説明

ロール状媒体搬送装置

【課題】記録媒体をたるませて搬送するときにおける記録媒体との接触抵抗を低減することのできるロール状媒体搬送装置を提供する。
【解決手段】このロール状媒体搬送装置は、用紙Sをロール状に巻き重ねたロール体Rを保持する回転軸Jと、回転軸Jを回転させる回転機構と、回転軸Jの鉛直方向下方に設けられてロール体Rから垂れ下がる用紙Sのたるみ部分SGを検出するたるみセンサー60と、たるみセンサー60よりも用紙Sの搬送経路の下流側且つ鉛直方向の上方に設けられて搬送経路に沿って用紙Sを搬送する搬送機構と、たるみセンサー60と鉛直方向における同位置またはこれよりも上方におけるたるみセンサー60よりも搬送経路の上流側及び下流側の少なくとも一方に配置されてたるみ部分SGをたるみセンサー60に案内する上流側ローラー73及び第1ローラー76及び第2ローラー77のうちの少なくとも1つの回転体を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば記録装置に搭載されるロール状媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録装置の一種であるプリンターには、ロール状に巻き重ねられた記録媒体を搬送するロール状媒体搬送装置を備えたものがある(例えば、特許文献1)。
特許文献1のプリンターは、ロール体からフィルムを繰り出して搬送する導入ローラーと、フィルムを搬送経路の上流側から下流側に搬送するメインローラーとを備え、これら導入ローラー及びメインローラーがロール状媒体搬送装置として機能している。また、このロール状媒体搬送装置には、フィルムをたるませるためのガイドと、フィルムのたるみ量を検出するリミットスイッチとが設けられている。そして、このリミットスイッチにより、搬送されるフィルムのたるみ量を検出して、たるみ量をほぼ一定範囲内に維持するように制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−234448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のプリンターの場合は、メインローラーの上流側及び下流側に配置されている湾曲した形状のガイドに沿ってフィルムを滑り接触させつつ搬送することにより、たるみを形成している。このため、フィルムを搬送するときには、フィルムとガイドとの間に滑り接触抵抗が生じて、フィルムを搬送するときにフィルムが受ける負荷が大きいものとなり、フィルムに傷がつく等のおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、記録媒体をたるませて搬送するときにおける記録媒体との接触抵抗を低減することのできるロール状媒体搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のロール状媒体搬送装置は、長尺状の記録媒体をロール状に巻き重ねたロール体を保持する保持部と、前記保持部を回転させる保持部駆動手段と、前記保持部の鉛直方向下方に設けられて前記ロール体から垂れ下がる前記記録媒体のたるみ部分を検出するたるみ検出部と、前記たるみ検出部よりも前記記録媒体の搬送経路の下流側且つ鉛直方向の上方に設けられて前記搬送経路に沿って前記記録媒体を搬送する搬送機構と、前記たるみ検出部と鉛直方向における同位置またはこれよりも上方における前記たるみ検出部よりも前記搬送経路の上流側及び下流側の少なくとも一方に配置されて前記たるみ部分を前記たるみ検出部に案内する回転体とを備える。
【0007】
たるみ部分をたるみ検出部に案内する機能を有するものとして、たるみ部分を滑り接触させつつ支持するガイドを設けることも考えられるが、ガイドと記録媒体とが接触する際の滑り接触抵抗は、回転体と記録媒体とが接触する際の転がり接触抵抗と比較して極めて大きい。このため、ガイドを設けた構成にあっては、搬送される記録媒体が受ける負荷が大きなものとなり、記録媒体に傷がつく等のおそれがある。
【0008】
この点、上記構成では、たるみ部分をたるみ検出部に案内するための機構として、回転体を設けているため、ガイドが設けられているものと比較して、記録媒体との間に生じる接触抵抗を低減することができる。
【0009】
本発明のロール状媒体搬送装置において、前記回転体は、前記たるみ検出部よりも鉛直方向上方に設けられる。
例えば、回転体がたるみ検出部と鉛直方向における同位置に設けられている場合に、たるみ部分がロール体の径よりも径方向の外側にふくらんだ形状となると、たるみ部分の下端がたるみ検出部に接触しない状態となることがある。すなわち、たるみ部分をたるみ検出部に案内する回転体の効果を十分に得ることができなくなり、必要とされるたるみ量よりも多くのたるみが形成されることとなる。
【0010】
この点、上記構成によれば、回転体がたるみ検出部よりも鉛直方向上方に設けられているため、たるみ部分がロール体の径よりも径方向の外側にふくらんだ形状となるときにも、ふくらんだ部分が回転体に接触して回転体が転がることによりたるみ検出部に案内される。これにより、たるみ部分の下端が好適にたるみ検出部に接触するようになる。
【0011】
本発明のロール状媒体搬送装置において、前記回転体は、前記ロール体の半径が最小となるときの前記ロール体の水平方向における外周面に接して鉛直方向に伸びる線分上の位置よりも径方向の外側に配設される。
【0012】
回転体がロール体の半径が最小となるときのロール体の水平方向における外周面に接して鉛直方向に伸びる線分上の位置よりも内側に配置されている場合、たるみ部分がロール体の最小径よりも径方向の外側にふくらんだ形状となるとき、たるみ部分の下端が回転体に接触した後、この回転体よりも径方向の外側にたるみ部分が偏在することがある。この場合には、たるみ部分が回転体よりもたるみ検出部とは反対側に形成されるようになり、たるみ検出部によりたるみ部分を検出することが不可能となる。
【0013】
この点、上記構成によれば、回転体がロール体の半径が最小となるときのロール体の水平方向における外周面に接して鉛直方向に伸びる線分上の位置よりも外側に配置されている。このため、たるみ部分の下端位置よりも径方向の外側の部分が回転体に接触するとともに、たるみ部分の下端がたるみ検出部に接触するようになるため、回転体によりたるみ部分を好適にたるみ検出部に案内することができる。
【0014】
本発明のロール状媒体搬送装置において、前記回転体は、前記ロール体の半径が最大となるときの前記ロール体の水平方向における外周面に接して鉛直方向に伸びる線分上の位置よりも径方向の内側に配設される。
【0015】
回転体がロール体の半径が最大となるときのロール体の水平方向における外周面に接して鉛直方向に伸びる線分上の位置よりも外側に配置されている場合には、たるみ部分がロール体の最大径よりも径方向の外側に過度にふくらんだ形状となるときに初めてたるみ部分が回転体に接触するようになる。このため、通常時に必要とされるたるみ部分が形成されているときには、たるみ部分が回転体に接触しにくい。すなわち、回転体によるたるみ部分をたるみ検出部に案内する効果を十分に得ることができない。
【0016】
この点、上記構成によれば、回転体がロール体の半径が最大となるときのロール体の水平方向における外周面に接して鉛直方向に伸びる線分上の位置よりも内側に配置されているため、たるみ部分が形成される初期からたるみ部分が回転体に接触する状態をつくることができる。すなわち、たるみ部分が形成されはじめてから速やかにたるみ検出部に案内することができる。
【0017】
本発明のロール状媒体搬送装置において、前記回転体は、前記たるみ検出部よりも前記搬送経路の上流側及び下流側のいずれにも設けられる。
この構成によれば、記録媒体が搬送経路の上流側から下流側に順搬送される際に記録媒体がロール体から繰り出されてたるみ部分が形成される場合には、たるみ検出部よりも上流側に設けられた回転体により、たるみ部分を好適にたるみ検出部に案内することができる。また、記録媒体が下流側から上流側に逆搬送されることに基づいてたるみ部分がロール体に巻き取られる場合には、たるみ検出部よりも下流側に設けられた回転体により、たるみ部分を好適にたるみ検出部に案内することができる。すなわち、たるみ部分を繰り出すとき及び巻き取るときのいずれにおいてもたるみ部分を好適にたるみ検出部に案内することができる。
【0018】
本発明のロール状媒体搬送装置において、前記たるみ検出部よりも前記搬送経路の下流側に設けられる回転体は、一対の回転体であり、この一対の回転体は、相対的に上流側に配設される第1の回転体と相対的に下流側に配設される第2の回転体とにより構成されるものである。
【0019】
記録媒体が順搬送される場合、ロール体から記録媒体が繰り出される部分を支点として記録媒体が押し出されるようにして繰り出される、すなわち同部分にロール体からの遠心力が作用した状態でたるみ部分が形成される。これに対して、記録媒体が逆搬送される場合には、たるみ検出部よりも下流側のたるみ部分にはロール体からの遠心力が作用しない状態でたるみ部分が巻き取られるため、たるみ検出部よりも下流側のたるみ部分の形状が不安定なものとなり、たるみ部分が好適にたるみ検出部に向かいにくくなる。
【0020】
この点、上記構成によれば、たるみ検出部よりも搬送経路の下流側には、一対の回転体が設けられているため、記録媒体が逆搬送されるとき、たるみ部分は一対の回転体のうちはじめに相対的に下流側の第2の回転体に接触する。そして、この第2の回転体が転がることにより、たるみ部分が好適に相対的に上流側の第1の回転体に案内されて接触すると、この第1の回転体が転がることにより、たるみ部分が好適にたるみ検出部に案内されるようになる。
【0021】
本発明のロール状媒体搬送装置において、前記第2の回転体は、前記第1の回転体よりも鉛直方向上方に設けられる。
例えば、記録媒体が逆搬送される際に、たるみ部分が第2の回転体に接触した後に、これよりも鉛直方向の下方に設けられているたるみ検出部に案内するとき、第1の回転体は第2の回転体よりも下方に設けられていることが望ましい。
【0022】
この点、上記構成によれば、第2の回転体が第1の回転体よりも上方に設けられているため、逆搬送時の不安定な形状となりやすいたるみ部分が第2の回転体に接触した後、好適に第1の回転体に案内される。そして、第1の回転体に接触したたるみ部分は、第1の回転体が転がることにより、たるみ検出部に案内されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態のロール状媒体搬送装置を備えたプリンターの概略構成を示す概略構成図。
【図2】同実施形態のたるみ形成装置について、(a)はたるみ部分がたるみ検出部に接触していない状態を拡大して示す拡大図、(b)はたるみ部分がたるみ検出部に接触している状態を拡大して示す拡大図。
【図3】同実施形態のたるみ形成装置を拡大して模式的に示す模式図。
【図4】同実施形態のプリンターの電気的構成を示すブロック図。
【図5】同実施形態のたるみ形成装置を模式的に示す模式図であり、(a)はたるみ部分がたるみ検出部に接触した状態の模式図、(b)はたるみ部分がたるみ検出部に接触していない状態の模式図、(c)はたるみ部分が上流側ローラーとたるみ検出部に接触した状態の模式図、(d)はたるみ部分がたるみ検出部から離間しつつ上流側ローラーに接触した状態の模式図。
【図6】同実施形態のたるみ形成装置を模式的に示す模式図であり、(a)はたるみ部分がたるみ検出部よりも下流側の一対の回転体に接触した状態の模式図、(b)はたるみ部分がたるみ検出部及びそれよりも下流側の一対の回転体に接触した状態の模式図。
【図7】従来のたるみ形成装置について検出エラーが生じた状態を示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を記録装置の一種であるインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」と略す場合もある)に搭載されるロール状媒体搬送装置に具体化した実施形態を説明する。
【0025】
図1に示すように、プリンター10は、開閉可能なカバー13及び排紙部14を有する本体ケース11と、長尺状の記録媒体としての用紙Sを搬送する給送装置20と、用紙Sに記録を施す記録部80と、用紙Sを切断するカッター90とを備えている。また、プリンター10は、給送装置20、記録部80及びカッター90の各種動作を制御するための制御装置100を備えている。
【0026】
以下の説明では、ロール体Rから繰り出された用紙Sが搬送ローラー44Aから記録部80を経て排紙部14と順に搬送される場合、即ち用紙Sがロール体Rを搬送経路の最上流部としてその上流側から下流側に搬送される場合を「順搬送」、その逆に用紙Sが下流側から上流側に搬送される場合を「逆搬送」とする。
【0027】
また、本体ケース11に対してカバー13が設けられる側の側面(図1では右側の側面)をプリンター10の「前面」とするとともに、排紙部14が設けられる側の側面(図1では左側の側面)をプリンター10の「背面」とする。また図1においては、収容体21から給送される用紙Sを実線で図示する一方、収容体22から給送される用紙Sを仮想的に二点鎖線で図示している。
【0028】
なお、本実施形態では、印刷処理のために用紙Sを間欠的に搬送することを「給送」という。これに対して、印刷及び切断が完了したカット用紙CSを排紙部14に向けて連続的に搬送することは「排出」にあたるが、給送と排出とを含む場合や、給送と排出とを区別しない場合などには「搬送」ということがある。
【0029】
給送装置20は、第1及び第2ロール体R1,R2をそれぞれ支持する第1及び第2回転軸J1,J2と、第1及び第2回転軸J1,J2を回転させる回転機構30(図4参照)とを備えている。また、ロール体Rから繰り出された用紙Sを本体ケース11の前面側から排紙部14に向かって延びる搬送経路に沿って搬送する搬送機構40と、たるみセンサー60を含めて構成されてロール体Rの下方に用紙Sのたるみを形成するためのたるみ形成装置50とを備えている。
【0030】
第1及び第2ロール体R1,R2は、それぞれ第1及び第2用紙S1,S2をその中心部のそれぞれ第1及び第2ロール芯RC1,RC2にロール状に巻き重ねたものであり、それぞれ第1収容体21及び第2収容体22に収容されている。
【0031】
収容体21は、本体ケース11の底面と平行となる底壁部21Aと、底壁部21Aの幅方向Wにおける両側に設けられた側壁部21Bとを有している。収容体21は、常時は本体ケース11の内部に形成された収容空間ALに配置される。カバー13は、収容体21の収容空間ALを開閉する。
【0032】
本体ケース11の内部において、収容空間ALの背面側には制御装置100等を収容する収容室STが設けられている。収容体21は、その背面側に壁部を有していないため、ロール体R1は、収容室STの前面側の壁部WLと対向する。
【0033】
収容体21は、本体ケース11のカバー13を外側に開くことにより、本体ケース11の外部へ引き出し可能となっている。収容体22は、本体ケース11の外部に設けられて、カバー13の上方に設けられたシャフト12を中心に回転する。収容体22には、本体部22Aと蓋部22Bとが設けられている。
【0034】
なお、第1ロール体R1から繰り出された用紙S1を記録部80に向けて給送するとき、収容体21は、図1に示す位置に配置される。また、第1ロール体R1の交換が行われるときには、前面側に引き出した位置に配置される。また、第2ロール体R2から繰り出された用紙S2を記録部80に向けて給送するとき、収容体22は、図1に示す位置に配置される。また、第2ロール体R2の交換が行われるときには、蓋部22Bのみを上方の位置に回転させる。
【0035】
次に、保持部駆動手段としての回転機構30について説明する。
回転機構30は、回転軸Jを正逆両方向に回転させるための回転モーター31と、動力伝達切替装置32とを備えている(いずれも図4参照)。動力伝達切替装置32は、記録部80に対して給送される用紙S1,S2の切り替えに際して、回転モーター31の動力の伝達先を回転軸J1と回転軸J2との間で切り替える。
【0036】
回転モーター31は、記録部80に向けて用紙Sを給送する場合には、用紙Sをロール体Rから繰り出して回転軸Jの下方にたるませる方向(図1における反時計方向)に回転軸Jを回転させる。また、回転モーター31は、給送される用紙Sの切り替えが行われる前や印刷ジョブ終了後に、用紙Sをロール体Rに巻き取る方向(図1における時計方向)に回転軸Jを回転させる。
【0037】
搬送機構40について説明する。
搬送機構40は、搬送経路を形成する搬送経路形成部材41A〜41Cと、反転経路を形成する反転経路形成部材42と、給紙ローラー43A,43Bと、搬送ローラー44A〜44Fと、この搬送ローラー44A〜44Fとそれぞれ対をなす従動ローラー45A〜45Fを備えている。
【0038】
さらに、搬送機構40は、搬送ローラー44A〜44Fを回転させる搬送モーター46と、動力伝達切替装置47と、ロータリーエンコーダー48とを備えている(いずれも図4参照)。
【0039】
動力伝達切替装置47は、用紙Sの搬送工程に応じて、搬送モーター46と搬送ローラー44A〜44Fとの間で動力の伝達先を切り替える。また、ロータリーエンコーダー48は搬送モーター46の出力軸に設けられて該出力軸の回転速度、回転位置及び回転方向を検出する。そして、搬送機構40は、搬送モーター46の駆動によって、ロール体Rから繰り出された用紙Sを記録部80に向けて上流側から下流側に給送する。
【0040】
たるみ検出部としてのたるみセンサー60について説明する。
たるみセンサー60は、ロール体R1,R2から自重で垂れ下がる用紙Sのたるみ部分SGの下端位置を検出するために、回転軸J1,J2の下方となる収容体21,22の内底部に1つずつ設けられている。
【0041】
図1の部分拡大図を参照して、たるみセンサー60の詳細な構造について説明する。なおここでは、収容体21内に設けられたたるみセンサー60について部分拡大断面図を示して詳細な構成を図示しているが、収容体22内に設けられたたるみセンサー60についても、同様の構成を有している。
【0042】
たるみセンサー60は、上部に開口部61Aを有するケース61を有している。ケース61の内部には、レバー62と、ローラー63と、レバー62の先端部の変位を検知する検知部64とが設けられている。
【0043】
以降では、図1における矢印方向を「送り方向Z」とするとともに、その逆の方向を「戻し方向Y」とする。また、たるみ部分SGのロール体Rにつながる側を「基端側」とするとともに、その反対側を「先端側」とする。
【0044】
レバー62の先端側には、ローラー63を支持するための支持部62Aが上側に向けて設けられている。なお、レバー62の先端とは、図1では右端であり、たるみ部分SGの送り方向Zにおける下流側の端部のことをいう。ローラー63は、支持部62Aに回転自在に支持されている。また、ローラー63は、用紙Sのたるみ部分SGに接触した場合に、たるみ部分SGが搬送経路に向かって送り出されるのに伴い、用紙Sから付与される力により図1における時計方向に回転する。
【0045】
レバー62は、たるみ部分SGの送り方向Zにおける上流側となる基端側(図1では左端側)に設けられた軸部としてのレバー軸65を中心に傾動可能に構成されている。また、レバー62のレバー軸65の周りには、ねじりコイルばね66が設けられている。
【0046】
検知部64は、幅方向Wにおいてレバー62を挟むように間隔を有して配置された図示しない光源部及び受光部を有している。光源部は、受光部に向けて光を出射する。受光部は、光源部により出射された光を受光する。受光部にて受光した光の強さに応じた電気信号が制御装置100に出力される。
【0047】
記録部80の構成について説明する。
記録部80は、搬送経路の上側に配置されたガイド軸81と、ガイド軸81に支持されたキャリッジ82と、キャリッジ82に支持された記録ヘッド83と、搬送経路を挟んで記録ヘッド83と対向する位置に配置された支持部材84とを備えている。
【0048】
ガイド軸81は、その中心線が幅方向Wに沿うように設けられている。キャリッジ82は、ガイド軸81に支持されて幅方向Wに往復移動する。記録ヘッド83には、液体としてのインクを噴射する複数のノズル(図示略)が設けられている。支持部材84は、給送装置20によって搬送される用紙Sを支持する。そして、支持部材84に支持された用紙Sの表面(図1では上面)に向けて記録ヘッド83からインクが噴射されて用紙Sに印刷が施される。
【0049】
カッター90について説明する。
カッター90は、記録部80の下流側に設けられている。カッター90は、用紙Sの印刷が施された部分の先端側を幅方向Wに切断することで、切断された用紙Sの先端側の一部を所定のプリントサイズのカット用紙CSとする。
【0050】
たるみセンサー60の検出態様について説明する。
図2(a)に示すように、レバー62は、ローラー63にたるみ部分SGが接触していないとき、すなわちレバー62の先端部が検知部64から上方に離間した規定位置BLにあるとき、受光部は光源部から出射された光を受光して所定の閾値以上のON値を出力する。
【0051】
図2(b)に示すように、用紙Sがロール体Rから繰り出されてたるみ部分SGがローラー63に接触しているとき、すなわちローラー63がたるみ部分SGに押圧されたとき、レバー62はねじりコイルばね66の付勢力に抗して、時計方向に回転する。この状態から用紙Sが搬送されてたるみ部分SGの下端位置が上側に移動すると、ねじりコイルばね66の付勢力により、レバー62が反時計方向に回転する。このようにレバー62の先端部が光源部から出射された光を遮ると、受光部は前記閾値未満のOFF値を出力する。
【0052】
受光部からの出力値がON値からOFF値に変化することにより、用紙Sが適度にたるんだ状態になったことが判断される。また、用紙Sのたるみ部分SGが搬送経路側に送り出されてその下端位置が予め規定された規定位置BLより上側に移動すると、レバー62が図2(a)に示すように変位して、受光部からの出力値がOFF値からON値に変化する。これにより、用紙Sのたるみ部分SGの長さが不足した状態になったことが判断される。
【0053】
ここで、収容体21においては、第1ロール体R1は収容室STの壁部WLと対向する位置に収容されているため、図7に示すように用紙Sが過度にたるんでしまった場合には、たるみ部分SGが壁部WL等に引っかかってしまうおそれがある。また、収容体22においても、用紙Sが過度にたるんでしまった場合には、用紙Sのたるみ部分SGが本体部22Aの内壁部に引っかかってしまうおそれがある。
【0054】
そして、このようにたるみ部分SGが壁部WL等に引っかかると、図7に示すように用紙Sがたるんでいるにもかかわらず、たるみセンサー60によってそのたるみ状態が検出できないといった検出エラーが生じることがある。
【0055】
特に、用紙Sのたるみ不足を検出したときに一定の回転量で回転軸Jを回転させるような場合には、ロール体Rの残量が多く、その径が大きいうちは、同じ回転量でも多くの用紙Sが繰り出されるので、過度のたるみが生じやすい。
【0056】
これに対してプリンター10では、繰り出された用紙S及び巻き取られる用紙Sをたるみセンサー60に案内する案内装置70がたるみ形成装置50に設けられているため、上述したような検出エラーが発生する頻度が低減される。
【0057】
図3に示すように、案内装置70は、たるみセンサー60よりも上流側のたるみ部分SGをたるみセンサー60に案内する上流側装置71と、たるみセンサー60よりも下流側のたるみ部分SGをたるみセンサー60に案内する下流側装置74とにより構成されている。
【0058】
上流側装置71は、たるみセンサー60の上流側に設けられた上流側ケース72と、この上流側ケース72に設けられた回転体としての上流側ローラー73とにより構成されている。上流側ローラー73は、その上側半分が上流側ケース72から露呈している。
【0059】
下流側装置74は、たるみセンサー60の下流側に設けられたスロープ部材75と、このスロープ部材75に設けられた第1の回転体としての第1ローラー76及び第2の回転体としての第2ローラー77とにより構成されている。
【0060】
スロープ部材75には、ケース61の底面に対して平行な平行面75Aと、この平行面75Aに対して垂直な垂直面75Bと、平行面75Aの上流側の片と垂直面75Bの上側の片とを結ぶ傾斜面75Cとが設けられている。
【0061】
第1ローラー76及び第2ローラー77は、各ローラー76,77の上側半分が傾斜面75Cから露呈している。
ここで、各収容体21,22に適した径のロール体Rが設置されたときにおいて、ロール体Rが未使用状態のときのロール体Rの半径を「最大半径Rmax」とし、ロール芯RCに巻かれた用紙Sの残量がひと巻き分のときのロール体Rの半径を「最小半径Rmin」とする。
【0062】
最大半径Rmaxのときのロール体Rの水平方向における外周面に接して鉛直方向に伸びる線分のうち、たるみセンサー60よりも上流側の線分上の位置を「位置U1」とし、下流側の線分上の位置を「位置D1」とする。
【0063】
最小半径Rminのときのロール体Rの水平方向における外周面に接して鉛直方向に伸びる線分のうち、たるみセンサー60よりも上流側の線分上の位置を「位置U2」とし、下流側の線分上の位置を「位置D2」とする。
【0064】
たるみセンサー60が収容体21の底壁部21Aに設置されている面を「基準位置HB」として、基準位置HBからローラー63の中心点までの高さを「高さH1」とする。また、基準位置HBから上流側ローラー73及び第1ローラー76のそれぞれの中心点までの高さを「高さH2」とする。また、基準位置HBから第2ローラー77の中心点までの高さを「高さH3」とする。
【0065】
次に、各ローラー73,76,77が配置される位置について説明する。
上流側ローラー73は、径方向において位置U2よりも外側且つ位置U1よりも内側、及び鉛直方向において高さH1よりも上側且つ高さH3よりも下側に配置されている。また上流側ローラー73は、水平方向において、位置U2と位置U1との間のほぼ中間位置に配置されている。
【0066】
第1ローラー76は、径方向において位置D2よりも外側且つ位置D1よりも内側、及び鉛直方向において高さH1よりも上側且つ高さH3よりも下側に配置されている。
第2ローラー77は、径方向において第1ローラー76の中心点を通る鉛直方向の線分上の位置よりも外側且つ位置D1よりも内側、及び鉛直方向において高さH2よりも上側且つ最大半径Rmaxのときの下端位置よりも下側に配置されている。
【0067】
なお、上流側ローラー73及び第1ローラー76及び第2ローラー77は、用紙Sがそれらローラー73,76,77に接触することに伴い、用紙Sから付与される力により回転する円筒状のころである。
【0068】
図4を参照して、プリンター10の電気的構成について説明する。
制御装置100は、制御手段としてのコンピューター110と、ヘッド駆動回路120と、モーター駆動回路131,132とを備えている。コンピューター110は、バス140を介して、ヘッド駆動回路120及びモーター駆動回路131,132に電気的に接続されている。
【0069】
コンピューター110は、ASIC(Application Specific IC(特定用途向けIC))111、CPU112、ROM113、RAM114及び不揮発性メモリー115を備えている。ROM113には、各種制御プログラム及び各種データなどが記憶されている。不揮発性メモリー115には、ファームウェアプログラムを始めとする各種プログラム及び印刷処理に必要な各種データなどが記憶されている。RAM114には、CPU112によって実行されるプログラムデータや、CPU112による演算結果及び処理結果である各種データ、並びにASIC111で処理された各種データなどが一時記憶される。
【0070】
コンピューター110は、CPU112がROM113等に記憶されたプログラムを実行することで、各種の制御を行う。例えば、コンピューター110は、ヘッド駆動回路120を介して記録ヘッド83を制御するとともに、モーター駆動回路131,132を介してそれぞれ回転モーター31と搬送モーター46とを制御する。なお、コンピューター110は、ロータリーエンコーダー48からの検出信号に基づいて搬送モーター46を制御するとともに、たるみセンサー60からの検出信号に基づいて回転モーター31を制御する。
【0071】
次に、用紙Sの給送態様及び戻し態様について説明する。
給送装置20が用紙Sを給送する場合には、まず回転モーター31を駆動してロール体Rから用紙Sの一部を繰り出してロール体Rの下方にたるみ部分SGをたるませた状態とした後に、搬送モーター46を駆動して搬送ローラー44A〜44Fを正回転させる。すなわち、用紙Sは、ロール体Rの下方に自重で垂れ下がったたるみ部分SGが送り方向Zに送り出される。また、用紙Sは、先端側がロール体Rの外周面における基端側とは反対側となる位置に巻き掛けられた状態で、搬送経路に導かれる。
【0072】
ここで、搬送経路形成部材41A,41Bの上流端は、鉛直方向において、それぞれ対応する第1及び第2回転軸J1,J2と同等かそれより高い位置に配置されている。そのため、繰り出された用紙Sがロール体Rの外周面に巻き掛けられることにより、搬送経路に向かう用紙Sに適度な張力が付与される。
【0073】
一方、給送装置20が用紙Sを戻す場合には、まず搬送モーター46を駆動して搬送ローラー44A〜44Fを逆回転させた後に、回転モーター31を駆動して回転軸Jを逆回転させる。すなわち、用紙Sは、戻し方向Yに向かって戻されて、たるみ部分SGが巻き取られる。
【0074】
次に、プリンター10の作用について説明する。
給送装置20においては、記録部80に向けて用紙Sを給送するとき、搬送モーター46の駆動に先だって回転軸Jの下方に用紙Sのたるみ部分SGを形成するために、たるみセンサー60の出力値がON値からOFF値になるまで回転軸Jが正回転される。また、搬送機構40が記録部80に向けて用紙Sを給送している間には、常時、たるみセンサー60がたるみ部分SGの下端位置の検出を行う。
【0075】
そして、コンピューター110は、用紙Sの給送にともなってたるみセンサー60の出力値がOFF値からON値に変化した場合には、たるみセンサー60の出力値がON値からOFF値に変化するまで、回転軸Jを正回転させる。すなわち、たるみ部分SGの下端位置が規定位置BLよりも上側に移動したことをたるみセンサー60が検出した場合には、コンピューター110によりたるみ部分SGの下端位置が規定位置BLに到達するまで、回転軸Jを正回転させるように回転機構30を制御する。
【0076】
なお、印刷ジョブに基づく印刷処理の実行時には、用紙Sは搬送機構40によって間欠的に給送されるので、たるみ部分SGも間欠的に送り出されることになる。また、たるみセンサー60は、間欠的に用紙Sが給送されるタイミングで、用紙Sのたるみ不足を検出することになる。そのため、用紙Sの給送が印刷処理のために一時停止されている間に回転軸Jを正回転させることで、次の給送が開始されるまでにたるみ量が不足している状態を解消しておくことができる。したがって、用紙Sの給送時には、常に一定のたるみ状態が保たれる。
【0077】
プリンター10では、1つの印刷ジョブに含まれる印刷データを複数に分割し、分割された印刷処理をキャリッジ82の走査毎に行うとともに、各印刷処理の合間に、用紙Sの印刷処理が施された部分を搬送機構40によって間欠的に搬送する。すなわち、記録部80では、幅方向Wが長手方向となる帯状の画像の形成と紙送りとが交互に繰り返されることで、1つの印刷ジョブに基づく画像が形成される。
【0078】
そして、印刷処理が施された用紙Sは、カッター90により切断される。用紙Sの切断は、印刷処理のために搬送を停止したタイミングで行われる。そして、印刷及び切断が完了したカット用紙CSは、搬送機構40によって排紙部14に向けて停止されることなく連続的に搬送され、排紙部14で反転された後、本体ケース11の上面側に排出される。
【0079】
用紙Sが切断された後や印刷ジョブが終了した後には、用紙Sの先端部を下流側から上流側に搬送して、記録ヘッド83を通過しても印刷されていない用紙Sの部分を記録ヘッド83の最も下流側の位置まで戻す作業が実行される。
【0080】
次に図5及び図6を参照して、案内装置70の作用について説明する。
図5を参照して、印刷ジョブが開始された後のたるみ形成態様について説明する。
印刷ジョブが開始されると、印刷処理の実行に伴って用紙Sが順搬送されるとともに、たるみセンサー60のON値出力に基づいて回転軸Jが正回転して、用紙Sがロール体Rから繰り出されてロール体Rの下方にたるみ部分SGが形成される。
【0081】
図5(a)に示すように、たるみセンサー60の出力値がON値からOFF値に変化するまで回転軸Jが正回転されることにより、用紙Sが継続して送り方向Zに繰り出されると、たるみ部分SGがたるみセンサー60のローラー63に接触する。このとき、たるみ部分SGは、上流側ローラー73に接触することなく、ローラー63に接触してレバー62を押し下げる。これにより、たるみセンサー60の出力値がON値からOFF値に変化すると、回転軸Jの回転が停止される。なおこのとき、たるみ部分SGは、第1ローラー76及び第2ローラー77に接触しない状態となる。
【0082】
図5(b)に示すように、回転軸Jの回転が停止されている状態のもと、さらに用紙Sが順搬送されると、たるみ部分SGが送り方向Zに給送されて、たるみ部分SGの下端位置がたるみセンサー60から離間した状態となる。なおこのとき、たるみ部分SGは、上流側ローラー73及び第1ローラー76及び第2ローラー77に接触しない状態となる。そしてこの後、たるみセンサー60の出力値がOFF値からON値に変化することに伴い回転モーター31が駆動されて回転軸Jが正回転する。
【0083】
図5(c)に示すように、用紙Sが順搬送されつつ回転軸Jが正回転すると、用紙Sが送り方向Zに繰り出されて、たるみ部分SGが形成される。このときのたるみ部分SGは、はじめに上流側ローラー73に接触する。そして、上流側ローラー73に接触したたるみ部分SGは、上流側ローラー73が転がることによりたるみセンサー60に案内される。そして、たるみセンサー60のローラー63に接触したたるみ部分SGがレバー62を押し下げることにより、たるみセンサー60の出力値がON値からOFF値に変化すると、回転軸Jの回転が停止する。なおこのとき、たるみ部分SGは、第1ローラー76及び第2ローラー77に接触することはない。
【0084】
図5(d)に示すように、回転軸Jの回転が停止している状態のもと、用紙Sが順搬送されると、たるみ部分SGは、上流側ローラー73に接触しつつ、その下端位置がたるみセンサー60から離間した状態となる。なおこのとき、たるみ部分SGは、第1ローラー76及び第2ローラー77に接触することはない。
【0085】
次に図6を参照して、印刷ジョブが終了した後のたるみ形成態様について説明する。
図6(a)に示すように、用紙Sが逆搬送されると、たるみセンサー60の出力値がON値からOFF値に変化するまで回転軸Jが逆回転されて、たるみ部分SGが戻し方向Yに巻き取られる。このときのたるみ部分SGは、はじめに第2ローラー77に接触する。そして、第2ローラー77に接触したたるみ部分SGは、第2ローラー77により第1ローラー76に案内される。すなわち、このときのたるみ部分SGは、第2ローラー77及び第1ローラー76に接触する状態となる。なおこのとき、たるみ部分SGは、上流側ローラー73に接触することはない。
【0086】
図6(b)に示すように、さらに用紙Sが逆搬送されつつ回転軸Jが逆回転されて、たるみ部分SGが戻し方向Yに巻き取られる際、用紙Sの戻し量がロール体Rの巻き取り量よりも多い場合には、たるみ部分SGがたるみセンサー60のローラー63に接触してレバー62を押し下げる。そして、たるみセンサー60の出力値がON値からOFF値に変化すると、回転軸Jの回転が停止する。なおこのとき、たるみ部分SGは、上流側ローラー73に接触することはない。
【0087】
なお、用紙Sのたるみ状態を一定の間隔で定期的に検出し、たるみ不足を検出した場合に一定の回転量で回転軸Jを回転させるような場合には、ロール体Rの径が小さくなると、同じ回転量でも繰り出される用紙Sの長さは短くなる。そのため、次回の検出までにたるみ部分SGが無くなり、用紙Sを搬送する際に大きな負荷が発生してしまう虞がある。
【0088】
これに対してプリンター10では、常時たるみ状態を検出するので、このようなたるみ不足に起因する搬送負荷の変動が抑制される。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0089】
(1)たるみ部分SGをたるみセンサー60に案内するための機構として、上流側ローラー73及び第1ローラー76及び第2ローラー77を設けている。このため、用紙Sを滑り接触させつつ支持するガイドが設けられているものと比較して、用紙Sとの間に生じる接触抵抗を低減することができる。
【0090】
(2)上流側ローラー73及び第1ローラー76及び第2ローラー77が、たるみセンサー60よりも鉛直方向上方に設けられている。このため、たるみ部分SGがロール体Rの径よりも径方向の外側にふくらんだ形状となるときにも、ふくらんだ部分が各ローラー73,76,77に接触し、それらが転がることによりたるみセンサー60に案内される。これにより、たるみ部分SGの下端が好適にたるみセンサー60に接触する。
【0091】
(3)上流側ローラー73及び第1ローラー76が、ロール体Rが最小半径Rminとなるときのロール体Rの水平方向における外周面に接して鉛直方向に伸びる線分上の位置よりも外側に配置されている。このため、たるみ部分SGの下端位置よりも径方向の外側の部分がそれらローラー73,76に接触するとともに、たるみ部分SGの下端がたるみセンサー60に接触するようになり、それらローラー73,76によりたるみ部分SGを好適にたるみセンサー60に案内することができる。
【0092】
(4)上流側ローラー73及び第2ローラー77が、ロール体Rが最大半径Rmaxとなるときのロール体Rの水平方向における外周面に接して鉛直方向に伸びる線分上の位置よりも内側に配置されている。このため、たるみ部分SGが形成される初期からたるみ部分SGがそれらローラー73,77に接触する状態をつくることができる。すなわち、たるみ部分SGが形成されはじめてから速やかにたるみセンサー60に案内することができるようになる。
【0093】
(5)用紙Sが上流側から下流側に順搬送されることに基づいて用紙Sがロール体Rから繰り出されてたるみ部分SGが形成される場合には、たるみセンサー60よりも上流側に設けられた上流側ローラー73により、たるみ部分SGを好適にたるみセンサー60に案内することができる。また、用紙Sが下流側から上流側に逆搬送されることに基づいてたるみ部分SGがロール体Rに巻き取られる場合には、たるみセンサー60よりも下流側に設けられた第1及び第2ローラー76,77により、たるみ部分SGを好適にたるみセンサー60に案内することができる。すなわち、たるみ部分SGを繰り出すとき及び巻き取るときのいずれにおいてもたるみ部分SGを好適にたるみセンサー60に案内することができる。
【0094】
(6)たるみセンサー60よりも下流側には、第1及び第2ローラー76,77が設けられているため、用紙Sが逆搬送されるとき、たるみ部分SGは第1及び第2ローラー76,77のうちはじめに相対的に下流側の第2ローラー77に接触する。そして、この第2ローラー77が転がることにより、たるみ部分SGが好適に相対的に上流側の第1ローラー76に案内されて接触すると、この第1ローラー76が転がることにより、たるみ部分SGが好適にたるみセンサー60に案内されるようになる。
【0095】
(7)第2ローラー77が第1ローラー76よりも上方に設けられているため、逆搬送時のたるみ部分SGが第2ローラー77に接触した後、好適に第1ローラー76に案内された後にたるみセンサー60に案内されるようになる。
【0096】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・案内装置70は、下流側装置74、すなわち、第1ローラー76及び第2ローラー77を省略してもよい。また、上流側装置71、すなわち、上流側ローラー73を省略してもよい。
【0097】
・下流側装置74は、第2ローラー77を省略してもよい。
・下流側装置74は、第1ローラー76及び第2ローラー77に加えて複数の回転体を備えるようにしてもよい。
【0098】
・上流側ローラー73及び第1ローラー76は、鉛直方向において、たるみセンサー60と同じ位置に配設してもよい。
・第1ローラー76及び第2ローラー77は、それぞれ鉛直方向において、同じ位置に配設してもよい。
【0099】
・上流側ローラー73及び第1ローラー76及び第2ローラー77は、球状の玉としてもよい。要するに、用紙Sが接触することにより用紙Sから伝達される動力によって、回転する転動体であればよい。
【0100】
・上流側ローラー73は、位置U2と位置U1との間の中間位置よりも内側または外側に配置してもよい。また、第1ローラー76は、上記実施形態の位置よりも内側または外側に配置してもよい。
【0101】
・下流側装置74は、スロープ部材75を省略してもよい。すなわち、第1ローラー76及び第2ローラー77を別体の部材に設けてもよい。
・搬送経路の上流端は、必ずしも搬送経路形成部材41A,41Bの上流端によって構成する必要はなく、搬送経路上に配置された搬送ローラー等によって構成してもよい。また、用紙Sのたるみ部分SGとロール体Rの外周面に巻き掛けられた用紙Sとが干渉することがなければ、搬送経路の上流端は、回転軸Jよりも下方に配置してもよい。
【0102】
・たるみセンサー60は、レバー62及びローラー63を省略してもよい。例えば、用紙Sのたるみ部分SGを挟むように検知部64の光源部と受光部とを配置して、光源部が受光部に向けて出射した光を用紙Sのたるみ部分SGが遮ることでその下端位置を検出する構成としてもよい。この場合には、用紙Sにローラー63が接触することがないので、用紙Sに負荷をかけることなく、たるみ部分SGの下端位置を検出することができる。
【0103】
・たるみ部分SGの送り方向Zにおける上流側となるレバー62の先端側にローラー63を設けるとともに、たるみ部分SGの送り方向Zにおける下流側となる基端側に設けられたレバー軸65を中心にレバー62が変位するようにしてもよい。この場合には、用紙S2が壁部WL等に引っかかったり、収容体22の回転に伴って用紙S1が本体部22Aの内壁部に引っかかったりした場合にも、たるみ部分SGにローラー63が接触しやすいので、検出エラーの発生を抑制することができる。
【0104】
・給送装置20は、ロール体Rを収容する収容体を1つのみ備えるようにしても良いし、3つ以上の収容体を備えるようにしてもよい。
・制御装置100は必ずしも収容室STに収容しなくてもよいし、収容室STに制御装置100以外の装置や機構を収容するようにしてもよい。
【0105】
・プリンター10のコンピューター110とは別に、給送装置20に専用のコンピューターを備えるようにしてもよい。
・記録媒体は用紙に限らず、金属やプラスチックフィルム、樹脂シート,布など、任意の素材から構成することができる。
【0106】
・上記実施形態では、記録方式としてインクジェット方式を採用した記録装置について記載したが、電子写真方式や熱転写方式など、任意の記録方式の記録装置に変更することもできる。また、記録装置はプリンターに限らず、FAX装置、コピー装置、あるいはこれら複数機能を備えた複合機等であってもよい。さらに、記録装置として、インク以外の他の液体の微小量の液滴を噴射したり吐出したりする液体噴射ヘッド等を備える液体噴射装置を採用してもよい。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。
【0107】
・ロール状媒体搬送装置は、記録装置に備えられるものに限らない。例えば、記録媒体に対するシールの貼付処理や、箔の転写処理や、染色処理などの各種処理装置に対する記録媒体の給送装置としてもよい。
【符号の説明】
【0108】
10…記録装置としてのプリンター、20…ロール状媒体搬送装置としての給送装置、30…保持部駆動手段としての回転機構、40…搬送機構、60…たるみ検出部としてのたるみセンサー、73…回転体としての上流側ローラー、76…第1の回転体としての第1ローラー、77…第2の回転体としての第2ローラー、R…ロール体、Rmax…最大半径、Rmin…最小半径、J…保持部としての回転軸、S…記録媒体としての用紙、SG…たるみ部分。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の記録媒体をロール状に巻き重ねたロール体を保持する保持部と、
前記保持部を回転させる保持部駆動手段と、
前記保持部の鉛直方向下方に設けられて前記ロール体から垂れ下がる前記記録媒体のたるみ部分を検出するたるみ検出部と、
前記たるみ検出部よりも前記記録媒体の搬送経路の下流側且つ鉛直方向の上方に設けられて前記搬送経路に沿って前記記録媒体を搬送する搬送機構と、
前記たるみ検出部と鉛直方向における同位置またはこれよりも上方における前記たるみ検出部よりも前記搬送経路の上流側及び下流側の少なくとも一方に配置されて前記たるみ部分を前記たるみ検出部に案内する回転体とを備えるロール状媒体搬送装置。
【請求項2】
前記回転体は、前記たるみ検出部よりも鉛直方向上方に設けられる請求項1に記載のロール状媒体搬送装置。
【請求項3】
前記回転体は、前記ロール体の半径が最小となるときの前記ロール体の水平方向における外周面に接して鉛直方向に伸びる線分上の位置よりも径方向の外側に配設される請求項1又は請求項2に記載のロール状媒体搬送装置。
【請求項4】
前記回転体は、前記ロール体の半径が最大となるときの前記ロール体の水平方向における外周面に接して鉛直方向に伸びる線分上の位置よりも径方向の内側に配設される請求項1〜3のうち何れか一項に記載のロール状媒体搬送装置。
【請求項5】
前記回転体は、前記たるみ検出部よりも前記搬送経路の上流側及び下流側のいずれにも設けられる請求項1〜4のうち何れか一項に記載のロール状媒体搬送装置。
【請求項6】
前記たるみ検出部よりも前記搬送経路の下流側に設けられる回転体は、一対の回転体であり、この一対の回転体は、相対的に上流側に配設される第1の回転体と相対的に下流側に配設される第2の回転体とにより構成されるものである請求項5に記載のロール状媒体搬送装置。
【請求項7】
前記第2の回転体は、前記第1の回転体よりも鉛直方向上方に設けられる請求項6に記載のロール状媒体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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