説明

ロール紙持上げ装置及び記録装置

【課題】重量の重いロール紙をユーザーが重労働無くロール紙ホルダに装着できるようにする。
【解決手段】本発明のロール紙持上げ装置1は、ロール紙の仮置き部5と、ロール紙ホルダ3とを有する記録装置に設けられ、仮置き状態のロール紙Rをロール紙ホルダの軸部13の高さ位置まで持ち上げてロール芯11の芯口12と前記軸部13との位置合わせを可能にするロール紙持上げ装置であって、水平姿勢で上昇及び下降するロール紙載置部材15と、前記ロール紙載置部材15の上昇及び下降時の水平姿勢を保持する水平保持機構17と、前記水平保持機構17を介して前記ロール紙載置部材に動力を伝達する操作レバー19とを備え、前記操作レバー19は、前記仮置き部5に設けられている第1の支点21を中心に回動可能な状態で設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙ホルダを有するロール紙使用装置におけるロール紙の仮置き部に設けられ、前記仮置き部上のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール心の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持上げ装置及び該ロール紙持上げ装置を備える記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大型インクジェットプリンター等の記録装置では、下記の特許文献1に示すようにロール紙の重量が重いことから、ロール紙を一旦、記録装置の仮置き台に置いてから、記録装置に取り付けられているロール紙ホルダに装着するようにしている。
【0003】
従来は、前記ロール紙を仮置き台に置いてから、ロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで、ユーザーが手で約2〜5cm程度持ち上げてロール心の芯口と前記軸部との位置合わせを行い、それからロール紙ホルダを軸方向に水平にスライドさせて前記軸部を前記芯口に装着していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−23171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ロール紙の重量は20〜30kg、更に40kg、50kgのものまであり、このようなロール紙の高重量化に伴い、前記人手によるロール紙の持上げ作業をユーザーに委ねることは、ユーザーに重労働を強いることになるという問題が顕在化してきた。
【0006】
本発明の課題は、ロール紙の高重量化に対応して重量の重いロール紙であっても、ユーザーが重労働無くロール紙ホルダにロール紙を装着できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の第1の態様は、ロール紙の仮置き部と、ロール紙ホルダとを有するロール紙使用装置に設けられ、仮置き状態のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持上げ装置であって、水平姿勢で上昇及び下降し、前記ロール紙の端部外周面が載置するロール紙載置部材と、前記ロール紙載置部材の上昇及び下降時の水平姿勢を保持する水平保持機構と、前記水平保持機構を介して前記ロール紙載置部材に動力を伝達する操作レバーとを備え、前記操作レバーは、前記仮置き部に設けられている第1の支点を中心に回動可能な状態で設けられていることを特徴とするものである。
【0008】
ここで、「ロール紙」とは、ロール芯の周りにロール状に巻かれた用紙のことを一般に意味するが、本明細書では、ロール芯を含めたものも「ロール紙」と定義することにする。また「用紙」の中には、普通紙、専用紙、写真用の光沢紙の他、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルムを含み、更に紙の範囲を越えて布等も含む意味で用いている。これにより表現の複雑化を避けている。
用紙の厚さも例えば0.3mm、1.3mmというように種々の厚さのものが含まれる。また、「ロール芯」には大型インクジェットプリンターで一般的に使用されている2インチ紙管と3インチ紙管が含まれる。
【0009】
本態様によれば、水平姿勢のロール紙載置部材の上昇及び下降時における当該水平姿勢を保持する水平保持機構が設けられているので、ロール紙載置部材上のロール紙は傾斜することなく、水平姿勢を保ってロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで移動することができる。
そして、ロール紙ホルダの軸部の高さ位置に到達したロール紙は、水平姿勢のロール紙載置部材上を簡単に転がることができるので、ユーザーは小さな力でロール紙を転がして、該ロール紙のロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを行うことが可能となる。従ってユーザーは、重労働無くロール紙ホルダにロール紙をセットすることが可能になる。
【0010】
また、ユーザーがロール紙を仮置き部からロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げる作業を第1の支点を中心に回動する操作レバーを使用して実行するようにしたので、てこの原理により小さな力でロール紙を持ち上げることができる。この場合、ロール紙載置部材とロール紙の接点が作用点になり、操作レバーを握る位置が力点になるから、第1の支点から力点までの回転半径を第1の支点から作用点までの回転半径より大きくする程より小さな力でロール紙を持ち上げることが可能になる。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記第1の態様に係るロール紙持上げ装置において、前記水平保持機構は、前記操作レバーと棒状体とを備え、前記操作レバーの第1の支点寄りの位置に前記棒状体と回動可能に連結される回動支点を有し、前記棒状体の一端側は前記仮置き部に対してスライド可能に連結され、前記棒状体の他端側は前記水平姿勢をとるロール紙載置部材の一端部にスライド可能に連結され、前記ロール紙載置部材の他端部は前記操作レバーの前記回動支点の位置より自由端側の位置に回動可能に連結されていることを特徴とするものである。
【0012】
本態様によれば、水平保持機構が、操作レバーと棒状体とが交差するロール紙載置部材と仮置き部とを含めた4節交差リンク機構によって形成されるので、操作レバーを第1の支点を中心に回動させることによってロール紙載置部材の水平姿勢を保持した状態でロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで上昇させることが可能になる。
また、棒状体の一端側は仮置き部に対してスライド可能に連結され、棒状体の他端側は水平姿勢をとるロール紙載置部材の一端部にスライド可能に連結されているので、操作レバーは棒状体によって回動を妨げられることなく円滑に回動し、ロール紙載置部材上のロール紙をほぼ真上に移動させることができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、前記第1の態様に係るロール紙持上げ装置において、前記水平保持機構は、前記水平姿勢をとるロール紙載置部材と、前記ロール紙載置部材と前記仮置き部とを連結する2本の回動アームと、を備える4節平行リンク機構によって構成されており、前記回動アームの1本が前記操作レバーを兼ねており、前記操作レバーの第1の支点から自由端側に所定長さ離れた位置に前記ロール紙載置部材と回動可能に連結される第1の連結支点を有し、前記操作レバーの第1の支点から所定距離離れた位置の前記仮置き部上に前記回動アームの他の1本と回動可能に連結される第2の連結支点を有し、前記ロール紙載置部材の第1の連結支点から所定距離離れた位置に前記回動アームの他の1本と回動可能に連結される第3の連結支点を有し、前記第1の支点から第1の連結支点までの長さと前記第2の連結支点から第3の連結支点までの長さが等しく、前記第1の支点から前記第2の連結支点までの距離と前記第1の連結支点から前記第3の連結支点までの距離が等しくなるように設定されていることを特徴とするものである。
【0014】
本態様によれば、水平保持機構が、操作レバーと回動アームとロール紙載置部材と仮置き部とを備えた4節平行リンク機構によって形成されるので、操作レバーを第1の支点を中心に回動させることによってロール紙載置部材の水平姿勢を保持した状態でロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで上昇させることが可能になる。
【0015】
また、4節平行リンク機構の場合には、ロール紙載置部材に連結されている第1の連結支点と第3の連結支点が操作レバーの回動方向に応じて前後に移動するため、ロール紙載置部材上のロール紙は、ロール紙持上げ時に斜め上方に向けて移動するようになる。
従って、ロール紙がロール紙ホルダに装着された位置における該ロール紙の真下の領域には当該ロール紙は構造的に至らないので、前記真下の領域には、前記ロール紙持上げ装置が配置されている箇所を除いて、他の構造部材を設ける設計が可能となり、ロール紙周りの設計の自由度を高めることができる。
例えば、両端をロール紙ホルダに保持されている状態のロール紙に対して、その中央付近に接触して巻き弛みを防止する部材、或いはロール紙の重さを支えるローラ等の支え部材等を設けることが可能となる。
【0016】
本発明の第4の態様は、ロール紙の仮置き部と、ロール紙ホルダとを有する記録装置であって、仮置き状態のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持上げ装置を備え、該ロール紙持上げ装置は、前記第1の態様から第3の態様のいずれか一つに記載されたロール紙巻上げ装置であることを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るロール紙持上げ装置の第1の実施例を示す斜視図。
【図2】同上、下降位置(A)と上昇位置(B)を示す側面図。
【図3】本発明の第2の実施例を示す下降位置(A)と上昇位置(B)を示す側面図。
【図4】本発明の第3の実施例を示す下降位置(A)と上昇位置(B)を示す側面図。
【図5】本発明の第4の実施例を示す下降位置(A)と上昇位置(B)を示す側面図。
【図6】本発明の他の実施例を示す下降位置(A)と上昇位置(B)を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1、図2に示す第1の実施例と、図3に示す第2の実施例と、図4に示す第3の実施例と、図5に示す第4の実施例とを例にとって、本発明のロール紙持上げ装置1の構造とロール紙Rを持ち上げる時の作動態様と、ロール紙Rをロール紙ホルダ3に装着するまでの作業手順について具体的に説明する。
尚、本発明に係る実施例のロール紙持上げ装置1は、ロール紙ホルダ3を有する大型インクジェットプリンター等の記録装置におけるロール紙R用の仮置き台5に対して設けられる。尚、ロール紙持上げ装置1は仮置き台5の周辺の他の構造部材に設けてもよい。
【0019】
図1に示すように、本実施例の仮置き台5は、ロール紙Rを仮置きした時にロール紙Rが落下しない間隙を隔てて平行に配設されている2本の棒体(断面円形の丸棒)7A、7Bを備えている。そして、該棒体7A、7Bには、ロール紙ホルダ3を取り付ける基部となる二つのベース部8A、8Bがスライド可能に被設されている。ロール紙の幅寸法の違いに対して、該ベース部7A、7Bを適宜スライド移動することにより、前記幅寸法の違いに容易に対応することが可能である。
また、ロール紙ホルダ3は、ロール紙Rの両端部を保持する向い合わせで一対配設されている保持部材である。このうち少なくとも一方のロール紙ホルダ3は、ロール紙Rの幅寸法の違いに対応して用紙幅方向Bにスライドできるように構成されている。
【0020】
ロール紙ホルダ3は、ロール紙Rの端面に接してロール紙Rを保持するフランジ部9と、ロール紙Rのロール芯11の芯口12に内嵌してロール紙Rを保持する軸部13と、を備えることによって基本的に構成されている。
尚、前記フランジ部9は、ロール紙Rの最大直径よりも直径の大きな円板状、前記軸部13はロール紙Rのロール芯11の芯口12に挿入可能な直径の丸棒状の部材によって一例として構成されている。
【0021】
そして、本発明のロール紙持上げ装置1は、水平姿勢で上昇及び下降するロール紙載置部材15と、前記ロール紙載置部材15の上昇及び下降時の水平姿勢を保持する水平保持機構17と、前記水平保持機構17を介して前記ロール紙載置部材15に動力を伝達する操作レバー19と、を備えることによって基本的に構成されている。
また、前記操作レバー19は、前記仮置き台5を成す棒体7Bのベース部8Bに設けられている第1の支点21を中心に回動可能な状態で設けられており、該操作レバー19の自由端側の部位がユーザーが直接、操作レバー19を握って操作レバー19に力を伝える力点Pになっている。
【0022】
[第1の実施例](図1、図2参照)
第1の実施例に係るロール紙持上げ装置1Aは、水平保持機構17Aが操作レバー19Aと棒状体23Aとを備えている。そして、前記操作レバー19Aの第1の支点21寄りの位置に前記棒状体23Aと回動可能に連結される回動支点25を有し、前記棒状体23Aの一端23a側は前記仮置き台5のベース部8Aに対してスライド可能に連結され、前記棒状体23Aの他端23b側は前記水平姿勢をとるロール紙載置部材15Aの一端部15aにスライド可能に連結されている。前記ロール紙載置部材15Aの他端部15bは前記操作レバー19Aの前記回動支点25の位置より自由端側の位置27に回動可能に連結されている。
【0023】
具体的には、図1に示すように、前記棒状体23Aの一端23a側には一例として側方に張り出す軸部29が設けられており、前記仮置き台5には、前記軸部29と係合する一例として長穴状の溝部31が形成されている。従って、前記溝部31の長さの範囲で前記軸部29は前後方向に所定ストローク、スライドできるように構成されている。
また、前記棒状体23Aの他端23b側には一例として円板状の突起33が設けられており、前記ロール紙載置部材15Aの一端部15aの一例として下面には、前記突起33と係合する凹部35が形成されている。従って、前記突起33は前記凹部35に摺接しながら前記ロール紙載置部材15Aに沿って所定ストローク、スライドできるように構成されている。
【0024】
そして、このような構造の第1の実施例に係るロール紙持上げ装置1Aでは、交差して配置される操作レバー19Aと、棒状体23Aと、これらに連結されるロール紙載置部材15Aと、仮置き台5と、によって4節交差リンク機構が形成されているから、操作レバー19Aを第1の支点21を中心に回動させることによって、ロール紙載置部材15Aの水平姿勢を保持した状態で、ロール紙Rを図2(A)(B)に示すようにロール紙ホルダ3の軸部13の高さ位置Hまで上昇させることが可能になる。
【0025】
また、この場合図2(B)に示すように、ロール紙載置部材15Aとロール紙Rの接点が作用点Qになり、第1の支点21から力点Pまでの回転半径r1が第1の支点21から作用点Qまでの回転半径r2より大きいから、ユーザーはより小さな力でロール紙Rを持ち上げることが可能になる。
そして、ロール紙Rが図2(B)に示す上昇位置に達したら、ユーザーは図2(B)中に矢印で示すように、ロール紙Rをロール紙載置部材15A上で転がしてロール紙ホルダ3の軸部13の存する前後位置Yと一致させてからロール紙Rをロール紙ホルダ3側に押し込めば、或いはロール紙ホルダ3をスライドさせることによって、一方のロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの装着が完了する。同様の操作で他方のロール紙ホルダ3にロール紙Rの他方の端部を装着すれば、ロール紙ホルダ3に対するロール紙Rの両端のセットが終了し、ロール紙Rは印刷可能な水平姿勢となる。
【0026】
[第2の実施例](図3参照)
第2の実施例に係るロール紙持上げ装置1Bは、前記第1の実施例に係るロール紙持上げ装置1Aと同様、交差して配置される操作レバー19Bと棒状体23Bと、これらに連結されるロール紙載置部材15Bと、仮置き台5と、によって4節交差リンク機構が形成されている実施例である。
このロール紙持上げ装置1Bの構造は、前述したロール紙持上げ装置1Aの構造と基本的に同様であり、ここでは前記第1の実施例と相違する第2の実施例特有の構造に絞って説明する。
【0027】
具体的には、前記第1の実施例における棒状体23Aの一端23aに設けられていた軸部29に代えて、第2の実施例における棒状体23Bの一端23aには、回動可能なヒンジ部37aを介して仮置き台5の2本の棒体7A、7B間に架け渡されたガイドロッド40に沿ってスライドするスライダー39aが設けられている。また、前記第1の実施例において前記軸部29と係合する溝部31が仮置き台5には設けられておらず、当該溝部31の機能を前記スライダー39aと摺接するガイドロッド40の摺接部41aが担っている。
【0028】
また、前記第1の実施例における棒状体23Aの他端23bに設けられていた突起33に代えて、第2の実施例における棒状体23Bの他端23bには、回動可能な他のヒンジ部37bを介してロール紙載置部材15Bに沿ってスライドする他のスライダー39bが設けられている。また、前記第1の実施例において前記突起33と係合する凹部35が第2の実施例におけるロール紙載置部材15Bには設けられておらず、当該凹部35の機能を前記スライダー39bと摺接するロール紙載置部材15Bの摺接部41bが担っている。
【0029】
そして、このような構造の第2の実施例に係るロール紙持上げ装置1Bによっても、前記第1の実施例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減されている。
また、ロール紙Rの持ち上げからロール紙ホルダ3への装着までの作業手順も前記第1の実施例と同様に実行される。
【0030】
[第3の実施例](図4参照)
第3の実施例に係るロール紙持上げ装置1Cは、操作レバー19Cと回動アーム43bと、ロール紙載置部材15Cと、仮置き台5と、を4節平行リンク機構として配置した実施例である。
このロール紙持上げ装置1Cの構造は、次に示す通りであり、操作レバー19Cの回動動作をロール紙載置部材15Cの水平姿勢を保持した状態での上昇、下降動作に変換している点については、前記第1の実施例と同様である。
【0031】
具体的には、水平保持機構17Cが水平姿勢をとるロール紙載置部材15Cと、該ロール紙載置部材15Cと前記仮置き台5とを連結する2本の回動アーム43a、43bと、を備える4節平行リンク機構によって構成されており、前記回動アームの1本43aが操作レバー19Cを兼ねている。
そして、前記操作レバー19Cの第1の支点21から自由端側に所定長さL離れた位置に前記ロール紙載置部材15Cと回動可能に連結される第1の連結支点45を有し、前記操作レバー19Cの第1の支点21から所定距離S離れた位置の前記仮置き台5上に前記回動アームの他の1本43bと回動可能に連結される第2の連結支点47を有している。
【0032】
また、前記ロール紙載置部材15Cの第1の連結支点45から所定距離S離れた位置に前記回動アームの他の1本43bと回動可能に連結される第3の連結支点49を有し、前記第1の支点21から第1の連結支点45までの長さLと前記第2の連結支点47から第3の連結支点49までの長さLが等しく、前記第1の支点21から前記第2の連結支点47までの距離Sと、前記第1の連結支点45から前記第3の連結支点49までの距離Sが等しくなるように設定されている。
【0033】
そして、このような構造の第3の実施例に係るロール紙持上げ装置1Cの場合には、ロール紙載置部材15C上のロール紙Rがロール紙Rの持ち上げ時に斜め上方に向けて移動するようになるが、前記第1の実施例と同様、ロール紙載置部材15Cの水平姿勢を保持した状態でロール紙Rをロール紙ホルダ3の軸部13の高さ位置Hまで上昇させることが可能である。
従って、本実施例によっても前記第1の実施例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減される。また、ロール紙Rの持ち上げからロール紙ホルダ3への装着までの作業手順も前記第1の実施例と同様に実行される。
【0034】
また、本実施例の場合、ロール紙Rがロール紙ホルダ3に装着された位置における該ロール紙Rの真下の領域には、当該ロール紙Rはその上昇及び下降工程で構造的に至らないので、前記真下の領域には、前記ロール紙持上げ装置1が配置されている箇所を除いて、他の構造部材を設ける設計が可能となる。例えば、両端をロール紙ホルダ3に保持されている状態のロール紙Rに対して、その中央付近に接触して巻き弛みを防止する部材、或いはロール紙Rの重さを支えるローラ等の支え部材等を設けることが可能となる。
【0035】
[第4の実施例](図5参照)
第4の実施例に係るロール紙持上げ装置1Dは、水平保持機構17Dから操作レバー19Dを切り離し、操作レバー19Dを動力伝達部材としてのみ使用するようにしたものである。
尚、水平保持機構17Dとしては、前記第1の実施例で採用した4節交差リンク機構を一例として採用しており、操作レバー19Dの第1の支点21を操作レバー19Dの先端部51ではなく、該先端部51から幾分、自由端側に移動した位置に設けると共に前記先端部51をロール紙載置部材15Dの一例として下面に当接させることでロール紙載置部材15Dに動力を伝えることができるように構成されている。
【0036】
尚、水平保持機構17Dは、回動支点25で交差する2本の棒状体53、55と、水平姿勢のロール紙載置部材15Dと、仮置き台5の2本の棒体7A、7B間に架け渡されているレール部材57と、を備えることによって構成されている。
また、前記レール部材57の上面と前記ロール紙載置部材15Dの下面にはガイド溝59a、59bがそれぞれレール部材57とロール紙載置部材15Dに沿うように形成されている。そして、交差する2本の棒状体53、55の一端53a、55a側には、前記ガイド溝59aに嵌まって転動するコロ61a、63aがそれぞれ設けられており、交差する2本の棒状体53、55の他端53b、55b側には、前記ガイド溝59bに嵌まって転動するコロ61b、63bがそれぞれ設けられている。
【0037】
そして、このような構造の第4の実施例に係るロール紙持上げ装置1Dによっても、前記第1の実施例と同様の作用、効果が得られ、ロール紙R持ち上げ時のユーザーの負担が軽減される。また、ロール紙Rの持ち上げからロール紙ホルダ3への装着までの作業手順も前記第1の実施例と同様に実行される。
【0038】
[他の実施例]
本発明に係るロール紙持上げ装置1は、以上述べたような構成を基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことは勿論可能である。
例えば、図6に示すように、前記第1の実施例で採用した突起33を棒状体23Eの一端23a側と他端23b側の両方に設け、前記第1の実施例で採用した軸部29と溝部31を省略することも可能である。この場合には、2つの突起33a、33bはベース部8Aの上面とロール紙載置部材15E下面の凹部35とに摺接することで前後方向に移動することになる。
【0039】
また、前記第4の実施例で採用した水平保持機構17Dから独立させた操作レバー19Dを前記第3の実施例で採用した4節平行リンク機構の水平保持機構17Cの動力伝達手段として使用することが可能である。
また、水平保持機構17としては、前述した実施例の構造以外にも種々の構造が採用可能であり、カム機構やラックピニオン機構等を適用した水平保持機構17とすることも可能である。また、ロール紙使用装置としては、実施例で説明した記録装置はその一例であり、記録装置に限定されない。
【符号の説明】
【0040】
1 ロール紙持上げ装置、 3 ロール紙ホルダ、 5 仮置き台、
7A 棒体、7B 棒体、 8A ベース部、 8B ベース部、
9 フランジ部、 11 ロール芯、 12 芯口、 13 軸部、
15 ロール紙載置部材、 15a 一端部、 15b 他端部、
17 水平保持機構、 19 操作レバー、 21 第1の支点、 23 棒状体、
23a 一端、 23b 他端、 25 回動支点、 27(自由端側の)位置、
29 軸部、 31 溝部、 33 突起、 35 凹部、 37 ヒンジ部、
39 スライダー、 40 ガイドロッド、 41 摺接部、 43 回動アーム、
45 第1の連結支点、 47 第2の連結支点、 49 第3の連結支点、
51 先端部、 53 棒状体、 55 棒状体、 57 レール部材、
59 ガイド溝、 61 コロ、 63 コロ、 R ロール紙、 B 用紙幅方向、
P 力点、 Q 作用点、 H 高さ位置、 r1 回転半径、 r2 回転半径、
Y 前後位置、 L 長さ、 S 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール紙の仮置き部と、ロール紙ホルダとを有するロール紙使用装置に設けられ、仮置き状態のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持上げ装置であって、
水平姿勢で上昇及び下降し、前記ロール紙の端部外周面が載置するロール紙載置部材と、
前記ロール紙載置部材の上昇及び下降時の水平姿勢を保持する水平保持機構と、
前記水平保持機構を介して前記ロール紙載置部材に動力を伝達する操作レバーと、を備え、
前記操作レバーは、前記仮置き部に設けられている第1の支点を中心に回動可能な状態で設けられていることを特徴とするロール紙持上げ装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたロール紙持上げ装置において、
前記水平保持機構は、前記操作レバーと棒状体と、を備え、
前記操作レバーの第1の支点寄りの位置に前記棒状体と回動可能に連結される回動支点を有し、前記棒状体の一端側は前記仮置き部に対してスライド可能に連結され、前記棒状体の他端側は前記水平姿勢をとるロール紙載置部材の一端部にスライド可能に連結され、前記ロール紙載置部材の他端部は前記操作レバーの前記回動支点の位置より自由端側の位置に回動可能に連結されていることを特徴とするロール紙持上げ装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたロール紙持上げ装置において、
前記水平保持機構は、前記水平姿勢をとるロール紙載置部材と、前記ロール紙載置部材と前記仮置き部とを連結する2本の回動アームと、を備える4節平行リンク機構によって構成されており、
前記回動アームの一つが前記操作レバーを兼ねており、前記操作レバーの第1の支点から自由端側に所定長さ離れた位置に前記ロール紙載置部材と回動可能に連結される第1の連結支点を有し、前記操作レバーの第1の支点から所定距離離れた位置の前記仮置き部上に前記回動アームの他の一つと回動可能に連結される第2の連結支点を有し、前記ロール紙載置部材の第1の連結支点から所定距離離れた位置に前記回動アームの他の一つと回動可能に連結される第3の連結支点を有し、前記第1の支点から第1の連結支点までの長さと前記第2の連結支点から第3の連結支点までの長さが等しく、前記第1の支点から前記第2の連結支点までの距離と前記第1の連結支点から前記第3の連結支点までの距離が等しくなるように設定されていることを特徴とするロール紙持上げ装置。
【請求項4】
ロール紙の仮置き部と、ロール紙ホルダとを有する記録装置であって、
仮置き状態のロール紙をロール紙ホルダの軸部の高さ位置まで持ち上げてロール芯の芯口と前記軸部との位置合わせを可能にするロール紙持上げ装置を備え、
前記ロール紙持上げ装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載されたロール紙巻上げ装置であることを特徴とする記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−86908(P2012−86908A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232254(P2010−232254)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】