説明

ロール紙保持構造及びプリンタ

【課題】ロール紙を容易に、且つ安定して装着することを可能とする。
【解決手段】ロール紙保持部3は、用紙が巻き回されたロール紙を両側面からガイドするロール紙ガイド板31、32と、端部がロール紙の軸孔に嵌合してロール紙を保持する保持部材33と、ロール紙ガイド板31、32における、ロール紙をガイドする側の面に設けられ、保持部材33を略水平とする位置で保持部材33の鉛直下向きへの動きを規制するとともに、保持部材33の鉛直上向きへの跳ね上げを可能にして、軸孔と嵌合する端部とは反対側の保持部材33の端部を支持する支持部材34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ロール紙保持構造及びプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印字を行う用紙が巻き回されたロール紙を保持し、その保持されたロール紙から供給される用紙に印字するプリンタが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このプリンタでは、ロール紙を容易に、且つ安定して装着することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するために、実施形態のロール紙保持構造は、用紙が巻き回されたロール紙を両側面からガイドする二つの側板と、端部が前記ロール紙の軸孔に嵌合して当該ロール紙を保持する保持部材と、前記二つの側板における、前記ロール紙をガイドする側の面に設けられ、前記保持部材を略水平とする位置で当該保持部材の鉛直下向きへの動きを規制するとともに、前記保持部材の鉛直上向きへの跳ね上げを可能にして、前記軸孔と嵌合する端部とは反対側の前記保持部材の端部を支持する支持部材とを備えることを特徴とする。
【0005】
また、実施形態のプリンタは、用紙が巻き回されたロール紙を両側面からガイドする二つの側板と、端部が前記ロール紙の軸孔に嵌合して当該ロール紙を保持する保持部材と、前記二つの側板における、前記ロール紙をガイドする側の面に設けられ、前記保持部材を略水平とする位置で当該保持部材の鉛直下向きへの動きを規制するとともに、前記保持部材の鉛直上向きへの跳ね上げを可能にして、前記軸孔と嵌合する端部とは反対側の前記保持部材の端部を支持する支持部材と、前記保持部材に保持されたロール紙から前記用紙を搬送する搬送機構と、搬送された前記用紙に印字する印字機構とを備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】図1は、実施形態にかかるプリンタの外観を概略的に示す斜視図である。
【図2】図2は、実施形態にかかるプリンタの内部構成の一例を示す斜視図である。
【図3】図3は、ロール紙保持部近傍の一例を示す斜視図である。
【図4】図4は、ロール紙保持部へのロール紙の取り付け例を示す斜視図である。
【図5】図5は、ロール紙保持部へのロール紙の取り付け例を示す斜視図である。
【図6】図6は、実施形態にかかるプリンタの内部構造の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に添付図面を参照して、実施形態にかかるロール紙保持構造及びプリンタの詳細を説明する。以下では、ロール紙保持構造により保持されるロール紙から用紙を搬送し、その搬送された用紙へ印字を行うサーマルプリンタへの適用例を説明する。
【0008】
図1は、実施形態にかかるプリンタ1の外観を示す斜視図である。図1に示すように、プリンタ1のハウジング20の前面には、印字された後の用紙が排出される排出口30が形成されている。ハウジング20の左側には、各種操作キー40やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示部50などを前面に備える制御ボックス60が設けられている。この制御ボックス60の内部には、プリンタ1が備える各部を駆動制御する制御部(図示しない)が設けられている。カバー70は、ハウジング20の上面の制御ボックス60側に設けられたヒンジ80を中心として上方向へ回動自在に設けられている。カバー70を上方向へ回動させることで、ユーザはハウジング20内の内部構成へのアクセスが可能となる。
【0009】
図2は、実施形態にかかるプリンタ1の内部構成の一例を示す斜視図である。より具体的には、カバー70が開けられ、印字にかかるインクリボンやロール紙100(例えば図5参照)を取り付ける前のプリンタ1の内部構成を示す斜視図である。
【0010】
図2に示すように、プリンタ1は、底壁1cに垂直であり、カバー70を閉じた際のカバー70の内壁とは平行な縦壁1dと、その縦壁1dと底壁1cとに垂直な縦壁1eとを有している。縦壁1dには、搬送ローラ4、プラテンローラ5、供給軸7、巻取軸8、印字ブロック9、ピンチローラブロック10等が、縦壁1dと略垂直な姿勢で取り付けられている。縦壁1eには、縦壁1dと略平行であり、幅方向WDで対向するロール紙ガイド板31、ロール紙ガイド板32を有するロール紙保持部3が取り付けられている。
【0011】
ロール紙保持部3は、用紙101(例えば図6参照)が巻き回されたロール紙100を保持するためのロール紙保持構造として、ロール紙100を両側面からガイドするロール紙ガイド板31、32と、端部がロール紙100の軸孔102に嵌合してロール紙100を保持する保持部材33と、保持部材33を支持する支持部材34とを有する構成である。
【0012】
図3は、ロール紙保持部3近傍の一例を示す斜視図である。図2、3に示すように、ロール紙ガイド板31は、ロール紙100をガイドする側の面(ロール紙ガイド板32と対向する面)に支持部材34を設けている。特に図示しないが、ロール紙ガイド板32もロール紙ガイド板31と同様、ロール紙100をガイドする側の面(ロール紙ガイド板31と対向する面)に支持部材34を設けている。なお、以下では、ロール紙ガイド板31を例にして説明を行い、ロール紙ガイド板31と同様のロール紙ガイド板32の説明は省略する。
【0013】
保持部材33は、一方の端部が支軸35により支持部材34に支持される。支軸35は、支持部材34の上部で保持部材33を回動可能に支持しており、保持部材33の鉛直上向きへの跳ね上げを可能としている。具体的には、支軸35により支持される端部と反対側の端部(ロール紙100の軸孔102に嵌合する側の端部)が鉛直上向きへ跳ね上がる構成である。
【0014】
支持部材34は、下部にロール紙ガイド部34aを有している。ロール紙ガイド部34aは、鉛直下方から鉛直上方に向かうに従い、ロール紙ガイド板31に対して垂直方向(幅方向WD)に徐々にせり上がる斜面を有している。したがって、ロール紙ガイド部34aは、ロール紙ガイド板31、32の間をガイドされたロール紙100が鉛直上向きに押し上がる際にロール紙100の縁と接し、後述するスライド機構によって幅方向WDでスライドするロール紙ガイド板31、32の間を押し広げる。
【0015】
支持部材34は、上部に水平部34bを有している。支持部材34の上部において、支軸35により回動可能に支持される保持部材33は、略水平とする位置まで回動された所で下部面が水平部34bと接することとなる。したがって、保持部材33は、略水平とする位置から鉛直下向きへの動きが水平部34bにより規制される。この規制により、ロール紙100の軸孔102に保持部材33を嵌合して保持する場合は、ロール紙100の自重によって鉛直方向の動きが規制され、安定した保持状態が維持されることとなる。
【0016】
ロール紙ガイド板31、ロール紙ガイド板32は、縦壁1eに平行し、幅方向WDにスライド可能に取り付けられたラックギア38に対して垂直に取り付けられている。具体的には、ラックギア38は、留具38bによりスライド穴38aを通じて縦壁1eに取り付けられている。ロール紙ガイド板31、32のラックギア38はピニオンギア39を介して接続しており、ピニオンギア39を中心に互いのラックギア38が幅方向WDにスライド可能となっている。上述したスライド機構としてのラックギア38、ピニオンギア39により、ロール紙ガイド板31、32は、センター位置合わせ(例えばピニオンギア39)で、幅方向WDにスライドすることができる。
【0017】
また、ロール紙ガイド板32には、幅方向WDにおいて、ロール紙ガイド板31側へ引き寄せる付勢力を有するバネ37が取り付けられている。この付勢力は、ラックギア38、ピニオンギア39を介して、ロール紙ガイド板31をロール紙ガイド板32側へ引き寄せている。すなわち、バネ37は、ロール紙ガイド板31、32の間を縮める方向に付勢する付勢部材である。なお、上述した付勢部材は一例であって、部材及び取付方法は特に限定しない。
【0018】
図2に示すように、搬送ローラ4、プラテンローラ5、供給軸7、巻取軸8、印字ブロック9、ピンチローラブロック10等は、ロール紙保持部3と、搬送ローラ4、供給軸7、ピンチローラブロック10との間にロール紙100が入り込む程度の間隙をもって設けられている。搬送ローラ4およびプラテンローラ5は、モータ(図示せず)等によって回転駆動される。搬送ローラ4は、印字部12やプラテンローラ5の上流側に配置されている。また、ピンチローラブロック10は、搬送ローラ4と平行な姿勢でその搬送ローラ4の上方に隣接して配置されるピンチローラ(図示せず)を有している。ピンチローラは、適宜な押圧力で搬送ローラ4に向けて付勢されている。そして、搬送ローラ4とピンチローラとでロール紙100より引き出された用紙101(図6参照)が挟持され、搬送ローラ4の回転によって、用紙101が搬送される。本実施形態では、これら、搬送ローラ4や、プラテンローラ5、モータ(図示せず)、モータコントローラ(図示せず)、ピンチローラブロック10等が、搬送機構を構成している。
【0019】
インクリボンの供給軸7には、インクリボンが巻回されて構成されたリボンロール(図示しない)がセットされ、モータ等によって駆動される巻取軸8の回転によって、インクリボンが巻取軸8に巻き取られてリボンロールから引き出される。インクリボンは、用紙101とともに、印字ブロック9に含まれるサーマルヘッド9aとプラテンローラ5との間に挟持され、サーマルヘッド9aの加熱によってインクリボンのインクを溶融あるいは昇華させることにより、用紙101の表面に、所定のパターン(文字、数字、バーコード、図形等)を転写する。すなわち、本実施形態では、インクリボンや、供給軸7、巻取軸8、印字ブロック9、サーマルヘッド9a、モータ(図示せず)、モータコントローラ(図示せず)等によって、印字機構が構成され、サーマルヘッド9aとプラテンローラ5とによって印字部12が構成されている。
【0020】
ここで、ロール紙保持部3へのロール紙100の取り付けについて説明する。図4、5は、ロール紙保持部3へのロール紙100の取り付け例を示す斜視図である。
【0021】
図4に示すように、ロール紙保持部3へロール紙100を取り付ける場合、ユーザは、プリンタ1の上方から縦壁1dにロール紙100を移動させ、ロール紙保持部3と、搬送ローラ4、供給軸7、ピンチローラブロック10との間の間隙にロール紙100を移動させる。次いで、ユーザは、ロール紙ガイド板31、32の間から鉛直上向きの方向d2へロール紙100を移動させる。この時、ロール紙100の縁が支持部材34の下部に設けられたロール紙ガイド部34aと接触することで、ロール紙ガイド板31、32が方向d3に移動して押し広げられる。次いで、保持部材33の下部にロール紙100の縁が接触して、保持部材33が支軸35を軸に跳ね上げられる。
【0022】
次いで、ユーザは、跳ね上げられている保持部材33の端部がロール紙100の軸孔102に入り込んだところで、ロール紙100を鉛直下向きへ移動させる。ロール紙ガイド板31、32が押し広げられていることから、ユーザは、保持部材33の端部を容易にロール紙100の軸孔102へ入れることが可能となる。鉛直下向きに移動されたロール紙100は、軸孔102に嵌合している保持部材33が略水平となった位置で水平部34bによりその移動が規制される。このように、ロール紙100の軸孔102に保持部材33が嵌合し、その保持部材33が略水平となった状態で、ロール紙100の取り付けは完了する。
【0023】
したがって、ユーザは、ロール紙ガイド板31、32などを取り外すなどの手間のかかる作業を行うことなく、容易にロール紙100をプリンタ1へ取り付けることができる。また、図5に示すように、ロール紙ガイド板31、32は、バネ37によりロール紙ガイド板31、32の間を縮める方向d5に付勢される。また、ロール紙ガイド板31、32とは、ラックギア38とピニオンギア39とによるラックアンドピニオン機構によって、例えばピニオンギア39をセンター位置とした幅方向WDでスライド可能となっている。したがって、ロール紙ガイド板31、32の間に取り付けられたロール紙100は、センター位置合わせで幅方向WDにおける位置ずれが生じることなく、安定した保持状態が維持されることとなる。
【0024】
ここで、保持部材33がロール紙100の軸孔102に嵌合している様子について、図6を参照して説明する。図6は、実施形態にかかるプリンタ1の内部構造の一例を示す側面図である。より具体的には、ロール紙保持部3にロール紙100を取り付けた状態で、ロール紙ガイド板32を外した側面から内部構造を眺めた側面図である。
【0025】
図6に示すように、保持部材33は、ロール紙100の軸孔102に嵌合している際に、両方の角部分の2点で軸孔102の内壁と接してロール紙100を保持する構成である。このように、少なくとも2点で軸孔102と保持部材33とが接していることで、搬送ローラ4とピンチローラとで用紙101が引き出される方向において、ロール紙100が振り子状に揺れ動くことを防止できる。なお、本実施形態では、保持部材33の角部分の2点で軸孔102と接する構成を例示したが、少なくとも2点で接する構成であれば、何れのレイアウトであってもよい。また、保持部材33の角部分は、軸孔102の形状に対応した丸形状であってもよい。
【符号の説明】
【0026】
1…プリンタ、20…ハウジング、30…排出口、40…操作キー、50…表示部、60…制御ボックス、70…カバー、80…ヒンジ、1d…縦壁、1c…底壁、1e…縦壁、3…ロール紙保持部、4…搬送ローラ、5…プラテンローラ、7…供給軸、8…巻取軸、9…印字ブロック、9a…サーマルヘッド、10…ピンチローラブロック、12…印字部、31、32…ロール紙ガイド板、33…保持部材、34…支持部材、34a…ロール紙ガイド部、34b…水平部、35…支軸、37…バネ、38…ラックギア、38a…スライド穴、38b…留具、39…ピニオンギア、100…ロール紙、101…用紙、102…軸孔、d1〜d5…方向、WD…幅方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】特開2002−87652公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙が巻き回されたロール紙を両側面からガイドする二つの側板と、
端部が前記ロール紙の軸孔に嵌合して当該ロール紙を保持する保持部材と、
前記二つの側板における、前記ロール紙をガイドする側の面に設けられ、前記保持部材を略水平とする位置で当該保持部材の鉛直下向きへの動きを規制するとともに、前記保持部材の鉛直上向きへの跳ね上げを可能にして、前記軸孔と嵌合する端部とは反対側の前記保持部材の端部を支持する支持部材と、
を備えることを特徴とするロール紙保持構造。
【請求項2】
前記二つの側板を、当該側板同士が向かい合う幅方向にスライドさせるスライド機構と、
前記二つの側板の間を縮める方向に、当該二つの側板を付勢する付勢部材と、
を備え、
前記支持部材の下部は、前記二つの側板にガイドされたロール紙が鉛直上向きに押し上がる際に、当該ロール紙の縁に接して前記二つの側板の間を押し広げるガイド部を有すること、
を特徴とする請求項1に記載のロール紙保持構造。
【請求項3】
前記保持部材は、前記ロール紙の軸孔に嵌合している際に、少なくとも2点で前記軸孔に接触して前記ロール紙を保持すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載のロール紙保持構造。
【請求項4】
用紙が巻き回されたロール紙を両側面からガイドする二つの側板と、
端部が前記ロール紙の軸孔に嵌合して当該ロール紙を保持する保持部材と、
前記二つの側板における、前記ロール紙をガイドする側の面に設けられ、前記保持部材を略水平とする位置で当該保持部材の鉛直下向きへの動きを規制するとともに、前記保持部材の鉛直上向きへの跳ね上げを可能にして、前記軸孔と嵌合する端部とは反対側の前記保持部材の端部を支持する支持部材と、
前記保持部材に保持されたロール紙から前記用紙を搬送する搬送機構と、
搬送された前記用紙に印字する印字機構と、
を備えることを特徴とするプリンタ。
【請求項5】
前記二つの側板を、当該側板同士が向かい合う幅方向にスライドさせるスライド機構と、
前記二つの側板の間を縮める方向に、当該二つの側板を付勢する付勢部材と、
を備え、
前記支持部材の下部は、前記二つの側板にガイドされたロール紙が鉛直上向きに押し上がる際に、当該ロール紙の縁に接して前記二つの側板の間を押し広げるガイド部を有すること、
を特徴とする請求項4に記載のプリンタ。
【請求項6】
前記保持部材は、前記ロール紙の軸孔に嵌合している際に、少なくとも2点で前記軸孔に接触して前記ロール紙を保持すること、
を特徴とする請求項4又は5に記載のプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−140209(P2012−140209A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293498(P2010−293498)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】