ロール紙持ち上げ装置及び記録装置
【課題】ロール紙の高重量化に対応して重量の重いロール紙であっても、ユーザーが重労働無くロール紙ホルダにロール紙を装着できるようにすること。
【解決手段】仮置き台5に第1の支点O1を有し該第1の支点を中心に回動可能な操作レバー47と、前記仮置き台に第2の支点O2を有し該第2の支点を中心に回動可能な棒状体45と、操作レバー47の第1の支点寄りの位置で、操作レバー47と棒状体45とを交差させた状態で連結し、操作レバー47の上下方向の回動を棒状体45の第2の支点を中心とする逆向きの上下方向の回動に変換して動力伝達する動力伝達機構49とを備え、操作レバー47の回動によって前記連結位置の上側において互いに交差する操作レバー47と棒状体45とによって形成される前記ロール紙Rを載置可能なロール紙載置可能部51によって当該ロール紙が支持されて持ち上げられるように構成されている。
【解決手段】仮置き台5に第1の支点O1を有し該第1の支点を中心に回動可能な操作レバー47と、前記仮置き台に第2の支点O2を有し該第2の支点を中心に回動可能な棒状体45と、操作レバー47の第1の支点寄りの位置で、操作レバー47と棒状体45とを交差させた状態で連結し、操作レバー47の上下方向の回動を棒状体45の第2の支点を中心とする逆向きの上下方向の回動に変換して動力伝達する動力伝達機構49とを備え、操作レバー47の回動によって前記連結位置の上側において互いに交差する操作レバー47と棒状体45とによって形成される前記ロール紙Rを載置可能なロール紙載置可能部51によって当該ロール紙が支持されて持ち上げられるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙ホルダを有するロール紙使用装置におけるロール紙の仮置き部に設けられ、前記仮置き部上のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール心の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持上げ装置及び該ロール紙持上げ装置を備える記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型インクジェットプリンター等の記録装置では、下記の特許文献1に示すようにロール紙の重量が重いことから、ロール紙を一旦、記録装置の仮置き台に置いてから、記録装置に取り付けられているロール紙ホルダに装着するようにしている。
【0003】
従来は、前記ロール紙を仮置き台に置いてから、ロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで、ユーザーが手で約2〜5cm程度持ち上げてロール心の芯口と前記軸部との位置合わせを行い、それからロール紙ホルダを軸方向に水平にスライドさせて前記軸部を前記芯口に装着していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−23171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ロール紙の重量は20〜30kg、更に40kg、50kgのものまであり、このようなロール紙の高重量化に伴い、前記人手によるロール紙の持上げ作業をユーザーに委ねることは、ユーザーに重労働を強いることになるという問題が顕在化してきた。
【0006】
本発明の課題は、ロール紙の高重量化に対応して重量の重いロール紙であっても、ユーザーが重労働無くロール紙ホルダにロール紙を装着できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、ロール紙ホルダを有するロール紙使用装置におけるロール紙の仮置き部に設けられ、前記仮置き部上のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持ち上げ装置であって、前記仮置き台に第1の支点を有し該第1の支点を中心に回動可能な操作レバーと、前記仮置き台に第2の支点を有し該第2の支点を中心に回動可能な棒状体と、前記操作レバーの第1の支点寄りの位置で、当該操作レバーと前記棒状体とを交差させた状態で連結し、当該操作レバーの上下方向の回動を前記棒状体の第2の支点を中心とする逆向きの上下方向の回動に変換して動力伝達する動力伝達機構とを備え、前記操作レバーの回動によって前記連結位置の上側において互いに交差する当該操作レバーと前記棒状体とによって形成される前記ロール紙を載置可能なロール紙載置可能部によって当該ロール紙が支持されて持ち上げられるように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、「ロール紙」とは、ロール芯の周りにロール状に巻かれた用紙のことを一般に意味するが、本明細書では、ロール芯を含めたものも「ロール紙」と定義することにする。また「用紙」の中には、普通紙、専用紙、写真用の光沢紙の他、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルムを含み、更に紙の範囲を越えて布等も含む意味で用いている。これにより表現の複雑化を避けている。
用紙の厚さも例えば0.3mm、1.3mmというように種々の厚さのものが含まれる。また、「ロール芯」には大型インクジェットプリンターで一般的に使用されている2インチ紙管と3インチ紙管が含まれる。
【0009】
本態様によれば、ユーザーがロール紙を仮置き部からロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げる作業を、第1の支点を中心に回動する操作レバーを使用して実行し、動力伝達機構によって該操作レバーの動力を第2の支点を中心に回動する棒状体に両者が連結する部分を介して伝達するように構成したので、てこの原理によって小さな力でロール紙を持ち上げることが可能になる。
この場合、前記連結部分の連結位置が作用点になり、操作レバーを握る位置が力点になるので、第1の支点から力点までの回転半径を第1の支点から作用点までの回転半径より大きくする程、より小さな力でロール紙を持ち上げることが可能になる。
【0010】
また、前記連結位置の上側の前記操作レバーと前記棒状体との交差部位をロール紙載置可能部にしているので、傾斜姿勢の操作レバーと棒状体との間に形成されるV字形状の空間がロール紙の収容空間となる。
従って、前記ロール紙載置可能部によって支持されているロール紙は、常にその重心が前記交差部位を通る鉛直線上に位置するようになるため、ロール紙の持ち上げ時の姿勢と位置が安定してロール紙ホルダへの確実なロール紙の装着が実行される。
更に、ロール紙載置可能部とロール紙との接点は、操作レバーを回動してロール紙を上方に持ち上げるに連れてロール紙の外周面に沿って離れていく方向に移動する。従って、ロール紙は上方に持ち上げるに連れて、その支持状態の安定性を増す効果が得られる。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係るロール紙持ち上げ装置において、前記動力伝達機構は、前記操作レバーと前記棒状体とが交差する交差位置が鉛直方向の同一直線上を上下動するためのリンク機構を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
本態様によれば、仮置き部上に載置されたロール紙を、リック機構によって鉛直方向における同一直線上を上方に向けて持ち上げることができるので、予めロール芯の芯口の中心線とロール紙ホルダの軸部の軸芯とが鉛直方向の同一平面上に位置するように構成しておけば、ロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げるだけで、前記中心線と軸芯との前後方向の位置合わせが自動的に実行されるようになるため、一連の位置合わせ作業が容易になる。
【0013】
本発明の第3の態様は、前記第1の態様または第2の態様に係るロール紙持ち上げ装置において、前記リンク機構は、前記操作レバーと前記棒状体の一方に設けられている係合軸と、該係合軸に係合する前記操作レバーと前記棒状体の他方に設けられている係合長穴と、を備えることによって構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
本態様によれば、異なる支点を中心に回動し連結されている操作レバーと棒状体が、互いの回動を妨げることなく、円滑に回動できるようになる。また、係合軸と係合長穴とによるリンク機構は、構造が簡単で少ない部品点数で構成できるためロール紙持ち上げ装置のコストの削減にも寄与し得る。
【0015】
本発明の第4の態様は、前記第1の態様から第3の態様のいずれか一つの態様に係るロール紙持ち上げ装置において、前記ロール紙載置可能部には、ロール紙との間に介在されて前記ロール紙載置可能部とロール紙との接触を回避する介在部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
ロール紙載置可能部とロール紙との接点は、上記したように、操作レバーを回動してロール紙を上方に持ち上げるに連れてロール紙の外周面に沿って離れていく方向に移動するので、前記操作レバーと前記棒状体はロール紙の外周面(周胴部)に擦れながら摺接することになり、ロール紙に扱き跡が生じることがある。
しかし本態様によれば、ロール紙載置可能部に載置されるロール紙は、介在部材に接触して支持され、前記操作レバーと前記棒状体には直接接触しない。従って、前記操作レバーと前記棒状体とが擦れながら摺接することによって生ずる前記扱き跡の発生を防止できる。
【0017】
本発明の第5の態様は、前記第4の態様に係るロール紙持ち上げ装置において、前記介在部材は、前記ロール紙載置可能部の交差角度の変化に対応し得る可撓性材料によって形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
本態様によれば、介在部材が可撓性材料によって形成されているので、操作レバーの回動操作に伴って時々刻々変化する操作レバーと棒状体の交差角度の変化に対応して、当該介在部材が撓み変形して当該交差部位のロール紙載置可能部の形状に馴染むため、ロール紙持ち上げ時のロール紙の保持姿勢の安定性が向上する。
また、前記介在部材のロール紙に接触する面を平滑に形成することで、摩擦によるロール紙の周胴面に与えるダメージを小さくすることができる。また、前記介在部材のロール紙に接触する面を柔軟に形成することで、介在部材のクッション作用によってロール紙の集中荷重を分散させることができ、ロール紙の周胴面に与えるダメージを小さくすることができる。
【0019】
本発明の第6の態様は、ロール紙の仮置き部と、ロール紙ホルダとを有する記録装置であって、仮置き状態のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持上げ装置を備え、前記ロール紙持上げ装置は、前記第1の態様から第5の態様のいずれか一つに係るロール紙巻上げ装置であることを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るロール紙持ち上げ装置を適用した記録装置の全体構成の概略を示す側断面図。
【図2】本発明の第1の実施例を示すロール紙持ち上げ装置周辺の斜視図。
【図3】同上、ロール紙持ち上げ装置の下限位置を示す側面図。
【図4】同上、ロール紙持ち上げ装置の上限位置を示す側面図。
【図5】同上、ロール紙持ち上げ装置の下限位置を示す平面図。
【図6】本発明の第2の実施例に係るロール紙持ち上げ装置を示す側面図。
【図7】本発明の第3の実施例に係るロール紙持ち上げ装置を示す側面図。
【図8】本発明の第4の実施例に係るロール紙持ち上げ装置を示す平面図。
【図9】本発明の第5の実施例に係るロール紙持ち上げ装置を示す側面図。
【図10】本発明の第6の実施例に係るロール紙持ち上げ装置を示す側面図。
【図11】本発明の他の実施例に係るロール紙持ち上げ装置を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1〜図5に示す第1の実施例と、図6に示す第2の実施例と、図7に示す第3の実施例と、図8に示す第4の実施例と、図9に示す第5の実地例と、図10に示す第6の実地例とを例にとって、本発明のロール紙持ち上げ装置2の構造と作動態様について具体的に説明する。
最初に、図1に基づいて、本発明のロール紙持ち上げ装置2が適用された記録装置1の全体構成の概略を説明する。
【0022】
図1に記録装置の実施例として大型のインクジェットプリンター1の全体構成の概略を図示している。このインクジェットプリンター1は、下端部に移動用のキャスター15を有する側面視逆T字形の支持フレーム17を対向するように左右両端部に備えている。
前記支持フレーム17の上部には、プリンター本体19が設けられており、該プリンター本体19の内部には、キャリッジガイド軸21に沿って主走査方向となる用紙幅方向Bに往復移動可能なキャリッジ23が配設されている。
【0023】
また、前記キャリッジ23の一例として下面には、用紙Pの被記録面に各色のインクを吐出して記録を実行する記録ヘッド25が設けられており、該記録ヘッド25の下方には所定のギャップPGを隔てて用紙Pの下面を支承して用紙Pの搬送を案内する支承部材27が設けられている。
また、前記記録ヘッド25と支承部材27の用紙搬送方向Aの上流位置には、一対のニップローラーによって構成されている搬送用ローラー29が設けられている。そして、後述するロール紙ホルダ3から繰り出された用紙Pは、前記搬送用ローラー29に挟持されることで用紙Pに搬送力が付与されるようになっている。
【0024】
また、前記プリンター本体19の用紙搬送方向Aの上流位置となる後方位置には、予備加熱用のプレヒーター31が設けられており、前記プリンター本体19の用紙搬送方向Aの下流位置となる前方位置には、インク乾燥用のアフターヒーター33が設けられている。
そして、前記プレヒーター31の用紙搬送方向Aの上流位置には、ロール紙Rを繰り出し可能に保持する軸部13を備えたロール紙ホルダ3が設けられており、該ロール紙ホルダ3の下方に支持フレーム17から延びるサブフレーム35によって支持されているロール紙Rの仮置き台5が設けられている。
【0025】
ロール紙ホルダ3は、ロール紙Rの両端部を保持する部材で、向い合わせで一対配設されている。そして、このうち少なくとも一方のロール紙ホルダ3が、ロール紙Rの幅寸法の違いに対応して用紙幅方向Bにスライドし取付け位置を調整できるように構成されている。
【0026】
具体的には、ロール紙Rの側端面4に接触してロール紙Rを保持する円板状のフランジ部9と、該フランジ部9から内方に向って水平に突設され、ロール紙Rのロール芯11の芯口12内に挿入されてロール紙Rを保持する一例として丸棒状の軸部13と、を備えることによってロール紙ホルダ3は構成されている。
【0027】
一方、仮置き台5は、前記ロール紙ホルダ3にロール紙Rを装着するのに先立ってロール紙Rを仮置きするのに使用される部材である。
仮置き台5は、具体的には、図1、図2に示すように、ロール紙Rを仮置きした時にロール紙Rが落下しない間隙を隔てて平行に配設される用紙幅方向Bに並設された少なくとも二本の棒体7A、7Bを備えている。仮置き台5は、ロール紙Rを仮置きできればよく、前記二本の棒体7A、7Bを備える構造に限定されないことは勿論である。
【0028】
後述するロール紙持ち上げ装置2の支持部材を兼ねたベース部8が、前記棒体7A、7Bに対してスライド可能に取り付けられている。棒体7A、7Bは、本実施例では断面円形の丸棒で形成されている。尚、ベース部8は、前記一対のロール紙ホルダ3のそれぞれに対応して同じく一対設けられている。
【0029】
更に、図示のインクジェットプリンター1には、前記ベース部8A、8Bを支持部材として前記仮置き台5に対して本発明の一実施例に係るロール紙持ち上げ装置2が設けられている。本実施例のロール紙持ち上げ装置2は、前記仮置き台5に仮置きされたロール紙Rを前記ロール紙ホルダ3の軸部13の高さ位置Hまで持ち上げてロール芯11の芯口12と前記軸部13との位置合わせを可能にする装置である。
【0030】
具体的には、本実施例のロール紙持ち上げ装置2は、前記仮置き台5に第1の支点O1を有し、該第1の支点O1を中心に回動可能な操作レバー47と、前記仮置き台5に第2の支点O2を有し該第2の支点O2を中心に回動可能な棒状体45と、前記操作レバー47の第1の支点O1寄りの位置で、当該操作レバー47と前記棒状体45とを交差させた状態で連結し、当該操作レバー47の上下方向の回動を前記棒状体45の第2の支点O2を中心とする逆向きの上下方向の回動に変換して動力伝達する動力伝達機構49と、を備えることによって、基本的に構成されている。
【0031】
そして、前記操作レバー47と、前記棒状体45とが連結されている連結位置Jの上側の交差位置Kを含む前記操作レバー47と前記棒状体45の側面視V字形状の上方交差部位をロール紙載置可能部51として、該ロール紙Rを支持して上方に持ち上げることができるように構成されている。
この他、前記アフターヒーター33の用紙搬送方向Aの下流位置には、記録が実行された用紙Pを巻き取る巻取り装置37が設けられており、巻き取られるロール紙Rは用紙支持構造39に支持されている。
【0032】
[第1の実施例](図1〜図5参照)
第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aは、前記操作レバー47と前記棒状体45をリンク機構53Aによって交差させ、互いに可動状態で連結することによって構成されている。
そして、本実施例では、動力伝達機構49が、前記ベース部8A、8Bと前記操作レバー47と、前記棒状体45と、前記リンク機構53Aとを備えて構成されており、前記操作レバー47と前記棒状体45とが交差する交差位置Kが鉛直方向の同一直線V上を、上下動し得るように設定されている。
【0033】
操作レバー47は、仮置き台5の奥部側の棒体7Bに取り付けられている一例として円環状のベース部8Bを支持部材として取り付けられている。具体的には当該ベース部8Bの上面に設けられている第1の支点O1を中心にして回動する長尺な角棒状ないし幅狭な板状の部材によって操作レバー47は構成されている。
また、該操作レバー47の自由端は、仮置き台5の手前側の棒体7Aの上方を通って更に、手前側に延長形成されており、当該自由端側の部位がユーザーが実際に手で持って操作する操作部61になっている。
【0034】
また、前記操作レバー47の第1の支点O1寄りの位置には、前記リンク機構53Aの構成部材である係合軸55が側方に張り出すように設けられている。
【0035】
一方、棒状体45は、仮置き台5の手前側の棒体7Aに取り付けられている一例として円環状のベース部8Aを支持部材として取り付けられている。具体的には、該棒状体45は、前記ベース部8Aの上面に設けられている第2の支点O2を中心にして回動する、前記操作レバー47より短い角棒状ないし幅狭な板状の部材によって構成されている。
【0036】
該棒状体45の自由端は、仮置き台5の奥部側の棒体7Bの上方に向けて延びている。該棒状体45の中間付近の位置には、一例として円弧状の係合長穴57が形成されている連結板59が下方に張り出すように設けられている。
そして、前記係合長穴57が形成された連結板59は、前記係合軸55と共に前記リンク機構53Aの構成部材になっており、前記係合軸55が前記係合長穴57に係合することによって、操作レバー47と棒状体45の互いに拘束されない円滑な回動が前記係合長穴57の長さの範囲で実現されるように構成されている。
【0037】
次に、このような構造の第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aを使用してロール紙Rの端部を前記ロール紙ホルダ3の軸部13の高さ位置Hまで持ち上げる時の作動態様と、ロール紙ホルダ3にロール紙Rを装着するまでの作業手順について説明する。
即ち、本実地例では前記ロール紙持ち上げ装置2Aが、てこの原理を利用して小さな力でロール紙Rを持ち上げることができる構造になっている。
【0038】
具体的には、操作レバー47と棒状体45とが連結されている連結位置Jが作用点Qになり、操作レバー47の操作部61を握る位置が力点Fになる。
そして、本実施例では、前記第1の支点O1から力点Fまでの回転半径r1が前記第1の支点O1から作用点Qまでの回転半径r2より大きくなっているので、ユーザーはより小さな力でロール紙Rを持ち上げることが可能になる。
【0039】
また、前記操作レバー47と前記棒状体45とが交差する前記交差位置Kは、前記リンク機構53Aを備える動力伝達機構49の作用で鉛直方向の同一直線V上を上下動する。
従って、予めロール芯11の芯口12の中心線L2とロール紙ホルダ3の軸部13の軸芯L1とが鉛直方向の同一平面上に位置するように構成しておけば、ロール紙Rをロール紙ホルダ3の軸部13の高さ位置Hまで持ち上げるだけで、前記中心線L2と軸芯L1との前後方向の位置合わせが自動的に実行されるようになる。
【0040】
そして、前記ロール紙Rとロール紙ホルダ3の上下方向と前後方向の位置合わせが完了後、ロール紙ホルダ3の軸部13をロール紙Rのロール芯11の芯口12に挿入し、ロール紙Rの側端面4をロール紙ホルダ3のフランジ部9の内側面に当接させれば、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの片側の装着が完了する。
同様に、他方のロール紙ホルダ3にロール紙Rの他方の端部を装着すれば、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの両端のセットが終了し、ロール紙Rは記録の実行が可能な水平姿勢で保持された状態になる。
【0041】
[第2の実施例](図6参照)
第2の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Bは、リンク機構53Bの構成部材の配置態様を変更した点を除いて、前記第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aと同様の構成を有している。従って、ここでは前記第1の実施例と相違する当該第2の実施例特有の前記連結機構53Bの構成部材の配置態様を中心に説明する。
【0042】
図6に示すように、本実施例では、操作レバー47側に係合長穴57が形成された連結板59を設け、棒状体45側に前記係合長穴57に係合する係合軸55を設けている。従って、リンク機構53Bの構成部材の配置態様が前記第1の実施例と逆の配置態様になっている。
そして、このような構成の第2の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Bによっても、前記第1の実施例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減され、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの安全で確実な装着が実行される。
【0043】
[第3の実施例](図7参照)
第3の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Cは、前記ロール紙載置可能部51に介在部材63を設けた点を除いて、前記第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aと同様の構成を有している。従って、ここでは前記第1の実施例と相違する当該第3の実施例特有の介在部材63の構造と作動態様を中心に説明する。
【0044】
図7に示すように、本実施例では、ロール紙載置可能部51となる交差位置Kの上方における前記操作レバー47と前記棒状体45の上面にロール紙Rとの間に介在されて前記ロール紙載置可能部51とロール紙Rとの接触を回避する介在部材63を設けている。
尚、前記介在部材63は、操作レバー47と棒状体45の一方に取り付けておけばよく、操作レバー47と棒状体45の他方に対してはその上面を前記介在部材63によって被覆するだけの構成になっている。
【0045】
前記介在部材63としては、少なくともロール紙Rに接触する面が平滑な材料、例えば樹脂製のフィルムや薄手の平板状の材料が適用できる。
また、前記介在部材63としては、少なくともロール紙Rに接触する面が柔軟な材料、例えばフェルト状やスポンジ状の材料が適用できる。
また、前記介在部材63としては、前記ロール紙載置可能部51の交差角度の変化に対応して形状を変えることができる可撓性材料によって形成されている。
【0046】
そして、このような構成の第3の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Cによっても、前記第1の実施例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減され、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの安全で確実な装着が実行される。
また、ロール紙載置可能部51とロール紙Rとの間に介在部材63が介在されていることにより、ロール紙Rの周胴面にロール紙載置可能部51が直接摺接し、擦れることによって生ずる扱き跡も発生しない。
【0047】
[第4の実施例](図8参照)
第4の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Dは、前記操作レバー47と前記棒状体45との間に適用されるリンク機構53Dを変更した点を除いて、前記第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aと同様の構成を有している。従って、ここでは前記第1の実施例と相違する当該第4の実施例特有の前記リンク機構53Dの構成を中心に説明する。
【0048】
図8に示すように、本実施例では、前記操作レバー47の一部に直接、係合長穴67を形成し、該係合長穴67に対して前記棒状体45の一部に直接形成されている係合軸65を係合させるようにしたリンク機構53Dを採用している。
【0049】
そして、このような構成の第4の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Dによっても、前記第1の実地例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減され、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの安全で確実な装着が実行される。
【0050】
[第5の実施例](図9参照)
第5の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Eは、前記操作レバー47と前記棒状体45との間に適用されるリンク機構53Eを変更した点を除いて、前記第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aと同様の構成を有している。従って、ここでは前記第1の実施例と相違する当該第5の実施例特有の前記リンク機構53Eの構成を中心に説明する。
【0051】
図9に示すように、本実施例では、前記操作レバー47と前記棒状体45との両方に、それぞれ係合長穴69a、69bが形成されている連結板71a、71bが設けられている。また、前記2つの係合長穴69a、69bに係合する係合ピン73が前記2つの係合長穴69a、69bを貫通するように設けられており、これら2組の係合長穴69a、69bと、これらと係合する係合ピン73と、を備えることによってリンク機構53Eが構成されている。
【0052】
そして、このような構成の第5の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Eによっても、前記第1の実地例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減され、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの安全で確実な装着が実行される。
【0053】
[第6の実施例](図10参照)
第6の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Fは、前記操作レバー47と前記棒状体45との間に適用されるリンク機構53Fを変更した点を除いて、前記第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aと同様の構成を有している。従って、ここでは当該前記第1の実施例と相違する当該第6の実施例特有の前記リンク機構53Fの構成を中心に説明する。
【0054】
図10に示すように、本実施例では、前記操作レバー47と前記棒状体45との双方に一例として丸棒状のガイドロッド部75a、75bを形成している。また、前記操作レバー47のガイドロッド部75aには、一例として円筒状のスライドスリーブ77aが外嵌しており、前記棒状体45のガイドロッド部75には、同じく一例として円筒状のスライドスリーブ77bが外嵌している。
【0055】
更に、前記2つのスライドスリーブ77a、77bは、連結ピン79によって回動自在に接続されており、前記2ヶ所のガイドロッド部75a、75bと、前記2つのスライドスリーブ77a、77bと、前記連結ピン79と、を備えることによってリンク機構53Fが構成されている。
そして、このような構成の第6の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Fによっても、前記第1の実地例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減され、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの安全で確実な装着が実行される。
【0056】
[他の実施例]
本発明に係るロール紙持ち上げ装置2は、以上述べたような構成を基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
例えば、前記操作レバー47と前記棒状体45は、前記各実施例において図示したような直線的な形状に限らず、一例として先端側が幾分上方に湾曲したような形状であってもよい。
また、前記操作レバー47と前記棒状体45の交差位置Kは、必ずしも仮置き台5の2本の棒体7A、7Bの中間位置に限らず、いずれかの棒体7A、7B寄りに幾分偏った位置でも構わない。
【0057】
また、前記操作レバー47と前記棒状体45とを連結するリンク機構53は、両者の動きを一義的に拘束する厳密な意味でのリンク機構53に限らず、例えば図11に示すロール紙持ち上げ装置2Gのように、棒状体45の一部である図示のような突起81が自重で操作レバー47の上に載っていて、当該操作レバー47の動きに連動して前記棒状体45の一部の突起81が操作レバー47上を摺接しながら棒状体45が回動するような簡易拘束状態のリンク機構53Gを含めることも可能である。
この他、前記第3の実施例で採用した介在部材63は、操作レバー47や棒状体45と別の部材として構成する他、操作レバー47や棒状体45の自由端を例えば薄肉形成することで前記介在部材63としての機能を担わせるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 インクジェットプリンター(記録装置)、 2 ロール紙持ち上げ装置、
3 ロール紙ホルダ、 4 側端面、 5 仮置き台、 7A 棒体、 7B 棒体、
8A ベース部(支持部材)、 8B ベース部(支持部材)、 9 フランジ部、
11 ロール芯、 12 芯口、 13 軸部、 15 キャスター、
17 支持フレーム、 19 プリンター本体、 21 キャリッジガイド軸、
23 キャリッジ、 25 記録ヘッド、 27 支持部材、
29 搬送用ローラー、 31 プレヒーター、 33 アフターヒーター、
35 サブフレーム、 37 巻取り装置、 39 用紙支持構造、 41 回転軸、
45 棒状体、 47 操作レバー、 49 動力伝達機構、
51 ロール紙載置可能部、 53 リンク機構、 55 係合軸、
57 係合長穴、 59 連結板、 61 操作部、 63 介在部材、
65 係合軸、 67 係合長穴、 69 係合長穴、 71 連結板、
73 係合ピン、 75 ガイドロッド部、 77 スライドスリーブ、
79 連結ピン、 81 突起、 R ロール紙、 P 用紙、 A 用紙搬送方向、
B 用紙幅方向、 L1 軸芯、 L2 中心線、 PG ギャップ、 F 力点、
Q 作用点、 O1 第1の支点、 O2 第2の支点、 H 高さ位置、
r1 回転半径、 r2 回転半径、 J 連結位置、 K 交差位置、
V (鉛直方向の)直線
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙ホルダを有するロール紙使用装置におけるロール紙の仮置き部に設けられ、前記仮置き部上のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール心の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持上げ装置及び該ロール紙持上げ装置を備える記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型インクジェットプリンター等の記録装置では、下記の特許文献1に示すようにロール紙の重量が重いことから、ロール紙を一旦、記録装置の仮置き台に置いてから、記録装置に取り付けられているロール紙ホルダに装着するようにしている。
【0003】
従来は、前記ロール紙を仮置き台に置いてから、ロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで、ユーザーが手で約2〜5cm程度持ち上げてロール心の芯口と前記軸部との位置合わせを行い、それからロール紙ホルダを軸方向に水平にスライドさせて前記軸部を前記芯口に装着していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−23171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ロール紙の重量は20〜30kg、更に40kg、50kgのものまであり、このようなロール紙の高重量化に伴い、前記人手によるロール紙の持上げ作業をユーザーに委ねることは、ユーザーに重労働を強いることになるという問題が顕在化してきた。
【0006】
本発明の課題は、ロール紙の高重量化に対応して重量の重いロール紙であっても、ユーザーが重労働無くロール紙ホルダにロール紙を装着できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、ロール紙ホルダを有するロール紙使用装置におけるロール紙の仮置き部に設けられ、前記仮置き部上のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持ち上げ装置であって、前記仮置き台に第1の支点を有し該第1の支点を中心に回動可能な操作レバーと、前記仮置き台に第2の支点を有し該第2の支点を中心に回動可能な棒状体と、前記操作レバーの第1の支点寄りの位置で、当該操作レバーと前記棒状体とを交差させた状態で連結し、当該操作レバーの上下方向の回動を前記棒状体の第2の支点を中心とする逆向きの上下方向の回動に変換して動力伝達する動力伝達機構とを備え、前記操作レバーの回動によって前記連結位置の上側において互いに交差する当該操作レバーと前記棒状体とによって形成される前記ロール紙を載置可能なロール紙載置可能部によって当該ロール紙が支持されて持ち上げられるように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、「ロール紙」とは、ロール芯の周りにロール状に巻かれた用紙のことを一般に意味するが、本明細書では、ロール芯を含めたものも「ロール紙」と定義することにする。また「用紙」の中には、普通紙、専用紙、写真用の光沢紙の他、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルムを含み、更に紙の範囲を越えて布等も含む意味で用いている。これにより表現の複雑化を避けている。
用紙の厚さも例えば0.3mm、1.3mmというように種々の厚さのものが含まれる。また、「ロール芯」には大型インクジェットプリンターで一般的に使用されている2インチ紙管と3インチ紙管が含まれる。
【0009】
本態様によれば、ユーザーがロール紙を仮置き部からロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げる作業を、第1の支点を中心に回動する操作レバーを使用して実行し、動力伝達機構によって該操作レバーの動力を第2の支点を中心に回動する棒状体に両者が連結する部分を介して伝達するように構成したので、てこの原理によって小さな力でロール紙を持ち上げることが可能になる。
この場合、前記連結部分の連結位置が作用点になり、操作レバーを握る位置が力点になるので、第1の支点から力点までの回転半径を第1の支点から作用点までの回転半径より大きくする程、より小さな力でロール紙を持ち上げることが可能になる。
【0010】
また、前記連結位置の上側の前記操作レバーと前記棒状体との交差部位をロール紙載置可能部にしているので、傾斜姿勢の操作レバーと棒状体との間に形成されるV字形状の空間がロール紙の収容空間となる。
従って、前記ロール紙載置可能部によって支持されているロール紙は、常にその重心が前記交差部位を通る鉛直線上に位置するようになるため、ロール紙の持ち上げ時の姿勢と位置が安定してロール紙ホルダへの確実なロール紙の装着が実行される。
更に、ロール紙載置可能部とロール紙との接点は、操作レバーを回動してロール紙を上方に持ち上げるに連れてロール紙の外周面に沿って離れていく方向に移動する。従って、ロール紙は上方に持ち上げるに連れて、その支持状態の安定性を増す効果が得られる。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係るロール紙持ち上げ装置において、前記動力伝達機構は、前記操作レバーと前記棒状体とが交差する交差位置が鉛直方向の同一直線上を上下動するためのリンク機構を備えていることを特徴とするものである。
【0012】
本態様によれば、仮置き部上に載置されたロール紙を、リック機構によって鉛直方向における同一直線上を上方に向けて持ち上げることができるので、予めロール芯の芯口の中心線とロール紙ホルダの軸部の軸芯とが鉛直方向の同一平面上に位置するように構成しておけば、ロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げるだけで、前記中心線と軸芯との前後方向の位置合わせが自動的に実行されるようになるため、一連の位置合わせ作業が容易になる。
【0013】
本発明の第3の態様は、前記第1の態様または第2の態様に係るロール紙持ち上げ装置において、前記リンク機構は、前記操作レバーと前記棒状体の一方に設けられている係合軸と、該係合軸に係合する前記操作レバーと前記棒状体の他方に設けられている係合長穴と、を備えることによって構成されていることを特徴とするものである。
【0014】
本態様によれば、異なる支点を中心に回動し連結されている操作レバーと棒状体が、互いの回動を妨げることなく、円滑に回動できるようになる。また、係合軸と係合長穴とによるリンク機構は、構造が簡単で少ない部品点数で構成できるためロール紙持ち上げ装置のコストの削減にも寄与し得る。
【0015】
本発明の第4の態様は、前記第1の態様から第3の態様のいずれか一つの態様に係るロール紙持ち上げ装置において、前記ロール紙載置可能部には、ロール紙との間に介在されて前記ロール紙載置可能部とロール紙との接触を回避する介在部材が設けられていることを特徴とするものである。
【0016】
ロール紙載置可能部とロール紙との接点は、上記したように、操作レバーを回動してロール紙を上方に持ち上げるに連れてロール紙の外周面に沿って離れていく方向に移動するので、前記操作レバーと前記棒状体はロール紙の外周面(周胴部)に擦れながら摺接することになり、ロール紙に扱き跡が生じることがある。
しかし本態様によれば、ロール紙載置可能部に載置されるロール紙は、介在部材に接触して支持され、前記操作レバーと前記棒状体には直接接触しない。従って、前記操作レバーと前記棒状体とが擦れながら摺接することによって生ずる前記扱き跡の発生を防止できる。
【0017】
本発明の第5の態様は、前記第4の態様に係るロール紙持ち上げ装置において、前記介在部材は、前記ロール紙載置可能部の交差角度の変化に対応し得る可撓性材料によって形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
本態様によれば、介在部材が可撓性材料によって形成されているので、操作レバーの回動操作に伴って時々刻々変化する操作レバーと棒状体の交差角度の変化に対応して、当該介在部材が撓み変形して当該交差部位のロール紙載置可能部の形状に馴染むため、ロール紙持ち上げ時のロール紙の保持姿勢の安定性が向上する。
また、前記介在部材のロール紙に接触する面を平滑に形成することで、摩擦によるロール紙の周胴面に与えるダメージを小さくすることができる。また、前記介在部材のロール紙に接触する面を柔軟に形成することで、介在部材のクッション作用によってロール紙の集中荷重を分散させることができ、ロール紙の周胴面に与えるダメージを小さくすることができる。
【0019】
本発明の第6の態様は、ロール紙の仮置き部と、ロール紙ホルダとを有する記録装置であって、仮置き状態のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持上げ装置を備え、前記ロール紙持上げ装置は、前記第1の態様から第5の態様のいずれか一つに係るロール紙巻上げ装置であることを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るロール紙持ち上げ装置を適用した記録装置の全体構成の概略を示す側断面図。
【図2】本発明の第1の実施例を示すロール紙持ち上げ装置周辺の斜視図。
【図3】同上、ロール紙持ち上げ装置の下限位置を示す側面図。
【図4】同上、ロール紙持ち上げ装置の上限位置を示す側面図。
【図5】同上、ロール紙持ち上げ装置の下限位置を示す平面図。
【図6】本発明の第2の実施例に係るロール紙持ち上げ装置を示す側面図。
【図7】本発明の第3の実施例に係るロール紙持ち上げ装置を示す側面図。
【図8】本発明の第4の実施例に係るロール紙持ち上げ装置を示す平面図。
【図9】本発明の第5の実施例に係るロール紙持ち上げ装置を示す側面図。
【図10】本発明の第6の実施例に係るロール紙持ち上げ装置を示す側面図。
【図11】本発明の他の実施例に係るロール紙持ち上げ装置を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1〜図5に示す第1の実施例と、図6に示す第2の実施例と、図7に示す第3の実施例と、図8に示す第4の実施例と、図9に示す第5の実地例と、図10に示す第6の実地例とを例にとって、本発明のロール紙持ち上げ装置2の構造と作動態様について具体的に説明する。
最初に、図1に基づいて、本発明のロール紙持ち上げ装置2が適用された記録装置1の全体構成の概略を説明する。
【0022】
図1に記録装置の実施例として大型のインクジェットプリンター1の全体構成の概略を図示している。このインクジェットプリンター1は、下端部に移動用のキャスター15を有する側面視逆T字形の支持フレーム17を対向するように左右両端部に備えている。
前記支持フレーム17の上部には、プリンター本体19が設けられており、該プリンター本体19の内部には、キャリッジガイド軸21に沿って主走査方向となる用紙幅方向Bに往復移動可能なキャリッジ23が配設されている。
【0023】
また、前記キャリッジ23の一例として下面には、用紙Pの被記録面に各色のインクを吐出して記録を実行する記録ヘッド25が設けられており、該記録ヘッド25の下方には所定のギャップPGを隔てて用紙Pの下面を支承して用紙Pの搬送を案内する支承部材27が設けられている。
また、前記記録ヘッド25と支承部材27の用紙搬送方向Aの上流位置には、一対のニップローラーによって構成されている搬送用ローラー29が設けられている。そして、後述するロール紙ホルダ3から繰り出された用紙Pは、前記搬送用ローラー29に挟持されることで用紙Pに搬送力が付与されるようになっている。
【0024】
また、前記プリンター本体19の用紙搬送方向Aの上流位置となる後方位置には、予備加熱用のプレヒーター31が設けられており、前記プリンター本体19の用紙搬送方向Aの下流位置となる前方位置には、インク乾燥用のアフターヒーター33が設けられている。
そして、前記プレヒーター31の用紙搬送方向Aの上流位置には、ロール紙Rを繰り出し可能に保持する軸部13を備えたロール紙ホルダ3が設けられており、該ロール紙ホルダ3の下方に支持フレーム17から延びるサブフレーム35によって支持されているロール紙Rの仮置き台5が設けられている。
【0025】
ロール紙ホルダ3は、ロール紙Rの両端部を保持する部材で、向い合わせで一対配設されている。そして、このうち少なくとも一方のロール紙ホルダ3が、ロール紙Rの幅寸法の違いに対応して用紙幅方向Bにスライドし取付け位置を調整できるように構成されている。
【0026】
具体的には、ロール紙Rの側端面4に接触してロール紙Rを保持する円板状のフランジ部9と、該フランジ部9から内方に向って水平に突設され、ロール紙Rのロール芯11の芯口12内に挿入されてロール紙Rを保持する一例として丸棒状の軸部13と、を備えることによってロール紙ホルダ3は構成されている。
【0027】
一方、仮置き台5は、前記ロール紙ホルダ3にロール紙Rを装着するのに先立ってロール紙Rを仮置きするのに使用される部材である。
仮置き台5は、具体的には、図1、図2に示すように、ロール紙Rを仮置きした時にロール紙Rが落下しない間隙を隔てて平行に配設される用紙幅方向Bに並設された少なくとも二本の棒体7A、7Bを備えている。仮置き台5は、ロール紙Rを仮置きできればよく、前記二本の棒体7A、7Bを備える構造に限定されないことは勿論である。
【0028】
後述するロール紙持ち上げ装置2の支持部材を兼ねたベース部8が、前記棒体7A、7Bに対してスライド可能に取り付けられている。棒体7A、7Bは、本実施例では断面円形の丸棒で形成されている。尚、ベース部8は、前記一対のロール紙ホルダ3のそれぞれに対応して同じく一対設けられている。
【0029】
更に、図示のインクジェットプリンター1には、前記ベース部8A、8Bを支持部材として前記仮置き台5に対して本発明の一実施例に係るロール紙持ち上げ装置2が設けられている。本実施例のロール紙持ち上げ装置2は、前記仮置き台5に仮置きされたロール紙Rを前記ロール紙ホルダ3の軸部13の高さ位置Hまで持ち上げてロール芯11の芯口12と前記軸部13との位置合わせを可能にする装置である。
【0030】
具体的には、本実施例のロール紙持ち上げ装置2は、前記仮置き台5に第1の支点O1を有し、該第1の支点O1を中心に回動可能な操作レバー47と、前記仮置き台5に第2の支点O2を有し該第2の支点O2を中心に回動可能な棒状体45と、前記操作レバー47の第1の支点O1寄りの位置で、当該操作レバー47と前記棒状体45とを交差させた状態で連結し、当該操作レバー47の上下方向の回動を前記棒状体45の第2の支点O2を中心とする逆向きの上下方向の回動に変換して動力伝達する動力伝達機構49と、を備えることによって、基本的に構成されている。
【0031】
そして、前記操作レバー47と、前記棒状体45とが連結されている連結位置Jの上側の交差位置Kを含む前記操作レバー47と前記棒状体45の側面視V字形状の上方交差部位をロール紙載置可能部51として、該ロール紙Rを支持して上方に持ち上げることができるように構成されている。
この他、前記アフターヒーター33の用紙搬送方向Aの下流位置には、記録が実行された用紙Pを巻き取る巻取り装置37が設けられており、巻き取られるロール紙Rは用紙支持構造39に支持されている。
【0032】
[第1の実施例](図1〜図5参照)
第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aは、前記操作レバー47と前記棒状体45をリンク機構53Aによって交差させ、互いに可動状態で連結することによって構成されている。
そして、本実施例では、動力伝達機構49が、前記ベース部8A、8Bと前記操作レバー47と、前記棒状体45と、前記リンク機構53Aとを備えて構成されており、前記操作レバー47と前記棒状体45とが交差する交差位置Kが鉛直方向の同一直線V上を、上下動し得るように設定されている。
【0033】
操作レバー47は、仮置き台5の奥部側の棒体7Bに取り付けられている一例として円環状のベース部8Bを支持部材として取り付けられている。具体的には当該ベース部8Bの上面に設けられている第1の支点O1を中心にして回動する長尺な角棒状ないし幅狭な板状の部材によって操作レバー47は構成されている。
また、該操作レバー47の自由端は、仮置き台5の手前側の棒体7Aの上方を通って更に、手前側に延長形成されており、当該自由端側の部位がユーザーが実際に手で持って操作する操作部61になっている。
【0034】
また、前記操作レバー47の第1の支点O1寄りの位置には、前記リンク機構53Aの構成部材である係合軸55が側方に張り出すように設けられている。
【0035】
一方、棒状体45は、仮置き台5の手前側の棒体7Aに取り付けられている一例として円環状のベース部8Aを支持部材として取り付けられている。具体的には、該棒状体45は、前記ベース部8Aの上面に設けられている第2の支点O2を中心にして回動する、前記操作レバー47より短い角棒状ないし幅狭な板状の部材によって構成されている。
【0036】
該棒状体45の自由端は、仮置き台5の奥部側の棒体7Bの上方に向けて延びている。該棒状体45の中間付近の位置には、一例として円弧状の係合長穴57が形成されている連結板59が下方に張り出すように設けられている。
そして、前記係合長穴57が形成された連結板59は、前記係合軸55と共に前記リンク機構53Aの構成部材になっており、前記係合軸55が前記係合長穴57に係合することによって、操作レバー47と棒状体45の互いに拘束されない円滑な回動が前記係合長穴57の長さの範囲で実現されるように構成されている。
【0037】
次に、このような構造の第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aを使用してロール紙Rの端部を前記ロール紙ホルダ3の軸部13の高さ位置Hまで持ち上げる時の作動態様と、ロール紙ホルダ3にロール紙Rを装着するまでの作業手順について説明する。
即ち、本実地例では前記ロール紙持ち上げ装置2Aが、てこの原理を利用して小さな力でロール紙Rを持ち上げることができる構造になっている。
【0038】
具体的には、操作レバー47と棒状体45とが連結されている連結位置Jが作用点Qになり、操作レバー47の操作部61を握る位置が力点Fになる。
そして、本実施例では、前記第1の支点O1から力点Fまでの回転半径r1が前記第1の支点O1から作用点Qまでの回転半径r2より大きくなっているので、ユーザーはより小さな力でロール紙Rを持ち上げることが可能になる。
【0039】
また、前記操作レバー47と前記棒状体45とが交差する前記交差位置Kは、前記リンク機構53Aを備える動力伝達機構49の作用で鉛直方向の同一直線V上を上下動する。
従って、予めロール芯11の芯口12の中心線L2とロール紙ホルダ3の軸部13の軸芯L1とが鉛直方向の同一平面上に位置するように構成しておけば、ロール紙Rをロール紙ホルダ3の軸部13の高さ位置Hまで持ち上げるだけで、前記中心線L2と軸芯L1との前後方向の位置合わせが自動的に実行されるようになる。
【0040】
そして、前記ロール紙Rとロール紙ホルダ3の上下方向と前後方向の位置合わせが完了後、ロール紙ホルダ3の軸部13をロール紙Rのロール芯11の芯口12に挿入し、ロール紙Rの側端面4をロール紙ホルダ3のフランジ部9の内側面に当接させれば、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの片側の装着が完了する。
同様に、他方のロール紙ホルダ3にロール紙Rの他方の端部を装着すれば、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの両端のセットが終了し、ロール紙Rは記録の実行が可能な水平姿勢で保持された状態になる。
【0041】
[第2の実施例](図6参照)
第2の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Bは、リンク機構53Bの構成部材の配置態様を変更した点を除いて、前記第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aと同様の構成を有している。従って、ここでは前記第1の実施例と相違する当該第2の実施例特有の前記連結機構53Bの構成部材の配置態様を中心に説明する。
【0042】
図6に示すように、本実施例では、操作レバー47側に係合長穴57が形成された連結板59を設け、棒状体45側に前記係合長穴57に係合する係合軸55を設けている。従って、リンク機構53Bの構成部材の配置態様が前記第1の実施例と逆の配置態様になっている。
そして、このような構成の第2の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Bによっても、前記第1の実施例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減され、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの安全で確実な装着が実行される。
【0043】
[第3の実施例](図7参照)
第3の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Cは、前記ロール紙載置可能部51に介在部材63を設けた点を除いて、前記第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aと同様の構成を有している。従って、ここでは前記第1の実施例と相違する当該第3の実施例特有の介在部材63の構造と作動態様を中心に説明する。
【0044】
図7に示すように、本実施例では、ロール紙載置可能部51となる交差位置Kの上方における前記操作レバー47と前記棒状体45の上面にロール紙Rとの間に介在されて前記ロール紙載置可能部51とロール紙Rとの接触を回避する介在部材63を設けている。
尚、前記介在部材63は、操作レバー47と棒状体45の一方に取り付けておけばよく、操作レバー47と棒状体45の他方に対してはその上面を前記介在部材63によって被覆するだけの構成になっている。
【0045】
前記介在部材63としては、少なくともロール紙Rに接触する面が平滑な材料、例えば樹脂製のフィルムや薄手の平板状の材料が適用できる。
また、前記介在部材63としては、少なくともロール紙Rに接触する面が柔軟な材料、例えばフェルト状やスポンジ状の材料が適用できる。
また、前記介在部材63としては、前記ロール紙載置可能部51の交差角度の変化に対応して形状を変えることができる可撓性材料によって形成されている。
【0046】
そして、このような構成の第3の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Cによっても、前記第1の実施例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減され、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの安全で確実な装着が実行される。
また、ロール紙載置可能部51とロール紙Rとの間に介在部材63が介在されていることにより、ロール紙Rの周胴面にロール紙載置可能部51が直接摺接し、擦れることによって生ずる扱き跡も発生しない。
【0047】
[第4の実施例](図8参照)
第4の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Dは、前記操作レバー47と前記棒状体45との間に適用されるリンク機構53Dを変更した点を除いて、前記第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aと同様の構成を有している。従って、ここでは前記第1の実施例と相違する当該第4の実施例特有の前記リンク機構53Dの構成を中心に説明する。
【0048】
図8に示すように、本実施例では、前記操作レバー47の一部に直接、係合長穴67を形成し、該係合長穴67に対して前記棒状体45の一部に直接形成されている係合軸65を係合させるようにしたリンク機構53Dを採用している。
【0049】
そして、このような構成の第4の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Dによっても、前記第1の実地例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減され、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの安全で確実な装着が実行される。
【0050】
[第5の実施例](図9参照)
第5の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Eは、前記操作レバー47と前記棒状体45との間に適用されるリンク機構53Eを変更した点を除いて、前記第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aと同様の構成を有している。従って、ここでは前記第1の実施例と相違する当該第5の実施例特有の前記リンク機構53Eの構成を中心に説明する。
【0051】
図9に示すように、本実施例では、前記操作レバー47と前記棒状体45との両方に、それぞれ係合長穴69a、69bが形成されている連結板71a、71bが設けられている。また、前記2つの係合長穴69a、69bに係合する係合ピン73が前記2つの係合長穴69a、69bを貫通するように設けられており、これら2組の係合長穴69a、69bと、これらと係合する係合ピン73と、を備えることによってリンク機構53Eが構成されている。
【0052】
そして、このような構成の第5の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Eによっても、前記第1の実地例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減され、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの安全で確実な装着が実行される。
【0053】
[第6の実施例](図10参照)
第6の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Fは、前記操作レバー47と前記棒状体45との間に適用されるリンク機構53Fを変更した点を除いて、前記第1の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Aと同様の構成を有している。従って、ここでは当該前記第1の実施例と相違する当該第6の実施例特有の前記リンク機構53Fの構成を中心に説明する。
【0054】
図10に示すように、本実施例では、前記操作レバー47と前記棒状体45との双方に一例として丸棒状のガイドロッド部75a、75bを形成している。また、前記操作レバー47のガイドロッド部75aには、一例として円筒状のスライドスリーブ77aが外嵌しており、前記棒状体45のガイドロッド部75には、同じく一例として円筒状のスライドスリーブ77bが外嵌している。
【0055】
更に、前記2つのスライドスリーブ77a、77bは、連結ピン79によって回動自在に接続されており、前記2ヶ所のガイドロッド部75a、75bと、前記2つのスライドスリーブ77a、77bと、前記連結ピン79と、を備えることによってリンク機構53Fが構成されている。
そして、このような構成の第6の実施例に係るロール紙持ち上げ装置2Fによっても、前記第1の実地例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減され、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの安全で確実な装着が実行される。
【0056】
[他の実施例]
本発明に係るロール紙持ち上げ装置2は、以上述べたような構成を基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
例えば、前記操作レバー47と前記棒状体45は、前記各実施例において図示したような直線的な形状に限らず、一例として先端側が幾分上方に湾曲したような形状であってもよい。
また、前記操作レバー47と前記棒状体45の交差位置Kは、必ずしも仮置き台5の2本の棒体7A、7Bの中間位置に限らず、いずれかの棒体7A、7B寄りに幾分偏った位置でも構わない。
【0057】
また、前記操作レバー47と前記棒状体45とを連結するリンク機構53は、両者の動きを一義的に拘束する厳密な意味でのリンク機構53に限らず、例えば図11に示すロール紙持ち上げ装置2Gのように、棒状体45の一部である図示のような突起81が自重で操作レバー47の上に載っていて、当該操作レバー47の動きに連動して前記棒状体45の一部の突起81が操作レバー47上を摺接しながら棒状体45が回動するような簡易拘束状態のリンク機構53Gを含めることも可能である。
この他、前記第3の実施例で採用した介在部材63は、操作レバー47や棒状体45と別の部材として構成する他、操作レバー47や棒状体45の自由端を例えば薄肉形成することで前記介在部材63としての機能を担わせるようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 インクジェットプリンター(記録装置)、 2 ロール紙持ち上げ装置、
3 ロール紙ホルダ、 4 側端面、 5 仮置き台、 7A 棒体、 7B 棒体、
8A ベース部(支持部材)、 8B ベース部(支持部材)、 9 フランジ部、
11 ロール芯、 12 芯口、 13 軸部、 15 キャスター、
17 支持フレーム、 19 プリンター本体、 21 キャリッジガイド軸、
23 キャリッジ、 25 記録ヘッド、 27 支持部材、
29 搬送用ローラー、 31 プレヒーター、 33 アフターヒーター、
35 サブフレーム、 37 巻取り装置、 39 用紙支持構造、 41 回転軸、
45 棒状体、 47 操作レバー、 49 動力伝達機構、
51 ロール紙載置可能部、 53 リンク機構、 55 係合軸、
57 係合長穴、 59 連結板、 61 操作部、 63 介在部材、
65 係合軸、 67 係合長穴、 69 係合長穴、 71 連結板、
73 係合ピン、 75 ガイドロッド部、 77 スライドスリーブ、
79 連結ピン、 81 突起、 R ロール紙、 P 用紙、 A 用紙搬送方向、
B 用紙幅方向、 L1 軸芯、 L2 中心線、 PG ギャップ、 F 力点、
Q 作用点、 O1 第1の支点、 O2 第2の支点、 H 高さ位置、
r1 回転半径、 r2 回転半径、 J 連結位置、 K 交差位置、
V (鉛直方向の)直線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙ホルダを有するロール紙使用装置におけるロール紙の仮置き部に設けられ、前記仮置き部上のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持ち上げ装置であって、
前記仮置き台に第1の支点を有し該第1の支点を中心に回動可能な操作レバーと、
前記仮置き台に第2の支点を有し該第2の支点を中心に回動可能な棒状体と、
前記操作レバーの第1の支点寄りの位置で、当該操作レバーと前記棒状体とを交差させた状態で連結し、当該操作レバーの上下方向の回動を前記棒状体の第2の支点を中心とする逆向きの上下方向の回動に変換して動力伝達する動力伝達機構と、を備え、
前記操作レバーの回動によって前記連結位置の上側において互いに交差する当該操作レバーと前記棒状体とによって形成される前記ロール紙を載置可能なロール紙載置可能部によって当該ロール紙が支持されて持ち上げられるように構成されていることを特徴とするロール紙持ち上げ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたロール紙持ち上げ装置において、
前記動力伝達機構は、前記操作レバーと前記棒状体とが交差する交差位置が鉛直方向の同一直線上を上下動するためのリンク機構を備えていることを特徴とするロール紙持ち上げ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたロール紙持ち上げ装置において、
前記リンク機構は、前記操作レバーと前記棒状体の一方に設けられている係合軸と、該係合軸に係合する前記操作レバーと前記棒状体の他方に設けられている係合長穴と、を備えることによって構成されていることを特徴とするロール紙持ち上げ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載されたロール紙持ち上げ装置において、
前記ロール紙載置可能部には、ロール紙との間に介在されて前記ロール紙載置可能部とロール紙との直接接触を回避する介在部材が設けられていることを特徴とするロール紙持ち上げ装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたロール紙持ち上げ装置において、
前記介在部材は、前記ロール紙載置可能部の交差角度の変化に対応し得る可撓性材料によって形成されていることを特徴とするロール紙持ち上げ装置。
【請求項6】
ロール紙の仮置き部と、ロール紙ホルダとを有する記録装置であって、
仮置き状態のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持上げ装置を備え、
前記ロール紙持上げ装置は、請求項1から5のいずれか1項に記載されたロール紙巻上げ装置であることを特徴とする記録装置。
【請求項1】
ロール紙ホルダを有するロール紙使用装置におけるロール紙の仮置き部に設けられ、前記仮置き部上のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持ち上げ装置であって、
前記仮置き台に第1の支点を有し該第1の支点を中心に回動可能な操作レバーと、
前記仮置き台に第2の支点を有し該第2の支点を中心に回動可能な棒状体と、
前記操作レバーの第1の支点寄りの位置で、当該操作レバーと前記棒状体とを交差させた状態で連結し、当該操作レバーの上下方向の回動を前記棒状体の第2の支点を中心とする逆向きの上下方向の回動に変換して動力伝達する動力伝達機構と、を備え、
前記操作レバーの回動によって前記連結位置の上側において互いに交差する当該操作レバーと前記棒状体とによって形成される前記ロール紙を載置可能なロール紙載置可能部によって当該ロール紙が支持されて持ち上げられるように構成されていることを特徴とするロール紙持ち上げ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたロール紙持ち上げ装置において、
前記動力伝達機構は、前記操作レバーと前記棒状体とが交差する交差位置が鉛直方向の同一直線上を上下動するためのリンク機構を備えていることを特徴とするロール紙持ち上げ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載されたロール紙持ち上げ装置において、
前記リンク機構は、前記操作レバーと前記棒状体の一方に設けられている係合軸と、該係合軸に係合する前記操作レバーと前記棒状体の他方に設けられている係合長穴と、を備えることによって構成されていることを特徴とするロール紙持ち上げ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載されたロール紙持ち上げ装置において、
前記ロール紙載置可能部には、ロール紙との間に介在されて前記ロール紙載置可能部とロール紙との直接接触を回避する介在部材が設けられていることを特徴とするロール紙持ち上げ装置。
【請求項5】
請求項4に記載されたロール紙持ち上げ装置において、
前記介在部材は、前記ロール紙載置可能部の交差角度の変化に対応し得る可撓性材料によって形成されていることを特徴とするロール紙持ち上げ装置。
【請求項6】
ロール紙の仮置き部と、ロール紙ホルダとを有する記録装置であって、
仮置き状態のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持上げ装置を備え、
前記ロール紙持上げ装置は、請求項1から5のいずれか1項に記載されたロール紙巻上げ装置であることを特徴とする記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−96876(P2012−96876A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245225(P2010−245225)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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