説明

ロール状物搬送用パレット

【課題】種々のサイズを有する重量貨物に適宜対応でき、しかも1個もしくは複数個の重量貨物の安定輸送を可能ならしめるロール状物搬送用パレットを提供する。
【解決手段】パレット本体11と、該パレット本体11の上面に所定の間隔で差し渡された複数本のコ字状の縦桁12と、底板15上に側板16が外向きに傾斜して形成され、前記縦桁12に交差して搭載する一対のL字状断面の横桁14とを備え、前記縦桁12には位置決めピン21が所定の間隔で複数突設され、前記横桁14にはその底面に前記横桁の位置決めピン21に対応する取付孔31を幅方向に複数かつ所定の間隔で複数列形成され、前記縦桁12の上面に設けた位置決めピン21に、前記横桁14の取付孔31を差し込んで着脱自在に取り付けることにより、前記一対の横桁14間に所定のサイズのロール状物を装着することができるようにしたことを特徴とするロール状物搬送用パレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル等の重量貨物を安定的に保持して輸送するためのロール状物搬送用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
重量貨物、特にコイル等の円形の重量貨物の輸送に用いられるパレットでは、輸送中における重量貨物の転がり移動や滑り移動を防止するために、従来から、パレット上面の所定位置に、重量貨物の周面に適合する凹状カーブの作業表面を有するブロック類が取り付けられていた。
例えば、実用新案登録第3130745号公報(特許文献1参照)には、コイル受け台と、前記コイル受け台上面に配置され、コイルを支持する一対のコイル受けストッパとを有し、前記コイル受けストッパは、回転軸と、コイルを支持する当接部からなり、前記コイル受けストッパは、載置される前記コイルの径に応じて、前記コイル受け台上で可動することを特徴とするコイル架台が示されている。
【0003】
実開平5−95831号公報(特許文献2参照)には、パレット本体の載置面に突出して互いにV字状に開く一対の転がり止め部材を各々傾倒自在に設け、これら転がり止め部材を起立方向に付勢するばね部材を設けたロール状物品用パレットが示されている。
【0004】
特開平8−26282号公報(特許文献3参照)には、運搬具によって持ち上げられるデッキ部材と、このデッキ部材の上に組み付けられる載置物受け部材とからなる複合組立パレットであって、上記デッキ部材および載置物受け部材は、骨格を形成する芯材と、この芯材を一体に包囲する合成樹脂層とから構成され、上記合成樹脂層はノルボルネン系合成樹脂から形成されていることを特徴とする複合組立パレットが示されている。
【0005】
特開平5−330555号公報(特許文献4参照)には、上面に係合孔が等ピッチで列をなして設けられ重量貨物が載置されるコンテナ基板と、前記係合孔に適合する係合突起を少なくとも2つ以上有するとともに重量貨物の移動を防止する少なくとも1つの荷重受け面を有する輪止めとを具備してなる重量貨物輸送用コンテナが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3130745号公報
【特許文献2】実開平5−95831号公報
【特許文献3】特開平8−26282号公報
【特許文献4】特開平5−330555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前記特許文献1および2のものでは、一対のコイル受けストッパもしくは一対の転がり止め部材の角度を、異なった径を有する重量貨物に適宜対応することができるものの、搭載できる重量貨物の個数はただ1個に限定されている。
前記特許文献3のものでは、デッキ部材の上に組み付けられる載置物受け部材はボルト・ナットによる固定式のものであって、異なった径を有する重量貨物に適宜対応することができるものではない。
また、特許文献4のものでは、前記係合孔に適合する係合突起を少なくとも2つ以上有するとともに重量貨物の移動を防止する少なくとも1つの荷重受け面を有する輪止めが用いられているが、コンテナ基板(パレット)として特殊な構造を採用する必要があった。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、種々のサイズを有する重量貨物に適宜対応でき、しかも1個もしくは複数個の重量貨物の安定輸送を可能ならしめるロール状物搬送用パレットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明のロール状物搬送用パレットは、パレット本体と、該パレット本体の上面に所定の間隔で差し渡され、両端を前記パレット本体の側面に着脱可能にはめ込むようにした複数本のコ字状の縦桁と、前記縦桁に交差するよう搭載されるとともに、底板上に側板が外向きに傾斜して形成された少なくとも一対のほぼL字状断面の横桁とを備え、
前記縦桁には位置決めピンがその長さ方向に沿って所定の間隔で複数突設され、
前記横桁にはその底面に前記横桁の位置決めピンに対応する取付孔を幅方向に複数設けるとともに、前記複数からなる取付孔を所定の間隔で複数列形成され、
前記縦桁の上面に設けた位置決めピンに、前記横桁の取付孔を差し込んで着脱自在に取り付けることにより、前記一対の横桁間に所定のサイズのロール状物を装着することができるようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
本発明のロール状物搬送用パレットは、前記底板上に側板が外向きに傾斜して形成されたほぼL字状断面の横桁が、前記底板上に側板が約130°の角度で外向きに傾斜していることをも特徴とするものである。
【0011】
本発明のロール状物搬送用パレットは、前記底板上に側板が外向きに傾斜して形成されたほぼL字状断面の横桁が、側板の外側にその長さ方向に沿って所定の間隔で補強リブを形成されていることをも特徴とするものである。
【0012】
本発明のロール状物搬送用パレットは、前記底板上に側板が外向きに傾斜して形成されたほぼL字状断面の横桁が、側板の外側のほぼ中央に、支持板を前記底板と同一平面上に沿って外向きに形成されていることをも特徴とするものである。
【0013】
本発明のロール状物搬送用パレットは、前記縦桁に交差するよう搭載する少なくとも一対の横桁が、取り付けの向きを逆にすることによって、前記一対の横桁間に収納するロール状物の個数を変えることができるようにしたことをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、種々のサイズを有する重量貨物に適宜対応でき、しかも1個もしくは複数個の重量貨物の安定輸送を可能ならしめるロール状物搬送用パレットを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のロール状物搬送用パレットの1実施例を示す斜視図である。
【図2】縦桁を示す斜視図である。
【図3】その側面図である。
【図4】(a),(b)はその平面図である。
【図5】横桁を示す斜視図である。
【図6】その側面図である。
【図7】その平面図である。
【図8】本発明のロール状物搬送用パレットの第1の使用状態を示す側面図である。
【図9】その平面図である。
【図10】本発明のロール状物搬送用パレットの第2の使用状態を示す側面図である。
【図11】その平面図である。
【図12】本発明のロール状物搬送用パレットの第3の使用状態を示す側面図である。
【図13】その平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基いて説明する。
この発明のロール状物搬送用パレットは、図1ないし図7に示すように、パレット本体11と、該パレット本体11の上面に所定の間隔で差し渡され、両端の下向きの折曲げ部13を前記パレット本体11の側面に着脱可能にはめ込むようにした複数本のコ字状の縦桁12と、該縦桁12に交差するよう搭載されるとともに、底板15上に側板16が外向きに傾斜して形成された少なくとも一対のほぼL字状断面の横桁14とを備えている。
【0017】
前記パレット本体11は、図1のように市場に流通しているものを適宜使用することができ、できれば上面に複数の帯状の凹溝17が形成されているものを使用することが望ましい。
【0018】
図2ないし図4(a),(b)に示すように、前記下向きの折曲げ部13を両端に形成した縦桁12には、位置決めピン21がその長さ方向に沿って所定の間隔で複数突設されている。この位置決めピン21の縦桁12への取り付けは、溶接や絞り加工、ネジによる螺着等、適宜手段で行うことができる。
また、前記縦桁12は、図4(a)のように折曲げ部13を打ち抜いておくことができ、該打抜き部22を形成することによって折曲げ加工しやすくすることができる。もちろん、図4(b)のように単に折り曲げてもよい。
【0019】
図5ないし図7に示すように、前記横桁14にはその底板15上に前記縦桁12の位置決めピン21に対応する取付孔31を幅方向に複数設けるとともに、前記複数からなる取付孔31を所定の間隔で複数列形成してある。
したがって、前記横桁14の縦桁12への取付位置を前記位置決めピン21に適宜の取付孔31をはめ込むことによって変えることができ、少なくとも一対の前記横桁14の間隔を簡単に調整することができる。
また、前記底板15上には側板16が約130°の角度で外向きに傾斜して形成されている。18は前記側板16の上部両端に立設したストッパ、19はその間の前記側板16の上部に取り付けたクッション材である。
【0020】
さらに、前記側板16の外向きに傾斜する外側には、その長さ方向に沿って所定の間隔で補強リブ32を下向きに形成するとともに、前記側板16の外側のほぼ中央には、前記底板15と同一平面上に沿って支持板33が外向きに形成されている。
したがって、前記側板16に上から重量貨物の負荷がかかっても、前記側板16で充分支持することが可能である。
【0021】
以上のようにして、前記縦桁12の上面に設けた位置決めピン21に、前記横桁14の取付孔31を差し込んで縦桁12上に横桁14を着脱自在に取り付けることができるため、前記一対の横桁14間に所定のサイズのロール状の重量貨物をしっかりと装着することができる。
図中34は、軽量化のために前記横桁14の側板16に形成した打抜き孔である。
【0022】
図8および図13に本発明のロール状物搬送用パレットの複数の使用状態を示す。
図8および図9のロール状物搬送用パレットの使用状態では、パレット本体11上面の所定位置の帯状の凹溝17内に前記縦桁12を所定間隔で一対はめ込むとともに、前記縦桁12上に設けた位置決めピン21に、前記横桁14の取付孔31を差し込みつつ、縦桁12上に横桁14を左右一対取り付けている。その際、前記一対の横桁14は、互いの側板16側が近接するようハ字状に設置されている。
その上で、左右一対の前記横桁14間にその長さ方向に沿って2個のロール状の重量貨物41を縦に並べてセットし、必要な結束等を施して搬送すればよい。
【0023】
図10および図11のロール状物搬送用パレットの使用状態では、パレット本体11上面の所定位置の帯状の凹溝17内に前記縦桁12を所定間隔で一対はめ込むとともに、前記縦桁12上に設けた位置決めピン21に、前記横桁14の取付孔31を差し込みつつ、縦桁12上の両端に横桁14を左右一対取り付けている。その際、前記一対の横桁14は、互いの底板15側が近接するよう設置されている。
その上で、左右一対の前記横桁14間にその長さ方向に沿って2列の2個のロール状の重量貨物41を縦に並べてセットし、必要な結束等を施して搬送すればよい。
【0024】
図12および図13のロール状物搬送用パレットの使用状態では、パレット本体11上面の所定位置の帯状の凹溝17内に前記縦桁12を所定間隔で一対はめ込むとともに、前記縦桁12上に設けた位置決めピン21に、前記横桁14の取付孔31を差し込みつつ、縦桁12上に左右一対の横桁14を2組取り付けている。その際、前記一対の横桁14は、互いの側板16側が近接するようハ字状に設置されている。
その上で、左右一対の前記横桁14間にその長さ方向に沿って2列の3個のロール状の重量貨物41を縦に並べてセットし、必要な結束等を施して搬送すればよい。
【0025】
以上のように、前記縦桁12に交差するよう搭載する少なくとも一対の横桁14が、それぞれの間隔をかえることによってロール状の重量貨物の異なるサイズに対応することができ、しかも、前記横桁14の縦桁12上における取り付けの向きを逆にすることによって、前記一対の横桁14間に収納するロール状の重量貨物の個数を1個から複数個に変えることができるのである。
もちろん、パレット本体の大きさを変えることによっても重量貨物の個数を適宜変えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、製品を構成する同一の部材を用いながら、様々な大きさの重量貨物と、必要な個数とを安定的に輸送することができるロール状物搬送用パレットが提供可能となる。
【符号の説明】
【0027】
11 パレット本体
12 縦桁
13 折曲げ部
14 横桁
15 底板
16 側板
17 凹溝
18 ストッパ
19 クッション材
21 位置決めピン
22 打抜き部
31 取付孔
32 補強リブ
33 支持板
34 打抜き孔
41 重量貨物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット本体と、該パレット本体の上面に所定の間隔で差し渡され、両端を前記パレット本体の側面に着脱可能にはめ込むようにした複数本のコ字状の縦桁と、前記縦桁に交差するよう搭載されるとともに、底板上に側板が外向きに傾斜して形成された少なくとも一対のほぼL字状断面の横桁とを備え、
前記縦桁には位置決めピンがその長さ方向に沿って所定の間隔で複数突設され、
前記横桁にはその底面に前記縦桁の位置決めピンに対応する取付孔を幅方向に複数設けるとともに、前記複数からなる取付孔を所定の間隔で複数列形成され、
前記縦桁の上面に設けた位置決めピンに、前記横桁の取付孔を差し込んで着脱自在に取り付けることにより、前記一対の横桁間に所定のサイズのロール状物を装着することができるようにしたことを特徴とするロール状物搬送用パレット。
【請求項2】
前記底板上に側板が外向きに傾斜して形成されたほぼL字状断面の横桁が、前記底板上に側板が約130°の角度で外向きに傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のロール状物搬送用パレット。
【請求項3】
前記底板上に側板が外向きに傾斜して形成されたほぼL字状断面の横桁が、側板の外側にその長さ方向に沿って所定の間隔で補強リブを形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロール状物搬送用パレット。
【請求項4】
前記底板上に側板が外向きに傾斜して形成されたほぼL字状断面の横桁が、側板の外側のほぼ中央に、支持板を前記底板と同一平面上に沿って外向きに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロール状物搬送用パレット。
【請求項5】
前記縦桁に交差するよう搭載する少なくとも一対の横桁が、取り付けの向きを逆にすることによって、前記一対の横桁間に収納するロール状物の個数を変えることができるようにしたことを特徴とする請求項1に記載のロール状物搬送用パレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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