説明

ロール紙プリンタ

【課題】ロール紙の取り出しを簡単に行うことのできるロール紙プリンタを提案すること。
【解決手段】ロール紙プリンタ1は、本体ユニット2の前面に前方に開閉可能に開閉蓋ユニット3が取り付けられている。開閉蓋ユニット3を開けるとプリンタ本体内部のロール紙収納部9の前側が開放状態になり、ロール紙10の交換ができる。開閉蓋ユニット3を開けると、リンクレバー71、72と引張りコイルばね66、67からなるロール紙送り出し機構によって、ロール紙収納部9の底板12がほぼ水平な姿勢から前傾姿勢12Bに切り換わり、そこに載っているロール紙10Aが自重により転がり、前方に送り出される。残り少ない小径のロール紙10Bをロール紙収納部9の後側の奥から取り出す場合に比べて、簡単に当該ロール紙10Bを取り出すことができる。開閉蓋ユニット3を閉じると、ロール紙収納部9の底板12は再び元のほぼ水平な姿勢に戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙が取り出し易いように改良が施されたロール紙収納部を備えたロー
ル紙プリンタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
芯管にテープ状の記録紙がロール状に巻き付けられた構成のロール紙に印刷を行うロー
ル紙プリンタとして特許文献1に開示のものが知られている。この文献に開示されている
プリンタでは、プリンタ本体の上面に開閉自在に蓋体が取り付けられており、また、プリ
ンタ本体側にプラテンローラが取り付けられ、蓋体の側にプリントヘッドが取り付けられ
ている。蓋体を開けると、用紙収容部の上側が開放状態になり、上側からロール紙の交換
作業を簡単に行うことができる。また、プリントヘッドとプラテンローラが離れるので、
これらの間に用紙をセットする作業も簡単に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−289272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなロール紙プリンタにおいて、ロール紙の交換が必要になった状態では、ロー
ル紙収納部の底に、殆ど芯管のみとなったロール紙が奥側に残った状態になる。ロール紙
収納部を封鎖している開閉蓋ユニットを広く開けることができれば、操作者は手をロール
紙収納部に入れて取り出すことが容易である。しかし、開閉蓋ユニットを広く開けること
ができない場合には、底に残っている小径のロール紙を取り出すことが簡単にできない。
例えば、設置場所の高さ寸法を十分に確保できない場合には、開閉蓋ユニットを広く開け
ることができず、ロール紙収納部の底に残っているロール紙を取り出すことが簡単にでき
ない。
【0005】
ここで、ロール紙プリンタの高さ寸法を低減するために、プリンタ本体の前面に開閉蓋
ユニットを取り付け、これを前方に開けてロール紙の交換を前方から行うことが考えられ
る。この場合には、前方から手を入れてロール紙収納部の底に残っているロール紙が取り
出される。このようなプリンタでは、高さ寸法を低減するために、ロール紙収納部の開口
高も必然的に小さくなる。よって、狭い開口部を通して残り少なくなった小径のロール紙
を取り出す必要がある。
【0006】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、ロール紙交換作業を簡単に行うことのできる
ロール紙プリンタを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明のロール紙プリンタは、プリンタ本体と、このプ
リンタ本体に形成されているロール紙収納部と、前記プリンタ本体に開閉可能に取り付け
られ、前記ロール紙収納部を封鎖している開閉蓋ユニットと、この開閉蓋ユニットの開き
動作に連動して、当該開閉蓋ユニットに向けて前記ロール紙収納部に収納されているロー
ル紙を送り出すロール紙送り出し機構とを有していることを特徴としている。
【0008】
ここで、前記ロール紙送り出し機構は、前記ロール紙収納部におけるロール紙が転動可
能な状態で載っている底板を前記開閉蓋ユニットの開き動作に連動して、スライドあるい
は傾斜させる機構であることを特徴としている。
【0009】
本発明のロール紙プリンタでは、開閉蓋ユニットを開けると、ロール紙送り出し機構に
よって、ロール紙収納部からロール紙が送り出される。例えば、ロール紙収納部における
ロール紙が載っている底板がスライドあるいは傾斜し、ロール紙が開閉蓋ユニットの側に
送り出される。開けた開閉蓋ユニットの近くまでロール紙が送り出されるので、ロール紙
収納部の奥まで手を入れて殆ど芯管のみとなった小径のロール紙を取り出す必要がない。
よって、ロール紙の取り出しが極めて容易になる。
【0010】
本発明は、プリンタ前面からロール紙の交換を行うように構成されたロール紙プリンタ
に適用することができる。すなわち、前記開閉蓋ユニットが、そのプリンタ下端側の部位
を中心として前方に開くように、前記プリンタ本体の前面に取り付けられており、前記ロ
ール紙収納部の前記底板が、そのプリンタ前端側の部位を中心としてプリンタ上下方向に
旋回可能となっている。この場合には、前記ロール紙送り出し機構は、前記開閉蓋ユニッ
トの開閉動作に連動して前記底板の旋回運動に変換するリンクレバーを備えており、前記
開閉蓋ユニットを開くと、前記底板はプリンタ前方側の部位が下となるように傾斜する前
傾姿勢となり、前記開閉蓋ユニットを閉じると、前記底板は元の姿勢に戻ることを特徴と
している。
【0011】
開閉蓋ユニットを開くと、ロール紙収納部の底板が前傾姿勢となり、そこに載っている
ロール紙が自重によって前方に転動して送り出される。したがって、操作者は、手をロー
ル紙収納部の奥に入れることなく、簡単に、実質的に芯管のみとなった小径のロール紙を
取り出すことができる。
【0012】
ここで、本発明では、前記底板を元の姿勢に戻す方向の付勢力を当該底板に付与してい
る付勢部材を有していることを特徴としている。付勢力によって底板はがたつきなく保持
される。また、開閉蓋ユニットを開ける場合には、当該付勢力が開閉蓋ユニットに対して
、それを閉じる方向の力として作用する。したがって、開閉蓋ユニットが勢いよく開き、
プリンタ設置面などに衝突するという弊害を防止できる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明のロール紙プリンタでは、ロール紙収納部を開閉する開閉
蓋ユニットを開ける動作に連動して、ロール紙収納部に収納されているロール紙を開閉蓋
ユニットの側に送り出すようにしている。例えば、ロール紙収納部の底板をスライドある
いは傾斜させて、そこに載っているロール紙を送り出すようにしている。したがって、ロ
ール紙収納部の奥側の底に残っている小径のロール紙を簡単に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用したロール紙プリンタの外観斜視図である。
【図2】ロール紙プリンタの開閉蓋を開けた状態での外観斜視図である。
【図3】ロール紙プリンタの内部構造を示す概略構成図である。
【図4】ロール紙プリンタの本体ケースおよび開閉蓋を取り外した状態のロール紙プリンタの側面図である。
【図5】内部構造を示すために図4における一方の側板を省略した状態のロール紙プリンタの斜視図および側面図である。
【図6】開閉蓋ユニットを開けた状態の斜視図および側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したロール紙プリンタの実施の形態を説明する

【0016】
(全体構成)
図1は本発明を適用したロール紙プリンタの外観斜視図であり、図2はその開閉蓋ユニ
ットを開けた状態を示す外観斜視図である。
【0017】
本実施の形態に係るロール紙プリンタ1は、プリンタ本体2と、その前面に取り付けた
開閉蓋ユニット3を有しており、プリンタ本体2の前面の端には操作パネルユニット4が
取り付けられている。プリンタ前面における開閉蓋ユニット3の上端部分には、プリンタ
幅方向に延びる記録紙排出口5が形成されている。
【0018】
プリンタ本体2は、前面および底面が開口した前後に長いボックス形状の本体ケース6
によって覆われている。開閉蓋ユニット3の前面には、プリンタ前面を規定している開閉
蓋ケース7が取り付けられている。開閉蓋ユニット3は、操作パネルユニット4に配置さ
れている操作レバー8を操作すると、不図示の蓋ロックが解除されて下端部を中心として
前方に開くようになっている。開閉蓋ユニット3が開くと、内部に形成されているロール
紙収納部9の前面側が開放状態となり、ロール紙10の交換作業などを行うことができる
。操作パネルユニット4の前面には、LEDなどからなる状態表示ランプ群4a、フィー
ドボタン4b、電源スイッチ4cが配置されている。
【0019】
図3はロール紙プリンタ1の内部を示す概略構成図である。ロール紙プリンタ1の内部
に形成されているロール紙収納部9は、プリンタ幅方向に延びる円弧状の底板12、同じ
くプリンタ幅方向に延びる円弧状の天板13、および、同じくプリンタ幅方向に延びる前
板14によって囲まれている。このロール紙収納部9には、転動自在の状態でロール紙1
0が収納されている。ここから繰り出されるテープ状の記録紙10aは、プラテンローラ
15と、サーマルヘッド16の間の印刷位置を通過して前方に引き出されて、その前方に
位置している記録紙排出口5から前方に排出される。記録紙排出口5の手前には鋏式の記
録紙切断装置20が配置されている。
【0020】
記録紙切断装置20は、プリンタ本体2の側に搭載されている固定刃21と、開閉蓋ユ
ニット3の側に搭載されている可動刃22および可動刃駆動機構23とを有している。固
定刃21は刃先21aが前方を向く略水平な姿勢で、プリンタ幅方向に配列されている。
可動刃22は、固定刃21の刃先21aのほぼ真下の位置において、刃先22aが上を向
く略垂直な姿勢で、プリンタ幅方向に配列されている。これらの刃先21a、22aの間
(記録紙切断位置)を通って記録紙10aが排出された状態において、下側の可動刃22
を上方に旋回させることにより、両刃先21a、22aによって挟まれた記録紙10aの
部位がプリンタ幅方向に切断される。
【0021】
図4は本体ケース6および開閉蓋ケース7を取り外した状態でのロール紙プリンタの機
構部(プリンタ本体2および開閉蓋ユニット3)を示す側面図である。図5(a)および
(b)は、さらに、内部構造を示すために想像線で示すように一方の側板を省略した状態
の斜視図および側面図である。図6(a)および(b)は、図5と同様な状態において開
閉蓋ユニットを開けた場合を示す斜視図および側面図である。
【0022】
これらの図を参照して説明すると、プリンタ本体2は、ベース板31と、このベース板
30から垂直に起立している左右の側板32、33と、これら左右の側板32、33の後
側の部位の間にプリンタ幅方向に架け渡された背面板30とを備えている。側板32、3
3の上端の間には、ヘッド取付板34がプリンタ幅方向に水平に架け渡されており、この
ヘッド取付板34の下面に、ヘッド面16aが下向きのほぼ水平姿勢でサーマルヘッド1
6が取り付けられている(図3参照)。ヘッド取付板34の後側の部位の下側には、ロー
ル紙収納部9の天板13が配置されている。また、ロール紙収納部9の底板12はベース
板31の上面に配置されている。
【0023】
ヘッド取付板34の上側には固定刃取付板35がプリンタ幅方向に水平に配置されてお
り、この固定刃取付板35の前端部下側に記録紙切断装置20の固定刃21が前向きでほ
ぼ水平に取り付けられている。固定刃取付板35は、側板32、33の外側に配置されて
いる左右の旋回板36、37(図においては旋回板37のみを示す。)の上端の間に架け
渡されている。旋回板36、37は、それらの下端部36a、37a(図においては下端
部37aのみを示す。)を中心としてプリンタ前後方向に僅かに旋回可能である。記録紙
切断装置20による記録紙10aの切断時には、可動刃22が下側から上方に旋回して固
定刃21を後方に押し込みながら双方の刃先21a、22aが点接触状態で交差して、記
録紙10aが切断される。切断時において固定刃21を僅かに後退させるために、旋回板
36、37によって固定刃21が支持されている。
【0024】
一方、開閉蓋ユニット3は、プリンタ本体2の側板32、33の下端部に取り付けられ
ている支軸41、42を中心としてプリンタ前方に所定角度だけ開くようになっている。
開閉蓋ユニット3は、前板部分43と、この両側から後方に直角に折れ曲がっている細幅
の側板部分44、45とを備えている。前板部分43の前面には、記録紙切断装置20の
可動刃22および可動刃駆動機構23が取り付けられており、これらの部分が保護板24
によって覆われている。保護板24の前側は開閉蓋ケース7によって覆われている(図3
参照)。また、側板部分44、45にはプラテンローラ15が回転自在の状態で架け渡さ
れている。プラテンローラ15の下側には、前板部分43の背面に取り付けたロール紙収
納部9の前板14が配置されている。
【0025】
上記のように、開閉蓋ユニット3には、ロール紙収納部9の前板14と、プラテンロー
ラ15と、記録紙切断装置20の可動刃22が搭載されている。開閉蓋ユニット3を開く
と、図2、図5に示すように、ロール紙収納部9が開放状態となると共に、ロール紙収納
部9から印刷位置および切断位置を経由して記録紙排出口5に到る記録紙搬送路が開放状
態になる。したがって、ロール紙収納部9に収納されたロール紙10から記録紙10aを
引き出した状態で開閉蓋ユニット3を閉じると、かかる記録紙搬送路に沿って記録紙10
aがセットされた状態を自動的に形成できる。
【0026】
(ロール紙収納部のロール紙送り出し機構)
本例のロール紙収納部9は、上記のように、底板12、天板13および前板14によっ
て規定されている。前板14は開閉蓋ユニット3に取り付けられており、開閉蓋ユニット
3を開くと、ロール紙収納部9の前側部分が開放状態になり、そこを介してロール紙10
の交換作業を行うことができる。また、ロール紙収納部9では、開閉蓋ユニット3の開き
動作に連動して、その底板12が前傾姿勢に切り換わる。底板12が前傾姿勢になると、
底板12に載っているロール紙10が自重によって転動して前方に送り出される。
【0027】
図3、図5および図6を主として参照して説明すると、底板12は、その前端側の部位
が支軸61を中心としてプリンタ前後方向に回転自在の状態で、ベース板31に載ってい
る。底板12の両側には側板部分62、63が一体形成されており、これらの側板部分5
62、63における後側の部位にはスライドピン64、65(図においてはスライドピン
65のみを示す。)が側方に突出した状態で取り付けられている。
【0028】
これらのスライドピン64、65と、背面板30の下端側の部位との間には、それぞれ
、引張りコイルばね66、67(図においては引張りコイルばね67のみを示す。)が引
張り状態で架け渡されている。開閉蓋ユニット3が閉状態のとき、これらの左右のコイル
ばね66、67によって、底板12はその裏面がベース板31に当接したほぼ水平な姿勢
12A(図5(b)参照)に保持されている。
【0029】
これらのスライドピン64、65と、開閉蓋ユニット3の左右の側板部分44、45の
上下方向の中程の部位に取り付けた支持ピン68、69との間には、それぞれ、同一形状
をした板状のリンクレバー71、72が架け渡されている。リンクレバー71、72の前
端部71a、72aは、それぞれ、支持ピン68、69に対してプリンタ上下方向に回転
自在の状態で取り付けられている。リンクレバー71、72の後端部分にはプリンタ前後
方向に長い直線状のスライド穴71b、72bが形成されており、これらに、スライドピ
ン64、65がスライド可能な状態で差し通されている。また、これらのスライドピン6
4、65は、図4に示すように、左右の側板32、33に形成されている円弧状のガイド
穴73、74(図においてはガイド穴74のみを示す。)に差し通されている。ガイド穴
73、74は、支軸61を中心とする円弧であり、底板12が支軸61を中心として旋回
すると、スライドピン64、65は、これらのガイド穴73、74に沿って移動する。
【0030】
このように構成したロール紙収納部9におけるロール紙送り出し動作を説明する。開閉
蓋ユニット3が閉じている場合には、図5に示すように、底板12の左右のスライドピン
64、65は左右のリンクレバー71、72のスライド穴71b、72bの前端に位置し
ている。また、スライドピン64、65は、図4に示すように、円弧状のガイド穴73、
74における下側の端に位置している。
【0031】
開閉蓋ユニット3を開けると、開閉蓋ユニット3の左右の側板部分44、45に前端部
が連結されている左右のリンクレバー71、72も前方に移動する。ロール紙収納部9の
底板12に取り付けた左右のスライドピン64、65は、リンクレバー71、72のスラ
イド穴71b、72bの前端に位置している。リンクレバー71、72が所定量だけ前方
に移動して、それらのスライド穴71b、72bの後端がスライドピン64、65に当た
るまでは、底板12は移動しない。
【0032】
スライドピン64、65がスライド穴71b、72bの後端に当たった後は、開閉蓋ユ
ニット3の開き動作に連動して、左右のリンクレバー71、72によってスライドピン6
4、65が前方に引かれる。これらのスライドピン64、65が取り付けられている底板
12は、その前端の支軸61を中心として旋回可能であるので、開閉蓋ユニット3の開き
動作に連動して、支軸61を中心として、前方に旋回する。
【0033】
図6に示すように、開閉蓋ユニット3が開き位置3Bに到る全開状態では、底板12が
所定角度だけ傾斜した前傾姿勢12Bとなる。このように、ロール紙収納部9の底板12
は開閉蓋ユニット3の開き動作に連動して元のほぼ水平な姿勢12Aから前傾姿勢12B
に切り換わる。底板12にロール紙10が載っていると、ロール紙10は自重によって前
傾姿勢12Bの底板12を転動して、前方に送り出される。例えば、図6に想像線で示す
ように残り少なくなったロール紙10Aは矢印で示すように前方に送り出される。この結
果、前側から簡単にロール紙10Aを取り出すことができる。
【0034】
また、開閉蓋ユニット3は、底板12が旋回を開始した後は、左右のリンクレバー71
、72を介して、左右の引張りコイルばね66、67によって後方に引張られた状態にな
る。したがって、引張りコイルばね66、67の引張り力によって開閉蓋ユニット3が勢
い良く開いてしまうことが防止され、プリンタ設置面などに開閉蓋ユニット3が勢い良く
衝突して破損してしまうなどの弊害を回避できる。
【0035】
次に、開閉蓋ユニット3を閉じると、これに連動して、左右のリンクレバー71、72
も後方に移動する。よって、底板12の左右のスライドピン64、65に作用していた前
方への引張り力が解除され、コイルばね66、67のばね力によって、底板12は元のほ
ぼ水平な姿勢12Aに戻る。この結果、底板12に載っているロール紙10は予め定めら
れた所定の位置に収納された状態になる。
【0036】
このように、本例のロール紙プリンタ1では、開閉蓋ユニット3の開閉に連動して、ロ
ール紙収納部9の底板12をほぼ水平な姿勢12Aおよび前傾姿勢12Bに切り換えるよ
うにしている。したがって、ロール紙10の交換時に、開閉蓋ユニット3を開くと、これ
に連動して、ロール紙収納部9の底板12が前傾姿勢12Bとなり、そこに載っている殆
ど芯管のみとなったロール紙10Aが前方に送り出される。よって、ロール紙収納部9の
奥に手を入れて、このような小径のロール紙10Aを取り出す必要がないので、簡単にロ
ール紙を取り出すことができる。
【0037】
なお、本例では、リンクレバー71、72によってロール紙送り出し機構を形成してい
る。ロール紙送り出し機構としては、別の構成を採用することも可能である。例えば、開
閉蓋ユニット3の開閉に連動して、ロール紙収納部9の底板12を前後にスライドさせる
ようにしたロール紙送り機構を採用することもできる。または、底板は固定状態としてお
き、別の部材を開閉蓋ユニット3に連動させて前後に移動させる機構でもよい。
【0038】
また、本例のロール紙プリンタ1はプリンタ前面に開閉蓋ユニットが取り付けられ、こ
れを前方に倒してロール紙収納部が開放状態になる構成のものである。プリンタ上面に開
閉蓋ユニットを取り付け、ロール紙収納部の上側を開放してロール紙の交換を行う構成の
ロール紙プリンタにも本発明を適用できる。例えば、開閉蓋ユニットを開ける動作に連動
して、ロール紙収納部の底板を上昇させれば、そこに載っている小径のロール紙を簡単に
取り出すことができる。
【符号の説明】
【0039】
1 ロール紙プリンタ、2 プリンタ本体、3 開閉蓋ユニット、3A 閉じ位置、3
B開き位置、5 記録紙排出口、6 本体ケース、7 開閉蓋ケース、9 ロール紙収納
部、10,10A ロール紙、12 底板、12A ほぼ水平な姿勢、12B 前傾姿勢
、13 天板、14 前板、15 プラテンローラ、16 サーマルヘッド、61 支軸
、62,63 側板部分、64,65 スライドピン、66,67 引張りコイルばね、
68,69 支持ピン、71,72 リンクレバー、71b,72b スライド穴、73
,74 ガイド穴。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタ本体と、
前記プリンタ本体に形成されているロール紙収納部と、
前記プリンタ本体に開閉可能に取り付けられ、前記ロール紙収納部を封鎖している開閉
蓋ユニットと、
前記開閉蓋ユニットの開き動作に連動して、当該開閉蓋ユニットに向けて前記ロール紙
収納部に収納されているロール紙を送り出すロール紙送り出し機構とを有していることを
特徴とするロール紙プリンタ。
【請求項2】
請求項1において、
前記ロール紙送り出し機構は、前記ロール紙収納部におけるロール紙が転動可能な状態
で載っている底板を前記開閉蓋ユニットの開き動作に連動して、スライドあるいは傾斜さ
せる機構であることを特徴とするロール紙プリンタ。
【請求項3】
請求項2において、
前記開閉蓋ユニットは、そのプリンタ下端側の部位を中心として前方に開くように、前
記プリンタ本体の前面に取り付けられており、
前記ロール紙収納部の前記底板は、そのプリンタ前端側の部位を中心としてプリンタ上
下方向に旋回可能であり、
前記ロール紙送り出し機構は、前記開閉蓋ユニットの開閉動作を前記底板の旋回運動に
変換するリンクレバーを備えており、
前記開閉蓋ユニットを開くと、前記底板はプリンタ前方側の部位が下となる前傾姿勢と
なり、前記開閉蓋ユニットを閉じると、前記底板は元の姿勢に戻ることを特徴とするロー
ル紙プリンタ。
【請求項4】
請求項3において、
前記底板を元の姿勢に戻す方向の付勢力を当該底板に付与している付勢部材を有してい
ることを特徴とするロール紙プリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−230514(P2011−230514A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154681(P2011−154681)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【分割の表示】特願2005−230399(P2005−230399)の分割
【原出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】