。
しかしながら、単に階段状に形成すると、比較的大きいサイズの芯口に前記軸をはめ込む際、前記軸の先端側の階段状の段差で引っ掛かり、スムーズにはめ込むことができない虞がある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、異なるサイズのロール媒体の芯口に対応可能な嵌合部を比較的大きいサイズのロール媒体の芯口にスムーズにはめ込むことを考慮したロール媒体繰り出し装置および該ロール媒体繰り出し装置を備えた記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様のロール媒体繰り出し装置は、ロール媒体を仮置きする仮置き部と、ロール媒体の幅方向に延設されたガイド部に案内されながら幅方向へ移動可能なロール媒体の芯口に嵌合する嵌合部を有し、ロール媒体を繰り出し可能に保持するロールホルダーと、前記仮置き部に仮置きされたロール媒体の位置から該ロール媒体の芯口が前記嵌合部と対向する位置となるまで該ロール媒体を持ち上げる持ち上げ手段と、を備え、前記嵌合部は、第1のサイズのロール媒体の芯口に嵌合して該ロール媒体を支持する第1支持部と、ロール媒体を基準とした前記第1支持部より前記幅方向外側に設けられ、前記第1のサイズより芯口が大きい第2のサイズのロール媒体の芯口に嵌合して該ロール媒体を支持する第2支持部と、ロール媒体の軸方向に対して傾斜し、前記第1支持部と、前記第2支持部とを繋ぐ傾斜部と、を有することを特徴とする。
【0007】
本態様によれば、第2のサイズのロール媒体の取り付けの際、前記傾斜部を有さない構成と比較して、容易に第2のサイズのロール媒体の芯口を第1支持部から第2支持部へ案内することができる。つまり、前記傾斜部によって、第2のサイズのロール媒体の芯口が第1支持部と第2支持部との間に通常形成されている段差に引っ掛かる虞がなく、スムーズに前記嵌合部を第2のサイズのロール媒体の芯口にはめ込むことができる。
【0008】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記持ち上げ手段は、ロール媒体が載る載置部を有し上下方向に昇降可能な昇降部と、支点を中心にして回動可能な操作レバーと、前記操作レバーの前記支点寄りの位置において、当該操作レバーの上下方向の回動を前記昇降部の上下動に変換して動力伝達するカム部と、を備え、前記昇降部における前記載置部は、前記操作レバーの回動の軸方向から見て、置かれたロール媒体と接触する二つの辺を有しており、該二つの辺は、下方に進むに従って互いの距離が短くなることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記持ち上げ手段によって上下方向におけるロール媒体の位置を、ロール媒体の芯口と、前記ロールホルダーの前記嵌合部とを対向させる位置とすることができるが、軸方向から見た左右方向においては、きちんと対向せずにずれる虞がある。係る場合に、前記傾斜部を有する構成は特に有効である。
【0010】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記嵌合部における前記第1支持部と前記第2支持部との間には段差が形成されていることを特徴とする。
本態様によれば、第1または第2の態様と同様の作用効果に加え、前記段差が形成されている場合、第2のサイズのロール媒体の取り付けの際にロール媒体の芯口が引っ掛かる虞があるので、係る場合に、前記傾斜部を有する構成は特に有効である。
【0011】
本発明の第4の態様の記録装置は、ロール媒体を繰り出し可能な繰り出し手段と、ロール媒体に対して記録する記録部と、を備えた記録装置であって、前記繰り出し手段は、上記第1から第3のいずれか一の態様のロール媒体繰り出し装置を有していることを特徴とする。
本態様によれば、前記繰り出し手段は、上記第1から第3のいずれか一の態様のロール媒体繰り出し装置を有している。従って、前記記録装置において、上記第1から第3のいずれか一の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施例のプリンターの全体構成の概略を示す側断面図。
【図2】本実施例のプリンターの全体構成の概略を示す正面図。
【図3】本実施例の媒体繰り出し手段のロール媒体ホルダー装置を示す斜視図。
【図4】(A)(B)は本実施例の嵌合部を示す斜視図および正面図。
【図5】(A)(B)は本実施例の嵌合部とロール媒体のサイズとの関係を示す正面図。
【図6】本実施例の持ち上げ手段の内部を示す側断面図。
【図7】本実施例のロール媒体持ち上げ前のホルダー装置を示す正面図。
【図8】本実施例のロール媒体持ち上げた時のホルダー装置を示す正面図。
【図9】本実施例の第1ホルダー部を摺動させた際の状態を示す正面図。
【図10】(A)(B)は本実施例の嵌合部がロール媒体の芯口に嵌る様子を示す平面図。
【図11】本実施例の第1ホルダー部へのロール媒体の取り付けが完了した状態を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すのは、本実施例の記録装置としての大型のインクジェットプリンター1(以下、単にプリンターという。)の全体構成の概略を示す側断面図である。
図1に示す如く、プリンター1は、媒体繰り出し手段26と、記録部28と、巻き取り手段37と、を備えている。このうち、媒体繰り出し手段26は、ロール状に巻かれたロール媒体Rを解いて送り方向Qへ送り出すことができる。具体的には、送り出し側ロールホルダーである第1ホルダー部3と、ローラー対29と、を有している。
【0014】
このうち、第1ホルダー部3は、ロール媒体Rの両端部を回動可能に保持することができる。第1ホルダー部3は、ロール媒体Rのロール芯11の芯口12に嵌る嵌合部13を有している。嵌合部13は、回動自在な構成でも、図示しないモーターの動力によって駆動する構成でもよい。回動自在な構成の場合は、送り方向下流側の駆動するローラー対29によってロール媒体Rが引っ張られて解かれるからである。
【0015】
また、嵌合部13が前記モーターの動力によって駆動する場合、媒体繰り出し手段26はローラー対29を有していない構成でもよい。
尚、第1ホルダー部3は、向い合わせで一対配設されている。そして、このうち少なくとも一方の第1ホルダー部3が、ロール媒体Rの幅寸法の違いに対応してガイド部材7に対して幅方向Xにスライドし取付け位置を調整できる。
【0016】
また、第1ホルダー部3の下方には、仮置き部としての仮置き台5と、持ち上げ手段2とが設けられている。仮置き台5は、ロール媒体Rを第1ホルダー部3に取り付ける前に仮に置くための台である。一例として、持ち上げ手段2の後述する昇降部16の載置部22によって構成されている。仮置き台5を持ち上げ手段2と別に構成してもよいのは勿論である。また、持ち上げ手段2は、仮置き台5に置かれた重たいロール媒体Rを容易に上方に持ち上げ、ロール媒体Rの端部を容易に第1ホルダー部3に取り付けることができる。
【0017】
具体的に、持ち上げ手段2は、ガイド部材7としての二本の第1管部材7a、第2管部材7bに対して幅方向Xに摺動可能な基体部8と、操作レバー6と、昇降部16と、を備えている。そして、操作レバー6を一方向へ回動させることにより、昇降部16は上昇し、ロール媒体Rを持ち上げることができる。一方、操作レバー6を反対方向へ回動させることにより、昇降部16は下降し、ロール媒体Rを下ろすことができる。つまり、操作レバー6のレバー比の大きさを利用して比較的小さい力で、比較的重いロール媒体Rを上げ下げすることができる。
【0018】
また、記録部28は、プリンター本体19を有している。プリンター本体19には、幅方向Xに延設されたキャリッジガイド軸21と、キャリッジ23と、記録ヘッド25と、媒体支持部27とが設けられている。キャリッジ23は、キャリッジガイド軸21にガイドされながら幅方向Xへ移動可能に設けられている。また、記録ヘッド25は、キャリッジ23における媒体支持部27と対向する位置に設けられ、インクをロール媒体Rに対して吐出して記録することができる。またさらに、媒体支持部27は、ロール媒体Rを支持し、ロール媒体Rと記録ヘッド25との間の距離を所定の距離にすることができる。
【0019】
尚、ローラー対29は、プリンター本体19の内部に設けたが、外部でもよい。ロール媒体Rを送り方向Qへ送ることができればよいからである。
また、プリンター本体19より送り方向上流側にはプレヒーター31が設けられている。ロール媒体Rに対して記録を実行する前の段階で予めロール媒体Rを温めることにより、記録を実行した際、ロール媒体Rに着弾したインクが乾燥しやすくするためである。
またさらに、プリンター本体19より送り方向下流側にはアフターヒーター33が設けられている。ロール媒体Rに着弾したインクを、記録を実行した後から巻き取り手段37によって巻かれる前までの間に、確実に乾燥させるためである。
【0020】
またさらに、巻き取り手段37は、図示しないモーターの動力によってロール媒体Rを巻き取ることができる。具体的には、ガイド部材39としての二本の第3管部材39a、第4管部材39bに取り付けられた巻き取り側ロールホルダーとしての第2ホルダー部40を有している。そして、第2ホルダー部40に巻き取ったロール媒体Rを保持することができる。
【0021】
尚、プリンター1は、下端部に移動用のキャスター15を有する側面視逆T字形の支持フレーム17を対向するように左右両端部に備えている。そして、支持フレーム17の上部にプリンター本体19が設けられている。また、支持フレーム17に取り付けられたサブフレーム35に、ガイド部材7が取り付けられている。またさらに、第3管部材39a、第4管部材39bの両端は、支持フレーム17から延びた保持部24によって保持されている。
また、図中のZ軸方向は、鉛直方向である。
【0022】
図2に示すのは、本実施例のプリンター1の全体構成の概略を示す正面図である。
図2に示す如く、プリンター1の支持フレーム17を基準とした前側には、第1ホルダー部3が設けられ、後側には、第2ホルダー部40が設けられている。第1ホルダー部3は、前述したように、サブフレーム35によって両端が保持されたガイド部材7としての第1管部材7a、第2管部材7bに対して、スライド可能に設けられている。同様に、第2ホルダー部40は、保持部24によって両端が保持されたガイド部材39としての第3管部材39a、第4管部材39bに対して、スライド可能に設けられている。
【0023】
ここで、第2ホルダー部40の第3管部材39a、第4管部材39bに対する固定の仕方は、第1ホルダー部3の第1管部材7a、第2管部材7bに対する固定の仕方と同様である。以下、第1ホルダー部3を第1管部材7a、第2管部材7bに対して固定する構造について説明するものとし、第2ホルダー部40を第3管部材39a、第4管部材39bに対して固定する構造についての説明は省略する。
【0024】
図3に示すのは、本実施例の媒体繰り出し手段26におけるロール媒体ホルダー装置51を示す斜視図である。
図3に示す如く、媒体繰り出し手段26は、ロール媒体ホルダー装置51を備えている。ロール媒体ホルダー装置51は、ガイド部材7(ガイド部)として二本の第1管部材7a、第2管部材7bと、嵌合部13を有した第1ホルダー部3と、持ち上げ手段2とを備えている。
【0025】
そして、つまみ付きのねじ(図示せず)のつまみ部36を、ねじを緩める方向へ回転させることにより、第1ホルダー部3を第1管部材7a、第2管部材7bに対して摺動させることができる。具体的には、第1ホルダー部3の下方に設けられたベース部4が第1管部材7a、第2管部材7bに対して摺動する。一方、ねじを締める方向へ回転させることにより、第1ホルダー部3を第1管部材7a、第2管部材7bに対して固定することができる。従って、ロール媒体Rの幅サイズに応じて一対の第1ホルダー部3の位置を調整することができる。
【0026】
尚、持ち上げ手段2は、一対の第1ホルダー部3の間において、第1管部材7a、第2管部材7bに対して摺動可能に設けられている。持ち上げ手段2については、第1管部材7a、第2管部材7bに対して摺動可能な状態と固定した状態とを切り替え可能に構成する必要はない。ロール媒体Rのサイズに応じてロール媒体Rの側端近傍の下方へ摺動させ、ロール媒体Rの側端を持ち上げることができればよいからである。
【0027】
図4(A)(B)に示すのは、本実施例の嵌合部13を示す斜視図および正面図である。このうち、図4(A)は斜視図である。一方、図4(B)は正面図である。
また、図5(A)(B)に示すのは、本実施例の嵌合部13とロール媒体Rのサイズとの関係を示す正面図である。このうち、図5(A)は嵌合部13の第1支持部13aと第1のサイズのロール媒体R1との関係である。一方、図5(B)は嵌合部13の第2支持部13bと第2のサイズのロール媒体R2との関係である。
【0028】
図4(A)(B)および図5(A)(B)に示す如く、本実施例の嵌合部13は、第1支持部13aと、第2支持部13bと、傾斜部13cと、段差13dとを有している。このうち、第1支持部13aは、第1のサイズのロール媒体R1のロール芯11aの芯口12aに嵌り、第1のサイズのロール媒体R1を支持する。一方、第2支持部13bは、第1のサイズより芯口が大きい第2のサイズのロール媒体R2のロール芯11bの芯口12bに嵌り、第2のサイズのロール媒体R2を支持する。
【0029】
尚、第1支持部13aおよび第2支持部13bは、嵌合部13の先端側(ロール媒体R側)へ向かって徐々に細くなるように幅方向Xに対して若干傾いている。つまり、円錐の外周面のように若干傾斜している。また、本実施例では、第1支持部13aおよび第2支持部13bは、リブ状に形成されているが、リブ状でなくてもよい。リブ状に形成した理由は、芯口12に嵌ったときの安定性を増すためである。
また、第1支持部13aと第2支持部13bとの間には段差13dが形成されている。そして、第1支持部13aと第2支持部13bとを繋ぐように傾斜部13cが形成されている。
尚、傾斜部13cの作用効果については後述するものとする。
【0030】
続いて、持ち上げ手段2の内部構造について説明する。
図6に示すのは、本実施例の持ち上げ手段2の内部を示す側断面図である。
図6に示す如く、持ち上げ手段2は、操作レバー6と、基体部8と、昇降部16と、を備えている。このうち、操作レバー6には、穴部9と、カム部10とが設けられている。穴部9には、第2管部材7bが挿通されており、操作レバー6は、第2管部材7bを中心に回動する。また、基体部8には、第1管部材7aおよび第2管部材7bが挿通されている。またさらに、昇降部16は、基体部8の内側に組み込まれており、基体部8によって鉛直方向Zに案内される。
【0031】
また、昇降部16の上方には、仮置き台5としてロール媒体Rが載置される載置部22が設けられている。
さらに、昇降部16の下方には、カムフォロア部18が設けられている。そして、カムフォロア部18は、操作レバー6のカム部10と接触している。また、昇降部16の載置部22の近傍と、基体部8との間には、カバー部材20が配設されている。カバー部材20は、昇降部16が上昇したとき、昇降部16と基体部8との隙間を覆うために設けられている。
【0032】
また、載置部22は、第1管部材7aおよび第2管部材7bの軸方向(X)から見て、中央に対して両側が高く形成されている。言い換えると、ロール媒体Rと接触する上側の二つの辺22a、22bがV字状に見えるように、載置部22の上面が形成されている。これにより、ロール媒体Rを載置したとき、ロール媒体Rが転がらないようにして、ロール媒体Rの位置を安定させることができる。技術的思想としては、V字状でなくても、軸方向(X)から見て、上側の二つの辺22a、22bが、下方に進むに従って互いの距離が短くなるように設けられ、該二つの辺22a、22bがロール媒体Rの外周面と接触する構成であればよい。
【0033】
続いて、持ち上げ手段2を使用して、第2のサイズのロール媒体R2の芯口12bに嵌合部13の第2支持部13bを嵌める動作について説明する。
図7に示すのは、本実施例の第2のサイズのロール媒体R2を持ち上げる前のロール媒体ホルダー装置51を示す正面図である。尚、図7に示すのは、一対のうちの一方の第1ホルダー部3である。他方の第1ホルダー部(3)も同様であるので、一方のみについて説明することとし、他方についての説明は省略する。
【0034】
図8に示すのは、本実施例の第2のサイズのロール媒体R2を持ち上げた時のロール媒体ホルダー装置51を示す正面図である。尚、図8に示すのは、一対のうちの一方の第1ホルダー部3である。
図8に示す如く、一対の第1ホルダー部3のうちの前記一方側の持ち上げ手段2によってロール媒体R2を持ち上げる。そして、前記一端側の第1ホルダー部3の嵌合部13の高さと、ロール媒体R2の前記一端側のロール芯11bの芯口12bの高さとが同じとなるようにする。
【0035】
図9に示すのは、本実施例のロール媒体ホルダー装置51を摺動させた際の状態を示す正面図である。
また、図10(A)(B)に示すのは、本実施例の嵌合部13がロール媒体R2の芯口12に嵌る様子を示す平面図である。このうち、図10(A)は傾斜部13cが第2のサイズのロール媒体R2の芯口12bと接触した状態である。一方、図10(B)は第2支持部13bが第2のサイズのロール媒体R2の芯口12bと接触した状態である。
またさらに、図11に示すのは、第1ホルダー部3への第2のサイズのロール媒体R2の取り付けが完了した状態を示す正面図である。
尚、図9〜図11に示すのは、一対のうちの一方の第1ホルダー部3である。
【0036】
図9に示す如く、前記一端側の第1ホルダー部3の嵌合部13の高さと、ロール媒体R2の前記一端側のロール芯11bの芯口12bの高さとを同じにしたら、前記一端側の第1ホルダー部3をロール媒体R側へ摺動させる。そして、ロール芯11bの芯口12bに前記一方の第1ホルダー部3の嵌合部13をはめ込む。
この際、図10(A)に示す如く、鉛直方向Zおよび幅方向Xと直交するY軸方向において、嵌合部13の中心と、ロール媒体R2の芯口12bの中心とがずれている場合がある。係る場合、芯口12bと第1支持部13aまたは傾斜部13cとが接触する。
【0037】
そして、図10(B)に示す如く、嵌合部13が芯口12bに進入することに従って傾斜部13cが芯口12bと接触し、Y軸方向におけるロール媒体R2の芯口12bの中心と、嵌合部13の中心との相対的な位置関係を合わせるように作用する。つまり、傾斜部13cに案内されてロール媒体R2が載置部22に載置された状態でY軸方向へ移動する。そして、第2支持部13bが芯口12bと接触し、第2支持部13bが芯口12bに嵌る。
【0038】
さらに、ユーザーが所定の大きさの力で第1ホルダー部3をロール媒体R側へ押して、嵌合部13の第2支持部13bがロール媒体R2のロール芯11bの芯口12bにぴったりとはめ込まれる。
そして、前述したようにつまみ部36を回転させて第1管部材7a、第2管部材7bに対して前記一方の第1ホルダー部3を固定する。
【0039】
その後、図11に示す如く、持ち上げ手段2の操作レバー6を下げて、昇降部16を下げる。
尚、二人で協働して一対の第1ホルダー部3の嵌合部13をロール媒体Rの両側の芯口12に略同じタイミングではめ込んでもよいのは勿論である。また、一人で片側ずつ嵌合部13を芯口12にはめ込んでもよい。
【0040】
以上説明したように、嵌合部13には傾斜部13cが設けられているので、第2のサイズのロール媒体R2の芯口12bに嵌合部13をスムーズにはめ込むことができる。
尚、本実施例では、図11に示す如く、傾斜部13cを直線に形成したが、曲線でもよい。技術的思想としては、ロール媒体R2の芯口12bを第1支持部13aから第2支持部13bへ案内することができればよいからである。
【0041】
また、ロール媒体Rを第1ホルダー部3から取り外す際は、第1ホルダー部3を幅方向外側へ摺動させ、嵌合部13をロール芯11bの芯口12bから引き抜く。この際、持ち上げ手段2によってロール媒体R2を支えながら前記引き抜くと、嵌合部13とロール芯11bとの間の摩擦力を低減させることができるので、引き抜きやすくなる。
また、上記実施例では、嵌合部13の第1支持部13aと第2支持部13bとの間に段差13dが形成されているが、形成されていない形状でもよい。例えば、周方向全範囲に傾斜部13cを形成することにより、段差13dが形成されない形状としてもよい。
【0042】
本実施例のロール媒体繰り出し装置である媒体繰り出し手段26は、ロール媒体Rを仮置きする仮置き部としての仮置き台5と、ロール媒体Rの幅方向Xに延設されたガイド部であるガイド部材7に案内されながら幅方向Xへ移動可能なロール媒体Rの芯口12に嵌合する嵌合部13を有し、ロール媒体Rを繰り出し可能に保持するロールホルダーとしての第1ホルダー部3と、仮置き台5に仮置きされたロール媒体Rの位置からロール媒体Rの芯口12が嵌合部13と対向する位置となるまでロール媒体Rを持ち上げる持ち上げ手段2と、を備え、嵌合部13は、第1のサイズのロール媒体R1の芯口12aに嵌合してロール媒体R1を支持する第1支持部13aと、ロール媒体Rを基準とした第1支持部13aより前記幅方向外側に設けられ、第1のサイズより芯口が大きい第2のサイズのロール媒体R2の芯口12bに嵌合してロール媒体R2を支持する第2支持部13bと、ロール媒体Rの軸方向に対して傾斜し、第1支持部13aと、第2支持部13bとを繋ぐ傾斜部13cと、を有することを特徴とする。
【0043】
また、本実施例において、持ち上げ手段2は、ロール媒体Rが載る載置部22を有し上下方向に昇降可能な昇降部16と、支点を中心にして回動可能な操作レバー6と、操作レバー6の前記支点寄りの位置において、操作レバー6の上下方向の回動を昇降部16の上下動に変換して動力伝達するカム部10と、を備え、昇降部16における載置部22は、操作レバー6の回動の軸方向から見て、置かれたロール媒体Rと接触する二つの辺22a、22bを有しており、該二つの辺22a、22bは、下方に進むに従って互いの距離が短くなることを特徴とする。
【0044】
またさらに、本実施例において、嵌合部13における第1支持部13aと第2支持部13bとの間には段差13dが形成されていることを特徴とする。
本実施例の記録装置としてのプリンター1は、ロール媒体Rを繰り出し可能な繰り出し手段と、ロール媒体Rに対して記録する記録部28と、を備えていることを特徴とする。
【0045】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
1 プリンター、2 持ち上げ手段、3 第1ホルダー部(ロールホルダー)、
4 ベース部、5 仮置き台(仮置き部)、6 操作レバー、7 ガイド部材、
7a 第1管部材、7b 第2管部材、8 基体部、9 穴部、10 カム部、
11 ロール芯、11a 第1のサイズのロール芯、11b 第2のサイズのロール芯、
12 芯口、12a 第1のサイズの芯口、12b 第2のサイズの芯口、
13 嵌合部、13a 第1支持部、13b 第2支持部、13c 傾斜部、
13d 段差、15 キャスター、16 昇降部、17 支持フレーム、
18 カムフォロア部、19 プリンター本体、20 カバー部材、
21 キャリッジガイド軸、22 載置部、22a 辺、22b 辺、
23 キャリッジ、24 保持部、25 記録ヘッド、26 媒体繰り出し手段、
27 媒体支持部、28 記録部、29 ローラー対、31 プレヒーター、
33 アフターヒーター、35 サブフレーム、36 つまみ部、37 巻き取り手段、
39 ガイド部材、39a 第3管部材、39b 第4管部材、40 第2ホルダー部、
51 ロール媒体ホルダー装置、Q 送り方向、R ロール媒体、
R1 第1のサイズのロール媒体、R2 第2のサイズのロール媒体、X 幅方向、
Y X軸とZ軸とに直交する方向、Z 鉛直方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール媒体を仮置きする仮置き部と、
ロール媒体の幅方向に延設されたガイド部に案内されながら幅方向へ移動可能なロール媒体の芯口に嵌合する嵌合部を有し、ロール媒体を繰り出し可能に保持するロールホルダーと、
前記仮置き部に仮置きされたロール媒体の位置から該ロール媒体の芯口が前記嵌合部と対向する位置となるまで該ロール媒体を持ち上げる持ち上げ手段と、を備え、
前記嵌合部は、
第1のサイズのロール媒体の芯口に嵌合して該ロール媒体を支持する第1支持部と、
ロール媒体を基準とした前記第1支持部より前記幅方向外側に設けられ、前記第1のサイズより芯口が大きい第2のサイズのロール媒体の芯口に嵌合して該ロール媒体を支持する第2支持部と、
ロール媒体の軸方向に対して傾斜し、前記第1支持部と、前記第2支持部とを繋ぐ傾斜部と、を有するロール媒体繰り出し装置。
【請求項2】
請求項1に記載のロール媒体繰り出し装置において、前記持ち上げ手段は、
ロール媒体が載る載置部を有し上下方向に昇降可能な昇降部と、
支点を中心にして回動可能な操作レバーと、
前記操作レバーの前記支点寄りの位置において、当該操作レバーの上下方向の回動を前記昇降部の上下動に変換して動力伝達するカム部と、を備え、
前記昇降部における前記載置部は、前記操作レバーの回動の軸方向から見て、置かれたロール媒体と接触する二つの辺を有しており、該二つの辺は、下方に進むに従って互いの距離が短くなるロール媒体繰り出し装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のロール媒体繰り出し装置において、前記嵌合部における前記第1支持部と前記第2支持部との間には段差が形成されているロール媒体繰り出し装置。
【請求項4】
ロール媒体を繰り出し可能な繰り出し手段と、
ロール媒体に対して記録する記録部と、を備えた記録装置であって、
前記繰り出し手段は、請求項1から3のいずれか1項に記載のロール媒体繰り出し装置を有していることを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−47139(P2013−47139A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186541(P2011−186541)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】